JP4345045B2 - 送電線の事故区間標定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、架空送電線の架空地線にセンサを取付け、送電線事故の検出電流情報をもとに、ニューラルネットワークの手法によって事故区間を標定する送電線事故区間標定方法に関する。特にセンサの設置間隔よりも細かい精度での鉄塔の単位で事故区間を標定することができる方法を与える。
【0002】
送電線は多数の一連の鉄塔によって保持される。鉄塔間隔をここでは小区間と呼ぶ。架空地線の電流を検出する電流センサは鉄塔20基おきとか50基おきというように疎らに設けられる。センサ設置鉄塔の間隔を大区間と呼ぶ。大区間一つに幾つもの不感鉄塔(センサをもたない)が含まれる。つまり大区間一つの中に多数の小区間が含まれる。
【0003】
これまでニューラルネットワークの方法によって事故点標定する場合センサ間隔(大区間)よりも細かく事故点を標定できなかった。それに反し、本発明はセンサ間隔(大区間)より狭く鉄塔間隔(小区間)で事故点を見出すようにしたものである。
【0004】
大区間の数はN、小区間の数はH、個々の大区間を表すにはn群といい、個々の小区間を表現するにはh番ということにする。鉄塔の数Rは、R=NHと書くが、Hは一定でなく大区間によって異なり実際にはR=ΣHであるが、簡単のためにそのような表記をするものと約束する。
【0005】
【従来の技術】
架空送電線において、雷、鳥獣、風雨、設備の劣化などの要因により、送電設備の絶縁破壊による送電線事故が発生することがある。
【0006】
このような送電線事故発生時には、事故点の早期発見による設備の早期復旧が要求される。送電線設備は長距離に渡って敷設されているから、事故点の発見は容易でないことが多い。
【0007】
そこで架空送電線の架空地線にセンサを取付け、送電線のどの区間で事故が発生したかを瞬時に判定する送電線事故区間標定装置が実用化されている。これにより事故点を絞り込む事ができ設備の早期復旧が可能となる。事故点標定には幾つかの方法がある。この発明は事故の発生そのものを検知するのではなくて、事故点がどこにあるのかを求めるものである。
【0008】
送電線事故の発生そのものは変電所での電流の異常によって簡単に検出できる。変電所でCTによって電流を常時観測しているが事故が発生すると故障電流が流れるので瞬時に電流が異常に増加する。これを検知して変電所のリレーが働き故障した回線を遮断するから電流は一気に減ってしまう。このような電流の異常増加、減少によって事故発生自体は容易にわかる。本発明はその瞬間の電流情報から事故点を求めるものである。
【0009】
本発明はニューラルネットワークを用いるものの改良である。だからニューラルネットワークを用いた事故点標定について初めに説明する。
【0010】
ニューラルネットワークは入力層、中間層、出力層の3層のデータ処理層の組み合わせによって入力情報から経験的に蓋然性の高い結果を導き出すものである。図1に簡単なニューラルネットワークの構造を示す。入力層の単位の数をK、中間層の単位の数をL、出力層の単位の数をMとする。出力層の値が標定に用いられる。入力層は結果に関係を与える可能性のあるデータを与えるものである。事故点標定の場合は入力層のデータはセンサによって測定された事故時の電流や位相などのパラメータである。
【0011】
入力層のパラメータの一次結合を作り、0〜1の値を非線形関数に代入し、その値を中間層の値とする。それらの中間層のパラメータの値の一次結合を作り、それを非線形関数に入れてその計算値を出力層の値とする。非線形関数はできるだけ簡単な方が良いのでf(w)=(1+exp(−w))−1のような単純なものが用いられる。これはシグモイド関数と呼ばれる。
【0012】
それ以外のどのような一価の関数を用いてもよい。その場合は先述の一次結合の係数が異なってくる。例えば0.5+0.5tanh−1w、0.5+(1/π)tan−1wというような関数も全ての実数を0〜1に写像することができる一価の関数であり、これらを用いることも可能である。非線形関数を用いるのでニューラルネットワークと呼ぶ。実際には神経の働きとは何の関係もない。
【0013】
線形関数を用いるのではないから、入力層、中間層、出力層の因果関係がストレートに分からない。だから因果関係の考察から係数を決めることはできない。経験的に係数を決めることによってニューラルネットワークが構築される。それはいくつもの教師データというものを入れて入力層と出力層が教師データに合致するような一次係数を決めるようにする。一旦一次結合の定数を決めるとこれによって事故点標定が可能になる。電力の変化、送電線の配置の変更、鉄塔の増減などの外部条件の変動が無い限り、そのようなニューラルネットワークを使うことによって事故点標定する。
【0014】
入力層、中間層、出力層のそれぞれのポートは、ユニットとかニューロンと表現することもあるが格別の名前は付けられていないようである。それではしかし説明しにくいから入力層の各ポートを「号」と呼び、中間層の各ポートを「条」と呼び、出力層の各ポートを「項」と呼ぶことにする。そのような呼び名はもちろん一般的でない。この明細書限りのものである。だからK号からなる入力層が、L条からなる中間層につながれ、それがM項の出力層を決定するのである。
【0015】
[入力層] 入力層の各号を1号、2号、…、K号とする。それらにセンサで測定された電流値や位相などを0〜1の値にして入力する。一つの号には一つの値が対応する。それぞれの値をd1、d2、…、dKとする。これらは既に0〜1の値に直したものである。それを正規化と呼ぶが、生のデータは0〜1に正規化することもあるし、−1〜+1に正規化することもある。このように入力層の各号は一つの値を持つ。
【0016】
[中間層] 中間層の各条を1条、2条、3条、…、L条とする。中間層には新たなデータは追加されない。全てのデータは入力層から与えられる。素となるデータは入力層のデータd1、d2、…、dKの線形結合によって与えられる。しかし線形結合そのものでなくて、それを0〜1に引き直すために先述のようなシグモイド関数が用いられる。つまり中間層のj条の素データe1、…、ej、…は、線形結合の係数を{qjk}として、
