JP4349643B2 - X線装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線装置に関し、特に、対向配置されるX線源とX線検出器とを被検体の周囲に回転し、各回転角で撮像したX線像から被検体の断層像及び三次元像を再構成するX線CT装置に適用して有効な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のX線装置であるX線CT装置は、扇状のX線ビームを被検体に照射するX線源と、被検体を介してX線源と対向配置されており、被検体を透過したX線である透過X線の強度分布を検出するX線検出器と、X線源とX線検出器とを被検体の周囲に回転させる回転手段と、被検体の周囲360度から計測(撮像)した透過X線強度分布画像(透過X線像)に基づいて、被検体の再構成像である断層像あるいは三次元像を生成(再構成)する再構成手段と、この断層像あるいは三次元像を表示面上に表示させる表示手段とから構成されていた。
【0003】
X線源の前面にはスライス厚さ方向のX線ビーム照射角を制限するために、スライスコリメータと称されるコリメータが配置されていた。また、X線源の前面には、X線源と検出器との回転面と平行な方向のX線ビーム照射角を制限するために、チャンネルコリメータと称されるコリメータも配置されていた。
【0004】
このスライスコリメータ及びチャンネルコリメータによって、被検体の体型に適合したX線ビームを形成することによって、種々の被検体に対応した計測を行っていた。一般的に、X線源及びX線検出器を被検体の周囲360度に回転させたときに、撮影対象部位(関心領域:ROI)が常時撮影されるようにX線ビームの照射角が設定されていた。
【0005】
一方、撮影対象部位が体の一部の場合であっても、従来のX線CT装置では、被検体の横断面にわたりX線ビームを照射することとなるので、撮影に必要のない領域も不必要なX線を浴びてしまっていた。特に、X線CT装置で再構成した断層像等を穿刺のガイドとして用いて病巣部の組織検査や治療を行う場合や、腹部の臓器まわりの血液の流れを調べる時のように血管に注入した造影剤の様子を連続して観察する場合には、同一個所を何度も繰り返し撮影することとなるので、X線の照射回数が多くなり、それに伴ってX線被爆量が多くなってしまうという問題があった。
【0006】
この問題を解決する方法として、例えば、特願平8−318390号公報(以下、「文献1」と記す)に記載の「X線CT装置」があった。この文献1に記載のX線CT装置では、被検体におけるX線照射領域を指定する照射領域指定手段と、該照射領域指定手段による指定X線照射領域にあわせてX線ビームの照射角を設定する照射角設定手段とを備えたものであった。
【0007】
この文献1に記載のX線CT装置では、X線照射時、照射角設定手段により各X線ビームの照射角が、撮影対象部位として指定されたX線照射領域に合うよう自動的に設定される。すなわち、X線ビームの照射角が指定されたX線照射領域に合うように制御され、不要領域へのX線照射を防止させるものであった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、前記従来技術を検討した結果、以下の問題点を見いだした。
【0009】
従来のX線CT装置では、撮影に要する時間を短縮させるために、回転手段がX線源とX線検出器とを対向配置された状態で所定の角速度で回転させ、被検体の周囲360度からの透過X線像を計測していた。例えば、文献1に記載されるX線CT装置では、回転手段によって回転されるX線源及びX線検出器の回転角に基づいて、照射角設定手段がX線ビームの照射角を予め設定された撮影対象部位に合うように制御することによって、撮影対象部位の周囲360度からの透過X線像を計測していた。
【0010】
一方、従来のX線CT装置では、例えば、計測に要する時間を短縮させるために、回転手段がX線源及びX線検出器を1秒で360度回転させるようにフィードバック制御しており、その誤差は0.03秒程度であった。例えば、文献1に記載のX線CT装置では、X線源及びX線検出器の回転をフォードバック制御で行う場合に、X線源及びX線検出器の回転誤差によって、X線源及びX線検出器が所定の回転角に達したタイミングからX線ビームの照射角の設定及びX線ビームの照射に至る時間が固定となっていた。このために、X線源及びX線検出器が所定の回転角に達してからその回転角における透過X線像の計測に至るまでの時間が変動してしまうという問題があった。その結果、従来のX線CT装置では、各透過X線像の撮像間隔すなわちX線源及びX線検出器の回転角に角度ずれが生じてしまい、再構成によって得られた再構成像の画質が低下してしまうという問題があった。
【0011】
本発明の目的は、X線源及びX線検出器が所定の回転角に達してから透過X線像の計測に要するまでの時間を補正することが可能な技術を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、再構成によって得られる再構成像の画質を向上させることが可能な技術を提供することにある。
【0013】
本発明のその他の目的は、被検体の診断効率を向上させることが可能な技術を提供することにある。
