JP4354573B2 - 缶体洗浄装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、重合缶や反応缶等の缶体の内部を洗浄する缶体洗浄装置に関するものであり、特にノズルの移動機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
化学、石油、薬品工場等で使用される重合缶、反応缶、発酵槽等の缶体内部を洗浄する缶体洗浄装置において、缶内の隅々まで洗浄するためにノズルを移動させながら洗浄する必要がある。このようなノズルの移動機構としては、洗浄液の水圧だけでノズルを取り付けたシリンダーが伸縮する水圧シリンダー式ランスを備えた缶体洗浄装置や、1段スクリュー式ランスを備えた缶体洗浄装置が一般的に知られている。
【0003】
水圧シリンダー式ランスの洗浄装置は、図6に示すように、シリンダ203内をノズル205を取り付けたピストン201が軸方向に移動可能となっており、シリンダ203のロッドカバー207側から洗浄液を導入してシリンダ203内を洗浄液で充満させることにより、洗浄液がノズル205に供給されて噴射されるようになっている。ピストン201の移動は、洗浄液タンクとシリンダ上部との流路に設けられたV1バルブとV2バルブとの開閉動作により行われる。即ち、図6(a)に示すように、ロッドカバー207側から洗浄液を導入した状態で、V1バルブを開き、V2バルブを閉じて、タンクからピストン上部へ洗浄液を送る。このとき、ピストン上面に対する押圧力は、下面に対する押圧力よりもロッドの断面積分だけ大きいので、ピストン201は下方へ伸びこれによりノズル205が下方に移動する。
【0004】
逆に、図6(b)に示すように、V1バルブを閉じ、V2バルブを開けると、ピストン上部の洗浄液がシリンダ外部へ出ていき、このためピストン下面に対する押圧力が上面に対する押圧力より大きくなり、ピストン201は縮んでノズル205は上方へ移動する。
【0005】
また、ピストン201の移動速度の調整は、洗浄液の流路に設けられた流量調整弁N1及びN2により行われる。流量調整弁N1及びN2を絞ることによりシリンダ上部に流出入する洗浄液の単位時間当たりの流量が少なくなるため、ピストン201の移動速度は遅くなり、逆に流量調整弁N1及びN2を開放するとピストン201の移動速度は速くなる。
【0006】
一方、1段スクリュー式ランスは、1段のランスを上下移動することによりノズルの移動と回転とを同時に行うものである。
【0007】
また、これら従来の缶体洗浄装置の供給ホースの送り機構は、図7(a)に示すように、ホースリール307に供給ホース325を巻回し、供給ホース325を洗浄装置の構体外部に固定配置されたガイドローラ329を介して内側ランス305に接続している。このような従来の缶体洗浄装置では、内側ランス305を下方に軸方向移動してノズルを重合缶内部に挿入する場合には、図7(b)に示すように、供給ホース325を内側ランス305の移動距離と等しい長さ分だけホースリール307により送り込むことが必要となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の伸縮ランスを有する缶体洗浄装置は、ランスが伸縮可能なため、小型化でき、かつ種々のサイズの重合缶内部を洗浄することができる点で優れているが、次のような問題点がある。
【0009】
まず、水圧シリンダー式ランスの缶体洗浄装置では、バルブの開閉動作の切り替えによってランス(ピストン)の伸縮制御を行うため、液圧回路の構成部材が多くなり、制御方法も煩雑になる。このため、洗浄作業中にバルブの作動不良が生じやすく、安定した洗浄作業を行うことができないという問題がある。
【0010】
特に、洗浄液が例えば50MPa以上の高圧の場合には、バルブから洗浄液が漏れたり、圧力シール部材が摩耗したり、バルブが損傷する等の危険性がある。また、ランス各部位に高圧がかかるため、装置自体の損傷や早期摩耗の危険性がある。このため、このような水圧シリンダー式ランスの缶体洗浄装置では、装置自体の大型化や各部位の肉厚を厚くする等の高圧化対策や、バルブの高圧化対策が必要になるという問題がある。
【0011】
更に、ランスの伸縮速度の制御は、流量調整弁の絞込みにより洗浄液の流量を調節することにより行われるため、大雑把な制御はできても、微速制御は困難である。このため、伸縮速度の変動が起きやすく、これによる洗浄むらを生じやすいという問題がある。
【0012】
一方、1段スクリュー式ランスの缶体洗浄装置は、ランスが1段式のため、重合缶のサイズによってはランスを十分に伸ばすことができず、缶内上部のスペースの有無により取り付け不可能になるという問題点がある。
【0013】
装置のコンパクト化を図るため、多段ランスを伸縮させてノズルを移動する方式の装置がある。しかし、複数のランスに軸方向移動を行わせるため駆動源を複数用いた場合には却って装置が過大となってしまう。特に、多段ランスを最大長まで伸ばした場合に高圧水を供給するホースがその分長くなるため、ホースを巻回しておくためのホースリールが必要となってしまう。
