JP4348913B2 - 絶縁方法及びガス絶縁開閉装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス絶縁方法及びその装置の絶縁構成に関し、特に絶縁媒体である六フッ化硫黄ガスの代替に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現行のガス絶縁開閉装置はその絶縁構成を六フッ化硫黄(SF6)ガスで実現している。しかし、環境問題の高まりのなか、地球温暖化対策のため、気候変動枠組条約締約国会議(COP)において六フッ化硫黄は総量規制対象ガスに指定された。六フッ化硫黄に代わる新規の絶縁ガスが評価されたが、絶縁能力・安全性・安定性・地球温暖化・オゾン層破壊の各項目が全て合格となるガスは確認されなかった。そこで、現在は六フッ化硫黄を厳密な管理下で使用するか、若しくは、フッ化硫黄ガスと窒素との混合ガス(混合することで六フッ化硫黄使用量を減らすことができ、かつ相乗効果をもつので六フッ化硫黄添加比率よりも高い絶縁性が得られる)の検討が主体となっている。但し、どちらもSF6を使用することで機器の管理精度の向上や内部点検時のガス交換時コスト(混合ガスについてはその成分管理)が大きな問題となりうる。また、ガス漏洩量を完全に0にすることはできず、将来的にも課題の残る絶縁形態となっている。
【0003】
一方、既存の絶縁ガスでは空気、窒素、二酸化炭素またはこれらの混合ガスが評価されている。これらは地球温暖化係数が0(空気・窒素)かまたは非常に低い(地球温暖化係数(100年):二酸化炭素 50〜200,六フッ化硫黄 23900)。但し、絶縁耐力が六フッ化硫黄の約1/3程度(電極構成により異なる)であり、これを克服するためにはガス圧をあげなければならない。しかし、その場合は圧力容器としての管理が必要となり、安全上も好ましいとはいえず、絶縁構成上問題となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
六フッ化硫黄ガスに対する代替既存ガスでは空気、窒素、二酸化炭素またはこれらの混合ガスが評価されている。
【0005】
しかしながら、これらの絶縁耐力は六フッ化硫黄の約1/3程度(但し、電極構成により異なる)であり、これを克服するためにはガス圧を上げなければならない。
【0006】
ガス圧を上げない対策として、高電圧機器の絶縁材料として用いられ実績のあるエポキシ樹脂で電極を被服することで絶縁耐力の向上を狙った検討もなされている。しかし、この構造は機器の電圧階級が上がり、製品・部品が大きくなると被服するエポキシ部分も大きくなり、インサート品との線膨張率差に基づく熱歪み(熱応力)が大きくなるので長期の間にはエポキシ被服にクラックが発生する可能性を否定できない。
【0007】
また、熱応力のクラック発生から逃れるべく検討したエラストマーの各材料の多くは熱(酸化)劣化を起こすので空気封止の系に用いることはできない。
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑みなされたもので、その目的は、地球環境に害がなく且つ絶縁性能にも優れた絶縁方法及びその装置の提供にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための本発明は以下のことを特徴とする。
【0010】
請求項1記載の発明は、固定電極と可動電極とを備え絶縁ガスが密閉される容器内における絶縁方法において、前記絶縁ガスは空気であり、固定電極と可動電極には、シリコーン樹脂を含んだ絶縁被覆層を設け、前記絶縁ガスのガス圧は0.1MPa・abs以上であると共に、前記絶縁被覆層の膜厚は5mm以上に設定することを特徴とする。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載のガス絶縁方法において、前記絶縁ガスのガス圧が1.0MPa・abs程度である場合、前記絶縁被覆層の膜厚は10mm以上に設定することを特徴とする。
【0015】
請求項3記載の発明は、請絶縁ガスが密閉される容器内に固定電極と可動電極とを備えたガス絶縁開閉装置において、前記絶縁ガスは空気であり、固定電極と可動電極には、シリコーン樹脂を含んだ絶縁被覆層を設け、前記絶縁ガスのガス圧は0.1MPa・abs以上であると共に、前記絶縁被覆層の膜厚は5mm以上に設定することを特徴とする。
