JP4355608B2 - エンドトキシン試験方法及び培養物の処理方法 - Google Patents

エンドトキシン試験方法及び培養物の処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、エンドトキシン試験方法及び培養物の処理方法に関し、特に、試料中におけるエンドトキシンの有無を確認するためのエンドトキシン試験方法及び培養物の処理方法に関する。
近年、生体親和性に優れたコラーゲンなどの天然由来材料が、創傷被覆材や培養組織製品の足場材料などの医療用具に多く利用されている。その一方において、このような天然由来材料には微生物汚染の可能性があり、特にエンドトキシンによる汚染の排除に関心が集まっている。
エンドトキシンとはグラム陰性菌の内毒素であり、人体内に混入した場合は、悪寒を伴う発熱やアナフィラキシーなどが惹起される可能性がある。これを防止するためにも、天然由来材料を使用する医療用具に対してエンドトキシン管理が求められており、エンドトキシンの検出と定量のために日本薬局方に基づくエンドトキシン試験法(非特許文献1)が規定され、更にその改良方法などが提案及び実施されている。
例えば、非特許文献2には、検体の10倍の生理食塩液で室温、72時間の抽出を行い、その抽出液のエンドトキシンを測定する測定方法が記載されている。
一方、非特許文献3は、コラーゲンなどはエンドトキシンが吸着し易く、上述の生理食塩液による抽出方法では十分ではない旨を指摘し、更に、滅菌生理食塩液中で精製コラゲナーゼによりコラーゲンを溶解させ、その溶解液を基にエンドトキシン試験を行うことによって、LPS(リポ多糖、すなわちエンドトキシン)の回収率が飛躍的に改善することができたと報告している。
しかしながら、一般に入手できるコラゲナーゼは微生物由来のものが多く、エンドトキシン含有量が高いため、非特許文献3のようにエンドトキシン試験の前処理として使用するにはエンドトキシン除去カラム等でコラゲナーゼからエンドトキシンを除去する必要があり、手間が掛かった。また、酵素処理による溶解は時間がかかるので、正確な試験を行うには、長い時間をかけて充分に試料を溶解させる必要があった。
また医療用移植片などに利用するための培養物においては、使用前に種々の成分について迅速に試験を行うことが切望され、手間の掛かる工程をできるだけ排除する必要がある。
第十四改正日本薬局方、厚生労働省、2001年3月30日、第20頁〜第23頁 「天然由来物質」を利用する創傷保護材の取扱いについて,厚生省薬務局医療機器開発課 事務連絡・審査事務連絡(92−8)、平成4年4月14日 天然医用材料からのエンドトキシン回収法の開発,第24回日本バイオマテリアル学会大会 予稿集、2002年、p223
本発明は上記従来技術の問題点を鑑み、エンドトキシンが吸着し易い試料であっても、試料中におけるエンドトキシンの有無や、エンドトキシン量の測定といった試験を簡便に且つ迅速に行うことのできるエンドトキシン試験方法を提供することを目的とする。
また本発明は、培養物において、エンドトキシンに限らず種々の成分の試験を簡便に行うために有効な処理方法を提供することを目的とする。
本発明のエンドトキシン試験方法は、試料に対してエンドトキシンの試験を行うエンドトキシン試験方法であって、ゲル試料を酸性溶液で溶解して、溶解試料液を得る工程と、緩衝作用を有する溶液で、前記溶解試料液を中和して、中和試料液を得る工程と、前記中和試料液に対してエンドトキシンの試験を行う工程と、を含むことを特徴としている。
また本発明の培養物の処理方法は、培養物を酸性溶液で溶解して、溶解試料液を得る工程と、緩衝作用を有する溶液で、前記溶解試料液を中和して、中和試料液を得る工程と、を含むことを特徴としている。
前記試料又は培養物は、天然由来物質を含有することが好ましく、殊にコラーゲンを含有することが好ましい。さらに、前記試料はコラーゲンとこのコラーゲンに保持された細胞で構成された培養物であることが好ましく、殊にコラーゲンゲルに軟骨細胞を包埋した培養軟骨であることが好ましい。また、前記酸性溶液は無機酸であることが好ましく、殊に塩酸であることが好ましい。また、前記緩衝作用を有する溶液はリン酸緩衝液であることが好ましい。
