(第1の実施形態)
図3は本発明によるデータ記録装置の第1の実施形態を示すブロック図である。図3に示すように、データ記録装置100は、スピンドルモータ102と、光ヘッド103と、光ビーム制御部104と、サーボ部105と、再生二値化部106と、デジタル信号処理部107と、記録補償部108と、CPU109とを備える。
スピンドルモータ102は、光ディスク101を載置し、回転させる。光ディスク101は、データを記録するためのスパイラル状もしくは同心円状の1または複数のトラックを有する。光ディスク101は、加熱により溶融する記録膜を備えており、記録すべきデータに基づいて変調された半導体レーザの光ビームが照射されると、記録膜の光ビームが
照射された部分に相変化を生じる。
光ヘッド103は、光源であるレーザダイオードを有し、データを記録するための光ビームを光ディスク101に照射する。また、光ディスク101から反射する反射光を電気的な信号に変換し、変換した信号を再生信号として再生二値化部106に出力する。
光ビーム制御部104は、光ヘッド103のレーザダイオードを駆動するための電流を発生し、CPU109の指示に基づいてレーザダイオードから出力される光ビームのパワーを制御する。
サーボ部105は、光ヘッド103の位置を制御し、光ヘッド103から出射する光ビームのフォーカス制御およびトラッキング制御を行う。また、スピンドルモータ102の回転制御を行う。再生二値化部106は、光ヘッド103より得られた再生信号を増幅し、二値化処理を行い、二値化信号を生成する。また内部のPLL(図示せず)により、二値化信号に同期したクロックを生成する。
デジタル信号処理部107は、二値化信号に所定の復調処理やエラー訂正処理を施す。データ記録時は記録データにエラー訂正コードを付加し、所定の変調処理を行い、変調データを生成する。記録補償部108は、変調データをパルス列から構成される光変調データに変換し、さらに光変調データのパルス幅等を、ディスク情報領域の再生信号から得られる情報や、あらかじめCPU109に記憶されている情報を基に調整し、マークの形成に適した記録パルス列の信号に変換して出力する。CPU109は、データ記録装置100全体の制御を行う。
ホストPC110は、コンピュータ(図示せず)とアプリケーション(図示せず)やオペレーティングシステム(図示せず)で構成し、データ記録装置100に対して記録や再生の要求を行う。光ディスク101がデータ記録装置100に挿入されると、データ記録装置100は、光ヘッド103から所定の照射パワーを有する光ビームを出力し、光ディスク101のディスク情報領域(通常ディスク最内周付近に設けられている)を再生するよう光ビーム制御部104およびサーボ部105を制御する。これにより、記録を行う際の照射パワー情報等を獲得する。
次に記録時の動作について図3から図5を参照しながら説明する。図4は、光ビーム制御部104の具体的な構成を示している。
光ビーム制御部104は、光ヘッド103のレーザダイオード103aを駆動する電流を発生させる。このために、光ビーム制御部104は、レーザダイオード103aをバイアスパワーで発光させるための電流源122と、レーザダイオード103aをピークパワーで発光させるための電流源121と、スイッチ123、124、125とを含む。電流源121および電流源122は並列にレーザダイオード103aに接続されており、スイッチ123、124、125は、電流源121とレーザダイオード103aとの間において互いに並列に挿入されている。
図3に示すように、記録時には、デジタル信号処理部107は、記録すべきデータにエラー訂正コードを付加し、所定の変調処理を行い、記録変調符号を含む変調データを生成する。記録補償部108は、変調データを受け取り、光変調データに変換する。光変調データは、変調データに含まれる記録変調符号に対応する記録マークおよび記録スペースを光ディスクに形成するためにレーザダイオードに印加すべき駆動パルス電流を生成する記録パルス列で構成される。このとき記録補償部108は、光ディスクのディスク情報領域を再生して得られる情報や、CPU109にあらかじめ記憶されていた情報に基づいて、
記録パルス列の各パルスの幅やタイミングを微調整し、光ディスクの種類や記録速度に応じた最適なパルス波形となるよう、記録パルス列の調整も行う。
図5は、記録補償部108が生成する光変調データを模式的に示している。ひとつの記録マークを形成するための記録パルス列130は、記録パルス列130の先頭に配置され、記録マークの始端部分を形成するためのファーストパルス131と、記録パルス列130の最後尾に配置され、記録マークの終端部分を形成するためのラストパルス132とファーストパルス131およびラストパルス132の間に配置され記録マークの中間部分を形成するためのマルチパルス列133とを含む。図5においてマルチパルス列133は1つのパルスのみを含んでいるが、記録マークの長さに応じてマルチパルス列133は2つ以上のパルスを含む場合がある。また、記録マークの長さによって、マルチパルス列133を含まず、ファーストパルス131およびラストパルス132のみを含む場合や、最短の長さを有する記録マークのみこれらのパルスとは異なる長さのパルスを含む場合がある。
記録補償部108は、記録パルス列130のファーストパルス131、マルチパルス列133およびラストパルス132のみをそれぞれ含む信号111、112、113を生成し、光ビーム駆動部104のスイッチ123、124、125へそれぞれ出力する。信号111、112、113に含まれるファーストパルス131、マルチパルス列133およびラストパルス132はそれぞれ所定のタイミングでずらされている。
信号111、112、113を受け取ったスイッチ123、124、125はそれぞれの信号がハイレベルとなる期間ONとなる。このため、記録パルス列130と等しい波形を有し、ピークパワーおよびバイアスパワーをハイレベルおよびローレベルとする記録パルス列(駆動パルス列)が生成される。この駆動パルス列によりレーザダイオード103aが駆動され、レーザダイオードの照射を受けて、光ディスクに記録マークが形成される。
以下本実施形態における、記録マークを形成するための記録パルス列を説明する。以下の具体的な例では、例えばRun Length Limited(2,10)変調方式によって、記録データを変調し、マークエッジ記録方式により、マークを光ディスクに記録するものとする。この変調方式は、基準クロック周期をTとして3Tから11Tまでのマークおよびスペースを用いる。
図6は、本実施形態の第1の例による記録パルス列を示しており、上から順に、3Tから11Tの記録マークを形成するための記録パルス列をそれぞれ示している。
図6に示すように、たとえば、6Tの記録マークを形成するための記録パルス列は、先頭に配置されたファーストパルス201と、最後尾に配置されたラストパルス203と、ファーストパルス201およびラストパルス203の間に配置されたマルチパルス列202とを含んでいる。
また、7Tの記録マークを形成するための記録パルス列は、先頭に配置されたあるファーストパルス204と、最後尾に配置されたラストパルス206と、ファーストパルス204およびラストパルス206の間に配置されたマルチパルス列205とを含んでいる。
