JP4350995B2 - 炭素多孔体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、炭素多孔体の製造方法に関するもので、詳しくは、高い強度と設計形状に対する忠実な再現性を有するとともに炭素結晶性状の設定が自由な炭素多孔体の製造方法に関するものである。
周知のように炭素多孔体とは、炭素成分が3次元網目構造を形成してなる多孔体である。この炭素多孔体は、多孔性であることから軽量であり、炭素密度を高めれば、高い力学特性を持つことが可能であり、炭素が素材であるために耐熱性、耐薬品性にも優れており、多孔性ゆえのガスや液体に対する吸収性、吸着性、透過性にも優れた素材であり、広範な工業的利用が期待されている物質である。この多孔体を構成している炭素のマクロ構造は、前述のように3次元網目構造であるが、その構成炭素の構造としては、アモルファス構造や高結晶性構造(グラファイト構造)に制御できる可能性もあり、さらに電気的、電子的工業分野への様々な応用も期待されている。
従来、かかる炭素多孔体を製造する方法としては、フェノール、ウレタン等の樹脂フォーム(発泡体)を焼成して作成する方法が旧知であるが、これらの方法では、一般に樹脂の炭化収率が低いために、得られる炭素多孔体は、焼成により出発物質が有していた3次元網目構造が極めて大きな容積収縮を起こした状態の構造体となってしまい、しかも強度がでない欠点があった。このような欠点を改良した方法として、ウレタンフォーム等の樹脂フォームに炭素源とするフラン等の樹脂を浸透させ、それを焼成することで炭素密度の高い炭素多孔体を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。しかし、これらの方法では、含浸物として使用の有機物質の炭素骨格形状や炭素密度が不十分であるために、焼成後の強度が脆弱で使用に耐えず、焼成収縮率も大きく、焼成後の寸法精度に劣るという欠点を有していた。
これに対し、フラン樹脂などの液状有機物質に加えてカーボンブラックなどの無機物質を添加した複合炭素組成物を炭素源として、樹脂フォームに含浸させ、それによって、含浸樹脂フォームの炭素密度を高め、その炭素密度を向上させた含浸フォーム(含浸複合体)を硬化させ、続いて焼成することで、強度に優れ、寸法精度の良い炭素多孔体を得る方法が提案されている(特許文献2、3)。しかしながら、この方法では、カーボンブラックを液状有機物質に配合するための工程が新たに必要となる欠点、さらに、カーボンブラックからなる粒子状物の粒径よりも樹脂フォームのセル(孔空間:気泡)が大きく開口していなければならず、それによって、3次元網目構造体の孔径の微細化に制限が設けられることになり、セル径(各気泡の径寸法)を微細にした緻密な炭素多孔体を製造し難く、さらに出来上がった炭素多孔体を構成する炭素組成はアモルファス構造に偏っており、炭素組成に結晶性を持たすことができないという欠点がある。
また、樹脂フォームへの含浸炭素源としてポリカルボジイミド樹脂を用いることによって、寸法安定性および強度が共に優れた炭素多孔体を得る方法が提案されている(特許文献4)。しかしながら、この炭素源とするポリカルボジイミド樹脂は非晶質であるため、その樹脂を焼成してなる炭素構造体は結晶質を獲得することができない。したがって、この発明の炭素多孔体は、寸法安定性および強度の優れたものであったとしても、高い結晶性を得ることはできず、その応用用途を拡大することができない。
