本発明の画像読取装置を具体化した実施形態を、図面を参照しながら説明する。また、本実施形態では、両面原稿として、表面と裏面とが同じような形式(フォーマット)で印刷されたものを想定し、各面の印刷内容の中から特定の部分を指定し、その指定された部分のみの画像データを取得する場合において好適な方法を説明するものである。
本実施形態の画像読取装置1の外観図を図1に示す。このように、画像読取装置1は画像読取部12(本発明の読取手段)、ADF(オートドキュメントフィーダ)原稿セット
トレイ15、入力装置9、表示部10等を備えている。ADF原稿セットトレイ15に両面原稿をセットして入力装置9から読取開始指示をすると、画像読取部12により画像が読み取られる。画像読取部12の内部には、紙送りローラ、コンタクトガラス、CCD等が設けられている。両面原稿の画像を読み取る時の、これらの動作については後述する。
画像読取装置1の電気的構成を表すブロック図を図2に示す。画像読取装置1は、CPU2、ワークメモリ3aを備えるRAM3、各種プログラムを記憶するROM4、バスライン6、入出力部(図中では「I/O」と表示)8、記憶装置7(例えばEEPROMなどの不揮発性メモリや、ハードディスクで構成される)、通信ネットワーク100に接続されて外部装置16(PC)との間でデータの送受信をする通信インターフェース(図中では「I/F」と表示)5、及び受信した印刷制御データを一時格納する受信バッファメモリ(以下、受信バッファともいう)14を備えて構成される。入出力部8には、タッチパネル、押しボタンスイッチあるいはテンキーなどから構成された入力装置9、LCD等からなる表示装置10、および周知のインクジェット印字機構、レーザー印字機構、熱転写印字機構、あるいはドットインパクト式印字機構などからなる印刷部11が接続されている。また、入出力部8には、両面原稿の画像を読取可能な画像読取部12、公衆電話回線を通じて画像データを送受信するFAX部が設けられている。なお、本実施例の画像読取装置1は印刷機能、画像読取機能、FAX機能の3種類の機能を備えているが、このうち少なくとも画像読取機能があればよく、印刷機能とFAX機能は必ずしも必要ではない。
ROM4には指定プログラム4a、範囲指定プログラム4b、抽出プログラム4c、検出プログラム4d、文字認識プログラム4e、綴じ部検出プログラム4f、選択プログラム4g、測定プログラム4h等の各種プログラムが記憶されている。指定プログラム4aは、両面原稿がLongEdge(長辺綴じ)かShortEdge(短辺綴じ)かを指定するためのプログラムである。両面原稿の綴じ方向を指定するためのボタンが入力装置9に設けられており、ユーザは上述のADF原稿セットトレイ15に両面原稿をセットした後、ボタンを押して、両面原稿の綴じ方向を指定する。すると、指定プログラム4aによって、セットされている両面原稿がLongEdgeかShortEdgeかが判別され、その情報がワークメモリ3aに一時的に記憶される。
また、範囲指定プログラム4bは、画像読取部12よって読み取られる画像データに対して範囲指定を行うためのプログラムである。範囲指定は以下の方法を採用できる。例えば、まず両面原稿の片面全体の画像を読み取り、その画像データを表示装置10にプレビュー表示(簡易表示)した後、ユーザが入力装置9を使って抽出(スキャン)する範囲を指定するのである。この際、プレビュー表示のための画像データは原稿の大体の内容が把握できれば良いことから、通常は、画像読取部12が対応可能な読み取りのレベル(解像度)の中で最も低レベルの設定で読み取りが実行される。これにより、プレビュー表示のために要する時間を短縮することができる。尚、範囲指定の方法はこれに限らず、プレビュー表示を行うことなく、範囲を指定できるものであってもよい。具体的には、範囲指定のパターン(例えば、原稿の上半分、下半分、4分割した場合の右上、左下といった領域を特定する情報)を予め複数記憶させておき、その中から所望のパターンを選択する方法を採用してもよい。