【0017】
ej=qj1d1+qj2d2+…+qjKdK (1)
【0018】
というように与えられる。但しj=1〜Lである。だから入力層の号の値と、中間層の条の素値の関係を与えるのは線形結合の係数であり、その線形結合の係数{qjk}はL行K列の行列となる。それが直ちにj条の値となるのではない。非線形の関数f(w)を用いて非線形変換して0〜1の値とする。ここでも−1〜+1に非線形変換することも可能である。つまり中間層のj条の値gjは、
【0019】
gj=f(ej) (j=1〜L) (2)
として決められる。
【0020】
[出力層] 出力層の各項を1項、2項、3項、…、M項とする。出力層にも新たなデータは追加されない。しかも入力層から中間層を飛び越えて与えられることもない。全てのデータは中間層から与えられる。素になるデータは中間層のデータg1、g2、…、gLの線形結合によって与えられる。中間層の場合と同様に線形結合そのものでなくて、それを0〜1に引き直すために先述のようなフェルミ関数が用いられる。つまり出力層のj項の素データh1、…、hj…は、線形結合の係数を{pjk}として、
【0021】
hj=pj1g1+pj2g2+…+pjLgL (3)
【0022】
というように与えられる。但しj=1〜Mである。中間層の条の値と、出力層の項の素値の関係を与えるのは線形結合の係数であり、その線形結合の係数{pjk}はM行L列の行列となる。それが直ちにj項の値となるのではない。中間層と同様に非線形の関数f(w)を用いて非線形変換して0〜1の値とする。(ここでも−1〜+1に非線形変換することも可能である。)つまり出力層のj条の値kjは、
【0023】
kj=f(hj) (j=1〜M) (4)
【0024】
として決められる。その結果は0〜1の大きさの値となる。出力層は故障区間を示すものであり、故障区間sには”ks=1”を、正常区間jには”kj=0”を割り当てるべきものである。だから事故点として区別すべき区間の数とMが等しくなる。入力層にデータ{di}を与えると計算によって、出力層の{kj}を計算することができる。{kj}は実際にはきれいに1か0というわけでなく、その中間の値を取る。その中でも最大の値を与えるsが故障区間として標定される。
【0025】
M個の項のどれに故障が起こるかというのは独立事象である。変換の係数を決めることがニューラルネットワークを構築することである。そのためには教師データというものを作製する。それは入力層のデータとそれに対応する出力層のデータよりなる。一次結合の係数の初期値は適当に与える。入力層に教師データの入力値を与えて計算した出力層のデータと教師データの出力層データの差の2乗の和を求めて、これが所定の値より小さいかどうかを調べ、それ以上なら一次結合の係数を変化させる。係数を少しずつ変化させて、出力層での誤差の2乗和が小さくなるようにして、最適の係数を決定する。
【0026】
教師データの決定などを含め、そのようなシミュレーションは、EMTP(Electro Magnetic Transient Program;米国エネルギー省が開発した電力系統の世界標準プログラム)によって行うことができる。このような試行錯誤の繰り返しによって係数を求めることができる。
【0027】
もしも入力層、中間層、出力層での関係が全て線形であれば、中間層があってもなくても同じことになる。線形変換を何回しても1回の線形変換に縮約できるからである。中間層を設ける意味があるのは非線形変換をするからである。
【0028】
ここに述べたものは中間層の数が1層であるが、2層、3層と中間層を複数層設けてもよいのはもちろんである。中間層の数を増やすというのは数学的には興味のあるところである。しかし中間層を増やしたから事故点標定の精度が上がるというものではない。だから中間層は最低の1層としている。精度の向上には、入力層の数を増やす方が効果的である。しかしそれはセンサの数を増やすということだからコストの点で難しい。
【0029】
出力層の項数Mと中間層の条数Lの関係については、項数Mが条数Lより大きいこともあり、項数Mが条数Lより小さいこともある。つまりM>LもM≦Lもありうる。
【0030】
入力層の号数Kと中間層の条数Lについても、号数Kが条数Lより大きいこともあり、小さいこともある。つまりK>Lもありうるし、K≦Lもありうる。
だから号数K、条数L、項数Mの値は自由に設定することができる。
【0031】
送電線は数多くの鉄塔によって支持される。電力は長い送電線により、山間、海浜の発電所から都市近郊の変電所へと送電される。鉄塔によって空中高く懸架されるから送電線のことを架空送電線という。送電は、三相交流でも二相交流でもよいのであるが、高圧送電線では三相交流が用いられる。三相交流の送電のための3本の電線の他に架空地線が設けられることがある。これは避雷を目的としたものである。架空地線は3本の送電線のどれともつながっておらず接地されている。
【0032】
架空送電線には、送電線によって誘起される誘導電流が流れる。事故点標定のために、CT(電流センサ)によって架空地線の電流を測定する。
【0033】
CTで測定した電流データはLEDによって電気/光(E/O)変換される。センサはCTとLEDよりなる。電流を示す光信号は同じ鉄塔の多重伝送装置に送られる。ここで光信号は電気信号に光電変換(O/E)され、A/D変換、符号化されて、上流からの信号に多重化し、再び電気/光変換されて多重化光信号として光ファイバを通じて中央装置へと送られる。光ファイバ複合架空地線(OPGW)の場合光ファイバは送電線とともに平行に設けられるからセンサ(CT)の電流データを光ファイバによって送信することができる。
【0034】
▲1▼特許第2767934号「架空送電線の故障区間標定装置」は、架空地線を鉄塔によって区間に分け区間ごとに電流を測定し、その電流値を非線形変換し入力層に入力し、その値の一次結合を非線形変換して中間層に入れ、それらの値の一次結合を非線形変換して出力層に入れ出力層から故障区間を標定するようにした装置を提案している。これはセンサ設置鉄塔とその次のセンサ設置鉄塔間を区間として、その単位の中で事故点を標定することができる。しかしセンサ間隔より細かく事故点標定を行うことができない。
【0035】
