JP4352757B2 - ジェットエンジン用ファン及びファンスペーサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジェットエンジンにおけるエンジンケースの内側に空気を送り込むジェットエンジン用ファン、及び前記ジェットエンジン用ファンに用いられるファンスペーサに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的なジェットエンジン用ファンについて簡単に説明すると、次のようになる。
【0003】
即ち、ジェットエンジンにおけるエンジンケースの内側には、ファンディスクが回転可能に設けられており、前記ファンディスクの外周部には、複数のダブテール溝が等間隔に形成されている。また、前記ファンディスクの外周部には、ファンブレードが等間隔に設けられており、各ファンブレードのハブ側(内側)には、対応する前記雌タブテーブテールに嵌合可能なダブテールがそれぞれ形成されている。更に、ウィンドミル時における前記ダブテールと前記ダブテール溝のがたつきによる磨耗を抑制する等の理由により、各ダブテールの頂部と対応するダブテール溝の底部との間には、フロントファンスペーサとリアファンスペーサが前後にそれぞれ介在されている。
【0004】
ここで、各フロントファンスペーサは、前記ダブテールの頂部に固定されかつ厚み方向へゴム状に弾性変形可能なシリコンゴムにより構成されたフロント弾性体プレートと、前記フロント弾性プレートの表側に固定されかつFRP(Fiber Reinforced Plastics)により構成されたフロントFRPプレートとからそれぞれなる。また、各リアファンスペーサは、前記ダブテールの頂部に固定されかつ厚み方向へゴム状に弾性変形可能なシリコンゴムにより構成されたリア弾性体プレートと、前記リア弾性体プレートの表側に固定されかつアルミにより構成されたアルミプレートと、前記ダブテール溝の底部に固定されかつFRPにより構成されたリアFRPプレートとからそれぞれなる。
【0005】
従って、予め、各ダブテールの頂部に前記フロントファンスペーサと前記リアファンスペーサの一部分(前記アルミプレートを備えた前記リア弾性体プレート)をそれぞれ固定しておく(第1のスペーサ固定工程)と共に、各ダブテール溝の底部に前記リアファンスペーサの残り部分(前記リアFRPプレート)をそれぞれ固定しておく(第2のスペーサ固定工程)。
【0006】
そして、前記フロント弾性体プレート及び前記リア弾性体プレートを薄くなるように弾性変形させつつ、前記ダブテールを前方向から対応する前記ダブテール溝に嵌合させる。更に、上述の作用を前記ファンブレードの個数分だけ繰り返すことにより、各ダブテールの頂部と対応する前記ダブテール溝の底部との間に前記フロントファンスペーサと前記リアファンスペーサを前後にそれぞれ介在させつつ、複数の前記ファンブレードを前記ファンディスクの外周部に取付けることができ、前記ジェットエンジン用ファンのファン組立て作業が終了する。
【0007】
なお、前記ジェットエンジンに前記ジェットエンジン用ファンを装備した状態の下で、前記ジェットエンジンの稼働により前記ファンディスクを回転させると、前記複数のファンブレードを前記ファンディスクと一体的に回転させて、前記エンジンケースの内側に空気を送り込むことができる。
【0008】
なお、本発明に関連する先行技術として特許文献1、特許文献2に示すものがある。
【0009】
【特許文献1】
特開平7−63003号公報
【0010】
【特許文献2】
特開2003−28091号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述のように、前記ジェットエンジン用ファンを組立てるためには、前記ダブテールを対応する前記ダブテール溝に嵌合させる前におけるスペーサ固定工程(第1のスペーサ固定工程と第2のスペーサ固定工程)が必要不可欠であって、前記ジェットエンジン用ファンの組立てに要する一連の作業が時間が長くなり、作業能率の低下を招くという問題がある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明にあっては、ジェットエンジンにおけるエンジンケースの内側に空気を送り込むジェットエンジン用ファンにおいて、
前記エンジンケースに回転可能に設けられ、外周部に複数のダブテール溝が等間隔に形成されたファンディスクと、
前記ファンディスクの外周部に等間隔に設けられ、ハブ側(内側)に対応する前記ダブテール溝に嵌合可能なダブテールがそれぞれ形成された複数のファンブレードと、