そこで、炭素源として、非晶性炭素構造体にも結晶性炭素構造体にも変化させることができる樹脂材料として好適なものを検討してみると、炭素骨格の配向性に優れたポリイミド樹脂が有力であることが公知である。例えば、特許文献5に記載のように、ポリイミドフィルムを不活性ガス中で徐々に昇温して焼成することによって、柔軟性、強靱性に富み、熱伝導性に優れたグラファイトシートを得ることができる。したがって、このポリイミド樹脂を樹脂フォームに含浸させて、焼成すれば、高い結晶性を有する炭素多孔体を得ることが可能であると推測できる。しかしながら、ポリイミドは、周知のように、ガラス転移温度が高く、しかもあらゆる溶媒に不溶であるために溶液とすることが難しい樹脂である。そのため、ポリイミドを樹脂フォームに含浸させることができない。樹脂フォームに含浸させることができなければ、焼成して高結晶性の炭素構造体にすることはできたとしても、3次元網目構造体に成形することができない。すなわち、従来の技術では、3次元網目構造を実現する型材として樹脂フォームを用いるとともに炭素源としてポリイミド樹脂を使用して、炭素多孔体を作製することは困難であった。
特公昭53−7536号公報 特開昭59−146917号公報 特開平8−48509号公報 特開平6−32677号公報 特開2000−247619号公報
本発明は、前記従来の事情に鑑みてなされたもので、3次元網目構造を実現する型材として樹脂フォームを用いるとともに炭素源としてポリイミド樹脂を使用して得た優れた特性の炭素多孔体を作製することのできる炭素多孔体の製造方法を提供することを、その課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために、まず第1に、多孔性である樹脂フォームの隅々にまでポリイミド樹脂を被覆させ得る方法について、鋭意研究を進めた。その結果、直にポリイミド樹脂を樹脂フォームに含浸させることは、前述のように、困難であるので、溶液化が比較的容易なポリイミド前駆体を樹脂フォームに含浸させておき、含浸後、脱水化反応によりポリイミド化すれば、結果的にポリイミド樹脂を樹脂フォームに含浸させた状態にできることの見通しを得た。しかし、実際に試作をしてみると、ポリイミド前駆体の樹脂フォームへの含浸は可能であるものの、その後のポリイミド化工程において、3次元網目構造を維持することが困難であることが判明した。そこで、本発明者等は、ポリイミド前駆体を含浸させた樹脂フォームを形成し、この含浸樹脂フォームのポリイミド化を行うための加熱処理工程を様々な条件下に設定して、丹念な実験、検討を重ねたところ、下記のような知見を得るに至った。
図1のグラフは、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸、樹脂フォームとして用いるウレタンフォーム、ポリイミド含浸ポリウレタンフォーム、ポリイミドのそれぞれの昇温処理に伴う分解減量曲線を示したものである。グラフの横軸には加熱温度として0℃〜700℃までが目盛られている。一方、グラフの縦軸には熱重量分析(ThermoGravimetric Analysis:TGA)により求めた加熱開始時の各物質の存在量を100%として示した重量率が目盛られている。
図1に示すように、ポリアミック酸を昇温していくと、約100℃から脱水イミド化が始まり、さらなる昇温に伴ってイミド化が進行し、200〜250℃でイミド化が終了する。一方、樹脂フォームとして用いるウレタン樹脂は、200℃程度までは安定で、350℃程度で半分量が分解し、540℃近辺で全量の分解が終了する。このウレタン樹脂の分解曲線から明らかなように、200℃強までの温度では、ほとんど分解が進行しないで済む。前述のポリアミック酸のイミド化終了温度235℃では、ウレタン樹脂の分解はある程度進行している。また、ポリイミドは、前述のポリウレタンの分解が終了する温度540℃に近い500℃当たりから分解が始まり、620℃で分解が終了する。
