JP4350348B2 - シート加熱装置ならびにそれを用いたサーマルプリンタおよび熱活性化装置 - Google Patents

シート加熱装置ならびにそれを用いたサーマルプリンタおよび熱活性化装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、発熱体を有するサーマルヘッドと紙送りを行うプラテンローラとを備えたシート加熱装置においてシートの有無を検出する技術に関し、例えば感熱性粘着シートの粘着面を活性化させる熱活性化装置や感熱紙に印字を行うサーマルプリンタに利用して有用な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
レシートに印字を行って出力するキャッシュレジスタや、発券用紙へ印字を行って発券を行う発券機などには、発熱体を有するサーマルヘッドとプラテンローラとを備えたサーマルプリンタが用いられている。
【0003】
一般に、サーマルプリンタはサーマルヘッドにプラテンローラを押圧して回転させることで印字を行いつつ紙送りを行う。サーマルヘッドには短冊状の基板にその長手方向に沿って複数の発熱体が配列されると共に、発熱体の上には絶縁性の保護膜が形成されそれにより感熱紙がプラテンローラに押圧されながら摺れた状態で搬送されてもサーマルヘッドの磨耗劣化の防止が図られるようになっている。また、従来のサーマルヘッドの中には、上記の絶縁性保護膜の上に導電性の保護膜を形成して静電気対策を行うものもあった。(例えば特許文献1参照)
上記のようなサーマルプリンタにおいては、以前より、印字の開始タイミングや搬送動作の切替タイミングなどを決定するために、感熱紙の搬送経路の途中に設けた用紙センサにより用紙の始端や終端の通過を検出するとともに、搬送モータの回転量をカウントして、感熱紙の始端や終端が現在何処にあるのか予測した上で印字制御や搬送制御を行うのが一般であった。従来、上記の用紙センサとしてフォトセンサなどが多く用いられている。(例えば特許文献2参照)
また、現在、ビン・缶類の表示ラベルや食品のPOSラベルなどに用いられている感熱性粘着シートの粘着面を加熱・活性化するのに、サーマルプリンタのシート加熱機構と類似の構成を有する熱活性化装置について開発が行われている。
(例えば特許文献3参照)
【0004】
【特許文献1】
特開2001−47652号公報
【0005】
【特許文献2】
特開2002−120389号公報
【0006】
【特許文献3】
特開平11−79152号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
サーマルプリンタなどにおいては、用紙センサがサーマルヘッドから離れた位置に設置されると、用紙センサからサーマルヘッドまでの区間で生じた紙詰まりを検出できなかったり、それにより感熱紙が無い状態で発熱体が駆動されてプラテンローラが直接加熱されてしまうと云った恐れが生じる。また、用紙センサからサーマルヘッドまでの区間で感熱紙のたるみ量が変化することで、感熱紙の始端位置の予測がずれて印字開始位置が多少ずれてしまうという問題が生じる。そこで、このような問題が生じないように、以前より、用紙センサをサーマルヘッドの発熱体にできるだけ近い位置に配置したいという要望がある。
【0008】
しかしながら、従来のサーマルプリンタにおいては、感熱紙の有無を検出するのにフォトセンサや機械式スイッチを用いていたため、その体積からみてプラテンローラが押圧接触しているサーマルヘッドの発熱体の近傍にセンサを設けるには無理があった。
【0009】
さらに、上記の熱活性化装置にあっては、感熱性粘着シートの粘着面全部を活性化させたいという要望があり、感熱性粘着シートの始端から終端まで充分に加熱するようにサーマルヘッドの発熱体を駆動しなければならないため、始端位置の予測はより正確に行う必要がある。始端位置の予測が不正確であると、活性残しの部分が生じないように、始端位置の予測ばらつきを吸収する目的で感熱性粘着シートの始端と終端の前後に余分に発熱体を駆動させると云った制御が必要となるが、このような制御により、サーマルヘッドの発熱体がプラテンを直接加熱することになり、この時間があまり長くなるとサーマルヘッドの寿命を縮めたり、プラテンローラを損傷させたり、また、プラテンローラの温度が通常使用の場合より大幅に上昇することで感熱性粘着シートの表の面が感熱発色するなど悪影響を及ぼすと云った問題が生じる恐れがあった。
【0010】
この発明の目的は、発熱体を有するサーマルヘッドとプラテンローラとの間にシートを挟んで印字又は熱活性のために加熱と紙送りとを行うシート加熱装置において、発熱体の近傍でシート有無の検出を可能とすることにある。
【0011】
また、このようなシート加熱装置を用いることで、感熱紙への印字を正確な位置から開始することが可能で、紙詰まりがどこで生じようとも感熱紙がサーマルヘッドに到達していないことを確実に検出することが可能なサーマルプリンタ、並びに、発熱体を余分に駆動制御することなく活性残しの部分を生じさせないように感熱性粘着シートの全面活性を行うことの出来る熱活性化装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、発熱体を有するサーマルヘッドと、このサーマルヘッドに接触するように配置され該サーマルヘッドとの間にシートを挟んで送るプラテンローラとを備えたシート加熱装置であって、上記サーマルヘッドの上記基板上に、上記発熱体列に近接して設けられた1または複数の電極と、上記発熱体列及び上記電極が形成されている領域を覆うように設けられ、しかも上記電極上に所定のサイズの開口部が形成されるように設けられた絶縁性保護膜と、上記絶縁性保護膜上及び上記開口部内に形成された導電性保護膜と、上記プラテンローラと上記サーマルヘッドとの間に上記シートがある状態で上記開口部上部の上記導電性保護膜から離間していた部分が、上記シートがない状態で上記開口部上部の上記導電性保護膜に対して撓むように接触して面接触するように設けられた導電体と、上記電極と電気的に接続された外部接続端子と、上記導電体と上記開口部上部の上記導電性保護膜との接触面積の変化にともなって変化する上記外部接続端子での電位や、上記導電体によって上記外部接続端子間に電流パスを形成させて、上記導電体と上記開口部上部の上記導電性保護膜との接触面積の変化にともなって変化する上記外部接続端子間の抵抗値または電圧値または電流値を計測することによって、上記プラテンローラと上記サーマルヘッドとの間の上記シートの先端位置や後端位置等を検出して上記サーマルヘッドの駆動を制御する制御部とを備えた構成とした。
【0013】
このような手段によれば、シートがプラテンローラとサーマルヘッドとの間に進入されたか否かにより、外部接続端子に接続されたサーマルヘッド上の電極の部位、詳しくは開口部上部の上記導電性保護膜に上記導電体が接触・離間し、その際、上記開口部上部の上記導電性保護膜と上記導電体との接触面積が変化し、しかも上記電極が発熱体列に近接して設けられているので、外部接続端子で計測される電気的特性(例えば電位や電流値や電圧値)の変化により発熱体列のごく近傍におけるシートの進入と通過を検出することが出来る。
【0014】
また、上記電極は導電性保護膜により覆われた構成となっているので、これにより、電極の腐食やシートが摺れることで生じる磨耗を防ぐことが出来る。
【0015】
また、この構成において、上記電極が上記導電体の接触・離間する範囲から外れた位置に設けられていても良く、その範囲と電極との間が導電性保護膜により結ばれることで、上記の構成とほぼ同様の作用を得ることが出来る。
【0016】
具体的には、上記の導電性保護膜は金属と炭素又は金属と窒素との化合物から構成することができ、このうち炭素や窒素の混合量を変化させることで導電率を調整することが出来る。
【0017】
また、上記の導電体は、ローラの少なくとも表面に導電性を付加したプラテンローラにより構成することができ、このような構成とすることで、プラテンローラと導電体とを別構成とした場合に較べて部品点数の削減および構成の単純化を図ることが出来る。
【0018】
なお、導電性を付加したプラテンローラは、その材料として例えばシリコンゴムにカーボン、銀、導電性酸化チタン、導電性亜鉛などの導電性材料を添加してなる部材を用いて形成することが出来る。
【0019】
また、プラテンローラと導電体とを別構成にする場合には、実施の形態で詳述するが、例えば、プラテンローラの脇でシートが通過する範囲にサーマルヘッドに接するように設けた金属バネや、プラテンローラの両脇にプラテンローラと同軸に設けた導電性のローラなどにより上記の導電体を構成することが出来る。