これらの記録パルス列において、マルチパルス列202および205はいずれも1つのパルスから構成されている。また、8Tおよび9Tの記録パルス列では、マルチパルス列207および208は2つのパルスを含んでいる。10Tおよび11Tの記録パルス列では、マルチパルス列209および210は3つのパルスを含んでいる。このように、本実施形態の記録パルス列では、nを2以上の整数とするとき、2nTと(2n+1)Tの記録マークを形成するための記録パルス列において、マルチパルス列に含まれるパルスの数は等しい。
したがって、マークが2Tだけ長くなるごとにマルチパルス列中のパルスの個数が1つ増える。このときマルチパルスの発生タイミングには2通りあり、同数のパルスを有するマルチパルス列を含む2つの記録マークであっても、偶数の基準周期Tのマークのためのマルチパルス列の先頭のパルスは、奇数の基準周期Tのマークのためのマルチパルス列の先頭のパルスに比べて0.5Tだけ先行する。つまり、ファーストパルスとマルチパルス列の先頭パルスとの間隔は、偶数Tのマークのほうが0.5Tだけ短い。また、マルチパルス列の最後尾のパルスとラスパルスとの間隔は、偶数Tのマークのほうが0.5Tだけ短い。
図6に示すように、3Tから11Tの記録マークを形成するための記録パルス列において、ファーストパルス、ラストパルスおよびマルチパルス列の各パルスのパルス幅はほぼ等しく、基準周期Tに一致している。マルチパルス列のパルス間隔も基準周期Tに一致している。つまり、マルチパルス列におけるパルスの周期は、基準周期Tの2倍である2Tになっている。
また、図6に示すように、第1の例では、4Tおよび5Tのマークを形成する記録パルス列はファーストパルスとラストパルスのみで構成され、マルチパルス列を含まない。3Tのマークを形成する記録パルス列は一つのパルスで構成される。したがって、ファーストパルスおよびラストパルスをあわせて考えると、第1の例の記録パルスでは、nを2以上の整数としたときに、2nTと(2n+1)Tの記録マークを形成するための記録パルス列に含まれるパルスの数は等しくなっている。
このような記録パルス列を用いて記録マークを形成する場合、マルチパルス列を構成するパルスのパルス幅は基準周期Tとほぼ等しく、従来のマルチパルス列を構成するパルスのパルス幅の約2倍となっている。1つのパルスにおけるレーザの立ち上がりおよび立下り時間の影響を相対的に低減することができ、記録マークが変形しにくくなる。またファーストパルスの幅およびラストパルスの幅が、各マークにおいて等しいため、各マークのエッジ位置を正しく記録することが容易となる。特に高転送速度でデータを光ディスクに記録することのよって、マークのエッジ位置にばらつきが生じ、再生信号のジッタが増大する場合に、第1の例の記録パルス列は効果を発揮する。
図7は、本実施形態の第2の例よる記録パルス列を示している。図6に示す第1の例と同様、3Tから11Tの記録マークを形成するための記録パルス列において、マルチパルス列を構成するパルスの数は、2nTおよび(2n+1)Tのマークにおいて等しくなっている。また、マークが2Tだけ長くなるごとにマルチパルス列中のパルスの個数が1つ増える。
また、6T〜11Tの記録マークを形成するための記録パルス列は、ファーストパルス、マルチパルス列およびラストパルスによって構成される。たとえば、6Tの記録マークを形成するための記録パルス列は、先頭に配置されたあるファーストパルス301と、最後尾に配置されたラストパルス303と、ファーストパルス301およびラストパルス303の間に配置されたマルチパルス列302とを含んでいる。7Tの記録マークを形成するための記録パルス列は、先頭に配置されたあるファーストパルス304と、最後尾に配置されたラストパルス306と、ファーストパルス304およびラストパルス306の間に配置されたマルチパルス列305とを含んでいる。3Tの記録パルス列はファーストパルスのみを含み、4Tおよび5Tの記録パルス列は、ファーストパルスおよびラストパルスのみによって構成されている。
図7に示すように、各記録マークを形成する記録パルスにおいて、ファーストパルス、ラストパルス、およびマルチパルス列の各パルスにおいて、隣接するパルスとの間隔はいずれもほぼ等しくなっている。偶数Tの記録パルス列におけるファーストパルスおよびラストパルスの幅が他のパルスと異なっている。たとえば約1.5Tである。奇数Tの記録パルス列におけるファーストパルスおよびラストパルスの幅、およびすべての記録マークにおけるマルチパルス列を構成するパルスの幅は約1Tになっている。
第2の例による記録パルス列によれば、いずれの記録パルス列においても隣接する2つのパルスの間隔がほぼ等しい。このため、第2の例による記録パルス列を用いて形成した記録マークはいずれも光ディスクの半径方向にほぼ等しい幅を有する。このため、レーザダイオードのピークパワーを適切に選ぶことによって、隣接するトラックからの再生信号のもれこみであるクロストークや、隣接トラックにおける記録の影響であるクロスイレーズによるジッタを低減させることができる。
図8は、本実施形態の第3の例よる記録パルス列を示している。図6に示す第1の例と同様、3Tから11Tの記録マークを形成するための記録パルス列において、マルチパルス列を構成するパルスの数は、2nTおよび(2n+1)Tのマークにおいて等しくなっている。また、マークが2Tだけ長くなるごとにマルチパルス列中のパルスの個数が1つ増える。
また、6T〜11Tの記録マークを形成するための記録パルス列は、ファーストパルス、マルチパルス列およびラストパルスによって構成される。たとえば、6Tの記録マークを形成するための記録パルス列は、先頭に配置されたあるファーストパルス401と、最後尾に配置されたラストパルス403と、ファーストパルス401およびラストパルス403の間に配置されたマルチパルス列402とを含んでいる。7Tの記録マークを形成するための記録パルス列は、先頭に配置されたあるファーストパルス404と、最後尾に配置されたラストパルス406と、ファーストパルス404およびラストパルス406の間に配置されたマルチパルス列405とを含んでいる。3Tの記録パルス列はファーストパルスのみを含み、4Tおよび5Tの記録パルス列は、ファーストパルスおよびラストパルスのみによって構成されている。
第3の例よる記録パルス列では奇数Tのマークの記録パルス列中のマルチパルス列の先頭パルスの幅が他のパルスの幅と異なっている。たとえば、約1.5Tである。ファーストパルス、ラストパルスおよびマルチパルス列の先頭パルス以外のパルスの幅はすべてのマークにおいておおよそ等しく、その幅は約1Tである。隣接するパルス間の幅は、奇数Tのマークにおいて、マルチパルス列の最後のパルスとラストパルスとの間隔が他の任意の隣接するパルス間の間隔よりも長くなっており、たとえば、マルチパルス列の最後のパルスとラストパルスとの間隔が約1.5Tであるのに対して、他の任意の隣接するパルス間の間隔は約1Tである。
なお、奇数Tのマークの後方におけるレーザパワーが不足する場合には、マルチパルス列の先頭のパルスに換えて、最後尾のパルスの幅を他のパルスよりも長くし、また、ファーストパルスとマルチパルス列の先頭のパルスとの間隔を他の間隔よりも長くしてもよい。
第3の例による記録パルス列は、第1の例の記録パルス列および第2の例の記録パルス列の特徴を備えており、記録マークのエッジ位置のばらつき、再生信号のクロストーク、および記録時のクロスイレーズによる影響が大きい場合に第3の例による記録パルス列を
用いて記録マークを形成すれば、これらの影響を低減することができる。