抽出プログラム4cは、範囲指定プログラム4bにより範囲指定された領域の画像データを部分画像データとして抽出するためのプログラムである。部分画像データの抽出は、次の方法を採用できる。例えば、原稿面全体の画像データを一旦読み取り、その全面の画像データの中から、指定された範囲に対応する部分のデータを部分画像データとして抽出する方法が考えられる。また、これ以外の方法として、指定された範囲の情報に基づいて、画像読取部12が、原稿面の内で指定された範囲に対応する原稿部分だけを読み取り、
画像データを抽出する方法でもよい。このように指定された範囲のみを読み取る構成とすれば、原稿全体を読み取る場合に比較して、部分画像データを抽出するための時間を短縮することができ、また、原稿全体の画像データを一旦記憶する必要がないことから、使用するメモリも少なくてすむ。さらに、範囲指定された領域が比較的小さい場合であれば、上記2つの方法を組み合わせ、範囲指定された領域を含むある程度余裕を持たせた範囲を画像読取部12に読み取らせ、そこから得られる画像データに対して、範囲指定された領域に対応する部分のデータを部分画像データとして抽出してもよい。
検出プログラム4dは、両面原稿がLongEdgeかShortEdgeかを検出するためのプログラムである。具体的には、文字認識プログラム4eと綴じ部検出プログラム4fを含んでいる。文字認識プログラム4eは、画像読取部12によって原稿の画像を読み取り、その画像データから原稿上に印刷されている文字を認識するためのプログラムである。また、綴じ部検出プログラム4fは、原稿を綴じるために設けられるパンチ穴(通常、原稿の非画像形成部に並ぶ複数の穴)や、原稿を綴じていたホッチキスを外した時等に残る跡(小さな穴)がある場合、このような原稿を画像読取部12によって読み取ると、パンチ穴やホッチキスの穴に相当する部分が黒く読み取られることを利用し、綴じ部分の位置を検出するためのプログラムである。原稿上の文字の方向を認識したり、パンチ穴の位置を利用したりすることで、両面原稿の綴じ方向を検出する。即ち、両面原稿の一方の面(以下、表面とする)に対して、他方の面(以下、裏面とする)の文字が同じ向きであれば、LongEdgeの原稿であると検出でき、他方の面の文字が上下が逆向きであれば、ShortEdgeの原稿であると検出できる。また、パンチ穴やホッチキスの穴が検出された位置が原稿の長辺側が短辺側かにより、LongEdgeかShortEdgeかを検出することができる。
選択プログラム4gは、表面の画像データに対して、上記範囲指定プログラム4bに基づいてユーザが範囲指定を行うと、その指定された範囲のデータが表面の部分画像データとして上記抽出プログラム4cにより抽出され、裏面に対しては、表面の指定範囲に対応する2箇所の仮部分画像データが抽出される。そして、その2箇所の仮部分画像データのうち、表面の部分画像データの内容(濃淡、文字の向き、画像のエッジ、色)に近似する方を裏面の部分画像データとして選択するためのプログラムである。ここで仮部分画像データとは、表面の部分画像データに対応する裏面の部分画像データを抽出する際に、両面原稿がLongEdgeの場合とShortEdgeの場合のそれぞれについて抽出する画像データのことである。なお、仮部分画像データの詳細については、後述する。
測定プログラム4hは、画像データの特徴を測定するためのプログラムである。ここで画像データの特徴とは、例えば、濃淡、文字、画像のエッジ、および色である。上述した抽出プログラム4cは、上記表面の部分画像データを抽出した後、測定プログラム4hにより特徴が測定され、裏面の画像データのうち、表面の部分画像データの測定結果に最も近似する領域のデータを裏面の部分画像データとして抽出する。なお、この時の動作の詳細については、後述する。