【0019】
請求項4記載の発明は、請求項3に記載のガス絶縁開閉装置において、前記絶縁ガスのガス圧が1.0MPa・abs程度である場合、前記絶縁被覆層の膜厚は10mm以上に設定することを特徴とする。
【0031】
以上の発明において、シリコーン樹脂は、その分子主鎖構造中にシロキサン結合を含む全ての高分子材料であり、硬化条件、添加剤、充填剤、ポリマーブレンド、共重合、化学修飾、ハロゲン置換等により特性が改質されているものを全て含む。
【0033】
本発明における絶縁ガスは、窒素、二酸化炭素、酸素及び空気であるので、地球環境に害を与えることはない。また、本発明においては、従来の絶縁ガスである六フッ化硫黄ガスよりも、優れた絶縁特性を発現することができる。したがって、本発明によれば、地球環境に害がなく且つ絶縁性能にも優れたガス絶縁開閉装置が提供される。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0035】
図1は、本発明に係るガス絶縁開閉装置の一実施形態例の概略断面を示す。
【0036】
本発明に係るガス絶縁開閉装置は、絶縁ガスが密閉される容器21内に、固定電極11と、可動電極12と、を備える。尚、図示されたガス絶縁開閉装置は、アーク消弧形式がパッファ型に基づいた構成となっているが、本発明の実施形態はこれに限定されず、例えば、波切型、自立型、軸方向吹付型に基づいた構成としてもよい。
【0037】
絶縁ガスとしては、窒素、二酸化炭素またはこれらの混合ガス若しくは空気が挙げられる。
【0038】
固定電極11は、本実施形態において、導体13と電気的に導通されている。また、可能電極12は、導体14と電気的に導通されている。尚、可能電極12は、容器21内の流体を気密するシール部25によって、通電時に固定電極11と接触し電流遮断時に電極11から開放するような反復動作が可能となるように、支持される。
【0039】
図2に、本発明に係るガス絶縁開閉装置における電極の概略構成図を示した。
【0040】
固定電極11及び可動電極12は、図2に示されたように、電極部1に被覆層2を形成してなる。
【0041】
電極部1は、ガス遮断器の電極に一般的に採用されている既知の材料でよい。当該材料としては、例えば、アルミニウム製、鉄製、ステンレス製、銅製または真鍮製等からなるものがある。
【0042】
被覆層2は、エラストマー素材を含んで成る。エラストマー素材としては、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、ブチルゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、フッ素ゴム、多硫化ゴム、エピクロルヒドリンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシドゴム、水素化ニトリルゴム、アクリルゴム、架橋ポリエチレンまたはポリプロピレンがある。
【0043】
ウレタン樹脂は、その分子構造中にウレタン結合を含む全ての高分子材料であり、これに、適宜、添加剤や充填剤が配合さらにはポリマーブレンドされ、また共重合、化学修飾、ハロゲン置換等により特性が改質されたものが採用される。
【0044】
シリコーン樹脂は、その分子主鎖構造中にシロキサン結合を含む全ての高分子材料であり、これに、適宜、添加剤や充填剤が配合さらにはポリマーブレンドされ、また共重合、化学修飾、ハロゲン置換等により特性が改質されたものが採用される。
【0045】
また、前記ゴム素材、架橋ポリエチレン及びポリプロエチレンにおいても、ウレタン樹脂及びシリコーン樹脂と同様に、適宜、添加剤や充填剤が配合さらにはポリマーブレンドされ、また共重合、化学修飾、ハロゲン置換等により特性が改質されたものが採用される。
【0046】
被覆層2原料の形態は、液体状、固体状を問わず、いかなる成型方法(注型、押出、射出等)によって得てもよい。このとき、電極とエラストマーの接着及び接合において、適宜、化学的及び物理的な界面処理(例えばプライマー処理、サンドプラスター処理等)が施される。
【0047】
また、被覆層2は、その膜厚(例えば図2において側面部及び先端部の膜厚a,b)が必ずしも均一である必要はなく、部位によって膜厚が異なった構造、例えば放熱を目的として適宜に笠状やヒダ状に形成される。