図9は、本実施形態の第4の例よる記録パルス列を示している。これまでの例と同様、たとえば、7Tの記録マークを形成するための記録パルス列は、先頭に配置されたあるファーストパルス501と、最後尾に配置されたラストパルス503と、ファーストパルス501およびラストパルス503の間に配置されたマルチパルス列502とを含んでいる。8Tの記録マークを形成するための記録パルス列は、先頭に配置されたあるファーストパルス504と、最後尾に配置されたラストパルス506と、ファーストパルス504およびラストパルス506の間に配置されたマルチパルス列505とを含んでいる。
これらの記録パルス列において、マルチパルス列502および505はいずれも1つのパルスから構成されている。また、9Tおよび10Tの記録パルス列では、マルチパルス列507および508は2つのパルスを含んでいる。11Tの記録パルス列では、マルチパルス列509は3つのパルスを含んでいる。
このように、第4の例による記録パルス列では、nを4以上の整数とするとき、(2n−1)Tと2nTとの記録マークを形成するための記録パルス列において、マルチパルス列に含まれるパルスの数は等しい。
したがって、マークが2Tだけ長くなるごとにマルチパルス列中のパルスの個数が1つ増える。このときマルチパルスの発生タイミングには2通りあり、同数のパルスを有するマルチパルス列を含む2つの記録マークであっても、奇数の基準周期Tのマークのためのマルチパルス列の先頭のパルスは、偶数の基準周期Tのマークのためのマルチパルス列の先頭のパルスに比べて0.5Tだけ先行する。つまり、ファーストパルスとマルチパルス列の先頭パルスとの間隔は、奇数Tのマークのほうが0.5Tだけ短い。また、マルチパルス列の最後尾のパルスとラスパルスとの間隔は、奇数Tのマークのほうが0.5Tだけ短い。
図9に示すように、3Tから11Tの記録マークを形成するための記録パルス列において、ファーストパルス、ラストパルスおよびマルチパルス列の各パルスのパルス幅はほぼ等しく、基準周期Tに一致している。マルチパルス列のパルス間隔も基準周期Tに一致している。つまり、マルチパルス列におけるパルスの周期は、基準周期Tの2倍である2Tになっている。
また、第4の例では、5Tおよび6Tのマークを形成する記録パルス列はファーストパルスとラストパルスのみで構成され、マルチパルス列を含まない。3Tおよび4Tのマークを形成する記録パルス列は一つのパルスで構成される。ただし、4Tの記録パルス列は、3Tよりも0.5T長いファーストパルスを用いる。したがって、ファーストパルスおよびラストパルスをあわせて考えると、第4の例の記録パルスでは、nを1以上の整数としたときに、(2n−1)Tおよび2nTの記録マークを形成するための記録パルス列に含まれるパルスの数は等しくなっている。
このような記録パルス列を用いて記録マークを形成する場合、マルチパルス列を構成するパルスのパルス幅は基準周期Tとほぼ等しく、従来のマルチパルス列を構成するパルスのパルス幅の約2倍となっている。1つのパルスにおけるレーザの立ち上がりおよび立下り時間の影響を相対的に低減することができ、記録マークが変形しにくくなる。またファーストパルスの幅およびラストパルスの幅が、各マークにおいて等しいため、各マークのエッジ位置を正しく記録することが容易となる。特に高転送速度でデータを光ディスクに記録することのよって、マークのエッジ位置にばらつきが生じ、再生信号のジッタが増大する場合に、第4の例の記録パルス列は効果を発揮する。
図10は、本実施形態の第5の例よる記録パルス列を示している。図9に示す第4の例と同様、3Tから11Tの記録マークを形成するための記録パルス列において、マルチパルス列を構成するパルスの数は、(2n−1)Tおよび2nTのマークにおいて等しくなっている。また、マークが2Tだけ長くなるごとにマルチパルス列中のパルスの個数が1つ増える。
また、7T〜11Tの記録マークを形成するための記録パルス列は、ファーストパルス、マルチパルス列およびラストパルスによって構成される。たとえば、7Tの記録マークを形成するための記録パルス列は、先頭に配置されたあるファーストパルス601と、最後尾に配置されたラストパルス603と、ファーストパルス601およびラストパルス603の間に配置されたマルチパルス列602とを含んでいる。8Tの記録マークを形成するための記録パルス列は、先頭に配置されたあるファーストパルス604と、最後尾に配置されたラストパルス606と、ファーストパルス604およびラストパルス606の間に配置されたマルチパルス列605とを含んでいる。3Tおよび4Tの記録パルス列はファーストパルスのみを含み、5Tおよび6Tの記録パルス列は、ファーストパルスおよびラストパルスのみによって構成されている。
図10に示すように、各記録マークを形成する記録パルスにおいて、ファーストパルス、ラストパルス、およびマルチパルス列の各パルスにおいて、隣接するパルスとの間隔はいずれもほぼ等しくなっている。偶数Tの記録パルス列におけるファーストパルスおよびラストパルスの幅が他のパルスとことなっている。たとえば約1.5Tである。奇数Tの記録パルス列におけるファーストパルスおよびラストパルスの幅、およびすべての記録マークにおけるマルチパルス列を構成するパルスの幅は約1Tになっている。
第5の例による記録パルス列によれば、いずれの記録パルス列においても隣接する2つのパルスの間隔がほぼ等しい。このため、第5の例による記録パルス列を用いて形成した記録マークはいずれも光ディスクの半径方向にほぼ等しい幅を有する。このため、レーザダイオードのピークパワーを適切に選ぶことによって、隣接するトラックからの再生信号のもれこみであるクロストークや、隣接トラックにおける記録の影響であるクロスイレーズによるジッタを低減させることができる。
図11は、本実施形態の第6の例よる記録パルス列を示している。図9に示す第4の例と同様、3Tから11Tの記録マークを形成するための記録パルス列において、マルチパルス列を構成するパルスの数は、(2n−1)Tおよび2nTのマークにおいて等しくなっている。また、マークが2Tだけ長くなるごとにマルチパルス列中のパルスの個数が1つ増える。
また、7T〜11Tの記録マークを形成するための記録パルス列は、ファーストパルス、マルチパルス列およびラストパルスによって構成される。たとえば、7Tの記録マークを形成するための記録パルス列は、先頭に配置されたあるファーストパルス701と、最後尾に配置されたラストパルス703と、ファーストパルス701およびラストパルス703の間に配置されたマルチパルス列702とを含んでいる。
7Tの記録マークを形成するための記録パルス列は、先頭に配置されたあるファーストパルス704と、最後尾に配置されたラストパルス706と、ファーストパルス704およびラストパルス706の間に配置されたマルチパルス列705とを含んでいる。3Tおよび4Tの記録パルス列はファーストパルスのみを含み、7Tおよび6Tの記録パルス列は、ファーストパルスおよびラストパルスのみによって構成されている。
第6の例よる記録パルス列では偶数Tのマークの記録パルス列中のマルチパルス列の先頭パルスの幅が他のパルスの幅と異なっている。たとえば、約1.5Tである。ファーストパルス、ラストパルスおよびマルチパルス列の先頭パルス以外のパルスの幅はすべてのマークにおいておおよそ等しく、その幅は約1Tである。隣接するパルス間の幅は、奇数Tのマークのにおて、マルチパルス列の最後のパルスとラストパルスとの間隔が他の任意の隣接するパルス間の間隔よりも長くなっており、たとえば、マルチパルス列の最後のパルスとラストパルスとの間隔が約1.5Tであるのに対して、他の任意の隣接するパルス間の間隔は約1Tである。
