JP4353821B2 - 水素ガス用電気化学式ガスセンサ素子の製造方法 - Google Patents

水素ガス用電気化学式ガスセンサ素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は水素ガスを検知するための水素ガス用電気化学式ガスセンサ素子の製造方法に関する。
一般家庭で使用されるLPガスや都市ガスの漏洩検知を始め、不完全燃焼によって発生する一酸化炭素や、冷媒として工場などで使用されるアンモニアなどの有毒ガスの検知、燃料電池の燃料として使用される水素の漏洩検知など、ガスセンサは、民生用から、産業用、自動車用、さらには分析計測機器に至る様々な分野で使用されている。
これらガスセンサにおけるガス検知方法は種々提案或いは実用化されているが、近年、プロトン伝導性の陽イオン交換膜を利用した電気化学式ガスセンサが開発されている(例えば、特許文献1〜3)。即ち、陽イオン交換膜の両面を、それぞれガス検知電極ならびに対向電極とする2つの触媒電極層で挟み込んだ膜−触媒電極接合体をガス検知用の素子として用いる。さらに、このガス検知電極ならびに対向電極は、触媒と、導電性炭素微粒子などの電子伝導性物質、及び陽イオン交換樹脂によって構成されている。この膜−触媒電極接合体のガス検知電極部が水素や一酸化炭素などの対象ガスに曝された場合に発生する電流を応答電流値として、またはこの電流を電圧値に変換して検知する。このような電気化学式ガスセンサは限界電流方式のガスセンサのように外部からの電圧を付与する必要がなく、また、半導体式のガスセンサと異なり室温付近での検知能力に優れているため、構造を簡単なものとできるという利点を有する。
他方、実用化に向けた研究が活発になっている燃料電池においては、その燃料として水素ガスを用いる方法が主流である。しかしながら、水素ガスは爆発限界が4.1〜74.2%と幅広く、また分子量が小さいため他の可燃性ガスに比べて漏洩しやすく、拡散速度も速い。したがって、水素ガスを燃料とする燃料電池の実用化には、僅かな濃度の水素ガスを検知できる高感度の水素ガスセンサが必須である。
特開2000−146908号公報 特開2002−350393号公報 特開2002−289243号公報
ところが、上記のような膜−触媒電極接合体を用いた従来の電気化学式ガスセンサは、水素ガスに対する感度が低い。即ち、爆発を未然に防ぐためには、爆発限界よりもかなり低い濃度の水素ガス濃度でも検知できなくてはならないが、従来の電気化学式水素ガスセンサでは、爆発限界近くまで水素ガス濃度が高くならないと検知することが困難であるという問題を有していた。
本発明者等は、他の検知方法に比べてセンサの構造を簡単にすることが可能な電気化学式ガスセンサにおいて、爆発限界よりもかなり低濃度でも水素ガスの検知可能なガスセンサ素子を得ることを目的として鋭意研究を進めた。その結果、特定の細孔構造を有するガス検知電極の製造方法を採用することにより上記課題が解決できることを見出し、さらに検討を進めた結果、本発明を完成した。
即ち、本発明は、(a)ガス検知電極と、(b)対向電極と、これら電極に挟まれた(c)イオン交換膜とで構成される膜−触媒電極接合体よりなる水素ガス用電気化学式ガスセンサ素子の製造方法であって、重合性単量体を含浸させた基材の両面に、水素ガスを吸着し、イオンに分解するための触媒を担持した触媒担持粒子を接触させて、基材側の重合性単量体の一部を触媒担持粒子同士の空隙部に浸透させ、該状態で上記重合性単量体を重合させ、次いで得られた重合体にイオン交換基を導入して前記膜-触媒電極接合体を形成することを特徴とする水素ガス用電気化学式ガスセンサ素子の製造方法である。
本発明によれば、限界電流式や半導体式のガスセンサに比べてその構造を簡単なものとでき、かつ、爆発下限の1/4以下である1000ppmという水素ガス濃度でも充分にその検出が可能なガスセンサを得ることができる。
本発明の製造方法で得られるガスセンサ素子は、(a)ガス検知電極と、(b)対向電極と、これら電極に挟まれた(c)イオン交換膜とからなる、いわゆる膜−電極接合体をガスセンサ素子とするものであり、該(a)ガス検知電極として、水銀ポロシメーター法により測定される孔径が100〜1000nmの範囲にある細孔を有さない(検出されない)ものである点に最大の特徴を有す。
ガス検知電極が、水銀ポロシメーター法により測定される孔径(以下、単に孔径)が100〜1000nmの範囲にある細孔を有するものである場合には、水素ガスの検知性能が極めて劣るものとなり、水素ガス濃度が爆発限界近辺にならないと検知することが困難である。他方、後述する実施例、比較例に具体的に示すように、100nm未満、及び1000nm以上の孔であれば有していてもよい。この理由は定かではないが、ガス検知電極がこのような孔径の細孔を有している場合には、図1及び2に模式図として示したようなものであると推測される。即ち、図1の部分拡大図である図2に示したように、ガスセンサの構造を酸素、窒素或いは二酸化炭素のような通常の空気(測定対象雰囲気)中に含まれるガスに対してであれば充分な気密性を有した構造のものとしても、水素ガスは拡散性が高いため、ガス検知電極の中を通って対象電極側へ回りこみ、そこでガス検知電極における反応と同様の反応を起こして相殺してしまい、結局、検知される出力が低いものになるのではないかと考えられる。しかしながら、孔径100nmという値は水素ガス分子の大きさよりも遥かに大きく、例えば30〜80nm程度の細孔であれば存在していても特に問題を生じないことからすると、上記以外の理由もあるものと推測される。