▲2▼特開平9−211061号「送電線事故位置の確率分布標定方法」は、標定の確かさは高いが範囲が広くなる標定結果と、確かさは低いが範囲が狭くなる標定結果を重ね合わせてセンサ設置間隔より狭い範囲で事故点を標定する方法を提案している。これは様々な標定ルールを用いる必要がある。多数の多層ニューラルネットワークを組み合わせたものである。しかしニューラルネットワークといっても先述にように3層構造をもつものではなくて、自己組織化ニューラルネットワークと呼ばれる簡易化されたものである。センサ電流a1、a2、a3、…aj、…aMを一次結合させるニューロンというものが、xy面上格子点に定義され、それぞれが一次結合係数Wxyjをもつ。ニューロン毎の出力をOxyとする。重み係数は正規化され、
【0036】
Σ|Wxyj 2|=1 (5)
【0037】
となる。センサ電流も正規化ベクトルとして扱われる。
【0038】
Σ|aj 2|=1 (6)
【0039】
そして係数をたびたび変更してゆく。変更の回数をτとして、
【0040】
Wxyj(τ+1)=Wxyj(τ)+α(τ){aj(t)−Wxyj(τ)} (7)
【0041】
というように係数を変えてゆく。そして所定回数τmaxまで更新する。そのときの最大出力Oxyを与えるxyが事故点である、というわけである。xy座標の格子点は、センサのないものをも含めた全ての鉄塔に対応する。だからセンサ間隔でなく鉄塔間隔で事故点を決めることができる、という。そのために多数のルールの異なるルールの(つまり誤差と、τとα(τ)の異なる)多数のニューラルネットワークを作ることになる。それらの結果を重ね合わせて合致度の高いものを事故点とするのである。
【0042】
それは非線形変換もないし中間層というものもない。たくさんの(xy格子点)点を扱わなければならないから、3層構造にはできないのかもしれない。多数の標定のルールを作っていわば多数決によって事故点を鉄塔間隔の精度で求めるというものである。一層構造に過ぎず、線形変換だけであるから数学的に疑問がある。一度の線形変換の結果のOxyが最大というような簡単なことで事故点(x,y)がわかるというのもおかしい。
【0043】
学習ステップといっても教師データを入れて出力層での異動を見るものでなく、先述の式(7)のように係数Wxyjを電流値ajに接近させるというだけの更新によって、正しく故障点を見つけられるものとは思えない。一つ一つのルールが事故点を正しく見つけられないなら、それで多数決した結果がいきなり正しくなるとは思えない。誤りをいくら重ねても真理にはいたらないものである。
【0044】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、鉄塔の一定間隔ごとにセンサを取付け電流を測定する事故区間標定方法の標定区間は、センサの設置鉄塔間隔が単位となっている。つまり10番鉄塔と20番鉄塔にそれぞれセンサが設置されている場合、事故区間の標定はもっとも詳しくても「10番〜20番」となる。その内のどれが事故点かということはわからない。それより詳しく、14番とか17番とか特定できればよいのであるが現在の標定方法ではそれは不可能である。センサを設置していない鉄塔での情報が得られないからそれは当然のことである。
【0045】
但しセンサ設置区間を3つに分割して事故点が3つのどれに入っているのか?を求めることができるようにしたものは存在する。これは本出願人によるものである。
【0046】
▲3▼特開平7−181217号「ニューラルネットワークを用いた送電線故障区間検出法」は、鉄塔一定個数ごとにセンサを設けるが、センサ設置鉄塔にはその前後にセンサを二つ設けるようにし、前後対になったセンサの電流、位相、電流差、位相差の4つの変数をパラメータとして採用する。これまでの電流だけを入力パラメータとするのと違って、位相、電流差、位相差もパラメータとなるのでより詳しいことがわかる。30基の鉄塔ごとにセンサを二つずつ設ける。30基分が大区間ということになる。大区間を5基、20基、5基の細区間に分割し、センサの電流、位相、位相差、電流差から細区間まで事故点標定するものである。図1の3層構造のニューラルネットワークはこのような電流、位相、電流差、位相差の4つをパラメータとするものを示している。
【0047】
事故点を含む大区間ではその前後のセンサの位相、電流が大きく変わり、事故点を含む大区間がわかる。そして対センサ間で電流差が強ければ事故点はその鉄塔から5基までにある。対センサ間で電流差がなければ事故点はその鉄塔から5基以上離れている。そのようなことから、大区間の標定と、細区分(3つ)した区間での標定が同時になされる。これは標定を繰り返すのではなくて同じ計算からそのようなことがわかるのである。しかしこれはセンサ設置鉄塔の数の二倍のセンサを使っているから、実はセンサ設置間隔の2/3程度の間隔に標定幅が狭くなっているだけのことである。センサ設置数節約という点では顕著な効果はない。
【0048】
実をいえば従来例▲3▼は、事故の種類を判別することによって可能となっている。それについて述べる。送電線の事故は、樹木との接触、鳥獣による被害、クレーンとの接触、落雷、地震、風雨によって起こるが結果として起こるのは地絡と短絡しかない。地絡と短絡は電流、位相に対する影響が全く違う。しかも地絡なら規模は違ってもその変化傾向は同じ、短絡でもその傾向は同じという特徴がある。
【0049】
図2に地絡事故が起きた瞬間の各鉄塔での電流値、位相値を示す。横軸は鉄塔番号である。48番鉄塔から84番鉄塔までの電流位相が書いてある。電流は接地された(V=0)架空地線(GW)で測っている。それは非接地線の誘導電流の合計値にだいたい比例するのだから、非接地線の合計電流を表現しているといえる。正常時は、架空地線の電流Iは正弦変化をしているので、
【0050】
I=I0sin(ωt−kx) (8)
【0051】
