RF信号が予め記録されていない追記型および書換可能型の光記録媒体には、通常はトラッキングを行うための溝が形成されている。一般に、光記録媒体への入射光の側から見て、溝の凹部をランド、凸部をグルーブと呼ぶ。このような追記型および書換可能型の光記録媒体に対してフォーカス誤差信号を検出する場合、デフォーカス量が0の位置でのフォーカス誤差信号は厳密には0ではなく、光記録媒体に溝が形成されていることにより原理的にランドとグルーブで逆符号のオフセットを持つ。このオフセットは溝横断雑音によるオフセットと呼ばれる。
また、追記型および書換可能型の光記録媒体に対してトラック誤差信号を検出する場合、通常はプッシュプル法による検出を行うが、プッシュプル法によるトラック誤差信号は、光ヘッド装置の対物レンズが光記録媒体の半径方向にシフトするとオフセットを生じる。このオフセットはレンズシフトによるオフセットと呼ばれる。これらのオフセットによる記録再生特性の悪化を防ぐため、光ヘッド装置および光学式情報記録再生装置には、フォーカス誤差信号およびトラック誤差信号にオフセットを生じない工夫が求められる。
ところで、光学式情報記録再生装置における記録密度は、光ヘッド装置が光記録媒体上に形成する集光スポットの径の2乗に反比例する。すなわち、集光スポットの径が小さいほど記録密度は高くなる。集光スポットの径は光ヘッド装置における対物レンズの開口数に反比例する。すなわち、対物レンズの開口数が高いほど集光スポットの径は小さくなる。
一方、光記録媒体の基板の厚さが設計値からずれると、基板厚ずれに起因する球面収差により集光スポットの形状が乱れ、記録再生特性が悪化する。球面収差は対物レンズの開口数の4乗に比例するため、対物レンズの開口数が高いほど記録再生特性に対する光記録媒体の基板厚ずれのマージンは狭くなる。
また、光記録媒体が対物レンズに対して半径方向に傾くと、半径方向の傾き(ラジアルチルト)に起因するコマ収差により集光スポットの形状が乱れ、記録再生特性が悪化する。コマ収差は対物レンズの開口数の3乗に比例するため、対物レンズの開口数が高いほど記録再生特性に対する光記録媒体のラジアルチルトのマージンは狭くなる。
従って、記録密度を高めるために対物レンズの開口数を高めた光ヘッド装置および光学式情報記録再生装置においては、記録再生特性を悪化させないために、光記録媒体の基板厚ずれおよびラジアルチルトを検出、補正することが必要である。
フォーカス誤差信号およびトラック誤差信号にオフセットを生じず、かつ光記録媒体の基板厚ずれおよびラジアルチルトを検出することが可能な光ヘッド装置および光学式情報記録再生装置としては、特許文献1に記載の光ヘッド装置および光学式情報記録再生装置がある。
図19に、特許文献1に記載の第一の光ヘッド装置の構成を示す。
半導体レーザ1からの出射光は、コリメータレンズ2で平行光化され、回折光学素子3gによりメインビームである1つの透過光、第一のサブビームである2つの回折光、第二のサブビームである2つの回折光の合計5つの光に分割される。これらの光は、偏光ビームスプリッタ4にP偏光として入射してほぼ100%が透過し、1/4波長板5を透過して直線偏光から円偏光に変換され、対物レンズ6でディスク7上に集光される。
ディスク7からの5つの反射光は、対物レンズ6を逆向きに透過し、1/4波長板5を透過して円偏光から往路と偏光方向が直交した直線偏光に変換され、偏光ビームスプリッタ4にS偏光として入射してほぼ100%が反射され、円筒レンズ8、レンズ9を透過して光検出器10bで受光される。光検出器10bは、円筒レンズ8、レンズ9の2つの焦線の中間に設置されている。
図20は、回折光学素子3gの平面図である。
回折光学素子3gは、図中に点線で示す対物レンズ6の有効径より小さい直径を有する円の内側の領域13aおよび外側の領域13bに回折格子が形成された構成である。回折格子における格子の方向は、いずれもディスク7の半径方向にほぼ平行であり、格子のパタンは、いずれも等間隔の直線状である。領域13aにおける格子の間隔と領域13bにおける格子の間隔は等しい。
領域13aに入射した光は、0次光として約80.0%が透過し、±1次回折光としてそれぞれ約3.2%が回折され、±2次回折光としてそれぞれ約3.0%が回折される。一方、領域13bに入射した光は、0次光として約91.0%が透過し、±1次回折光としてそれぞれ約3.6%が回折され、±2次回折光としては回折されない。
回折光学素子3gからの0次光をメインビーム、±1次回折光を第一のサブビーム、±2次回折光を第二のサブビームとすると、メインビームおよび第一のサブビームには、領域13aからの透過光または回折光と領域13bからの透過光または回折光の両方が同じ比率で含まれ、第二のサブビームには、領域13aからの回折光のみが含まれる。
その結果、メインビームと第一のサブビームは、強度分布が同じであり、メインビームと第二のサブビームは、強度分布が異なる。第二のサブビームは、メインビームに比べて周辺部の強度が低い。
図21にディスク7上の集光スポットの配置を示す。
集光スポット17a、17j、17k、17l、17mは、それぞれ回折光学素子3gからの0次光、+1次回折光、−1次回折光、+2次回折光、−2次回折光に相当する。集光スポット17aはトラック16(ランドまたはグルーブ)上、集光スポット17jはトラック16の1つ右側に隣接するトラック(グルーブまたはランド)上、集光スポット17kはトラック16の1つ左側に隣接するトラック(グルーブまたはランド)上、集光スポット17lはトラック16の2つ右側に隣接するトラック(ランドまたはグルーブ)上、集光スポット17mはトラック16の2つ左側に隣接するトラック(ランドまたはグルーブ)上にそれぞれ配置されている。
第一のサブビームは、メインビームと強度分布が同じであるため、第一のサブビームである集光スポット17j、17kは、メインビームである集光スポット17aと径が等しい。一方、第二のサブビームは、メインビームに比べて周辺部の強度が低いため、第二のサブビームである集光スポット17l、17mは、メインビームである集光スポット17aに比べて径が大きい。
図22に光検出器10bの受光部のパタンと光検出器10b上の光スポットの配置を示す。
光スポット18aは、回折光学素子3gからの0次光に相当し、光軸を通るディスク7の接線方向に平行な分割線および半径方向に平行な分割線で4つに分割された受光部20a〜20dで受光される。
光スポット18fは、回折光学素子3gからの+1次回折光に相当し、光軸を通るディスク7の接線方向に平行な分割線および半径方向に平行な分割線で4つに分割された受光部20e〜20hで受光される。
光スポット18gは、回折光学素子3gからの−1次回折光に相当し、光軸を通るディスク7の接線方向に平行な分割線および半径方向に平行な分割線で4つに分割された受光部20i〜20lで受光される。
光スポット18hは、回折光学素子3gからの+2次回折光に相当し、光軸を通るディスク7の接線方向に平行な分割線および半径方向に平行な分割線で4つに分割された受光部20m〜20pで受光される。
光スポット18iは、回折光学素子3gからの−2次回折光に相当し、光軸を通るディスク7の接線方向に平行な分割線および半径方向に平行な分割線で4つに分割された受光部20q〜20tで受光される。
ディスク7上の集光スポット17a、17j、17k、17l、17mの列は、ほぼ接線方向であるが、円筒レンズ8およびレンズ9の作用により、光検出器10b上の光スポット18a、18f、18g、18h、18iの列は、ほぼ半径方向となる。
受光部20a〜20tからの出力をそれぞれV20a〜V20tで表わすと、メインビームである集光スポット17a、第一のサブビームである集光スポット17j、17k、第二のサブビームである集光スポット17l、17mによるフォーカス誤差信号は、非点収差法により、それぞれ(V20a+V20d)−(V20b+V20c)、(V20e+V20h+V20i+V20l)−(V20f+V20g+V20j+V20k)、(V20m+V20p+V20q+V20t)−(V20n+V20o+V20r+V20s)の演算から得られる。
差動非点収差法によるフォーカス誤差信号は、(V20a+V20d)−(V20b+V20c)+K{(V20e+V20h+V20i+V20l)−(V20f+V20g+V20j+V20k)}(Kは定数)の演算から得られる。
一方、メインビームである集光スポット17a、第一のサブビームである集光スポット17j、17k、第二のサブビームである集光スポット17l、17mによるトラック誤差信号は、プッシュプル法により、それぞれ(V20a+V20b)−(V20c+V20d)、(V20e+V20f+V20i+V20j)−(V20g+V20h+V20k+V20l)、(V20m+V20n+V20q+V20r)−(V20o+V20p+V20s+V20t)の演算から得られる。
差動プッシュプル法によるトラック誤差信号は、(V20a+V20b)−(V20c+V20d)−K{(V20e+V20f+V20i+V20j)−(V20g+V20h+V20k+V20l)}の演算から得られる。
また、メインビームである集光スポット17aによるRF信号は、V20a+V20b+V20c+V20dの演算から得られる。
図23(a)〜(c)に各種のフォーカス誤差信号を示す。
図23(a)〜(c)において、横軸はディスク7のデフォーカス量、縦軸はフォーカス誤差信号である。
図23(a)に示すフォーカス誤差信号25aは、集光スポット17aがランド上に配置されている場合の集光スポット17aによるフォーカス誤差信号であり、フォーカス誤差信号25bは、集光スポット17aがグルーブ上に配置されている場合の集光スポット17aによるフォーカス誤差信号である。
また、図23(b)に示すフォーカス誤差信号25cは、集光スポット17aがランド上に配置されている場合の集光スポット17j、17kによるフォーカス誤差信号であり、フォーカス誤差信号25dは、集光スポット17aがグルーブ上に配置されている場合の集光スポット17j、17kによるフォーカス誤差信号である。
デフォーカス量が0の位置でのフォーカス誤差信号は、厳密には0ではなく、図23(a)においては、ランドでは正、グルーブでは負、図23(b)においては、ランドでは負、グルーブでは正のオフセットを持っている。
これに対し、図23(c)に示すフォーカス誤差信号25eは、集光スポット17aがランド上、グルーブ上に配置されている場合の集光スポット17aによるフォーカス誤差信号と集光スポット17j、17kによるフォーカス誤差信号の和である差動非点収差法によるフォーカス誤差信号である。図23(c)においては、図23(a)、(b)におけるフォーカス誤差信号のオフセットが相殺され、フォーカス誤差信号にオフセットを生じない。
