次に、本発明に係る遊技機の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
図1に示すのは、遊技場の島設備1において、遊技機2Aと遊技機2Bが隣接して配置されている部位を示し、遊技機2Aに対応する椅子3Aの近傍の床4上と、遊技機2Bに対応する椅子3Bの近傍の床4上には、遊技で獲得した遊技球を貯留可能な遊技球貯留容器としての球箱5…がそれぞれ置かれている。なお、以下の説明では、遊技球を遊技媒体とする弾球遊技が可能な遊技機2を島設備1に設けるものとしたが、コイン形状の遊技メダルを遊技媒体とする回胴式遊技機を島設備に設け、メダル箱を遊技媒体貯留容器として遊技メダルを貯留する構成とした場合も、同様の効果を実現できる。
上記球箱5には、少なくとも当該遊技場においてユニークとなる固有識別情報が記憶されたICタグ6を設けてあり(図2〜図4等を参照)、例えば、椅子3A,3Bの座部31の下面より床4まで伸びる円柱状の脚部32の上部後側(遊技機2A,2Bとは反対側で、図1においては紙面手前側)に設けたICタグ読取装置7A,7Bの通信可能エリア内に球箱5のICタグ6が存在すれば、各ICタグ6より固有識別情報をICタグ読取装置7A,7Bが受信できる。
なお、ICタグ読取装置7の通信可能エリアは、送受信部を頂点とする円錐状の範囲として適宜に可変設定できるものの、エリアを絞り込みすぎると、多くの球箱5…が椅子3の後に置かれているとき、通信エリアから外れた球箱5があると、その球箱5からの固有識別情報を受信できないし、逆に通信可能エリアを広げすぎると、隣で遊技をしている者が置いた球箱5の固有識別情報まで受信してしまう可能性が生じ、床4に置かれた球箱5の的確な検出を実現できない。
そこで、本実施形態に係る遊技場設備においては、球箱5に差し込んで使う表示プレート8を導電性素材あるいは炭素等の電波吸収体で形成することにより、通信装置7の通信リアを制限する遮蔽プレートとして用いるようにした。以下、遊技場設備の構成要素である球箱5、ICタグ読取装置7、表示プレート8について詳述する。
先ず、球箱5は、図4に示すように、相対向する一対の短辺と一対の長辺を有する略矩形状の底壁51と、該底壁51の相対向する短辺から各々上方へ立ち上がる側壁である第1手持ち部形成壁52a,第2手持ち部形成壁52bと、底壁51の長辺から各々上方へ立ち上がる側壁である第1プレート差込壁53a,第2プレート差込壁53bを備え、これら底壁51と四側壁52a,52b,53a,53bによって上面開口の遊技球貯留凹部が形成される。なお、四側壁52a,52b,53a,53bは上方に向かって外側へ広がるような傾斜壁面とし、球箱5の上面開口を底壁51の上面よりも広くすることで、球箱5を上から重ね置きし易い構造とした。
また、第1手持ち部形成壁52aの上縁には外側へ屈曲する平坦部52a1と、この平坦部52a1の外側縁から下向きに折り返される折り返し部52a2を形成し、第2手持ち部形成壁52bの上縁には外側へ屈曲する平坦部52b1と、この平坦部52b1の外側縁から下向きに折り返される折り返し部52b2を形成し、第1プレート差込壁53aの上縁には外側へ屈曲する平坦部53a1と、この平坦部53a1の外側縁から下向きに折り返される折り返し部53a2を形成し、第2プレート差込壁53bの上縁には外側へ屈曲する平坦部53b1と、この平坦部53b1の外側縁から下向きに折り返される折り返し部53b2を形成し、球箱5の強度を高めてある。