上述のTGAの測定結果から、ウレタン樹脂フォームの内外全空間にポリイミド樹脂を充填した状態のポリイミド含浸ウレタン樹脂フォームを当初の3次元網目構造を維持したままで得るためには、昇温を一定速度で一律に行っては駄目であり、ステップ状に昇温しなければならないことが分かる。この点を詳しく述べると、ウレタン樹脂フォームにポリアミック酸を含浸させた後、含浸樹脂フォームを100℃〜200℃の範囲の適当な温度に所定時間維持することが重要である。100℃〜200℃の範囲の温度というのは、ポリアミック酸がイミド化するに適する温度範囲であり、かつウレタン樹脂の分解が本格的に始まらない温度範囲を意味している。前記所定時間とは、前記100℃〜200℃の温度範囲に置いた樹脂フォームに含浸しているポリアミック酸のほぼ全体量がイミド化するまでに要する時間である。このような温度、時間を設定したイミド化工程を経ることによって、初めて元の樹脂フォームが有していた3次元網目構造を収縮、変形させることなく、結果的にポリイミド樹脂が充分に含浸した状態の樹脂フォームが得られることになる。
ちなみに、前記ポリイミド含浸樹脂フォームを熱重量分析にかけて見ると、図1のグラフに示すように、前述のポリイミド単独の曲線と、ウレタン樹脂単独の曲線との中間の重量減少挙動を示すことが分かる。
上述のように、ポリイミド樹脂が含浸した状態のウレタン樹脂フォーム(フォーム・ポリイミド・コンポジット)が得られたならば、低酸素不活性雰囲気下で高温度焼成処理すればよい。その結果、樹脂3次元網目構造体は、その3次元網目構造を維持したまま、炭素化されることになる。このようにして得られた炭素多孔体は、炭素源であるポリイミドの炭素骨格の優れた配向性を反映した炭素配向性に優れた構造を有することになる。さらには、使用するポリイミド前駆体の種類を適切に選ぶことにより、炭素構造をアモルファス構造にすることも可能である。すなわち、ポリイミド含浸樹脂フォーム(フォーム・ポリイミド・コンポジット)を得ることができれば、結晶性、非晶質性のどちらへも突出した構造の炭素多孔体を自在に得ることが可能になる。しかも、この炭素多孔体は、その炭素源が炭素密度および炭素配向性に優れたポリイミドであるため、高い強度、すぐれた寸法安定性を持つことができる。
本発明は、上述の知見に基づいてなされたもので、本発明に係る炭素多孔体の製造方法は、連続気泡性のメラミン樹脂フォームまたはポリエステル系ポリウレタンフォームのいずれかの熱硬化性樹脂フォームに、芳香族酸無水物と芳香族ジアミンの反応により得られたポリアミック酸を含浸させ、前記熱硬化性樹脂の熱分解が促進される温度以下で前記含浸樹脂を脱水イミド化して、前記熱硬化性樹脂フォームの内外空間に連続的にポリイミド樹脂を存在させ、その後、前記ポリイミド樹脂を炭化することにより炭素多孔体を得ることを特徴とする。
また、本発明に係る炭素多孔体の製造方法において、前記脱水イミド化は100℃〜200℃の温度範囲で行うことが好ましい。
なお、本発明における熱硬化性樹脂フォームの連続気泡性とは、熱硬化性樹脂フォームが有するセル(気泡)の全てが連通していることを意味するのではなく、少なくとも一部が連通していることを意味しており、樹脂フォーム中に独立気泡が存在していても良い。良いと言うよりも、樹脂フォーム中の連続気泡の割合と独立気泡の割合とを適宜に制御することによって、本発明において最終的に得られる炭素多孔体の通気性を様々に設定することが可能になるので、連続気泡と独立気泡とが混在している状態は、好適であるとも言えることになる。もちろん、ほぼ完全に近い程に連続気泡からなる熱硬化性樹脂フォームも、本発明において有用な熱硬化性樹脂フォームである。
前記構成を特徴とする本発明によれば、以下のような効果を得ることができる。
(i) ポリイミド樹脂はその原料を選ぶことによって、結晶性を制御することができ、異なる結晶性のポリイミドからは、それぞれ、アモルファスカーボン多孔体も、グラファイト多孔体も作り得る。従って、本発明によれば、導電性、熱伝導性の高い炭素多孔体を容易に得ることができる。