【0014】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、ノズルの移動制御が容易で安定した洗浄作業を行える缶体洗浄装置を提供することを主な目的とする。また、本発明の別の目的は、ノズルの移動速度の調整が容易で均一な洗浄効果を得ることができる缶体洗浄装置を提供することである。本発明の別の目的は、高圧の洗浄液を使用した場合にも故障、損傷を防止できる缶体洗浄装置を提供することである。本発明の別の目的は、種々のサイズのタンクにも取付可能な缶体洗浄装置を提供することである。本発明の別の目的は、装置のコンパクト化を図ることができる缶体洗浄装置を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、請求項1に係る発明は、高圧水を噴射するノズルと、回転駆動手段と、該ノズルを上下移動させる移動機構と、ノズルに高圧水を供給する供給手段とを有する缶体洗浄装置であって、前記移動機構は、入れ子構造で同軸配置され、互いに軸方向相対移動可能な複数の筒体と、前記複数の筒体の入れ子構造を形成している外側と内側の筒体同士の間の各々に軸方向に亘り介在配置され、回転により内側の筒体を外側の筒体に対して軸方向相対移動させる複数の送りネジ機構と、回転駆動手段による回転を、前記複数の送りネジ機構の夫々に伝達する回転伝達機構と、を備え、前記ノズルは、最も内側の筒体の先端に装着されていることを特徴とするものである。
【0016】
本発明は、入れ子構造で同軸配置され、互いに軸方向相対移動可能な複数の筒体を利用したいわゆる多段ランスの伸縮によりノズルを移動させる移動機構を有する缶体洗浄装置である。即ち、本発明の複数の筒体は、いわゆる伸縮式ランスを構成するものであり、多段ランス、即ち複数の筒体を最も縮めた状態では軸方向長さが短くなるので、大きなサイズのタンクから小さなサイズのタンクに至るまでの種々のタンクに本発明を適用することが可能である。尚、本発明では複数の筒体を用いて多段式にしていればよく、2段式、3段式等の段数は問わない。
【0017】
本発明においてノズルを移動させるには、回転駆動手段を駆動し、その回転を回転伝達機構によって複数の送りネジ機構に伝達して各送りネジ機構を回転させる。各送りネジ機構は、複数の筒体の間に軸方向に亘り介在配置され、回転により内側の筒体を外側の筒体に対して軸方向相対移動させる。ここで、「内側の筒体」とは送りネジ機構の位置から筒体の軸心に向かって最も近い位置にある筒体をいい、「外側の筒体」とは送りネジ機構の位置から軸心と反対方向に向かって最も近い位置にある筒体をいう。このため、送りネジ機構の回転によって夫々の内側の筒体が同時に各外側の筒体に対して軸方向に相対移動し、これにより複数の筒体は伸縮動作を行う。そして、ノズルはこれら複数の筒体の、最も内側の筒体に装着されているので、複数の筒体の伸縮動作によってノズルが上下移動する。
【0018】
本発明では、このようにノズルの移動を回転駆動手段の駆動、回転伝達機構、送りネジ機構及び複数の筒体の伸縮動作のみによって行っている。また、ノズルの移動方向も送りネジ機構の回転方向、即ち回転駆動手段の回転方向によって定められる。言い換えれば、本発明では洗浄液の供給手段とノズルの移動機構とが互いに独立しておりノズルの移動に洗浄液の圧力を用いることはないため、ノズルの上昇下降の際にバルブの切換が必要な従来の水圧シリンダー式ランスの缶体洗浄装置と比較して、供給手段の液圧回路も簡易なもので済む。このため、液圧回路等の作動不良等も生じることはなく安定した洗浄作業を行うことが可能となる。
【0019】
また、本発明では液圧回路等の供給手段とノズルの移動機構とが独立しているため、50MPa以上の高圧水を用いた場合でも、筒体が高圧水の圧力による加重の影響を受けることはない。このため、高圧水からの加重による筒体への影響やバルブからの漏れ、圧力シール部材の摩耗等の不具合が生じることもなく、高圧水の圧力の影響を受ける従来の水圧シリンダー式ランスの缶体洗浄装置に比較して、バルブ、ノズル又は筒体等の装置部品の損傷を防止することができ、高圧に耐えうるものとなる。また、高圧ホースから漏れが生じることもあるが、この場合には高圧ホースのみを変更すれば良いため超高圧化への対応が容易に行える。
【0020】
更に、本発明では、回転伝達機構によって回転駆動手段の回転が送りネジ機構に伝達され、送りネジ機構の回転により筒体が軸方向相対移動を行うので、回転駆動手段の回転速度を調整することで、各筒体の軸方向移動の速度(即ち、ノズルの移動速度)の調整をすることができる。このため、洗浄液の流量制御でノズルの移動速度を制御する従来の水圧シリンダー式ランスの缶体洗浄装置に比べて、ノズルの移動速度の微調整が容易にでき、移動速度調整の不具合による洗浄むらも生じることがなく、均一した洗浄効果を得られる。
【0021】
本発明では、送りネジ機構が各筒体の間に介在配置されているので、送りネジ機構が最も内側の筒体内のガスと隔離される。このため、送りネジ機構とガスとの接触を考慮して送りネジ機構の材質を制限する必要がない。例えば、送りネジ機構の材質として鋼材を用い、更に送りネジ機構の動作を円滑にすべく潤滑油を用いることが可能となる。
【0022】
また、このように送りネジ機構は筒体間のみに介在するので、装置の外面は筒体のみで構成できる。即ち、送りネジ機構等の複雑な機構を構体外部に露出させる必要がないので、不要な隙間からのガス漏れを防止することができる。
【0023】