本発明によれば、酸性溶液で試料を溶解し、次いで中和してからエンドトキシンの試験を行うので、エンドトキシンが吸着し易い試料であっても、試料に対するエンドトキシン試験を簡便に且つ迅速に行うことができる。
また本発明によれば、酸性溶液で培養物を溶解し、次いで中和して、中和試料液とするので、エンドトキシンに限らず、培養物に吸着しやすい種々の成分の試験を簡便且つ迅速に実施しやすくすることができる。さらに、本発明によれば、酵素などの試薬による溶解よりも早期に試料を溶解することができる。
本発明のエンドトキシン試験方法は、試料を酸性溶液で溶解して、溶解試料液を得る溶解工程と、緩衝作用を有する溶液で、前記溶解試料液を中和して、中和試料液を得る中和工程と、前記中和試料液に対してエンドトキシンの試験を行う試験工程と、を含むものである。
本試験方法の対象となる試料は、エンドトキシン含有の可能性が存在し、酸性溶液で溶解可能なゲル試料であればよく、殊にエンドトキシンが吸着又は混入し易い物質を含有する試料であることが好ましい。試料に含有される物質には、天然由来物質、例えばコラーゲン、ゼラチン、キチン、植物ガム、ペクチン、アルギン酸、フィブリン、アルブミン、ヒアルロン酸、エラスチンなどが挙げられ、これらを単独又は2種以上の組み合わせたものであってもよい。特に、エンドトキシンが吸着しやすく、通常の抽出方法では正確な測定が困難であるコラーゲンを含有する試料であることが好ましい。コラーゲンは、水溶性コラーゲン及び水不溶性コラーゲンのいずれであってもよく、またコラーゲンからテロペプチドを除去して得られたアテロコラーゲンであってもよい。
なお、試料に含有される物質とは、試料全体の一部に物質が存在する場合のみならず、試料全体の大部分を構成する場合も含む。
また試料は、細胞や細胞外マトリクス(ECM:Extra Cellular Matrix)及び、サイトカインなどの各種因子を含むもの又は含む可能性のあるものであってもよい。このような細胞には、例えば軟骨細胞、骨芽細胞、肝細胞、表皮細胞、線維芽細胞、上皮細胞(角膜上皮細胞、粘膜上皮細胞、羊膜上皮細胞などを含む)、内皮細胞、平滑筋細胞、筋芽細胞、実質細胞、心筋細胞、膵島細胞などが含まれる。従って、試料としては、上記の天然由来物質で構成された足場材料上で細胞を培養することで得られた培養物などが挙げられ、例えば、コラーゲンとこのコラーゲンに保持された細胞で構成された培養物、好ましくは軟骨細胞をコラーゲンゲルに包埋して培養した培養軟骨などが該当する。培養軟骨などの培養物に本発明を適用する場合には、培養物のその後の使用に対して高い信頼性を担保することができるため、特に好ましい。
本試験方法では、溶解工程で試料を酸性溶液によって溶解する。これにより、酸性溶液によって溶解された溶解試料液が得られ、試料中に存在している成分が溶解試料液中に分散すると考えられる。
ここで云う酸性溶液とは、試料を溶解することが可能な酸性溶液であればよく、試料の種類に応じて適宜決定することができる。試料を溶解する時間などを考慮すると、pH0.1〜5.9の範囲の酸、特にpH0.1〜3.5の範囲の強酸である酸性溶液が好ましい。このような酸性溶液は、当業界において強酸性物質として一般に既知である無機酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸)や有機酸(例えば、トリクロロ酢酸、フェノール)を単独で又は組み合わせて使用して、容易に作製することができる。また、弱酸性物質として一般に既知である有機酸(例えば、酢酸、クエン酸、コハク酸、シュウ酸、)を使用し、上記pH0.1〜3.5の範囲に調整した強酸を示す酸性溶液を作製してもよく、弱酸性物質と強酸性物質とを組み合わせて使用してもよい。
これらの酸性溶液は、試料となる対象の種類などによって異なるが、例えば塩酸の場合、使用時に1mM〜500mMの濃度、好ましくは30mM〜100mMの濃度で用いられる。1mMよりも少ないと、コラーゲンの可溶化に必要な酸性にならず好ましくなく、500mMよりも濃いと、緩衝液による中和が十分できず、好ましくない。