【0020】
さらに好ましくは、上記電極と上記外部接続端子をそれぞれ複数備え、これらの内2つ以上の外部接続端子が互いに短絡していない上記電極にそれぞれ電気的に接続されているとともに、上記サーマルヘッドに上記導電体が接触した状態で互いに短絡していない上記電極の間に当該導電体により電流パスが形成されるように構成すると良い。
【0021】
このような構成により、上記導電体とサーマルヘッドとの接触・離間により、例えば、上記外部接続端子間の抵抗値の変化により、シートの進入を検出することが可能となる。
【0022】
また好ましくは、互いに短絡していない2つの上記電極を、上記発熱体の列の両端の側で該発熱体の列の延長線と重なる位置に設けると良い。これにより、まさに発熱体の位置でシートの有無を検出することができ、それによりシートが無いのに有るものと誤認してプラテンを直接加熱してしまうと云った不具合を確実に回避することが出来る。
【0023】
また好ましくは、互いに短絡していない2つの上記電極を、上記発熱体の列の両端の側で該発熱体の列の延長線よりシートが進入してくる方の位置に設けても良い。これより、シートが発熱体の箇所に進入する直前を検出することができ、それによりシートの始端位置から加熱を行うような制御を容易とすることが出来る。
【0024】
また、好ましくは、上記導電性保護膜は複数に分離されて設けられ、この分離された各部分が互いに短絡されてない上記電極をそれぞれ別々に覆っているとともに、サーマルヘッドに上記導電体が接触した状態で上記導電性保護膜の分離された各部分が当該導電体を介して通電可能になるように構成しても良い。
【0025】
このような構成により、上記導電体とサーマルヘッドとの接触・離間により、例えば、上記電極に接続された外部接続端子間の抵抗値が大きく変化するなど、シートの進入をより確実に検出することが可能となる。
【0026】
さらに、本発明は、上記の目的を解決するため、上述のシート加熱装置を備え、このシート加熱装置に供給され上記プラテンローラと上記サーマルヘッドとの間に挟み込まれた感熱紙に対して上記発熱体の駆動により印字が行われるように構成されたサーマルプリンタであって、上記外部接続端子に表れる電気的特性に基づいて上記発熱体近傍での感熱紙の有無が検出可能にされている構成とした。
【0027】
このようなサーマルプリンタによれば、感熱紙が発熱体の箇所まで送られていない場合にそのことを確実に検出することが出来るので、感熱紙が送られてきたと誤認して感熱紙が無いのに発熱体を駆動してプラテンロールを傷めてしまうという不具合を確実に回避することが出来る。また、感熱紙の先端位置の予測が正確に行えるので常に一定の位置から印刷を開始することが出来る。
【0028】
また、本発明は、上記の目的を解決するため、上述のシート加熱装置を備え、上記シート加熱装置に供給され上記プラテンローラと上記サーマルヘッドとの間に挟み込まれた感熱性粘着シートの一方の面を上記発熱体の駆動により加熱させることで、この一方の面に設けられている感熱性粘着剤層を活性化させて粘着性を発現させる熱活性化装置であって、上記外部接続端子に表れる電気的特性に基づいて上記発熱体近傍での感熱性粘着シートの有無が検出可能にされている構成とした。
【0029】
このような熱活性化装置によれば、感熱性粘着シートの先端位置および後端位置の予測が正確に行えることから、全面活性を行う場合に活性残し部分が生じないようにシートの通過前後に余分に発熱体を駆動すると云った制御をごく短い時間のみ行えばよくなったり、或いはこのような制御を無くしたりすることができ、それによりプラテンローラが直接加熱されて高温になることで生じる不具合を解消することが出来る。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0031】
図1は、本発明の実施の形態であるシート加熱装置としての加熱機構の構成を示す斜視図である。
【0032】
この加熱機構1は、減速ギヤG1〜G3を介して伝達される図示しないモータの駆動力を受けてプラテン軸11を中心に回転するプラテンローラ10と、発熱体の列が形成されたサーマルヘッド20と、支軸35を中心に回動可能な状態に設置されたサーマルヘッド20をプラテンローラ10の方へ押圧するコイルバネ31およびそれを支持するベースプレート30等から構成される。プラテン軸11や支軸35は図示略の軸受けに回転可能な状態で支持されている。
【0033】
プラテンローラ10は導電体を兼ねた構成であり、例えばシリコンゴムにカーボン、銀、導電性酸化チタン、導電性亜鉛などの導電性材料を添加してなる部材から構成され、サーマルヘッド20の押圧により僅かに撓むことでシートの進行方向に僅かな幅を有する形でサーマルヘッド20に面接触するようになっている。
【0034】
図2には上記サーマルヘッドの詳細を示す平面図を、図3(a)には図2の矢印A−A線断面図を、図3(b)には図2の矢印B−B線断面図をそれぞれ示す。図3(a)、(b)において各主要部は高さ方向に拡大して示してある。
【0035】
サーマルヘッド20は、例えばセラミックからなる基板28の上面に皮膜29を挿んで、複数の抵抗素子を一列に並べてなる発熱体列21と、この発熱体列21を構成する各抵抗素子に電流を出力する駆動ドライバIC22と、この駆動ドライバIC22に外部から信号を入力するための外部接続パッド23と、発熱体列21の近傍でシートの有無を検出するためのシート検出用電極24,24と、この電極24,24にそれぞれ配線接続された外部接続端子としての外部接続パッド25,25とを形成したものである。ドライバIC22は合成樹脂22a等により覆われて封止されている。
【0036】
シート検出用の電極24,24は、ほぼ直線上に形成された発熱体列21の両脇で発熱体列21の延長線上に重なる位置に2個設けられている。このシート検出用の電極24,24は互いに短絡されることなくそれぞれ別の外部接続パッド25,25に配線接続されている。
【0037】
外部接続パッド23…,25…は、外部のリード線を結合させるために形成された電極パッドで、上記の絶縁性保護膜26や導電性保護膜27が形成されていない手前側(図2の下側)まで引き出されて形成されている。外部接続用パット23,25とシート検出用電極24,24とはプリント配線により形成されている。
【0038】
また、図3にも示すように、このサーマルヘッド20の発熱体列21や電極24,24が形成される奥側(図2の上側)半分の領域には、絶縁性保護膜26と導電性保護膜27との2層の膜が形成されている。但し、シート検出用の電極24,24の上側には絶縁性保護膜26に開口部CHが形成され、その間に導電性保護膜27の材料が入り込んで、電極24,24と導電性保護膜27とが直接接触するように構成される。この開口部のサイズは例えば1mm×1mm程度である。
【0039】
絶縁性保護膜26は、CVD (化学的気相成長法)、PVD(物理堆積法)、イオンプレーティング法、メッキ、印刷焼成法などにより形成することが出来る。絶縁性保護膜26のシート検出用電極24,24上の開口部CHは、成膜の印刷パターンやマスキングなどにより形成することが出来る。マスキングにより形成する場合には、電極24,24を基板28の縁にかかるような配置形状とすることで形成しやすくなる。また、印刷やフォトリソ技術を用いて開口部CHの部分にマスキング剤でマスクパターンを形成し、成膜後にこのマスキング剤を剥離したり、或いは、絶縁性保護膜26の形成後に開口部CHが残されるパターンでレジストを形成し、エッチング法により開口部CHの絶縁性保護膜26を除去するようにして形成することも出来る。
【0040】
一方、導電性保護膜27は、例えば炭化ケイ素SiCや炭化チタンTiCなどの炭素と金属の化合物や窒化ケイ素SiN、窒化チタンTiN、窒化タンタルTaNなどの窒素と金属の化合物をスパッタ法などにより成膜して形成することが可能であり、その場合、成膜時の炭素や窒素の混合量により導電性保護膜27の電気伝導度を調整することが出来る。なお、導電性保護膜27は、CVD (化学的気相成長法)、その他のPVD(物理堆積法)、イオンプレーティング法、メッキ、印刷焼成法などにより形成することも可能である。導電性保護膜27はプラテンローラ10に較べて抵抗値が大きくなるように設定する。
【0041】
また、導電性保護膜27はその厚さを薄く(例えば2μm)形成することで面に沿って流れる電流に対しては抵抗値を大きくすることが出来る。また、この場合でも、電極24,24上の開口部CHに流れる電流に対しては電流の流れに直交する面積が大きくなるため抵抗値を小さくすることが出来る。
【0042】