(ii) 樹脂フォームとして用いる「連続気泡性で熱硬化性樹脂発泡体」のセルサイズや通気性(樹脂フォーム中の連続気泡と独立気泡の存在割合に依存)を可変することにより、得られる炭素多孔体のセルサイズや通気性を制御することができる。このように製造する炭素多孔体の気孔制御ができることにより、フィルタ、触媒担持体、放熱材などの用途に用いた場合に、その用途に最適化した気孔を持った製品を容易に提供できることになる。
(iii) また、炭素源として用いるポリイミドは、焼成による収縮が小さいため、焼成前後の3次元網目構造の形状保持性に優れる。したがって、例えば、樹脂フォームを予めモールド成形するか、切断加工成形した後、ポリイミド前駆体を含浸させて炭素多孔体を得ることで、設計通りの形状の炭素製品を容易に提供することができる。加工性の悪い炭素材料を切削などで加工しないで、炭素成形品が得られることの実際の利益は、当該製品の提供において、品質の向上、製造コストの低減、多品種少量生産の実現など実に広範囲な影響がもたらし得る。
(iv) 本発明において樹脂フォームとしてメラミン樹脂フォームやポリエステル系のウレタンフォームを用いることにより、ポリイミド前駆体の含浸工程も容易であり、焼成後の炭化物が極めて少ないため、ポリイミドからの良質な炭素材料をほぼ純粋に得ることができる。
以下に、本発明の実施形態について説明する。
本発明で用いるポリイミド前駆体樹脂としては、芳香族酸無水物と芳香族ジアミンの反応により得られたポリアミック酸やそのエステルが好適である。このような芳香族酸二無水物と芳香族ジアミンからなるポリイミドは、焼成すると、極めて炭素収率が高く、かつ性能の良い炭素材を与えることができる。前記酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)などが例示できる。ジアミンとしては、オキシジアニリン(ODA)、パラフェニレンジアミン(PPD)、ジアミノベンゾフェノン(DAB)などが例示できる。これらの酸二無水物とジアミンはジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルフォルムアミド(DMF)、ジメチルスルフォキシド(DMSO)など溶媒を用いて合成される。このような炭素化するに好ましいポリイミド前駆体の種類や調整条件については、Chemistry and Physics Carbon Vol. 26 Marcel Dekker, Inc. 1999 P. 245 に詳述されている。
本発明の「連続気泡性の熱硬化性樹脂フォーム」としては、ポリウレタンフォーム、ゴムスポンジ、フェノール樹脂フォーム、メラミン樹脂フォームなど、さらに、ポリエチレン樹脂フォーム、ポリプロピレン樹脂フォーム、酢酸ビニル樹脂フォームなどの熱可塑性オレフィン樹脂を用いたフォームでも架橋が成されているフォームであれば、用いることができる。これらの樹脂フォームは、焼成した後に、炭化するか消失してしまうものが好ましい。特に、焼成した時に消失する割合の高いフォームとしては、ポリウレタンフォーム、メラミン樹脂フォーム、オレフィン樹脂フォームが通気性、セル構造を制御し易いため、好ましい。これらの中で、ポリウレタンフォームとメラミン樹脂フォームが熱硬化性であり、ポリイミド前駆体溶液中の溶媒に溶解したり、変形したりしないので、特に好ましい。
前記ポリウレタンフォームとしては、ポリオールの種類によりエーテル系、エステル系、ブタジエン系、オレフィン系、ひまし油系、カーボネート系などがある。この中でエーテル系とエステル系が、フォームのセル径、発泡倍率設定の自由度が高く、好ましく使用し得る。さらに、エステル系は、含浸時に使用する溶剤に侵されにくく、含浸作業が行いやすく、かつ焼成した時に消失割合が高いので、好ましい。
ここで用いるメラミン樹脂フォームは、メラミンとホルムアルデヒドの反応中間体に発泡剤、酸触媒、整泡剤などを添加し、マイクロウェーブ等を用いて、一気に加熱し、急激な発泡反応でセル(気泡)を連通化して得られる連続気泡性の発泡体である。この発泡体は、連泡性のため、ポリイミド前駆体溶液を含浸させた場合の含浸性が良好で、かつ溶液に使用している溶媒に膨潤しにくいため、含浸作業、乾燥作業、焼成作業などの扱い性がよく、目的の形状を得やすい特徴がある。