更に、第1手持ち部形成壁52aの平坦部52a1と第2手持ち部形成壁52bの平坦部52b1は、その略中央部において外側への突出量が大きくなる膨出形状とすることで第1手持ち部54aおよび第2手持ち部54bを形成し、下方から手指を引っ掛けて持ち運びし易いようにしてある。なお、第1,第2手持ち部形成壁52a、52bに形成する手持ち部の構造は、これに限定されるものではなく、水平方向に配した円柱状の握り部を有するような構造でも構わない。とにかく、多量の遊技球を貯留する球箱5においては、長辺である第1,第2プレート差込壁53a,53bが標準的な成人男性の肩幅程度に設定されていることから、球箱5の相対向する短辺を第1,第2手持ち部形成壁52a,52bとし、ここに手持ち部を設けることで、球箱5の取り扱いが容易となる。
なお、球箱5に設けるICタグ6は、ICとアンテナを表面フィルムと裏面フィルムとで封着した構造で、ICタグ読取装置7から送信された電波で動作用電源を生成し、ICタグ読取装置7へ固有識別情報(例えば、タグのIDコード)を送信する標準的なICタグの機能を有していれば良い。また、本構成例の球箱5においては、第1手持ち部54aにおける平坦部52a1および第2手持ち部54bにおける平坦部52b1の裏面側にそれぞれICタグ6を貼付するものとしたが、これに限らず、ICタグ読取装置7との通信可能エリアに置かれたときに通信機能を阻害されない部位ならどこでも良く、例えば、第1,第2手持ち部形成壁52a,52bの折り返し部52a2,52b2の内面側にICタグ6を貼付しても良いし、第1,第2手持ち部形成壁52a,52bの外壁面に貼付しても良い(図4中、一点鎖線にて示す)。或いは、手持ち部54が形成されていない方の対向する二つの側壁適所(例えば、開口上縁の平坦部や折り返し部)にICタグ6を設けても良いが、その場合は、手持ち部形成壁をプレート差込壁として機能させる必要があり、後述する表示プレート8を手持ち部形成壁に差し込む。
上述した球箱5のICタグ6と通信可能なICタグ読取装置7は、各遊技機2…に対応する各椅子3…の所要部に設けられ、該椅子3…の近傍の床4を通信可能エリアとして含み、通信可能エリア内にある球箱5のICタグ6に記憶された固有識別情報を受信可能な通信装置である。なお、1つの通信装置で球箱5が置かれる可能性のある全範囲をカバーできない場合には、複数の通信装置を組み合わせてICタグ読取装置7を構成しても良い。その場合、各通信装置の通信可能エリアが重なる領域が生じてしまうために、ある球箱5のICタグ6が複数の通信装置と通信してしまう可能性もあるが、ICタグ読取装置7で収集した情報から同一IDを統合する処理を行えば、一つの球箱5を重複して計数してしまうことを防げる。
上述した球箱5に差し込んで使う平板な板材よりなる表示プレート8は、球箱5における第1,第2プレート差込壁53a,53bの内壁面に沿って挿入可能な差込部51と、球箱5の上端開口よりも上方に延出する電波遮蔽部52とを備える。なお、電波遮蔽部52の片面もしくは両面には、出玉をアピールする表示(例えば、「大爆発」等の文字)を施して、床4に置かれた球箱5を効果的に演出する。
また、本構成例における表示プレート8の差込部81は、球箱5内に貯留された遊技球から圧力を受けて第1,第2プレート差込壁53a,53bの内壁面に押し付けられることにより、電波遮蔽部52が第1,第2プレート差込壁53a,53bの側壁に沿って若干斜めに立ち上がるようにした。斯くすれば、図2に示すように、床4上に置いた球箱5Aに球箱5Bを積み重ねたとき、下段の球箱5Aにおける第1プレート差込壁53aの内壁面に沿って差し込んだ表示プレート8の電波遮蔽部82が、上段に積んだ球箱5Bの第1プレート差込壁53aにおける折り返し部53a2に当たることを防げる。なお、第1,第2プレート差込壁53a,53bにおける平坦部53a1,53b1の幅を予め見込んで、表示プレート8の差込部81の上縁と電波遮蔽部82の下縁とを連結する水平板状の外側膨出部を設けておき、平坦部53a1,53b1の外側から電波遮蔽部82が鉛直上方に立ち上がるようにしても、上段の球箱5に当たることを防げる。
