JP2012087011A - グラファイトナノリボンおよびその製造方法 - Google Patents

グラファイトナノリボンおよびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2012087011A
JP2012087011A JP2010235412A JP2010235412A JP2012087011A JP 2012087011 A JP2012087011 A JP 2012087011A JP 2010235412 A JP2010235412 A JP 2010235412A JP 2010235412 A JP2010235412 A JP 2010235412A JP 2012087011 A JP2012087011 A JP 2012087011A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
graphite
width
thickness
polyimide
nanoribbon
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2010235412A
Other languages
English (en)
Inventor
Kanji Wakabayashi
完爾 若林
Hiroaki Arima
弘朗 在間
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kansai Research Institute KRI Inc
Original Assignee
Kansai Research Institute KRI Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kansai Research Institute KRI Inc filed Critical Kansai Research Institute KRI Inc
Priority to JP2010235412A priority Critical patent/JP2012087011A/ja
Publication of JP2012087011A publication Critical patent/JP2012087011A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)

Abstract

【課題】幅および厚みの均一性に優れたグラファイトナノリボンおよびそのようなグラファイトナノリボンを大量生産することが可能な製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明のグラファイトリボンは、ベルト状のグラファイトであって、最小幅の最大幅に対する比が0.8〜1であり、最小厚みの最大厚みに対する比が0.85〜1である。好ましくは、最大幅は5nm〜200nmの範囲内で変動係数0.3以下の平均値を有し、最大厚みは25nm以下の範囲内で変動係数0.2以下の平均値を有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、グラファイトナノリボンおよびその製造方法に関する。
近年、カーボンナノチューブ(CNT)に代表されるナノカーボン材料は、高アスペクト比および高導電性を有する材料として電子材料分野で注目されている。このようなナノカーボン材料の1つとして、一原子層から数原子層のグラファイト薄膜が知られている。このようなグラファイト薄膜は、高導電性と高移動度とを有するので、ナノスケールの配線構造としての応用が検討され、このようなグラファイト薄膜をナノリボン形状に加工したいわゆるグラファイトナノリボンの開発が進められている。
グラファイトナノリボンの製造方法としては、代表的には、CNTを酸化またはエッチングにより切開する方法(例えば、非特許文献1および2)、多環芳香族化合物を特定の基板に蒸着し、当該蒸着した化合物を化学反応により結合する方法(例えば、非特許文献3)が知られている。
ところで、グラファイトナノリボンは、幅を制御することによりバンドギャップを制御することができるので、グラファイトナノリボンの幅を一定範囲内に制御することはきわめて重要である。しかし、非特許文献1および2に記載の製造方法では、原材料のCNT自体に直径の分布があるので、当該CNTを切開して得られるグラファイトナノリボンは幅および厚みの変動が大きい。さらに、CNTの切開は、複雑かつ高度な技術が必要とされるので、大量生産には適していない。さらに、非特許文献3に記載の製造方法では、非特許文献1および2に記載の製造方法に比べて幅が均一なグラファイトナノリボンが得られるが、当該方法は非特許文献1および2に記載の製造方法よりも煩雑であり、大量生産にはまったく適していない。加えて、非特許文献3に記載の製造方法で得られるグラファイトナノリボンも、幅および厚みの均一性についてはいまだ改善の余地がある。
Nature,Vol.458,pp.872−876(2009) Nature,Vol.456,pp.877−880(2009) Nature,Vol.466,pp.470−473(2010)