これらの指定プログラム4a、範囲指定プログラム4b、抽出プログラム4c、検出プログラム4d、文字認識プログラム4e、綴じ部検出プログラム4f、選択プログラム4g、および測定プログラム4hをCPU2がワークメモリ3a上で実行することにより、本発明の指定手段、範囲指定手段、抽出手段、検出手段、文字認識手段、綴じ部検出手段、選択手段、および測定手段が実現される。なお、本実施形態では指定プログラム4a、検出プログラム4d、選択プログラム4g、測定プログラム4hの全てをROM4に記憶しているが、これらのうち少なくとも一つが記憶されていればよく、必ずしも全てを記憶しておく必要はない。
次に、両面原稿を読み取るための機構について説明する。図3に、ADFセットトレイ15および画像読取部12の一部の模式図を示す。両面原稿DをADFセットトレイ15にセットした後、入力装置9を介して読取開始指示をすると、ピックアップローラ17の差動によって両面原稿Dが挟み込まれ、ピックアップローラ17と結合されたセパレートローラ19とリタードローラ18の回転により原稿搬送経路H1に搬出される。その後、フィードローラ20〜25により原稿搬送経路H1上を搬送される。その間、両面原稿Dの一方の面(表面)の画像が読み取られ、さらに排出ローラ26、27へ搬送される。排出ローラ26、27は両面原稿Dの後端を挟んだ状態でいったん止まり、その後、反転する。両面原稿Dは経路誘導爪35の差動により裏面読取用搬送経路H2に搬出され、フィードローラ28、29の回転により、原稿搬送経路H1へと導入されてフィードローラ22〜25により搬送される。その間、両面原稿の裏面の画像が読み取られ、さらに排出ローラ26、27まで搬送され、排出される。
なお、画像読取部12側には発光素子(図示しない)、コンタクトガラス34、反射鏡30〜32、イメージセンサ33が備えられている。両面原稿Dの表面によって反射した光はコンタクトガラス34を通過し、反射鏡30〜32によって反射され、イメージセンサ33に到る。イメージセンサ33は受光すると画像データを出力する。
図4に、表面の指定範囲と裏面の指定範囲の関係を、両面原稿がLongEdgeの場合とShortEdgeの場合について、それぞれ説明する。図4(A)に示すようにLongEdgeの両面原稿は、表面に対する裏面の画像形成方向が、原稿を綴じる場合に長辺L側で綴じる方向になる。また、図4(D)に示すように、ShortEdgeの両面原稿は、表面に対する裏面の画像形成方向が、原稿を綴じる場合に短辺S側で綴じる方向になる。図4(B)に示すように、LongEdgeの両面原稿の表面について範囲36を指定すると、その範囲36の部分画像データが抽出される。この部分画像データに対応する裏面の画像データを抽出するためには、範囲37をスキャンする必要がある。ところが、両面原稿がLongEdgeだと認識できない場合は、図4(C)のように範囲38をスキャンしてしまい、目的の部分画像データを抽出できない場合がある。また、図4(E)に示すように、ShortEdgeの両面原稿の表面について範囲36を指定すると、その範囲36の部分画像データが抽出される。この部分画像データに対応する裏面の部分画像データを抽出するためには、範囲38をスキャンする必要がある。しかし、ShortEdgeだと認識できない場合は、図4(F)のように違う範囲37をスキャンしてしまい、目的の部分画像データを抽出できないことがある。
これは、図3を用いて説明した画像読取部12の機構に起因するもので、一つのイメージセンサ33で両面原稿を片面ずつ読み取るために、一方の面を読み取った後に、原稿を反転させて他方の面を読み取ることに関連する。ShortEdgeの原稿の場合は、元々、表面の画像形成方向に対して、裏面の画像形成方向が逆方向となっていることから、反転させて裏面を読み取ることで、得られる画像データの向きは、結果的に表面の画像データの向きと一致したものになる。従って、表面に対して指定された範囲と同じ範囲の画像データを抽出すればよいことになる。一方、LongEdgeの原稿の場合は、表面の画像形成方向に対して、裏面の画像形成方向が同じ方向となっていることから、反転させて裏面を読み取ることで、得られる画像データの向きが、表面の画像データの向きと逆向きになる。