図24(a)〜(c)に各種のトラック誤差信号を示す。
図24(a)〜(c)において、横軸はディスク7のオフトラック量、縦軸はトラック誤差信号である。
図24(a)に示すトラック誤差信号26aは、対物レンズ6がディスク7の半径方向の外側にシフトした場合の集光スポット17aによるトラック誤差信号であり、トラック誤差信号26bは、対物レンズ6がディスク7の半径方向の外側にシフトした場合の集光スポット17j、17kによるトラック誤差信号である。
また、図24(b)に示すトラック誤差信号26cは、対物レンズ6がディスク7の半径方向の内側にシフトした場合の集光スポット17aによるトラック誤差信号であり、トラック誤差信号26dは、対物レンズ6がディスク7の半径方向の内側にシフトした場合の集光スポット17j、17kによるトラック誤差信号である。
集光スポット17aによるトラック誤差信号と集光スポット17j、17kによるトラック誤差信号は、極性が逆であるが、対物レンズ6がディスク7の半径方向にシフトした場合のオフセットの符号は、同じであり、図24(a)においては正、図24(b)においては負のオフセットを持っている。
これに対し、図24(c)に示すトラック誤差信号26eは、対物レンズ6がディスク7の半径方向の外側、内側にシフトした場合の集光スポット17aによるトラック誤差信号と集光スポット17j、17kによるトラック誤差信号の差である差動プッシュプル法によるトラック誤差信号である。図24(c)においては、図24(a)、(b)におけるトラック誤差信号のオフセットが相殺され、トラック誤差信号にオフセットを生じない。
図25(a)〜(c)に基板厚ずれの検出に関わる各種のフォーカス誤差信号を示す。
図25(a)〜(c)において、横軸はディスク7のデフォーカス量、縦軸はフォーカス誤差信号である。
図25(a)に示すフォーカス誤差信号27aは、ディスク7に基板厚ずれがない場合の集光スポット17aによるフォーカス誤差信号、集光スポット17l、17mによるフォーカス誤差信号である。
これに対し、図25(b)に示すフォーカス誤差信号27bは、ディスク7に正の基板厚ずれがある場合の集光スポット17aによるフォーカス誤差信号、フォーカス誤差信号27cは、ディスク7に正の基板厚ずれがある場合の集光スポット17l、17mによるフォーカス誤差信号である。
また、図25(c)に示すフォーカス誤差信号27dは、ディスク7に負の基板厚ずれがある場合の集光スポット17aによるフォーカス誤差信号、フォーカス誤差信号27eは、ディスク7に負の基板厚ずれがある場合の集光スポット17l、17mによるフォーカス誤差信号である。集光スポット17aによるフォーカス誤差信号が0点を横切る位置がジャストフォーカスに相当する。
ディスク7に基板厚ずれがない場合、集光スポット17l、17mによるフォーカス誤差信号は、集光スポット17aによるフォーカス誤差信号とゼロクロス点が一致し、ジャストフォーカスで0となる。
これに対し、ディスク7に正の基板厚ずれがある場合、集光スポット17l、17mによるフォーカス誤差信号は、集光スポット17aによるフォーカス誤差信号に対してゼロクロス点が図の左側にずれ、ジャストフォーカスで正となる。
また、ディスク7に負の基板厚ずれがある場合、集光スポット17l、17mによるフォーカス誤差信号は、集光スポット17aによるフォーカス誤差信号に対してゼロクロス点が図の右側にずれ、ジャストフォーカスで負となる。
従って、メインビームである集光スポット17aによるフォーカス誤差信号を用いてフォーカスサーボをかけた時の第二のサブビームである集光スポット17l、17mによるフォーカス誤差信号を基板厚ずれ信号として用いることができる。
図26(a)〜(c)にラジアルチルトの検出に関わる各種のトラック誤差信号を示す。
図26(a)〜(c)において、横軸はディスク7のオフトラック量、縦軸はトラック誤差信号である。
図26(a)に示すトラック誤差信号28aは、ディスク7にラジアルチルトがない場合の集光スポット17aによるトラック誤差信号、集光スポット17l、17mによるトラック誤差信号である。
これに対し、図26(b)に示すトラック誤差信号28bは、ディスク7に正のラジアルチルトがある場合の集光スポット17aによるトラック誤差信号、トラック誤差信号28cはディスク7に正のラジアルチルトがある場合の集光スポット17l、17mによるトラック誤差信号である。
また、図26(c)に示すトラック誤差信号28dは、ディスク7に負のラジアルチルトがある場合の集光スポット17aによるトラック誤差信号、トラック誤差信号28eはディスク7に負のラジアルチルトがある場合の集光スポット17l、17mによるトラック誤差信号である。集光スポット17aによるトラック誤差信号が−側から+側へ0点を横切る位置がランド、+側から−側へ0点を横切る位置がグルーブに相当する。
ディスク7にラジアルチルトがない場合、集光スポット17l、17mによるトラック誤差信号は、集光スポット17aによるトラック誤差信号とゼロクロス点が一致し、ランド、グルーブのどちらでも0となる。
これに対し、ディスク7に正のラジアルチルトがある場合、集光スポット17l、17mによるトラック誤差信号は、集光スポット17aによるトラック誤差信号に対してゼロクロス点が図の左側にずれ、ランドでは正、グルーブでは負となる。
また、ディスク7に負のラジアルチルトがある場合、集光スポット17l、17mによるトラック誤差信号は、集光スポット17aによるトラック誤差信号に対してゼロクロス点が図の右側にずれ、ランドでは負、グルーブでは正となる。
従って、集光スポット17aによるトラック誤差信号を用いてトラックサーボをかけた時の集光スポット17l、17mによるトラック誤差信号をラジアルチルト信号として用いることができる。
特許文献1には、第二の光ヘッド装置の構成も記載されている。特許文献1に記載の第二の光ヘッド装置は、特許文献1に記載の第一の光ヘッド装置における回折光学素子3g、光検出器10bをそれぞれ回折光学素子3h、光検出器10aに置き換えたものであり、その構成は図19に示すものと同じである。
図27は、回折光学素子3hの平面図である。
回折光学素子3hは、図中に点線で示す対物レンズ6の有効径より小さい直径を有する円の内側には、入射光の光軸を通りディスク7の半径方向に平行な直線で領域13c、13dの2つに分割された回折格子が形成されており、外側には、入射光の光軸を通りディスク7の半径方向に平行な直線で領域13e、13fの2つに分割された回折格子が形成された構成である。回折格子における格子の方向は、いずれもディスク7の半径方向にほぼ平行であり、格子のパタンはいずれも等間隔の直線状である。領域13c、13d、13e、13fにおける格子の間隔は、全て等しい。
領域13c、13fに入射した光は、0次光として約40.5%が透過し、+1次回折光として約40.5%が回折され、−1次回折光としては、約4.5%しか回折されない。一方、領域13d、13eに入射した光は、0次光として約40.5%が透過し、−1次回折光として約40.5%が回折され、+1次回折光としては約4.5%しか回折されない。
回折光学素子3hからの0次光をメインビーム、+1次回折光をサブビーム1、−1次回折光をサブビーム2とすると、メインビームには、領域13c、13d、13e、13fからの透過光が同じ比率で含まれ、サブビーム1には、主として領域13c、13fからの回折光のみが含まれ、サブビーム2には、主として領域13d、13eからの回折光のみが含まれる。
その結果、メインビームとサブビーム1、サブビーム2では、対物レンズ6に入射する際の強度分布が異なる。サブビーム1は、メインビームに比べて上半分では周辺部の強度が低く、下半分では周辺部の強度が高く、サブビーム2は、メインビームに比べて上半分では周辺部の強度が高く、下半分では周辺部の強度が低い。サブビーム1の強度分布とサブビーム2の強度分布を加えたものはメインビームの強度分布と同じである。
図28にディスク7上の集光スポットの配置を示す。
集光スポット17a、17n、17oは、それぞれ回折光学素子3hからの0次光、+1次回折光、−1次回折光に相当する。集光スポット17aは、トラック16(ランドまたはグルーブ)上、集光スポット17nは、トラック16の右側に隣接するトラック(グルーブまたはランド)上、集光スポット17oは、トラック16の左側に隣接するトラック(グルーブまたはランド)上にそれぞれ配置されている。
図29に光検出器10aの受光部のパタンと光検出器10a上の光スポットの配置を示す。
光スポット18aは、回折光学素子3hからの0次光に相当し、光軸を通るディスク7の接線方向に平行な分割線および半径方向に平行な分割線で4つに分割された受光部19a〜19dで受光される。
光スポット18jは、回折光学素子3hからの+1次回折光に相当し、光軸を通るディスク7の接線方向に平行な分割線および半径方向に平行な分割線で4つに分割された受光部19e〜19hで受光される。
光スポット18kは、回折光学素子3hからの−1次回折光に相当し、光軸を通るディスク7の接線方向に平行な分割線および半径方向に平行な分割線で4つに分割された受光部19i〜19lで受光される。
ディスク7上の集光スポット17a、17n、17oの列は、ほぼ接線方向であるが、円筒レンズ8およびレンズ9の作用により、光検出器10a上の光スポット18a、18j、18kの列は、ほぼ半径方向となる。
受光部19a〜19lからの出力をそれぞれV19a〜V19lで表わすと、メインビームである集光スポット17a、サブビームである集光スポット17n、17oによるフォーカス誤差信号は、非点収差法により、それぞれ(V19a+V19d)−(V19b+V19c)、(V19e+V19h+V19i+V19l)−(V19f+V19g+V19j+V19k)の演算から得られる。
差動非点収差法によるフォーカス誤差信号は、(V19a+V19d)−(V19b+V19c)+K{(V19e+V19h+V19i+V19l)−(V19f+V19g+V19j+V19k)}(Kは定数)の演算から得られる。
一方、メインビームである集光スポット17a、サブビームである集光スポット17n、17oによるトラック誤差信号は、プッシュプル法により、それぞれ(V19a+V19b)−(V19c+V19d)、(V19e+V19f+V19i+V19j)−(V19g+V19h+V19k+V19l)の演算から得られる。