次に、上記のような構成の加熱機構1にシートが送り込まれたときの作用について説明する。
【0043】
図4には加熱機構1にシートが挿入された状態の第1例の斜視図を示す。
【0044】
サーマルプリンタにおいて感熱紙の印字を行う目的で加熱機構1が用いられる場合、一般に感熱紙90はサーマルヘッド20の発熱体列21の幅よりも幅広のものが使用される。このような場合、感熱紙90がプラテンローラ10とサーマルヘッド20との間に進入して感熱紙90の先端が発熱体列21に差し掛かる際に、同時に感熱紙90はプラテンローラ10とシート検出用の電極24,24との間にも入り込む。
【0045】
例えば、プラテンローラ10がその接触面の中央線が発熱体列21と重なるように配置された場合、シート検出用電極24,24の上の開口部CHの部分全域がプラテンローラ10の接触面に含まれることになる。
【0046】
感熱紙がない状態では、シート検出用の電極24,24の上には導電性のプラテンローラ10が押圧されて導電性保護膜27に面接触した状態にある。そのため、2つのシート検出用の電極24,24は、抵抗値の高い導電性保護膜27と抵抗値の低いプラテンローラ10との2つの部材を介した接続により導通された状態にあり、その結果、電極24,24にそれぞれ配線接続されている外部接続パッド25,25間の抵抗値は低くなる。
【0047】
一方、感熱紙90がプラテンローラ10とサーマルヘッド20との間に進入すると、感熱紙がプラテンローラ10とシート検出用の電極24,24との間を遮るため、2つのシート検出用の電極24,24は、抵抗値の高い導電性保護膜27を介してのみ導通された状態になり、外部接続パッド25,25間の抵抗値は高くなる。
【0048】
ここで、加熱機構1を制御する制御回路とシート検出用電極24,24間の抵抗回路20aについて示した図14を参照しながら、上記の抵抗の変化について定量的に説明する。
【0049】
図14に示される電極24,24間の抵抗回路20aにおいて、R0は導電性保護膜27の面方向の抵抗、R1は接触中のプラテンローラ10の抵抗、R2,R3は電極24,24上の開口部CHを電流が流れるときの抵抗である。
【0050】
これらのうち、導電性保護膜27の抵抗R0は例えば2.5MΩ(メガオーム)と非常に大きな値でありプラテンローラ10の接触状態に拘らず常に一定となる。また、プラテンローラ10の抵抗R1は例えば500オーム程度と導電性保護膜27の抵抗R0と較べて小さな値に設定される。そして、プラテンローラ10の接触面が電極24,24上の開口部CHと接触している状態においてこの開口部CHの部分の抵抗R2,R3を介して電極24,24間に接続される。
【0051】
開口部CHの部分の抵抗R2,R3は、プラテンローラ10が開口部CHの上部全域に接触している場合、それぞれ200オーム程度の値となる。また、プラテンローラ10の接触面積が1/2となると抵抗R2,R3は2倍程度の400オームレベルになり、接触面積が1/3になると抵抗R2,R3は3倍程度の600オームレベルとなる。そして、シートが挿入されてプラテンローラ10と開口部CHの部分が非接触となると、電極24,24間の抵抗は導電性保護膜27の抵抗R0のみとなる。
【0052】
従って、上記電極24,24と配線接続された外部接続パッド25,25間の抵抗特性を計測することで、発熱体列21の近傍における感熱紙90の有無を検出することが出来る。上記の抵抗特性は、例えば、制御回路内に設けられた電圧発生回路1060により外部接続パッド25,25間に電圧を印加して、外部接続パッド25,25間の抵抗回路20aにより電圧降下したアナログ電圧を制御回路内に設けられたA/D変換器1070によりデジタル値に変換することで計測することが出来る。或いは、上記の電圧降下した電圧と基準電圧とを比較する電圧比較器を用いて、外部接続パッド25,25間の抵抗特性の変化を検出し、それにより感熱紙の有無を検出するように構成することも出来る。
【0053】
図5には、加熱機構1にシートが挿入された状態の第2の例を示す斜視図を、図6には、この第2の例においてシート挿入の前後の状態を横から眺めた図をそれぞれ示す。
【0054】
熱活性化装置において感熱性粘着シートを熱活性する目的で加熱機構1が用いられる場合、感熱性粘着シートの粘着面は全面活性される場合が多いので、多くの場合、感熱性粘着シート95の幅はサーマルヘッド20の発熱体列21の幅よりも小さくなる。このような場合、図6に示すように、感熱性粘着シート95がプラテンローラ10とサーマルヘッド20との間に進入する際に、感熱性粘着シート95の厚みh1によりプラテンローラ10とサーマルヘッド20とが僅かな隙間を開けて離間される。
【0055】
そして、それにより、図4の場合と同様に、外部接続パッド25,25間の抵抗値が変化するので、その間の抵抗値を検出することでシートの有無を検出することが出来る。
【0056】
以上のように、この実施の形態の加熱機構1によれば、サーマルヘッド20の発熱体列21のごく近傍でシート(感熱紙90や感熱性粘着シート95など)の有無を検出することが出来るので、シートがサーマルヘッド20の前段で詰まるなどした場合に、シートがプラテンローラ10とサーマルヘッド20との間に無いのに、間違って有ると判断して発熱体列21を駆動させてしまうと云った不都合を回避することが出来る。また、サーマルヘッド20とプラテンローラ10に進入される際にシートの検出がなされるので、シートの先端検出後にシートの撓みなどが生じないことから、シートの先端位置を正確に認識することができる。
【0057】
次に、図1の加熱機構の変形例について説明する。
【0058】
図7は、サーマルヘッド上に設けられた電極間を導通させる導電体のその他の構成例を示す図で、(a)〜(c)にその第1例〜第3例の斜視図を示す。
【0059】
図1の実施の形態では、シート検出用の電極24,24間の抵抗値を変化させる導電体としてプラテンローラ10に導電性を付加した構成を例示したが、同様の作用を及ぼす導電体としてその他の種々の構成を適用することができる。
【0060】
図7(a)は、プラテンローラ10Xとは別体の導電性のゴムローラ12A,12Bとプラテン軸11Xとにより導電体を構成した例である。
【0061】
この構成において、プラテンローラ10Xには導電性は付加されておらず、一方、プラテン軸11Xは例えばステンレスなどの導体が使用されている。
【0062】
導電性のゴムローラ12A,12Bは、プラテン軸11Xのシート検出用の電極24,24とそれぞれ重なる位置にそれぞれ取り付けられ、その直径はプラテンローラとほぼ同一のものである。そして、プラテンローラ10Xとサーマルヘッド20との間にシートが挿入されていない状態においては、電極24,24上の導電性保護膜27に面接触する一方、プラテンローラ10Xとサーマルヘッド20との間にシートが挿入された状態においては、電極24,24と導電性ゴムローラ12A,12Bとの間にシートが挿入されるか、或いはシートの厚みでプラテン軸11Xとサーマルヘッド20との間隔が開いて導電性ゴムローラ12A,12Bがサーマルヘッド20の導電性保護膜27から離間されるようになっている。
【0063】
そして、上記のようにシートの有無により導電性のゴムローラ12A,12Bが電極24,24上の導電性保護膜27と離間・接触することで、電極24,24間の抵抗が変化して、発熱体列21の近傍でのシートの有無が検出することが可能とされる。導電性のゴムローラ12A,12Bはプラテン軸11Xにより導通されている。
【0064】
図7(b)は、導電性ゴムローラ12A,12B間の導通を図るのに導電性板バネ14を用いた構成例である。
【0065】
この構成において、導電性板バネ14は加熱機構1の図示略の機枠等に固定され、その弾性を有するバネ体14a,14aの部分が導電性ゴムローラ12A,12Bに接触している。このような構成によれば、シートの有無により、シート検出用の電極24,24間に、導電性ゴムローラ12A,12Bと導電性板バネ14とからなる抵抗の小さな電流パスが接続又は非接続となって、発熱体列の近傍でシートの有無が検出可能とされる。
【0066】
図7(c)は、導電性を有するトーションバネを導電体として用いた構成例である。
【0067】
この構成においては、一続きのトーションバネ16をプラテンローラ10Xの左右の位置でプラテン軸11に巻きつけて保持させ、トーションバネ16の両端部16a,16aをシート検出用の2つの電極24,24上で導電性保護膜27に軽い力で接触するようにしたものである。このような構成によれば、シートの有無により、トーションバネ16の先端部16a,16aが電極24,24上の導電性保護膜27に接触又は非接触となって電極24,24間の抵抗値を変換させるので、それにより発熱体列の近傍でシートの有無が検出可能とされる。