本発明では、送りネジ機構の回転は一つの回転駆動手段から回転伝達機構によって伝達されるので、複数の筒体を共通の回転駆動手段によって同時に軸方向相対移動させることができる。このため、各筒体毎に回転駆動手段を設ける必要がなく装置のコンパクト化を図ることができる。
【0024】
本発明の回転駆動手段としては、電動モータの他、流体圧モータを用いることもでき、その場合には、その作動流体として別系統の空圧や油圧あるいは洗浄用高圧水自体の液圧を利用することもできる。
【0025】
本発明の回転伝達機構は、回転駆動手段の回転を複数の送りネジ機構に伝達するものであれは、その構成は特に限定されるものではない。例えば、回転伝達機構として複数のギア、キー等を設けて送りネジ機構に回転駆動手段としてのモータの回転を伝達するように構成することができる。この際、筒体の移動速度、即ちノズルの移動速度の微調整を行うため、回転伝達機構に回転速度調節機構を設けても良い。このような回転速度調整機構としては、例えば、多段変速機、無段変速機、流体圧流量調整弁装置、インバータモータ、サーボモータ等が挙げられる。
【0026】
複数の送りネジ機構は、複数の筒体の間に軸方向に亘り介在配置され、回転により内側の筒体を外側の筒体に対して軸方向相対移動させるものであれば良く、その構成は本発明では限定しない。
【0027】
本発明では、ノズルの位置決め及び位置調整を行う位置制御手段を更に設けることができる。本発明では、ノズルの移動を高圧水の圧力やバルブの切り替えではなく、回転駆動手段によって行うのでノズルの位置ずれは生じにくいが、回転駆動手段を制御することによりノズルの位置決めや位置調整を更に正確かつ確実に行うことが容易となる。このような位置制御手段としては、エンコーダによる位置決め制御、タイマー制御によるノズルの位置調整等が挙げられる。
【0028】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の缶体洗浄装置において、前記複数の送りネジ機構は、夫々前記筒体の軸心に対して対称な位置に配置された複数のネジ部と各ネジ部に螺合するナットとからなり、前記ネジ部の夫々は、各ネジ部の外側に位置する筒体と軸方向相対移動不可能であり、前記ナットの夫々は、各ナットの内側に位置する筒体と係合しており、前記回転伝達機構は、前記対称位置のネジ部またはナットを互いに逆方向に回転させるように前記回転を伝達するものであることを特徴とするものである。
【0029】
本発明では、複数の送りネジ機構の夫々が複数のネジ部と各ネジ部に螺合するナットとからなっている。そして、各ネジ部は外側の筒体と軸方向相対移動が不可能であり、ネジ部に螺合するナットは内側の筒体に係合している。このため、ネジ部が回転することによりその回転によってネジ部に螺合したナットがネジ部周面を上下移動する。又はナットが回転することによりナットはネジ部の周面を上下移動する。ここで、ナットは内側の筒体と係合しているので、ナットの上下移動に伴って内側の筒体は外側の筒体に対して軸方向相対移動を行う。また、このような複数のネジ部は、筒体の軸心に対して対称な位置に配置されているので、筒体の軸方向移動の案内を補助することになり、筒体が円滑に伸縮動作を行うことになる。
【0030】
また、各ネジ部は筒体の軸心に対して互いに対称位置に配置され、かつ各ネジ部には回転伝達機構により伝達される回転が互いに逆方向に作用するので、回転による作用する力が対称位置のネジ部間で相殺され、装置の構体に不要な捩れが生じることを防止して安定した動作が保証される。
【0031】
本発明では、回転伝達機構を回転駆動手段の回転を複数のネジ部に伝達するように構成したり、複数のナットに伝達するように構成したりすることができる他、筒体によってネジ部とナットに別々に伝達するように構成することは任意である。このように本発明では、複数のネジ部又はナットへの回転の伝達を回転伝達機構で行っているので、各ネジ部又はナットの回転を一つの回転駆動手段で共通化することができ、夫々別々の回転駆動手段を設ける必要が無く装置のコンパクト化を図ることが可能となる。
【0032】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の缶体洗浄装置において、前記供給手段と最も内側の筒体とを接続し、高圧水をノズルに導く供給ホースと、前記供給ホースを前記供給手段から折り返して前記ノズルに案内するガイド手段と、を更に備え、前記ガイド手段は、装置構体に対して軸方向移動可能な最も外側の筒体に固定されており、前記回転伝達機構と前記複数の送りネジ機構とは、前記複数の筒体の夫々を、隣接する筒体に対する軸方向相対移動速度がほぼ等しくなるように回転するものであることを特徴とするものである。
【0033】
本発明では、供給ホースが最も内側の筒体に接続されている。このため、筒体が上下に軸方向移動を行うとそれに追従して供給ホースも上下移動する。
【0034】
一方、本発明では、供給ホースを供給手段から折り返してノズルに案内するガイド手段が設けられており、このガイド手段は、装置構体に対して軸方向移動可能な筒体に固定されている。ここで、「装置構体」には軸方向移動不可能な筒体も含まれる。又、「装置構体に対して軸方向移動可能な最も外側の筒体」とは、ノズルの上下移動と共に軸方向移動する筒体のうち最も外側に配置された筒体をいい、装置構体に固定され、軸方向移動不可能な筒体や軸方向移動可能であるがノズルが装着されている最も内側の筒体は含まれない。このため、ガイド手段は当該筒体の軸方向移動に追従して上下移動を行う。このため、供給ホースの折り返し湾曲部分もその形状を保ちながら軸方向移動可能な最も外側の筒体の移動に追従移動する。