差動プッシュプル法によるトラック誤差信号は、(V19a+V19b)−(V19c+V19d)−K{(V19e+V19f+V19i+V19j)−(V19g+V19h+V19k+V19l)}の演算から得られる。また、メインビームである集光スポット17aによるRF信号は、V19a+V19b+V19c+V19dの演算から得られる。
メインビームである集光スポット17aによるフォーカス誤差信号は、図23(a)のフォーカス誤差信号25a、図23(b)のフォーカス誤差信号25cと同じである。また、サブビーム1の強度分布とサブビーム2の強度分布を加えたものは、メインビームの強度分布と同じであるため、サブビームである集光スポット17n、17oによるフォーカス誤差信号は、図23(a)のフォーカス誤差信号25b、図23(b)のフォーカス誤差信号25dと同じである。
従って、集光スポット17aによるフォーカス誤差信号と集光スポット17n、17oによるフォーカス誤差信号の和である差動非点収差法によるフォーカス誤差信号は、図23(c)のフォーカス誤差信号25eと同じである。すなわち、本光ヘッド装置においては、フォーカス誤差信号にオフセットを生じない。
メインビームである集光スポット17aによるトラック誤差信号は、図24(a)のトラック誤差信号26a、図24(b)のトラック誤差信号26cと同じである。また、サブビーム1の強度分布とサブビーム2の強度分布を加えたものは、メインビームの強度分布と同じであるため、サブビームである集光スポット17n、17oによるトラック誤差信号は、図24(a)のトラック誤差信号26b、図24(b)のトラック誤差信号26dと同じである。
従って、集光スポット17aによるトラック誤差信号と集光スポット17n、17oによるトラック誤差信号の差である差動プッシュプル法によるトラック誤差信号は、図24(c)のトラック誤差信号26eと同じである。すなわち、本光ヘッド装置においては、トラック誤差信号にオフセットを生じない。
メインビームである集光スポット17aによるフォーカス誤差信号は、ディスク7に基板厚ずれがない場合は、図25(a)のフォーカス誤差信号27a、ディスク7に正の基板厚ずれがある場合は、図25(b)のフォーカス誤差信号27b、ディスク7に負の基板厚ずれがある場合は、図25(c)のフォーカス誤差信号27dと同じである。
サブビーム1である集光スポット17nのうち回折光学素子3hの領域13cからの回折光によるフォーカス誤差信号(上半分のフォーカス誤差信号)である19e−19g、サブビーム2である集光スポット17oのうち回折光学素子3hの領域13dからの回折光によるフォーカス誤差信号(下半分のフォーカス誤差信号)である19l−19jは、ディスク7に基板厚ずれがない場合は、図25(a)のフォーカス誤差信号27a、ディスク7に正の基板厚ずれがある場合は、図25(b)のフォーカス誤差信号27c、ディスク7に負の基板厚ずれがある場合は、図25(c)のフォーカス誤差信号27eと同じである。
サブビーム1である集光スポット17nのうち回折光学素子3hの領域13fからの回折光によるフォーカス誤差信号(下半分のフォーカス誤差信号)である19h−19f、サブビーム2である集光スポット17oのうち回折光学素子3hの領域13eからの回折光によるフォーカス誤差信号(上半分のフォーカス誤差信号)である19i−19kは、ディスク7に基板厚ずれがない場合は、図25(a)のフォーカス誤差信号27a、ディスク7に正の基板厚ずれがある場合は、図25(c)のフォーカス誤差信号27e、ディスク7に負の基板厚ずれがある場合は、図25(b)のフォーカス誤差信号27cと同じである。
従って、サブビーム1の上半分およびサブビーム2の下半分のフォーカス誤差信号とサブビーム1の下半分およびサブビーム2の上半分のフォーカス誤差信号の差である(19e+19f+19k+19l)−(19g+19h+19i+19j)は、ディスク7に基板厚ずれがない場合は、ジャストフォーカスで0、ディスク7に正の基板厚ずれがある場合は、ジャストフォーカスで正、ディスク7に負の基板厚ずれがある場合は、ジャストフォーカスで負となる。すなわち、メインビームのフォーカス誤差信号を用いてフォーカスサーボをかけた時の、サブビーム1の上半分およびサブビーム2の下半分のフォーカス誤差信号とサブビーム1の下半分およびサブビーム2の上半分のフォーカス誤差信号の差を基板厚ずれ信号として用いることができる。
メインビームである集光スポット17aによるトラック誤差信号は、ディスク7にラジアルチルトがない場合は、図26(a)のトラック誤差信号28a、ディスク7に正のラジアルチルトがある場合は、図26(b)のトラック誤差信号28b、ディスク7に負のラジアルチルトがある場合は、図26(c)のトラック誤差信号28dと同じである。
サブビーム1である集光スポット17nのうち回折光学素子3hの領域13cからの回折光によるトラック誤差信号(上半分のトラック誤差信号)である19e−19g、サブビーム2である集光スポット17oのうち回折光学素子3hの領域13dからの回折光によるトラック誤差信号(下半分のトラック誤差信号)である19j−19lは、ディスク7にラジアルチルトがない場合は、図26(a)のトラック誤差信号28a、ディスク7に正のラジアルチルトがある場合は、図26(b)のトラック誤差信号28c、ディスク7に負のラジアルチルトがある場合は、図26(c)のトラック誤差信号28eと同じである。
サブビーム1である集光スポット17nのうち回折光学素子3hの領域13fからの回折光によるトラック誤差信号(下半分のトラック誤差信号)である19f−19h、サブビーム2である集光スポット17oのうち回折光学素子3hの領域13eからの回折光によるトラック誤差信号(上半分のトラック誤差信号)である19i−19kは、ディスク7にラジアルチルトがない場合は、図26(a)のトラック誤差信号28a、ディスク7に正のラジアルチルトがある場合は、図26(c)のトラック誤差信号28e、ディスク7に負のラジアルチルトがある場合は、図26(b)のトラック誤差信号28cと同じである。
従って、サブビーム1の上半分およびサブビーム2の下半分のトラック誤差信号とサブビーム1の下半分およびサブビーム2の上半分のトラック誤差信号の差である(19e+19h+19j+19k)−(19f+19g+19i+19l)は、ディスク7にラジアルチルトがない場合は、ランド、グルーブのどちらでも0、ディスク7に正のラジアルチルトがある場合は、ランドでは正、グルーブでは負、ディスク7に負のラジアルチルトがある場合はランドでは負、グルーブでは正となる。
すなわち、メインビームのトラック誤差信号を用いてトラックサーボをかけた時の、サブビーム1の上半分およびサブビーム2の下半分のトラック誤差信号とサブビーム1の下半分およびサブビーム2の上半分のトラック誤差信号の差をラジアルチルト信号として用いることができる。
特開2003−051130号公報
特開平9−81942号公報
特開平11−296875号公報
以下に図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
(第一の実施の形態)
本発明の第一の実施の形態における光ヘッド装置は、特許文献1に記載の第一の光ヘッド装置における回折光学素子3g、光検出器10bをそれぞれ回折光学素子3a、光検出器10aに置き換えたものであり、その構成は図19に示すものと同じである。回折光学素子3aは、本発明のビーム生成手段に対応する。
図1は、回折光学素子3aの平面図である。
回折光学素子3aは、図中に点線で示す対物レンズ6の有効径より小さい直径を有する円の内側には、入射光の光軸を通りディスク7の半径方向に平行な直線で領域11a、11bの2つに分割された回折格子が形成されており、外側には、入射光の光軸を通りディスク7の半径方向に平行な直線で領域11c、11dの2つに分割された回折格子が形成された構成である。回折格子における格子の方向は、いずれもディスク7の半径方向にほぼ平行であり、格子のパタンは、いずれも等間隔の直線状である。領域11a、11b、11c、11dにおける格子の間隔は、全て等しい。
図2(a)〜(d)は、回折光学素子3aの断面図である。
回折光学素子3aは、領域11aにおいては、図2(a)に示すように基板14上に矩形状の断面形状を有する格子15aが形成されており、領域11bにおいては、図2(b)に示すように基板14上に矩形状の断面形状を有する格子15bが形成されており、領域11cにおいては、図2(c)に示すように基板14上に8レベルの階段状の断面形状を有する格子15cが形成されており、領域11dにおいては、図2(d)に示すように基板14上に8レベルの階段状の断面形状を有する格子15dが形成された構成である。
格子15a、15b、15c、15dの間隔は、いずれもPである。
格子15aの断面形状は、幅がP/2で高さがH2の部分、幅がP/2で高さがH1+H2の部分の繰り返しである。また、格子15bの断面形状は、幅がP/2で高さがH1+H2の部分、幅がP/2で高さがH2の部分の繰り返しである。
一方、格子15cの断面形状は、幅がP/8で高さが0の部分、幅がP/8で高さがH5の部分、幅がP/8で高さがH4の部分、幅がP/8で高さがH4+H5の部分、幅がP/8で高さがH3の部分、幅がP/8で高さがH3+H5の部分、幅がP/8で高さがH3+H4の部分、幅がP/8で高さがH3+H4+H5の部分の繰り返しである。また、格子15dの断面形状は、幅がP/8で高さがH3+H4+H5の部分、幅がP/8で高さがH3+H4の部分、幅がP/8で高さがH3+H5の部分、幅がP/8で高さがH3の部分、幅がP/8で高さがH4+H5の部分、幅がP/8で高さがH4の部分、幅がP/8で高さがH5の部分、幅がP/8で高さが0の部分の繰り返しである。
ここで、半導体レーザ1の波長をλ、格子15a、15b、15c、15dの屈折率をnとし、H1=0.115λ/(n−1)、H2=0.073λ/(n−1)、H3=0.078λ/(n−1)、H4=0.122λ/(n−1)、H5=0.061λ/(n−1)であるとする。また、回折光学素子3aにおける+1次回折光は、図1の上側および図2(a)〜(d)の左側に偏向され、−1次回折光は、図1の下側および図2(a)〜(d)の右側に偏向されるものとする。
このとき、格子15a、15bの透過率、+1次回折効率、−1次回折効率は、それぞれ約87.5%、約5.1%、約5.1%となる。一方、格子15cの透過率、+1次回折効率、−1次回折効率は、それぞれ約78.0%、約0.6%、約4.5%となる。また、格子15dの透過率、+1次回折効率、−1次回折効率は、それぞれ約78.0%、約4.5%、約0.6%となる。