【0048】
さらに、本実施形態におけるガス絶縁開閉装置おいて、絶縁ガスから成る密閉空間10のガス圧は任意に調整される。このとき、系外から導入した絶縁ガス流体を効率良くアーク消弧に供するために、図1のように、容器21内に、可動電極12を貫通させたピストン部23を備えたシリンダー部22が設置される。ここでは、ピストン部23には絶縁ガスを通気させるための開口部が設けられ、これにはオリフィス部24が付帯されている。
【0049】
本発明に係るガス絶縁開閉装置の動作の一例を概説する。電源投入時においては、固定電極11と可動電極12とが接触し、導体13と導体14は電気的に導通状態となっている。電流遮断時においては、可動電極12が固定電極11から開放され、密閉空間10はピストン部23によって圧縮される。このとき、電極11,12間に生じたアークは直ちに絶縁ガスによって消弧される。
【0050】
次に、前記エラストマー素材を具体的に用いたガス絶縁装置の実施形態とその実施例について述べる。
【0051】
(実施形態1)
本実施形態に係るガス絶縁開閉装置は、被膜層2の基材をウレタン樹脂またはシリコーン樹脂としている。被膜層の膜厚は、5〜50mmの範囲で自在に設定される。絶縁ガスには、窒素、二酸化炭素、窒素と酸素の混合ガスまたはこれらガスに酸素を含ませたものが採用される。このとき、装置内のガス圧は、0.1MPa以上に設定される。具体的には例えば0.1〜2.0MPaに設定される。
【0052】
本実施形態に係るガスにおける絶縁ガスの絶縁特性についての評価試験結果例を以下に示す。
【0053】
図3に当該試験の概要図を示した。ここでは、電極に、先端径45mmの半球棒電極31を採用し、これを、各種絶縁ガスのもとで、平板型の電極32と、一定の距離を設けて、対向させ、絶縁特性を評価した。電極31,32は、ガス遮断器に最も一般的なアルミニウム製からなるものを採用した。尚、試料ガス、ガス圧、印加電圧及び絶縁特性評価法は、以下の通りである。
【0054】
電極31,32間距離:100mm
絶縁ガス種:窒素、空気、六フッ化硫黄
ガス圧:0.1〜2.0MPa・abs
印加電圧:標準雷インパルス(1.2/50μs)
絶縁特性評価法:昇降法による電極31の50%破壊電圧値
図4に窒素ガスと六フッ化硫黄ガスの評価結果を、図5に空気と六フッ化硫黄ガスの評価結果を示した。ここでは、各種絶縁ガスのガス圧と破壊電圧との関係が示されている。
【0055】
図4及び図5の結果から明らかなように、窒素と空気の絶縁特性は、ガス圧に依存し、圧力範囲約0.5MPa・absまでは六フッ化硫黄の1/3〜1/2程度となっているが、ガス圧力を上昇させると、例えば2MPa・absまで上昇させると、六フッ化硫黄ガスよりも優れたものになることが確認できる。尚、本実験においては、電極31,32にアルミニウム製のものを採用したが、鉄製、ステンレス製、銅製または真鍮製のものを採用しても、当該実験とほぼ同等の結果が得られることも確認された。
【0056】
本実施形態に係るガス絶縁開閉装置の実施例を、比較例と共に開示した。
【0057】
表1は、本発明の実施例と比較例に係るガス絶縁開閉装置の電極構成の一覧であり、電極部に形成された被覆層の被覆材料とその膜厚を開示している。表1において、aは側面部の膜厚(単位はmm)を、bは先端部の膜厚(単位はmm)を示す(図2)。尚、被覆層が形成される電極部は、アルミニウム製のものを採用した。
【0058】
【表1】
Figure 0004348913
【0059】
実施例及び比較例に係るガス絶縁開閉装置のヒートサイクル試験の結果を表2に、初期特性試験の結果を表2及び表3に、熱劣化特性試験の結果を表4〜表7に示した。
【0060】
ヒートサイクル試験、初期特性試験及び熱劣化特性試験の概要を述べる。
【0061】
ヒートサイクル試験は、試料電極を−40℃の雰囲気のもと3時間暴露した後これを150℃の雰囲気のもとで3時間暴露することを1サイクルとし、これを400サイクル実施した後の試料電極を目視観察によりクラックの有無を確認した。そして、クラックの発生しなかったものを合格とした。
【0062】
初期特性試験は、試料電極の以下の条件で絶縁特性試験を行い、その絶縁特性が非被覆電極(比較例1,18に係る電極)のものよりも上回ったものを合格とした。ここでは、先端径45mmの半球棒状の試料電極を、絶縁ガスのもとで、平板型の電極と、一定の距離を設けて、対向させ、絶縁特性を評価した。試料ガス、ガス圧、印加電圧及び絶縁特性評価法は、以下の通りである。