【0035】
ここで、ノズルを上下移動させるには、回転伝達機構と複数の送りネジ機構とにより複数の筒体を互いに軸方向相対移動させる必要があるが、本発明ではこの回転伝達機構と複数の送りネジ機構とが複数の筒体の夫々を、隣接する筒体に対する軸方向相対移動速度がほぼ等しくなるように回転する。ここで、「隣接する筒体に対する軸方向相対移動速度がほぼ等しくなるように」とは、送りネジ機構の外側の筒体に対する内側の筒体の相対移動速度が、外側の筒体の更にその外側の筒体に対する相対移動速度と等しいか、当該相対移動速度との差が所定の誤差範囲内であることをいう。このため、各筒体間の軸方向の相対移動距離は各筒体ともほぼ同一となる。言い換えれば、供給ホースの移動距離は常に各筒体の相対移動距離に筒体の数を乗じた距離とほぼ等しくなる。
【0036】
このように供給ホースは一定の相対移動速度及び一定の移動距離で上下移動を行い、かつ供給ホースの折り返し部分は軸方向移動可能な最も外側の筒体の軸方向移動に追従して上下移動するので、複数の筒体の軸方向移動によりノズルが上下移動した場合でも供給ホースの折り返し部分の湾曲形状は維持される。このため供給ホースのホース長は一定長で足り、筒体の軸方向移動によって供給ホースを繰り出して長くしたり、巻き戻して短くしたりする必要はない。従って、供給ホースの繰り出し及び巻き戻しを行うホースリールが不要となり、このようなホースリールの必要な従来の缶体洗浄装置と比較して装置全体を小型化することができる。
【0037】
本発明のガイド手段は、供給ホースを供給手段から折り返してノズルに案内し、装置構体に対して軸方向移動可能な最も外側の筒体に固定されていればその構成は特に限定されるものではない。例えばガイド手段を装置構体に対して軸方向移動可能な筒体に設けた円板形状のガイドローラを用い、このガイドローラに供給ホースを巻いて折り返すように構成する他、供給ホースを折り返して湾曲部分を形成し、その折り返し湾曲部分の下部で前記筒体に複数の球状ロールで供給ホースをノズルに案内するように構成することができる。
【0038】
本発明の回転伝達機構と送りネジ機構とは、各筒体間の軸方向相対移動速度がほぼ等しくなるように回転するものであればその構成は特に限定されない。例えば、送りネジ機構のネジピッチを各送りネジ機構毎に変えたり、異なる径の送りネジと回転伝達機構内部の異なる歯数の歯車とを組み合わせて隣接する筒体間の相対移動速度をほぼ等しくするように構成することができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施形態について、以下図示例とともに説明する。図1は本実施形態に係る重合缶洗浄装置の全体構成を示す断面図であり、図2はそのA−A矢視図、図3は図1において右側面方向からの本実施形態の重合缶洗浄装置を観た場合の断面図である。
【0040】
本実施形態の重合缶洗浄装置は、重合缶内部を洗浄するものであり、図1に示すとおり、高圧水を噴射する洗浄用ノズル23と、洗浄用ノズル23を上下移動するための固定ランス1,第1ランス3及び第2ランス5と、各ランスを伸縮移動させるための第1台形ネジ13L,13R、第1ナット14L,14R、第2台形ネジ15L,15R及び第2ナット16L,16Rと、本発明の回転駆動手段としての電動モータ7と、第1台形ネジ13L,13Rと第2台形ネジ15L,15Rとに電動モータ7の回転を伝達する歯車21LA,21LB,21LC,21RA,21RB,21RC,21RD,19が納められた回転伝達ボックス17と、ノズル23に高圧水を導くための供給ホース25と、から概略構成される。
【0041】
ここで、固定ランス1と第1ランス3と第2ランス5とは本発明の複数の筒体を構成し、第1台形ネジ13L,13Rと第1ナット14L,14R及び第2台形ネジ15L,15Rと第2ナット16L,16Rとは本発明の複数の送りネジ機構を構成し、回転伝達ボックス17及び回転伝達ボックス17内の各歯車は本発明の回転伝達機構を構成する。
【0042】
尚、本実施形態では、重合缶内部を洗浄するものとしているが、この他、反応缶等の内部を洗浄するようにしても良い。
【0043】
固定ランス1は構体上面10aと構体下面10bに固定されており、このため軸方向移動が不可能になっている。このため固定ランス1は装置の構体の一部を形成している。そして固定ランス1の外面には送りネジ機構等の部材は設けられていない。また、図2に示すように、固定ランス1では後述する供給ホース25の送り動作を可能とするため、その前壁面及び背壁面の一部から第1ランス3が露出している。
【0044】
装置外部には電動モータ7が設けられている。また、図3に示すように第1ランス3と第2ランス5の間隙には軸方向に延在する角シャフト9が設けられている。この角シャフト9はその軸心を中心として回転可能に構成されており、更に上下に軸方向移動可能となっている。モータ7の駆動軸と角シャフト9とは角穴付き歯車39を介してローラチェーン37によって連結されており、このためモータ駆動軸の回転が角シャフト9に伝達され回転するようになっている。また、第2ランス5は角シャフト9上を移動可能となっており、このため角シャフト9は第2ランス5の上下移動を妨げないようになっている。