更に、表示プレート8は、隣接する遊技機2に最も近い最下段の球箱5に差し込み部81を差し込むことで、上段に積まれた球箱5…の外側に電波遮蔽部82を位置させ、遊技機2の連設方向(図1,図2においては左右横方向で、図3においては紙面に垂直な方向)におけるICタグ読取装置7の通信可能エリアを制限するものである。
例えば、図2のように、遊技機2Aに対応する椅子3Aの後側で遊技機2Bから最も遠い側(図2においては右側)の床4上に重ねて置いた球箱5Aと球箱5Bにおいては、下段の球箱5Aの第1プレート差込壁53a(ICタグ読取装置7から遠い側のプレート差込壁)に表示プレート8を差し込むことで、この電波遮蔽部82よりも外側にある球箱5との通信が行われないようにICタグ読取装置7の通信可能エリアを制限し、台車9上に2段2列に積まれた球箱5C,5D,5E,5Fにおいては、遊技機2Bに最も近い側で下段の球箱5Eの第2プレート差込壁53b(ICタグ読取装置7から遠い側のプレート差込壁)に表示プレート8を差し込むことで、この電波遮蔽部82よりも外側(遊技機2Bに対応する椅子3Bに近づく側)にある球箱5との通信が行われないようにICタグ読取装置7の通信可能エリアを制限する。なお、球箱5Aや5Eに差し込んだ表示プレート8における電波遮蔽部82の高さがエリア制限に十分で無い場合は、上段に積んだ球箱5Bや5Fにも表示プレート8を差し込むことで、より高い位置までエリア制限が可能となる。
また、遊技機2Bに対応する椅子3Bの後側のように、床4上に1つの球箱5Gしか置かれていない場合は、球箱5Gの第1,第2プレート差込壁53a,53bに夫々表示プレート8を差し込み、これら二つの表示プレート8,8の間にICタグ読取装置7の送受信部が位置するようにしておけば良い。
上記のようにして、表示プレート8によって遊技機2の連接方向におけるICタグ読取装置7の通信可能エリアを制限しても、第1,第2手持ち部54a,54bに設けたICタグ6はICタグ読取装置7の通信可能エリア内にあるので、遊技者が遊技を行っている遊技機2に対応する椅子3の近傍の床4上に置いた球箱5の情報を的確に収集することができる。
なお、本構成例の球箱5においては、第1,第2手持ち部54a,54bの両方にICタグ6を設けたので、球箱5における第1手持ち部形成壁52aを椅子3に近づけて置いても、第2手持ち部形成壁52bを椅子3に近づけて置いても、どちらか一方のICタグ6を通信可能エリア内に位置させることが可能である反面、1つの球箱5における2つのICタグ6,6から固有識別情報を取得してしまう可能性もある。このような場合、遊技店内で球箱5毎に固有の球箱番号を割り振っておき、一つの球箱5に付ける2つのICタグ6,6に同じ箱番号を記憶させ、各ICタグ6…から固有識別情報と併せて箱番号を収集するようにしても良いし、球箱5に取り付けた2つのICタグ6,6の各固有識別情報を関連づけて予めデータベース化しておき、このデータベースを参照することでダブりを排除し、球箱の数を判定するようにしても良い。無論、一つの球箱5には一つのICタグ6を設け、椅子3の近傍の床4上へ置くときには、ICタグ6を設けた部位が必ずICタグ読取装置7の通信可能範囲になるよう(椅子3の脚部32に近い方にICタグ6を設けた手持ち部形成壁を向けるよう)に球箱5を置く運用としても良い。