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、幅および厚みの均一性に優れたグラファイトナノリボンおよびそのようなグラファイトナノリボンを大量生産することが可能な製造方法を提供することにある。
本発明のグラファイトナノリボンは、ベルト状のグラファイトであって、最小幅の最大幅に対する比が0.8〜1であり、最小厚みの最大厚みに対する比が0.85〜1である。
好ましい実施形態においては、上記最大幅は5nm〜200nmの範囲内で変動係数0.3以下の平均値を有し、上記最大厚みは25nm以下の範囲内で変動係数0.2以下の平均値を有する。
好ましい実施形態においては、上記グラファイトナノリボンは、長さが0.05μm〜10μmである。
本発明の別の局面によれば、グラファイトナノリボンの製造方法が提供される。この製造方法は、最小幅の最大幅に対する比が0.6〜1であり、最小厚みの最大厚みに対する比が0.7〜1であり、最大幅が5nm〜250nmの範囲内で変動係数0.35以下の平均値を有し、最大厚みが1〜30nmの範囲内で変動係数0.25以下の平均値を有するベルト状の結晶性ポリイミドをグラファイト化することを含む。
本発明によれば、幅および厚みの均一性に優れたベルト状の結晶性ポリイミドをグラファイト化することにより、幅および厚みの均一性に優れたグラファイトナノリボンを実際に製造することができる。しかも、当該グラファイト化は、高度な技術も複雑な操作も必要とされないので、上記のような特性に優れたグラファイトナノリボンを、簡便かつ安価に、加えて大量生産可能な方式で製造することができる。
本発明の実施例で得られた結晶性ポリイミドの走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。 本発明の実施例で得られた結晶性ポリイミドのX線回折パターンである。 本発明の実施例で得られたカーボンナノリボンの透過型電子顕微鏡(TEM)画像である。 本発明の実施例で得られたカーボンナノリボンのTEM画像である。
A.グラファイトナノリボン
本発明のグラファイトナノリボンは、ベルト状の形態を有するグラファイトであって、幅の均一性および厚みの均一性に非常に優れている。具体的には、当該グラファイトナノリボンの最小幅の最大幅に対する比は0.8〜1であり、好ましくは0.85〜1であり、さらに好ましくは0.9〜1である。また、最小厚みの最大厚みに対する比は、0.85〜1であり、好ましくは0.9〜1であり、さらに好ましくは0.95〜1である。このような幅の均一性および厚みの均一性に非常に優れたグラファイトナノリボンが実際に得られたことが、本発明の成果の1つである。このようなグラファイトナノリボンは、後述のB項に記載のような製造方法により得られ得る。
上記最大幅は、好ましくは5nm〜200nm、より好ましくは7nm〜150nm、さらに好ましくは10nm〜100nmの範囲内で、変動係数が好ましくは0.3以下、より好ましくは0.25以下、さらに好ましくは0.2以下の平均値を有する。また、上記最大厚みは、好ましくは25nm以下、より好ましくは20nm以下、さらに好ましくは15nm以下の範囲内で、変動係数が好ましくは0.2以下、より好ましくは0.18以下、さらに好ましくは0.15以下の平均値を有する。厚みの下限はグラフェンシート1枚分であり得る。なお、本明細書において「変動係数」とは、標準偏差を平均値で割った値である。
上記グラファイトナノリボンの長さは、目的に応じて適切に設定され得る。長さは、好ましくは0.05μm〜10μmであり、さらに好ましくは0.1μm〜5μmである。
上記グラファイトナノリボンは、周知のグラファイト結晶構造を有する。具体的には、グラファイトナノリボンの結晶は、六方晶系に属する層状構造を有し、六角形の網面をなす層が弱いファンデルワールス力により積層されている。積層構造中の層の数は、好ましくは1〜20であり、さらに好ましくは1〜10である。なお、グラファイトを構成するそれぞれの層(単一層)は、グラフェンとも称される。また、上記グラファイトナノリボンの1層(グラフェンシート)を見た場合、その端部形状は好ましくはジグザグ型または安楽椅子型のいずれかである。端部形状は、製造条件を選択することにより制御され得る。
上記グラファイトナノリボンは、上記層の一部に異種元素を含有していてもよい。異種元素としては、例えば、窒素、イオウ、酸素、ケイ素が挙げられる。異種元素の含有量(2種以上を含む場合にはその総量)は、特に限定されない。異種元素の含有量の下限値は、グラファイトナノリボン全体に対して通常0.01重量%程度である。異種元素の含有量の上限値は、グラファイトナノリボン全体に対して通常60重量%程度、好ましくは30重量%程度、より好ましくは10重量%程度である。異種元素の含有量は、グラファイトナノリボン全体に対して、好ましくは0.01重量%〜60重量%程度、さらに好ましくは0.1重量%〜30重量%程度、特に好ましくは1重量%〜10重量%程度である。