なお、奇数Tのマークの後方におけるレーザパワーが不足する場合には、マルチパルス列の先頭のパルスに換えて、最後尾のパルスの幅を他のパルスよりも長くし、また、ファーストパルスとマルチパルス列の先頭のパルスとの間隔を他の間隔よりも長くしてもよい。
第6の例による記録パルス列は、第1の例の記録パルス列および第2の例の記録パルス列の特徴を備えており、記録マークのエッジ位置のばらつき、再生信号のクロストーク、および記録時のクロスイレーズによる影響が大きい場合に第6の例による記録パルス列を用いて記録マークを形成すれば、これらの影響を低減することができる。
このように本実施形態によれは、マルチパルス列におけるパルスの周期を記録変調符号の基準周期Tよりも長い2Tにすることによって、記録速度が速くなった場合でも、レーザの立ち上がり時間、立ち下がり時間の影響が受けにくくなり、正しい記録を行うことができる。
なお、これまで示した例では、ピークパワーとバイアスパワーの二値パワーで光ディスク101への記録を行っているが、パワーの種類はこれに限らなくともよく、3種類以上の異なるパワーを用いて記録を行ってもよい。
図12に示す第7の例による記録パルス列は、3Tを除く奇数Tのファーストパルスおよびラストパルスの振幅、つまりハイレベルに対応するレーザ照射パワーが他のパルスよりも大きなっている点で図6に示す第1の例の記録パルス列と異なっている。
図12に示すようにnを2以上の整数としたとき、2nTの記録パルス列のパルスの数と、(2n+1)Tの記録パルス列のパルスの数は等しい。(2n+1)Tの記録マークは、2nTの記録マークよりTだけ長く形成される必要があるため、(2n+1)Tの記録マークを形成する際、2nTの記録マークを形成する場合に比べて熱量が不足する可能性がある。このため、ファーストパルスおよびラストパルスのレーザ照射パワーを他のパルスよりも大きくする。たとえば、ファーストパルスおよびラストパルスのレーザパワーを他のパルスの1倍よりも大きく1.5倍以下にする。このような記録パルス列を生成するためには、たとえば、光ビーム制御部104に、電源121より大きな電流を出力する電源、および、互いに並列に接続され、電源に対してそれぞれ直列に接続された一対のスイッチを設ける。そして、5T以上の偶数記録パルス列を生成する場合、新たに設けた電源のスイッチをONにする制御信号を生成するように記録補償部108を調整する。
2T離れたマークを構成するパルスのパワーを等しくすることによって、記録パルス列の生成に規則性を利用することができる。したがって、マークごとに個別にパワーを補正するように記録パルス列を生成する場合に比べて、光ビーム制御部104および記録補償部108の構成を簡単にすることができる。
このようにすることによって、パルス間隔が2nTの記録パルス列と比べて長くなるフ
ァーストパルスとマルチパルス列の先頭パルスとの間およびマルチパルス列の最後尾のパルスとラストパルスとの間において、レーザ照射パワーが不足して記録マークが細くなることを防止し、正しいマーク幅で記録マークを形成することができる。
(2n+1)Tの記録パルス列のラストパルスのレーザ照射パワーを大きくする換わりに、(2n+1)Tの記録パルス列のマルチパルス列の最後尾のパルスのレーザ照射パワーを大きくしてもよい。また、3Tの記録パルス列と4Tの記録パルス列においてレーザ照射パワーを異ならせても良い。
同様に、第2から第6の例による記録パルス列についてもそれぞれ所定のパルスの照射パワーを補正することにより、2nTおよび(2n+1)Tの記録パルス列あるいは、(2n−1)Tおよび2nTの記録パルス列のパルスの数を等しくすることにより生じ得るレーザ照射パワーの不足を補うことができる。
図13は、第2の例による記録パルス列の変形例であり、2nTの記録パルス列のファーストパルスおよびラストパルスの振幅、つまり、レーザ照射パワーを他のパルスに比べて大きくしている。
図14は、第3の例による記録パルス列の変形例であり、(2n+1)Tの記録パルス列のマルチパルスの先頭パルスのレーザ照射パワーを小さくし、最後尾のパルスのレーザ照射パワーを大きくしている。
図15は、第4の例による記録パルス列の変形例であり、2nTの記録パルス列のファーストパルスおよびマルチパルスの先頭パルスの最後尾のパルスのレーザ照射パワーを大きくしている。
図16は、第5の例による記録パルス列の変形例であり、2nTの記録パルス列のファーストパルスおよびラストパルスのレーザ照射パワーを大きくしている。
図17は、第6の例による記録パルス列の変形例であり、2nTの記録パルス列のマルチパルスの照射パワーをそれぞれ大きくしている。
なお、本実施形態において、記録パルス列中にバイアスパワーよりも小さいパワーでレーザダイオードを駆動するためのレベルを設けてもよい。たとえば、ファーストパルスの立ち上がり位置やラストパルスの立ち下がり位置、ラストパルス後の一定時間、あるいはマルチパルスの前後にバイアスパワーよりも小さいパワーとなる期間を設けてもよい。本実施形態によれば、記録速度が速くなった場合でも、レーザの立ち上がり時間、立ち下がり時間の影響が受けにくくなるので、バイアスパワーよりも小さいパワーからピークパワーに立ち上がる場合にも効果がある。この場合、記録補償部108により、これらの期間の終了位置をマーク毎に微調整してもよい。これにより、より正しい位置にマークを記録することができる。
また、図12から図17を参照して説明した例では、ピークパワーの出力を所定の位置において変更している。しかし、バイアスパワー等マークを形成する際に用いられる他のパワーを変更してもレーザ照射パワーを調整することが可能となり、これによって、より正しい形状のマークを光ディスクに形成することができる。
また、記録補償部108および光ビーム制御部104により、たとえばファーストパルスの一部もしくは全区間、一部もしくは全てのマルチパルス、ラストパルスの一部もしくは全区間の照射パワーをマーク毎、もしくは全マーク共通に調整してもよい。これにより
、より正しい位置にマークを記録することができる。
なお、ファーストパルス、ラストパルス、およびマルチパルスの照射開始位置情報、照射幅情報、照射終了情報、照射パワー情報は、光ディスクに記録されていてもよい。光ディスクにこれらの情報を記録することにより、光ディスク装置は種々の光ディスクに対応することが可能となり、ディスク製造における設計の自由度を大きくすることができる。
また、図2に示すように2nTおよび(2n+1)Tの記録パルス列におけるパルス数が等しい記録方法、または、図6に示すように(2n−1)Tおよび2nTの記録パルス列におけるパルス数が等しい記録方法のいずれであるかを識別する符号を光ディスクに記録してもよい。これにより、光ディスクの特性に応じて記録方法を選択することが可能となり、ディスク製造における設計の自由度を大きくすることができる。
また、3Tから11Tなどの各記録マークが、1つのパルスで構成されるか、ファーストパルスのみで構成されるか、ファーストパルスとラストパルスのみで構成されるか、ファーストパルス、マルチパルス、ラストパルスで構成されるかを区別するマーク構成情報を光ディスクに記録してもよい。
これらの情報を光ディスクに記録する場合には、たとえば、光ディスクの最内周部のディスク情報領域に記録し、光ディスクを光ディスク装置に挿入した直後の起動時、または、データを記録する直前に読み出すことができる。
本実施の形態のようなパルス波形構成とすることにより、従来のような1T毎にマルチパルスが1つ増える場合に比べて、マルチパルス幅および隣り合うマルチパルス間隔が約2倍となり、記録速度が速くなった場合でも、正しい記録を行うことができる。
