JP4345080B2 - 歯付き面を有する椎間板プロテーゼ - Google Patents

Description

【０００１】
（発明の属する技術分野）
本発明は、椎間板プロテーゼに関するものである。
【０００２】
（発明の背景）
主要な両面上に相互に平行で細長い歯を有する椎間板プロテーゼが、公知である。このような歯は、プロテーゼが占める板空間において隣接した椎骨間にプロテーゼを固定する役割を果たす。
【０００３】
（発明の概要）
本発明の目的は、さらに良好な固定を保証するプロテーゼを提供することである。
【０００４】
この目的を達成するために、本発明は、２つの相互に逆向きの主要面を有し、これらの面の少なくとも１つは相互に平行に形成された歯を有している椎間板プロテーゼであって、該歯付き面の輪郭の全体的な形状が、該面を横切る少なくとも１つの面において直線状ではない椎間板プロテーゼを提供する。
【０００５】
従って、前記歯付き面の輪郭は、該面が接触する椎骨プレートの輪郭にできる限り相補的となるように選択可能である。先行技術のプロテーゼには、プロテーゼとの接触を改善するために椎骨プレート面の形状を修正することにより準備することが必要な場合があるのに対し、このような準備は、通常、本発明のプロテーゼの歯付き面により無駄となる。これにより、プロテーゼ組込に要する外科手術時間が低減する。歯がついたプレート状の面によって、椎骨プレートに対する固定を極めて高品質とすることができる。
【０００６】
歯付き面の輪郭は、概ね直線状の２つのセグメントが相互に傾斜した輪郭になっていると有利である。
【０００７】
このような面は、特に、相当の椎骨プレートの形状に適合されている。
【０００８】
２つのセグメントの一つは、他方のセグメントの長さの少なくとも２倍であると有利である。
【０００９】
従って、その面は、相当の椎骨プレート形状に非常によく対応する飛行機翼の輪郭を有している。
【００１０】
歯付き面は、セグメントの一つを形成する領域であって歯が無い領域を有していると有利である。
【００１１】
歯付き面は、歯が無い領域であって該歯付き面の縁と連続した領域を有していると有利である。
【００１２】
プロテーゼは、主要面の一方から他方へ延びる中央孔を有していると有利である。
【００１３】
このような孔は、例えば、椎骨統合を促進する移植組織を受け入れることができる。
【００１４】
プロテーゼは、壁の外面から中央孔へ延びる少なくとも１つの孔を呈する側壁を有していると有利である。
【００１５】
従って、この孔は、孔内に収容された移植組織の血管新生を増進する。
【００１６】
有利には、プロテーゼは、円筒軸線の周りに１８０°を超えて延在する第１の円筒形部分と、該第１の円筒形部分より半径が大きい第２の円筒形部分とにより構成された側面を有している。
【００１７】
このような形状によって、プロテーゼは、椎骨プレートの領域の主要部分を占めることができる。
【００１８】
前記歯は、プロテーゼの同じ側に向かって傾斜した輪郭を有していると有利である。
【００１９】
このような形状は、プレート間へのプロテーゼの挿入を容易にするが、それを引き出す歯止めになる。
【００２０】
プロテーゼは、主要面の一つから特に歯付き面から突出する少なくとも１つのスパイクを有していると有利である。
【００２１】
従って、スパイクは、椎骨プレートに埋め込まれて、固定の質をさらに高める。
【００２２】
プロテーゼは、ねじ孔を有していると有利である。
【００２３】
このねじ孔は、プロテーゼを配置するためのツールと協働して、ツールをプロテーゼに固定するようにできる。椎体上において横方向に固定される補綴プレートにプロテーゼを連結するために使用することもできる。
【００２４】
プロテーゼは、頸椎椎間板プロテーゼであると有利である。
【００２５】
本発明は、本発明のプロテーゼ及びそれを配置するツールを備えるキットも提供する。
【００２６】
有利には、プロテーゼ及びツールは、所定の相対位置でツールにプロテーゼを固定するための固定手段と、このような唯一の位置にすることを保証するように構成したキー止め手段とを有している。
【００２７】
本発明の他の特徴及び利点は、非限定的例として挙げた好ましい実施形態及び変形例についての以下の説明からさらに明らかとなる。
【００２８】
（好ましい実施形態）
図１から図５について、プロテーゼ２は、軸線６の周りにおいて概ね環状である壁４を有するケージで構成されている。
【００２９】