従って、表面に対して指定された範囲と同じ範囲の画像データを抽出してしまうと、本来裏面から取り出したい範囲とは異なる範囲の画像データを抽出してしまうことになる。このように、表面の画像データに対してのみ範囲指定を行って、裏面の画像データに対しては、表面の指定範囲に基づき、対応する位置の画像データを抽出しようとすると、両面原稿の綴じ方向がShortEdgeか、LongEdgeかにより抽出する位置を異ならせる必要があり、そのためにも、両面原稿がShortEdgeか、LongEdgeかの情報を予め認識している必要がある。
このような問題を解決するため本発明では、上述した指定プログラム4aまたは検出プログラム4dを使って、両面原稿の綴じ方向を指定または検出し、表面の指定範囲の情報と、綴じ方向の情報に基づいて裏面の指定範囲を決定している。また、両面原稿の綴じ方向を特定できない・特定しない場合は、選択プログラム4gまたは測定プログラム4hを使って、表面の画像データに対して範囲指定された部分の画像データ(部分画像データ)に近似する裏面の画像データの領域を部分画像データとして自動的に抽出する。
まず、選択プログラム4gを使用する場合の説明をする。図5(A)のようなLongEdgeの原稿に対して、図5(B)に示すように、表面について範囲36が指定され、かつ両面原稿の綴じ方向が指定または検出できない場合、裏面に関しては、両面原稿がLongEdgeの場合に相当する裏面の範囲と、ShortEdgeの場合に相当する裏面の範囲との両方をスキャンし、仮部分画像データとして抽出する。この2箇所の仮部分画像データを抽出した後、文字の方向、画像の濃淡、色等により、表面の部分画像データに近似するものを選択し、裏面の部分画像データとする。実際は、両面原稿がLongEdgeの場合は範囲37が正しく、ShortEdgeの場合は範囲38が正しい。
測定プログラム4hを用いる場合は、表面の範囲36について部分画像データを抽出した後、画像の特徴(文字、濃淡、色、画像のエッジ等)を測定する。また、裏面に関しては全面スキャンして、表面の部分画像データの特徴に最も近似する領域37を選択し、裏面の部分画像データとして抽出する。なお、選択プログラム4を使用する場合に行われる、文字の方向、画像の濃淡、色等が近似しているか否かの判断の際にも、この測定プログラム4hを用いて、表面の部分画像データに対して特徴の測定を行い、裏面の仮部分画像データに対しても同様に測定を行った結果に基づいて、裏面の部分画像データの選択がなされる。
次に、図7のフローチャートを使って、選択プログラム4gを用いて裏面の部分画像データを抽出する処理について説明する。まず、ステップS1においてスキャナのUIを立ち上げ、S2でプレビュー表示のためのスキャン(以下、プレスキャンとする)を画像読取部12に行わせる。そしてS3に移り、ユーザがプレスキャンの結果得られた画像データの表示を見ながら、表面の画像データに対して希望する領域の範囲指定を行う(範囲指定プログラム4b)。このように範囲指定された情報は、例えば、(x,y)の座標データで管理される。続いて、画像読取部12による両面原稿の実際の読み取り(本スキャン)が開始される(S4)。本スキャンでは、ユーザが予め指定した読取条件(解像度等)に基づく読み取りが実行される。S5では表面のスキャンか裏面のスキャンかを判断する。最初は表面を読み取るのでS13へ移り、読取解像度等の表面スキャンの設定をした後、S14に移って、S3で行われた表面に対する指定範囲(図6の例でいうと、指定範囲36)に対応する原稿の部分を画像読取部12にスキャンさせ、表面の部分画像データを抽出する(抽出プログラム4c)。また、S15では抽出した表面の部分画像データの特徴として濃淡、文字の向き、画像のエッジ、色の少なくとも一つを測定する。これは、測定プログラム4hを用いることで実行されもので、いずれを用いるかは予め設定されているものとする。