【0014】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかになるであろう。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
【0016】
(1)撮影系の回転に応じてX線ビームの照射範囲を変位させ、所定部位以外へのX線ビームの照射を制限するX線装置において、前記撮像系の回転周期と前記照射範囲の変位周期との位相ずれを計測する位相ずれ量計測手段と、位相ずれ量計測手段の計測結果に基づいて、前記撮影系の回転周期と前記照射範囲の変位周期とを同期させる同期手段を備えた。
【0017】
(2)撮影系の回転に応じてX線ビームの照射範囲を変位させ、所定部位以外へのX線ビームの照射を制限するX線装置において、前の撮影での撮影系の回転周期に基づいて、次の撮影での照射範囲の変位周期を制御する手段を備えた。
【0018】
(3)前述した(2)に記載のX線装置において、直前の撮影での撮影系の回転周期に基づいて、次の撮影でのX線遮蔽手段の移動周期を制御する。
【0019】
(4)X線源の前面に配置され、X線ビームの照射範囲を制限するX線遮蔽手段と、前記X線源と撮像手段とからなる撮影系の回転角に対応する照射範囲となるように、X線遮蔽手段を制御する照射角制御手段を備えたX線装置において、前記照射角制御手段は、前記撮影系の回転周期と前記照射範囲の変位周期との位相ずれを計測する手段と、該計測結果に基づいて、前記撮影系の回転周期と前記照射範囲の変位周期とを同期させる手段とを備えた。
【0020】
(5)前述した(1)乃至(4)の内の何れかに記載のX線装置において、前記X線遮蔽手段は、複数枚のX線遮蔽板と該X線遮蔽板をX線ビームの広がり方向に移動させX線ビームの照射角を設定する移動手段とから構成される。
【0021】
(6)前述した(5)に記載のX線装置において、前記X線遮蔽手段は平板状のX線遮蔽板を複数積層して形成され、各X線遮蔽板の位置を変えることによって、中心部に孔を形成しX線ビームの照射角を設定する。
【0022】
(7)前述した(5)に記載のX線装置において、前記X線遮蔽手段は平板状のX線遮蔽板を複数連結して形成され、各X線遮蔽板の角度を変えることによって、中心部に孔を形成しX線ビームの照射角を設定する。
【0023】
(8)前述した(1)乃至(7)の内の何れかに記載のX線装置において、前記被検体の周囲から撮像したX線像から前記被検体の断層像又は/及び三次元像を再構成する再構成手段を備えた。
【0024】
前述した(1)〜(8)の手段によれば、撮像系の回転周期と照射範囲の変位周期との位相ずれを予め計測し、該計測結果に基づいて、撮影系の回転周期と照射範囲の変位周期とを同期させる手段を備えることによって、撮影系の回転と同様に、X線遮蔽手段における照射範囲の変位すなわち遮蔽板の移動を連続動作として制御することが可能となるので、撮影系が所定の回転角に達してから透過X線像の計測に要するまでの時間を容易に補正することが可能となる。
【0025】
また、X線遮蔽手段における照射範囲の変位すなわち遮蔽板の移動を連続動作として制御することが可能となるので、撮影系が所望の回転角に達してから照射範囲が当該回転角に対応する範囲に設定されるまでに要する時間を限りなく小さくすることができる。その結果、撮影不要な個所へのX線ビームの照射量を低減させつつ、撮像対象とする部位へのX線ビームの照射を確実に行うことができるので、撮影系の回転速度を高速化した場合であっても全ての投影角で撮像対象とする部位の透過X線像を撮像することができ、再構成によって得られる再構成像の画質を向上させることが可能となる。
【0026】
さらには、撮影系の回転速度をさらに高速化することが可能となるので、被検体の診断効率を向上させることが可能となる。
【0027】
特に、直前の撮影での撮影系の回転周期に基づいて、次の撮影でのX線遮蔽手段の移動周期を制御することによって、撮影系の回転周期と照射範囲の変位周期と同期させるための試験的な計測が不必要となるので、被検体の診断効率をさらに向上させることが可能となる。
【0028】
また、平板状のX線遮蔽板を複数積層して形成し、各X線遮蔽板の位置を変えることによって、中心部に孔を形成しX線ビームの照射角を設定する、あるいは、平板状のX線遮蔽板を複数連結して形成し、各X線遮蔽板の角度を変えることによって、中心部に孔を形成しX線ビームの照射角を設定するようにX線遮蔽手段を構成することによって、X線遮蔽手段を小型化することが可能となる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、発明の実施の形態(実施例)とともに図面を参照して詳細に説明する。
【0030】
なお、発明の実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0031】
(実施の形態1)
(全体構成)