上記グラファイトリボンは、上記層間に非金属元素、金属および金属塩の少なくとも1種を含んでいてもよい。非金属元素としては、イオウ、リン、ホウ素などが挙げられる。金属としては、例えば、鉄、コバルト、銅、白金、パラジウム、銀、セシウム、バナジウム、マンガン、ニッケルなどの遷移金属元素、ストロンチウム、ルビジウム、アルミニウム、リチウム、ナトリウム、マグネシウムなどの典型金属元素が挙げられる。金属塩としては、例えば、上記金属のフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物のようなハロゲン化物;アセチルアセトネート塩のような有機塩が挙げられる。
金属および金属塩の含有量(2種以上を含む場合にはその総量)は、特に制限されない。金属および金属塩の含有量の下限値は、グラファイトナノリボン全体に対して通常0.01重量%程度である。金属および金属塩の含有量の上限値は、グラファイトナノリボン全体に対して通常60重量%程度、好ましくは30重量%程度、より好ましくは10重量%程度である。金属および金属塩の含有量は、グラファイトナノリボン全体に対して、好ましくは0.01重量%〜60重量%程度、さらに好ましくは0.1重量%〜30重量%程度、特に好ましくは1重量%〜10重量%程度である。
上記グラファイトナノリボンの巨視的な形態(グラファイトナノリボンが多数凝集して構成されている形態)は、特に限定されない。具体例としては、粉状、薄膜状が挙げられる。薄膜状の形態をとる場合、その厚さは特に限定されず、好ましくは0.3nm〜300μm程度であり、さらに好ましくは5nm〜50μm程度であり、特に好ましくは5nm〜30μm程度である。
B.グラファイトナノリボンの製造方法
本発明のグラファイトナノリボンの製造方法は、最小幅の最大幅に対する比が0.6〜1であり、最小厚みの最大厚みに対する比が0.7〜1であり、最大幅が5nm〜250nmの範囲内で変動係数0.35以下の平均値を有し、最大厚みが1〜30nmの範囲内で変動係数0.25以下の平均値を有するベルト状の結晶性ポリイミドをグラファイト化することを含む。すなわち、本発明のグラファイトナノリボンの製造方法によれば、形状(特に、幅および厚み)が制御された原材料をグラファイト化することにより、上記のような所望の幅および厚みを有し、かつ、幅および厚みの均一性に非常に優れたグラファイトナノリボンを得ることができる。このような結晶性ポリイミドは、例えば、ポリイミド合成時に合成条件を制御することにより結晶化させる方法および合成したポリイミドを任意の適切な方法で配向処理する方法のいずれかにより調製することができる。
B−1.合成による結晶性ポリイミドの調製
本発明のグラファイトナノリボンの製造方法に用いられる結晶性ポリイミドは、好ましくは、下記式(I)で示される化合物(以下、化合物Iとする)を所定の溶媒中で重合(当該化合物を縮合重合)することにより得られ得る。重合生成物(すなわち、上記結晶性ポリイミド)は、好ましくは固体として析出する。結晶性ポリイミドは、好ましくは、下記式(II)で示される繰り返し単位を有する。
式(I)中、XおよびXのうちいずれか一方は水素原子であり、他方は水素原子、アルキル基またはアリール基であり、好ましくはアルキル基である。アルキル基は、炭素数が好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜6個の直鎖状または分岐状のアルキル基であり、具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−へキシル基が挙げられる。アルキル基は、好ましくはメチル基またはエチル基である。アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基が挙げられる。また、Xは水素原子またはアシル基である。アシル基はRCO−(ただし、Rはアルキル基またはアリール基である)として示される。置換基Rとしては、例えば、メチル基、エチル基、フェニル基が挙げられ、好ましくはメチル基である。Xは好ましくは水素原子である。
上記化合物Iは、任意の適切な方法により調製され得る。例えば、Xが水素原子の場合であれば、4−ニトロ無水フタル酸(4−ニトロ−1,2−ベンゼンカルボン酸無水物:4NPAH)にアルコールを付加させることで、4NPAHの5員環を開環させた後、ニトロ基を還元してアミノ基とすればよい。この場合、XおよびXのうちいずれが水素原子となるかにより2種の構造異性体が生じるので、これら2種の構造異性体をそれぞれ分離精製するようにしてもよい。なお、特段問題がなければ(例えば、2種の構造異性体各々によって生成するポリイミドの組織や収率等があまり変わらない場合)、2種の構造異性体を分離精製することなく混合物として用いてもよい。
上記化合物Iを重合させる際に用いられる溶媒としては、化合物Iを溶解可能であり、化合物Iと不要な反応を起こさず、化合物Iの重合条件(例えば、重合温度)下にて安定であり、重合にて生成したポリイミドを固体(例えば、粉体、粒体)として析出させることができるものであれば、任意の適切な溶媒が用いられ得る。より詳細には、当該溶媒は、高沸点の有機溶媒が好ましく、芳香族化合物を含むものであることがさらに好ましい。溶媒の具体例としては、ジイソプロピルナフタレン、ジエチルナフタレン、エチル−イソプロピルナフタレン、シクロヘキシルジフェニル、ジエチルビフェニル、トリエチルビフェニル、ジベンジルトルエンが挙げられる。溶媒は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。特に好ましい溶媒は、ジベンジルトルエンである。