【0045】
第1ランス3は、固定ランス1の内側に同軸に配置され、第2ランス5は更に第1ランス3の内側に同軸配置され、入れ子構造となっている。第1ランス3は固定ランス1及び第2ランス5と軸方向に相対移動可能であり、第2ランス5は第1ランス3と軸方向に相対移動可能となっている。
【0046】
第1ランス3の上部は回転伝達ボックス17に係止されている。このため、第1ランス3は、回転伝達ボックス17の上下移動に伴って軸方向に移動する。
【0047】
第2ランス5の下端には洗浄用ノズル23が装着されており、上端には接続金具33によって供給ホース25が接続されている。即ち、高圧水供給部35から供給される高圧水は、供給ホース25、第2ランス5を通過して洗浄用ノズル23から噴射されるようになっている。
【0048】
また、第2ランス5と第2ナット16L、16Rとは第2ランス5の上端部で接続金具33を介して固定されている。このため第2台形ネジ15L、15Rが回転して第2ナット16L、16Rが第2台形ネジ周面上を上下移動するとそれに伴い第2ランス5も軸方向に上下移動するようになっている。
【0049】
回転伝達ボックス17は、角シャフト9に連結された歯車19と、この歯車19から図1及び図2の左側の第2台形ネジ15L及び第1ナット14Lにモータ7の回転を伝達するための夫々噛み合う3個の歯車21LA,21LB,21LCと、同図右側の第2台形ネジ15R及び第1ナット14Rにモータ7の回転を伝達するために夫々噛み合う4個の歯車21RD,21RA,21RB,21RCの合計8個の歯車が設けられている。
【0050】
歯車21LBは図2の左側第2台形ネジ15Lの軸心に連結され、歯車21LCは同図左側第1ナット14Lに噛み合っている。また、歯車21RBは同図右側第2台形ネジ15Rの軸心に連結され、歯車21RCは同図右側第1ナット14Rに噛み合っている。このため、例えばモータ7の駆動により角シャフト9が図2の時計回りに回転した場合には、歯車19,21LA,21LBにより左側第2台形ネジ15Lが時計回りに、更に歯車21LCにより左側第1ナット14Lが時計回りに回転する。一方、右側では歯車21RDが左側より1個余分に設けられているので、歯車19,21RD,21RA,21RBにより右側第2台形ネジ15Rが反時計回りに、更に歯車21RCにより右側第1ナット14Rが反時計回りに回転する。このように左右の第1ナット14R、14L及び第2台形ネジ15R,15Lは夫々逆方向に同時に回転するようにモータ7の回転が伝達されるようになっている。
【0051】
ノズル23の移動速度、即ち第2ランス5の軸方向移動速度はモータ7の駆動軸からの回転速度を制御することにより行われる。具体的には、歯車19を多段ギアとして他の歯車に駆動軸7の回転を切り換えて伝達すればよい。
【0052】
第1台形ネジ13R、13Lとこれと螺合する第1ナット14R、14Lは、本発明のネジ部を構成する。第1台形ネジ13R、13Lは、第1ランス3と固定ランス1との間隙に軸方向に2本設けられている。この2本の第1台形ネジ13L、13Rの夫々は第1ランス3の軸心を中心として互いに180度の角度間隔で配置されている。即ち、左右2本の第1台形ネジ13L,13Rは第1ランス軸心を中心に対称な位置に配置されている。図1の右側第1台形ネジ13Rは左ネジ、左側第1台形ネジ13Lは右ネジと互いに逆方向のネジ山を有している。尚、左右の第1台形ネジのネジピッチは同一である。
【0053】
各第1台形ネジ13L,13Rは、構体内部で軸方向に延びており、その上端が構体上面10aに、下端が構体下面10bに夫々固定されている。このため、各第1台形ネジ13L,13Rは固定ランス1と相対移動不可能でかつ回転不能となっている。
【0054】
各第1台形ネジ13L,13Rに夫々螺合する各第1ナット14L,14Rは回転伝達ボックス17内部に配置されている。また、各第1ナット14L,14Rは回転伝達ボックス17中の歯車21LC、21RCと夫々係合している。このため、左側第1ナット14Lには歯車19、21LA,21LB,21LCをこの順で介して電動モータ7の回転が伝達され、右側第1ナット14Rには歯車19、21RD,21RA,21RB,21RCをこの順で介して電動モータ7の回転が伝達される。ここで、第1台形ネジ13L、13Rは共に構体に固定され回転不可能かつ上下移動不可能となっているので、第1ナット14R、14Lは回転しながら第1台形ネジ13R、13L周面上を上下移動し、それに伴い回転伝達ボックス17も構体内部を上下移動する。
【0055】
第2台形ネジ15L,15Rとこれに夫々螺合する第2ナット16L、16Rは、本発明のネジ部を構成する。第2台形ネジ15は、第2ランス5と第1ランス3との間隙に軸方向に2本設けられており、第1台形ネジ13L、13Rと同様に互いに第2ランス5の軸心を中心に180度の角度間隔で対称位置に配置されている。
【0056】
このように本実施形態の重合缶洗浄装置では、第1台形ネジ13R,13Lが固定ランス1と第1ランス3の間、第2台形ネジ15R,15Lが第1ランス3と第2ランス5との間のみに介在配置されているで、装置の外面の殆どは固定ランス1のみで構成でき、複雑な機構を構体外部に露出させる必要がないので、不要な隙間からのガス漏れが防止されることになる。
【0057】