【0063】
Figure 0004348913
熱劣化特性試験は、初期特性試験と同じ試料を150℃の各種絶縁ガス(空気、窒素)のもとに3000時間暴露した後、この試料の絶縁特性を評価した。当該評価法は、前記初期特性試験に準ずる。
【0064】
【表2】
Figure 0004348913
【0065】
【表3】
Figure 0004348913
【0066】
【表4】
Figure 0004348913
【0067】
【表5】
Figure 0004348913
【0068】
【表6】
Figure 0004348913
【0069】
【表7】
Figure 0004348913
【0070】
表2に開示されたヒートサイクル試験結果から明らかなように、被覆材料がエポキシ樹脂である場合は全ての電極においてクラックの発生が認められるが、被覆材料がウレタン樹脂である場合はクラックの発生がないことが確認できる。
【0071】
表2及び表3に開示された初期特性試験結果から明らかなように、電極に被覆層を施すことにより絶縁特性の改善が図れることが確認できる。また、被覆層による耐電圧改善は被覆材料の種類を問わず改善が図れることが確認できる。さらに、絶縁ガス圧は被覆膜厚依存性があることも確認できる。
【0072】
表4〜表7に開示された熱劣化特性試験結果から明らかなように、被覆材料種により環境劣化による特性劣化が確認できる。エポキシ樹脂は熱劣化による絶縁特性の変化はあまり見られなかった。一方、ウレタン樹脂は空気による酸化劣化により絶縁特性低下が認められたが、窒素雰囲気中では絶縁特性の低下が小さかった。これは安価で作業性にも優れるウレタン樹脂は大気中での使用は酸化劣化により信頼性に劣るが、窒素雰囲気中で用いることにより使用可能になることがいえる。また、シリコーン樹脂は、窒素、空気の環境を問わず、絶縁特性の低下がほとんどないと共に、絶縁特性を改善できることが確認できる。
【0073】
尚、以上の実施例では被覆層が形成される電極部にアルミニウム製のものを採用したが、鉄製、ステンレス製、銅製または真鍮製のものを採用しても、当該実施例とほぼ同等の結果が得られることも確認された。
【0074】
(実施形態2)
尚、前記実施形態において、エラストマーの酸化防止の観点から、絶縁ガスにおける酸素量は15%以下に制御される。さらに、好ましくは10%以下までに制御するとなおよい。
【0075】
熱応力のクラック発生から逃れるべく検討したエラストマーの材料の多くは熱(酸化)劣化を起こすが、これは雰囲気を無酸素状態にすることで劣化を起こさず、また熱歪みによるクラックの発生もない。無酸素状態としては、窒素・二酸化炭素雰囲気が既存の絶縁ガスとして現実的である。但し、これらのガス純度(不純物としての酸素量)として、99.9%以上のものを用いており、ガス価格としても機器点検におけるガス交換作業としても工業的に好ましいとはいえない。実使用環境より許容されるガス純度の下限、すなわち絶縁ガスにおける酸素濃度の許容限界を把握する必要がある。
【0076】
表8は絶縁ガスの組成を変化させた場合の絶縁ガス開閉装置の特性試験結果を示す。
【0077】
【表8】
Figure 0004348913
【0078】
表において、比較例1〜9及び実施例1〜5は、窒素と酸素の混合ガスを絶縁ガスとしている。比較例10〜14及び実施例6〜10は、二酸化炭素と酸素の混合ガスを絶縁ガスとしている。比較例19〜27及び実施例11〜15は、窒素と二酸化炭素と酸素の混合ガスを絶縁ガスとしている。比較例は電極部に被服層を設けていない。実施例に係るガス絶縁開閉装置は、被膜層の基材にウレタン樹脂を採用した。膜厚は10mmに設定した。比較例及び実施例のガス絶縁開閉装置内における絶縁ガス圧は0.5MPaに設定した。特性試験は、前記初期特性試験及び熱劣化特性試験に準じた。
【0079】
初期特性試験結果から明らかなように、被覆層を設けた実施例の耐電圧特性は、被覆層を設けていない比較例のものよりも高いことが確認できる。また、絶縁ガスの絶縁特性については、窒素よりも二酸化炭素が優れていることが確認できる。さらに、酸素を混合させることで、初期の耐電圧特性はさらに向上することが確認できる。尚、熱劣化特性試験結果によると、絶縁ガスにおける酸素の含量が5vol%程度から耐電圧特性が低くなり始め、15vol%以上では被膜層を設けていない電極よりも低くなることが確認された。