上記結晶性ポリイミドの調製は、好ましくは、上記化合物Iを上記溶媒に完全に溶解する溶解工程と、該溶解工程の後、上記式(II)で示される繰り返し単位を有するポリイミドを溶液中から固体として析出させる析出工程と、を含み得る。より詳細には、溶媒に完全に溶解した(すなわち、溶液状態における)化合物Iの重合により、上記式(II)で示される繰り返し単位を有するポリイミドが溶液から固体で析出する。その作用や機構は明らかではないが、ポリイミドを所定の溶媒中の溶液から固体で析出させることにより、細長い帯状体(ベルト状のポリイミド)が集合した微粒子状のポリイミドを得ることができる。さらに、このようにして得られるポリイミドは、有利なことに、細長い帯状体の形状およびサイズ(特に、幅および厚み)の均一性に非常に優れている。このようなポリイミドを原材料として用いることにより、幅および厚みの均一性に非常に優れた本発明のグラファイトナノリボンを得ることができる。析出工程においては、上記溶液はあまり流動させない方が好ましく、撹拌は行わないことがさらに好ましい。このようにすれば、幅および厚みの均一性に優れた細長い帯状体が集合した微粒子状のポリイミドを得ることができる。
上記化合物Iの重合温度の下限は、好ましくは240℃以上であり、より好ましくは260℃以上であり、最も好ましくは280℃以上である。一方、上限は、好ましくは350℃以下であり、より好ましくは340℃以下であり、最も好ましくは330℃以下である。重合温度がこのような範囲であれば、化合物Iおよび/または溶媒の熱分解を生じさせることなく、適切な重合時間でポリイミドを得ることができる。
上記化合物Iの重合時間の下限は、好ましくは1時間以上であり、より好ましくは2時間以上であり、最も好ましくは3時間以上である。一方、上限は、好ましくは48時間以下であり、より好ましくは36時間以下であり、最も好ましくは24時間以下である。重合時間が短すぎると、重合反応がうまく進まず十分なポリイミドを得ることができない場合がある。重合時間が長すぎても得られるポリイミド量はあまり増加しないので、経済的に不利である。
重合の際の溶液中の化合物Iの濃度は、溶媒1ml中の重量(g/ml)として、好ましくは0.5〜12.0であり、より好ましくは0.8〜11.0であり、さらに好ましくは1.0〜10.0である。濃度が高すぎると、得られるポリイミドの形状を十分に制御できない場合がある。濃度が低すぎると、ポリイミドが十分に析出しない場合がある。
本発明においては、得られるポリイミドのサイズ(細長い帯状体の幅、厚みおよび長さ)は、好ましくは、得られるグラファイトナノリボンのサイズに対応する。例えば、得られるポリイミドは、最小幅の最大幅に対する比が好ましくは0.6〜1であり、より好ましくは0.7〜1であり、さらに好ましくは0.8〜1であり、最小厚みの最大厚みに対する比が好ましくは0.7〜1であり、より好ましくは0.8〜1であり、さらに好ましくは0.9〜1である。上記最大幅は、好ましくは5nm〜250nm、より好ましくは10nm〜200nm、さらに好ましくは15nm〜150nmの範囲内で変動係数が好ましくは0.35以下、より好ましくは0.3以下、さらに好ましくは0.25以下の平均値を有し、上記最大厚みは好ましくは1〜30nm、より好ましくは2nm〜25nm、さらに好ましくは5nm〜20nmの範囲内で変動係数が好ましくは0.25以下、より好ましくは0.2以下、さらに好ましくは0.17以下の平均値を有する。得られるポリイミドの幅および/または厚みは、重合の際の熱力学的環境を調整することにより制御され得る。例えば、得られるポリイミドの幅および/または厚みは、重合の際の溶媒中に貧溶媒を用いることで減少させることができる。すなわち、より貧溶媒中で重合することで、析出するポリイミドの過飽和度が増大し、小さな結晶核が多数生成することで、幅および/または厚みが減少し得る。
なお、合成による結晶性ポリイミドの調製については、その詳細が特開2008−274103号公報に記載されており、当該記載は本明細書に参考として援用される。
本発明のグラファイトナノリボンの製造に用いられるポリイミドの長さは、好ましくは0.05μm〜15μmであり、さらに好ましくは0.1μm〜7μmである。長さは、例えば、ポリイミドの結晶成長を継続させるような条件を採用すれば増加する(具体的には、モノマーやオリゴマーを重合系(上記溶媒)内に添加して結晶成長を継続させるようにしてもよい)。
上記細長い帯状体(ベルト状ポリイミド)が集合した微粒子の直径は、好ましくは0.1μm〜100μmであり、より好ましくは0.5μm〜50μmであり、さらに好ましくは1μm〜10μmである。