本発明において、上記ガス検知電極には、100nm未満の細孔であれば存在していてもよいが、好ましくは、孔径が8〜20nmの範囲にある細孔は存在しない(水銀ポロシメーター法によって検出されない)ことが好ましい。この範囲の細孔が存在しないことにより、更に高感度に水素ガスを検知することができ、またアンダーシュート(高濃度ガス存在下から低ガス濃度状態へ急激に変化させた際に起きる、負の応答)もほとんどないものとなる。他方、当該ガス検知電極は、8nm未満の細孔を有する方が好ましい。このような細孔を有することにより、さらに応答性に優れたものとできる。
特に高い水素ガス検知感度と、良好な応答性を得るためには、孔径3〜1000nmの範囲において、その細孔容積比で、8nm未満の細孔が0〜30%、20〜100nmの範囲にある細孔が70〜100%であるものが好ましく、8nm未満の細孔が1〜25%、20〜100nmの範囲にある細孔が75〜99%であるものが特に好ましい(なお、3nmという値は水銀ポロシメーター法による測定下限である)。
上述のように本発明の製造方法で得られるガスセンサ素子におけるガス検知電極は、100〜1000nmの範囲にある細孔を有さないため、3〜1000nmの範囲にある細孔容積が比較的小さく、通常、膜−触媒電極接合体(以下、MEAと略す場合がある)の単位面積あたり2.0cc/m−MEA以下であり、多くは1.2cc/m−MEA以下である。
本発明の製造方法で得られる上記ガス検知電極は、水素ガスを吸着、イオンに分解するための触媒を担持したカーボン等の粒子(以下、触媒担持粒子)がイオン交換樹脂中に分散した構造を有す。
このような触媒としては、銅、銀、金などの1B族元素、クロム、モリブデン、タングステンなどの6A族元素、マンガン、テクニチウム、レニウムなどの7A族元素、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金などの8族元素からなる単体金属や、あるいはこれらを主とする各種合金等が挙げられる。なかでも、化学的安定性に優れ、また水素ガスの吸着、分解能力に優れる点で、白金、又は白金と他の元素との合金(例えば、50%白金−ルテニウム合金)からなる触媒が特に好ましい。
このような触媒担持粒子は、例えば、特開平4−269458号公報に記載の方法で製造することも可能であるし、あるいは市販品(例えば、田中貴金属工業製白金担持触媒「TEC10E50E」、E−TEK社製銀担持触媒「C8−20」など)として入手することも可能である。
イオン交換樹脂としては、陽イオン交換樹脂でも陰イオン交換樹脂でも良い。イオン交換樹脂が有する陽イオン交換能/又は陰イオン交換能のある基としては、陽イオン交換基として、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基等が挙げられ、一般的に、強酸性基であるスルホン酸基が特に好ましい。また、陰イオン交換基としては、1〜3級アミノ基、4級アンモニウム基、ピリジル基、イミダゾール基、4級ピリジニウム基、4級イミダゾリウム基等が挙げられ、一般的に、強塩基性基である4級アンモニウム基や4級ピリジニウム基が好適に用いられる。
またイオン交換樹脂におけるこれらイオン交換性基以外の構造も特に限定されず、ポリスチレン、架橋ポリスチレン、パーフルオロカーボン、ポリアリールエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド等、公知の如何なるものでもよい。
上記のような細孔分布を有するガス検知電極の作成方法は特に限定されるものではないが、以下の如き方法で効率良く作成することができる。第一の方法は、触媒担持粒子と重合性単量体を接触させた後に、重合性単量体を重合させ、さらに、得られた重合性単量体の重合物にイオン交換性基を導入する方法である。このときには、重合性単量体を重合させる工程あるいはイオン交換性基を導入する工程で溶出や揮発してしまうような成分を配合せず、また重合性単量体としては、架橋型の重合物が得られる重合性単量体又は重合性単量体混合物を用いると良い。
第二の方法は、揮発性有機溶剤に溶解させた非架橋型のイオン交換樹脂と触媒担持粒子とを混合したペーストを製造し、このペーストを後述するイオン交換膜の上に塗布、その後、乾燥機等の恒温恒湿下で前記揮発性溶媒を除去、乾燥させる方法である。
上記二つの方法のなかでも、第一の方法を採用することにより、水銀ポロシメーター法により測定される孔径が100〜1000nmの範囲にある細孔を有さないものとできるばかりでなく、孔径が8〜20nmの範囲にある細孔をも有さないものとすることが特に容易となる。