【0068】
図8〜図10には、サーマルヘッド上に設けられるシート検出用の電極の形成パターンとこれらの電極と外部接続端子との接続パターンの変形例をそれぞれ示す。
【0069】
図2に示したサーマルヘッド20では、発熱体列21の延長線上に2個のシート検出用電極24,24を設けた例を示したが、シート検出用電極の形成位置や数はこれに限られたものではない。
【0070】
図8(a)は、2個のシート検出用電極24C,24Dを、発熱体列21の両端側で且つ発熱体列21の延長線からシートが進入してくる側に少しずれた位置に配置した例である。
【0071】
このような構成においては、図4に示した幅広のシート90を処理する場合には、シートの先端が発熱体列21の位置に差し掛かる少し手前で電極24C,24Dとプラテンローラ(導電体)10とを離間させて、そのタイミングを検出可能とするので、シートの先端から印字や熱活性を行う場合に有効なものとなる。
【0072】
また、この構成において、図5に示した幅の狭いシート95を処理する場合においても、電極24C,24Dの中央の位置L2とプラテンローラ10の接触面の中央ラインL1とが少しずれた配置となることから、シートの先端がプラテンローラ10に当たってプラテンローラ10を押し上げ始める早いタイミングで、プラテンローラ10と電極24C,24Dとが離間されることになり、それにより、シート95の先端が発熱体列21に差し掛かる少し手前に来たタイミングを検出することが可能となる。なお、ここでは、プラテンローラ10の接触面の中央ラインL1が発熱体列21の位置となることを前提にしているが、プラテンローラ10の接触面の位置が前後にずれて設けられている場合には、そのプラテンローラ10の位置を基準にして同様の作用が及ぼされるように電極24C,24Dの配置を決定すれば良い
図8(b)は、2個のシート検出用電極24E,24Fが、発熱体列21の延長線と重なる位置からシートが送り出される側に少しずれた配置に形成された例である。
【0073】
このような構成によれば、図4に示した幅広のシート90を処理する場合に、シートの先端がプラテンローラ10とサーマルヘッド20との間に確実に挟まれた直後にシートが検出されるので、シート90の始端位置の予測をより確実に行うことができる。シート90の先端がプラテンローラ10に差し掛かったばかりの段階では、シート90がプラテンローラ10に対して滑ってしまい、シート90がプラテンローラ10の間に上手く入っていかない場合が生じることが考えられるが、プラテンローラ10とサーマルヘッド20との間に確実に挟まれた後であればシート90がプラテンローラ10に対して滑るということは生じないからである。
【0074】
従って、この構成は、シート90の始端から印字や熱活性を行うことが無く、シート90の始端を正確に且つ確実に認識したい場合に有効である。
【0075】
また、この構成において、図5に示した厚みのあるシート95を処理する場合には、電極24E,24Fの中央位置L3とプラテンローラ10の接触面の中央位置L1とが少しずれた配置となることから、シート95の先端が発熱体列21に差し掛かる少し手前に来たタイミングを検出することが可能となる。
【0076】
図8(c)は、複数のシート検出用電極24G,24Hが左右非対称な位置に形成された例である。なお、この図において、シート検出用電極24G,24Hと外部接続端子とを結ぶ配線は省略している。
【0077】
このように、複数のシート検出用電極24G,24Hを左右非対称の位置に形成した場合でも、シートの先端が発熱体列21の近傍に来たときに、各電極24G,24H間の抵抗値が変化してそれを検出することが可能となる。
【0078】
また、シート検出用電極24G,24Hがプラテンローラ10の接触面から僅かに外れた位置に設けられている場合でも、電極24G,24Hとプラテンローラ10の接触面との間が導電性保護膜27により電気的に接続されていることで、導電性を有するプラテンローラ10がサーマルヘッド20に押圧接触された状態とその間にシートが挿入されて絶縁された状態とで電極24G,24H間の抵抗値が変化するので、それによりプラテンローラ10とサーマルヘッド20間に進入するシートの検出を行うことが出来る。
【0079】
図9(a)〜(c)は、シート検出用の電極を多数設けた例である。この図においてシート検出用の電極と外部接続端子とを結ぶ配線は省略している。
【0080】
このようにシート検出用の電極24…を多数設けることで、これら多数の電極24…間の抵抗値からプラテンローラ10とサーマルヘッド20との間に進入してくるシートの状態を細かく検出することも可能となる。
【0081】
例えば、図9(a)のように、発熱体列21の両端がわに発熱体列21の延長線上とその前後(シートの進入方向における前後)にそれぞれ複数のシート検出用電極24を設けることで、図2のタイプと図8(a),(b)のタイプのサーマルヘッドによりそれぞれ検出可能なシートの進入状態を1つのサーマルヘッドにより全て検出することも可能となる。
【0082】
その他、図9(b),(c)のように、発熱体列21の近傍の様々な箇所にシート検出用の電極24を形成することで、例えば、シートの左右が前後にずれて進入してきた場合などに、各電極間に表れる抵抗値が通常の場合と異なってくるため、それを検知してシートの左右のずれの状態を検出することも可能となる。
【0083】
なお、発熱体列21と該抵抗素子を駆動するドライバIC22との間にシート検出用の電極24を形成する場合には、ドライバIC22と発熱体列21とを結ぶ配線と電極24との交わりを回避するために2層配線を用いることで形成することが可能である。
【0084】
図10(a)は、シート検出用の複数の電極を1つの外部接続端子に接続した例、図10(b)は、シート検出用の複数の電極をそれぞれ別個の外部接続端子に接続した例である。
【0085】
図9(a)〜(c)のようにシート検出用の電極24を多数形成した場合、図10(a)に示すように、複数の電極24…をまとめて1個の外部接続パッド25Aに接続したり、図10(b)に示すように各電極24ごとに1個の外部接続パッド25A,25Cを設けたりすることも可能である。この場合、後者の方が、各電極24間の抵抗値がそれぞれ独立して計測できることから、シートの詳細な状態検出を行う場合には有利である。一方、前者のように複数の電極24…をまとめる形式においても、各電極24間の抵抗値をそれぞれ独立して計測することは出来ないものの、各電極24間の複合された抵抗値を計測できることから、シートのある程度詳細な状態検出を行うことは可能であり、且つ、シート検出用の外部接続パッド25の数を少なくして基板面積に余裕を生じさせることも可能となる。
【0086】
図11には、サーマルヘッド上に形成される導電性保護膜を分割して形成した例の平面図を示す。
【0087】
図2のサーマルヘッド20や図7〜図10に示したサーマルヘッドの変形例において、シート検出用の電極24,24C〜24Hの上部に形成される導電性保護膜27は、サーマルヘッド20の奥側半分の面に形成され、複数のシート検出用電極24を高い抵抗を挿んで導通させているが、その他、導電性保護膜27は種々のパターンで形成することが出来る。
【0088】
例えば、図11に示すようにサーマルヘッド20の基板28上に設けられた2個のシート検出用電極24,24を2つに分割された導電性保護膜27A,27Bによりそれぞれ別々に覆うようにしても良い。この構成においては、導電性保護膜27A,27Bを2つに分割する分割溝27Xが、発熱体列21と重ならないように、発熱体列21と一方の電極24との間に位置するように設計してある。この分割溝27Xには、その周囲の面と水平になるように下層の絶縁性保護膜26と同様の物質が分割溝27Xに満たされるように構成すると良い。
【0089】
このように複数のシート検出用電極24,24を分割された導電性保護膜27A,27Bにより別々に覆うことで、プラテンローラ10(又はその他の導電体)が接触していないときには、複数のシート検出用電極24,24の間は非導通となり、プラテンローラ10(又はその他の導電体)が接触したときに初めて複数のシート検出用電極24,24間が導通とされるので、シートの検出が容易なものとなる。
【0090】
図12には、上記の加熱機構1を備えたサーマルプリンタの一例の概略構成図を示す。
【0091】