図1は本発明の実施の形態1のX線装置であるX線CT装置の概略構成を説明するための図であり、101はX線源、102はX線遮蔽手段であるチャネルコリメータ、103はX線検出器、104は走査駆動手段、105は回転角センサ、106は被検体、107は寝台、108は検出素子、109はX線制御手段、110は照射角制御手段、111は回転制御手段、112は制御手段、113はデータ収集手段、114は再構成手段、115は操作卓、116は表示手段、117は照射視野中心、118は寝台制御手段を示す。ただし、X線遮蔽手段102と照射角制御手段110とを除く各手段及び機構は従来のX線CT装置と同じ構成である。従って、実施の形態1においては、従来のX線CT装置とその構成が異なるX線遮蔽手段102と照射角制御手段110とについて、詳細に説明する。図中に示すX,Y,Zは、それぞれX軸、Y軸及びZ軸を示す。
【0032】
図1において、実施の形態1のX線遮蔽手段102では、図示しない遮蔽板は複数枚の遮蔽板で構成されており、各遮蔽板はそれぞれスライド可能に配置されている。X線遮蔽手段102には、遮蔽板のスライド量を計測する周知の移動量計測手段が配置されており、遮蔽板の位置情報は照射角制御手段110に出力される。なお、X線遮蔽手段102の詳細構成については、後述する。
【0033】
照射角制御手段110は、X線源101、X線遮蔽手段102及びX線検出器103からなる撮影系と、被検体106との位置関係を示す位置情報及び撮影系の回転角情報に基づいて、X線遮蔽手段102の開口幅を制御する手段である。また、実施の形態1の照射角制御手段110は、制御手段112を介して出力される撮影系の回転角と、X線遮蔽手段102の開口幅との位相ずれを補正するように動作する。すなわち、実施の形態1のX線CT装置では、撮影系が所定の回転角に達するタイミングと、遮蔽板が前記回転角に対応した位置に達するタイミングとのずれが小さくなるように、照射角制御手段110が遮蔽板の移動タイミングを制御する。このときの制御は、例えば、予備撮影及び前回の撮影での撮影系の回転角と遮蔽板のスライド位置とのずれに基づいて行う。照射角制御手段110は、例えば、実施の形態1のX線CT装置を構成する周知の情報処理装置上で動作するプログラムによって実現可能である。なお、照射角制御手段110の詳細については、後述する。
【0034】
図1から明らかなように、実施の形態1のX線CT装置では、撮影系は周知の走査駆動手段104で支持されており、該走査駆動手段104の駆動によって、撮影系は被検体106の体軸と垂直をなす平面内に回転される。撮影系の回転制御すなわち走査駆動手段104の制御は、回転制御手段111から出力される駆動出力によって行われる。
【0035】
被検体106は、図示しない天板及び該天板を体軸方向に移動させる図示しない周知の移動機構を備えた寝台107に設定されている。被検体106の支持位置は、例えば、当該被検体106の体軸と撮影系の回転中心軸とが一致するように設定される。ただし、撮影対象部位の中心が撮影系の回転中心軸上に位置するように、被検体106の支持位置を調整することによって、X線遮蔽手段102の開口幅すなわちX線ビームの照射視野を変化させることなくX線撮影が可能なことはいうまでもない。
【0036】
X線検出器103で撮像されたX線像(以下、「透過X線強度像」と記す)すなわち複数個の検出素子108で検出された透過X線強度は、順次、データ収集手段113に出力され、撮影系の回転角毎にそれぞれ格納される。
【0037】
次に、図1に基づいて、実施の形態1のX線CT装置の動作を説明する。
【0038】
操作卓115から予備計測の開始が指示されると、制御手段112からX線制御手段109、照射角制御手段110及び回転制御手段111に予備撮影のための動作条件が出力され、予備撮影が行われる。実施の形態1のX線CT装置における予備撮影では、被検体106の周囲に撮影系を1回転させると共に、通常の撮影(本撮影)と同様に、所定の回転角毎の透過X線像が計測される。ただし、この予備撮影では、被検体106に照射するX線ビームの照射視野は、撮影対象部位を含む被検体106の断面全体となるように設定されている。従って、再構成手段114から出力される予備撮影での断層像(再構成像)は、撮影対象部位を含む被検体106の断面全てとなり、その断層像は表示手段116の表示面上に表示される。従って、検者は表示手段116に表示された断層像に基づいて、撮影対象部位の設定を行うこととなる。なお、撮影対象部位の設定手順については、後述する。
【0039】
ここで設定された撮影対象部位に対して、実施の形態1の照射角制御手段110は、撮影系の回転角毎の遮蔽板位置を計算する。
【0040】
次に、操作卓115から本計測となる本撮影の開始が指示されると、制御手段112からX線制御手段109、照射角制御手段110及び回転制御手段111に本撮影のための動作条件が出力され、連続撮影が行われる。このときの動作条件として、制御手段112は、撮影対象部位である関心領域の中心座標及び半径が各制御手段に出力される。
【0041】
本計測では、回転制御手段111が寝台107に設定された被検体106の周囲に撮影系を連続して回転させる。このとき、X線制御手段109は、回転角センサ105からの回転角情報に基づいて、所定の回転角毎にX線ビームを発生させるための駆動信号をX線源101に出力する。一方、照射角制御手段110は、予備撮影で得られた断層像に基づいて計算された撮影系の回転角毎の遮蔽板位置となるように、X線遮蔽手段102の遮蔽板位置を移動させることによって、図2に白円で示すように、設定された関心領域(設定された撮影対象部位)にのみX線ビームを照射させる。ただし、図2はX線ビームの照射視野中心117を含む撮影系の回転面での被検体106とX線ビームの照射視野との位置関係を説明するための図である。