【0080】
尚、以上の実施例では被覆層が形成される電極部にアルミニウム製のものを採用したが、鉄製、ステンレス製、銅製または真鍮製のものを採用しても、当該実施例とほぼ同等の結果が得られることも確認された。
【0081】
(実施形態3)
本実施形態に係るガス絶縁開閉装置は、被膜層2の基材に、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、フッ素ゴム(FKM)、多硫化ゴム(T)、エピクロルヒドリンゴム(CO)、エピクロルヒドリン−エチレンオキシドゴム、水素化ニトリルゴム(ECO)またはアクリルゴム(ANM)を採用している。このとき、被膜層の膜厚は、5〜50mmの範囲で自在に設定される。絶縁ガスには、窒素が採用される。このとき、装置内のガス圧は、0.1MPa以上に設定される。具体的には例えば0.1〜2.0MPaに設定される。特に、1.0MPa・absでは10mm以上であるとよい。
【0082】
本実施形態に係るガス絶縁開閉装置の実施例を、比較例と共に開示した。
【0083】
表9は、実施例と比較例に係るガス絶縁開閉装置の電極構成の一覧であり、電極部に形成された被覆層の被覆材料とその膜厚を開示している。表9において、aは側面部の膜厚(単位はmm)を、bは先端部の膜厚(単位はmm)を示す。尚、被覆層が形成される電極部は、アルミニウム製のものを採用した。
【0084】
【表9】
Figure 0004348913
【0085】
実施例及び比較例に係るガス絶縁開閉装置のヒートサイクル試験の結果を表2に、初期特性試験の結果を表10に、熱劣化特性試験の結果を表11に示した。
【0086】
ヒートサイクル試験、初期特性試験及び熱劣化特性試験は、実施形態1における特性試験に準じた。
【0087】
【表10】
Figure 0004348913
【0088】
【表11】
Figure 0004348913
【0089】
表10及び表11の結果から明らかなように、上記ゴム素材を含んでなる被覆層を電極部に設けたことで、絶縁ガス開閉装置の耐電圧特性が向上することが確認できる。尚、空気雰囲気においては熱劣化特性試験後の耐電圧特性は著しく低下したが、窒素雰囲気においては長時間熱がかかった状態においても耐電圧特性はほぼ維持することが確認された。
【0090】
尚、以上の実施例では被覆層が形成される電極部にアルミニウム製のものを採用したが、鉄製、ステンレス製、銅製または真鍮製のものを採用しても、当該実施例とほぼ同等の結果が得られることも確認された。
【0091】
(実施形態4)
本実施形態に係るガス絶縁開閉装置は、被膜層2の基材に、架橋ポリエチレンまたはポリプロピレンを採用している。このとき、被膜層の膜厚は、5mm以上で自在に設定される。絶縁ガスには、窒素が採用される。
【0092】
このとき、装置内のガス圧は、0.1MPa以上に設定される。具体的には、例えば0.1〜2.0MPaに設定される。特に、絶縁ガス圧力0.8MPa以上のもとでは被膜層の膜厚は10mm以上に設定するとよい。また、絶縁ガス圧力1.0MPa以上のもとでは被膜層の膜厚は15mm以上に設定するとよい。さらに、絶縁ガス圧力1.5MPa以上のもとでは被膜層の膜厚は20mm以上に設定するとよい。また、絶縁ガス圧力2.0MPa以上のもとでは被膜層の膜厚は30mm以上に設定するとよい。
【0093】
本実施形態に係るガス絶縁開閉装置の実施例を、比較例と共に開示した。
【0094】
表12は、実施例と比較例に係るガス絶縁開閉装置の電極構成の一覧であり、電極部に形成された被覆層の被覆材料とその膜厚を開示している。表12において、aは側面部の膜厚(単位はmm)を、bは先端部の膜厚(単位はmm)を示す。尚、被覆層が形成される電極部は、アルミニウム製のものを採用した。
【0095】
【表12】
Figure 0004348913
【0096】
実施例及び比較例に係るガス絶縁開閉装置のヒートサイクル試験の結果を表13及び14に、初期特性試験の結果を表13及び表14に、熱劣化特性試験の結果を表15〜表19に示した。
【0097】
ヒートサイクル試験、初期特性試験及び熱劣化特性試験は、実施形態1における特性試験に準じた。