すなわち、領域11a、11bに入射した光は、0次光として約87.5%が透過し、±1次回折光としてそれぞれ約5.1%が回折される。一方、領域11cに入射した光は、0次光として約78.0%が透過し、−1次回折光として約4.5%が回折され、+1次回折光としては約0.6%しか回折されない。また、領域11dに入射した光は、0次光として約78.0%が透過し、+1次回折光として約4.5%が回折され、−1次回折光としては約0.6%しか回折されない。
回折光学素子3aからの0次光をメインビーム、+1次回折光をサブビーム1、−1次回折光をサブビーム2とすると、メインビームには、領域11a、11bからの透過光と領域11c、11dからの透過光が約1.1:1の比率で含まれる。
一方、サブビーム1の上半分には、主として領域11aからの回折光のみが含まれ、サブビーム1の下半分には、領域11bからの回折光と領域11dからの回折光が約1.1:1の比率で含まれる。また、サブビーム2の上半分には、領域11aからの回折光と領域11cからの回折光が約1.1:1の比率で含まれ、サブビーム2の下半分には、主として領域11bからの回折光のみが含まれる。
その結果、メインビームとサブビーム1、サブビーム2では、対物レンズ6に入射する際の強度分布が異なる。サブビーム1は、上半分ではメインビームに比べて周辺部の強度が低く、下半分ではメインビームと強度分布がほぼ同じである。また、サブビーム2は、上半分ではメインビームと強度分布がほぼ同じであり、下半分ではメインビームに比べて周辺部の強度が低い。
図3にディスク7上の集光スポットの配置を示す。
集光スポット17a、17b、17cは、それぞれ回折光学素子3aからの0次光、+1次回折光、−1次回折光に相当する。集光スポット17aは、トラック16(ランドまたはグルーブ)上、集光スポット17bは、トラック16の右側に隣接するトラック(グルーブまたはランド)上、集光スポット17cは、トラック16の左側に隣接するトラック(グルーブまたはランド)上にそれぞれ配置されている。
サブビーム1は、メインビームに比べて上半分で周辺部の強度が低いため、サブビーム1である集光スポット17bは、メインビームである集光スポット17aに比べて径が大きい。また、サブビーム2は、メインビームに比べて下半分で周辺部の強度が低いため、サブビーム2である集光スポット17cは、メインビームである集光スポット17aに比べて径が大きい。
図4に光検出器10aの受光部のパタンと光検出器10a上の光スポットの配置を示す。
光スポット18aは、回折光学素子3aからの0次光に相当し、光軸を通るディスク7の接線方向に平行な分割線および半径方向に平行な分割線で4つに分割された受光部19a〜19dで受光される。
光スポット18bは、回折光学素子3aからの+1次回折光に相当し、光軸を通るディスク7の接線方向に平行な分割線および半径方向に平行な分割線で4つに分割された受光部19e〜19hで受光される。
光スポット18cは、回折光学素子3aからの−1次回折光に相当し、光軸を通るディスク7の接線方向に平行な分割線および半径方向に平行な分割線で4つに分割された受光部19i〜19lで受光される。
ディスク7上の集光スポット17a、17b、17cの列は、ほぼ接線方向であるが、円筒レンズ8およびレンズ9の作用により、光検出器10a上の光スポット18a、18b、18cの列はほぼ半径方向となる。
受光部19a〜19lからの出力をそれぞれV19a〜V19lで表わすと、メインビームである集光スポット17aによるフォーカス誤差信号は非点収差法により、(V19a+V19d)−(V19b+V19c)の演算から得られる。
サブビーム1である集光スポット17bのうち回折光学素子3aの領域11b、11dからの回折光によるフォーカス誤差信号(下半分のフォーカス誤差信号)は、非点収差法により、V19h−V19fの演算から得られる。
サブビーム2である集光スポット17cのうち回折光学素子3aの領域11a、11cからの回折光によるフォーカス誤差信号(上半分のフォーカス誤差信号)は、非点収差法により、V19i−V19kの演算から得られる。
差動非点収差法によるフォーカス誤差信号は、(V19a+V19d)−(V19b+V19c)+K{(V19h+V19i)−(V19f+V19k)}(Kは定数)の演算から得られる。
一方、メインビームである集光スポット17aによるトラック誤差信号はプッシュプル法により、(V19a+V19b)−(V19c+V19d)の演算から得られる。
サブビーム1である集光スポット17bのうち回折光学素子3aの領域11b、11dからの回折光によるトラック誤差信号(下半分のトラック誤差信号)は、プッシュプル法により、V19f−V19hの演算から得られる。
サブビーム2である集光スポット17cのうち回折光学素子3aの領域11a、11cからの回折光によるトラック誤差信号(上半分のトラック誤差信号)は、プッシュプル法により、V19i−V19kの演算から得られる。
差動プッシュプル法によるトラック誤差信号は、(V19a+V19b)−(V19c+V19d)−K{(V19f+V19i)−(V19h+V19k)}の演算から得られる。また、メインビームである集光スポット17aによるRF信号は、V19a+V19b+V19c+V19dの演算から得られる。
メインビームである集光スポット17aによるフォーカス誤差信号は、図23(a)のフォーカス誤差信号25a、図23(b)のフォーカス誤差信号25cと同じである。また、サブビーム1の下半分の強度分布およびサブビーム2の上半分の強度分布は、メインビームの強度分布とほぼ同じであるため、サブビーム1である集光スポット17bによる下半分のフォーカス誤差信号およびサブビーム2である集光スポット17cによる上半分のフォーカス誤差信号は、図23(a)のフォーカス誤差信号25b、図23(b)のフォーカス誤差信号25dと同じである。
従って、集光スポット17aによるフォーカス誤差信号と集光スポット17bによる下半分のフォーカス誤差信号および集光スポット17cによる上半分のフォーカス誤差信号の和である差動非点収差法によるフォーカス誤差信号は、図23(c)のフォーカス誤差信号25eと同じである。すなわち、本光ヘッド装置においては、フォーカス誤差信号にオフセットを生じない。
メインビームである集光スポット17aによるトラック誤差信号は、図24(a)のトラック誤差信号26a、図24(b)のトラック誤差信号26cと同じである。また、サブビーム1の下半分の強度分布およびサブビーム2の上半分の強度分布は、メインビームの強度分布とほぼ同じであるため、サブビーム1である集光スポット17bによる下半分のトラック誤差信号およびサブビーム2である集光スポット17cによる上半分のトラック誤差信号は、図24(a)のトラック誤差信号26b、図24(b)のトラック誤差信号26dと同じである。
従って、集光スポット17aによるトラック誤差信号と集光スポット17bによる下半分のトラック誤差信号および集光スポット17cによる上半分のトラック誤差信号の差である差動プッシュプル法によるトラック誤差信号は、図24(c)のトラック誤差信号26eと同じである。すなわち、本光ヘッド装置においては、トラック誤差信号にオフセットを生じない。
メインビームである集光スポット17aによるフォーカス誤差信号は、ディスク7に基板厚ずれがない場合は図25(a)のフォーカス誤差信号27a、ディスク7に正の基板厚ずれがある場合は図25(b)のフォーカス誤差信号27b、ディスク7に負の基板厚ずれがある場合は図25(c)のフォーカス誤差信号27dと同じである。
サブビーム1である集光スポット17bのうち回折光学素子3aの領域11aからの回折光によるフォーカス誤差信号(上半分のフォーカス誤差信号)である19e−19g、サブビーム2である集光スポット17cのうち回折光学素子3aの領域11bからの回折光によるフォーカス誤差信号(下半分のフォーカス誤差信号)である19l−19jは、ディスク7に基板厚ずれがない場合は、図25(a)のフォーカス誤差信号27a、ディスク7に正の基板厚ずれがある場合は、図25(b)のフォーカス誤差信号27c、ディスク7に負の基板厚ずれがある場合は、図25(c)のフォーカス誤差信号27eと同じである。
従って、サブビーム1の上半分およびサブビーム2の下半分のフォーカス誤差信号である(19e+19l)−(19g+19j)は、ディスク7に基板厚ずれがない場合は、ジャストフォーカスで0、ディスク7に正の基板厚ずれがある場合は、ジャストフォーカスで正、ディスク7に負の基板厚ずれがある場合は、ジャストフォーカスで負となる。すなわち、メインビームのフォーカス誤差信号を用いてフォーカスサーボをかけた時の、サブビーム1の上半分およびサブビーム2の下半分のフォーカス誤差信号を基板厚ずれ信号として用いることができる。
メインビームである集光スポット17aによるトラック誤差信号は、ディスク7にラジアルチルトがない場合は、図26(a)のトラック誤差信号28a、ディスク7に正のラジアルチルトがある場合は、図26(b)のトラック誤差信号28b、ディスク7に負のラジアルチルトがある場合は、図26(c)のトラック誤差信号28dと同じである。
サブビーム1である集光スポット17bのうち回折光学素子3aの領域11aからの回折光によるトラック誤差信号(上半分のトラック誤差信号)である19e−19g、サブビーム2である集光スポット17cのうち回折光学素子3aの領域11bからの回折光によるトラック誤差信号(下半分のトラック誤差信号)である19j−19lは、ディスク7にラジアルチルトがない場合は、図26(a)のトラック誤差信号28a、ディスク7に正のラジアルチルトがある場合は、図26(b)のトラック誤差信号28c、ディスク7に負のラジアルチルトがある場合は、図26(c)のトラック誤差信号28eと同じである。
従って、サブビーム1の上半分およびサブビーム2の下半分のトラック誤差信号である(19e+19j)−(19g+19l)は、ディスク7にラジアルチルトがない場合は、ランド、グルーブのどちらでも0、ディスク7に正のラジアルチルトがある場合は、ランドでは正、グルーブでは負、ディスク7に負のラジアルチルトがある場合は、ランドでは負、グルーブでは正となる。すなわち、メインビームのトラック誤差信号を用いてトラックサーボをかけた時の、サブビーム1の上半分およびサブビーム2の下半分のトラック誤差信号をラジアルチルト信号として用いることができる。
本実施の形態においては、ディスク7上に3つの集光スポット17a、17b、17cが形成される。