本発明の製造方法で得られる水素ガス用のガスセンサ素子は、上記のような(a)ガス検知電極と、(b)対向電極とこれら電極に挟まれた(c)イオン交換膜とからなる。
(b)対向電極としては、水銀ポロシメーター法により測定される細孔が、上記(a)ガス検知電極におけるような制限のない以外は同様である。
(c)イオン交換膜も公知の如何なるイオン交換膜でもよいが、薄くしても強度に優れ、且つ電気抵抗の低い膜が入手しやすい点で、多孔質フィルムを基材(補強材、支持材などとも呼ばれる)とし、該多孔質フィルムの有する孔がイオン交換樹脂により充填された構造を有するイオン交換膜であることが好ましい。このイオン交換樹脂としては、上記(a)ガス検知電極におけるイオン交換樹脂と同様である。
本発明の製造方法で得られる、上記(a)ガス検知電極におけるイオン交換樹脂、(b)対向電極におけるイオン交換樹脂、及び(c)イオン交換膜におけるイオン交換樹脂がすべて、同符号のイオンを交換する能力を有するイオン交換樹脂であることが特に好ましい。
上記のような(a)ガス検知電極と、(b)対向電極と、これら電極に挟まれた(c)イオン交換膜とからなり、かつ、(a)ガス検知電極が水銀ポロシメーター法により測定される孔径が100〜1000nmの範囲にある細孔を有さないものは、以下のような方法(あ)〜(う)で製造することができる。以下、これら製造方法について述べる。なお方法(あ)及び(い)は前記したガス検知電極の作成方法(1)と、方法(う)は同じく作成方法(2)と対応する製造方法である。
方法(あ):本発明の水素ガス用ガスセンサ素子の第一の製造方法は、重合性単量体を含浸させた基材の両面に触媒担持粒子を接触させておき、その状態で重合性単量体を重合させ、さらに得られた重合体にイオン交換性基を導入する方法である。
上記基材としては、イオン交換膜の基材として公知の材料であれば特に制限されないが、前述のように得られるイオン交換膜の電気抵抗が低く、強度に優れるものとできる点で、多孔質フィルムであることが好ましい。さらに後述する重合性単量体とのなじみが良い点で、ポリオレフィン製の多孔質フィルムであることが好ましく、ポリエチレン又はポリプロピレン製の多孔質フィルムが特に好ましい。また、有する細孔のバブルポイント法による平均孔径が0.01〜2μm、空隙率(気孔率とも呼ばれる)は20〜95%、特に30〜90%であるのが好ましく、透気度(JIS P−8117)は1500秒以下、特に1000秒以下であるのが好ましい。また、その厚みは5〜150μmが好ましく、10〜120μmがより好ましく、15〜50μmであるのが特に好ましい。
この方法で用いる重合性単量体としては、重合させることによりイオン交換基の導入可能な樹脂、即ちイオン交換基の導入可能な官能基を有する樹脂を生じる重合性単量体を用いればよく、具体的には、陽イオン交換基が導入可能な官能基を有するものとしてスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−ハロゲン化スチレン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル化合物が挙げられ、陰イオン交換基が導入可能な官能基を有する単量体としては、スチレン、ビニルトルエン、クロロメチルスチレン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。
さらに、得られた重合体にイオン交換性基を導入する反応工程で重合体の一部が溶出してしまったり、あるいは最終的に得られるイオン交換樹脂が膨張や変形を起こして100〜1000nmの範囲にある細孔を有すものとならないようにするため、得られる重合体が架橋型の重合体となるように、上記重合性単量体に加えて、多官能の重合性単量体を併用することが好ましい。このような多官能の重合性単量体としては、ジビニルベンゼン、ジビニルスルホン、ブタジエン、クロロプレン、ジビニルビフェニル、トリビニルベンゼン等の公知の架橋剤を用いることができる。これら多官能の重合性単量体は、全重合性単量体中、0.1〜33質量%、好ましくは1〜30質量%の範囲で用いるのが好適である。
重合性単量体には、重合開始剤、特に熱重合開始剤を溶解しておくことが好ましい。当該熱重合開始剤としてはオクタノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシド等の有機過酸化物が好適である。該重合開始剤の配合量は、重合性単量体の重合に際して用いる公知の範囲でよく、一般的には、重合性単量体100質量部に対して0.01〜10質量部程度である。
方法(あ)においては、前記した多孔質フィルムなどの基材に、上記重合性単量体(及び重合開始剤)を含浸させておく。この含浸の方法は特に限定されず、重合性単量体を基材へ塗布あるいはスプレーしたり、あるいは基材を重合性単量体溶液中へ浸漬したりする方法が例示される。このような方法により、基材の有する空隙(細孔)内に重合性単量体が浸透していく。その操作が容易で、また均一性が高い点で、基材を重合性単量体溶液中へ浸漬する方法が好ましい。その浸漬時間は基材の種類や重合性単量体溶液の組成にもよるが、一般的には0.1秒〜十数分である。