また、第1台形ネジ13L,13Rと第2台形ネジ15L,15Rとが缶体内のガスと隔離される。このため、各台形ネジや各ナットをガスとの接触を考慮して材質を制限する必要がないので、各台形ネジと各ナットには鋼材を用いている。また、各台形ネジと各ナットに回転部分には潤滑油を用いている。
【0058】
また、各第2台形ネジは構体に対して軸方向を中心に互いに逆方向に回転可能である。この2本の第2台形ネジ15L、15Rの夫々も図1の右側第2台形ネジ15Rは左ネジ、左側第2台形ネジ15Lは右ネジと互いに逆方向のネジ山を有している。尚、左右の第2台形ネジ15L,15Rのネジピッチは同一である。
【0059】
各第2台形ネジ15L、15Rは、その上部で回転伝達ボックス17の歯車21LB、21RBに夫々接続されている。このため、左側第2台形ネジ15Lは、歯車19,21LA,21LBをこの順で介して電動モータ7の回転が伝達され回転する。また右側第2台形ネジ15Rは、歯車19,21RD,21RA,21RBをこの順で介して電動モータ7の回転が伝達されて回転する。そして、各第2台形ネジ15L、15Rは回転伝達ボックス17と共に構体内部を上下に軸方向移動するようになっている。
【0060】
各第2台形ネジ15L、15Rに夫々螺合する第2ナット16L、16Rは第2ランス5上端の接続金具33に固定されている。このため、各第2台形ネジ15L、15Rが回転して第2ナット16L、16Rが第2台形ネジ周面上を上下移動するとそれに伴い第2ランス5も構体内部を上下移動するようになっている。
【0061】
このように左右の第1台形ネジ13L、13R、左右の第2台形ネジ15L、15Rは、ランス軸心に対して対称な位置に配置されているので、第1ランス3と第2ランス5の軸方向移動を案内することになり、第1ランス3と第2ランス5が円滑に伸縮動作を行う。
【0062】
また、左右の第1ナット14L、14Rが夫々第1台形ネジ上を互いに逆方向に回転し、また左右2本の第2台形ネジ15L、15Rも互いに逆方向に回転するので、構体に不要な捩れが生じず安定したノズルの上昇及び下降が可能となる。
【0063】
第1台形ネジ13L、13Rと第2台形ネジ15L、15Rの直径比、第1ナット14L、14Rと歯車21LB、21RBの直径比及び歯数比はいずれも6:4となっている。一方、第1台形ネジ13L、13Rと第2台形ネジ15L、15Rのネジピッチ比も6:4となっている。このため第1ナット14L、14Rの固定ランスに対する軸方向相対移動速度は、第2台形ネジ15L、15Rに螺合する第2ナット16L、16Rの第1ランスに対する軸方向相対移動速度と等しくなる。言い換えれば、第1ランス3の固定ランスに対する上下移動の相対移動速度と、第2ランス5の第1ランス3に対する軸方向の相対移動速度は等しく、この結果、第2ランスの装置構体からの軸方向移動距離は第1ランスの装置構体からの軸方向移動距離の2倍となる。
【0064】
供給ホース25の一端は高圧水供給部35に接続され、他の一端は第2ランス5に接続されている。即ち、図3に示すように、高圧水供給部35から上方に伸びた供給ホース25は、その途中でホース固定部27によって洗浄装置の構体下面10bに固定されている。そして、供給ホース25は洗浄装置本体の斜め上方で下方に折り返しており、この折り返し部分31は湾曲形状をなしている(以下、この折り返し部分を折り返し湾曲部31という。)。折り返した供給ホース25は、更に構体内部の回転伝達ボックスを介して第1ランス3に固定されたホースガイド29によって構内内部に案内され、更にホース先端はホース接続金具33によって第2ランス5に接続されている。
【0065】
ホースガイド29内には、供給ホース25を周面から支持すると共に、供給ホース25の上下移動に伴って回転する複数の球状のローラ29aが設けられている。このローラ29aは、供給ホース25を円滑に上下移動させると共に、供給ホースを第2ランス5に導くものであり、ホースガイド29と共に本発明のガイド手段を構成する。
【0066】
ここで、供給ホース25先端は第2ランス5に接続されているので、第2ランス5の上下移動に伴って供給ホース25も上下移動する。一方、ホースガイド29は回転伝達ボックス17を介して第1ランス3に固定されているので、第1ランス3の上下移動に伴ってホースガイド29も上下移動する。ここで、上述のように、第2ランス5の移動距離は、第1ランス3の移動距離のほぼ2倍であるため、ノズル23を昇降させた場合、第2ランスの上下移動に追従して供給ホースも移動する。しかし、ホースガイド29は第1ランス3に固定されているので、折り返し湾曲部31はノズル23の移動、即ち第2ランス5の移動距離の1/2の距離を第1ランス3の移動に伴って移動する。このため、折り返し湾曲部31はその形状を維持した状態で上下移動を行うことになり、供給ホース25の長さは一定長ですみ、ホースの繰り出しや巻き戻しを行う必要はない。このため、ホースリールを設ける必要が無く装置のコンパクト化が図られる。
【0067】
尚、本実施形態では、ガイド手段として図3に示すような複数の小径のローラ29aを用いているが、図5に示すように第1ランス3又は回転伝達ボックスに固定した大径ローラ29bをガイド手段として用い、この大径ローラ29bによって折り返し湾曲部31を形成させると共に、供給ホース25を第2ランス5に導入するようにしても良い。