このように、通気性の高い樹脂発泡体を用いることによって、ポリイミド前駆体溶液を充分に含浸させることができ、単位体積当たりの炭素量の多い3次元網目構造の炭素多孔体を得ることができる。しかし、場合によっては、通気性の低い樹脂発泡体を用いることもある。例えば、通気性の極めて低いウレタンフォームを含浸用に用いると、ポリイミド前駆体溶液がフォーム内部まで含浸しないことがあり、これを焼成すると、中空構造の水に浮かぶ炭素多孔体が得られるなど、型材としての樹脂フォームの工夫により、種々の構造の炭素多孔体が得られる利点がある。
本発明の炭素多孔体の製造において重要なことは、先に図1を参照して説明したように、ポリイミド前駆体樹脂の脱水イミド化を、熱硬化性樹脂の熱分解が促進される温度以下で、イミド化が完了するまで行うことが必要である点にある。このように処理することによって、樹脂フォームによって設定した3次元網目構造を失うことなく、ポリイミドの樹脂フォームへの含浸状態を実現できる。
前記ポリイミド前駆体樹脂を樹脂フォームに含浸するには、フォーム体を樹脂溶液中に浸漬し、圧縮・復元を繰り返し、含浸量は圧縮度で調整する。なお、フォーム体を樹脂溶液中に浸漬し、減圧にすることで、容易に含浸が可能となり、この場合、フォーム体が可撓性のない硬質のものでも含浸させることができる。含浸後、溶媒を加熱除去し、高温にて脱水反応を行い、フォーム・ポリイミド・コンポジットを得る。このイミド化段階での加熱温度は、前述のように、イミド化が可能で、かつ樹脂フォームの分解が促進されない温度範囲、例えば、ポリウレタンフォームでは100℃〜200℃が好ましい。加熱脱水反応は減圧下で行うことも好ましい。また、ピリジンなどの触媒を添加することや、脱水剤を併用することもできる。
前述のようにイミド化処理によって得られたフォーム・ポリイミド・コンポジットは、続いて焼成処理を施して、炭素多孔体とする。焼成処理は不活性ガスあるいは真空中で行う。焼成温度は500℃以上で行う。好ましくは、1000℃以上とし、グラファイト化するためには3000℃程度まで高温処理を行うこともある。さらに、水蒸気や一酸化炭素による賦活や、酸化条件下で処理することで表面処理することもできる。さらにまた、得られた炭素多孔体に、触媒担体として、アナターゼ型の酸化チタンを担持させて、炭素による吸着と酸化チタンによる光触媒効果で、有害物の処理を効果的に行うことも可能になる。
本発明の炭素多孔体は、炭素でできた連続した微細孔を多数有する3次元構造体であるので、触媒担体、フィルターなど有害ガスの分解用に使用でき、またガスの吸着剤、熱絶縁材、電波吸収体、放熱材等に好適に使用できる。
以下、本発明の実施例を示す。以下に示す実施例は、本発明を好適に説明する例示に過ぎず、本発明をなんら限定するものではない。
(ポリイミド前駆体の合成)
再結晶により精製されたピロメリット酸無水物と4,4−ジアミノジフェニルエーテルの当モルとを、N,N’−ジメチルアセトアミドに溶解し、この溶液に20℃環境下で3時間乾燥窒素を通過させながら、前記2成分の反応を継続し、ポリアミック酸の10%溶液(A液)を得た。
(含浸に用いた連続気泡性の熱硬化性樹脂フォーム)
(i) ウレタンフォームES1
アジピン酸とジエチレングリコールと少量のトリメチロールプロパンより得られたアジピン酸系ポリエステルポリオールと、ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)と、発泡剤としての水と、少量の触媒と、整泡剤とを用いて、発泡して得られたウレタンフォームである。このウレタンフォームの密度は0.13g/cm3であり、通気度は0.1ml/cm2/secであった。
(ii) ウレタンフォームES2