また酸性溶液を用いて試料を溶解する際には、試料の1〜50倍量の酸性溶液、好ましくは2〜10倍量の酸性溶液を用いることができる。酸性溶液量が試料の1倍よりも少ないと試験精度が低くなって好ましくなく、50倍よりも多いと試験感度が低下するため好ましくない。なお、酸性溶液はエンドトキシンフリーであることがもっとも好ましいが、溶液中のエンドトキシン濃度が試験結果に影響を与えない程度に低いもの、例えば検出限界値以下、であれば利用することができる。また、エンドトキシンの酸性溶液下での安定性を考慮して、溶解後はすみやかに中和工程に供することが好ましい。
なお、酸性溶液で試料を溶解する前には、試料中の酸性溶液を中和する可能性のある成分を除去するか、その分を見越して高濃度(低pH値)の酸性溶液を使用することが望ましい。
このようにして得られた溶解試料液は、酸性のpH、好ましくはpH0.3〜3、特に好ましくはpH1〜3のpH範囲内の試料pHとなって、後続する中和工程に用いられる。pH0.3よりもpHが低いと緩衝液による中和が不十分となって好ましくなく、pH3よりもpHが高いとコラーゲンの溶解が不十分となって好ましくない。
溶解工程で得られた溶解試料液は、中和工程で、緩衝作用を有する溶液によって中和される。これにより中和試料液が得られる。
ここで云う緩衝作用を有する溶液とは、酸性溶液で試料を溶解した溶解試料液を中和する作用を有する溶液であればよく、酸性溶液と試料の種類に応じて適宜決定することができる。具体的には、リン酸緩衝液、BSE(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸)緩衝液、トリス緩衝液などが挙げられる。これらの溶液は、塩が析出するほど緩衝能が高すぎず、また溶解試料液の中和に必要な量が大量になりすぎて試験感度を下げることがないため、好ましい。緩衝能の強さ及びエンドトキシン試験系の検出能を高く維持することができる観点から、リン酸緩衝液であることが特に好ましい。
溶解液を中和する際には、pH6.0〜8.0のpHに、溶解試料液を中和することができる。このようなpHへの調整は、一般に、緩衝作用を有する溶液で、溶解試料液を10〜100倍に希釈することによって行われるが、上記緩衝作用を有する溶液の緩衝能に応じて適宜選択することができる。
中和工程で得られた中和試料液は、試験工程においてエンドトキシンの試験に付される。
ここで云う試験とは、中和試料液中のエンドトキシンの量を測定する方法のみならず、単に有無を検出する方法も含む。当業者であれば、当業界で周知の方法から適切な方法を容易に選択し、実行することができる。例えば、リムスル試薬(ライセート試薬)を用いたゲル化法、比濁法及び比色法などが挙げられ、日本薬局方で定められたエンドトキシン試験法などが該当する。なお、エンドトキシン試験法を採用する場合には、既知の反応干渉因子試験などを行って検出能を確認することが好ましい。
なお、試験を行うに際して適当な試料濃度となるように、中和試料溶液を蒸留水などで更に希釈してもよい。
次に本発明の培養物の処理方法について説明する。
本発明の培養物の処理方法は、培養物を酸性溶液を用いて溶解して、溶解試料液を得る溶解工程と、緩衝作用を有する溶液で、前記溶解試料液を中和して、中和試料液を得る中和工程と、を含む。
この培養物の処理方法における培養物には、上記エンドトキシンの試験方法を適用可能な培養物が含まれる。このような培養物には、培養対象となる細胞を所定の培養培地の存在下で所定期間培養したものが該当し、足場材料(Scaffold:スキャホールド)と共に培養されたものが特に好ましい。ここでいう足場材料には、上記天然由来物質が該当し、特にコラーゲンであることが好ましい。
本処理方法では、エンドトキシン試験方法と同様にして、培養物から溶解試料液及び中和試料液が得られればよく、その条件等についてはエンドトキシン試験方法での条件をそのまま適用することができる。