また、本実施形態の遊技場設備においては、電波遮蔽部82を有する表示プレート8を適切に用いることで、ある遊技機2で遊技を行っている遊技者が遊技で獲得した遊技球を貯留している球箱5を椅子3の近傍においておけば、隣接する遊技機2で遊技を行っている遊技者が遊技で獲得した遊技球を貯留している球箱5と混同することなく、特定の遊技機2で遊技中の遊技者が置いている球箱5の情報を的確に取得することが可能であるが、遊技機2に対応する椅子3に取付けるICタグ読取装置7の設置高さ、或いは椅子3の近傍の床4の凹凸から球箱5の積載位置に制限がある場合など、遊技場によって多様な状況があるため、汎用的なICタグ読取装置7を使うと、遊技場の状況に応じた通信可能エリアの微調整が難しく、規格化された表示プレート8における電波遮蔽部82の遮蔽面積では十分なエリア制限を行えない場合も想定される。
そこで、表示プレート8における電波遮蔽部82の遮蔽面積を拡大可能としておけば、必要に応じてICタグ読取装置7の通信可能エリアを的確に制限することができ、実用的価値が高い。
例えば、図5(a)に示す表示プレート8′は、電波遮蔽部82と同様の電波遮蔽機能を有する水平スライド板83を水平スライドガイド部材84…によって水平方向へスライド自在に保持したもので、椅子3の脚部32よりもかなり後方に球箱5を置かざるを得ないために、表示プレート8による遮蔽範囲を椅子3の脚部32へ近づけるように拡大したい場合に有用である。
また、図5(b)に示す表示プレート8″は、電波遮蔽部82と同様の電波遮蔽機能を有する垂直スライド板85を垂直ガイド部材86…によって垂直方向へスライド自在に保持したもので、通常は下縁支持部材87によって垂直スライド板85の下縁を支持することにより、垂直スライド板85の上縁が電波遮蔽部82の上縁と略々同じ位置に保持されている。そして、ICタグ読取装置7が高位置に設けられている場合など、表示プレート8による遮蔽範囲を上方へ拡大したい場合には、垂直スライド板85を上方へ引き上げ、図示を省略した垂直スライド板固定手段を用いて所望の位置に固定すれば良い。なお、床4上へ置いた球箱5に差し込んだ表示プレート8の上端位置は、台車9上に置いた球箱5に差し込んだ表示プレート8の上端位置よりも低くなるので、このような不均衡をなくすために、床4上へ置いた球箱5には表示プレート8″を差し込んで、垂直スライド板85を上方へ引き上げると、台車9上に置いた球箱5に差し込んだ表示プレート8の上端位置とほぼ同一にできる。
なお、表示プレート8の電波遮蔽面積を拡大させる手法は、上記のものに限定されず、公知既存の技術を適宜採用して構わない。例えば、側方と上方への電波遮蔽面積を同時に拡大させるように斜め上方へスライドさせても良いし、電波遮蔽部82の上縁あるいは側縁から折り込んだ遮蔽材を開くことで電波遮蔽面積を拡大させるようなものでも良い。
一方、ICタグ読取装置7における通信可能エリアの前後方向(遊技機2の列設方向に直交する方向)については、表示プレート8で制限することはできない。遊技場では島設備1が複数並設されているために、島設備の配置間隔が狭い遊技場においては、ある島設備1の遊技機2に対応する椅子3に設けたICタグ読取装置7の通信可能エリアが、その後方にある別の島設備1の遊技機2で遊技をしている遊技者の置いた球箱5にまで到達してしまうと、球箱5の誤検出となってしまう。また、遊技を終了する場合や、他の遊技機2へ移動して遊技を続ける場合など、球箱5を台車9に乗せて島設備1,1間の通路を移動こともあるため、ICタグ読取装置7による読取動作が行われているエリアをたまたま通過したために、移動中の球箱5のICタグ6からICタグ読取装置7へ球箱IDが送信されてしまうような誤検出も起こり得る。
そこで、図6に示すように、送受信部71の後方(遊技機1とは反対側)に薄板状の調整部材72を設けたICタグ読取装置7′を用いても良い。本構成例のICタグ読取装置7′においては、調整部材72の一端を軸支部72によって回動自在とし、調整部材72の自由端(軸着されていない側の端部)を送受信部71から遠ざかる方向(図6中、A方向)に回動させると、後方における通信可能エリアは広がり、逆に調整部材72の自由端を送受信部71へ近づける方向(図6中、B方向)へ回動させると、後方における通信可能エリアは狭められる。