各ダブテールの頂部と対応する前記ダブテール溝の底部との間にそれぞれ介在され、厚み方向へゴム状に弾性変形可能な弾性体より構成された弾性体プレートと、前記弾性体プレートの表側に固定されかつFRP(Fiber Reinforced Plastics)により構成された第1FRPプレートと、前記弾性体プレートの裏側に固定されかつFRPにより構成された第2FRPプレートとからそれぞれなるファンスペーサと、
を具備してなることを特徴とする。
【0013】
ここで、前記ファンスペーサは前記弾性体プレートと前記第1FRPプレートと前記第2FRPプレートとからなるため、前記ファンスペーサを薄くなるように弾性変形させつつ、前記ダブテールの頂部と前記ダブテール溝の底部の間に前記ファンスペーサを相対的に挿入させることができる。なお、「相対的に挿入させる」とは、前記ダブテールの頂部と前記ダブテール溝の底部の間に前記ファンスペーサを直接挿入させることの他に、前記ファンスペーサを前記ダブテール溝の底部に置いてから前記ダブテールを前記ダブテール溝に嵌合させることによって、前記ダブテールの頂部と前記ダブテール溝の底部の間に前記ファンスペーサを間接的に挿入させることも含む意である。
【0014】
請求項1に記載の発明特定事項によると、前記ダブテールを対応する前記ダブテール溝に嵌合させる。また、前記ダブテールを嵌合させた後或いは嵌合させる際に、前記ファンスペーサを薄くなるように弾性変形させつつ、前記ダブテールの頂部と対応する前記ダブテール溝の底部との間に前記ファンスペーサをそれぞれ相対的に挿入させる。更に、上述の作用を前記ファンブレードの個数分だけ繰り返すことにより、各ダブテールの頂部と対応する前記ダブテール溝の底部との間に前記ファンスペーサをそれぞれ介在させつつ、複数の前記ファンブレードを前記ファンディスクの外周部に取付けることができ、前記ジェットエンジン用ファンのファン組立て作業が終了する。
【0015】
なお、前記ジェットエンジン用ファンの組立作業が終了した後に、前記ジェットエンジンに前記ジェットエンジン用ファンを装備した状態の下で、前記ジェットエンジンの稼働により前記ファンディスクを回転させると、前記複数のファンブレードを前記ファンディスクと一体的に回転させて、前記エンジンケースの内側に空気を送り込むことができる。
【0016】
請求項2に記載の発明にあっては、請求項1に記載の発明特定事項の他に、各ダブテールの頂部又は各ダブテール溝の底部に、前記ダブテール溝のダブテール幅方向へ移動しないように前記ファンスペーサを保持する保持窪みがそれぞれ形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項2に記載の発明特定事項によると、請求項1に記載の発明特定事項による作用と同様の作用を奏する。
【0018】
請求項3に記載の発明特定事項にあっては、ジェットエンジン用ファンにおけるファンブレードのダブテールの頂部とファンディスクのダブテール溝の底部との間に介在されるファンスペーサにおいて、
厚み方向へゴム状に弾性変形可能な弾性体より構成された弾性体プレートと、前記弾性体プレートの表側に固定されかつFRP(Fiber Reinforced Plastics)により構成された第1FRPプレートと、
前記弾性体プレートの裏側に固定されかつFRPにより構成された第2FRPプレートと、
からなることを特徴とする。
【0019】
請求項3に記載の発明特定事項によると、前記ファンスペーサは前記弾性体プレートと前記第1FRPプレートと前記第2FRPプレートとからなるため、前記ファンスペーサを薄くなるように弾性変形させつつ、前記ダブテールの頂部と前記ダブテール溝の底部の間に前記ファンスペーサを相対的に挿入させることができる。なお、「相対的に挿入させる」とは、前記ダブテールの頂部と前記ダブテール溝の底部の間に前記ファンスペーサを直接挿入させることの他に、前記ファンスペーサを前記ダブテール溝の底部に置いてから前記ダブテールを前記ダブテール溝に嵌合させることによって、前記ダブテールの頂部と前記ダブテール溝の底部の間に前記ファンスペーサを挿入させることも含む意である。
【0020】
請求項4に記載の発明にあっては、請求項3に記載の発明特定事項の他に、前記第1FRPプレートと前記第2FRPプレートは略同一の形状により構成されていることを特徴とする。
【0021】
請求項4に記載の発明特定事項によると、請求項3に記載の発明特定事項による作用の他に、前記第1FRPプレートと前記第2FRPプレートは略同一の形状により構成されているため、前記ファンスペーサの表裏が逆になっても、前記ダブテールの頂部と前記ダブテール溝の底部の間に前記ファンスペーサを相対的に挿入させることができる。また、同じ理由により、多数の前記ファンスペーサを製造する場合に、前記ファンスペーサの数と同数の前記弾性体プレートと、前記ファンスペーサの倍数の前記第1FRPプレート(或いは前記第2FRPプレート)を用意すれば足りる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図1から図4を参照して説明する。