この方法によれば、得られた中和試料液中に、培養物中に存在するエンドトキシンなどの成分が試験可能な形態で存在するので、本処理方法に続けて当該成分の試験を容易に行うことができる。
このような試験は、培養物に含有する可能性のある成分であって、酸性溶液によって分解・変質しない成分の試験であればよく、用いる酸性溶液及び緩衝作用を有する溶液の種類に応じて、当業者であれば容易に判断することができる。
また処理方法に必要な薬剤をひとつにまとめたキットとして提供してもよく、その際には酸性溶液を入れた容器と、緩衝作用を有する溶液を入れた容器と、これらの薬剤の使用方法を記載した説明書を含むものとすることができる。
本発明においては、エンドトキシンなどの成分について試験を行う際に、酵素などの生物由来の試薬による前処理を不要にすることができるので、簡便且つ迅速に試験することができる。このため、より高い精度で、また迅速にエンドトキシンなどの成分の試験を行うがある場合、また例えばエンドトキシンが吸着し易い材料を用いることが多い場合、例えば医療用移植片や無菌操作に用いられる試料又は培養物において当該成分の有無を確認する際に、効果的に利用することができる。さらに、酵素などの試薬による溶解よりも早期に試料を溶解することができる。
以下、一実施例を挙げて本発明を説明する。試料としては、軟骨細胞をコラーゲンゲルに包埋して培養した培養軟骨を一例として挙げる。
[実施例1]
(1)検量線の作成
各実施例で使用する試薬の精度と有効性を保証するために、検量線の信頼性確認試験を、培養軟骨のエンドトキシン試験に先立って行った。
E.coli UKT−B由来の標準エンドトキシン(CSE:1000EU/ml、和光純薬工業社製)をダルベッコリン酸緩衝液(DPBS)で希釈し、0.013、0.025、0.050EU/mlのエンドトキシン標準液を調製した。
これらのエンドトキシン標準液をマイクロプレートに50μlずつ分注し、50μlのライセート試薬(エンドスペシー〔登録商標〕:生化学工業社製)を混合後、37℃で30分間反応させた。反応終了後、ジアゾカップリング試薬(トキシカラー〔登録商標〕:生化学工業社製)を順次加えて吸光度測定を行い、545nmと630nmの吸光度の差を測定した。これらの測定結果を、表1に示す。検量線は対数−対数プロットで作成し、直線回帰分析を行い、相関係数が0.98以上であることを確認した。
Figure 0004355608
(2)塩酸処理の影響
次に、塩酸を用いた溶解処理及び中和処理のエンドトキシン試験に対する影響を確認した。
E.coli UKT−B由来の標準エンドトキシン(CSE:1000EU/ml、和光純薬工業社製)を注射用蒸留水で希釈したエンドトキシン標準液(25EU/ml)に、50mMの塩酸(HCl)を標準液の9倍量で加え、室温で5分間放置した。50mMの塩酸は、1Nの塩酸(和光純薬工業社製)を注射用蒸留水で希釈し、0.45μmのフィルタで濾過滅菌したものを使用した。放置後、DPBSで100倍希釈したものを試料溶液とし、上述の検量線の作成と同様の操作を行い、塩酸処理が測定値に与える影響を調べた。
その結果、50mMの塩酸で処理した標準エンドトキシンの測定値は、理論値の130%を示し(図示せず)、標準偏差内に収まったので、塩酸処理によってエンドトキシンが分解される等の影響がないことが確認された。
[実施例2]
比色法によるエンドトキシン試験
(1)培養軟骨組織の作製
日本白色家兎の膝、股、肩関節から関節軟骨を採取し、トリプシンEDTA溶液及びコラゲナーゼ溶液で酵素処理を行い、軟骨細胞を分離・回収した。得られた軟骨細胞を洗浄後、10%ウシ胎児血清(FBS)含有DMEM(ダルベッコ改変イーグル培地)を加え、細胞密度が1×107個/mlとなるように細胞懸濁液を調製した。細胞懸濁液と3%アテロコラーゲンインプラント(高研社製)が1:4の割合になるように混合(包埋)し、この混合液100μlを培養皿に略ドーム状となるようにマウント(設置)した。この工程によって細胞密度は希釈されるので、細胞懸濁液を1×107個/mlの濃度で調製した場合、コラーゲンに包埋したときの濃度は2×106個/cm3(2×105個/100μl)となる。