このように、本構成例のICタグ読取装置7′においては、調整部材72の回動角度を調整することで、遊技機1とは反対側への電波の到達範囲を調整することができ、後ろの島設備1の遊技機2で遊技をする遊技者の保有する球箱5が通信可能エリアに入らないように制限できる。
以上説明したように、ICタグ6を備える球箱5と、ICタグ6に記憶された固有識別情報を受信可能なICタグ読取装置7と、球箱5に差し込んでICタグ読取装置7の通信可能範囲を制限する表示プレート8と、を含む遊技場設備においては、ある遊技機2に対応する椅子3に設けたICタグ読取装置7が、隣接する遊技機2で遊技する遊技者が床に置いた球箱5のICタグ6と通信することを防ぎ、当該遊技機2で遊技中の遊技者が椅子3の後方に置いている球箱5のICタグ6の情報のみを的確に収集できる。
なお、ICタグ読取装置7によって収集した球箱5の情報は、島設備1の上部パネル11へ各遊技機2に対応するように設けた情報表示装置10(図1を参照)に表示することで、遊技者に報らせるようにしても良い。例えば、図7に示す表示イメージ図のように、当該遊技機1の遊技履歴である“大当たり回数”“確変回数”“スタート回数”といった情報に加えて、“床積み球箱数”を表示すれば、遊技者はわざわざ後を振り返って球箱5を数えることなく、どのぐらいの出球を獲得したかを知ることができる。
また、遊技機2における遊技で獲得した遊技球は遊技機2の球皿に貯留されるので、遊技機2の球皿から遊技球を移し換えるために、島設備1の載置台12上に球箱5を載せて、遊技機2の球箱から排出させた遊技球を球箱5へ貯めて行くので、載置台12に載せている球箱5にも少なからぬ遊技球が貯まっている場合もあるし、満杯になった球箱5を椅子3の後ろへ移動させずに、そのまま載置台12上に載せたままにしている場合もある。そこで、載置台12に載置ICタグ読取装置20を設けておき、載置台12上に載せたままになっている十分な遊技球の貯留された球箱5の情報(ICタグ6の固有識別情報など)を取得できるようにしても良い(図3を参照)。
上記のようにして、遊技者が遊技機2での遊技で獲得した遊技球を貯留する球箱5の情報をICタグ読取装置7により取得できれば、この情報を遊技場において有効利用することが可能である。情報活用の一例として、遊技場内における球箱ID管理システムを図8に基づき説明する。
島設備1に設置された遊技機1Aに対応して設けたICタグ読取装置7Aおよび遊技機1Bに対応して設けたICタグ読取装置7Bにより、表示プレート8,8で制限された通信可能エリア内に置かれている球箱5…の各ICタグ6…の固有識別情報と併せて球箱IDを読み取り、各遊技機1A,1Bに対応して設けた遊技機球箱監視装置21A,21Bへ送信する。各遊技機2A,2Bに対応して設けられて遊技履歴等を表示する情報表示装置10A,10Bは、各遊技機球箱監視装置21A,21Bから球箱数の情報を受けることで、球箱数の情報表示を行うのである。
なお、ICタグ読取装置7A,7BによるICタグ6…の読み取り動作は、予め定めた所定時間間隔でICタグ読取装置7A,7Bが自動的に行うようにしても良いし、遊技機球箱監視装置21A,21Bからの読取指令(例えば、通常は数分毎に読取を指令するが、球箱5の存在が検知された後は、数十秒ごとの読取指令に変更し、読取の頻度を高めるような指令)を受けたタイミングで行うようにしても良い。何れにしても、遊技者が遊技機2A,2Bで獲得した遊技球を球箱5に移して椅子3近傍の床4上に置いて行く過程を著しく遅延することなく検知できれば問題ない。