グラファイトナノリボンの製造に用いられるポリイミドは、結晶性であり、好ましくは高結晶性である。通常、ポリイミドの結晶性は、示差熱分析(DSC)の融解エンタルピーから算出、または完全アモルファス状のサンプルを作製してX線回折強度から算出することが行われているが、溶融しないポリイミドはどちらの方法も適用できない。こうしたポリイミドの結晶性を評価する方法として、X線回折におけるピークを用いた結晶子の大きさから評価する方法がある。この方法では、以下の式により結晶子の大きさを算出することができる。
この式によると、半値幅が小さい程、結晶子が大きく、結晶性が高いことがわかる。本明細書においては、上記結晶子の大きさを算出する方法により結晶性を評価する方法を採用し、任意の結晶面における回折ピークの半値幅により結晶性を規定する。これは、実際の結晶子の大きさを算出する場合、半値幅は測定装置による誤差を考慮して補正される必要があるためである。以上より、本発明のグラファイトナノリボンの製造に用いられ得るポリイミドは、配向処理をしない場合、任意の回折ピークの半値幅が好ましくは2°以下、より好ましくは1.5°以下、さらに好ましくは1°以下である。配向処理をした場合、(00l)面の回折ピークの半値幅が好ましくは2°以下、より好ましくは1.5°以下、さらに好ましくは1°以下である。ポリイミドが上記のような回折ピークの半値幅を有することにより、後述のグラファイト化が可能となる。
B−2.結晶性ポリイミドのグラファイト化
上記結晶性ポリイミドは、任意の適切な方法によりグラファイト化され得る。結晶性ポリイミドをグラファイト化する方法としては、例えば、結晶性ポリイミドに光(例えば、レーザー光)、X線、電子線、プラズマおよび/またはイオンビームを照射する方法、結晶性ポリイミドを加熱処理する方法、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
上記光を照射する方法においては、好ましくはレーザー光が使用され得る。レーザー光の波長は好ましくは300nm〜1200nm程度、好ましくは400nm〜800nm程度であり、出力は好ましくは0.1mJ/cm〜10mJ/cm程度、0.5mJ/cm〜5mJ/cm程度である。レーザー光の種類は、特に限定されない。例えば、Nd:YAGレーザー、Ti:Saレーザー、Dyeレーザー、Dye+SHGレーザー、Ar+レーザー、Kr+レーザーが挙げられる。
上記電子線を照射する方法においては、電子線照射は、好ましくは10−2〜10−7torr程度の減圧下にて、好ましくは加速電圧1〜2000kV程度(より好ましくは50〜1000kV程度)で行われる。
上記イオンビームを照射する方法においては、上記結晶性ポリイミドを減圧チャンバー(通常100〜10−4torr程度)内に配置し、例えば電離させたHeイオンまたはArイオンを用いて、好ましくは加速電圧100V〜10kV程度(より好ましくは200V〜1kV程度)およびイオン電流0.01〜100mA/cm程度(より好ましくは0.1〜10mA/cm程度)の条件下に照射を行う。
上記プラズマを照射する方法(プラズマによる励起を行う方法)においては、上記結晶性ポリイミドを不活性ガス雰囲気下あるいは還元性ガス雰囲気下に置き、これを高エネルギー状態のプラズマ流体に接触させる。プラズマ流体を発生させるためには、電磁気的な励起源を使用する。プラズマの発生の条件は、気体の種類、気体圧力、励起電圧、励起電流、励起電源周波数、電極形状などに応じて適切に選択することができる。気体に関しては、その特性によりプラズマ状態を形成し難いものがある。この様な場合にも、励起電磁気の投入量を増加させることにより、プラズマ状態を形成することが可能である。本発明において使用され得る気体としては、Ar、He、Kr、Nが挙げられる。ArおよびHeがより好ましい。
気体圧力は、投入する励起電磁気量との関連で選択する必要がある。すなわち、気体圧力が高い程、気体分子数が多くなり、個々の気体分子を励起するための必要エネルギーも大きくなるので、大きな励起電磁気量が必要となる。例えば、気体圧力が10気圧以上の条件下においてもプラズマを発生させることは可能であるが、大電力電源が必要となり、設備コストが著しく高くなる。また、励起電圧および励起電流が高い程、多くのプラズマを発生させることができるが、投入する電気エネルギーが高すぎる場合あるいは圧力が低すぎる場合には、気体への電磁エネルギーの伝達が円滑に行われ難くなって、電極間での放電が起こり、十分なプラズマ粒子が発生しなくなる。一方、気体圧力が低い場合には、比較的小さな投入励起電磁気量でプラズマが発生するが、圧力が低すぎる場合には、十分な量のプラズマが得られなくなる。これらの諸要因を考慮して、本発明においては、プラズマ発生時の気体圧力は、10−3torr〜大気圧(1気圧)程度の範囲とすることが好ましい。
電磁気は、直流および交流のどちらであってもよく、電極の材質、形状などは、投入される電磁気の形態に応じて選択される。交流としては、通常、50〜60Hz程度または1〜10KHz程度の低周波、あるいは、10〜100GHz程度の高周波が使用される。工業的な高周波としては、13.56MHz、40MHz、915MHz、2.45GHzなどが一般的に使用される。電極材料しては、通常、ステンレス鋼、アルミニウムおよびその合金、普通鋼などが使用され、その形状は、容量結合型、平行平板型、ホローカソードタイプ、コイル状などから選択される。