平面図において、壁は、蹄鉄形の第１の部分４ａを有している。第１の部分４ａは、軸線６の周りにおいて円筒形である。それは、軸線６の周囲を約２５０°に渡り延在している。壁は、第２の部分４ｂを有しており、該第２の部分４ｂは、同様に円筒形であり、軸線６ではなくそれに平行な軸線であるそれ自体の軸線の周りを約２０°に渡り延在している。第２の部分４ｂの半径は、第１の部分４ａよりもはるかに大きい。第１の部分の端部は、第２の部分の端部と連結している。従って、平面図において、ケージは、この場合はケージの前方または正面側部である側部４ｂでいくらか平らになったリング状となる。この壁４は、ケージの中央に孔７を画定している。
【００３０】
ケージは、上方主要面８及び下方主要面１０の２つの主要面を有し、これらの面は、相互に逆向きでありかつ、相互に平行であって軸線６に垂直な面内を概ね延びている。孔７は、両方の面８及び１０の間を延びている。
【００３１】
この場合の下面１０は、軸線６に正確に垂直である。下面１０は、矢状平面、すなわち、軸線６に平行でかつ前壁４ｂに垂直な面において、前壁４ｂに平行で相互に平行な細長い歯１２を形成する、歯のついた輪郭となっている。歯１２の全ては、相互に同一であり、詳細には、全て同じ高さである。歯の全ては、前方に傾斜している。各歯は、軸線６に平行な前方側面と傾斜している後方側面とを有している。
【００３２】
上に特定した矢状平面に、上方の面８は、凸状輪郭となるように相互に傾斜し概ね直線状の２つのセグメント１４及び１６からなる輪郭を有している。後方セグメント１６は、２つのセグメントのうち長い方である。この平面において、後方セグメント１６は、ケージの全長の約８０％に渡り延在している。該セグメントは、歯のついた輪郭を有している。歯１２の全ては、相互に同一であり、詳細には、全て同じ高さである。歯１２は、下面１０の歯と同様に前方に傾斜している。セグメント１６は、ケージの後方に向かって若干傾斜している。従って、セグメント１６は、下面１０に対して若干傾斜している。
【００３３】
前方セグメント１４は、後方セグメントが後方に向かって傾斜しているよりも急勾配でケージの前方に向かって傾斜している。その長さは、後方セグメント１６の全長の約４分の１に等しい。前方セグメント１４は、平坦である。前方セグメント１４は、前壁４ｂの上方に延びる前記上方の面の一部に相当する。２つのセグメント１４及び１６は、前記上方の面８に飛行機の翼の輪郭と同じ輪郭を与えている。
【００３４】
ケージは、ねじ孔或いは固定孔１８を有し、該ねじ孔１８は、前壁４ｂ内をプロテーゼの矢状中央平面において延びかつ外面を中央孔７と連通した状態にしている。この孔１８の一方の側に、例えば右側に、前壁の外面は、後述するようにキー止めするために使用する半球状穴２０を有している。
【００３５】
壁の最後方部分上において、ケージは、外面が中央孔７と連通している２つの孔２２を有している。２つの孔２２は、ケージの矢状中央面の周りに対称に配置されている。
【００３６】
ケージは、スパイク２４を有し、この例では、４つのスパイク、すなわち主要面８及び１０の各々に２つずつある。各スパイクは、鋭くなった端部を有し、対応の主要面から突出している。各面上の２つのスパイクは、矢状中央平面の周りに相互に対称に配置されている。さらに、２つのスパイクは、軸線６を含む正中面を延びている。一方の面上の各スパイクは、他方の面上のスパイクと位置を合わせて延びている。
【００３７】
上述のケージは、詳細には、頸椎椎間空間を占めるように適合されている。図６及び図７は、頸椎３０の椎体３１を示している。図６の矢状中央平面の断面においては、椎骨の上部プレート３２は、実質的に水平かつ直線状の輪郭を有し、また、下部プレート３４は、ケージの上方の面８の凸状輪郭と相補的で飛行機の翼の輪郭と適合する凹状の輪郭を有している。正中面上の断面においては、図７に示したように、下部プレート３４は、実質的に水平かつ直線状の輪郭を有しており、また、上部プレート３２は、高くなった部分が鉤 ( 体 ) （ uncus(corporis) ）３６である湾曲した凹状輪郭を有している。
【００３８】
ケージが、２つの頸椎３０の間に挿入されると、ケージの主要面８及び１０は、プレート３２及び３４の形状に非常に接近して嵌まり接触する。
【００３９】
ケージを所定位置に配置するためには、図８及び図９に示したツールのような固定ツール４０を使用すると有利である。このツールは、形状及び高さが、ケージ２の前面の形状及び高さに近い長方形の前面４６を伴ったヘッド４４を有する本体４２を備えている。ツールは、ヘッドの面４６の中央から突出しかつそれに対して相互に可動でツールの他方の端から駆動可能である、嵌め込まれるエンドピース４８を有している。このエンドピースは、ケージの装着孔１８と嵌め込み係合するのに好適である。ヘッドの前面４６は、エンドピース４８が孔１８に連結されるとケージの前方球状穴２０内に入り込むのに適切な球状突起部４７を有している。突起部４７及び穴２０はともに、キー止め手段を構成する。それらによって、ケージ２の前面の輪郭とツールヘッド４４の輪郭を一致させてツール４０がケージ２に固定され得る唯一の位置が存在する。