というように書ける。ωは角周波数で周波数の2π倍である。各径間(鉄塔と鉄塔等の間)ごとに、径間長、地形、支持物(鉄塔)形状、接地抵抗などが違うので架空地線に流れる電流も径間ごとに少しづつ相違する。しかし、そのような違いのない理想的な場合で送電線に分岐がなければI0はすべての鉄塔について一定値をとる。送電線には実際には分岐があるが簡単のために分岐がないとすると全ての一連の鉄塔について架空地線電流は上記のように簡明に表現される。xは送電線にそって鉄塔の並ぶ位置を表現する。kは波数である。鉄塔の位置xによって、電流が違うようにも見えるがそうでない。商用周波数ω/2πは60Hzとか50Hzとかきわめて遅いから、kは殆ど0である。つまり電流にx依存性はない。ある時刻tではI0sinωtであり、どの鉄塔でも同じなのである。位相も同じであり、位相はどの鉄塔でもφ=ωtなのである。電流信号は光ファイバによって光信号として伝送するから伝送遅れも殆ど無視できる程度のものである。
【0052】
64番鉄塔で地絡故障がおこると、図2のように64番鉄塔の直前まで電流が上昇し、64番以後は電流が減少する。事故点より左(発電所に近い方=電源側という)で電流が急増し、事故点より右(都市に近い方=負荷側と呼ぶ)で電流が急減する。位相は事故点より左では殆ど一定で、事故点で殆ど180度反転し、事故点より右で位相は大きく変化して、もとの位相へと戻る。電流は絶対値で書いてあるから分かりにくいが符号を付けて示すと分かりやすい。事故点では電流が0になっている。そして事故点よりすぐ左(電源側)では架空地線電流は反対向きになっているのである。事故点より右(負荷側)に離れると電流は0になる。
実際には複雑であるが、簡単にいえば、地絡事故の場合、送電線が大地と短絡するので、短絡点において送電線の電流が地中へ流れ込み、その電流が短絡点を中心として遠心的に広がる。短絡点より左では左向き、右では右向きの電流(実際には符号が付く)に分岐する。それだけなら左右反対称(位相が180度ずれる)になるだけであるが、電流は地中を伝わり電源側へ戻るから、短絡点より左向きの電流が大きく、右向き電流は小さいのである。以上の話は、中性点が接地された接地系の送電線システムの場合である。中性点を接地しない非接地系送電線システムでは高圧電線からの地中への電流の流れ込みはなくて送電線に蓄えられた電荷のみが大地に流れる。これは小さくて数Aの程度である。
【0053】
図3は短絡故障が起こった瞬間の電流、位相の鉄塔ごとの測定値である。故障点より左でも電流が減少する。故障点より右(消費側)で電流が減少するが、地絡時より穏やかである。また位相は殆ど変化しない。故障点で電流位相の変化が連続的である。その点で地絡の場合と大きく相違する。故障点から右に離れると電流は0に落ちる。短絡は送電線のうち2本が接触して短絡したもので電流が地中に流れ込まない。だから架空地線に流れる電流の変化は小さい。送電線からの誘導電流の変化分だけが架空地線の変化として現れる。送電線が短絡したのでその電流変化は大きいが、誘導電流だから架空地線電流の変化は穏やかなものである。その他に、複数の相(三相全部とか二相が)同時に地絡する場合もある。その場合は前述の地絡と短絡の場合の電流変化を重ね合わせたような電流変化が架空地線に現れる。
【0054】
このような地絡、短絡を区別すれば、先述の従来技術▲3▼で、鉄塔の左右にセンサを設け、その位相差、電流差を新たに測定パラメータに入れた事の動機が理解されよう。近接した部分での電流差、位相差が顕著ならば、そこで事故が起こっているということで、電流そのもの位相そのものよりも事故を明確に把握できる。しかし従来技術の▲2▼は電流だけを測定している。▲1▼と▲3▼は電流差、位相差をも用いている。
【0055】
ここで言葉を定義する。センサを設けた鉄塔をセンサ鉄塔と呼ぶ。センサのない鉄塔を不感鉄塔と呼ぶ。鉄塔の間隔を小区間と呼ぶ。センサを設けた鉄塔の間隔を大区間と呼ぶ。隣接小区間の境界は鉄塔である。隣接大区間の境界はセンサ鉄塔である。大区間が小区間をいくつ含むかということを区間倍率と呼ぼう。事故点が大区間(センサ間)のどれに含まれるかという事を求めるのが大区間標定である。事故点が小区間(鉄塔間)のどれに含まれるのかというのを求める技術は現存しないが、それを小区間標定と呼ぶことにする。
【0056】
大区間の数をNとし大区間に付けた順番を「群」という。小区間の数をHとし小区間に付けた番号を「番」と呼ぶことにする。Hは群によって相違するが、ここではHにサフィックスを付けない。Hが共通だとすると、センサ設置鉄塔数がN、鉄塔数RがNHである。実際にはHが大区間によって相違するのでR=ΣHと書くべきだが分かりやすくするため、Hの違いを無視して鉄塔数R=NHというように以後表現する。大区間、小区間の群、番を指定し、「n群h番」ということによって鉄塔間(小区間)まで位置を細かく指定できる。
【0057】
これまでのニューラルネットワークを用いた事故点標定は、大区間標定であって、小区間標定は不可能であった。例えば鉄塔30基ごとにセンサが一つ設けられる(倍率30倍)という場合、大区間標定だとその30基のどれが事故点なのか分からないという難点があった。
【0058】
本発明の第1の目的は、センサの数を増やすことなく、鉄塔間隔で(小区間)の事故点標定を行うことができるニューラルネットワークによる事故点標定方法を提案することである。
【0059】
本発明の第2の目的は、小区間標定において故障点を確率分布表示することができるような故障点標定方法を提供することである。
【0060】
本発明の第3の目的は、出力層の項の数を増やす事なく小区間での事故点標定を可能にした方法を提供することである。
【0061】
図4は送電線にセンサを取り付けたものを示す。これは鉄塔10基毎にセンサを設けている。センサ設置鉄塔には一つのセンサを設けてもよいが、先述の▲3▼のように一つの鉄塔の前後に対になるような対センサを設けるようにしてもよい。
【0062】
図4では対センサの例を示す。鉄塔・鉄塔間を小区間と呼び、センサ設置鉄塔間を大区間と呼ぶから、図4では鉄塔間の小区間が10だけ集まって一つの大区間を形成する。実際には20基とか50基とかいうようにもっとまばらなセンサ分布となることも多い。
【0063】
【課題を解決するための手段】