低コストで簡便にプラズマを発生させる方法の一例として、Ar、He、Kr、Nなどの不活性ガス、水素などの還元性ガスあるいはこれらの混合ガスを1×10−3〜600torr程度の減圧状態とし、13.56MHzの高周波電源を使用して100〜900W程度の電力をコイル状電極に投入することにより、所望のプラズマを形成させることができる。
上記照射処理における照射時間は、グラファイトナノリボンが生成する限り特に限定されない。例えば、照射時間は、照射処理の種類にかかわらず、所定の照射条件に達してから、通常1秒〜100時間程度であり、好ましくは1分〜200分程度である。
上記結晶性ポリイミドを加熱処理する方法においては、通常、不活性ガス雰囲気下、100kg/cm〜10−2torr程度、好ましくは760〜10−6torr程度の常圧〜減圧下(より好ましくは10−1〜10−3torr程度の圧力下)において、通常500〜1100℃程度、好ましくは700〜1000℃程度で熱処理を行ないカーボン化する。処理時間は、例えば10℃/分の速度で昇温した場合は、900〜1000℃の温度領域で1〜30分程度の保持を行なうことが望ましい。次いで、カーボン化したポリイミドを、超高温炉を用いてグラファイト化する。グラファイト化は、不活性ガス雰囲気下、100kg/cm〜10−8torr程度、好ましくは760〜10−6torr程度の常圧〜減圧下中で行なう。不活性ガスとしてはアルゴンが好ましい。熱処理温度としては、好ましくは2000℃以上、より好ましくは2400℃以上、さらに好ましくは2700℃以上である。
上記加熱処理における加熱時間は、グラファイトナノリボンが生成する限り特に限定されない。加熱時間は、加熱温度などに応じて適切に設定することができる。例えば、加熱時間は、所定の加熱条件に達してから、通常1秒〜100時間程度であり、好ましくは1分〜200分程度である。
上記照射処理の少なくとも1つと加熱処理とを併用してもよい。照射処理と加熱処理とを併用する場合の処理時間は、グラファイトナノリボンが生成する限り特に限定されない。処理時間は、照射手段、加熱温度などに応じて適切に設定することができる。例えば、処理時間は、所定の条件に達してから、通常1秒〜100時間程度であり、好ましくは1分〜200分程度である。
以上のようにして、結晶性ポリイミドのサイズに対応したサイズを有するグラファイトナノリボンを得ることができる。しかも、結晶性ポリイミドは、幅および厚みの均一性が高いので、このような結晶性ポリイミドを用いることにより、幅および厚みの均一性に優れたグラファイトナノリボンを得ることができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。特に明記しない限り、実施例における「部」および「%」は重量基準である。
(実施例1)
1.結晶性ポリイミドの調製
特開2008−274103号公報の実施例および図9の実験番号2の手順にしたがって、結晶性ポリイミドを調製した。得られたポリイミドの走査型電子顕微鏡(SEM)画像を図1に、X線回折パターンを図2に示す。得られた結晶性ポリイミドは、細長い帯状体(ベルト状ポリイミド)が集合した微粒子状であった。SEM観察より、帯状体の幅の平均値は110nm、厚みの平均値は8nm、長さは1〜8μm、幅の変動係数は0.32、厚みの変動係数は0.17であった。X線回折パターンより、ピーク1(010)面の半値幅は0.53°であった。
2.グラファイトナノリボンの製造
管状炉を用いて、上記で得られた結晶性ポリイミドを加熱処理した。具体的には、大気圧の窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で900℃まで加熱し、900℃で1分間保持して加熱処理を行った。その結果、結晶性ポリイミドがカーボン化し、カーボンナノリボンが得られた。得られたカーボンナノリボンの幅は100nm、厚みは8nm、長さは1〜5μm、幅の変動係数は0.25、厚みの変動係数は0.15であった。得られたカーボンナノリボンの透過型電子顕微鏡(TEM)画像を図3および図4に示す。
次に、このカーボンナノリボンをグラファイト化炉に入れ、アルゴン雰囲気下、2800℃で30分熱処理を行った。得られた試料は、ベルト形状を維持しており、幅は94nm、厚みは7.1nm、長さは1〜5μm、幅の変動係数は0.23、厚みの変動係数は0.12であった。さらにX線回折を測定したところ、層面間距離が3.37オングストロームのグラファイトであることがわかった。
以上のように、本発明によれば、幅および厚みのバラツキが非常に小さい、均一性に優れたグラファイトナノリボンを実際に製造することができた。しかも、実施例の手順から明らかなように、簡便で大量生産可能な製造手順により、上記のようなグラファイトナノリボンを製造することができた。
本発明のグラファイトナノリボンは、代表的には、ナノカーボン材料として好適に用いられ得る。具体的には、本発明のグラファイトナノリボンは、メタン吸蔵材料、水素吸蔵材料、電子線放射エミッター、ダイヤモンド半導体、耐磨耗性材料、電池電極材、磁気記録媒体、磁気流体、ナノデバイス、ナノ固体潤滑剤、光電変換材料、電光変換材料、ナノ導電材料等に好適に用いられ得る。