ここで、濃淡の測定について簡単に説明すると、モノクロの画像データであれば、抽出された領域全体に対して、画像による黒ドットの数がどれだけの割合になるかを数値として算出し、抽出された領域における画像部分の量を求め、比較に用いることが考えられる。文字の向きについては、上記文字認識プログラム4eが利用可能である。また、画像のエッジについては、抽出された領域の中から、特徴のある画像のエッジ(縁部分)を検出し、類似のエッジ形状があるか否かを比較することが考えられる。さらに、色については、カラーの画像データであれば、カラーの読み取りを行い、モノクロの場合と同様に、各
色のドットの数がどれだけの割合になるかを数値として算出し、比較に用いることが考えられる。
S11ではスキャンを続けるか否かを判断するが、ここでは裏面のスキャンをするためYesとなり、S5に移り、さらにS6に移る。S6では読取解像度等の裏面スキャンの設定を行う。そしてS7では、例えば、上記の座標データに基づいて、表面の指定範囲と同じ位置と、点対称になる位置との両方をスキャン範囲として裏面をスキャンし、仮部分画像データとして抽出する。図6の例でいうと、例えば表面の指定範囲36に対して、裏面の範囲37および38の両方を画像読取部12にスキャンさせ、仮部分画像データとして抽出する。その後、S8に移り、裏面で抽出した2つの仮部分画像データと、表面の部分画像データとの比較を行う。この場合、S15で測定した特徴(例えば、濃淡)に関して、2つの仮部分画像データについても測定プログラム4hを用いて行う。そして、これらを比較することにより、表面の部分画像データの濃淡に近似する方の仮部分画像データを選択できれば、その仮部分画像データを、裏面の部分画像データとして決定する(S10)。また、S8の比較によって、表面の部分画像データに近似する仮部分画像データを選択できない場合(例えば、2つの仮部分画像データの濃淡に差がない場合)は、S9に移り、他の特徴として文字の向きあるいは画像のエッジ(陰影)について測定プログラム4hを用いて測定し、表面の部分画像データと2つの仮部分画像データとの比較を行う。そしてS10において、裏面の部分画像データを決定する。なお、これらS8〜S10の処理が、本発明の選択プログラム4gによって行われる。また複数の特徴について比較を行ったにも拘わらず、表面の部分画像データに近似するものが選択できなかった場合には、ユーザにその旨を報知するメッセージを出力し、綴じ方向の指定を行わせる構成としたり、2つの仮部分画像データを表示し、ユーザに選択させるようにするといった対応が考えられる。
次にS11に移り、スキャンを続けるか否か判断する。ここで、両面原稿が複数枚セットされている場合であれば、次の原稿に対しても同様にS3において指定された範囲に基づく本スキャンを行う。既に全ての原稿のスキャンが終わっている場合は、Noと判断され、S12に移る。S12では、本スキャンで読み取った部分画像データを外部装置16のアプリケーションに渡す。ユーザは、表面と裏面の部分画像データを外部装置16上で確認して、画像処理(加工)を行ったり印刷の指示をしたりする。また、外部装置16が接続されていない場合には、予め指定されているRAM3内の領域に格納するといった処理が行われる。
なお、上述のフローチャートでは、S2でプレスキャンを行ったが、これは必ずしも行う必要はない。例えば表面の画像データに対して行う範囲指定のパターンを予め少なくとも一つ記憶しておき、ユーザがパターンを選択することにより、その情報を使って画像読み取りを行うようにしてもよい。また、UIを立ち上げた際に、原稿がセットされていれば、このタイミングで自動的にプレスキャンを開始するようにしてもよい。