本発明の方法の故障点検出方法は、センサが設置された区間を大区間とし、大区間の中で鉄塔間の区間を小区間とし、センサによって得られた故障時の電流情報を入力する入力層とその一次結合を非線形変換する中間層と中間層の値の一次結合を非線形変換し故障点を含む大区間を最大値として出力する出力層よりなる大区間標定ニューラルネットワークと、大区間毎に設定されその大区間のうちのどの小区間に故障点があるかを標定するための、センサによって得られた故障時の電流情報を入力する入力層とその一次結合を非線形変換する中間層と中間層の値の一次結合を非線形変換し故障点を含む小区間を最大値として出力する出力層よりなる小区間標定ニューラルネットワークとを用い、事故発生時のセンサによって得た電流情報を大区間標定ニューラルネットワークの入力層に入れて事故点を含む大区間(n群)を求め、その大区間に対応する(n群)小区間標定ニューラルネットワークを選び、その入力層に事故発生時のセンサによって得た電流情報を(n群)小区間標定ニューラルネットワークの入力層に入れて事故点を含む小区間(h番)を求め、大区間n群の中の小区間h番が故障点であることを求めるようにしたものである。
【0064】
本発明のもう一つの改良は、全ての大区間の全ての小区間においてその小区間(n群h番)が事故点であると仮定して、数多くのケースの送電線事故をシミュレーションしセンサ電流情報を数多くの評価データとして得て、その大区間(n群)に対応する小区間標定ニューラルネットワークの入力層に入力して出力層に最大値を与える小区間を求め、その出現頻度を小区間ごとに類型した確度分布を求め、その操作を全ての小区間についてシミュレーションを重ねてその大区間に属する全ての小区間の確度分布テーブルを求め、同じ操作を全ての大区間において繰り返して、全ての大区間について、小区間の入力層、出力層に現れる相関を示す確度分布テーブルを求め、大区間標定ニューラルネットワークと小区間標定ニューラルネットワークの2段階標定によって、n群h番が事故点として標定された場合n群確度分布テーブルのh番に出力層側から見て事故点である確率を示す確率分布を求め表示し出力するようにしたところにある。
【0065】
【発明の実施の形態】
本発明の事故点標定は次のような過程からなる。
(1)『事故点標定を、大区間標定と小区間標定の2段階に分ける。』
大区間標定というのは大区間つまりセンサ間隔での標定である。大区間はNだけあるが、そのうちn群が事故点を含むということを決めるのが大区間標定である。小区間標定は小区間つまり鉄塔間隔での標定である。一つの大区間にHの小区間がある。Hの小区間の内事故点がh番だということを決めるのが小区間標定である。2段階標定ということが重要である。だから本発明は大区間標定ニューラルネットワークと、小区間標定ニューラルネットワークの両方を構築する。
【0066】
(2)『事故時の電流センサの検出情報(電流、位相)を大区間標定ニューラルネットワークに入力して、出力層の最大値を与える大区間を求める。大区間の数をNとしてn群が最大値を与えるとするとn群の大区間が事故点を含むものと標定される。そこでn群の小区間標定ニューラルネットワークを指定する。』
【0067】
(3)『n群小区間標定ニューラルネットワークの入力層へ、事故時の電流センサの検出情報を入力する。ニューラルネットワークの計算によってどれかの出力層が最大値を取るようになる。その最大値を与えるh番が事故点として蓋然性の高い鉄塔である。』
こうしてn群h番というように2段階の番地指定によって事故点を鉄塔単位で標定できる。しかしここで話が終わるのではない。
【0068】
(4)『求められた小区間に対する確度分布テーブルを結果として出力し表示する。』
小区間標定ニューラルネットワークには誤差を与えた評価データを幾つも与えて最大値を与える出力層h番を何度も求め、それをヒストグラムにしたものが確度分布テーブルである。これの作製については後に述べる。
【0069】
確度分布テーブルを図5に示す。これはコンピュータに表示されたものである。横軸が鉄塔の番号と表記しているが実際には小区間の番号である。ここでは12番〜34番の小区間が示される。縦軸が故障点存在確率である。小区間26番で5%、27番で21%、28番で62%、29番で12%となっている。事故点である確率が最も高いのは28番小区間である。
【0070】
ニューラルネットワークの出力層そのものでは、0〜1の値を与えその最大値を与えるものが事故点を与えるのであるから、確度分布テーブルはそれとは違った評価を与えている。単に確率表示をするということであれば小区間標定の出力層の値(0〜1)をそのまま表示しても確率表示ということになる。しかし本発明はそのようなものでなく、別に確度分布テーブルというものを作製する。確度分布テーブルがどうして必要なのか?どうして作製するのか?どのような意味があるのか?というのは分かりにくい。それで後に確度分布テーブルについて説明しよう。
【0071】
本発明はこのような手順(1)〜(4)からなる。大区間標定・小区間標定の二段回標定と、確度分布テーブル表示するところに特徴がある。確度分布テーブルは大区間(群)でのどの小区間(番)が故障の確率が高いかということを表現するテーブルである。テーブルの表記は小区間を越えるようにしてもよいが、確度を求めるのは小区間内に限定され、それは小区間標定による。
【0072】
次に確度分布テーブルの作製方法について説明する。
(a)『全鉄塔(全小区間)での送電線事故のシミュレーション計算を行い、各事故区間(大区間)、各鉄塔(小区間)ごとに、各センサによって検出する電流情報を求める。』
【0073】
全ての鉄塔間つまり小区間で(R=NH個)で一つ一つ事故が起こったという想定で、センサ設置鉄塔(N個)でのセンサ電流を求める。従来のように大まかに大区間のどこかに事故点(N個)があるとするのではなくて、小区間ごとに事故点があるとしてセンサ電流を求めるのである。図2、図3に示したように短絡、地絡の場合で電流、位相の変化が異なり、それは鉄塔間でも変化を与えている。だから大区間でなく小区間でも相違を与える筈である。
【0074】
地絡、短絡について図2、図3のような電流位相分布を全ての小区間(n群h番)について想定する。センサ設置鉄塔での電流情報しか分からないのだが、それらN個のセンサについての電流情報を求める。各センサで検出する電流情報といっているのはそのような予め求められるものである。
【0075】
小区間はNHあり、センサはNしかない。だからNHを区別するにはパラメータが不足するように見える。それはそうなのであるが二つの点で本発明はパラメータ不足を克服できる。一つは電流といい位相といっても連続量であり情報量が多いということである。もう一つは後で説明するように誤差を入れて何度も計算するからパラメータ不足を補うことができるのである。