【００４０】
椎骨間の所定位置にケージを配置するためには、椎骨間の板の間隙高さを大きくするように適切な手段により椎骨を移動させて離す。下方の椎骨３０の上部プレート３２は、ケージの下面１０の形状に近くなるように整えられる。装着前に、孔７は、骨の成長が可能となるように骨移植組織または他の種々の物質を受け入れる。ツール上にケージを装着して、ケージを、後ろから椎骨間の所定位置に配置する。次に、椎骨を、元の位置に相互に戻すことができる。椎骨プレート３２及び３４は、このように、ケージの主要面８及び１０に当接する。スパイク２４が、それら自体をプレート内に固定する。ケージの挿入を促進した後に、歯１２の方向づけが、その位置から前方へのケージの移動を制限し得る。ケージは、上部椎骨の下部プレート３４を整える必要はない。
【００４１】
図１０に示した変形実施形態において、ケージの下面は、なお歯がついている（図示せず）が、前方面に平行な断面形状は、凸状に丸く弓形に湾曲している。このようなケージは、下方の椎骨の上部プレート３２を整える必要はなく、結果として、いかなる椎骨プレートも整える必要はない。従って、このようなケージは、椎間空間の解剖によく適している。
【００４２】
装着孔１８は、例えば椎体３１側面内の他の場所に固定される上部補綴プレートのようなアンカーシステムにケージを固定するために利用可能である。
【００４３】
３つの孔１８及び２２によって、孔７内に受け入れられた移植組織の血管新生が容易となる。
【００４４】
キー止めをさらに改良するために、ツールのヘッド４４は、ケージがツールに正確に固定された際にケージの上方の面８を示すマーク４５を有することができる。
【００４５】
ケージは、Ｘ線に透過性のある材料から、例えばポリエーテルエーテルケトン（ＰＥＥＫ）から形成することができる。その場合には、内部に含まれ、Ｘ線に不透明であることから手術中または後にＸ線を使用した際にインプラントの位置及び／または存在を確認するように機能する１つ以上のマーカー４７を、ケージは持ち得る。それらは、チタンまたはチタン合金から形成することができる。この場合、２つのマーカー４７があり、それらは、軸線６に平行な直線管内に挿入しケージの壁内に形成したワイヤーによって構成される。管の一方は、矢状中央平面の後方を延び、また、他方は、前壁の左端を延びている。
【００４６】
スパイク２４は、ケージ内に形成された管内に挿入され堅固に固定することができる。それらも、Ｘ線に不透明な材料から形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の好ましい実施形態を構成するプロテーゼの斜視図である。
【図２】 本発明の好ましい実施形態を構成するプロテーゼの平面図である。
【図３】 本発明の好ましい実施形態を構成するプロテーゼの正面図である。
【図４】 本発明の好ましい実施形態を構成するプロテーゼの背面図である。
【図５】 本発明の好ましい実施形態を構成するプロテーゼの右側面図である。
【図６】 頸椎の矢状方向における断面図である。
【図７】 頸椎の正中面における断面図である。
【図８】 固定ツールを伴った図１のプロテーゼの斜視図である。
【図９】 固定ツールを伴った図１のプロテーゼの斜視図である。
【図１０】 変形実施形態を示す、図４に類似した一部分の図である。

Claims (23)

1. 一対の相互に逆向きの上方主要面及び下方主要面と、側面とを備え、
   前記上方の面は、相互に平行に形成された複数の歯と、少なくとも１つのスパイクとを備え、
   前記歯は、第１の側面及び第２の側面を有し、
   前記スパイクは、前記第１の側面及び前記第２の側面の少なくとも１つから突出し、かつ、前記歯を越えて上方に突出しており、
   前記少なくとも１つのスパイクは、前記歯の少なくとも１つを横切り、
   前記スパイクは、前記歯と構成が異なり、
   前記上方の面の輪郭の全体的な形状が、当該上方の面を横切る少なくとも１つの面において曲がっており、
   前記側面は、円筒軸線周りを１８０°を超えて延在する第１の円筒形部分と、前記第１の円筒形部分より半径が大きい第２の円筒形部分とを含む椎間板インプラント。