次に図8のフローチャートを使って、測定プログラム4hを用いて裏面の部分画像データを抽出する処理について説明する。まず、S28でスキャナのUIを立ち上げ、図7の場合と同様に、S29において原稿の表面に対するスキャン範囲を指定する。そしてS30で本スキャンを開始する。S31では、表面のスキャンか裏面のスキャンかを判断する。まず表面をスキャンするので、S32に移行し、S29で指定された範囲のスキャンを開始する。これによって表面の部分画像データが抽出される。S33では、図7のS15と同様に、部分画像データの濃淡、文字の向き、画像のエッジ、色の少なくとも一つを測定する。その後、S36に移り、スキャンを続けるか否か判断する。ここでは原稿の裏面をスキャンする必要があるので、S31に移る。続いてS34に移り、原稿の裏面全体をスキャンする。その後S35に移り、得られた裏面全体の画像データの中から、表面の部
分画像データの特徴と比較して、最も近似している領域を選択する。例えば、裏面の画像データに対して、表面の部分画像データと同じサイズの領域を上下左右にずらしながら順番に抽出して濃淡の測定を行い、その測定結果と、表面の部分画像データの濃淡ついての測定結果とを比較する方法が考えられる。図6(A),図6(B)の例では、表面の指定範囲36に対して、裏面の範囲37が抽出された場合に、最も近似すると判断され、裏面全体の画像データからこの部分が切り取られて部分画像データとなる。この処理の後、S36,S37を処理するが、このステップは図7のS11,S12と同じなので説明を省略する。
このように、図7,図8の処理によれば、両面原稿の綴じ方向を指定する構成や、検出する構成を備えることなく、表面に対して範囲指定を行うのみで、裏面からも希望する範囲の画像データを自動的に抽出することができる。
続いて、両面原稿の実際(用紙上)の表裏と、原稿を読み取った場合に画像読取部12から出力される画像データの関係を説明する。ここでは、画像読取部12からの出力をメモリに順次記憶していった場合を例として説明する。両面原稿を読み取る時には図3で説明した機構を用いるため、上述したように、表面の画像を読み取る時の方向と、裏面の画像を読み取る時の方向が逆になる。従って、図6(A)に示すLongEdgeの原稿をスキャンすると、メモリ上のデータの状態は裏面が上下逆になり、図6(B)のようになる。また、図6(C)に示すShortEdgeの原稿をスキャンすると、メモリ上のデータの状態は図6(D)のようになる。つまり、LongEdgeの原稿に関しては、表面の指定領域36に対応する裏面の領域37は、指定領域36(38)に対して点対称になる位置にある。また、ShortEdgeの原稿に関しては、表面の指定領域36に対応する裏面の指定領域38は、指定領域36と同じ位置にある。従って、両面原稿がShortEdgeであることが分かれば、表面に対して範囲指定された領域と同じ領域を抽出すればよく、LongEdgeの原稿は、表面に対して範囲指定された領域と点対称になる領域を抽出すればよいことになる。
次に図9のフローチャートを使って、指定プログラム4aを用い裏面の部分画像データを抽出する処理を説明する。まず、S16でスキャナのUIを立ち上げ、S17で表面のプレスキャンをする。その後、S18において、プレスキャンの表示画像を見ながらユーザが表面に対するスキャン範囲(図6でいうと範囲36)を指定する。ここまでの処理は、図7のS1〜3と同様である。本処理の特徴としてS19では両面原稿の綴じ方向(EdgeType)を指定する。すなわち、画像読取装置1に設けられた入力装置9または外部装置16のアプリケーションを使って、両面原稿がLongEdgeかShortEdgeかをユーザが指定する。その後S20において、本スキャンのための読み取りが開始される。
S21では、表面のスキャンか裏面のスキャンかを判断する。ここでは表面のスキャンをするので、S27に移り、S18において指定された範囲に対応する原稿の部分を画像読取部12にスキャンさせる。これにより、表面に対する部分画像データが抽出される。その後、S25に移り、スキャンを続けるか否かを判断する。ここでは裏面のスキャンをするためS21に移り、続いてS22に移る。S22では、両面原稿の綴じ方向(EdgeType)によってスキャンする範囲を設定する。例えば図6(A),図6(B)に示すように、原稿がLongEdgeの場合は、表面の指定範囲36に対応する裏面の範囲37を設定する。この範囲37は、画像読取部12による読み取り結果においては、表面の範囲36に対して点対称となる位置に相当する。そのため、S22で原稿がLongEdgeだと判断された場合は、S23に移り、表面の指定範囲に対して点対称になる領域をスキャン範囲として設定する。また、図6(C),図6(D)に示すように、原稿がShortEdgeの場合は、表面の指定範囲36に対応する裏面の範囲38を設定する。