【0076】
(b)『シミュレーションデータをもとに、大区間標定ニューラルネットワーク、小区間標定ニューラルネットワークを構築する。』
【0077】
大区間標定ニューラルネットワークは、N個の大区間を区別するものだから、出力層がN項よりなる(M=N)。どれか最大を与える項が事故点を含む群だということである。入力層の号数Kはセンサ電流情報の数だけ必要である。N個のセンサが電流だけを与える場合は、入力層の号数KはNである(K=N)し、電流と位相の二つを与えるとき入力層の必要な号数は2N(K=2N)である。隣接センサとの電流差、位相差もパラメータとしており一つのセンサ当たり4つのパラメータを発生する場合、入力層の号数は4Nということになる(K=4N)。中間層の条数Lは適当に決めれば良い。
【0078】
大区間標定ニューラルネットワークは従来でも存在したのであるから、それと同様の手法で構成できそうであるが必ずしもそうでない。想定される事故点が大区間ごとでなくて、小区間ごとであるからである。その点は少し事情が異なってくるが、図2、図3のように事故点によってセンサ電流、位相がどうなるかということは決まるから教師データというものを小区間事故点の電流データからでも作り出すことができる。そのような教師データを用いて、中間層の一次結合係数{qij}と、出力層の一次結合の係数{pkj}を決めることができる。こうして大区間ニューラルネットワークを構築できる。これは一つだけ存在する。
【0079】
小区間標定ニューラルネットワークというのは全く新規である。これも入力層、中間層、出力層の3層からなるニューラルネットワークを用いる。大区間の数Nだけ小区間標定ニューラルネットワークが存在する。つまり大区間1群、大区間2群…のそれぞれに小区間標定ニューラルネットワークが伴う。つまり1群小区間標定ニューラルネットワーク、2群小区間標定ニューラルネットワーク、3群小区間標定ニューラルネットワーク、…、N群小区間標定ニューラルネットワークというように大区間数のN個の独立の小区間標定ニューラルネットワークが作製されなければならない。これだけでも複雑であるが、さらに特別の事情がある。
【0080】
小区間標定ニューラルネットワークの入力層の情報が何か?ということである。大区間の両端にはセンサがあり、それら二つの電流情報(電流、位相)を入力層へ入れるというのでは、先述の従来技術▲3▼と同様になる。それに二つのセンサの情報だけだと2〜4個のデータしか存在しない。そのようにするとその大区間だけの情報しか入らず、その他の大区間の情報は脱落することになる。それでは一つの大区間での細かい情報が与えられないから、どの小区間が事故点であるのかということはわからない。
出力層は小区間に含まれるH個の小区間を指定できなければならないから、出力層の項数MはHとならなければならない(M=H)。大区間に含まれる小区間つまりセンサ間の鉄塔数Hは当然に2〜4より大きい。それが2〜4個のデータで決定できるはずはない。
【0081】
小区間標定ニューラルネットワークの入力層の号数Kは一つの大区間に含まれる鉄塔数Hを越えるものでなければならない。だから小区間標定ニューラルネットワークの入力層の各号に与えられる入力信号は、全てのセンサの電流情報(電流、位相、電流差、位相差)でなければならないということである。ここが重要である。一つの大区間での事故点を小区間の精度で求めるためにその他の全ての大区間のセンサ情報を利用する。その点で小区間標定といっても大区間標定ニューラルネットワークと全く同じなのである。
【0082】
それはむしろ驚くべきことである。ある限定された範囲の大区間において、はるか遠方のセンサ情報まで必要だという気はしないからである。しかし本発明では小区間標定ニューラルネットワークのために全てのセンサ情報を入力層に入力するようにする。センサ数はNであるがそれぞれ2〜4の情報をもつから、入力層の号数Kが、出力層の項数Mより大きくなる。三層ニューラルネットワークの原則に合致する。小区間標定ニューラルネットワークの入力層のパラメータは、大区間標定ニューラルネットワークの入力層と同じであるが、中間層や出力層は異なる。出力層の項数は小区間(鉄塔の数)の数Hである。中間層の条数はその中間の値として適宜選ぶことができる。
【0083】
入力層の入力データは、大区間標定ニューラルネットワーク、小区間標定ニューラルネットワークで同一であるが、中間層へ至るための線形変換係数{qij}や出力層へ至るための一次結合係数{pkh}は大区間標定ニューラルネットワークとは異なるし、小区間標定ニューラルネットワーク(1群、2群、…、N群)でも全て異なる。図2、図3に示したようにn群のh番の小区間標定に事故点があるとする場合、遠くの電流、位相も僅かな影響を受ける。n群h番事故点ということで教師データを作製することができる。それによってn群h番に対する一次結合定数を決めることができる。
【0084】
事故点を全ての小区間(鉄塔間)で動かして、一次変換係数を決める。こうしてn群の小区間標定ニューラルネットワークを構築できる。大区間はNあるから小区間標定ニューラルネットワークはN個ある。大区間標定ニューラルネットワークが一つある。だから、ニューラルネットワークは、(1+N)だけできることになる。
【0085】
入力層から中間層への一次結合の係数の行列を大文字のQによって表現する。つまりQ={qik}である。但しk=1,2,…,K、i=1,2,…,Lである。
【0086】
中間層から出力層への一次結合の係数の行列を大文字のPによって表現する。つまりP={pkh}である。但しk=1,2,…,K、h=1,2,…,Mである。
【0087】
1群、2群、…、N群の大区間に対応する小区間標定の行列をnによって表現する。n群の行列Q、PはQn、Pnと表現できる。大区間標定の行列は0を付けて、Q0、P0とする。ニューラルネットワークを構築するために必要な一次結合行列は、
【0088】
Q0,Q1,Q2,…,Qn,…QN (N+1)個 (9)
P0,P1,P2,…,Pn,…PN (N+1)個 (10)
【0089】
ということである。
【0090】