また、遊技者の獲得した遊技球が多く、球箱5を椅子3近傍の床4におけない場合に、係員らが球箱5を移動させて保管するための別積み置き場を遊技店側が提供しており、この別積み置き場に置かれた球箱5の情報(例えば、ICタグ6の固有識別情報と球箱ID)はICタグ読取装置7Cにより読み出され、別積み球箱監視装置21Cへ供給される。この別積み置き場においては、ICタグ読取装置7Cの配置場所に制限がないので、側壁の壁面に設けても良いし、床に設けても良い。
遊技終了等に伴って遊技者が精算するために全ての球箱5…に貯留された遊技球を球計数器22で計数するとき、その球箱5の情報(例えば、ICタグ6の固有識別情報と球箱ID)はICタグ読取装置7Xにより読み出され、計数器球箱監視装置21Xへ供給される。
なお、図8においては、説明を簡単にするために、2台の遊技機2A,2Bのみを備える1つの島設備1に、1箇所の別積み置き場と、1台の球計数器22だけが店内にあるものとしたが、数十台の遊技機2を装備した島設備1を複数設け、別積み置き場を複数提供し、球計数器22を複数台設置した大規模な遊技場にも、球箱ID管理システムを適用できる。
上記のようにして、遊技機球箱監視装置21A,21B、別積み球箱監視装置21C、計数器球箱監視装置21Xで収集した球箱5の情報と、これを送信した球箱監視装置21の識別情報は、球箱監視管理装置23へ送信され、これを受けた球箱監視管理装置23は、球箱IDを収集管理して記憶領域に保持する。球箱監視管理装置23は、図9の記憶領域イメージ図に示すように、球箱5の球箱IDと、この球箱5が置かれている遊技機2(現在の遊技機番号)とを関連付け、過去に置かれていた遊技機2(一つ前の遊技機番号、二つ前の遊技機番号…)の履歴も保存する。
例えば、球箱ID“A278”を送信して来た遊技機球箱監視装置21が遊技機番号“305”に対応して設けたものであれば、「球箱ID:A278」の欄が既に作成されているか否かを判定し、未だ作成されていなければ、新たに「球箱ID:A278」の欄を作成して「現在の遊技機番号:305」を記憶する。なお、遊技機球箱監視装置21は定期的にICタグ読取装置7から取得した情報を球箱監視管理装置23へ送信するので、その後に同じ遊技機球監視装置21から同じ球箱IDの情報を受けても記憶領域の内容を変更することはないが、該当する球箱5が現在も同じ遊技機2の近傍に置かれていることを確認する情報となる。
また、球箱ID“A154”を送信して来た遊技機球箱監視装置21が遊技機番号“128”に対応して設けたものであれば、「球箱ID:A154」の欄が作成されているか否かを判定し、既に「球箱ID:A154」の欄が作成・記憶されているので、「現在の遊技機番号:128」を記憶することと併せて、既に記憶されていた遊技機番号を一つ過去の履歴にシフトして「一つ前の遊技機番号:226」を記憶する。このとき、二つ以上の過去の履歴があった場合は、それら全てを一様に一つだけ過去の履歴にシフトして記憶する。
すなわち、この球箱ID管理システムにおける球箱監視管理装置23の記憶領域には、球箱IDと遊技機番号の履歴を関連付けて記憶するので、何番の遊技機2に現在どのくらいの球箱が積まれているかという情報だけではなく、例えば、226番の遊技機2で遊技をしていた遊技者が現在は128番の遊技機2へ移動して遊技を行っており、この球箱IDがA154である球箱5に貯留されている遊技球は、226番の遊技機2での出球によるものと判断でき、定期的な係員らの目視による確認では把握できなかった球箱5に関する有用な情報を取得できるのである。
また、球箱監視管理装置23で収集した情報は、ホール管理装置24へ供給され、ホール管理装置24にて適宜に情報処理することで、例えば、図10に示すホール管理装置24の情報提示イメージ図に示すように、遊技機2の機種と関連付けた有用な情報を得ることも可能である。