マウントした混合液は、5%CO2、37℃の条件下で0.5〜1時間、静置してゲル化させた後、培地を加え、培養を開始した。培地には50μg/mlアスコルビン酸(L−アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩n水和物:C669P・3/2Mg・nH2O;日光ケミカルズ株式会社製)、50μg/mlゲンタマイシン及び250ng/mlアムホテリシンBを含むように調製した10%FBS含有DMEMを使用し、37℃、5%CO2の条件下で、3週間又は4週間の培養を行った。培養後には、直径が約10mm、厚みが約2mmの培養軟骨が得られた。
(2)反応干渉因子試験
次に、エンドトキシン試験の精度と有効性を保証するため、反応干渉因子試験を行った。なお試験に用いる検量線の信頼性は、実施例1で用いたものを使用するため、既に確認されている。
試験の前処理として、上述の作製方法で作製した培養軟骨の重量を測定し、9倍量の50mMの塩酸を加えて室温で攪拌して培養軟骨を溶解した。培養軟骨の溶解を確認した後、DPBSを用いて100倍希釈を行って試料溶液(希釈倍率:1000倍)とした。また、軟骨細胞を含まないコラーゲンゲルを溶解した試料溶液も用意した。コラーゲンゲルの試料溶液は、100倍希釈(希釈倍率:1000倍)、200倍希釈(希釈倍率:2000倍)、300倍希釈(希釈倍率:3000倍)のものを準備した。
反応干渉因子試験は、日本薬局方に従って行った。具体的には、最初にエンドトキシン標準液(2.5EU/ml)を上述の試料溶液で100倍希釈することで、エンドトキシンを添加した試験検体(0.025EU/ml)を調製した。次いで、検量線の作成と同様の操作を、エンドトキシン添加群及びエンドトキシン未添加群の各試験検体で行い、エンドトキシン濃度を測定した。エンドトキシン添加群から未添加群のエンドトキシン量を差引き、回収量を算出した。結果を表2に示す。
Figure 0004355608
表2に示すように、いずれの試験検体においても回収量と添加エンドトキシン濃度(0.025EU/ml)との差は、ほとんど認められず、反応干渉因子は認められなかった。
(3)エンドトキシン試験
また、上記エンドトキシン比色法試験により、エンドトキシン未添加群における培養軟骨の試験溶液の測定値より算出したエンドトキシン濃度は、検量線の最小濃度(0.013EU/ml)未満であった。試料溶液は培養軟骨より換算して1000倍に希釈されていることから、培養軟骨中のエンドトキシン濃度は、13EU/cm3未満であることが確認できた。
従って、コラーゲンゲル並びにコラーゲンを構成成分とする培養軟骨を、塩酸で溶解し、DPBSで中和した中和試料溶液は、検量線の信頼性を損なうことなく、また反応干渉作用も示さないことが確認できた。この結果に基づいて、エンドトキシン試験を比色法で行い、培養軟骨中のエンドトキシン濃度を簡便に測定することができた。
[実施例3]
ゲル化法によるエンドトキシン試験
最初に、実施例1で使用したものと同様の標準エンドトキシン(和光純薬工業社製)を、注射用蒸留水で3倍希釈したDPBS(以下、3倍希釈DPBSと云う)で溶解し、1000EU/mlのエンドトキシン標準原液を調製した。この原液を3倍希釈DPBSを用いて希釈し、6.25、0.0625、0.0313、0.0156、0.0078EU/mlのエンドトキシン標準液(C)を作製した。
次いで、培養軟骨の重量を測定し、9倍量の50mM塩酸を加え、室温で攪拌して溶解した。50mM塩酸は上述と同様に調製した。培養軟骨の溶解を確認した後、DPBSを用いて100倍希釈を行い、これをさらに注射用蒸留水で3倍希釈したものを試料溶液(A)とした。
6.25EU/mlの濃度のエンドトキシン標準液を試料溶液で100倍希釈し、エンドトキシンを添加した試験溶液(0.0625EU/ml)を調製し、さらに試料溶液で2倍希釈を繰り返すことで0.0313EU/ml、0.0156EU/ml、0.0078EU/mlのエンドトキシン添加群の各試験溶液(B)を調製した。