だから大区間標定ニューラルネットワークによって、事故点の存在する大区間(n群)を決めたあとは、n群の小区間標定ニューラルネットワークに移ることになる。図6にそのような切り替えのステップを示す。矢印で大区間の結果により切り替えと書いてあるが、n群ということがわかるのでその内の一つ(n群)の小区間標定ニューラルネットワークだけを計算することになる。ニューラルネットワークは(N+1)存在するが、計算するのは2つだけである。これは2段階計算の利点である。当然に計算時間も短くて済む。
【0091】
鉄塔数R=NHもの項数をもつニューラルネットワークというものは抽象的には想定し易く1段階計算で小区間までの精度で事故点が分かるのだから理想的なように思えよう。もしも出力層の項数が鉄塔数R=NHだけある大規模のニューラルネットワークを構築しようとすると膨大な教師データが必要となるから係数を決めるのに時間がかかる。もしもそのような大ニューラルネットワークができたとしても事故発生時の計算に時間が掛かり過ぎるであろう。それにそのような大ニューラルネットワークは入力層号数Kよりも出力層項数Mの方が多いので数学的には疑問がある。
【0092】
本発明はそうでなくて、大区間標定と小区間標定の二段階標定によって小区間(鉄塔間)の細かさで事故点を求めるようにした。計算の時間は短くてよいし、ニューラルネットワーク構築上の数学的な困難もない。事故発生という緊急の時に2段階計算ということに抵抗を覚えるかもしれない。が、大区間標定、小区間標定ともに大した計算でない。だからコンピュータによればすぐに答が出る。
【0093】
(c)『シミュレーションデータに、誤差を重畳した「評価データ」を作製する。この誤差は、センサ誤差、シミュレーション誤差(天候による接地抵抗(=シミュレーションパラメータ)の変動など)に相当するものである。それらの値は、これまでの検知実績によって決定する。』
【0094】
ここがまた本発明の特徴ある点である。二段階標定によって、どの小区間に事故点があるのか?ということまで分かってしまう。それでとどめても良いのである。どれか一つの小区間を指定して、それが正しければそれでよいし、もしも間違っていてもその近隣の小区間に故障点があるのだから、そこから左右の鉄塔を検査するようにすればよい。
【0095】
それはそうなのであるが本発明はさらに進んで小区間標定の「確度」というものをも考えに入れるようにする。そのために誤差を含む評価データというものをわざわざ作る。「評価データ」を作り、これによってニューラルネットワーク計算をして小区間標定確度を求める。
【0096】
ここでどうして「確度」というものが出てきたのか?大区間標定のときは一義的に故障点大区間を決定しながら、どうして小区間標定のときに確度という概念を用いるのか?そういう疑問がほうはいとしておこるであろう。
【0097】
その理由は二つある。一つはセンサ間の不感鉄塔ばかりの小区間において故障点を正確に標定するのはやはり無理があろうと思われるからである。先行技術▲3▼は、対センサで挟まれる区間を5基、20基、5基の3つに分割してそのどれに故障点があるか?と求めるものであった。それは単にセンサ間隔の2/3倍までの拡張であるから許容できる。しかし本発明が試みようとしているものはセンサ倍率が20倍なら1/20まで、センサ倍率が30倍なら1/30まで標定を細かくするものだから、その結果に数学的な不安が残る。
【0098】
遠くのセンサの電流情報も考慮に入れるからニューラルネットワークを構築できるのであるが、遠くのセンサの電流情報がその小区間の故障とどのような関係があるかはっきりしない。因果関係が複雑で簡単にはわからない。そのようなわけで、小区間標定で一つの小区間が標定されてもそれをただちに故障点とするのは躊躇される、ということである。確率的な処理をしなければならない。そのような数学的な直観が働こう。
【0099】
もう一つの理由は、ある大区間の内部のH個の小区間のどれが故障点であるかによって、その大区間の両側センサだけでなくて、遠くのセンサまで変化が現れ、その変化の違いによって故障小区間が区別される筈であり、因果関係は正確には分からないが、そもそもニューラルネットワークというのは因果関係の理解を前提としないものであるから、それは差し支えない訳である。因果関係があるということが分かって入れば良いので、その詳細の理解は不要である。
【0100】
センサ誤差やシミュレーション誤差を重畳すれば事故発生時に実際に起こっている電流情報の様子を豊かに再現できるはずである。それでセンサ誤差、シミュレーション誤差を重畳し、可能な限りのケースを想定して評価データというものを作製する。評価データは架空のものであり実際のものでないが、そもそも確率を考える場合実際のケースを考える必要はないのである。確率というのはそもそも抽象なのである。評価データを作製するため図2、図3のようなある故障点を中心として、全てのセンサの電流、位相などの電流情報を考える。
【0101】
図2、図3はセンサ感度や、接地抵抗がある特定の値の時にそのようになったものである。センサ感度や接地抵抗などのパラメータを公差範囲、許容誤差範囲でふってみて図2、図3のようなセンサにおける電流、位相の分布を考える。ある故障点について(故障点を固定して)パラメータを限界内で振ってみて例えば100ケースの図2、図3に対応する電流・位相分布が得られたとする。
【0102】
これを小区間標定ニューラルネットワークの入力層に入力し、100ケース分について100回の標定をすることができる。出力層での項出力の最大が故障点と合致しない場合もあって確率分布の形で確度が得られる。そのようにして得られたものは単に2段階標定をしてn群h番として標定したものよりも、より信頼性が高いし、信頼性の程度もそれによって推定できるようになろう。そのような二つの理由で「確度」という概念を小区間標定に用いるのである。
【0103】
(d)『多数の「評価データ」を小区間標定ニューラルネットワークに入力して、出力層での小区間を求め、これの分布を求める。全ての小区間標定を故障点として確率分布を求めてテーブルとし、小区間標定したときはテーブルの行列を逆に読んで小区間確率を与える。』
【0104】