前記ウレタンフォームES1と同様のアジピン酸系ポリエステルポリオールとトリレンジイソシアナート(TDI)と、発泡剤としての水と、少量の触媒と、整泡剤とを用いて合成し、発泡して得られたウレタンフォームを、水素ガスを用いた爆発法にてセル膜を除去し、密度0.06g/cm3で、通気度100ml/cm2/secの高通気性フォームを得た。
(iii) メラミンフォームMF
メラミンとホルムアルデヒドから得られたメチロールメラミンと、フッ素系発泡剤と、酸触媒と、整泡剤とを用いて合成し、より高温にて発泡したメラミンフォームである。このメラミンフォームの密度は0.008g/cm3であり、通気度は100ml/cm2/secであった。
なお、前記通気度の測定は、JISK6400 A法に従い、試験片厚み10mmに対して行ったものである。
(実施例1〜3)
前述の含浸用樹脂フォームES1、ES2、およびMFを、前記ポリアミック酸溶液(A液)中に浸漬し、1時間放置した。その後、前記3種類の含浸フォームを取出し、それぞれ、60℃で10時間乾燥し、その後、200℃で20時間かけて脱水イミド化し、3次元多孔性樹脂フォームの内外全空間をポリイミドで充填した構造のフォーム・ポリイミド・コンポジットを得た。
次に、これらのフォーム・ポリイミド・コンポジットを1000℃、1時間、アルゴン雰囲気下で焼成し、3種類の炭素フォーム(炭素多孔体)を得た。得られた炭素フォームは含浸に用いたフォームと全く相似形状で通気性のあるもので、強度も[表1]に示すように極めて高かった。
図2は、左から含浸用フォーム(ES1)、フォーム・ポリイミド・コンポジット、炭素フォームの順に並べた走査型電子顕微鏡(SEM)による組織写真である。各SEM写真の比較から、元の樹脂フォームのセル状態(各気泡の立体構造)がかなり忠実に反映された炭素フォーム(炭素多孔体)が得られていることがわかる。
Figure 0004350995
(比較例1)
アジピン酸系ポリエステルとして2官能のポリエステルポリオールと、イソシアナートとしてMDIと、発泡剤として水と、その他触媒と、整泡剤とから、ポリウレタンフォームを得た。このポリウレタンフォームの密度は0.12g/cm3であり、通気度は0.1ml/cm2/secであった。
上記ポリウレタンフォームに、実施例1と全く同様に、A液を含浸させ、乾燥、ポリイミド化を試みた。しかし、このポリイミド化の工程で、フォーム・ポリイミド・コンポジットの形が崩れ、分解してしまった。これは、ポリウレタンフォームが熱可塑性であったため、コンポジット体を形成するに至らなかったためと、考えられた。
(比較例2)
グリセリンにプロピレンオキサイドを付加して得られた分子量3000のポリエーテルポリオールと、トルエンジイソシアナートと、発泡剤として水と、その他触媒と、整泡剤とから、エーテル系ポリウレタンフォームを得た。このフォームの密度は0.03g/cm 3 であり、通気度は30ml/cm 2 /secであった。この樹脂フォームに、実施例1と全く同様に、A液を含浸させ、得られた含浸フォームを乾燥し、200℃でポリイミド化後、1000℃で焼成して、炭素フォームを作製した。得られた炭素フォームは、形状は全く崩れ、ぼろぼろとなっており、取扱うことができなかった。
(実施例
実施例1の炭素フォームを、空気下、400℃で、1時間処理し、その気孔を成長させた。この気孔成長処理後の炭素フォームの水分吸収・脱水状況を、図3のグラフに示すように、窒素雰囲気で200℃と空気雰囲気下の室温との間を変動させた時の重量変化を測定することにより、評価したところ、水分の吸脱応答が極めて早く、かつ可逆性のあることが見出された。すなわち、本発明の炭素フォーム(炭素多孔体)が高い吸着性を有することが確認された。
(実施例