一方、球計数器22で遊技球を取り出した球箱5の情報をICタグ読取装置7Xから受けた計数器球箱監視装置21Xは、対応している球計数器22の計数器番号と共に球箱5の情報を球箱監視管理装置23へ送信し、これを受けた球箱監視管理装置23は、記憶領域に該当する球箱IDの欄が作成されているか否かを判定し、球箱IDの欄が記憶されていれば、その球箱IDと遊技機番号の履歴を一括削除する。すなわち、この球箱5に貯めた遊技球を獲得した遊技者が遊技を終了することに伴って、このID番号が付された球箱5を監視対象から除外するのである。
なお、本システム構成例においては、計数器球箱監視装置21Xから受けた球箱IDの欄が球箱監視管理装置23の記憶領域に存在しない場合は、その球箱5が満杯になる前(ICタグ読取装置7による通信可能エリアに置かれる前)に精算された可能性が高いので、そのまま無視するものとした。しかしながら、前述した島設備1の載置台12に載置ICタグ読取装置20を設けておき、載置ICタグ読取装置20からの検出情報を遊技機球箱監視装置21経由で球箱監視管理装置23へ送信し、球箱監視管理装置23において、載置台12上に置かれている球箱5のID番号や遊技機番号を管理しておけば、精算対象となる全ての球箱5の履歴を球箱監視管理装置23で管理できるので、該当する履歴のない球箱5の情報を受けた場合は、他店から持ち込んだ遊技球を球箱5に入れて精算する不正行為の蓋然性が高いと判断できるので、そのような不正に対して迅速な対応が可能となる。
また、本システム構成例においては、球監視管理装置23が記憶領域に記憶している球箱IDについて、所定時間(例えば5分)送られてこない場合にも、その球箱IDと遊技機番号の履歴を一括削除する。このような場合、遊技機2での遊技を行う遊技球が無くなったために、床4上に置いておいた球箱5を載置台12へ載せ、この球箱5から遊技機2の球皿へ遊技球を移して遊技を継続していると考えられるからである。この場合にも、載置ICタグ読取装置20を載置台12に設けておけば、一層細かい球箱5の管理を行うことができる。
上述した球箱ID管理システムは、遊技店側における球箱5の管理に適したものであるが、この収集管理する球箱IDを、遊技者が利用できる球箱盗難防止システムに用いることもできる。
例えば、遊技機2もしくはその近傍で遊技者が操作可能な部位に、任意の番号を入力可能な暗証番号入力手段、該暗証番号入力手段から適正な暗証番号が入力された後の操作を受けて球箱5の監視開始を指示する監視開始指示手段、該監視開始指示手段の操作時に入力された暗証番号が暗証番号入力手段から入力された後の操作を受けて球箱5の監視終了を指示する監視終了指示手段を設けておき、遊技者が暗証番号入力手段を介して暗証番号を入力して監視開始指示手段を操作すると、ICタグ読取装置7が受信している球箱IDの監視を遊技機球箱監視装置21により開始し、その後に一つでも球箱IDが読めなくなった場合には、警報を鳴らしたり、情報表示装置10に表示させたりすることで遊技者に報知する。これにより、遊技機2で遊技を行っている遊技者の目が届かない床4に置かれている球箱5が誰かに持ち去られたような場合、直ちに球箱5の消失を遊技者に報らせるので、球箱5の盗難防止に極めて有効である。
なお、球箱の監視を終了する場合は、遊技者が暗証番号入力手段を介して適正な暗証番号(監視開始指示を行う際に入力したのと同じ暗証番号)を入力して監視終了指示手段を操作すると、遊技機球箱監視装置21による球箱5の監視が終了する。なお、球箱監視の開始・終了に際しては、暗証番号に代えて、遊技者が所持している会員カードを用いても良い。また、載置ICタグ読取装置20を載置台12に設けておき、ICタグ読取装置7の通信可能エリアから消えた球箱5が載置ICタグ読取装置20で検知されるようになった場合には、遊技機球箱監視装置21が球箱5の盗難と判断しないような処理を行っても良い。