【0068】
このように構成された本実施形態の重合缶洗浄装置において洗浄用ノズル23の移動は次のように行われる。
【0069】
まず、電動モータ7を駆動すると、角シャフト9も軸を中心に回転する。角シャフト9が時計回りに回転するものとすると、角シャフト9の回転は、上述のように歯車19,21LA,21LB,21LCの順に伝達され図2の左側第1ナット14Lと左側第2台形ネジ15Lとを時計回りに回転させる。一方、角シャフト9の回転は、歯車19,21RA,21RD,21RB,21RCの順に伝達され同図右側第1ナット14Rと右側第2台形ネジ15Rとを反時計回りに回転させる。
【0070】
以下、左側の台形ネジ及びナットと各ランスの下降動作について説明する。右側の台形ネジ及びナットについては左側の台形ネジ及びナットの回転方向が逆方向である点のみが異なるため説明を省略する。
【0071】
第1ナット14Lは第1台形ネジ13Lに螺合しているので、第1ナット14Lが時計回りに回転すると第1台形ネジ13Lの周面上を回転しながら下降する。第1ナット14Lは回転伝達ボックス17中に設けられており、第1ランス3の上端はこの回転伝達ボックス17と係止されているので、第1ナット14Lの降下と共に第1ランス3も下降する。
【0072】
一方、同時に第2台形ネジ15Lも上述のように時計回りに回転している。第2台形ネジ15Lの上端は回転伝達ボックス17の歯車21LBに夫々連結されているので、回転伝達ボックス17の下降と共に第2台形ネジ15Lも回転しながら下降する。第2ナット16Lは第2台形ネジ15Lに螺合し、かつ第2ランス5に固定されているので、第2台形ネジ15Lの回転によって第2ナット16Lは第2台形ネジ15Lに沿って下降し、これと共に第2ランス5も下降することになる。
【0073】
このように第1ランス3と第2ランス5とは下降動作を行うが、この場合の供給ホース25の送り動作について、図4を用いて説明する。図4(a)はノズル23が下降を開始する前の状態であり、図4(b)はノズル23を第1ランス3と第2ランス5を最大に伸ばし、ノズル23が最も下方の位置に達した状態を示す。
【0074】
前述のように第2ランス5の第1ランス3に対する相対移動速度は、第1ランス3の固定ランス1に対する相対移動速度とほぼ同一であるので、洗浄用ノズル23の下降動作中は常に、第2ランス5の固定ランス1に対する移動距離が第1ランス3の固定ランス1に対する移動距離のほぼ2倍となっている。このため、図4(b)に示すように、ノズル23が最も下方の位置に下降して第2ランス5が距離2Lを移動したときには、第1ランス3は距離Lを移動したことになる。このため、供給ホース25の先端は第2ランス5に追従して距離2Lを移動するが、ホースガイド29は第1ランス3に固定されているので、距離Lを移動する。このため、折り返し湾曲部31も距離L分だけ移動することになり、その形状を維持した状態で下降する。
【0075】
尚、本実施形態の重合缶洗浄装置では、2段式にランスを伸縮するようにしているが、更にランスと台形ネジ及びナット等を加えることにより3段式、4段式等、3段以上の多段式に伸縮させるようにしても良い。
【0076】
また、本実施形態の重合缶洗浄装置では、送りネジ機構として台形ネジとこれと螺合するナットとを用いているが、この他にボールスクリュー機構を用いてランスの伸縮動作を行わせても本発明の効果は達成される。即ち、ボールスクリュー機構を用いた場合、第1台形ネジ13L、13Rの代わりに第1ネジ棒を、第2台形ネジ15L、15Rの代わりに第2ネジ棒を使用し、第1ナットの代わりに第1ネジ棒とベアリングを介して螺合する第2ナットを、第2ナットの代わりに第2ネジ棒とベアリングを介して螺合する第2ナットを使用する。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したとおり、請求項1に係る本発明は、ノズルの移動機構が入れ子構造で同軸配置され、互いに軸方向相対移動可能な複数の筒体と、前記複数の筒体の間に軸方向に亘り介在配置され、回転により内側の筒体を外側の筒体に対して軸方向相対移動させる複数の送りネジ機構と、回転駆動手段による回転を、前記複数の送りネジ機構の夫々に伝達する回転伝達機構とを備えているので、ノズルの移動を回転駆動手段と回転伝達機構と送りネジ機構のみで実現でき、液圧回路等の作動不良等も生じることはなく安定した洗浄作業を行えるという効果がある。
【0078】
また、ノズルの移動速度も回転駆動手段、複数の送りネジ機構のみで調整でき、移動速度の微調整が容易に行うことができ、これにより均一な洗浄効果を得ることができるという効果がある。
【0079】
また、超高圧水を用いた場合でも、バルブや、筒体等の装置部品に圧力による加重がかかることはなく、装置部品の損傷を防止でき、また高圧ホースを変更することで超高圧化への対応も容易に可能となるという効果がある。
【0080】
また、本発明では、送りネジ機構が各筒体の間に介在配置されているので、ガスに対する密閉性を十分に確保できる。また、送りネジ機構の材質を自由に選択したり、潤滑剤を使用でき、円滑なノズルの上昇下降動作を行えるという効果がある。
【0081】
本発明では、複数の筒体の伸縮動作を一つの回転駆動手段で共通化できるので、装置のコンパクト化が図られるという効果がある。
【0082】