【0042】
このとき、照射角制御手段110は、遮蔽板201a,201bの位置を移動させると共に、撮影系の回転角と遮蔽板201a,201bの移動量との位相ずれを計測する。ここで、照射角制御手段110は、この位相ずれ量に基づいて、次の回転における撮影系と遮蔽板201a,201bの移動量との位相ずれが小さくなるように、遮蔽板201a,201bの移動タイミングを順次変化させる。
【0043】
次に、図3に実施の形態1の照射角制御手段の動作を説明するための図を示し、以下、図3に基づいて、実施の形態1の照射角制御手段の動作を説明する。
【0044】
照射角制御手段は設定さたれ関心領域にX線を照射するために、関心領域の中心座標,半径等をもとに遮蔽板の初期位置を算出して、その位置まで遮蔽板201を移動させる。次に制御スタート信号を受け取ると、算出した遮蔽板の位置に遮蔽板201が正確に移動するように信号を送る。
【0045】
照射角制御手段は上記のように遮蔽板を制御するだけでなく、図3に示すように回転同期用センサーの信号を受け、回転中の遮蔽板位相ズレの防止もしている。図3には、スキャナーの静止系と回転系を図示してある。回転系にはX線源照射角制御手段,遮蔽板,回転同期用センサーの受信部を図示し、静止系には回転同期用センサーの発光部を図示した。発光部は制御開始とともに発光し続け、受信部はこの信号を1回転毎に受け取ることになる。例えば、1回転1秒の制御下では1秒に1回の信号が照射角制御手段に送られることになる。この信号に基づき照射角制御手段は、1つの例として説明すれば、信号を受信した時点で初期位置に遮蔽板を戻すようなリセットを行なうことができる。このような制御を行なえば、回転角と遮蔽板の位相ズレをなくすことができ、正確な遮蔽板の制御を行なうことができる。
(X線遮蔽手段の構成)
まず、従来のX線遮蔽手段の構成を説明し、次に実施の形態1のX線遮蔽手段の構成を説明する。
【0046】
図4は従来のX線遮蔽手段の概略構成を説明するための図であり、特に、図4(a〕は遮蔽板を退避させた場合のX線ビーム範囲と遮蔽板201との位置関係を説明するための図であり、図4(b)は遮蔽領域が大きい場合のX線ビーム範囲と遮蔽板201との位置関係を説明するための図である。ただし、図4に示すX線遮蔽手段は、撮影系の回転中心軸方向からX線遮蔽手段を観たときの側面図であり、特に、一方の側の遮蔽板201のみを示した図である。
【0047】
図4において、401はタイミングプーリ、402はモータ、403はタイミングベルト、404はガイドレール、405は連結部、406は隙間、407はビーム境界線を示す。X,Y’,Z’はそれぞれX軸、Y’軸、Z’軸を示す。ただし、X軸は撮影系の回転中心軸方向、Y’軸は照射中心軸方向、Z’軸は照射中心軸と垂直をなす方向(ガイドレールの延在方向)である。
【0048】
図4に示す従来のX線遮蔽手段は、ガイドレール404の一端に配置されたモータ402の設けたタイミングプーリ401と、ガイドレール404の他端に配置されたタイミングプーリ401とにタイミングベルト403が掛け渡されている。該タイミングベルト403には連結部405を介して1枚の遮蔽板201が配置されている。このとき、図4(a)に示すように、従来のX線遮蔽手段では、遮蔽板201を退避させた時にX線ビームの照射視野を制限しないように、遮蔽板201の長さはビーム境界線407よりもガイドレール404の一端側に格納されるような長さに設定されている。
【0049】
このために、従来のX線遮蔽手段では、遮蔽板201をX線ビームの照射中心軸方向にあまり移動させすぎると、図4(b)に示すように、遮蔽板201とビーム境界線407との間に隙間ができてしまい、X線ビームが照射されてしまっていた。すなわち、遮蔽板201の長さが比較的短いX線遮蔽手段では、十分な遮蔽領域を確保できなかった。
【0050】
図5は他の従来のX線遮蔽手段の概略構成を説明するための図であり、特に、図5(a〕はX線ビームを遮蔽している状態における図であり、図5(b)は遮蔽板を退避させた場合のX線ビーム範囲と遮蔽板201との位置関係を説明するための図である。ただし、図5に示すX線遮蔽手段は、撮影系の回転中心軸方向からX線遮蔽手段を観たときの側面図であり、図4と同様に、一方の側の遮蔽板201のみを示した図である。
【0051】
図5(a)に示すように、この従来のX線遮蔽手段では、遮蔽板201をX線ビームの照射中心軸方向に移動させた場合であっても、遮蔽板201の端部がビーム境界線407の外側すなわちX線ファンビームの外側に位置するように、図4に示すX線遮蔽手段の遮蔽板201よりも長い遮蔽板201で形成されている。
【0052】
しかしながら、長い遮蔽板201を用いた場合には、格納時に遮蔽板201がX線ビームの照射視野範囲にかかってしまうこととなるので、実質的な照射視野範囲が狭められてしまうこととなっていた。このときの様子を示したのが、図5(b)であり、丸Aで示す領域の遮蔽板201がX線ファンビームの内側に突出してしまい、開放時の照射視野を十分に確保することができなかった。
【0053】
図6は実施の形態1のX線遮蔽手段の概略構成を説明するための図であり、