ディスク7の面振れ等によりディスク7の記録面と3つの集光スポットの集光点位置を結ぶ直線とが平行でなくなると、サブビームである集光スポット17b、17cの集光点位置がディスク7の記録面からディスク7の記録面に垂直な方向へずれ、デフォーカスを生じる。しかし、サブビームである集光スポット17b、17cに関しては、メインビームである集光スポット17aからの距離が短いため、ディスク7の面振れ等によるデフォーカスの量は小さい。
また、ディスク7の偏芯等によりディスク7のトラック16と3つの集光スポットの中心を結ぶ直線との角度が本来の角度からずれると、サブビームである集光スポット17b、17cの中心がディスク7の対応するトラックの中心からディスク7の半径方向へずれ、オフトラックを生じる。しかし、サブビームである集光スポット17b、17cに関しては、メインビームである集光スポット17aからの距離が短いため、ディスク7の偏芯等によるオフトラックの量は小さい。
このため、サブビームである集光スポット17b、17cはディスク7の基板厚ずれおよびラジアルチルトの検出に用いられるが、ディスク7の面振れ等により集光スポット17b、17cにデフォーカスが生じても、基板厚ずれ信号の感度が低下せず、ディスク7の基板厚ずれを正しく検出することができる。
また、ディスク7の偏芯等により集光スポット17b、17cにオフトラックが生じても、ラジアルチルト信号の感度が低下せず、ディスク7のラジアルチルトを正しく検出することができる。
本実施の形態においては、差動非点収差法によるフォーカス誤差信号および差動プッシュプル法によるトラック誤差信号を得るため、光検出器10aの8個の受光部19a〜19d、19f、19h、19i、19kからの出力に基づいて演算を行う。また、基板厚ずれ信号およびラジアルチルト信号を得るため、光検出器10aの4個の受光部19e、19g、19j、19lからの出力に基づいて演算を行う。
受光部19a〜19lから出力される電流は、対応する電流−電圧変換回路により電圧に変換されてから演算回路へ送られるが、各信号を得るための演算に関係する受光部の数が少ないため、各信号を得るための演算に関係する電流−電圧変換回路の数も少なくなり、電流−電圧変換回路の雑音により、フォーカス誤差信号およびトラック誤差信号、ならびに基板厚ずれ信号およびラジアルチルト信号の品質が劣化しない。また、各信号を得るための演算に関係する受光部の数が少ないため、各信号を得るための演算回路の構成が簡単になる。
(第二の実施の形態)
本発明の第二の実施の形態における光ヘッド装置は、第一の実施の形態における回折光学素子3aを回折光学素子3bに置き換えたものであり、その構成は図19に示すものと同じである。
図5は、回折光学素子3bの平面図である。
回折光学素子3bは、図中に点線で示す対物レンズ6の有効径より小さい直径を有する円の内側には入射光の光軸を通りディスク7の半径方向に平行な直線で領域11e、11fの2つに分割された回折格子が形成されており、外側には入射光の光軸を通りディスク7の半径方向に平行な直線で領域11g、11hの2つに分割された回折格子が形成された構成である。回折格子における格子の方向は、いずれもディスク7の半径方向にほぼ平行であり、格子のパタンは、いずれも等間隔の直線状である。領域11e、11f、11g、11hにおける格子の間隔は、全て等しい。
本実施の形態における回折光学素子3bの断面図は、図2(a)〜(d)に示すものと同じであり、領域11g、11h、11e、11fがそれぞれ図2(a)、(b)、(c)、(d)に対応する。ここで、H1=0.115λ/(n−1)、H2=0.073λ/(n−1)、H3=0.078λ/(n−1)、H4=0.122λ/(n−1)、H5=0.061λ/(n−1)であるとする。
このとき、格子15a、15bの透過率、+1次回折効率、−1次回折効率は、それぞれ約87.5%、約5.1%、約5.1%となる。一方、格子15cの透過率、+1次回折効率、−1次回折効率はそれぞれ約78.0%、約0.6%、約4.5%となる。また、格子15dの透過率、+1次回折効率、−1次回折効率は、それぞれ約78.0%、約4.5%、約0.6%となる。
すなわち、領域11g、11hに入射した光は、0次光として約87.5%が透過し、±1次回折光としてそれぞれ約5.1%が回折される。一方、領域11eに入射した光は0次光として約78.0%が透過し、−1次回折光として約4.5%が回折され、+1次回折光としては約0.6%しか回折されない。
また、領域11fに入射した光は、0次光として約78.0%が透過し、+1次回折光として約4.5%が回折され、−1次回折光としては約0.6%しか回折されない。
回折光学素子3bからの0次光をメインビーム、+1次回折光をサブビーム1、−1次回折光をサブビーム2とすると、メインビームには領域11g、11hからの透過光と領域11e、11fからの透過光が約1.1:1の比率で含まれる。
一方、サブビーム1の上半分には、主として領域11gからの回折光のみが含まれ、サブビーム1の下半分には、領域11hからの回折光と領域11fからの回折光が約1.1:1の比率で含まれる。また、サブビーム2の上半分には、領域11gからの回折光と領域11eからの回折光が約1.1:1の比率で含まれ、サブビーム2の下半分には、主として領域11hからの回折光のみが含まれる。
その結果、メインビームとサブビーム1、サブビーム2では対物レンズ6に入射する際の強度分布が異なる。サブビーム1は、上半分ではメインビームに比べて周辺部の強度が高く、下半分ではメインビームと強度分布がほぼ同じである。また、サブビーム2は、上半分ではメインビームと強度分布がほぼ同じであり、下半分ではメインビームに比べて周辺部の強度が高い。
図6にディスク7上の集光スポットの配置を示す。
集光スポット17a、17d、17eは、それぞれ回折光学素子3bからの0次光、+1次回折光、−1次回折光に相当する。
集光スポット17aは、トラック16(ランドまたはグルーブ)上、集光スポット17dは、トラック16の右側に隣接するトラック(グルーブまたはランド)上、集光スポット17eは、トラック16の左側に隣接するトラック(グルーブまたはランド)上にそれぞれ配置されている。
サブビーム1は、メインビームに比べて上半分で周辺部の強度が高いため、サブビーム1である集光スポット17dは、メインビームである集光スポット17aに比べて径が小さくサイドローブが大きい。
また、サブビーム2は、メインビームに比べて下半分で周辺部の強度が高いため、サブビーム2である集光スポット17eは、メインビームである集光スポット17aに比べて径が小さくサイドローブが大きい。
図7に光検出器10aの受光部のパタンと光検出器10a上の光スポットの配置を示す。
光スポット18aは、回折光学素子3bからの0次光に相当し、光軸を通るディスク7の接線方向に平行な分割線および半径方向に平行な分割線で4つに分割された受光部19a〜19dで受光される。
光スポット18dは、回折光学素子3bからの+1次回折光に相当し、光軸を通るディスク7の接線方向に平行な分割線および半径方向に平行な分割線で4つに分割された受光部19e〜19hで受光される。
光スポット18eは、回折光学素子3bからの−1次回折光に相当し、光軸を通るディスク7の接線方向に平行な分割線および半径方向に平行な分割線で4つに分割された受光部19i〜19lで受光される。
ディスク7上の集光スポット17a、17d、17eの列は、ほぼ接線方向であるが、円筒レンズ8およびレンズ9の作用により、光検出器10a上の光スポット18a、18d、18eの列は、ほぼ半径方向となる。本実施の形態においては、第一の実施の形態において説明した方法と同様の方法によりフォーカス誤差信号、トラック誤差信号、RF信号が得られる。
本実施の形態においては、第一の実施の形態において説明した理由と同様の理由によりフォーカス誤差信号およびトラック誤差信号にオフセットを生じない。
また、本実施の形態においては、第一の実施の形態において説明した方法と同様の方法によりディスク7の基板厚ずれおよびラジアルチルトを検出することができる。
さらに、本実施の形態においては、第一の実施の形態において説明した理由と同様の理由により基板厚ずれ信号およびラジアルチルト信号の感度が高く、かつフォーカス誤差信号およびトラック誤差信号、ならびに基板厚ずれ信号およびラジアルチルト信号の品質が良好であり、各信号を得るための演算回路の構成が簡単である。
(第三の実施の形態)
本発明の第三の実施の形態における光ヘッド装置は、第一の実施の形態における回折光学素子3aを回折光学素子3cに置き換えたものであり、その構成は図19に示すものと同じである。
図8は、回折光学素子3cの平面図である。
回折光学素子3cは、図中に点線で示す対物レンズ6の有効径より小さい幅を有する帯の内側には、入射光の光軸を通りディスク7の半径方向に平行な直線で領域11i、11jの2つに分割された回折格子が形成されており、外側には、入射光の光軸を通りディスク7の半径方向に平行な直線で領域11k、11lの2つに分割された回折格子が形成された構成である。回折格子における格子の方向は、いずれもディスク7の半径方向にほぼ平行であり、格子のパタンは、いずれも等間隔の直線状である。領域11i、11j、11k、11lにおける格子の間隔は、全て等しい。
本実施の形態における回折光学素子3cの断面図は、図2(a)〜(d)に示すものと同じであり、領域11i、11j、11k、11lがそれぞれ図2(a)、(b)、(c)、(d)に対応する。ここで、H1=0.115λ/(n−1)、H2=0.073λ/(n−1)、H3=0.078λ/(n−1)、H4=0.122λ/(n−1)、H5=0.061λ/(n−1)であるとする。
このとき、格子15a、15bの透過率、+1次回折効率、−1次回折効率は、それぞれ約87.5%、約5.1%、約5.1%となる。
一方、格子15cの透過率、+1次回折効率、−1次回折効率は、それぞれ約78.0%、約0.6%、約4.5%となる。
また、格子15dの透過率、+1次回折効率、−1次回折効率は、それぞれ約78.0%、約4.5%、約0.6%となる。
すなわち、領域11i、11jに入射した光は、0次光として約87.5%が透過し、±1次回折光としてそれぞれ約5.1%が回折される。
一方、領域11kに入射した光は、0次光として約78.0%が透過し、−1次回折光として約4.5%が回折され、+1次回折光としては約0.6%しか回折されない。
また、領域11lに入射した光は、0次光として約78.0%が透過し、+1次回折光として約4.5%が回折され、−1次回折光としては約0.6%しか回折されない。