この実施の形態のサーマルプリンタ100は、ロール状に巻かれた感熱紙90を搬送ローラ111により引き出してカッター112により必要な箇所で切断する紙切断ユニット110と、紙切断ユニット110から送られた感熱紙90を搬送ローラ121により導いてサーマルヘッド20とプラテンローラ10とからなる加熱機構1により印字を行ない、印字後の感熱紙90を搬送ローラ122により排出口123に搬送する印字ユニット120と、これらの紙切断ユニット110や印字ユニット120を制御する図示略の制御回路等を備えたものである。
【0092】
サーマルヘッド20のシート検出用電極24,24と配線接続された外部接続パッド25,25はリード線を介して制御回路に接続され、制御回路によりシート検出用電極24,24間の抵抗変化が検出されるようになっている。
【0093】
そして、上記制御回路の制御により、紙切断ユニット110による感熱紙90の切断と印字ユニット120への供給がなされ、この感熱紙90の先端が加熱機構1のプラテンローラ10とサーマルヘッド20との間に進入される。その際、サーマルヘッド20のシート検出用の電極24間の抵抗変化が制御回路において検出され、感熱紙90の先端が加熱機構1に進入したことが認識される。
【0094】
次いで、加熱機構1により感熱紙90の搬送と加熱・印字が行われる一方、所定のタイミングで紙切断ユニット110により感熱紙90の後端の切断処理が行われる。そして、加熱機構1による印字処理が完了したら搬送ローラ122により感熱紙90が搬送されて排出口123から排出される。排出後には搬送ローラ122の駆動が停止される。
【0095】
ここで、上記のサーマルヘッド20による印字の開始タイミング、紙切断ユニット110による感熱紙90の後端側の切断タイミング、印字ユニット120の搬送ローラ122の駆動停止タイミングは、加熱機構1における感熱紙90の先端の検出とプラテンローラ10の回転量の計数処理とから、感熱紙90の先端位置がどこにあるか、カッター112や搬送ローラ122の箇所に感熱紙90の先端から何ミリのところが来ているか、それぞれ計算された上でそれらが設定された条件に合うように適宜決定される。
【0096】
図13には、上述の加熱機構1を備えた熱活性化装置の一例の概略構成図を、図14には、この熱活性化装置の回路構成図をそれぞれ示す。
【0097】
この熱活性化装置200は、加熱により一定時間粘着力が発生される感熱性粘着剤層が下面に形成され、且つ、上面に感熱性の発色面が形成された感熱性粘着シート95に対して、上面への印字と所定長での切断と粘着面の熱活性とを行う装置である。
【0098】
この熱活性化装置200は、図13に示すように、プラテンローラ211と発熱体列が形成されたサーマルヘッド212との間に感熱性粘着シート95を挟んでその上面に印字を行う印字ユニット210と、該ユニット210から送られてくる感熱性粘着シート95をカッター221により切断する切断ユニット220と、該切断ユニット220から送られてくる感熱性粘着シート95を加熱機構1によりその下面を熱活性する熱活性ユニット230と、これらの各ユニットを制御する制御回路とを備えたものである。
【0099】
熱活性化装置200の制御回路には、図14に示すように、上記の各ユニットを制御するマイクロコンピュータ1000と、制御プログラムや制御データを格納したROM1010と、マイクロコンピュータ1000に作業空間を提供するRAM1020と、ユーザ操作を入力する操作部1030と、設定内容の表示やエラー表示などを行う表示部1040と、各ユニットの駆動部や周辺回路と信号をやり取りするインターフェース1050と、サーマルヘッド20のシート検出用電極24,24間の抵抗を計測するための電圧発生回路1060、抵抗R10およびA/D変換器1070等が設けられている。
【0100】
上記のインターフェース1050には、その他、印字ユニット210のサーマルヘッド212に設けられた発熱体を駆動する駆動ドライバIC213や、熱活性ユニット230のサーマルヘッド20に設けられた駆動ドライバIC22、並びに、紙切断ユニット220の駆動部222、印字ユニット210のプラテンローラ211を駆動する第1ステッピングモータ214、熱活性ユニット230のプラテンローラ10を駆動する第2ステッピングモータ18、熱活性ユニット230の搬送ローラ232等を駆動する第3ステッピングモータ233等が接続されている。
【0101】
熱活性ユニット230においてサーマルヘッド20に設けられた外部接続パッド25,25はリード線を介して制御回路に接続され、制御回路の電圧発生回路1060とA/D変換器1070とによりシート検出用電極24,24間の抵抗値が測定可能になっている。
【0102】
そして、上記のマイクロコンピュータ1000の制御により、印字ユニット210での印字処理、切断ユニット220での切断処理、熱活性ユニット230でのシートの搬送と熱活性処理とが行われ、感熱性粘着シート95がその上面に所望の印字がなされ且つ所望の長さに切断されさらに下面の粘着面が全面活性化された上で排出口233から排出されるようになっている。
【0103】
これらの一連の制御処理のうち、感熱性粘着シート95の切断タイミング、熱活性ユニット230における発熱体列21の駆動開始のタイミング、同発熱体列21の駆動停止のタイミング、搬送ローラ232の駆動停止のタイミングは、熱活性ユニット230の加熱機構1における感熱性粘着シート95の先端検出とプラテンローラ10の回転量の計数処理とに基づいて、感熱性粘着シート95の先端位置がどこにあるか、発熱体列21やカッター221および搬送ローラ232の箇所に感熱性粘着シート95の先端から何ミリのところが来ているか、それぞれ計算された上で適宜条件に合うように決定される。
【0104】
次に、上記一連の制御処理のうち熱活性ユニット230における発熱体列21の駆動制御についてその一例を詳細に説明する。図15にはこの発熱体列の駆動制御処理のフローチャートを示す。
【0105】
例えば、操作部1030を介したユーザ操作によりシート出力の指示がなされてこの駆動制御処理が開始されると、先ず、第2ステッピングモータ18にステッピングパルスを出力してプラテンローラ10の回転駆動を開始させる処理(ステップS1)、電極24,24間の抵抗値を測定する処理(ステップS2)、搬送ローラ231を駆動して感熱性粘着シート95の搬送を開始させる処理(ステップS3)とを順次行う。これらにより、感熱性粘着シート95を受け入れる準備が整う。
【0106】
次いで、感熱性粘着シート95がプラテンローラ10とサーマルヘッド20との間に挿入されるのを検出するため、電極24,24間の抵抗値を測定する処理(ステップS4)と、前回の測定値R(i−1)と今回の測定値R(i)とを比較判定する処理(ステップS5)とを行う。その結果、前回の測定値R(i−1)<今回の測定値R(i)×0.8の条件にならない場合には、シート挿入がないとして再びステップS4に戻って、このステップS4,S5の処理を行う。
【0107】
ステップS2やステップS4での抵抗値の測定処理では、少なくとも最後に測定した2個の測定値R(i−1),R(i)がRAM1020内の所定領域に格納されるようになっており、これらを用いてステップS5の比較判定処理が行われる。
【0108】
そして、ステップS4,S5の繰返し処理の間に、感熱性粘着シート95がプラテンローラ10とサーマルヘッド20との間に進入し始めると抵抗測定値R(i)が上昇され、その上昇率が一定値(例えば1/0.8倍)以上となったときに、ステップS5の比較判別結果が「Yes」となってステップS6に移行する。そして、該ステップで例えばシート進入を表わすフラグを“1”にするなどしてシート進入と認識する。
【0109】
シート進入と認識したら、次に、発熱体列21の駆動ドライバIC22に信号を出力して発熱体列21の駆動を開始する(ステップS7)。発熱体列21の駆動を開始した時点では、感熱性粘着シート95の先端がプラテンローラ10を僅かに押し上げ、その先端が発熱体列21より僅かに手前にあるため、この時点で発熱体列21を駆動することで、感熱性粘着シート95の先端部分に活性し残しを生じることなく、先端から活性化を行うことができる。
【0110】
次に、感熱性粘着シート95の後端の通過を検出するため、発熱体列21の駆動を続けながら、電極24,24間の抵抗測定(ステップS8)と、前回測定された測定値R(i)と今回測定した値R(i+1)との比較判定処理(ステップS9)とを行う。そして、今回の測定値R(i+1)<前回の測定値R(i)×0.8の条件が満たされなければシート後端は来ていないものとして、再びステップS8に戻って、このステップS8,S9の処理を行う。
【0111】