2. 前記上方主要面の輪郭は、相互に傾斜した概ね直線状の２つのセグメントを有する請求項１に記載の椎間板インプラント。
3. 前記２つのセグメントの一つは、前記他方のセグメントの少なくとも２倍の長さである請求項２に記載の椎間板インプラント。
4. 前記上方の面は、前記セグメントの一つに配置された領域であって歯が無い領域を有している請求項２に記載の椎間板インプラント。
5. 前記上方の面は、歯が無い領域であって前記上方の面の縁と連続している領域を有している請求項１に記載の椎間板インプラント。
6. 前記上方主要面及び下方主要面のいずれか一方から他方へ延びる中央孔を有している請求項１に記載の椎間板インプラント。
7. 前記側壁に配置された少なくとも１つの孔を更に備え、前記孔は前記側壁の外面から前記中央孔へ延びる請求項６に記載の椎間板インプラント。
8. 前記歯は、インプラントの前記側に向かって傾斜した輪郭を有する請求項１に記載の椎間板インプラント。
9. ねじ孔を備える請求項１に記載の椎間板インプラント。
10. 前記椎間板インプラントが、頸椎インプラントである請求項１に記載の椎間板インプラント。
11. 前記主要面上に少なくとも２つのスパイクを備え、当該スパイクは、矢状中央平面の周りにおいて前記主要面の表面上に対称に配置されている請求項１に記載の椎間板インプラント。
12. 前記主要面上に少なくとも４つのスパイクを備え、当該スパイクは、前記主要面の表面上において矢状中央平面の周りに対称に配置されている請求項１１に記載の椎間板インプラント。
13. 一対の相互に逆向きの上方主要面及び下方主要面と、側面とを備え、
    前記上方の面は、相互に平行に形成された複数の歯と、少なくとも１つのスパイクとを備え、
    前記歯は、第１の側面及び第２の側面を有し、
    前記スパイクは、前記第１の側面及び前記第２の側面の少なくとも１つから突出し、かつ、前記歯を越えて上方に突出しており、
    前記少なくとも１つのスパイクは、前記歯の少なくとも１つを横切り、
    前記上方の面の輪郭の全体的な形状が、当該上方の面を横切る少なくとも１つの面において曲がっており、
    前記側面は、円筒軸線周りを１８０°を超えて延在する第１の円筒形部分と、前記第１の円筒形部分より半径が大きい第２の円筒形部分とを含む椎間板インプラントを備える椎間板キットであって、
    前記椎間板インプラントを固定するために適合するツールであって、前記インプラントを予め設定された相対位置において前記ツールに固定する固定手段と、このような唯一の位置にすることを保証するために適合するキー止め手段とを有するツールを備える椎間板キット。
14. 一対の相互に逆向きの上方主要面及び下方主要面と、側面とを備え、
    前記側面は、円筒軸線周りを１８０°を超えて延在する第１の円筒形部分と、前記第１の円筒形部分より半径が大きい第２の円筒形部分とを含み、
    前記上方の面は、相互に平行に形成された複数の歯と、少なくとも１つのスパイクとを備え、
    前記歯は、第１の側壁及び第２の側壁を有し、
    前記少なくとも１つのスパイクは、前記歯の少なくとも１つを横切り、前記第１の側壁と前記第２の側壁との間に位置しており、
    前記上方の主要面は、当該面を横切る少なくとも一つの面において曲がった輪郭を有する椎間板インプラント。
15. 前記上方の主要面の輪郭は、概ね直線状の２つのセグメントが相互に傾斜した輪郭になっている請求項１４に記載の椎間板インプラント。
16. 前記２つのセグメントの一つは、前記他方のセグメントの少なくとも２倍の長さである請求項１５に記載の椎間板インプラント。
17. 前記歯付き面は、前記セグメントの一つを形成する領域であって歯が無い領域を有している請求項１５に記載の椎間板インプラント。
18. 前記歯付き面は、歯が無い領域であって前記歯付き面の縁と連続している領域を有している請求項１４に記載の椎間板インプラント。
19. 前記上方主要面及び下方主要面のいずれか一方から他方へ延びる中央孔を更に備える請求項１４に記載の椎間板インプラント。
20. 前記側壁に配置された少なくとも１つの孔を更に備え、前記孔は前記側壁の外面から前記中央孔へ延びる請求項１７に記載の椎間板インプラント。
21. 前記歯は、前記インプラントの同じ側に向かって傾斜した輪郭を有する請求項１４に記載の椎間板インプラント。
22. ねじ孔を有する請求項１４に記載の椎間板インプラント。
23. 前記椎間板インプラントが、頸椎インプラントである請求項１４に記載の椎間板インプラント。

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