回折光学素子3cからの0次光をメインビーム、+1次回折光をサブビーム1、−1次回折光をサブビーム2とすると、メインビームには、領域11i、11jからの透過光と領域11k、11lからの透過光が約1.1:1の比率で含まれる。
一方、サブビーム1の上半分には、主として領域11iからの回折光のみが含まれ、サブビーム1の下半分には領域11jからの回折光と領域11lからの回折光が約1.1:1の比率で含まれる。また、サブビーム2の上半分には、領域11iからの回折光と領域11kからの回折光が約1.1:1の比率で含まれ、サブビーム2の下半分には、主として領域11jからの回折光のみが含まれる。
その結果、メインビームとサブビーム1、サブビーム2では対物レンズ6に入射する際の強度分布が異なる。サブビーム1は、上半分ではメインビームに比べてディスク7の半径方向における周辺部の強度が低く、下半分ではメインビームと強度分布がほぼ同じである。また、サブビーム2は、上半分ではメインビームと強度分布がほぼ同じであり、下半分ではメインビームに比べてディスク7の半径方向における周辺部の強度が低い。
本実施の形態におけるディスク7上の集光スポットの配置は、図3に示すものとほぼ同じであるが、サブビーム1は、メインビームに比べて上半分でディスク7の半径方向における周辺部の強度が低いため、サブビーム1である集光スポット17dは、メインビームである集光スポット17aに比べてディスク7の半径方向における径が大きい。また、サブビーム2は、メインビームに比べて下半分でディスク7の半径方向における周辺部の強度が低いため、サブビーム2である集光スポット17eは、メインビームである集光スポット17aに比べてディスク7の半径方向における径が大きい。
本実施の形態における光検出器10aの受光部のパタンと光検出器10a上の光スポットの配置は、図4に示すものとほぼ同じである。本実施の形態においては、第一の実施の形態において説明した方法と同様の方法によりフォーカス誤差信号、トラック誤差信号、RF信号が得られる。
本実施の形態においては、第一の実施の形態において説明した理由と同様の理由によりフォーカス誤差信号およびトラック誤差信号にオフセットを生じない。
また、本実施の形態においては、第一の実施の形態において説明した方法と同様の方法によりディスク7の基板厚ずれおよびラジアルチルトを検出することができる。
さらに、本実施の形態においては、第一の実施の形態において説明した理由と同様の理由により基板厚ずれ信号およびラジアルチルト信号の感度が高く、かつフォーカス誤差信号およびトラック誤差信号、ならびに基板厚ずれ信号およびラジアルチルト信号の品質が良好であり、各信号を得るための演算回路の構成が簡単である。
(第四の実施の形態)
本発明の第四の実施の形態における光ヘッド装置は、第一の実施の形態における回折光学素子3aを回折光学素子3dに置き換えたものであり、その構成は図19に示すものと同じである。
図9は回折光学素子3dの平面図である。
回折光学素子3dは、図中に点線で示す対物レンズ6の有効径より小さい幅を有する帯の内側には、入射光の光軸を通りディスク7の半径方向に平行な直線で領域11m、11nの2つに分割された回折格子が形成されており、外側には、入射光の光軸を通りディスク7の半径方向に平行な直線で領域11o、11pの2つに分割された回折格子が形成された構成である。回折格子における格子の方向は、いずれもディスク7の半径方向にほぼ平行であり、格子のパタンは、いずれも等間隔の直線状である。領域11m、11n、11o、11pにおける格子の間隔は、全て等しい。
本実施の形態における回折光学素子3dの断面図は図2(a)〜(d)に示すものと同じであり、領域11o、11p、11m、11nがそれぞれ図2(a)、(b)、(c)、(d)に対応する。ここで、H1=0.115λ/(n−1)、H2=0.073λ/(n−1)、H3=0.078λ/(n−1)、H4=0.122λ/(n−1)、H5=0.061λ/(n−1)であるとする。
このとき、格子15a、15bの透過率、+1次回折効率、−1次回折効率は、それぞれ約87.5%、約5.1%、約5.1%となる。
一方、格子15cの透過率、+1次回折効率、−1次回折効率は、それぞれ約78.0%、約0.6%、約4.5%となる。
また、格子15dの透過率、+1次回折効率、−1次回折効率は、それぞれ約78.0%、約4.5%、約0.6%となる。
すなわち、領域11o、11pに入射した光は、0次光として約87.5%が透過し、±1次回折光としてそれぞれ約5.1%が回折される。
一方、領域11mに入射した光は、0次光として約78.0%が透過し、−1次回折光として約4.5%が回折され、+1次回折光としては約0.6%しか回折されない。
また、領域11nに入射した光は、0次光として約78.0%が透過し、+1次回折光として約4.5%が回折され、−1次回折光としては約0.6%しか回折されない。
回折光学素子3dからの0次光をメインビーム、+1次回折光をサブビーム1、−1次回折光をサブビーム2とすると、メインビームには、領域11o、11pからの透過光と領域11m、11nからの透過光が約1.1:1の比率で含まれる。
一方、サブビーム1の上半分には、主として領域11oからの回折光のみが含まれ、サブビーム1の下半分には、領域11pからの回折光と領域11nからの回折光が約1.1:1の比率で含まれる。また、サブビーム2の上半分には、領域11oからの回折光と領域11mからの回折光が約1.1:1の比率で含まれ、サブビーム2の下半分には、主として領域11pからの回折光のみが含まれる。
その結果、メインビームとサブビーム1、サブビーム2では、対物レンズ6に入射する際の強度分布が異なる。サブビーム1は、上半分ではメインビームに比べてディスク7の半径方向における周辺部の強度が高く、下半分ではメインビームと強度分布がほぼ同じである。また、サブビーム2は、上半分ではメインビームと強度分布がほぼ同じであり、下半分ではメインビームに比べてディスク7の半径方向における周辺部の強度が高い。
本実施の形態におけるディスク7上の集光スポットの配置は、図6に示すものとほぼ同じであるが、サブビーム1は、メインビームに比べて上半分でディスク7の半径方向における周辺部の強度が高いため、サブビーム1である集光スポット17dは、メインビームである集光スポット17aに比べてディスク7の半径方向における径が小さくサイドローブが大きい。また、サブビーム2は、メインビームに比べて下半分でディスク7の半径方向における周辺部の強度が高いため、サブビーム2である集光スポット17eは、メインビームである集光スポット17aに比べてディスク7の半径方向における径が小さくサイドローブが大きい。
本実施の形態における光検出器10aの受光部のパタンと光検出器10a上の光スポットの配置は、図7に示すものとほぼ同じである。本実施の形態においては、第一の実施の形態において説明した方法と同様の方法によりフォーカス誤差信号、トラック誤差信号、RF信号が得られる。
本実施の形態においては、第一の実施の形態において説明した理由と同様の理由によりフォーカス誤差信号およびトラック誤差信号にオフセットを生じない。
また、本実施の形態においては、第一の実施の形態において説明した方法と同様の方法によりディスク7の基板厚ずれおよびラジアルチルトを検出することができる。
さらに、本実施の形態においては、第一の実施の形態において説明した理由と同様の理由により基板厚ずれ信号およびラジアルチルト信号の感度が高く、かつフォーカス誤差信号およびトラック誤差信号、ならびに基板厚ずれ信号およびラジアルチルト信号の品質が良好であり、各信号を得るための演算回路の構成が簡単である。
(第五の実施の形態)
本発明の第五の実施の形態における光ヘッド装置は、第一の実施の形態における回折光学素子3aを回折光学素子3eに置き換えたものであり、その構成は図19に示すものと同じである。
図10は回折光学素子3eの平面図である。
回折光学素子3eは、図中に点線で示す対物レンズ6の有効径より小さい直径を有する円の内側には、入射光の光軸を通りディスク7の半径方向に平行な直線および接線方向に平行な直線で領域12a、12b、12c、12dの4つに分割された回折格子が形成されており、外側には、入射光の光軸を通りディスク7の半径方向に平行な直線および接線方向に平行な直線で領域12e、12f、12g、12hの4つに分割された回折格子が形成された構成である。回折格子における格子の方向は、いずれもディスク7の半径方向に平行であり、格子のパタンは、いずれも等間隔の直線状である。領域12a、12b、12c、12d、12e、12f、12g、12hにおける格子の間隔は、全て等しい。領域12a、12c、12e、12gにおける格子の位相と領域12b、12d、12f、12hにおける格子の位相は、互いにπだけずれている。
本実施の形態における回折光学素子3eの断面図は、図2(a)〜(d)に示すものと同じであり、領域12a、12bが図2(a)、領域12c、12dが図2(b)、領域12e、12fが図2(c)、領域12g、12hが図2(d)に対応する。
ここで、H1=0.115λ/(n−1)、H2=0.073λ/(n−1)、H3=0.078λ/(n−1)、H4=0.122λ/(n−1)、H5=0.061λ/(n−1)であるとする。
このとき、格子15a、15bの透過率、+1次回折効率、−1次回折効率は、それぞれ約87.5%、約5.1%、約5.1%となる。
一方、格子15cの透過率、+1次回折効率、−1次回折効率は、それぞれ約78.0%、約0.6%、約4.5%となる。
また、格子15dの透過率、+1次回折効率、−1次回折効率は、それぞれ約78.0%、約4.5%、約0.6%となる。
すなわち、領域12a、12b、12c、12dに入射した光は、0次光として約87.5%が透過し、±1次回折光としてそれぞれ約5.1%が回折される。
一方、領域12e、12fに入射した光は、0次光として約78.0%が透過し、−1次回折光として約4.5%が回折され、+1次回折光としては約0.6%しか回折されない。
また、領域12g、12hに入射した光は、0次光として約78.0%が透過し、+1次回折光として約4.5%が回折され、−1次回折光としては約0.6%しか回折されない。
回折光学素子3eからの0次光をメインビーム、+1次回折光をサブビーム1、−1次回折光をサブビーム2とすると、メインビームには、領域12a、12b、12c、12dからの透過光と領域12e、12f、12g、12hからの透過光が約1.1:1の比率で含まれる。