方法(あ)においては、上記のような重合性単量体を含浸させた基材の両面に触媒担持粒子を接触させ、ついでその状態で重合性単量体を重合させる。触媒担持粒子を接触させる方法は特に限定されるものではないが、代表的には、触媒担持粒子からなるシート状物を形成しておき、重合性単量体を含浸させた基材の両面から、この触媒担持粒子からなるシート状物により挟み込む方法である。
このような触媒担持粒子からなるシート状物を得る方法としては以下の如き方法が好適である。即ち、触媒担持粒子に揮発性溶媒を加えてスラリーとし、該スラリーを印刷法、ドクターブレード法等によりポリエステルフィルムなどの上記重合性単量体と接着してしまわない材質のフィルムの上に薄く塗布、その後に乾燥させる。この場合には、得られる膜状の電子導電性物質の賦形性を高めるために結着剤をスラリーに配合することが好ましい。当該結着剤としては、後述するイオン交換基を導入する工程で溶出してしまわない材質のもの、例えば、ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン等の疎水性線状高分子を用いればよい。またこのような触媒担持粒子からなるシート状物の厚さとしては、0.1〜300μmが好適であり、1〜100μmがより好適である。
このような触媒担持粒子からなるシート状物を、前記重合性単量体を含浸させた基材と接触させることにより、基材側の重合性単量体の一部が触媒担持粒子同士の空隙部に浸透する。この接触から加熱等により重合を開始させるまでの時間は、上記浸透が充分に起こる程度であればよく、一般的には0.1秒〜数分でよい。
上記の如き方法で、基材側の重合性単量体の一部を触媒担持粒子同士の空隙部に浸透させ、ついでその状態で重合性単量体を重合させる。重合させる方法も用いた重合性単量体及び重合開始剤に応じて公知の重合方法を採用すればよく、一般的には、50〜150℃程度の温度で数分〜15時間程度加熱重合させれば良い。
また重合に際しては、空気中の酸素による重合阻害の影響を避け、また厚みの均一な膜−触媒電極接合体を得るために、前記したポリエステルフィルムのような材料で両面を挟み込んだまま、1kPa〜1MPa程度の加圧下で行うことが好ましい。
上記方法により両面に触媒担持粒子を含む層を有する重合体膜(以下、単に重合体膜)が得られる。方法(あ)においては、この重合体膜における重合体にイオン交換性基を導入することにより膜−触媒電極接合体とする。この方法も重合体の種類(構造)に応じて公知のイオン交換基導入方法を適宜選択すればよい。例えば、重合性単量体としてスチレン等の芳香族環を有す化合物を用い、重合体にスルホン酸基を導入する場合には、上記方法で得た重合体膜を、三酸化硫黄やクロルスルホン酸、発煙硫酸、濃硫酸と接触、反応させ、その後必要に応じて加水分解すればよい。また重合性単量体としてクロロメチルスチレン等のハロゲン化アルキル基を有する単量体を用いた場合には、第3級アミン化合物と反応させることにより該ハロゲン化アルキル基を第4級アンモニウム基へとすることが可能である。
イオン交換性基の導入量が多いほど、得られる膜−電極接合体の電気抵抗が低く優れたセンサ素子になるが、通常、イオン交換膜と電極層全体の総イオン交換容量が0.7〜5.0mmol/g程度、電極層のみのイオン交換容量は0.5〜3.0mmol/g程度であれば充分である。イオン交換性基の導入量もまた、反応における基質濃度や反応温度、時間を制御するなど公知の方法により制御できる。
方法(い):続いて本発明の水素ガス用ガスセンサ素子の第二の製造方法について述べる。本発明の水素ガス用ガスセンサ素子の第二の製造方法は、多孔質基材を、触媒担持粒子と重合性単量体との混合物に接触させることによって重合性単量体の一部を多孔質基材の空隙部に浸透させると共に、重合性単量体と導電性粒子を含む層を多孔質基材の表面に形成させ、次いで重合性単量体を重合させ、さらに得られた重合体にイオン交換性基を導入する方法である。
該方法(い)において、触媒担持粒子と重合性単量体との混合物中の、重合性単量体の一部を多孔質基材の空隙部に浸透させながら、触媒担持粒子は空隙部に浸透させず、多孔質基材の表面の層を形成させるためには、用いる触媒担持粒子の粒径を制御すればよく、具体的には、平均一次粒子径が、用いる基材の有する平均細孔径の0.1倍以上であるものを用いると良い。これにより、基材の有す細孔内に該触媒担持粒子がほとんど浸入せず、基材の面上に触媒担持粒子と重合性単量体からなる層が形成され、一方、基材の細孔内には、重合性単量体が浸透したものが得られる。なお、詳細な理由は不明であるが、細孔径よりも小さな径の粒子であっても細孔内に浸透しないのは、これら粒子が凝集してより大きな二次粒子になっているためであると推測される。触媒担持粒子と、上記重合性単量体との配合比は、用途に応じて適宜決定すればよいが、一般には、重合性単量体100質量部に対して0.1〜40質量部程度とすることによって、混合物(スラリー)の操作性がよく、またガスセンサ素子として適度な厚みのガス検知電極を有するものとすることが容易となる。