【0023】
図1は、図4におけるI部の拡大図であって、図2は、ダブテールとダブテール溝の間にファンスペーサを介在させた状態を示す図であって、図3は、図4におけるII-II線に沿った図であって、図4は、本発明の実施の形態係わるジェットエンジンの前部の断面図であって、下半分を省略している。
【0024】
ここで、「前後」とは、図1及び図4において左右,図2及び図3において紙面に向かって表裏のことである。
【0025】
図1、図3、図4に示すように、本発明の実施の形態に係わるジェットエンジン用ファン1は、筒状の第1エンジンケース3と筒状の第2エンジンケース5を同軸状に備えたジェットエンジンに用いられ、第1エンジンケース3の内側に形成された主流路7及び第1エンジンケース3と第2エンジンケース5の間に形成されたバイパス流路9に空気を送り込むものである。以下、ジェットエンジン用ファン1の具体的な構成について説明する。
【0026】
第1エンジンケース3の前部には、ファンディスク11がベアリング13を介して回転可能に設けられており、このファンディスク11の外周部には、複数のダブテール溝15が等間隔に形成されている。
【0027】
ファンディスク11の外周部には、複数のファンブレード17が等間隔に設けられている。ここで、各ファンブレード17は、動翼19と、この動翼19のハブ側(内側)に一体に形成されかつ流路面21sを有したプラットホーム21と、このプラットホーム21に形成されたシャンク23と、このシャンク23に形成されかつ対応するダブテール溝15に嵌合可能なダブテール25とをそれぞれ備えている。
【0028】
各ダブテール25の頂部と対応するダブテール溝15の底部の間には、フロントファンスペーサ27とリアファンスペーサ29が前後にそれぞれ介在されており、フロントファンスペーサ27とリアファンスペーサ29はジェットエンジン用ファン1の主要な構成要素であって、同じ構成を有している。そして、フロントファンスペーサ27とリアファンスペーサ29の具体的な構成、及びフロントファンスペーサ27とリアファンスペーサ29に関連する構成は、次のようになる。
【0029】
即ち、図1及び図2に示すように、各ファンスペーサ(各フロントファンスペーサ27と各リアファンスペーサ29)は、厚み方向へゴム状に弾性変形可能なシリコンゴム(弾性体の一例)より構成された弾性体プレート31と、この弾性体プレート31の表側に接着剤によって固定されかつFRP(Fiber Reinforced Plastics)により構成された第1FRPプレート33と、弾性体プレート31の裏側に接着剤によって固定されかつFRPにより構成された第2FRPプレート35とからそれぞれなる。
【0030】
ここで、ファンスペーサ27,29は弾性体プレート31と第1FRPプレート33と第2FRPプレート35とからそれぞれなるため、ファンスペーサ27,29を薄くなるように弾性変形させつつ、ダブテール25の頂部とダブテール溝15の底部の間にファンスペーサ27,29を相対的に挿入させることができる。なお、「相対的に挿入させる」とは、ダブテール25の頂部とダブテール溝15の底部の間にファンスペーサ27,29を直接挿入させることの他に、ファンスペーサ27,29をダブテール溝15の底部に置いてからダブテール25をダブテール溝15に嵌合させることによって、ダブテール25の頂部とダブテール溝15の底部の間にファンスペーサ27,29を間接的に挿入させることも含む意である。
【0031】
また、図1に示すように、第1FRPプレート33の前端付近及び後端付近は徐々に薄くなるように傾斜形状又はR形状に構成されてあって、同様に、第2FRPプレート35の前端付近及び後端付近は徐々薄くなるように傾斜形状又はR形状に構成されている。また、図2(a)(b)に示すように、第2FRPプレート35の両縁付近(図2(a)(b)において左右両縁付近)はダブテール溝15の底部の形状に応じてR形状に構成されている。更に、図2(b)に示すように、第1FRPプレート33と第2FRPプレート35は略同一形状により構成しても差し支えない。
【0032】
更に、図2(a)(b)に示すように、各ダブテール25の頂部には、ファンスペーサ27,29がダブテール溝15のダブテール幅方向(図2(a)(b)において左右方向)へ移動しないようにファンスペーサ27,29の一部(第1FRPプレート33)を保持する保持窪み37がそれぞれ形成されている。なお、各ダブテール25の頂部に保持窪み37がそれぞれ形成される代わりに(或いは他に)、各ダブテール溝15の底部に保持窪みがそれぞれ形成されるようにしても差し支えない。