601はモータ、602はタイミングベルト、603は第一のプーリ、604は第二のプーリ、605はウォームギア、606はアーム、607はガイドレール、608はベアリング、609はバネを示す。ただし、図中に示すX,Y’,Z’は図4と同様にそれぞれX軸、Y’軸、Z’軸を示す。また、aは図6に向かって左側に配置される遮蔽板駆動機構に係わる構造体を示し、bは右側に配置される遮蔽板駆動機構に係わる構造体を示す。
【0054】
図6において、モータ601は回転量を計数するエンコーダを有する周知の直流サーボモータであり、実施の形態1ではX線遮蔽手段102のX軸方向の幅を小さくするために、このモータ601の回転軸をZ’軸方向に向けて配置している。
【0055】
タイミングベルト602は周知のタイミングベルトであり、実施の形態1ではアーム606の一端が取り付けられた部分がガイドレール607に平行するように配置される。また、実施の形態1のX線遮蔽手段では、図示しないエンコーダが移動量計測手段として機能する。
【0056】
第一及び第二のプーリ603,604は、タイミングベルト602のアーム606を取り付けた部分をガイドレール607の一端から他端に沿って張り渡すための周知のプーリである。特に、第一のプーリ603はウォームギア605の回転軸に固定されており、該ウォームギア605を介して伝達されたモータ601の駆動力をタイミングベルト602に伝達する。
【0057】
ウォームギア605は、Z’軸と平行に配置されたモータ601の回転軸での回転力をX軸と平行をなす軸の回転力に変換する周知のウォームギアであり、実施の形態1では、ガイドレール607の側面すなわちX軸方向に配置される。
【0058】
アーム606は、前述するように、一端がタイミングベルト602に固定され、他端が遮蔽板201に固定される周知のアームであり、特に実施の形態1では、左右それぞれに2枚ずつ配置された遮蔽板の内でバネ609が取り付けられていない側の遮蔽板201a,201bにアーム606の他端が固定されている。
【0059】
ガイドレール607は、遮蔽板201を両側から保持すると共に、遮蔽板201の移動方向を制限する周知のガイドレールであり、板状に形成されている。特に実施の形態1では、2枚ずつの遮蔽板201a,c及び遮蔽板201b,dがそれぞれ組をなして構成されているので、ガイドレール607に設けられたガイドも2本形成されている。ただし、前述するガイドとは、遮蔽板201に取り付けられたベアリング608の通り道となる凹部であり、ガイドレール607の延在方向に沿って形成され遮蔽板201をZ’軸と平行をなす方向に移動可能に支持する。なお、このガイドとしては、ガイドレール607の延在方向に沿って長方形の孔を設けてもよいことはいうまでもない。
【0060】
ベアリング608は、円柱形状に形成されたベアリングであり、ベアリング608の円周面とガイドの凹部の側壁とが接するように形成されている。
【0061】
バネ609は、一端がアーム606に固定されていない側の遮蔽板201c,201dに接続され、他端がガイドレール607の両端部の何れか一方にそれぞれ接続された周知のバネである。実施の形態1では、バネ609は遮蔽板201c,201dが撮影系の回転に伴って移動してしまうことを防止する。
【0062】
図6(b)から明らかなように、X線遮蔽手段102をX線源101の前面に配置したときに、X線ビームの広がり方向の端部すなわち図6中の左右に遮蔽板201がそれぞれ配置されている。それぞれの端部に配置された各遮蔽板201a,201cと遮蔽板201b,201dとは、それぞれY’軸方向すなわちX線ビームの照射方向に重ねて配置されている。ガイドレール607は、遮蔽板201を両側すなわちX軸方向から挟み込むように形成されており、ガイドレール607の延在方向にのみ遮蔽板201の移動方向を制限している。このとき、ガイドレール607と各遮蔽板201,a,201b,201c,201dとで囲まれた開口部分がX線源101から照射されるX線ビームの通過部分となる。従って、実施の形態1のX線遮蔽手段102では、X線ビームの通過範囲以外であるガイドレール607の側面部に遮蔽板201の遮蔽板駆動機構を配置した構成となっている。
【0063】
ただし、一方の側に配置された遮蔽板201a,201cでX線ビームの照射範囲を全て覆うことが可能となるように、それぞれの遮蔽板201a,201cの長さ(Z’軸方向の長さ)を設定することによって、被検体106の端部を撮影対象とした場合であっても、その患部のみを撮影対象としたX線ビームの制限を行うことが可能となる。
【0064】
図7は実施の形態1の遮蔽板の概略構成を説明するための図であり、特に、図7(a)は遮蔽板を収納した状態での側面図であり、図7(b)は遮蔽板を収納した状態での正面図であり、図7(c)は遮蔽板を引き出した状態での側面図である。ただし、図7(c)中に示す矢印は、遮蔽板の引き出し方向を示す。ただし、図7は説明を簡単にするために、バネ609a,609bを省略する。
【0065】
図7において、701はX線高吸収体、702は第一の側面板、703は第二の側面板、704は第一の正面板、705は第二の正面板、706は第一のピン、707は第二のピンを示す。ただし、実施の形態1では、図6の左側に配置される遮蔽板201a,cと右側に配置される遮蔽板201b,dとは、左右対称の構成となるので、以下の説明では、Z’軸方向すなわち図6中で右側に配置される遮蔽板201b,dの構成について、詳細に説明する。