方法(い)において、用いる多孔質基材、重合性単量体等の材料、及び多孔質基材へ重合性単量体を含浸させる条件や、重合条件、イオン交換性基の導入方法等は前記方法(あ)と同様である。
方法(う):本発明の水素ガス用ガスセンサ素子の第三の製造方法は、イオン交換膜上に、揮発性有機溶剤に溶解させた非架橋型のイオン交換樹脂と触媒担持粒子とを混合したペーストを製造し、このペーストをイオン交換膜の上に塗布、その後、乾燥機等の恒温恒湿下で前記揮発性溶媒を除去、乾燥させる方法である。この方法においては、非架橋型のイオン交換樹脂としてトリブロック共重合体タイプのものを採用すると、前記したような細孔分布を有するガス検知電極としやすい。
この方法において用いるイオン交換膜は前述した通りであり、また対向電極の製造方法も特に制限されないが、上記ガス検知電極と同様の方法を採用すればよい。
上記した方法(あ)、(い)及び(う)のなかでも、方法(あ)又は方法(い)によれば、水銀ポロシメーター法により測定される孔径が7〜20nmの範囲にある細孔を有さないガス検知電極を再現性よく製造できる。
他方、方法(う)によれば、100〜1000nmの範囲にある細孔を有さないものとすることはできるが、通常は、8〜20nmの範囲にある細孔をも有すガス検知電極となる。
特に、100〜1000nmの範囲にある細孔及び8〜20nmの範囲にある細孔を共に有さず、かつ8nm未満の細孔を有するガス検知電極とするためには、上記方法(あ)において、20kPa〜0.5MPa程度の加圧下で、80〜120℃で8〜12時間程度加熱重合するという条件下で行う方法がよい。
なお、一般的な膜−触媒電極接合体の製造方法である、ポリエステルフィルムなどのイオン交換膜と接着してしまわない材質のフィルムの上に、イオン交換樹脂を溶解した溶液に触媒担持粒子を分散させたものを薄く塗布し、その後に乾燥させた触媒電極層を、イオン交換膜の表面に熱圧着などの方法により直接転写せしめて製造した膜−触媒電極接合体は、多くの場合100〜1000nmの範囲にある細孔を有すものとなり、このようなものは本発明のガスセンサ素子として用いることはできない。
上記のような方法で得られる本発明の水素ガス用ガスセンサ素子の使用方法としては、公知のガスセンサ素子の使用方法に従えばよい。以下では代表的な使用形態を、図面を参照して説明する。
図1は本発明の製造方法で得られたガスセンサ素子を用いた乾電池型水素ガスセンサの一例を示す断面模式図である。該ガスセンサには陽イオン交換膜1、ガス検知電極2及び対向電極3からなるガスセンサ素子が、導電性のガス拡散層4に挟まれるように配置されている。このガス拡散層4は、導電性とガス流通性を兼ね備えたものであればよく、例えばカーボンペーパーなどが使用できる。該ガス検知電極2に接する側のガス拡散層は導電性を有す材質で形成されたキャップ5に開けられた孔6及び7を経て水素ガスを含む雰囲気ガスが流入する。このガス中の水素はガス検知電極で反応し、水素陽イオンと電子を生じる。生じた水素陽イオンは、陽イオン交換膜1を通って対電極3へと移動し、そこでガス室8中に封入されている空気中の酸素と反応し水へと変換される。キャップ5及び空気室8はいずれも集電体として作用するように、金属などの導電性の材料で形成されており、上記ガス検知電極2で生成した電子は、ガス拡散層4からキャップ5、外部電流計、空気室8、ガス拡散層4を経て対電極3で上記のように反応する。電気的な短絡及び外気が対電極側へ漏洩するのを防ぐために、キャップ5と空気室8の間には絶縁性の材料9、9’が配置される。雰囲気ガス中の埃などが入るのを防ぐために、キャップ5の有する空間にはフィルター(図示しない)を配置しても良い。
なお、本発明の製造方法で得られたガスセンサ素子においてはガス検知電極層と対向電極層間で、イオン交換膜を経由して水素陽イオン(又はヒドロキシルイオン)が移動する必要がある。通常、イオン交換膜は乾燥した状態ではイオン伝導性を有さないため、水あるいはその他のイオン伝導性を助ける物質がイオン交換膜及び触媒電極に含まれるイオン交換樹脂中に存在する必要がある。他方、一般的には、イオン交換膜/イオン交換樹脂は極めて親水性が高く、空気中に存在する水分を吸着しており、このような吸着水程度で充分なイオン伝導性を発現するため、別途、加水等を行う必要がない。さらに、微量ながら検知対象ガスが反応することによって生じる水も存在する。むろん必要に応じて、加湿あるいは吸水機構を別途設けても良い。例えば、上記図1に示したガスセンサにおいて、空気室8に保湿剤などを封入しておいても良い。
また、量産性に優れる点で、図3に示したような構造のガスセンサも好ましい。即ち、ガス拡散層4の上に、ステンレスなどの金属製集電体を配置しておき、さらに全面をラミネートフィルムなどで覆って周囲を密閉しておく。なお集電体10、10には、外部の電流計に接続できる導線(図示しない)を設けておく。このラミネートフィルムにはガス導入孔7が開けられており、ここから入ってきた雰囲気ガスがガスセンサ素子上で反応し、ガス濃度が検出できる。