Claims (4)

  1. ベルト状のグラファイトであって、最小幅の最大幅に対する比が0.8〜1であり、最小厚みの最大厚みに対する比が0.85〜1である、グラファイトナノリボン。
  2. 前記最大幅が5nm〜200nmの範囲内で変動係数0.3以下の平均値を有し、前記最大厚みが25nm以下の範囲内で変動係数0.2以下の平均値を有する、請求項1に記載のグラファイトナノリボン。
  3. 長さが0.05μm〜10μmである、請求項1または2に記載のグラファイトナノリボン。
  4. 最小幅の最大幅に対する比が0.6〜1であり、最小厚みの最大厚みに対する比が0.7〜1であり、最大幅が5nm〜250nmの範囲内で変動係数0.35以下の平均値を有し、最大厚みが1〜30nmの範囲内で変動係数0.25以下の平均値を有するベルト状の結晶性ポリイミドをグラファイト化することを含む、グラファイトナノリボンの製造方法。

JP2010235412A 2010-10-20 2010-10-20 グラファイトナノリボンおよびその製造方法 Pending JP2012087011A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010235412A JP2012087011A (ja) 2010-10-20 2010-10-20 グラファイトナノリボンおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010235412A JP2012087011A (ja) 2010-10-20 2010-10-20 グラファイトナノリボンおよびその製造方法

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015091368A Division JP2015134721A (ja) 2015-04-28 2015-04-28 グラファイトナノリボンの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2012087011A true JP2012087011A (ja) 2012-05-10