この範囲38は、画像読取部12による読み取り結果においては、表面の範囲36と同じ位置にある。そのため、S22で原稿がShortEdgeだと判断された場合は、S24に移り、表面の指定範囲と同じ位置をスキャン範囲として設定する。この後、S25とS26を処理するが、このステップは図7のS11,S12と同じなので説明を省略する。
このように、両面原稿の綴じ方向が予め判断できていれば、裏面に対してどの領域をスキャン範囲として設定すればよいかが決まるため、表面に対して範囲指定を行うのみで、裏面からも希望する領域のスキャン結果を得ることができる。
なお、両面原稿の綴じ方向の判断については、上記のようにユーザにEdgeTypeを指定させる代わりに、上記した文字認識プログラム4eあるいは閉じ部検出プログラム4fにより自動的にEdgeTypeを検出する方法を用いることができる。また、図7,9の方式においては、画像読取部12によるスキャン範囲を決定する代わりに、スキャン自体は原稿全体に対して行い、そのデータを一旦メモリに蓄積して、その中から指定範囲に対応する部分の画像データを取り出すように構成してもよい。
次に、他の実施形態について説明する。上記実施形態では、画像読取装置1において、表面の画像データに対する範囲指定や、綴じ方向の指定あるいは装置による自動検出、さらには、裏面の画像データに対するスキャン範囲の決定等の処理を行うように構成した場合を説明したが、これらを画像読取装置1とそれに接続された外部装置から成る画像読取システムにより実現することも可能である。この画像読取システムについて説明する。
図10,図11に示すように画像読取システムは、画像読取装置1と、外部装置16(パソコン)と、これらを繋ぐ通信ネットワーク100を備える。画像読取装置1のROM4には、送信プログラム4i、受信プログラム4j及び読取制御プログラム4kが記憶されている。送信プログラム4i及び受信プログラム4jは、読み取った画像データを外部装置16へ送信したり、外部装置16からの制御情報を受信したりするためのプログラムである。読取制御プログラム4kは、後述する外部装置16からの制御情報に基づいて、画像読取部12を制御し、原稿の特定の領域を読み取らせるためのプログラムである。
一方、外部装置16は一般的なパーソナルコンピュータであり、CPU39、ワークメモリ40aを備えるRAM40、ROM42,HDD43、インターフェース44〜46、I/O49、入力装置47(キーボード)、表示装置48(ディスプレイ)、CD−ROMドライバ50等を備えている。HDD43には、指定プログラム43a、範囲指定プログラム43b、抽出プログラム43c、検出プログラム43d、文字認識プログラム43e、綴じ部検出プログラム43f、選択プログラム43g、および測定プログラム43hが記憶されている。これらのプログラムは、図2で画像読取装置1のROM4に記憶されていたプログラムと同じ動作をするもので、本実施例では外部装置16側に記憶している。その他、OS43i、画像読取装置1との間で画像データや各種制御信号の送受信をするためのプログラムである送信プログラム43j、および受信プログラム43kが記憶されている。