【0033】
また、図1に示すように、各ダブテール25の頂部の前端近傍には、フロントファンスペーサ27の後方向の移動を規制するフロント突起39がそれぞれ形成されており、各ダブテール25の頂部の後端近傍には、リアファンスペーサ29の前方向の移動を規制するリア突起41が形成されている。
【0034】
更に、図1及び図4に示すように、ファンディスク11の前側には、複数の雄タブエール25及び複数のフロントファンスペーサ27をダブテール溝15から離脱しないように支持する環状のフロントストッパ43が一体的に設けられており、ファンディスク11の後側には、複数のダブテール25及び複数のリアファンスペーサ29をダブテール溝15から離脱しないように支持する環状のリアストッパ45が一体的に設けられている。なお、フロントストッパ43は、空気を案内するインレットコーン47に一体的に連結されており、リアストッパ45は、ジェットエンジン用ファン1の後方に配置された低圧圧縮機49における低圧圧縮機ロータ51に一体的に連結してある。
【0035】
次に、本発明の実施の形態の作用について説明する。
【0036】
ダブテール25に対応するダブテール溝15の底部にリアファンスペーサ29を置いてから、ダブテール25を前方向から対応するダブテール溝15に前方向から嵌合させることにより、リアファンスペーサ29を薄くなるように弾性変形させつつ、ダブテール25の頂部と対応するダブテール溝15の底部との間にリアファンスペーサ29を間接的に挿入させる。そして、フロントファンスペーサ27を薄くなるように弾性変形させつつ、ダブテール25の頂部と対応するダブテール溝15の底部との間にフロントファンスペーサ27を直接挿入させる。更に、上述の作用をファンブレード17の個数分だけ繰り返すことにより、各ダブテール25の頂部と対応するダブテール溝15の底部との間にフロントファンスペーサ27とリアファンスペーサ29を前後にそれぞれ介在させつつ、複数のファンブレード17をファンディスク11の外周部に取付けることができ、ジェットエンジン用ファン1のファン組立て作業が終了する。
【0037】
また、図2(b)に示すように第1FRPプレート33と第2FRPプレート35は略同一の形状により構成された場合には、ファンスペーサ27,29の表裏が逆になっても、ダブテール25の頂部とダブテール溝15の底部の間にファンスペーサ27,29を相対的に挿入させることができると共に、多数のファンスペーサ27,29を製造する際に、ファンスペーサ27,29の数と同数の弾性体プレート31と、ファンスペーサ27,29の倍数の第1FRPプレート33(或いは第2FRPプレート35)を用意すれば足りる。
【0038】
なお、ジェットエンジン用ファン1の組立作業が終了した後に、ジェットエンジンにジェットエンジン用ファン1を装備した状態の下で、ジェットエンジンの稼働によりファンディスク11を回転させると、複数のファンブレード17をファンディスク11と一体的に回転させて、主流路7及びバイパス流路9に空気を送り込むことができる。
【0039】
以上の如き、本発明の実施の形態によれば、ファンスペーサ27,29を薄くなるように弾性変形させつつ、ダブテール25の頂部とダブテール溝15の底部の間にファンスペーサ27,29を相対的に挿入させることができるため、ダブテール25を対応するダブテール溝15に嵌合させる前に、ダブテール25の頂部又はダブテール溝15の底部にファンスペーサ27,29を固定することなく、換言すれば、ダブテール25を対応するダブテール溝15に嵌合させる前におけるスペーサ固定工程を省略して、ジェットエンジン用ファン1のファン組立てることができる。そのため、工程数の削減によって、ジェットエンジン用ファン1の組立てに要する一連の作業の時間を短くして、作業能率の向上を図ることができる。
【0040】
また、保持窪み37によって前記ダブテール幅方向へ移動しないように前記ファンスペーサを保持するため、ウィンドミル時におけるダブテール25とダブテール溝15のがたつきによる磨耗がほとんど生じなくなる。
【0041】
更に、図2(b)に示すように第1FRPプレート33と第2FRPプレート35は略同一の形状により構成された場合には、ファンスペーサ27,29の表裏が逆になっても、ダブテール25の頂部とダブテール溝15の底部の間にファンスペーサ27,29を相対的に挿入させることができるため、前記一連の作業の作業能率のより一層の向上を図ることができる。また、多数のファンスペーサ27,29を製造する際に、ファンスペーサ27,29の数と同数の弾性体プレート31と、ファンスペーサ27,29の倍数の第1FRPプレート33(或いは第2FRPプレート35)を用意すれば足りるため、ファンスペーサ27,29の製造コストの低下を図ることができる。