またマルチパルスだけでなく、ファーストパルス、ラストパルスを含めた任意のパルスのパルス幅、および任意の隣り合うパルスのパルス間隔を1T程度とすることにより、より大きな効果が得られる。
さらに本実施の形態のように、2T毎にマルチパルスが1つ増えるというような規則性を持たせることにより、1T毎にマルチパルスを発生させる場合と同様に簡単な構成でマルチパルスを生成することができる。
本実施の形態では相変化ディスクについて説明してきたが、本実施形態は、光磁気ディスクにも適用することが可能であり、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態において説明したように、2nTおよび(2n+1)Tの記録パルス列、あるいは、(2n−1)Tおよび2nTの記録パルス列におけるマルチパルス列中のパルスの数を等しくすることにより、これら2つの記録パルス列のレーザ照射パワーが異なる可能性がある。これはマルチパルス列におけるマーク/スペースのデューティあるいは平均値が異なるからである。
図18(a)および(b)は、図10に示すにおける9Tマークを形成するための記録パルス列2および10Tマークを形成するための記録パルス列8により形成した記録マークおよび形成された記録マークから得られる再生信号をそれぞれ示している。
図18(a)に示すように、記録パルス列2において、ファーストパルス9およびラストパルス10は1Tのパルス幅を有し、光ディスクの記録膜に適正なマーク形成熱エネル
ギーを与える。このため、形成される記録マーク4の幅はほぼ均一であり、再生信号6もマーク中央部が凹んでいない、おおよそ台形形状を有している。つまり、この再生信号6は、適正である。
一方、記録パルス列8において、ファーストパルス11およびラストパルス12は1.5Tの幅を有しているため、マーク始終端のマーク形成熱エネルギーが増大する。このため、形成される記録マーク13の幅は、始終端において太くなり、アレイ状のマーク13が形成される。このようなアレイ状の記録マーク13から得られる再生信号14は、立ち上がりおよび立ち下り部分の振幅が増大し歪んだ双峰型の波形を有する。このような双峰型の再生信号14を2値化もしくはAD変換してデジタル信号に変換すると、波形の立ち上がりおよび立ち下り部分でジッタが発生し、再生ビットエラーの原因となる。
本実施形態では、どの記録パルス列においても、適正なマーク形成熱エネルギーが得られるように、マルチパルス列のデューティ値、もしくは振幅平均値を目標としてマルチパルス列のパルス位置およびパルス幅を設定する。
図19は、本実施形態における記録パルス列16と、記録パルス列16により形成される記録マーク15と、記録マーク15より得られる再生信号17とを示しており、記録変調符号長が10Tの場合を例に説明する。
記録パルス列16は、ファーストパルス18とマルチパルス列19とラストパルス20とで構成されている。
ファーストパルス18のタイミングは、ファーストパルス立ち上がりタイミングTSFPと、ファーストパルス立ち下がりタイミングTEFPで設定される。一方、ラストパルス20のタイミングは、ラストパルス立ち上がりタイミングTSLPと、ラストパルス立ち下がりタイミングTELPで設定される。マルチパルス列19の配置は、マルチパルス列の立ち上がりタイミングTSMPと、パルス幅TMPで設定される。
このような記録パルス列16を構成するパラメータの変化と、記録マーク15の形状および再生信号17の波形との関係を次に説明する。
記録マーク15の始端位置21は、ファーストパルス立ち上がりタイミングTSFPで決定される。記録マーク15の始端位置21は、一つ手前の記録マークからの熱干渉により前後し、これにより再生信号17は図19中の矢印22で示すように変化する。
記録マーク15の始端位置21を適正な位置に制御するために、ファーストパルス立ち上がりタイミングTSFPを、一つ前のスペースの長さ及び記録マーク15自体の長さによって適応的に設定する。このようにすることにより、一つ手前のスペースおよびそれに続く記録マークがどのような組み合わせでも、記録マークの始端位置21を記録変調符号どおりの適正な位置に制御でき、再生信号波形の始端部22のジッタ成分を軽減することができる。 一方、記録マーク15の終端位置23は、ラストパルス立ち下がりタイミングTELPで決定される。記録マーク15の終端位置23は、一つ後ろの記録マークからの熱干渉により前後し、これにより再生信号17は図19中の矢印24で示すように変化する。
記録マーク15の終端位置23を適正な位置に制御するために、ラストトパルス立ち下がりタイミングTSLPを、一つ前のスペースの長さ及び記録マーク15自体の長さによって適応的に設定する。このようにすることにより、記録マークおよびその一つ後ろのスペースがどのような組み合わせでも、記録マークの終端位置23を記録変調符号どおりの適正な位置に制御でき、再生信号波形の終端部24のジッタ成分を軽減することができる。
記録マーク15の始端部幅25は、ファーストパルス立ち下がりタイミングTEFPで決定される。ファーストパルス立ち下がりタイミングTEFPは、ファーストパルス18の幅を決定し、記録マークの始端部に与える熱エネルギーを制御できるため、記録マークの始端部幅25を適正な幅に制御できる。記録マークの始端部幅25は、記録マークの始端位置21のように、一つ前の記録マークからの熱干渉や、記録マーク15自体の符号長による影響が少ない。このために、ファーストパルス立ち下がりタイミングTEFPは、一つ手前のスペース符号長及び記録マーク15自体の符号長によらず一般的に一定値に設定する。
このようにファーストパルス立ち下がりタイミングTEFPを設定することにより、記録マークの始端部幅25を適正な幅に制御でき、再生信号17の始端部におけるオーバーシュート部分26を軽減できる。このため、長い記録変調符号から得られる再生信号において、始端部の振幅変動によるジッタ成分が低減される。
一方、記録マーク15の終端部幅27は、ラストパルス立ち上がりタイミングTSLPで決定される。ラストパルス立ち上がりタイミングTSLPは、ラストパルス20の幅を決定し、記録マークの終端部に与える熱エネルギーを制御できるため、記録マークの終端部幅27を適正な幅に制御できる。記録マークの終端部幅27も、記録マークの終端位置23のように、一つ後ろの記録マークからの熱干渉や、記録マーク15自体の符号長による影響が少ない。このために、ラストパルス立ち上がりタイミングTSLPは、一つ後ろのスペース長及び記録マーク15自体の符号長によらず一定値に設定する。
このようにラストパルス立ち上がりタイミングTSLPを設定することにより、記録マーク15の終端部幅27を適正な幅に制御でき、再生信号17の終端部のオーバーシュート部分28を軽減できる。このため、長い記録変調符号から得られる再生信号において、終端部の振幅変動によるジッタ成分が低減される。
記録マーク15の中央近傍の幅29は、マルチパルス列の立ち上がりタイミングTSMPと、マルチパルス列幅TMPで決定される。第1の実施形態で説明したように、マルチパルス列の周期を2Tに設定し、高転送レートにおいてもマルチパルス列によってレーザダイオードの駆動が確実に行えるようにしている。