また図3に示したような構造のガスセンサをさらに図1におけるような乾電池型のガスセンサのセンサ部として採用しても良い。
以下、実施例及び比較例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、実施例および比較例に示す特性は、以下の方法により測定した値を示す。
(1)細孔分布及び細孔容積
ガス検知電極の細孔分布及び細孔容積は、細孔分布測定装置(PoreMaster−60、QUANTACHROME社製)を用いて水銀圧入法により測定した。細孔容積は、膜−触媒電極接合体の単位面積に対して孔径で3〜1000nmの範囲にある細孔について算出した。
(2)ガスセンサ特性評価
実施例および比較例で作製したガスセンサを、ガス導入口、槽内の内気循環用ファンを取付けた容量27リットル(幅、高さ、奥行とも300mm(内寸))のアクリル製測定槽中に設置し、電極にリード線を取付け、さらに、このリード線を電流値検出用のセンサ制御回路に接続した。次いで、測定槽内の空気を25℃、70%RHとした後、測定槽内の循環用ファンを起動した。測定槽内の水素ガス濃度を、5分毎に0ppm、500ppm、1000ppm、2000ppm、3000ppm、4000ppm、0ppmとなるように変化させ、その濃度変化に対するセンサ出力を測定した。
実施例1
表1に示した組成の導電性無機粒子を含むスラリーを作成し、これをポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製フィルム上に塗布した後、25℃で5時間乾燥し、次いで80℃で4時間減圧乾燥して導電性無機粒子シートを形成した。次いで、スチレン80質量部、ジビニルベンゼン20質量部(全重合性単量体中8.2モル%)、t−ブチルパーオキシエチルヘキサノエート5質量部よりなる単量体組成物を調整し、これにポリエチレン(PE、重量平均分子量25万)製の多孔質膜(膜厚25μm、空隙率37%、平均孔径0.03μm)を大気圧下、25℃で10分浸漬し、上記単量体組成物を含浸させた。続いて、多孔質膜を単量体組成物中から取り出し、これに上記のPTFEフィルム上の導電性無機粒子シートを導電性無機粒子が多孔質膜と接触するように配置した。同様にして、多孔質膜のもう一方の面に、同様に形成した別の導電性無機粒子シートを配置した後、0.3MPaの窒素加圧下、100℃で10時間加熱重合した。次いで、得られた膜状物を98%濃硫酸と純度90%以上のクロロスルホン酸の1:1混合物中に40℃で60分間浸漬しスルホン化した。得られた膜−触媒電極接合体の細孔分布および細孔容積を測定し、細孔分布の結果を図4に、細孔容積の結果を表2に示した。なお、導電性無機粒子シートを用いない以外は上記と同様にしてイオン交換膜を製造し、その細孔分布および細孔容積を測定したところ、3〜1000nmの範囲において細孔の存在は確認されなかった。従って、上記方法で測定された細孔は、電極層に由来するものである。
次いで、得られた膜−触媒電極接合体を直径8mmの円形にカットした後、厚みが200μm、空孔率が80%のカーボンペーパーを直径7mmの円形にカットしたもので両側から挟み込み、さらにその両側に直径1mmのガス導入孔が開けられた集電用のステンレス製電極を取付けた。これをラミネートフィルムで挟み込んだ後、ガス検知電極側の電極のガス導入孔部分を塞いでいるラミネートフィルムの1部を除去して外気と接触するようにして、図3に示す構造の電気化学式ガスセンサを作成した。このガスセンサの水素ガスに対する応答特性を図5に示した。
実施例2〜3
実施例1の導電性無機粒子を含むスラリーを表1に示す組成に変えた以外は同様にして膜−触媒電極接合体を得た。得られた膜−触媒電極接合体の細孔分布および細孔容積を測定した。実施例2における膜−触媒電極接合体の細孔分布の結果を図6に、実施例3における膜−触媒電極接合体の細孔分布の結果を図8に示し、また、これらの細孔容積を表2に示した。
これらの膜−触媒電極接合体を用いて実施例1と同様にしてガスセンサを製造し、その水素ガス検知に対する応答特性を調べた。実施例2の結果を図7に、実施例3の結果を図9に示した。
Figure 0004353821
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実施例4
実施例1で、単量体組成物のスチレンをクロルメチルスチレンに変えた以外は同様にして導電性無機粒子シートを接合した膜状物を得た。次いで、この膜状物を30質量%トリメチルアミン10質量部、水5質量部、アセトン5質量部よりなるアミノ化浴中、室温で5時間反応せしめ4級アンモニウム塩型陰イオン交換膜−触媒電極接合体を得た。得られた膜−触媒電極接合体の細孔分布および細孔容積を測定した。細孔分布の結果を図10に、細孔容積の結果を表4に示した。
次いで、得られた膜−触媒電極接合体を用いて、実施例1に記載の方法でガスセンサを作製した。得られたガスセンサの水素ガス検知に対する、ガスセンサ特性を図11に示した。