表3に示した各試験溶液200μlを試験本数分のライセート試薬(リムルスHS−Jシングルテスト ワコー:和光純薬工業社製)に添加し、37℃のウォーターバスで60分間加温した後、各試験溶液を含有するライセート試薬を倒置し、ゲル化の有無を観察した。このとき、内容物が凝固していないものを陽性として判定した。結果を表4に示す。
Figure 0004355608
Figure 0004355608
表4に示されるように、C液の結果から求めた幾何平均エンドポイント濃度が、試験に用いたライセート試薬の表示感度(λ:0.03EU/ml)の0.5〜2.0λの範囲にあることから、ライセート試薬の表示感度が確認された。また、A液及びD液(3倍希釈DPBS)すべてが陰性であることを確認した。B液より算出した幾何平均エンドポイント濃度も0.5〜2.0λの範囲内にあり、試料溶液中の反応干渉因子は認められなかった。
また、A液(培養軟骨の中和試料液)のすべてが陰性であったことから、B液及びC液での結果から、試料溶液A中のエンドトキシン濃度は0.03EU/ml未満と判定できる。また、この試料溶液Aは、培養軟骨より換算して3000倍に希釈されていることから、培養軟骨中のエンドトキシン濃度は90EU/cm3未満であると確認できた。
このように、塩酸で培養軟骨を溶解して得られた溶解試料液をDPBSで100倍希釈して中和し、その後、最大有効希釈倍率を超えない範囲において蒸留水で希釈したものは、反応干渉作用を示さず、信頼性が高いことが示された。また、この結果に基づいて、ゲル化法によるエンドトキシン試験として、培養軟骨中のエンドトキシンの濃度を簡便に測定することができた。
以上説明したように本発明によれば、エンドトキシンを含有し得る試料を酸性溶液で溶解し、緩衝作用を有する溶液で中和することによって得られた中和試料溶液に対して、比色法及びゲル化法によるエンドトキシン試験を行うことができる。殊に、エンドトキシンが吸着し易い試料においても、適正な測定を行うことができる。
またエンドトキシンに限らず試料中に検出対象が含まれる場合に、種々の試験を実施するための試料を、簡便に調製することができる。さらに、酵素などの試薬による溶解よりも早期に試料を溶解することができる。

Claims (8)

  1. 試料に対してエンドトキシンの試験を行うエンドトキシン試験方法であって、
    ゲル試料を酸性溶液で溶解して、溶解試料液を得る工程と、
    緩衝作用を有する溶液で、前記溶解試料液を中和して、中和試料液を得る工程と、
    前記中和試料液に対してエンドトキシンの試験を行う工程と、
    を含むエンドトキシン試験方法。
  2. 前記ゲル試料は、天然由来物質を含有することを特徴とする請求項1に記載のエンドトキシン試験方法。
  3. 前記天然由来物質は、コラーゲンであることを特徴とする請求項2に記載のエンドトキシン試験方法。
  4. 前記ゲル試料は、コラーゲンゲルに軟骨細胞を包埋した培養軟骨であることを特徴とする請求項1に記載のエンドトキシン試験方法。
  5. 前記酸性溶液は、無機酸であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のエンドトキシン試験方法。
  6. 前記酸性溶液が塩酸であり、且つ前記緩衝作用を有する溶液がリン酸緩衝液であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のエンドトキシン試験方法。
  7. 培養物の処理方法であって、
    培養物を酸性溶液で溶解して、溶解試料液を得る工程と、
    緩衝作用を有する溶液で、前記溶解試料液を中和して、中和試料液を得る工程と、
    を含む処理方法。
  8. 前記培養物は、コラーゲンと該コラーゲンに保持された細胞で構成されていることを特徴とする請求項7に記載の培養物の処理方法。
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