実施例1の炭素フォームをアルゴン雰囲気下、3000℃で20分処理を行った。この熱処理後の炭素フォーム(炭素多孔体)を構成している結晶粒の粒径は30nmであり、各結晶粒には(002)格子面が存在し、その面間隔d002が0.336nmであることが、測定により判明した。すなわち、各結晶粒はグラファイト構造をもっていることが確認された。したがって、この実施例の炭素多孔体は、導電性を要する用途や、耐熱性を要する用途に好適に適用することができる。
(実施例
前述の含浸用樹脂フォームES1と同一組成のウレタンフォームであるが、通気度の極めて低い樹脂フォームに、A液を含浸させ、実施例1と同様な方法で焼成し、水に浮く炭素多孔体を得た。この炭素多孔体は、その型材である樹脂フォームの通気度が極めて低いために、A液が表面および表面から浅い部分までにしか浸透せず、その結果、中空の炭素多孔体となったものと推測された。この炭素多孔体の寸法は、10×10×2mmであった。
この炭素多孔体をオキシ硫酸チタネート(TiOSO4)の水溶液(0.1モル/L)に浸し、ステンレス容器中で、180℃、5時間、水熱処理することで、アナターゼ(anatase:鋭錐石)微結晶を3.2%担持させた。図4に、この「酸化チタンを担持させた炭素多孔体」の走査型電子顕微鏡による組織写真を示す。アナターゼ担持多孔体をメチレンブルーの水溶液(2.94×10-5モル/L)中に入れ、紫外線(10Wパワー)照射下での分解挙動を追跡した。メチレンブルー濃度の変化は、650nmの吸光度(Absorbance)変化で追跡した。その結果を図5に示す。図に見るように、メチレンブルー濃度は暗所ではほとんど変化がなく、吸着は微少量であることが分かる。そして、紫外線を照射することによって、メチレンブルーの吸光度が急激に低下しており、光分解が進んだことが見て取れる。このように、本実施例の炭素多孔体は水中の有害物の吸着および分解に適用できることが理解される。
以上説明したように、本発明にかかる炭素多孔体は、炭素でできた連続した微細孔を多数有する3次元構造体であるので、触媒担体、フィルターなど有害ガスの分解用に使用でき、また、ガスの吸着剤、熱絶縁材、電波吸収体、放熱材、さらには、導電性を要する用途や、耐熱性を要する用途、その他、多種多様な工業材料として好適に使用することができる。
本発明の炭素多孔体を得るために用いる材料物質の熱重量分析結果をプロットしたグラフを示す図である。 本発明の実施例1〜3を説明するためのもので、樹脂フォーム、該樹脂フォームにポリイミドを含浸させたコンポジット、および該コンポジットを炭化して得られた炭素多孔体のそれぞれの走査型電子顕微鏡による組織写真を並べて示した図である。 本発明の実施例で得られた炭素多孔体の吸水・脱水応答特性を測定した結果をプロットしたグラフを示す図である。 本発明の実施例で得た、酸化チタン(アナターゼ)を担持した炭素多孔体の走査型電子顕微鏡写真であり、3通りの倍率で写したもの並べて表示した図である。 本発明の実施例で得た酸化チタン担持炭素多孔体によるメチレンブルーの吸着、分解特性を示すグラフを表す図である。

Claims (3)

  1. 連続気泡性のメラミン樹脂フォームまたはポリエステル系ポリウレタンフォームのいずれかの熱硬化性樹脂フォームに、芳香族酸無水物と芳香族ジアミンの反応により得られたポリアミック酸を含浸させ、前記熱硬化性樹脂の熱分解が促進される温度以下で前記含浸樹脂を脱水イミド化して、前記熱硬化性樹脂フォームの内外空間に連続的にポリイミド樹脂を存在させ、その後、前記ポリイミド樹脂を炭化することにより炭素多孔体を得ることを特徴とする炭素多孔体の製造方法。
  2. 前記脱水イミド化を100℃〜200℃の温度範囲にて行うことを特徴とする請求項1に記載の炭素多孔体の製造方法。
  3. 前記ポリイミド樹脂の炭化を500℃以上で行うことを特徴とする請求項1または2に記載の炭素多孔体の製造方法。
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