一方、サブビーム1の上半分には、主として領域12a、12bからの回折光のみが含まれ、サブビーム1の下半分には、領域12c、12dからの回折光と領域12g、12hからの回折光が約1.1:1の比率で含まれる。
また、サブビーム2の上半分には、領域12a、12bからの回折光と領域12e、12fからの回折光が約1.1:1の比率で含まれ、サブビーム2の下半分には、主として領域12c、12dからの回折光のみが含まれる。
その結果、メインビームとサブビーム1、サブビーム2では、対物レンズ6に入射する際の強度分布が異なる。サブビーム1は、上半分ではメインビームに比べて周辺部の強度が低く、下半分ではメインビームと強度分布がほぼ同じである。また、サブビーム2は、上半分ではメインビームと強度分布がほぼ同じであり、下半分ではメインビームに比べて周辺部の強度が低い。領域12a、12c、12gからの+1次回折光の位相と領域12b、12d、12hからの+1次回折光の位相は、互いにπだけずれ、同様に領域12a、12c、12eからの−1次回折光の位相と領域12b、12d、12fからの−1次回折光の位相は、互いにπだけずれる。
図11にディスク7上の集光スポットの配置を示す。
集光スポット17a、17f、17gは、それぞれ回折光学素子3eからの0次光、+1次回折光、−1次回折光に相当する。3つの集光スポット17a、17f、17gは、同一のトラック16(ランドまたはグルーブ)上に配置されている。サブビームは、光軸を通りディスク7の接線方向に平行な直線の左側と右側で位相が互いにπだけずれているため、サブビームである集光スポット17f、17gは、ディスク7の半径方向の左側と右側に強度が等しい2つのピークを持つ。
本実施の形態における光検出器10aの受光部のパタンと光検出器10a上の光スポットの配置は、図4に示すものとほぼ同じである。本実施の形態においては、第一の実施の形態において説明した方法と同様の方法によりフォーカス誤差信号、トラック誤差信号、RF信号が得られる。
回折光学素子3eの領域12a、12c、12e、12gにおける格子の位相と領域12b、12d、12f、12hにおける格子の位相を互いにπだけずらすことにより、サブビームの位相を光軸を通りディスク7の接線方向に平行な直線の左側と右側で互いにπだけずらすことは、ディスク7上のサブビームの集光スポットをメインビームの集光スポットに対し、ディスク7の溝の1/2周期分だけディスク7の半径方向にずらして配置することと誤差信号に関しては等価である。その理由は、例えば特許文献2に記載されている。
従って、本実施の形態においては、第一の実施の形態において説明した理由と同様の理由によりフォーカス誤差信号およびトラック誤差信号にオフセットを生じない。
また、本実施の形態においては、第一の実施の形態において説明した方法と同様の方法によりディスク7の基板厚ずれおよびラジアルチルトを検出することができる。
さらに、本実施の形態においては、第一の実施の形態において説明した理由と同様の理由により基板厚ずれ信号およびラジアルチルト信号の感度が高く、かつフォーカス誤差信号およびトラック誤差信号、ならびに基板厚ずれ信号およびラジアルチルト信号の品質が良好であり、各信号を得るための演算回路の構成が簡単である。
さらにまた、本実施の形態においては、3つの集光スポットがディスク7の同一のトラック上に配置されている。このため、トラックピッチが異なるディスクに対しても3つの集光スポットの配置は変わらず、任意のトラックピッチのディスクに対して上述の効果が得られる。
(第六の実施の形態)
本発明の第六の実施の形態における光ヘッド装置は、第一の実施の形態における回折光学素子3aを回折光学素子3fに置き換えたものであり、その構成は図19に示すものと同じである。
図12は回折光学素子3fの平面図である。回折光学素子3fは、図中に点線で示す対物レンズ6の有効径より小さい直径を有する円の内側には、入射光の光軸を通りディスク7の半径方向に平行な直線および入射光の光軸に関して対称でディスク7の接線方向に平行な2つの直線で領域12i、12j、12k、12lの4つに分割された回折格子が形成されており、外側には、入射光の光軸を通りディスク7の半径方向に平行な直線および入射光の光軸に関して対称でディスク7の接線方向に平行な2つの直線で領域12m、12n、12o、12pの4つに分割された回折格子が形成された構成である。
回折格子における格子の方向は、いずれもディスク7の半径方向に平行であり、格子のパタンは、いずれも等間隔の直線状である。領域12i、12j、12k、12l、12m、12n、12o、12pにおける格子の間隔は、全て等しい。領域12i、12j、12m、12nにおける格子の位相と領域12k、12l、12o、12pにおける格子の位相は、互いにπだけずれている。
本実施の形態における回折光学素子3fの断面図は、図2(a)〜(d)に示すものと同じであり、領域12i、12kが図2(a)、領域12j、12lが図2(b)、領域12m、12oが図2(c)、領域12n、12pが図2(d)に対応する。ここで、H1=0.115λ/(n−1)、H2=0.073λ/(n−1)、H3=0.078λ/(n−1)、H4=0.122λ/(n−1)、H5=0.061λ/(n−1)であるとする。
このとき、格子15a、15bの透過率、+1次回折効率、−1次回折効率は、それぞれ約87.5%、約5.1%、約5.1%となる。
一方、格子15cの透過率、+1次回折効率、−1次回折効率はそれぞれ約78.0%、約0.6%、約4.5%となる。
また、格子15dの透過率、+1次回折効率、−1次回折効率はそれぞれ約78.0%、約4.5%、約0.6%となる。
すなわち、領域12i、12j、12k、12lに入射した光は、0次光として約87.5%が透過し、±1次回折光としてそれぞれ約5.1%が回折される。
一方、領域12m、12oに入射した光は、0次光として約78.0%が透過し、−1次回折光として約4.5%が回折され、+1次回折光としては約0.6%しか回折されない。
また、領域12n、12pに入射した光は、0次光として約78.0%が透過し、+1次回折光として約4.5%が回折され、−1次回折光としては約0.6%しか回折されない。
回折光学素子3fからの0次光をメインビーム、+1次回折光をサブビーム1、−1次回折光をサブビーム2とすると、メインビームには領域12i、12j、12k、12lからの透過光と領域12m、12n、12o、12pからの透過光が約1.1:1の比率で含まれる。
一方、サブビーム1の上半分には、主として領域12i、12kからの回折光のみが含まれ、サブビーム1の下半分には領域12j、12lからの回折光と領域12n、12pからの回折光が約1.1:1の比率で含まれる。
また、サブビーム2の上半分には、領域12i、12kからの回折光と領域12m、12oからの回折光が約1.1:1の比率で含まれ、サブビーム2の下半分には主として領域12j、12lからの回折光のみが含まれる。
その結果、メインビームとサブビーム1、サブビーム2では、対物レンズ6に入射する際の強度分布が異なる。サブビーム1は、上半分ではメインビームに比べて周辺部の強度が低く、下半分ではメインビームと強度分布がほぼ同じである。また、サブビーム2は、上半分ではメインビームと強度分布がほぼ同じであり、下半分ではメインビームに比べて周辺部の強度が低い。領域12i、12j、12nからの+1次回折光の位相と領域12k、12l、12pからの+1次回折光の位相は、互いにπだけずれ、同様に領域12i、12j、12mからの−1次回折光の位相と領域12k、12l、12oからの−1次回折光の位相は、互いにπだけずれる。
図13にディスク7上の集光スポットの配置を示す。
集光スポット17a、17h、17iは、それぞれ回折光学素子3fからの0次光、+1次回折光、−1次回折光に相当する。3つの集光スポット17a、17h、17iは、同一のトラック16(ランドまたはグルーブ)上に配置されている。サブビームは、光軸に関して対称でディスク7の接線方向に平行な2つの直線の外側と内側で位相が互いにπだけずれているため、サブビームである集光スポット17h、17iは、ディスク7の半径方向の左側と右側に強度が等しい2つのピークを持つ。
本実施の形態における光検出器10aの受光部のパタンと光検出器10a上の光スポットの配置は、図4に示すものとほぼ同じである。本実施の形態においては、第一の実施の形態において説明した方法と同様の方法によりフォーカス誤差信号、トラック誤差信号、RF信号が得られる。
回折光学素子3fの領域12i、12j、12m、12nにおける格子の位相と領域12k、12l、12o、12pにおける格子の位相を互いにπだけずらすことにより、サブビームの位相を光軸に関して対称でディスク7の接線方向に平行な2つの直線の外側と内側で互いにπだけずらすことは、ディスク7上のサブビームの集光スポットをメインビームの集光スポットに対し、ディスク7の溝の1/2周期分だけディスク7の半径方向にずらして配置することと誤差信号に関しては等価である。その理由は、例えば特許文献3に記載されている。
従って、本実施の形態においては、第一の実施の形態において説明した理由と同様の理由によりフォーカス誤差信号およびトラック誤差信号にオフセットを生じない。
また、本実施の形態においては、第一の実施の形態において説明した方法と同様の方法によりディスク7の基板厚ずれおよびラジアルチルトを検出することができる。
さらに、本実施の形態においては、第一の実施の形態において説明した理由と同様の理由により基板厚ずれ信号およびラジアルチルト信号の感度が高く、かつフォーカス誤差信号およびトラック誤差信号、ならびに基板厚ずれ信号およびラジアルチルト信号の品質が良好であり、各信号を得るための演算回路の構成が簡単である。
さらにまた、本実施の形態においては、3つの集光スポットがディスク7の同一のトラック上に配置されている。このため、トラックピッチが異なるディスクに対しても3つの集光スポットの配置は変わらず、任意のトラックピッチのディスクに対して上述の効果が得られる。
本発明の光ヘッド装置の実施の形態としては、第二の実施の形態における回折光学素子3b、第三の実施の形態における回折光学素子3c、第四の実施の形態における回折光学素子3dを、第五の実施の形態における回折光学素子3eと同様に、入射光の光軸を通りディスク7の接線方向に平行な直線でさらに左側の領域と右側の領域に分割し、左側の領域における格子の位相と右側の領域における格子の位相を互いにπだけずらした回折光学素子に置き換えた形態も考えられる。