高転送レートでかつ高密度で記録する場合、低転送レート、低密度の場合よりもレーザ光の照射時間が短い。このため、適切な記録マーク幅を形成するために、より精密にマルチパルス列の幅を設定する必要がある。さらに、マルチパルス列の周期を2Tに設定すると、1T周期の場合と比較して、マルチパルス列の幅TMPやマルチパルス列のスペース33が広くなるため熱エネルギーの分布が不均一になりやすい。このため、マルチパルス列の適切な設定は、最適な幅を有する記録マークを形成するために重要である。
記録マーク15の中央近傍はマルチパルス列19の熱エネルギーの総和でマークが形成される。このため、マルチパルス列19の立ち上がりタイミングTSMPと、マルチパルス列19を構成するパルスのパルス幅TMPとで、マルチパルス列19の構成が決定し、また、記録マークの本体中央近傍に与える熱エネルギーを制御することができる。したがって、記録マーク15の中央近傍の幅29を適正な幅に調節することができる。
このように記録マーク15の中央近傍の幅29を適正な幅に調節することにより、再生信号17の中央近傍における振幅の変動30を低減できる。このため、長い記録変調符号
から得られる再生信号17における振幅変動によるジッタ成分が低減される。
前述したように、記録マーク17の中央近傍はマルチパルス列19の熱エネルギーの総和で形成される。このとき、マルチパルス列19を含む領域は、2つの異なる定義によって規定することが可能であり、光ディスクの記録材料の感度やマーク記録速度に応じて、異なる定義を用いる。
比較的マーク記録速度が遅く、記録感度の低い記録材料を有する光ディスクでは、マルチパルス列19中の最初に配置された先頭マルチパルス19Aの立ち上りのタイミングから、マルチパルス列中の最後に配置された後尾マルチパルス19Cの立ち下りのタイミングまでの範囲が、主として記録マーク15の本体中央近傍のマーク形成に関与し影響を与える。これを第1マルチパルス領域31と呼ぶ。
一方、比較的マーク記録速度が早く、記録感度の高い記録材料を有する光ディスクでは、ファーストパルス立ち下がりタイミングTEFPから、記録パルス列を構成するラストパルス立ち上りタイミングTSLPまでの範囲が、主として記録マーク15の中央近傍のマーク形成に関与し影響を与える。これを第2マルチパルス領域32と呼ぶ。
また記録マーク15の中央近傍を形成するのに関与する熱エネルギーを示す指標も、光ディスクの記録材料のマーク形成過程により2種類存在する。
記録マーク15の中央近傍を形成するために、マルチパルス領域における光照射部分に対する一定の冷却時間、すなわちマルチパルス列19のスペース33が重要な記録材料を有する光ディスクの場合は、マルチパルスデューティを熱エネルギーの指標にする。マルチパルスデューティとは、マルチパルス領域において、マルチパルス幅TMPをマルチパルス列の周期(図19では2T)で除算した値である。
一方、記録マーク15の中央近傍を形成するために、マルチパルス領域における平均光照射エネルギーが重要な(あるいは相関が強い)記録材料を有する光ディスの場合は、マルチパルス振幅平均値を熱エネルギーの指標にする。マルチパルス振幅平均値とは、マルチパルス領域の振幅積分値をマルチパルス領域の時間幅で除算した値である。
以上説明したように、マルチパルスデューティやマルチパルス振幅平均値を評価の指標として用い、マルチパルス列19の立ち上がりタイミングTSMPと、マルチパルス列幅TMPを調整し、記録マーク15の中央近傍の幅29を適正に保つ。
また、記録マークの始端部における幅25、記録マークの中央近傍の幅29および記録マークの終端部における幅27の各々の幅が、よりバランスよく平坦に揃うようにするためには、以下に示すようなタイミングに設定操作するのがよい。
すなわち、ファーストパルス18とマルチパルス19の先頭パルス19Aとに挟まれた先頭スペース幅FSPと、マルチパルス19の最後尾のパルス19Cとラストパルス20とに挟まれた後尾スペース幅LSPとが等しくなるように設定する。このようにFSP=LSPに設定操作することにより、マルチパルス19によって与えられるエネルギーが、記録マークの始端あるいは終端に偏ることがなく、記録マークの中央近傍にバランスよく照射される。したがって、記録マークの幅25、29、27がおおよそ等しくなり、長さ方向に均一な幅を有する記録マークを形成することが可能となる。
以上説明したように、マルチパルスデューティやマルチパルス振幅平均値を指標とし、これらのパラメータが所定の目標となるよう、マルチパルス領域のマルチパルス列の立ち
上がりタイミングTSMPと、マルチパルス列の幅TMP、先頭スペースの幅FSPと、後尾スペースの幅LSPを設定することにより、高転送レートでかつ高密度で記録する場合でも、適切な幅を有する記録マークを形成することができる。したがって、再生信号における中央近傍の波形振幅の減少30を低減し、長い記録変調符号における再生信号波形の振幅変動によるジッタ成分を低減することができる。
次に、図20を参照しながら、本実施形態における記録パルス列16の各タイミングの具体的な演算方法を説明する。図20において、上から順に、基準クロック、記録変調符号、偶数nTの場合の記録パルス列および奇数nTの場合の記録パルス列が示されている。これらは、いずれも水平方向が時間軸になっている。
記録変調符号35は、基準単位長である基準クロック周期T34のn倍(nは1以上の自然数)の記録変調符号長を有する。nが偶数の場合、偶数nT36で示す位置でパルスがたち下がり、nが奇数の場合、奇数nT37で示す位置でパルスが立ち下がる。第1の実施形態と同様RLL(2,10)変調方式で記録変調符号35が変調される場合、符号長は、3Tから11Tである。
記録パルス列16は、前述したようにファーストパルス18とマルチパルス列19とラストパルス20とで構成されている。
ファーストパルス18のタイミングは、ファーストパルス18の立ち上がりタイミングTSFPとファーストパル18のス立ち下がりタイミングTEFPで決定される。TSFPの値は、以降マルチパルス列の演算結果に影響を与えないのと、説明の簡略化のため図示していないがTSFP=0としている。図19を参照して説明したように、TSFPは、一つ前のスペース符号長及び記録マーク自体の符号長によって適応的に設定する。TEFPは、前述したように一つ前のスペース符号長及び記録マーク自体の符号長によらず一般的に一定値に設定する。
一方、ラストパルス20のタイミングはラストパルス20の立ち上がりタイミングTSLPとラストパルス20の立ち下がりタイミングTELPで決定される。TSLPは、前述したように一つ後ろのスペース符号長及び記録マーク自体の符号長によらず一定値に設定する。TSLPは図示していないが、再生波形の終端部におけるオーバーシュートが少なくなる値であるTSLP=0に設定した。また、図19を参照して説明したように、TELPは、一つ後ろのスペース符号長及び記録マーク自体の符号長によって適応的に設定する。
次にマルチパルス領域のマルチパルス列19の立ち上がりタイミングTSMPと、マルチパルス列の幅TMP、先頭スペースの幅FSPと、後尾スペースの幅LSPのタイミング演算方法を説明する。
第1の例を説明する。第1の例では、記録マークの中央近傍の幅に影響を与える範囲は第1マルチパルス領域31であり、マルチパルス列のタイミングを制御する指標はマルチパルスデューティである。
まず、記録変調符号長が偶数nTの場合38について演算する。偶数nTでは、マルチパルス列19の立ち上がりタイミングTSMPは、記録変調符号35の立ち上がりタイミングから2T遅延した偶数基準タイミングTREを基準に演算する。
先頭スペースの幅FSPおよび後尾スペースの幅LSPは図20より、以下の演算(4