請求項2に係る発明は、前記複数の送りネジ機構は、夫々前記筒体の軸心に対して対称な位置に配置された複数のネジ部と各ネジ部に螺合するナットとからなり、前記ネジ部の夫々は外側の筒体と軸方向相対不可能であり、前記ナットの夫々は、内側の筒体と係合しており、前記回転伝達機構は、前記対称位置のネジ部を互いに逆方向に回転させるように前記回転を伝達するものであるので、複数のネジ部が筒体の軸方向移動の案内を補助することになり、筒体が円滑に伸縮動作が得られるという効果がある。また、本発明では、装置の構体に不要な捩れが生じることを防止して安定した動作を保証できるという効果がある。
【0083】
請求項3に係る発明は、前記供給手段と最も内側の筒体とを接続し、高圧水をノズルに導く供給ホースと、前記供給ホースを前記供給手段から折り返して前記ノズルに案内するガイド手段と、を更に備え、前記ガイド手段は、装置構体に対して軸方向移動可能な最も外側の筒体に固定されており、前記回転伝達機構と前記複数の送りネジ機構とは、前記複数の筒体の夫々を、隣接する筒体に対する軸方向相対移動速度がほぼ等しくなるように回転するので、ガイド手段が筒体の軸方向移動に追従して上下移動を行う結果、供給ホースの折り返し部分もその折り返し形状を維持した状態のまま筒体の軸方向移動に伴って上下移動して供給ホースのホース長を常に一定に維持することができる。このため、ホースリールが不要となり装置のコンパクト化が図られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る重合缶洗浄装置の移動機構の概略構成を示す断面図である。
【図2】図1の重合缶洗浄装置におけるA−A矢視図である。
【図3】本実施形態に係る重合缶洗浄装置の図1における側面方向からみた断面図である。
【図4】本実施形態の供給ホースの送り状態を示す模式図である。図4(a)は、ノズル下降開始前の状態を示し、図4(b)はノズルが最も下方位置まで下降した状態を示す模式図である。
【図5】本実施形態のホースガイドの別例を示す模式図である。
【図6】従来例としての水圧シリンダ式ランスの缶体洗浄装置の移動機構の概略構成図である。図6(a)は、ランスを伸ばしたときの状態図、図6(b)は、ランスを縮めたときの状態図である。
【図7】従来例の缶体洗浄装置における供給ホースの送り状態を示す模式図である。図7(a)は、ノズル下降開始前の状態を示し、図7(b)はノズルが最も下方位置まで下降した状態を示す模式図である。
【符号の説明】
1,301:固定ランス(構体)
3,303:第1ランス(外側ランス)
5,305:第2ランス(内側ランス)
7:電動モータ
9:角シャフト
10a:構体上面
10b:構体下面
13L:左側第1台形ネジ
13R:右側第1台形ネジ
14L:左側第1ナット
14R:右側第1ナット
15L:左側第2台形ネジ
15R:右側第2台形ネジ
16L:左側第2ナット
16R:右側第2ナット
17:回転伝達ボックス
19:角穴付き歯車
21LA,21LB,21LC:歯車
21RA,21RB,21RC,21RD:歯車
23:洗浄用ノズル
25,325:供給ホース
27:供給ホース固定部
29,329:ホースガイド
29a:ローラ
29b:大径ローラ(ホースガイド)
31:折り返し湾曲部
33:接続金具
35:高圧水供給部
37:ローラチェーン
39:角穴付き歯車
201:ピストン
203:シリンダ
205:洗浄用ノズル
207:ロッドカバー
301:固定ランス
307:ホースリール
Claims (3)
- 高圧水を噴射するノズルと、回転駆動手段と、該ノズルを上下移動させる移動機構と、ノズルに高圧水を供給する供給手段とを有する缶体洗浄装置であって、前記移動機構は、
入れ子構造で同軸配置され、互いに軸方向相対移動可能な複数の筒体と、
前記複数の筒体の入れ子構造を形成している外側と内側の筒体同士の間の各々に軸方向に亘り介在配置され、回転により内側の筒体を外側の筒体に対して軸方向相対移動させる複数の送りネジ機構と、
回転駆動手段による回転を、前記複数の送りネジ機構の夫々に伝達する回転伝達機構と、を備え、
前記ノズルは、最も内側の筒体の先端に装着されていることを特徴とする缶体洗浄装置。 - 前記複数の送りネジ機構は、夫々前記筒体の軸心に対して対称な位置に配置された複数のネジ部と各ネジ部に螺合するナットとからなり、
前記ネジ部の夫々は、各ネジ部の外側に位置する筒体と軸方向相対移動不可能であり、前記ナットの夫々は、各ナットの内側に位置する筒体と係合しており、
前記回転伝達機構は、前記対称位置のネジ部またはナットを互いに逆方向に回転させるように前記回転を伝達するものであることを特徴とする請求項1に記載の缶体洗浄装置。 - 前記供給手段と最も内側の筒体とを接続し、高圧水をノズルに導く供給ホースと、
前記供給ホースを前記供給手段から折り返して前記ノズルに案内するガイド手段と、を更に備え、
前記ガイド手段は、装置構体に対して軸方向移動可能な最も外側の筒体に固定されており、
前記回転伝達機構と前記複数の送りネジ機構とは、前記複数の筒体の夫々を、隣接する筒体に対する軸方向相対移動速度がほぼ等しくなるように回転するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の缶体洗浄装置。
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