Family

ID=46259057

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010235412A Pending JP2012087011A (ja) 2010-10-20 2010-10-20 グラファイトナノリボンおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2012087011A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104862514A (zh) * 2015-05-17 2015-08-26 桂林理工大学 一种ab3型储氢合金的表面改性方法
JP2016106268A (ja) * 2016-02-26 2016-06-16 株式会社ニコン 画像取得方法、画像取得装置及び走査型顕微鏡

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002356317A (ja) * 2001-03-27 2002-12-13 Osaka Gas Co Ltd グラファイトリボンおよびその製造方法
JP2005041748A (ja) * 2003-07-24 2005-02-17 Nhk Spring Co Ltd 炭素多孔体およびその製造方法
JP2007217206A (ja) * 2006-02-15 2007-08-30 Kaneka Corp グラファイトフィルム、およびそれを用いた熱拡散フィルム、ならびにそれを用いた熱拡散方法。

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002356317A (ja) * 2001-03-27 2002-12-13 Osaka Gas Co Ltd グラファイトリボンおよびその製造方法
JP2005041748A (ja) * 2003-07-24 2005-02-17 Nhk Spring Co Ltd 炭素多孔体およびその製造方法
JP2007217206A (ja) * 2006-02-15 2007-08-30 Kaneka Corp グラファイトフィルム、およびそれを用いた熱拡散フィルム、ならびにそれを用いた熱拡散方法。

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6014018669; L. JIAO et al: 'Narrow graphene nanoribbons from carbon nanotubes' Nature Vol.458, 20090416, P.877-880 *

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104862514A (zh) * 2015-05-17 2015-08-26 桂林理工大学 一种ab3型储氢合金的表面改性方法
JP2016106268A (ja) * 2016-02-26 2016-06-16 株式会社ニコン 画像取得方法、画像取得装置及び走査型顕微鏡

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Gu et al. Fluorescence of functionalized graphene quantum dots prepared from infrared-assisted pyrolysis of citric acid and urea
Chan et al. Low-temperature synthesis of graphene on Cu using plasma-assisted thermal chemical vapor deposition
KR101119985B1 (ko) 단층 카본 나노튜브 및 배향 단층 카본 나노튜브?벌크 구조체 및 그들의 제조방법?장치 및 용도
KR101622306B1 (ko) 그라펜 시트, 이를 포함하는 그라펜 기재 및 그의 제조방법
JP2009143799A (ja) 単結晶グラフェンシートおよびその製造方法
US20140374960A1 (en) Method for producing a graphene film
EP2055673A1 (en) Graphene sheet and method of preparing the same
US20080182027A1 (en) Synthesis of Carbon Nanotubes by Selectively Heating Catalyst
KR20100093965A (ko) 층간 화합물 함유 그라펜 시트 및 그의 제조방법
Gao et al. Preparation of graphene by electrical explosion of graphite sticks
Singhal et al. Blue-shifted SPR of Au nanoparticles with ordering of carbon by dense ionization and thermal treatment
Smovzh et al. The synthesis of few-layered graphene by the arc discharge sputtering of a Si-C electrode
Chiu et al. Synthesis of high-purity silicon carbide nanowires by a catalyst-free arc-discharge method
JP6125659B2 (ja) 合成ダイヤモンドの生成方法
Liu et al. High-power instant-synthesis technology of carbon nanomaterials and nanocomposites
JP2014152095A (ja) グラフェンの製造方法
Kozak et al. Growth of carbon dendrites on cathode above liquid ethanol using surface plasma
Xin et al. Grain Size Engineering of CVD‐Grown Large‐Area Graphene Films
JP2004002103A (ja) カーボンナノワイヤの製造法
JP2012087011A (ja) グラファイトナノリボンおよびその製造方法
JP5218958B2 (ja) 準結晶触媒を用いるカーボンナノチューブ合成法
JP2004359471A (ja) V族遷移金属ダイカルコゲナイド結晶からなるナノファイバー又はナノチューブ並びにその製造方法
Wang et al. Synthesis and characterization of graphene-based nanostructures by electron-assisted hot filament plasma CVD
JP2015134721A (ja) グラファイトナノリボンの製造方法
JP5453618B2 (ja) カーボンナノチューブ・バルク構造体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130927

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140320

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140507

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140704

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20140707

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20150128