【0066】
図7(a)から明らかなように、実施の形態1のX線遮蔽手段102では、ガイドレール607と平行に配置されることとなる第一及び第二の正面板704,705は、例えば厚さが3〜5mm程度の真鍮やステンレス等を機械加工によって、図7(c)に示すような形状の板を作成し用いればよい。ただし、厚さは3〜5mmに限定されることはなく、使用する板の材質(硬さ)によっては、薄くすることも可能である。この第一及び第二の正面板704,705のそれぞれには何れか一方の面に、例えば厚さが2mm以上の鉛板がX線高吸収体701として配置されている。また、図7(b)から明らかなように、実施の形態1では、X線高吸収体701は、それぞれが配置された第一及び第二の正面板704,705と同じ幅に形成されている。
【0067】
第一及び第二の正面板704,705のX線高吸収体701が配置された側の面には、それぞれ第一及び第二の側面板702,703が配置されており、特に、第一の側面板702の端部にはアーム606が取り付けられている。一方、第二の側面板703には、図示しないバネ609が取り付けられている。また、図7(b)から明らかなように、実施の形態1の側面板702,703は、それぞれ第一及び第二の正面板704,705と同じ幅となる。
【0068】
第一及び第二の正面板704,705のX線高吸収体701が配置された面と対向する側の面には、それぞれ第一及び第二のピン706,707が配置されている。ただし、図7(c)に示すように、第一のピン706は第一の側面板702から遠い側となる第一の正面板704の端部に配置されており、第二のピン707は第二の側面板703に近い側となる第二の正面板705の端部に配置されている。
【0069】
ここで、実施の形態1では、図7(a)〜図7(c)に示すように、第一の側面板702及び第一の正面板704等から構成された遮蔽板(以下、「第一の遮蔽板」と記す)と、第二の側面板703及び第二の正面板705等から構成された遮蔽板(以下、「第二の遮蔽板」と記す)とは、それぞれ第一のピン706と第二のピン707とが配置された側が向かい合うように配置される。その結果、また、図7(c)に示すように、遮蔽板201を引き出した場合に、第一のピン706が第二のピン707に当たり、以後、第一の遮蔽板の動きに合わせて第二の遮蔽板が矢印で示す方向に移動するように構成されている。
【0070】
このように、実施の形態1の遮蔽板では、従来ではX線遮蔽手段102の左右にそれぞれ1枚づつ配置されていた遮蔽板を、それぞれ2枚づつの遮蔽板で構成することによって、退避時の遮蔽板の全長を小さくすることができる。従って、X線遮蔽手段102を小型化することが可能となる。その結果、X線CTスキャナーは回転運動が必要なため、各種の制御装置,機構等が非常に密に実装されている。このため、X線遮蔽手段はできる限り小型のもののほうが、その設置場所を多岐に選択できることとなる。
【0071】
ただし、X線遮蔽手段102を構成する遮蔽板数は2枚に限定されることはなく、3枚以上でもよいことはいうまでもない。
【0072】
以上説明したように、実施の形態1のX線CT装置では、予め予備撮影で撮像された被検体106のX線像から再構成されたCT像上で設定された関心領域の位置情報に基づいて、照射角制御手段110がモータ601a,601bを駆動し遮蔽板201a,201b,201c,201dの位置を撮影系の回転角に応じた位置に移動させることによって、関心領域すなわち撮影対象部位として設定された領域を撮影するために必要な最小限のX線量での回転撮影を行うことができる。このとき、実施の形態1では、照射角制御手段110が撮影系の回転角と遮蔽板201の移動量との位相ずれを計測し、該位相ずれ量に基づいて、次の回転における撮影系と遮蔽板20の移動量との位相ずれが小さくなるように、遮蔽板201の移動タイミングを予想し、その移動タイミングで遮蔽板201の位置を順次変化させる。すなわち、撮影系の回転制御と同様に、照射角制御手段110が遮蔽板201a,201b,201c,201dの移動を連続動作させ、その動作周期と撮影系の回転同期との同期をとるので、特に、撮影系を高速回転させた場合における撮影系の回転角と遮蔽板の移動量との位相ずれを防止することができる。その結果、位相ずれに伴うX線ビームの照射領域のずれを補正することができるので、被検体106に照射するX線量を最小限にすることができる。
【0073】
また、実施の形態1では、撮影系の回転速度が高速の場合であっても、撮影系の回転速度に影響を与えることなく被検体106に照射されるX線ビームの照射視野を制御することができるので、各回転角毎に撮像されるX線像の撮像間隔を一定に保持することが可能となる。その結果、順次撮像したX線像の連続性を維持することが可能となるので、被検体106の周囲から撮像したX線像から再構成した再構成像であるX線CT画像や三次元像等の画質低下を防止できる。
従って、医師等の検者による診断効率を向上できる。
ただし、被検体106の支持位置と撮影部位との位置関係は、例えば、予備撮影あるいは予め撮影したX線像やMR像等とから求めてもよいことはいうまでもない。
【0074】