感熱性粘着シート95の後端がプラテンローラ10の位置を通過するときには、シートがプラテンローラ10とサーマルヘッド20との間を抜けていくに連れてプラテンローラ10がサーマルヘッド20に徐々に接触していく。そして、それに伴って、シート検出用電極24,24間の抵抗が小さくなっていき、その降下率が一定値(例えば0.8倍)を下回ったときにステップS9の判定が「Yes」となってステップS10に移行する。
【0112】
そして、ステップ10において駆動ドライバIC22への信号出力が停止されて発熱体列21の駆動が停止される。この停止タイミングでは、感熱性粘着シート95の後端は発熱体列21をやや通過した状態となるため、活性し残した部分なくシート裏面の全面活性が達成されることになる。
【0113】
次いで、プラテンローラ10の回転も停止して(ステップS11)、この発熱体列の駆動処理が終了される。
【0114】
なお、上記のステップS5やステップS9の比較判定処理の条件式において、係数“0.8”の値を調整することで、感熱性粘着シート95の先端がどの程度挿入されたときに次のステップに移行させるか微調整を行うことができる。また、この比較判定処理で最後に計測した2回の計測値の比較を行っているが、予め閾値を設定しておきこの閾値と計測値を比較して感熱性粘着シート95の進入と排出を検出する、その判定方法は種々に変更可能である。
【0115】
以上のように、上記実施の形態のサーマルプリンタ100によれば、その加熱機構1においてサーマルヘッド20の発熱体列21のごく近傍において感熱紙90の有無の検出を行うことが出来るので、感熱紙90が途中で詰まるなどしてサーマルヘッド20の発熱体列21の箇所まで送られていない場合に、そのことを確実に検出することが出来る。従って、感熱紙が送られてきたと誤認して感熱紙が無いのに発熱体を駆動してプラテンロールを傷めてしまうという不具合を確実に回避することが出来る。また、サーマルヘッド20とプラテンローラ10との間に感熱紙90が進入する際に感熱紙90の検出が行われるので、感熱紙90の先端位置の予測が正確になり、それによりシートへの印字開始の位置を常に一定の位置に揃えることが出来る。
【0116】
また、上記実施の形態の熱活性化装置200によれば、その加熱機構1において上述のように感熱性粘着シートの先端位置の予測が正確になるので、感熱性粘着シートを全面活性する際に、活性し残しを発生させないためにシートの前後で余分に発熱体列21を駆動するといった制御が不要となる。そして、それにより、プラテンローラ10が直接加熱されて非常に高い温度になってしまうといった不具合を解消することが出来る。
[応用例1]
次に、上記のシート検出用電極間の抵抗値測定に基づく加熱機構1の動作制御の応用例を幾つか説明する。
【0117】
図16には、シート検出用電極間の抵抗測定により感熱紙90が斜めに挿入された場合にそれを検出してエラー処理を行う駆動制御処理のフローチャートを示す。また、図17には、この駆動制御処理で用いられるサーマルヘッド20Aに感熱性粘着シート95が斜めに挿入された状態の平面図を示す。
【0118】
図16の制御処理は、図15に示した熱活性ユニット230の駆動制御の変形例であり、同様のステップは同一符号を付している。
【0119】
この図16の制御処理では、ステップS1でプラテンローラ10を回転させた後、ステップS21において3種類の電極間抵抗を測定する。すなわち、発熱体列21の延長線上に設けられた2個の電極24a,24b間の抵抗Rab(i−1)と、このうちの左側の電極24aと発熱体列21の左端奥側に設けられた電極24c間の抵抗Rac(i−1)と、右側の電極24bと発熱体列21の右端奥側に設けられた電極24d間の抵抗Rbd(i−1)である。
【0120】
また、ステップS3で感熱性粘着シート95の搬送を開始した後に、ステップS22,S23で上記の電極間抵抗と同様の3種類の電極間抵抗Rab(i),Rac(i),Rbd(i)を測定し、それぞれ前回測定したものと今回測定したものとの比較判定を行う。
【0121】
その結果、感熱性粘着シート95が並行に進入されて3種類の抵抗値がともに大きくなったことを表わす条件Bの場合にはステップS34に移行して平行に感熱性粘着シート95が挿入されたと認識する。一方、右端の電極24bに関わる抵抗値Rab(i),Rbd(i)のみが大きくなったことを表わす条件Cの場合にはステップS30に移行して図17のように感熱性粘着シート95が右に曲がって挿入されたと認識し、左端の電極24aに関わる抵抗値Rab(i),Rac(i)のみが大きくなったことを表わす条件Aの場合にはステップS25に移行して感熱性粘着シート95が左に曲がって挿入されたと認識する。また、これらいずれの条件にも当てはまらない場合には、未だ感熱性粘着シート95の挿入がないとしてステップS22に戻って再び抵抗値測定(ステップS22)と比較判定(ステップS23)とを行う。
【0122】
感熱性粘着シート95が左右に曲がって挿入され、ステップS25又はS30に移行した場合には、サーマルヘッド20の発熱体列21の駆動をオフし(ステップS26,S27)、さらにプラテンローラ10の回転を停止させる(ステップS31,S32)。さらに、エラー割り込み処理を開始させるエラー信号を出力して(ステップS28,S33)、この制御処理を中断する。
【0123】
一方、感熱性粘着シート95が平行に挿入されてステップS34に移行した場合には、続くステップS7で発熱体列21を駆動させてシート裏面の熱活性を開始する。
【0124】
その後、3種類の電極間抵抗Rab(i+1),Rac(i+1),Rbd(i+1)の測定(ステップS35)と、今回の測定値と前回の抵抗値Rab(i),Rac(i),Rbd(i)との比較判定処理(ステップS36)とを行って、感熱性粘着シート95の後端の通過の有無やその際のシート95の曲がり具合の検出を行う。
【0125】
すなわち、ステップS36の比較判定処理の結果、電極24a,24b間の抵抗Rab(i+1)がほぼ変化なく(例えば0.9倍以内)、左側2個の電極24a,24c間の抵抗Rac(i+1)と右側2個の電極24b,24d間の抵抗Rbd(i+1)のみが上昇したことを表わす条件B1だった場合には平行にシート95が通過したとしてステップS37へ移行する。一方、左端の電極24aに関わる抵抗Rab(i+1),Rac(i+1)のみが上昇したことを表わす条件A1のときにはシート90が左に曲がったとしてステップS25に、右端の電極24bに関わる抵抗Rab(i+1),Rbd(i+1)のみが上昇した条件C1のときにはシート90が右に曲がったとしてステップS30に移行する。また、何れの条件にも当てはまらない場合には、感熱性粘着シート95の後端が未だ通過していないとしてステップS35に戻り、上記の抵抗測定処理(ステップS35)と比較判定処理(ステップS36)とを行う。
【0126】
そして、平行に通過したことを表わす条件B1の条件でステップS37に移行したら、該ステップでシート有りを示すフラグを下げるなどして感熱性粘着シート95がプラテンローラ10とサーマルヘッド20A間から排出されたと認識させ、その後、発熱体列21の駆動停止(ステップS10)とプラテンローラ10の回転を停止させて(ステップS11)、この駆動制御処理を終了する。
【0127】
一方、左右にずれて通過したことを表わす条件A1,C1でステップS25又はステップS30に移行した場合には、発熱体列21の駆動停止とプラテンローラ10の回転を停止させてエラー処理に移行する(ステップS26〜S28,S31〜S33)。
【0128】
以上のように、複数種の電極間抵抗を測定してその変化をそれぞれ検出することでシート挿入の有無だけでなく、シートの詳細な状態を検出してそれに応じた様々な動作制御を行うことが可能となる。
【0129】
なお、このようなシートの詳細な状態検出に基づく動作制御は、発熱体列21やプラテンローラ10の回転のオン・オフおよびエラー信号の出力のみに限られるものではない。例えば、シートの挿入が異常であると判断した際に、プラテンローラ10を反対に回転させてシートを逆フィードさせたり、或いは、発熱体の駆動なしにプラテンローラ10を順回転させて印字や熱活性を行わずにシートを排出させたり、或いは、プラテンローラ10とサーマルヘッド20との押圧を解除する機構があれば、その機構を作動させて押圧状態を解かせるような制御を行っても良い。
[応用例2]
サーマルプリンタや熱活性化装置において加熱機構1のプラテンローラ10とサーマルヘッド20との押圧位置の微調整が出来ると、各部品の組み付け精度の許容幅を大きくできるので都合が良い。以下、この押圧位置を微調整する機構とシート検出用電極間の抵抗測定を利用した押圧位置を最適な位置に合わせる制御処理の一例について説明する。