そして本システムにおいては、上記範囲指定プログラム43bにより両面原稿の表面に対する範囲指定が行われた場合に、抽出プログラム43cが、表面に対しては原稿全体からその指定された範囲に対応する領域を読み取るように画像読取装置1を制御するための制御信号(読取領域の情報)を出力し、裏面に対しては、表面に対して行われた範囲指定の情報に基づいて、他の検出プログラム43d、文字認識プログラム43e、綴じ部検出プログラム43fを介した処理により、裏面の原稿に対応するスキャン範囲を決定し、その範囲を読み取るように画像読取装置1を制御するための制御信号を画像読取装置1に対
して出力する。
なお、選択プログラム43gを用いて処理する場合には、上記実施形態と同様に、抽出プログラム43cが2箇所の仮部分画像データのスキャン範囲を決定することから、その2つの範囲を読み取ることを指示する制御信号が画像読取装置1に対して出力さる。その結果2つの仮部分画像データが外部装置16に送信されるため、選択プログラム43cにおいて、いずれかの仮部分画像データが選択されることになる。また、測定プログラム43hを用いて処理する場合には、画像データの特徴を測定する対象が裏面全体となることから、画像読取装置1に対しては、裏面全体をスキャン範囲として読み取ることを指示する制御信号が出力される。その結果裏面全体の画像データが外部装置16に送信されるため、測定プログラム43hにおいて、表面の指定された範囲の部分画像データの特徴と、裏面の画像データの特徴が測定され、さらに、それらが比較されることで表面の部分画像データと最も近似する特徴を有する領域の画像データが抽出プログラム43cにより抽出される。
以上のように構成することで、外部装置16側から画像読取装置1を制御して、両面原稿の表面および裏面に関して、目的の部分画像データを抽出することが可能になる。
次に、画像読取装置1を操作するためのアプリケーションの例を図12に示す。この表示例は、外部装置16の表示装置48に表示されるもので、両面読取か片面読取かを指定するためのチェックボックス51、綴じ方向を指定するためのチェックボタン52、読み取られた画像を表示する表示領域53、スキャン開始を指示するための開始ボタン54、プレビュー開始ボタン55を備える。プレビュー開始ボタン55を押下すると、画像読取装置1に対して、プレビュー表示のための読み取りを指示する制御信号が送出され、画像読取装置1では、セットされている原稿の表面全体の読み取りを行い、送信プログラム4iにより画像データを外部装置16に送信する。外部装置16では、表面の画像データが表示領域53に表示される。これに対して、ユーザがマウス等を使って、表示された画像データのうち本スキャンをする部分を選択し、スキャン開始ボタン54を押す。すると、表示領域53に対して行われた範囲指定の情報に基づいて、原稿の表面の読み取る位置(範囲)を制御信号により画像読取装置1に対して出力する。これに基づいて、画像読取装置1が表面の読み取りを開始し、読み取られた画像データ(部分画像データ)を外部装置16に対して出力する。裏面に関しては、表面に対して行われた範囲指定の情報と、綴じ方向を指定するためのチェックボタン52に入力があれば、その情報とに基づいて、裏面の読み取る位置(範囲)を決し、制御信号により画像読取装置1に対して出力する。これにより、画像読取装置1が裏面の読み取りを行い、外部装置16に対して出力する。なお、綴じ方向の指定がない場合は、上記したその他の方法により、裏面の部分画像データが抽出されることになる。
このように、プレビューにより表示された表面の画像データに対して、範囲指定を行うのみで、表面だけでなく裏面についても目的とする範囲の部分画像データを取得することができ、操作が簡単なものとなる。また、プレビューを外部装置の比較的大きな表示領域に表示させた上で、範囲指定を行うことで、細かい画像データに対する範囲指定も良好に行うことができる。
また、本システムにおいても、画像読取装置1に対して、表面あるいは裏面の原稿全体を読み取らせて画像データを取得し外部装置16のRAM40に一旦記憶させ、その上で、外部装置16側の選択プログラム43g、測定プログラム43h、及び抽出プログラム43c等の処理を介し、ユーザにより指定された範囲の画像データをRAM40から取り出すような構成であってもよい。