実施例5〜6
表3に示す導電性無機粒子を含むスチレン80質量部、ジビニルベンゼン20質量部(全重合性単量体中8.2モル%)、t−ブチルパーオキシエチルヘキサノエート5質量部よりなる単量体組成物を調整し、これにポリエチレン(PE、重量平均分子量25万)製の多孔質膜(膜厚25μm、空隙率37%、平均孔径0.03μm)を大気圧下、25℃で10分間浸漬した後多孔質膜を取り出した。次いで、この多孔質膜の両面を厚さ100μmのポリエステルフィルムで被覆し、0.3MPaの窒素加圧下、80℃で5時間加熱重合した。続いて、得られた膜状物を98%濃硫酸と純度90%以上のクロロスルホン酸の1:1混合物中に40℃で45分間浸漬してスルホン化した。得られた膜−触媒電極接合体の細孔分布および細孔容積を測定した。実施例5における膜−触媒電極接合体の細孔分布の結果を図12に、実施例6における膜−触媒電極接合体の細孔分布の結果を図14に示し、また、これらの細孔容積を表4に示した。
これらの膜−触媒電極接合体を用いて実施例1と同様にしてガスセンサを製造し、その水素ガス検知に対する応答特性を調べた。実施例5の結果を図13に、実施例6の結果を図15に示した。
実施例7
実施例1で、導電性無機粒子シートを用いず、厚さ100μmのポリエステルフィルムを剥離材として用いた以外は同様にして、電極層の接合されていないスルホン酸型陽イオン交換膜を得た。次いで、この陽イオン交換膜上に、実施例1で用いたものと同じ白金触媒を50質量%担持したカーボンブラックと、ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体のスルホン化樹脂(イオン交換容量1.0mmol/g)の1−プロパノール/ジクロロエタン溶液(濃度5質量%)を混合したものを塗布し25℃で5時間、80℃で4時間減圧乾燥した後、上記の膜状物を100℃、圧力5MPaの加圧下で100秒間熱圧着し、更に室温で2分間放置し、膜−触媒電極接合体を得た。得られた膜−触媒電極接合体の細孔分布および細孔容積を測定した。細孔分布を図16に、細孔容積を表4に示した。
次いで、得られた膜−触媒電極接合体を用いて、実施例1に記載の方法でガスセンサを作製した。得られたガスセンサの水素ガスに対する応答特性を図17に示した。
Figure 0004353821
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比較例1〜2
実施例1の導電性無機粒子を含むスラリーを表5に示す組成に変えた以外は同様にして膜−触媒電極接合体を作製した。次いで、得られた膜−触媒電極接合体を1mol/lのNaOH水溶液に2時間含浸して触媒電極層に添加したSiO2を溶解することにより、触媒電極層の多孔化を行った。得られた膜−触媒電極接合体の細孔分布および細孔容積を測定し、比較例1における膜−触媒電極接合体の細孔分布の結果を図18に、比較例2における膜−触媒電極接合体の細孔分布の結果を図20に示し、また、これらの細孔容積を表6に示した。
これらの膜−触媒電極接合体を用いて実施例1と同様にしてガスセンサを製造し、その水素ガス検知に対する応答特性を調べた。比較例1の結果を図19に、比較例2の結果を図21に示した。
比較例3
実施例7で、ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体のスルホン化樹脂(イオン交換容量1.0mmol/g)の1−プロパノール/ジクロロエタン溶液(濃度5質量%)を用いず、スルホン化ポリサルフォン(イオン交換容量1.5mmol/g)のジメチルホルムアミド溶液(濃度5質量%)の溶液を用いた以外は同様にして膜−触媒電極接合体を得た。得られた膜−触媒電極接合体の細孔分布および細孔容積を測定した。細孔分布を図22に、細孔容積を表6に示した。
次いで、得られた膜−触媒電極接合体を用いて、実施例1に記載の方法でガスセンサを作製した。得られたガスセンサの水素ガスに対する応答特性を図23に示した。
比較例4
パーフルオロカーボン系陽イオン交換樹脂のNafion(登録商標)の5重量%溶液と、田中貴金属工業社製炭素担持白金触媒(商品名「TEC10E50E」)とを樹脂固形分と炭素担持金属触媒が重量比で3対7となるように混合して得た混合物(懸濁液)を、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(以下、PET)フィルム上にスクリーン印刷によって塗布、乾燥し触媒電極層を形成した。次いで得られたPETフィルム上の触媒電極層をパーフルオロカーボンスルホン酸膜であるデュポン社製Nafion(登録商標)112の両面に重ね合わせ、130℃で圧力5MPaの加圧下で3分間熱圧着することにより陽イオン交換膜上に前記触媒電極層を転写して膜−触媒電極接合体を作製した。得られた膜−触媒電極接合体の細孔分布および細孔容積を測定し、細孔分布を図24に、細孔容積を表6に示した。
次いで、得られた膜−触媒電極接合体を用いて、実施例1と同様の方法によりガスセンサを作製した。得られたガスセンサのエタノール検知に対する、ガスセンサ特性を図25に示した。