【0130】
図18にはサーマルヘッド20の位置調整機構の説明図を、図19にはシート検出用電極間の抵抗測定を利用したサーマルヘッド20の位置調整処理のフローチャートを示す。
【0131】
この応用例の位置調整機構は、図18に示すように、サーマルヘッド20をプラテンローラ10側に付勢した状態で上下に平行移動可能なように組み付けられた土台40と、この土台40を上方に付勢するバネ41と、土台40の上端の面に当接して土台の位置決めをするネジ42と、このネジ42を通すねじ穴43aが設けられた枠体43と、上記ネジ42を回転させる駆動モータ等から構成されるものである。なお、プラテンローラ10はプラテン軸11を中心に回転可能なように固定されている。
【0132】
このような位置調整機構を備えている場合、次に示す位置調整処理により、サーマルヘッド20の発熱体列21の位置をプラテンローラ10の接触面の中央位置と重なるように正確に合わせることが可能となる。
【0133】
なお、ここでは、図2に示すように、シート検出用電極24,24の中央が発熱体列21の延長線上に来る配置になっているものとする。また、電極24,24上部の開口部CHの幅がプラテンローラ10が接触する幅と同程度の長さであるとする。このような場合、発熱体列21とプラテンローラ10の接触面の中央位置が重なった状態で、プラテンローラ10と電極24上の開口部CHの部分との接触面積が最大となるため、電極24,24間の抵抗値は最小値となり、そこから上下にずれることで抵抗値は大きくなっていく。図19の位置調整処理はこのことを利用して位置合わせを行うものである。
【0134】
図19の位置調整処理は、例えば操作部1030を介したユーザ操作により開始される。この処理が開始されると、先ず、ステップS40〜S42で、サーマルヘッド20が開始時点で上側にずれているか下側にずれているかの検出を行う。すなわち、開始時点での電極24,24間の抵抗値R(i−1)と、ネジ42を僅かに押し込んだ状態での抵抗値R(i)とを比較して、値が大きくなっているか小さくなっているか判定し、その結果、小さくなっていれば上側にずれていたことになるのでステップS43に移行し、逆に大きくなっていれば下側にずれていたことになるのでステップS51に移行する。
【0135】
上側にずれていてステップS43に移行したら、該ステップS43の僅かなネジの押込み処理と、ステップS44の抵抗値測定処理と、ステップS45の前回の測定値R(i)と今回の測定値R(i+1)との比較処理とを繰り返す。それにより電極24,24間抵抗Rの極小値を検出する。ステップS45の比較処理において今回の測定値R(i+1)>前回の測定値R(i)となったときに、この前回の測定値R(i)が極小値となるので、この条件が満たされた場合にステップS46に移行して、この測定値R(i)を最小値Rminとして格納する。
【0136】
次に、ステップS47〜ステップS49の繰返し処理により、ネジを僅かずつ引き戻しながら電極24,24間抵抗値を測定し、その測定値R(i+2)がステップS46で格納した最小値Rminと等しくなるところを検出する。その結果、電極24,24間の抵抗値R(i+2)=最少値RminとなったときにステップS50に移行して、プラテンローラ10とサーマルヘッド20とが正しい位置になったとしてネジを固定する。
【0137】
一方、ステップS42の判定処理においてサーマルヘッド20が下側にずれていてステップS51に移行した場合には、上述のステップS43〜S50の処理とネジの回転方向を逆にした同様の処理(ステップS51〜S58)を行うことで、前記の場合と同様に、電極24,24間の抵抗値R(i+2)=最小値Rminとなる位置を検出し、その位置でネジを固定することが出来る。
【0138】
以上のようにして、サーマルヘッド20の発熱体列21の位置をプラテンローラ10の接触面の中央位置と重なるように正確な位置合わせが達成される。
【0139】
なお、上記の説明では調整ネジ42の回転や電極24,24間の抵抗測定を制御回路により自動的に行う場合を説明したが、メンテナンス時にユーザが手動で電極24,24間の抵抗を測りながら調整ネジ42を回して位置合わせを行うことも可能である。
【0140】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。例えば、実施の形態の加熱機構では、シート検出用の電極を2個以上設け、これら複数の電極間の抵抗変化によりシートの有無を検出する構成としたが、例えば、シート検出用の電極を1個設けるとともに、サーマルヘッドに接触・離間される導電体(例えばプラテンローラ10)に一定の電位を供給しておき、導電体の接触・離間によりシート検出用の電極の電位変化をみてシートの有無を検出するように構成することも出来る。
【0141】
また、導電性保護膜の材料や形成方法、導電性を有するプラテンローラの材料など、実施の形態で示した詳細は一例に過ぎず、その他、種々の材料を用いたり種々の形成方法を適用することが可能である。
【0142】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のシート加熱装置によれば、発熱体のごく近傍においてシートの有無を検出することが出来るため、正確なシート送り制御が可能になるという効果がある。
【0143】
また、本発明のサーマルプリンタによれば、発熱体のごく近傍で感熱紙の有無を検出することが出来るため、感熱紙が発熱体の箇所まで送られていないのに感熱紙が送られてきたと誤認して感熱紙が無いのに発熱体を駆動してプラテンロールを傷めてしまうという不具合の発生を抑えることが出来る。また、感熱紙の先端位置の予測が正確に行えるので印刷開始位置を指定された位置に正確に合わせることが出来るという効果がある。
【0144】
また、本発明の熱活性化装置によれば、発熱体のごく近傍で感熱性粘着シートの有無を検出することで、感熱性粘着シートの先端位置および後端位置の予測が正確に行え、それにより、感熱性粘着シートを全面活性する場合でも、シートの進入前や送出後に発熱体を余分に加熱する時間をごく短い時間としたり、或いは余分な加熱を行わなくても、活性し残した部分を生じないようにすることが出来る。それによりプラテンローラが直接加熱されて高温になることで生じる不具合を解消できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシート加熱装置の実施形態である加熱機構の構成を示す斜視図である。
【図2】図1の加熱機構を構成するサーマルヘッドの詳細を示す平面図である。
【図3】図2のサーマルヘッドの構造を示すもので、(a)は矢印A−A線断面図、(b)は矢印B−B線断面図である。
【図4】図1の加熱機構にシートが挿入された状態の第1例を示す斜視図である。
【図5】図1の加熱機構にシートが挿入された状態の第2例を示す斜視図である。
【図6】図1の加熱機構にシートが挿入される状態を横から眺めた概略図である。
【図7】サーマルヘッド上に設けられた電極間を導通させる導電体のその他の構成例を示す図で、(a)〜(c)はその第1例〜第3例の斜視図である。
【図8】サーマルヘッド上に設けられるシート検出用の電極の形成例を示すもので、(a)〜(c)はその第1例〜第3例の平面図である。
【図9】サーマルヘッド上に設けられるシート検出用の電極の形成例を示すもので、(a)〜(c)はその第4例〜第6例の平面図である。
【図10】サーマルヘッド上に設けられるシート検出用の電極と外部接続端子との接続例を示すもので、(a)はその第1例の平面図、(b)は第2例の平面図である。
【図11】サーマルヘッド上に形成される導電性保護膜を分離させた例を示す平面図である。
【図12】本発明に係るシート加熱装置を備えたサーマルプリンタの概略構成図である。
【図13】本発明に係るシート加熱装置を備えた熱活性化装置の概略構成図である。
【図14】図13の熱活性化装置の回路構成を示すブロック図である。
【図15】図13の熱活性化装置における熱活性ユニットの制御手順を示すフローチャートである。
【図16】複数のシート検出用の電極間の抵抗測定により挿入されるシートの左右のずれを検知する処理の制御手順の一例を示すフローチャートである。
【図17】シートが左右ずれて挿入された例を示す平面図である。
【図18】シート加熱機構のサーマルヘッドの位置調整を行う機構を示す側方図である。
【図19】シート検出用電極を利用したサーマルヘッドの位置調整処理の制御手順の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 シート加熱機構
10 プラテンローラ