なお、実施の形態1のX線CT装置では、撮影系の回転速度は、例えば、1回転/秒である。ただし、撮影系の回転速度はこれに限定されることはなく、1回転/秒以上でも1回転/秒以下でもよいことはいうまでもないが、特に、1回転/秒以下となる高速撮影を行う場合にその効果が顕著となる。
【0075】
(実施の形態2)
図8は実施の形態2のX線装置であるX線CT装置におけるX線遮蔽手段の概略構成を説明するための図であり、特に、図8(a)は遮蔽板の概略構成を説明するための正面図であり、図8(b)は遮蔽板の概略構成を説明するための側面図である。ただし、実施の形態2のX線CT装置はX線遮蔽手段の構成を除く他の構成は、実施の形態1のX線CT装置と同様となるので、以下の説明では、X線遮蔽手段の構成についてのみ説明する。
【0076】
図8において、801〜805は第一〜第五の遮蔽板、806,807は第一及び第二の接続手段である。また、x,y’,z’は、実施の形態1と同様に、それぞれX軸、Y’軸、Z’軸を示す。ただし、X軸は撮影系の回転中心軸方向であり、Y’軸は照射中心軸方向であり、Z’軸は照射中心軸と垂直をなす方向である。
【0077】
図8(b)から明らかなように、実施の形態2のX線遮蔽手段は、第一〜第五の遮蔽板801〜805の対向する側面を順次連結した構成となっている。特に、実施の形態2のX線遮蔽手段では、第一の遮蔽板801と第二の遮蔽板802との連結部分、第三の遮蔽板803と第四の遮蔽板804との連結部分、及び第五の遮蔽板805の端部には、両側面のそれぞれにベアリング608が配置されている。
【0078】
図8(a)から明らかなように、第二の遮蔽板802と第三の遮蔽板803との連結部分、及び第四の遮蔽板804と第五の遮蔽板805との連結部分には、それぞれ第一もしくは第二の接続手段806,807が配置されている。
【0079】
ただし、実施の形態2のX線遮蔽手段では、第一の遮蔽板801の端部すなわち第一の遮蔽板801の内で第二の遮蔽板802との連結がなされていない側の端部に図示しないアーム606が固定されている。従って、実施の形態1のX線遮蔽手段と同様に、このアーム606をZ’軸と平行に移動させることによって、実施の形態2のX線遮蔽手段によるX線ビームの遮蔽領域を増減させる。また、実施の形態2のX線遮蔽手段は、前述した実施の形態1のX線遮蔽手段と同様に、第一〜第五の遮蔽板801〜805からなる遮蔽板群が当該X線遮蔽手段の両端部分に配置された構成となっている。
【0080】
このとき、実施の形態2のX線遮蔽手段では、従来ではX線遮蔽手段102の左右にそれぞれ1枚づつ配置されていた遮蔽板を、それぞれ5枚づつの遮蔽板801〜805で構成すると共に、隣接する遮蔽板の端部を屈曲可能に連結した構成とすることによって、図8(b)に示すように、退避時には屈曲可能に連結した部分で遮蔽板を折り畳んで格納することができるので、退避時の遮蔽板の全長をさらに小さくすることができる。その結果、X線遮蔽範囲は小さくなり、遮蔽板の移動距離は小さくなる。従って、遮蔽板の移動距離が小さくなるので、遮蔽板の格納スペースが小さくなり、結果的に遮蔽板を小さくすることができる。
【0081】
ただし、実施の形態2の第一〜第五の遮蔽板801〜805の構造は、実施の形態1の第一及び第二の正面板704,705と同様に、平板に厚さが2mm以上の鉛をX線高吸収体701として配置した構成となっている。また、実施の形態2では、各遮蔽板801〜805の連結部分にはX線高吸収体701を配置しない構成としたが、これに限定されることはなく、連結部分にもX線高吸収体701を配置することによって、連結部分を透過してしまうX線を遮蔽することができることはいうまでもない。
【0082】
(実施の形態3)
図9は本発明の実施の形態3のX線装置であるX線CT装置におけるX線遮蔽手段の概略構成を説明するための図であり、901は遮蔽板、902は渦巻き状バネを示す。ただし、実施の形態3のX線CT装置は、X線遮蔽手段の構成を除く他の構成は実施の形態1のX線CT装置と同様となるので、以下の説明では、実施の形態3のX線遮蔽手段の構成についてのみ説明する。
【0083】
図9から明らかなように、実施の形態3では周知の渦巻き状バネ902の一端には遮蔽板901が配置されており、他端は固定されている。遮蔽板901の他端すなわち渦巻き状バネ902が接続されていない側の端部には、図示しないアーム606が固定されている。従って、実施の形態1のX線遮蔽手段と同様に、このアーム606をZ’軸と平行に移動させることによって、実施の形態3のX線遮蔽手段によるX線ビームの遮蔽領域を増減させる構成となっている。また、実施の形態3のX線遮蔽手段は、前述した実施の形態1のX線遮蔽手段と同様に、遮蔽板901が当該X線遮蔽手段の両端部分に配置された構成となっている。さらには、実施の形態3のX線遮蔽手段では、遮蔽板901は、例えば、鉛と同等のX線遮蔽能力を持つゴム状シートを素材として使用すればよい。
【0084】
このように、実施の形態3のX線遮蔽手段では、遮蔽板901に柔軟性を有する素材を使用することによって、退避時には遮蔽板901は渦巻き状バネ902と共に巻き取ることが可能となるので、退避時における遮蔽板901の格納部分の全長をさらに小さくすることができる。
【0085】