Figure 0004353821
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各図に示したように、ガス検知電極が100〜1000nmの範囲にある細孔を有さない本発明のガスセンサ素子は、比較例に比べ、水素ガスに対する応答特性が遥かに優れている。また、実施例7と、他の実施例とを比較すれば理解されるように、8〜20nmの範囲にある細孔を有さないものを採用すると、より高感度の水素ガスセンサとすることができる。さらに、実施例3と他の実施例を比較すると理解されるように、8nm未満細孔を有するものを採用することにより、応答電流の立ち上がりがシャープとなりより高性能の水素ガスセンサとすることができる。
本発明の製造方法で得られた水素ガスセンサ素子を用いた電気化学的ガスセンサの構造の一例を示す断面模式図。 本発明の製造方法で得られたものではないガスセンサ素子を用いた場合に、応答特性が劣るものとなる原因の推定機構を示す模式図。 本発明の製造方法で得られた水素ガスセンサ素子を用いた電気化学的ガスセンサの構造の他の一例を示す断面模式図。 実施例1で製造した水素ガスセンサの電極の細孔分布を示す図。 実施例1で製造した水素ガスセンサにおける水素ガス濃度と応答電流の関係(水素ガス応答特性)を示す図。 実施例2で製造した水素ガスセンサの電極の細孔分布を示す図。 実施例2で製造した水素ガスセンサにおける水素ガス濃度と応答電流の関係(水素ガス応答特性)を示す図。 実施例3で製造した水素ガスセンサの電極の細孔分布を示す図。 実施例3で製造した水素ガスセンサにおける水素ガス濃度と応答電流の関係(水素ガス応答特性)を示す図。 実施例4で製造した水素ガスセンサの電極の細孔分布を示す図。 実施例4で製造した水素ガスセンサにおける水素ガス濃度と応答電流の関係(水素ガス応答特性)を示す図。 実施例5で製造した水素ガスセンサの電極の細孔分布を示す図。 実施例5で製造した水素ガスセンサにおける水素ガス濃度と応答電流の関係(水素ガス応答特性)を示す図。 実施例6で製造した水素ガスセンサの電極の細孔分布を示す図。 実施例6で製造した水素ガスセンサにおける水素ガス濃度と応答電流の関係(水素ガス応答特性)を示す図。 実施例7で製造した水素ガスセンサの電極の細孔分布を示す図。 実施例7で製造した水素ガスセンサにおける水素ガス濃度と応答電流の関係(水素ガス応答特性)を示す図。 比較例1で製造した水素ガスセンサの電極の細孔分布を示す図。 比較例1で製造した水素ガスセンサにおける水素ガス濃度と応答電流の関係(水素ガス応答特性)を示す図。 比較例2で製造した水素ガスセンサの電極の細孔分布を示す図。 比較例2で製造した水素ガスセンサにおける水素ガス濃度と応答電流の関係(水素ガス応答特性)を示す図。 比較例3で製造した水素ガスセンサの電極の細孔分布を示す図。 比較例3で製造した水素ガスセンサにおける水素ガス濃度と応答電流の関係(水素ガス応答特性)を示す図。 比較例4で製造した水素ガスセンサの電極の細孔分布を示す図。 比較例4で製造した水素ガスセンサにおける水素ガス濃度と応答電流の関係(水素ガス応答特性)を示す図。
1;イオン交換膜
2;ガス検知電極層
3;対向電極層
4、4’;ガス拡散電極(カーボンペーパー)
5;キャップ
6、7;ガス流通孔
8;空気室
9、9’;絶縁材
10,10’;集電電極(ステンレス板)
11;ラミネートフィルム

Claims (4)

  1. (a)ガス検知電極と、(b)対向電極と、これら電極に挟まれた(c)イオン交換膜とで構成される膜−触媒電極接合体よりなる水素ガス用電気化学式ガスセンサ素子の製造方法であって、重合性単量体を含浸させた基材の両面に、水素ガスを吸着し、イオンに分解するための触媒を担持した触媒担持粒子を接触させて、基材側の重合性単量体の一部を触媒担持粒子同士の空隙部に浸透させ、該状態で上記重合性単量体を重合させ、次いで得られた重合体にイオン交換基を導入して前記膜-触媒電極接合体を形成することを特徴とする水素ガス用電気化学式ガスセンサ素子の製造方法。
  2. 重合性単量体を含浸させた基材が、多孔質フィルムからなる基材の有する空隙内に、重合性単量体を含浸させたものである請求項1記載の製造方法。
  3. 重合性単量体を含浸させた基材の両面に触媒担持粒子を接触させておく方法が、触媒担持粒子からなるシート状物を形成しておき、重合性単量体を含浸させた基材の両面から、該シート状物により挟み込む方法である請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 触媒担持粒子からなるシート状物を形成する方法が、基材に含浸させられている重合性単量体と接着してしまわない材質のフィルム上に、触媒担持粒子、揮発性溶媒及び疎水性高分子を含んでなるスラリーを塗布し、その後に乾燥させる方法である請求項3記載の製造方法。
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