上述した遊技場設備の球箱5においては、球箱5の置いてあるエリアを特定して遊技機2と関連させて情報収集するものであり、ICタグ読取装置7によってID情報を取得された球箱5に遊技球が貯留されているとは限らず、球貯留の追加用に置いておいた空の球箱5がたまたまICタグ読取装置7の通信可能エリアに入ってしまって検出された場合でも、空箱と判断できないために、球箱監視管理装置23では、これも遊技球が貯留された球箱5と看做して収集管理の対象にしてしまう。
このような不具合を回避するために、遊技球貯留容器たる球箱5には、球箱5に貯留されている遊技球が貯留基準量に達しているか否かを検出する遊技球貯留基準量検出手段を設け、ICタグ6は、遊技球貯留基準量検出手段の検出結果を貯留情報としてICタグ読取装置7へ送信できるようにしても良い。
例えば、図11に示すように、第2構成例に係るICタグ6′は、IC61とアンテナ62を有すると共に、IC61から外部に引き出された接続線63を備え、この接続線63を介して、磁気検知素子であるホール素子64の検出信号をIC61へ供給可能な構造である。このホール素子64は、永久磁石65の磁場の影響を受け得る程度の離隔距離であって球箱5内に貯まった遊技球が基準貯留量に概ね到達したところで遊技球が流入する状態判定空部66を隔てて、球箱5の適所に配置する。
状態判定離隔空部66は、球箱5の手持ち部形成壁52とプレート差し込み壁53とが接続される角部に概ね水平方向となるように形成し、状態判定離隔空部66内に金属製の遊技球が流入していないときには永久磁石65の磁場をホール素子64が検出し(図12(a)を参照)、状態判定離隔空部66内に金属製の遊技球が流入して来ると永久磁石65の磁場がホール素子64に作用しなくなる(図12(b)を参照)。すなわち、本構成例のICタグ6′によれば、ホール素子64の磁場検知状態を未貯留状態に、ホール素子64の磁場非検知状態を貯留状態に、各々対応させた貯留情報をICタグ読取装置7へ送信することができる。
また、貯留状態か未貯留状態かを判断するための貯留基準量は、図13に示すように、ホール素子64および磁石65を配設する高さによって随意に可変設定できる。すなわち、球箱5の底壁51に対するホール素子64および磁石65の配設位置が比較的低い場合には、比較的少ない貯留量を貯留基準量とすることができるし、逆に球箱5の底壁51に対するホール素子64および磁石65の配設位置が高い場合には、球箱5の満杯に近いような多い貯留量を貯留基準量とすることができる。
なお、遊技球貯留基準量検出手段は、ホール素子64と永久磁石65により構成するものに限らず、公知既存の検出手法を適宜に用いて実現して構わない。例えば、球箱5における内壁面に一対の導電性検知片を設けておき、球箱5内に遊技球が貯まって、遊技球を介して一対の導電性検知片が導通した状態になることで、遊技球が貯留基準量に達したものと判定するようにしても良い。
以上本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態は例示であって、開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、上記の実施形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものではなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈すべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲内での全ての変更が含まれる。