これらの実施の形態においては、第一の実施の形態において説明した理由と同様の理由によりフォーカス誤差信号およびトラック誤差信号にオフセットを生じない。
また、これらの実施の形態においては、第一の実施の形態において説明した方法と同様の方法によりディスク7の基板厚ずれおよびラジアルチルトを検出することができる。
さらに、これらの実施の形態においては、第一の実施の形態において説明した理由と同様の理由により基板厚ずれ信号およびラジアルチルト信号の感度が高く、かつフォーカス誤差信号およびトラック誤差信号、ならびに基板厚ずれ信号およびラジアルチルト信号の品質が良好であり、各信号を得るための演算回路の構成が簡単である。
さらにまた、これらの実施の形態においては、3つの集光スポットがディスク7の同一のトラック上に配置されている。このため、トラックピッチが異なるディスクに対しても3つの集光スポットの配置は変わらず、任意のトラックピッチのディスクに対して上述の効果が得られる。
本発明の光ヘッド装置の実施の形態としては、第二の実施の形態における回折光学素子3b、第三の実施の形態における回折光学素子3c、第四の実施の形態における回折光学素子3dを、第六の実施の形態における回折光学素子3fと同様に、入射光の光軸に関して対称でディスク7の接線方向に平行な2つの直線でさらに外側の領域と内側の領域に分割し、外側の領域における格子の位相と内側の領域における格子の位相を互いにπだけずらした回折光学素子に置き換えた形態も考えられる。
これらの実施の形態においては、第一の実施の形態において説明した理由と同様の理由によりフォーカス誤差信号およびトラック誤差信号にオフセットを生じない。
また、これらの実施の形態においては、第一の実施の形態において説明した方法と同様の方法によりディスク7の基板厚ずれおよびラジアルチルトを検出することができる。
さらに、これらの実施の形態においては、第一の実施の形態において説明した理由と同様の理由により基板厚ずれ信号およびラジアルチルト信号の感度が高く、かつフォーカス誤差信号およびトラック誤差信号、ならびに基板厚ずれ信号およびラジアルチルト信号の品質が良好であり、各信号を得るための演算回路の構成が簡単である。
さらにまた、これらの実施の形態においては、3つの集光スポットがディスク7の同一のトラック上に配置されている。このため、トラックピッチが異なるディスクに対しても3つの集光スポットの配置は変わらず、任意のトラックピッチのディスクに対して上述の効果が得られる。
第一〜第六の実施の形態においては、メインビームのフォーカス誤差信号を用いてフォーカスサーボをかけた時の、サブビーム1の上半分およびサブビーム2の下半分のフォーカス誤差信号を基板厚ずれ信号として用いている。これに対し、メインビームのフォーカス誤差信号とサブビーム1の下半分およびサブビーム2の上半分のフォーカス誤差信号の和である差動非点収差法によるフォーカス誤差信号を用いてフォーカスサーボをかけた時の、サブビーム1の上半分およびサブビーム2の下半分のフォーカス誤差信号を基板厚ずれ信号として用いる形態も考えられる。
この実施の形態においては、フォーカス誤差信号に溝横断雑音によるオフセットを生じることなく基板厚ずれを検出することができる。
ところで、基板厚ずれ信号にも溝横断雑音によるオフセットは発生する。このとき、メインビームのフォーカス誤差信号とサブビーム1の下半分およびサブビーム2の上半分のフォーカス誤差信号の差をフォーカスオフセット信号と呼ぶと、フォーカスオフセット信号においてフォーカス誤差を表わす成分は相殺され、溝横断雑音によるオフセットの成分のみが残る。
従って、サブビーム1の上半分およびサブビーム2の下半分のフォーカス誤差信号からフォーカスオフセット信号を引いた信号を基板厚ずれ信号として用いれば、基板厚ずれ信号に溝横断雑音によるオフセットを生じることなく基板厚ずれを検出することができる。
第一〜第六の実施の形態においては、メインビームのトラック誤差信号を用いてトラックサーボをかけた時の、サブビーム1の上半分およびサブビーム2の下半分のトラック誤差信号をラジアルチルト信号として用いている。これに対し、メインビームのトラック誤差信号とサブビーム1の下半分およびサブビーム2の上半分のトラック誤差信号の差である差動プッシュプル法によるトラック誤差信号を用いてトラックサーボをかけた時の、サブビーム1の上半分およびサブビーム2の下半分のトラック誤差信号をラジアルチルト信号として用いる形態も考えられる。
この実施の形態においては、トラック誤差信号にレンズシフトによるオフセットを生じることなくラジアルチルトを検出することができる。ところで、ラジアルチルト信号にもレンズシフトによるオフセットは発生する。このとき、メインビームのトラック誤差信号とサブビーム1の下半分およびサブビーム2の上半分のトラック誤差信号の和をトラックオフセット信号と呼ぶと、トラックオフセット信号においてトラック誤差を表わす成分は相殺され、レンズシフトによるオフセットの成分のみが残る。
従って、サブビーム1の上半分およびサブビーム2の下半分のトラック誤差信号からトラックオフセット信号を引いた信号をラジアルチルト信号として用いれば、ラジアルチルト信号にレンズシフトによるオフセットを生じることなくラジアルチルトを検出することができる。
(第七の実施の形態)
図14に本発明の第七の実施の形態を示す。
本実施の形態は、本発明の第一の実施の形態における光ヘッド装置に演算回路21a、駆動回路22a、リレーレンズ23a、23bを付加した光学式情報記録再生装置である。演算回路21aは、本発明の検出手段に対応し、駆動回路22a、リレーレンズ23a、23bは、本発明の補正手段に対応する。
演算回路21aは、光検出器10aの各受光部からの出力に基づいて基板厚ずれ信号を演算する。駆動回路22aは、基板厚ずれ信号が0になるように、図中の点線で囲まれたリレーレンズ23a、23bのどちらか一方を図示しないアクチュエータにより光軸方向に移動させる。リレーレンズ23a、23bのどちらか一方を光軸方向に移動させると対物レンズ6における倍率が変化し、球面収差が変化する。そこで、リレーレンズ23a、23bのどちらか一方の光軸方向の位置を調整してディスク7の基板厚ずれに起因する球面収差を相殺する球面収差を対物レンズ6で発生させる。これによりディスク7の基板厚ずれが補正され、記録再生特性に対する悪影響がなくなる。
(第八の実施の形態)
図15に本発明の第八の実施の形態を示す。
本実施の形態は、本発明の第一の実施の形態における光ヘッド装置に演算回路21a、駆動回路22bを付加した光学式情報記録再生装置である。演算回路21aは、本発明の検出手段に対応し、駆動回路22bは、本発明の補正手段に対応する。
演算回路21aは、光検出器10aの各受光部からの出力に基づいて基板厚ずれ信号を演算する。駆動回路22bは、基板厚ずれ信号が0になるように、図中の点線で囲まれたコリメータレンズ2を図示しないアクチュエータにより光軸方向に移動させる。コリメータレンズ2を光軸方向に移動させると対物レンズ6における倍率が変化し、球面収差が変化する。そこで、コリメータレンズ2の光軸方向の位置を調整してディスク7の基板厚ずれに起因する球面収差を相殺する球面収差を対物レンズ6で発生させる。これによりディスク7の基板厚ずれが補正され、記録再生特性に対する悪影響がなくなる。
(第九の実施の形態)
図16に本発明の第九の実施の形態を示す。
本実施の形態は、本発明の第一の実施の形態における光ヘッド装置に演算回路21b、駆動回路22cを付加した光学式情報記録再生装置である。演算回路21bは、本発明の検出手段に対応し、駆動回路22cは、本発明の補正手段に対応する。
演算回路21bは、光検出器10aの各受光部からの出力に基づいてラジアルチルト信号を演算する。駆動回路22cは、ラジアルチルト信号が0になるように、図中の点線で囲まれた対物レンズ6を図示しないアクチュエータによりディスク7の半径方向に傾ける。これによりディスク7のラジアルチルトが補正され、記録再生特性に対する悪影響がなくなる。
(第十の実施の形態)
図17に本発明の第十の実施の形態を示す。
本実施の形態は、本発明の第一の実施の形態における光ヘッド装置に演算回路21b、駆動回路22dを付加した光学式情報記録再生装置である。演算回路21bは、本発明の検出手段に対応し、駆動回路22dは、本発明の補正手段に対応する。
演算回路21bは、光検出器10aの各受光部からの出力に基づいてラジアルチルト信号を演算する。駆動回路22dは、ラジアルチルト信号が0になるように、図中の点線で囲まれた光ヘッド装置全体を図示しないモータによりディスク7の半径方向に傾ける。これによりディスク7のラジアルチルトが補正され、記録再生特性に対する悪影響がなくなる。
本発明の光学式情報記録再生装置の実施の形態としては、第七または第八の実施の形態と第九または第十の実施の形態を組み合わせた形態も考えられる。これらの実施の形態においては、ディスク7の基板厚ずれとラジアルチルトの両方を補正することができる。
(第十一の実施の形態)
図18に本発明の第十一の実施の形態を示す。
本実施の形態は、本発明の第一の実施の形態における光ヘッド装置に演算回路21c、駆動回路22e、液晶光学素子24を付加した光学式情報記録再生装置である。演算回路21cは、本発明の検出手段に対応し、駆動回路22e、液晶光学素子24は、本発明の補正手段に対応する。
演算回路21cは、光検出器10aの各受光部からの出力に基づいて基板厚ずれ信号およびラジアルチルト信号を演算する。駆動回路22eは、基板厚ずれ信号およびラジアルチルト信号が0になるように、図中の点線で囲まれた液晶光学素子24に電圧を印加する。液晶光学素子24は、複数の領域に分割されており、各領域に印加する電圧を変化させると透過光に対する球面収差およびコマ収差が変化する。そこで、液晶光学素子24に印加する電圧を調整して、ディスク7の基板厚ずれに起因する球面収差を相殺する球面収差およびラジアルチルトに起因するコマ収差を相殺するコマ収差を液晶光学素子24で発生させる。これにより、ディスク7の基板厚ずれおよびラジアルチルトが補正され、記録再生特性に対する悪影響がなくなる。
第九〜第十一の実施の形態においては、ランドに対してトラックサーボをかける場合とグルーブに対してトラックサーボをかける場合ではラジアルチルト信号の符号が逆になる。従って、ランドとグルーブでは、ラジアルチルトを補正するための演算回路21b、21c、駆動回路22c、22d、22eから構成される回路の極性を切り換える。
本発明の光学式情報記録再生装置の実施の形態としては、本発明の第二〜第六の実施の形態における光ヘッド装置に演算回路、駆動回路等を付加した形態も考えられる。