0)で求まる。
FSP=2T−TEFP+TSMP
LSP=2T−TMP−TSMP ・・・(40)
また記録マーク幅の始端および終端におけるバランスを保つため、前述したようにFSP=LSPとすると、演算(40)より、マルチパルス列立ち上がりタイミングTSMPは、以下の演算(41)で求まる。
TSMP=(TEFP−TMP)/2 ・・・(41)
次に、記録変調符号長が奇数nTの場合39について演算する。
奇数nTの場合のTSMPは、記録変調符号35の立ち上がりタイミングから3T遅延した奇数基準タイミングTROを基準に演算する。
先頭スペースの幅FSPと、後尾スペースの幅LSPは図20より以下の演算(42)で求まる。
FSP=3T−TEFP+TSMP
LSP=2T−TSMP−TMP ・・・(42)
記録マーク幅の始端および終端におけるバランスを保つため、前述したようにFSP=LSPとすると、演算(42)より、マルチパルス列立ち上がりタイミングTSMPは、以下の演算(43)で求まる。
TSMP=(TEFP−TMP−1T)/2 ・・・(43)
一方、制御目標であるマルチパルスデューティMPDは、第1マルチパルス領域31において、マルチパルス列19の幅TMPをマルチパルス列19の周期(図20では2T)で除算した値なので、以下の演算(44)で求まる。
MPD=TMP/2T
従って、TMP=2T・MPD ・・・(44)
ここで、ファーストパルス18の立ち下がりタイミングTEFPは、前述したように前スペース符号長及び記録マーク自体の符号長によらず一定値に設定する。本例では再生信号の波形の始端部におけるオーバーシュートが少ない以下の値に設定した。
TEFP=1.5T
また、記録マークの中央近傍の幅29を適正に保つために必要なマルチパルスデューティMPDは、再生信号の中央近傍の波形振幅の減少が少ない値を選ぶ。再生信号の波形を観測下結果から、本例ではMPDは以下の値が適正値である。
MPD=0.5
上述のTEFP、MPDの値を(40)〜(44)の演算式に代入して、各記録変調符号長におけるFSP、LSP、TSMP、TMPの各タイミング値を求める。このようにし求めた本例における記録パルス列を図21に示す。
図21に示すように、第1マルチパルス領域31におけるマルチパルスデューティMPDが各記録変調符号長で全て0.5と同じ値である。また先頭スペースの幅FSPと後尾スペースの幅FSPも同一記録変調符号内では等しい。
このように本例では記録マークの中央近傍の照射熱エネルギーと冷却時間とがどの記録変調符号長でも均一であり、始端および終端の熱エネルギーのバランスが各記録変調符号間で崩れることがない。このため、いずれの長さの記録変調符号を用いても、始端から終端まで均一な幅の記録マークを安定して形成できる。
比較的マーク記録速度が遅く、感度の低い記録材料を有し、マルチパルス領域における光照射部分に一定の冷却時間が必要な光ディスクの場合、図21に示す記録パルス列を用いデータの記録を行うことにより、形成される記録マークの幅は始端から終端まで均一に制御することができる。このため、再生信号が、図18に示すような双峰形の波形となることなく、再生信号の中央近傍の波形振幅の減少が少ない記録が可能である。
次に本実施形態による第2の例を説明する。第2の例では、記録マークの中央近傍のマーク幅に影響を与える範囲は第1マルチパルス領域31であり、マルチパルス列のタイミング制御する指標はマルチパルス振幅平均値である。図20に示すように、偶数nTでは、マルチパルス列19の立ち上がりタイミングTSMPは、記録変調符号35の立ち上がりタイミングから2T遅延した偶数基準タイミングTREを基準に演算し、奇数nTの場合のTSMPは、記録変調符号35の立ち上がりタイミングから3T遅延した奇数基準タイミングTROを基準に演算する。
先頭スペースの幅FSPと、後尾スペースの幅LSPは図20より以下の演算(45)で求まる。
FSP=2T−TEFP+TSMP(偶数nTの場合)
FSP=3T−TEFP+TSMP(奇数nTの場合)
LSP=2T−TMP−TSMP ・・・(45)
また記録マークの幅を均一に保つために、前述したようにFSP=LSPとすると、演算(45)より、マルチパルス列19の立ち上がりタイミングTSMPは、以下の演算(46)で求まる。
TSMP=(TEFP−TMP)/2 (偶数nTの場合)
TSMP=(TEFP−TMP−1T)/2 (奇数nTの場合)
・・・(46)
一方、制御目標であるマルチパルス振幅平均値MPMは、第1マルチパルス領域31の振幅積分値を第1マルチパルス領域の時間幅で除算した値であるので、図20より以下の演算(47)で求まる。ここでINT(X)はXの値の整数部分を計算する関数とする。
MPM=TMP・INT{(nT−4T)/2}/
(nT−2T−TEFP−FSP−LSP) ・・・(47)
式(47)に式(46)を代入し、さらにマルチパルス幅TMPを求めると、次の演算式(48)になる。
TMP=MPM・(nT−6)/[INT{(nT−4)/2)}−MPM]
(偶数nTの場合)
TMP=MPM・(nT−7)/[INT{(nT−4)/2)}−MPM]
(奇数nTの場合)
・・・(48)
本例では、ファーストパルス18立ち下がりタイミングTEFPは、前述したように前スペース符号長及び録マーク自体の符号長によらず一定値に設定する。本例では再生信号の始端部に波形のオーバーシュートが少ない以下の値に設定した。
TEFP=1.5T
また、記録マークの中央近傍の幅29を適正に保つために必要なマルチパルス振幅平均値MPMは、再生信号の中央近傍の波形振幅の減少が少ない値を選ぶ。再生信号の波形を観測した結果、本例ではMPM=0.5が適正値であった。
上述のTEFP、MPDの値を(45)〜(48)の演算式に代入して、各記録変調符号におけるFSP、LSP、TSMP、TMPの各タイミング値を求める。このようにして求めた本例における記録パルス列の波形を図22に示す。
図22に示すように、第1マルチパルス領域31におけるマルチパルス振幅平均値MPMは記録変調符号に関わらず全て0.5と同じ値である。また先頭スペースの幅FSPと後尾スペースの幅FSPも同一記録変調符号内では等しい。
このように本例では、記録マークの中央近傍における平均照射エネルギーが、どの記録変調符号でも均一で、始端および終端とマーク中央近傍との熱エネルギーバランスが、各記録変調符号間で崩れることがない。したがって、各記録変調符号によって始端から終端まで均一な幅を有する記録マークを安定して形成することができる。
比較的マーク記録速度が遅く、感度の低い記録材料を有し、記録マーク形成にマルチパルス領域における平均光照射エネルギーが重要となる光ディスクでは、図22に示す記録パルス列を用いことにより、始端から終端まで均一な幅を有する記録マークを形成することができる。このため、再生信号が図18に示すような双峰形の波形となることなく、再生信号の中央近傍の波形振幅の減少が少ない記録が可能である。
次に第3の例を説明する。第3の例では、記録マークの中央近傍のマーク幅に影響を与える範囲は第2マルチパルス領域32であり、マルチパルス列のタイミングを制御する指標はマルチパルス振幅平均値である。
図20に示すように、先頭スペースの幅FSPと、後尾スペースの幅LSPは、第2の例と同様、図20より以下の演算(49)で求まる。
FSP=2T−TEFP+TSMP(偶数nTの場合)
FSP=3T−TEFP+TSMP(奇数nTの場合)
LSP=2T−TMP−TSMP ・・・(49)