11 プラテン軸
11X プラテン軸(導電体)
12A,12B 導電性ゴムローラ(導電体)
14 導電性板バネ(導電体)
16 トーションバネ(導電体)
20 サーマルヘッド
22 駆動ドライバIC
23 駆動ドライバICに接続された外部接続パッド
24 シート検出用電極
24C〜24H シート検出用電極
25 シート検出用電極に接続された外部接続パッド
25A〜25C シート検出用電極に接続された外部接続パッド
26 絶縁性保護膜
27 導電性保護膜
27X 分割溝
28 基板
90 感熱紙
95 感熱性粘着シート
CH 開口部
100 サーマルプリンタ
110 紙切断ユニット
120 印字ユニット
200 熱活性化装置
210 印字ユニット
220 紙切断ユニット
230 熱活性ユニット
1000 マイクロコンピュータ
1060 電圧発生回路
1070 A/D変換器

Claims (10)

  1. 基板上に複数の抵抗素子を列状に配列して設けられた発熱体を有するサーマルヘッドと、このサーマルヘッドに接触するように配置され、該サーマルヘッドとの間にシートを挟んで送るプラテンローラとを備えたシート加熱装置であって
    記サーマルヘッドの上記基板上、上記発熱体列に近接して設けられた1個の電極と、
    上記発熱体列及び上記電極が形成されている領域を覆うように設けられた絶縁性保護膜であって、しかも上記電極上において所定のサイズの開口部が形成されるように設けられた絶縁性保護膜と、
    上記絶縁性保護膜上に形成され、且つ上記開口部内にも入り込んで上記電極と直接接触して導通するように形成された導電性保護膜であって、上記開口部内に抵抗値を有する導電性保護膜と、
    上記プラテンローラと上記サーマルヘッドとの間に上記シートがある状態で上記開口部上部の上記導電性保護膜から離間していた部分が、上記シートがない状態で上記開口部上部の上記導電性保護膜に対して撓むように接触して面接触するように設けられた導電体であり、一定の電位が供給された導電体と、
    上記サーマルヘッドに設けられ、上記電極と電気的に接続された外部接続端子と、
    上記外部接続端子での電位を計測して、上記プラテンローラと上記サーマルヘッドとの間の上記シートの先端位置、または、上記プラテンローラと上記サーマルヘッドとの間の上記シートの後端位置を検出し、上記サーマルヘッドの駆動を制御する制御部と、を備え、
    上記制御部により行われる上記シートの先端位置の検出は、上記導電体が上記開口部上部の上記導電性保護膜に接触した状態で、上記シートの先端が上記プラテンローラと上記サーマルヘッドとの間に進入する際に上記シートの厚みによって上記プラテンローラと上記サーマルヘッドとの間の間隔が次第に離間されることによる上記導電体と上記開口部上部の上記導電性保護膜との接触面積の変化にともなって変化する上記外部接続端子での電位を計測し、その計測値を判定することにより行われ、
    また、上記シートの後端位置の検出は、上記導電体が上記開口部上部の上記導電性保護膜に接触した状態で、上記シートの後端が上記プラテンローラと上記サーマルヘッドとの間を通り抜けていくに連れて上記プラテンローラと上記サーマルヘッドとが次第に接触していくことによる上記導電体と上記開口部上部の上記導電性保護膜との接触面積の変化にともなって変化する上記外部接続端子での電位を検出することにより行われることを特徴とするシート加熱装置。
  2. 基板上に複数の抵抗素子を列状に配列して設けられた発熱体を有するサーマルヘッドと、このサーマルヘッドに接触するように配置され、該サーマルヘッドとの間にシートを挟んで送るプラテンローラとを備えたシート加熱装置であって
    記サーマルヘッドの上記基板上、上記発熱体列に近接して設けられた複数の電極と、
    上記発熱体列及び上記複数の電極が形成されている領域を覆うように設けられた絶縁性保護膜であって、しかもそれぞれの上記電極上において所定のサイズの開口部が形成されるように設けられた絶縁性保護膜と、
    上記絶縁性保護膜上に形成され、且つ上記開口部内にも入り込んでそれぞれの上記電極と直接接触して導通するように形成された導電性保護膜であって、上記開口部内およびそれぞれの上記電極間に抵抗値を有するように形成された導電性保護膜と、
    上記プラテンローラと上記サーマルヘッドとの間に上記シートがある状態で上記開口部上部の上記導電性保護膜から離間していた部分が、上記シートがない状態で上記開口部上部の上記導電性保護膜に対して撓むように接触して面接触するように設けられた導電体と、
    上記サーマルヘッドに設けられ、上記電極と電気的に接続された複数の外部接続端子と、
    上記複数の電極のうち、互いに短絡していない上記電極にそれぞれ電気的に接続された2つ以上の上記外部接続端子間の抵抗値または電圧値または電流値を計測して、上記プラテンローラと上記サーマルヘッドとの間の上記シートの先端位置やその蛇行状態、または、上記プラテンローラと上記サーマルヘッドとの間の上記シートの後端位置やその蛇行状態を検出し、上記サーマルヘッドの駆動を制御する制御部と、を備え、
    上記制御部により行われる上記シートの先端位置やその蛇行状態の検出は、上記導電体が上記開口部上部の上記導電性保護膜に接触した状態で、互いに短絡していない上記電極の間に上記導電体による電流パスが形成され、上記シートの先端が上記プラテンローラと上記サーマルヘッドとの間に進入する際に上記シートの厚みによって上記プラテンローラと上記サーマルヘッドとの間の間隔が次第に離間されることによる上記導電体と上記開口部上部の上記導電性保護膜との接触面積の変化にともなって上記外部接続端子間の抵抗値が次第に大きくなることによって変化する抵抗値または電圧値または電流値を計測し、その計測値を判定することにより行われ、
    また、上記シートの後端位置やその蛇行状態の検出は、上記導電体が上記開口部上部の上記導電性保護膜に接触した状態で、互いに短絡していない上記電極の間に上記導電体による電流パスが形成され、上記シートの後端が上記プラテンローラと上記サーマルヘッドとの間を通り抜けていくに連れて上記プラテンローラと上記サーマルヘッドとが次第に接触していくことによる上記導電体と上記開口部上部の上記導電性保護膜との接触面積の変化にともなって上記外部接続端子間の抵抗値が次第に小さくなることによって変化する抵抗値または電圧値または電流値を検出することにより行われることを特徴とするシート加熱装置。
  3. 上記プラテンローラは表面に導電性を有し上記導電体を兼ねていることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載のシート加熱装置。
  4. 互いに短絡していない2つの上記電極が、上記発熱体列の両端の側で該発熱体列の延長線と重なる位置に設けられていることを特徴とする請求項の何れかに記載のシート加熱装置。
  5. 互いに短絡していない2つの上記電極が、上記発熱体列の両端の側で該発熱体列の延長線よりシートが進入してくる方の位置に設けられていることを特徴とする請求項の何れかに記載のシート加熱装置。
  6. 上記電極を覆う上記導電性保護膜が互いに短絡していない複数の電極をそれぞれ別々に覆うように分離されて形成され、
    上記導電体が上記サーマルヘッドに接触した状態で上記導電性保護膜の分離された各部分が当該導電体を介して通電可能にされることを特徴とする請求項に記載のシート加熱装置。
  7. 上記導電性保護膜は金属と炭素又は金属と窒素との化合物から構成されていることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のシート加熱装置。
  8. 上記導電体を兼ねたプラテンローラはシリコンゴムに導電性材料を添加してなる部材から構成されていることを特徴とする請求項に記載のシート加熱装置。
  9. 請求項1〜の何れかに記載のシート加熱装置を備え、このシート加熱装置に供給され上記プラテンローラと上記サーマルヘッドとの間に挟み込まれた感熱紙に対して上記発熱体の駆動により印字が行われるように構成されていることを特徴とするサーマルプリンタ。
  10. 請求項1〜の何れかに記載のシート加熱装置を備え、上記シート加熱装置に供給され上記プラテンローラと上記サーマルヘッドとの間に挟み込まれた感熱性粘着シートの一方の面を上記発熱体の駆動により加熱させることで、この一方の面に設けられている感熱性粘着剤層を活性化させて粘着性を発現させるように構成されていることを特徴とする熱活性化装置。
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