なお、実施の形態1〜3では、所定の回転角度毎にX線源からX線ビームを照射し被検体の透過X線を計測する構成としたが、これに限定されることはなく、例えば、撮影系の回転角に関わらずX線ビームを照射させてもよいことはいうまでもない。
【0086】
実施の形態1〜3では、同一個所を何度も繰り返し撮影する場合について説明したが、これに限定されることはなく、例えば右側の肺野全体のCT撮影を行う場合等のように、被検体106を撮影系の回転中心軸方向に移動させながら回転撮影を行うヘリカルスキャンにも適用可能なことはいうまでもない。
【0087】
実施の形態1〜3では、計測開始に当たり予備撮影を行い、この予備撮影の結果に基づいて本計測を行う構成としたがこれに限定されることはなく、例えば計測開始指示から本計測を行う構成としてもよいことはいうまでもない。ただし、この場合には、第1回転目の撮影における撮影系の回転周期とX線遮蔽手段102の開口幅の移動周期との同期は、予め設定された値を格納しておき、その値に基づいた周期で計測を行う。
【0088】
実施の形態1〜3では、撮影系の1回転毎に撮影系の回転周期とX線遮蔽手段102の開口幅の移動周期との位相ずれを補正する構成としたが、これに限定されることはなく、本実施の形態の撮影周期である1度の回転角毎に位相ずれを補正してよいことはいうまでもない。このように、本願発明では、撮影系の回転周期と開口幅の移動周期との位相ずれの補正は、所定の角度毎でよい。
【0089】
さらには、実施の形態1〜3では、X線検出器103として検出器108の層数が4の多層X線検出器を用いた場合について説明したが、これに限定されることはなく、例えば、検出器108の層数が1の多層X線検出器、あるいはX線イメージインテンシファイアとテレビカメラとを用いたいわゆる2次元検出器等を用いてもよいことはいうまでもない。
【0090】
また、本願発明は、一端にX線源が配置され、他端にX線検出器が配置されたC字型アームを被検体の周囲に回転させて撮像したX線像から断層像及び三次元像を再構成することが可能ないわゆる循環器用及び消化器用のX線装置にも適用可能なことはいうまでもない。
【0091】
以上、本発明者によってなされた発明を、前記発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記発明の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【0092】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
(1)X線源及びX線検出器が所定の回転角に達してから透過X線像の計測に要するまでの時間を補正することができる。
(2)再構成によって得られる再構成像の画質を向上させることができる。
(3)被検体の診断効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1のX線CT装置の概略構成を説明するための図である。
【図2】X線ビームの照射視野中心を含む撮影系の回転面での被検体とX線ビームの照射視野との位置関係を説明するための図である。
【図3】実施の形態1の照射角制御手段の動作を説明するための図である。
【図4】従来のX線遮蔽手段の概略構成を説明するための図である。
【図5】他の従来のX線遮蔽手段の概略構成を説明するための図である。
【図6】実施の形態1のX線遮蔽手段の概略構成を説明するための図である。
【図7】実施の形態1の遮蔽板の概略構成を説明するための図である。
【図8】本発明の実施の形態2のX線CT装置でのX線遮蔽手段の概略構成を説明するための図である。
【図9】本発明の実施の形態3のX線CT装置でのX線遮蔽手段の概略構成を説明するための図である。
【符号の説明】
101…X線源、102…X線遮蔽手段、103…X線検出器、104…走査駆動手段、105…回転角センサ、106…被検体、107…寝台、108…検出素子、109…X線制御手段、110…照射角制御手段、111…回転制御手段、112…制御手段、113…データ収集手段、114…再構成手段、115…操作卓、116…表示手段、117…照射視野中心、118…寝台制御手段、201…遮蔽板、401…タイミングプーリ、402…モータ、403…タイミングベルト、404…ガイドレール、405…連結部、601…モータ、602…タイミングベルト、603…第一のプーリ、604…第二のプーリ、605…ウォームギア、606…アーム、607…ガイドレール、608…ベアリング、609…バネ、701…X線高吸収体、702…第一の側面板、703…第二の側面板、704…第一の正面板、705…第二の正面板、706…第一のピン、707…第二のピン、801〜805…第一〜第五の遮蔽板、806,807…第一及び第二の接続手段、901…遮蔽板、902…渦巻き状バネ。
Claims (1)
- 撮影系の回転に応じてX線ビームの照射範囲を変位させ、所定部位以外へのX線ビームの照射を制限するX線装置において、
前記撮像系の回転周期と前記照射範囲の変位周期との位相ずれを計測する位相ずれ量計測手段と、位相ずれ量計測手段の計測結果に基づいて、前記撮影系の回転周期と前記照射範囲の変位周期とを同期させる同期手段を備えたことを特徴とするX線装置。
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