【0098】
【表13】
Figure 0004348913
【0099】
【表14】
Figure 0004348913
【0100】
【表15】
Figure 0004348913
【0101】
【表16】
Figure 0004348913
【0102】
【表17】
Figure 0004348913
【0103】
【表18】
Figure 0004348913
【0104】
【表19】
Figure 0004348913
【0105】
表13及び表14に示されたヒートサイクル試験の結果から明らかなように、被覆材料がエポキシ樹脂である場合は全ての電極においてクラックの発生が認められるが、被覆材料が架橋ポリエチレンまたはポリプロピレンである場合はクラックの発生がないことが確認できる。
【0106】
表13及び表14に示された表13及び表14に示された初期特性試験結果から明らかなように、電極に本実施形態に係る被覆層を施すことにより絶縁特性の改善が図れることが確認できる。また、被覆層による耐電圧改善は被覆材料の種類を問わず改善が図れることが確認できる。さらに、絶縁ガス圧は被覆膜厚依存性があることも確認できる。
【0107】
表15〜表19に示された熱劣化特性試験結果から明らかなように、被覆材料種により環境劣化による特性劣化が確認できる。エポキシ樹脂は熱劣化による絶縁特性の変化はあまり見られなかった。一方、架橋ポリエチレン及びポリプロピレンは空気による酸化劣化により絶縁特性低下が認められたが、窒素雰囲気中では絶縁特性の低下が小さかった。これは安価で作業性にも優れる架橋ポリエチレン及びポリプロピレンは大気中での使用は酸化劣化により信頼性に劣るが、窒素雰囲気中で用いることにより使用可能になることを示すものである。
【0108】
尚、以上の実施例では被覆層が形成される電極部にアルミニウム製のものを採用したが、鉄製、ステンレス製、銅製または真鍮製のものを採用しても、当該実施例とほぼ同等の結果が得られることも確認された。
【0109】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係る絶縁ガス開閉装置は、地球環境に害がなく、その絶縁特性も、従来のガス絶縁開閉装置よりも優れたものになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態例であるガス絶縁開閉装置の概略断面図。
【図2】本発明に係るガス絶縁開閉装置における電極の概略構成図。
【図3】絶縁特性試験の概要図。
【図4】各種絶縁ガス(窒素ガス、六フッ化硫黄ガス)におけるガス圧と絶縁特性との関係を示した特性図。
【図5】各種絶縁ガス(空気、六フッ化硫黄ガス)におけるガス圧と絶縁特性との関係を示した特性図。
【符号の説明】
1…電極部、2…被覆層
10…密閉空間
11…固定電極、12…可動電極、13,14…導体
21…容器
22…シリンダー部、23…ピストン部、24…オリフィス部、25…シール部

Claims (4)

  1. 固定電極と可動電極とを備え絶縁ガスが密閉される容器内における絶縁方法において、
    前記絶縁ガスは空気であり、
    固定電極と可動電極には、シリコーン樹脂を含んだ絶縁被覆層を設け、
    前記絶縁ガスのガス圧は0.1MPa・abs以上であると共に、前記絶縁被覆層の膜厚は5mm以上に設定すること
    を特徴とする絶縁方法。
  2. 前記絶縁ガスのガス圧が1.0MPa・abs程度である場合、前記絶縁被覆層の膜厚は10mm以上に設定すること
    を特徴とする請求項1に記載のガス絶縁方法。
  3. 絶縁ガスが密閉される容器内に固定電極と可動電極とを備えたガス絶縁開閉装置において、
    前記絶縁ガスは空気であり、
    固定電極と可動電極には、シリコーン樹脂を含んだ絶縁被覆層を設け、
    前記絶縁ガスのガス圧は0.1MPa・abs以上であると共に、前記絶縁被覆層の膜厚は5mm以上に設定すること
    を特徴とするガス絶縁開閉装置。
  4. 前記絶縁ガスのガス圧が1.0MPa・abs程度である場合、前記絶縁被覆層の膜厚は10mm以上に設定すること
    を特徴とする請求項3に記載のガス絶縁開閉装置。
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