また記録マーク幅の幅を等しく保つために、前述したようにFSP=LSPとすると、演算(49)より、マルチパルス列立ち上がりタイミングTSMPは、以下の演算(50)で求まる。
TSMP=(TEFP−TMP)/2 (偶数nTの場合)
TSMP=(TEFP−TMP−1T)/2 (奇数nTの場合) ・・・・(50)
一方、制御目標であるマルチパルス振幅平均値MPMは、第2マルチパルス領域32の振幅積分値を第2マルチパルス領域32の時間幅で除算した値であるので、図20より次の演算(51)で求まる。ここでINT(X)はXの値の整数部分を計算する関数とする。
MPM=TMP・INT{(nT−4T)/2}/
(nT−2T−TEFP) ・・・(51)
(51)式よりマルチパルス幅TMPを求めると、次の演算式(52)になる。
TMP=MPM・(nT−2T−TEFP)/
INT{(nT−4)/2)} ・・(52)
本例では、ファーストパルス18の立ち下がりタイミングTEFPは、前述したように前スペース符号長及び記録マーク自体の符号長によらず一定値に設定する。本例では再生信号の始端部において波形のオーバーシュートが少ない以下の値に設定した。
TEFP=1.5T
また、記録マークの中央近傍の幅29を適正に保つために、必要なマルチパルス振幅平均値MPMは、再生信号の中央近傍の波形振幅の減少が少ない値を選ぶ。再生信号の波形を観測した結果、本例ではMPM=0.5が適正値である。
上述のTEFP、MPDの値を(49)〜(52)の演算式に代入して、各記録変調符号におけるFSP、LSP、TSMP、TMPの各タイミング値を求める。このようにして求めた本例における記録パルス列の波形を図23に示す。
図23に示すように、第2マルチパルス領域32におけるマルチパルス振幅平均値MPMが各記録変調符号に関わらず全て0.5と同じ値である。また先頭スペースの幅FSPと後尾スペースの幅FSPも同一記録変調符号内では等しい。
このように本例では、記録マークの中央近傍の平均照射エネルギーがどの記録変調符号でも均一で、始端および終端とマーク中央近傍との熱エネルギーバランスが各記録変調符号間で崩れることがない。したがって、始端から終端まで均一な幅を有する記録マークを安定して形成することができる。
比較的マーク記録速度が早く、感度の高い記録材料有し、記録マークの形成にマルチパルス領域における平均光照射エネルギーが重要となる光ディスクでは図23に示す記録パルス列を用いことにより、始端から終端まで均一な幅を有する記録マークを形成することができる。このため、再生信号が図18に示すような双峰形の波形となることなく、再生信号の中央近傍の波形振幅の減少が少ない記録が可能である。
以上本実施形態では、制御する記録パルス列の各タイミング値(FSP、LSP、TSMP、TMP)は、記録変調符号毎に演算し、設定した。しかし、記録装置の設定時間の短縮するため、もしくは、記録装置の回路規模を小さくし、あるいは回路を簡略化するために、これらタイミング値の設定を記録変調符号長の偶数nTおよび奇数nTの場合の2種類にすることも可能である。たとえば、図21に示す記録パルス列では、記録変調符号毎に演算を行い、それぞれのタイミング値を求めたが、演算結果は偶数nTと奇数nTの
場合の2種類になった。すなわち、各タイミング値は、下記のようになる。
偶数nTの場合:
FSP=LSP=0.75T
TMP=1.0T
TSMP=0.25T
奇数nTの場合:
FSP=LSP=1.25T
TMP=1.0T
TSMP=−0.25T
また、同様の理由により、各記録変調符号をその符号長で分類した符号長群に分け、符号長群内では、記録パルスの各タイミング値(FSP、LSP、TSMP、TMP)を同一の値に設定してもよい。
あるいは、回路規模を小さくする等の理由により、記録パルスの各タイミング値(FSP、LSP、TSMP、TMP)を、記録変調符号長に関わらず、全て同一の値に設定してもよい。
一方、本実施形態の第1から第3の例では、再生信号の波形を観測した結果から、マルチパルスデューティまたはマルチパルス振幅平均値の目標値を1つ定め、その値を用いてすべての記録パルス列の各タイミング値を決定していた。しかし、より精密に記録マークの幅を制御するために、記録変調符号を特定の符号群に分け、符号群ごとに、マルチパルスデューティまたはマルチパルス振幅平均値の目標値を設定し、符号群ごとに異なる目標値を用いて各タイミング値を決定してもよい。さらに精密に記録マークの幅を制御するために、記録変調符号の偶数nTと奇数nTとの場合の2種類に分けて、指標の目標値を設定したり、記録変調符号長毎に個別に目標値を設定にしてもよい。
次に、図24を参照して、記録パルス列の各タイミング値の指標であるマルチパルスデューティおよびマルチパルス振幅平均値が適正かどうか判定するための再生信号の評価方法を説明する。
マルチパルスデューティやマルチパルス振幅平均値が適正な値でないと、記録マークの中央近傍を照射するエネルギーが不足し、マーク中央部の幅が細くなった中細りマーク5が形成される。この中細りマーク5を再生すると、その再生信号7は中央近傍の波形振幅値が減少し、歪んだ双峰型の波形を有する。
再生信号7をデジタルデータに変換するための2値化スライスレベル57は、通常再生信号7の波形の最大振幅の1/2程度に設定される。このため、スライスレベルが適切であれば、2値化デジタル信号59が得られる。
ここでスライスレベルを高くし、2値化スライスレベル58を設定すると、再生信号7の中央近傍の振幅が小さくなった部分が、2値化スライスレベル58により、切り取られ、2つのパルスのパルスを含む2値化デジタル信号60が生成する。2値化デジタル信号60には、ローレベル61が途中に生じているので、正しい記録変調符号に再生されない。
したがって、まず、マルチパルス領域におけるマルチパルスデューティやマルチパルス振幅平均値を設定し、設定した値を用いて上述の方法により、記録パルス列の各タイミング値を定める。定めた記録パルス列を用いて、記録マークを光ディスクに形成する。次に
、形成した記録マークから得られる再生信号を通常のスライスレベルよりも高い2値化スライスレベルを用いて2値化する。得られた二値化信号にローレベルが含まれ、2つのパルスが生成していなかどうかを判断する。
二値化信号が2つのパルスを含む場合、記録マークの中央部の幅が細くなっていると考えられる。つまり、マルチパルスデューティやマルチパルス振幅平均値として設定した目標値が適切ではないことが分かる。
このように本実施形態によればマルチパルス列の周期を1T以上に設定し、マルチパルスデューティやマルチパルス振幅平均値が所定の目標値となるように、マルチパルス領域のマルチパルス列の立ち上がりタイミングTSMPと、マルチパルス列の幅TMPと、先頭スペースの幅FSPと、後尾スペース幅のLSPとを設定する。これにより、高転送レートでかつ高密度で記録する場合でも、適切な幅を有する記録マークを形成することが可能な記録パルス列が得られる。このようにして形成した記録マークから得られる再生信号の波形において、中央近傍の振幅の減少は抑制されており、信号の立ち上がりおよび立ち下がり部分の歪みも少ない。このため、長い記録変調符号を記録する場合でも、ジッタの影響を低減させることができ、再生ビットエラーを抑制することができる。
また本発明によれば、再生生信号の波形において、中央近傍の振幅が減少しているのを検出することにより、記録マーク中央近傍の幅が細くなったことが検出できる。このため、マルチパルス領域におけるマルチパルスデューティやマルチパルス振幅平均値が適正な制御目標かどうかを判定することができる。