【0042】
なお、本発明は、前述の発明の実施の形態の説明に限るものではなく、適宜の変更を行うことにより、種々の態様で実施可能である。
【0043】
【発明の効果】
請求項1から請求項4のうちのいずれかの請求項に記載の発明によれば、前記ファンスペーサを薄くなるように弾性変形させつつ、前記ダブテールの頂部と前記ダブテール溝の底部の間に前記ファンスペーサを相対的に挿入させることができるため、前記ダブテールを対応する前記ダブテール溝に嵌合させる前に、前記ダブテールの頂部又は前記ダブテール溝の底部に前記ファンスペーサを固定することなく、換言すれば、前記ダブテールを対応する前記ダブテール溝に嵌合させる前におけるスペーサ固定工程を省略して、前記ジェットエンジン用ファンのファン組立てることができる。そのため、工程数の削減によって、前記ジェットエンジン用ファンの組立てに要する一連の作業の時間を短くして、作業能率の向上を図ることができる。
【0044】
請求項2に記載の発明によれば、前述の効果の他に、前記保持窪みによって前記ダブテール幅方向へ移動しないように前記ファンスペーサを保持するため、ウィンドミル時における前記ダブテールと前記ダブテール溝のがたつきによる磨耗がほとんど生じなくなる。
【0045】
請求項4に記載の発明によれば、前述の効果の他に、前記ファンスペーサの表裏が逆になっても、前記ダブテールの頂部と前記ダブテール溝の底部の間に前記ファンスペーサを相対的に挿入させることができるため、前記一連の作業の作業能率のより一層の向上を図ることができる。
【0046】
また、多数の前記ファンスペーサを製造する際に、前記ファンスペーサの数と同数の前記弾性体プレートと、前記ファンスペーサの倍数の前記第1FRPプレート(或いは前記第2FRPプレート)を用意すれば足りるため、前記ファンスペーサの製造コストの低下を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図4におけるI部の拡大図である。
【図2】ダブテールとダブテール溝の間にファンスペーサを介在させた状態を示す図である。
【図3】図4におけるI-I線に沿った図である。
【図4】本発明の実施の形態係わるジェットエンジンの前部の断面図であって、下半分を省略している。
【符号の説明】
1 ジェットエンジン用ファン
3 第1エンジンケース
5 第2エンジンケース
7 主流路
9 バイパス流路
11 ファンディスク
15 ダブテール溝
17 ファンブレード
25 ダブテール
27 フロントファンスペーサ
29 リアファンスペーサ
31 弾性体プレート
33 第1FRPプレート
35 第2FRPプレート
37 保持窪み
Claims (4)
- ジェットエンジンにおけるエンジンケースの内側に空気を送り込むジェットエンジン用ファンにおいて、
前記エンジンケースに回転可能に設けられ、外周部に複数のダブテール溝が等間隔に形成されたファンディスクと、
前記ファンディスクの外周部に等間隔に設けられ、ハブ側に対応する前記ダブテール溝に嵌合可能なダブテールがそれぞれ形成された複数のファンブレードと、
各ダブテールの頂部と対応する前記ダブテール溝の底部との間にそれぞれ介在され、厚み方向へゴム状に弾性変形可能な弾性体より構成された弾性体プレートと、前記弾性体プレートの表側に固定されかつFRPにより構成された第1FRPプレートと、前記弾性体プレートの裏側に固定されかつFRPにより構成された第2FRPプレートとからそれぞれなるファンスペーサと、
を具備してなることを特徴とするジェットエンジン用ファン。 - 各ダブテールの頂部又は各ダブテール溝の底部に、前記ダブテール溝のダブテール幅方向へ移動しないように前記ファンスペーサを保持する保持窪みがそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1に記載のジェットエンジン用ファン。
- ジェットエンジン用ファンにおけるファンブレードのダブテールの頂部とファンディスクのダブテール溝の底部との間に介在されるファンスペーサにおいて、
厚み方向へゴム状に弾性変形可能な弾性体より構成された弾性体プレートと、
前記弾性体プレートの表側に固定されかつFRPにより構成された第1FRPプレートと、
前記弾性体プレートの裏側に固定されかつFRPにより構成された第2FRPプレートと、
からなることを特徴とするファンスペーサ。 - 前記第1FRPプレートと前記第2FRPプレートは略同一の形状により構成されていることを特徴とする請求項3に記載のファンスペーサ。
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