これも甚だ分かりにくい処理である。テーブル作製時と、テーブルから読み出す時の行列が転置するからである。図7に確度分布テーブルの例を示す。実際には大区間(センサ間)は30〜60個の不感鉄塔を含むから、H=30〜60なのであるが、ここでは表を簡略化するためH=10の場合を想定している。実際にそうだというのではない。n群大区間に含まれる小区間をh=1、2、3、…、10としているのである。
【0105】
上欄に「入力区間番号」とある。これは小区間標定ニューラルネットワークの入力層に入力すべき評価データがそれを故障点として想定された入力区間ということである。左横欄に「出力区間番号」とある。これは入力区間が故障点として想定された評価データを小区間標定ニューラルネットワークに入力したときに出力層に現れた最大値を与える小区間を積算したものである。大層わかりにくいが次のようなことである。
【0106】
故障点が1番小区間にあるとする。そのときに誤差を重畳した評価データを100ケース作製する。評価データというのはニューラルネットワークの入力層に入力するもので、全てのセンサに対して想定される電流、位相、電流差、位相差などである。これらセンサ電流情報をn群小区間標定ニューラルネットワークの入力層へ入力する。n群小区間ニューラルネットワーク計算によって出力層各項(h=1、2、3、…、10)に値(0〜1)が現れる。それは確率であるが最大値を与える一つの項番hを求める。故障点が1番だからといって出力層最大にするのは1番とは限らない。2番、3番、…のこともある。
【0107】
1回のニューラルネットワーク計算で最大値を与える項番hが一つ決まる。評価データは100ケースあるので100の評価データ全てについてニューラルネットワーク計算をする。出力層に最大を与える項番が100与えられる。1番が故障点として100回のニューラルネットワーク計算をして、出力層最大を与えたものは、1番が45回、2番が30回、3番が20回、4番が5回であった。5番は0回、6番〜10番も0回であった。故障点が1番としているので、ニューラルネットワークによって故障点として同定されたものも1番が最も多いのである。しかし誤差もあるから2番、3番が実際の故障点である可能性もあるということである。
【0108】
次に2番小区間が故障点だとする。これについても誤差を重畳して、100の評価データを作製する。100の評価データをニューラルネットワークの入力層に入力して、出力層を最大にする項番を求める。すると1番は31回、2番は40回、3番が15回、4番は7回、5番は5回、6番は2回、7番〜10番は0回ということであった。
【0109】
このようにして入力区間番号と書いた小区間(h=1、2、3、…、10)が故障点だとして100ずつの評価データを作り、ニューラルネットワークに入れて故障点を標定し、その出現頻度を図7の縦の欄(列)に書き込む。こうして確度分布テーブルはニューラルネットワーク計算によって列が生成される。
【0110】
図7の例を見ると対角項(行番号と列番号が同じ)が最も大きいものになっている。それは小区間標定ニューラルネットワークの信頼性が高いものだということを示唆している。
【0111】
このようにして確度分布テーブルを作製する。確度分布テーブルはN個の大区間ごとに存在する。だから初めにN個の確度分布テーブルを作製しておく必要がある。それは事故時に急に作るのではなくて初めに作製しておくのである。だから作製に時間がかかっても差し支えない。
【0112】
事故が起こった場合は、大区間標定によって、どの大区間が故障点かということを求める。n群大区間だということがわかるから、n群小区間標定ニューラルネットワークによってn群のどの小区間が故障点かということを計算する。n群のh番小区間が故障点だと計算されたとする。今度は確度分布テーブルの左横のh番を探し、h番の右の行を見て各番での故障点確率分布を求める。例えば故障点として7番が求められたとすると、図7において7番の行を見て、
【0113】
1番〜3番…0回
4番…5回
5番…6回
6番…22回
7番…48回
8番…15回
9番…12回
10番…6回
【0114】
という確率分布を表示する。やはり7番の確率が大きいが、6番や8番にもかなりの確率が存在する。そのように故障点を確率的に知ることができる。7番、6番、8番小区間を調べることによって容易に故障点に到達できる。大区間標定だけだと、作業員が10個の小区間を全て調べる必要があるが本発明はそのような煩労なことはない。そのような利点は大きい。合計は114になっており100ではない。このテーブルは列ごとに合計が100になるように作成されているが、行合計が100になるとは限らない。
【0115】
列方向に書き込んで、行方向に読み出すところがわかりにくいがニューラルネットワークでは入力層と出力層の関係が固定的だから、出力層に現れたものがh番だという場合、入力層にあったものがどれかということを知るのは確度分布テーブルを行方向に見るのが良いのである。全ての大区間ごとにこのような確度分布テーブルを求めておく。
【0116】
中間の小区間では問題ないが、1番とか10番の小区間では左半分、右半分が落ちてしまうという問題がある。1番小区間の残りの確率は直前の大区間の10番や9番にも分布する筈だからである。このような境界での値の消失の問題はしかし、幾つかの解決手段があろう。
【0117】
たとえば故障点をn群1番小区間として(n−1)群の小区間標定ニューラルネットワークによって(n−1)群の10番、9番の出現頻度を計算できる。だから図7の1番の左半分のデータも計算できる。そのような計算はニューラルネットワーク生成の時に計算するのであって事故時に計算するのではない。
【0118】
これまで一つの大区間標定ニューラルネットワークの一次変換行列Q0、P0と、N個の小区間ニューラルネットワークの一次変換行列Q1、Q2、…、QN、P1、P2、…、PNを求めることがニューラルネットワークを決定することであると説明した。それに加えてN個の大区間においてそれぞれ1つの確度分布テーブルを必要とする。
【0119】
確度分布テーブルは当然にH×Hの正方行列である。その成分を{thsn}と表現できる。行列表現としてTnを与える。nは大区間のn群だということを示す。本発明は、(N+1)にニューラルネットワークを構築することは確度分布テーブルを決めることによって確定する。つまり必要なものは、
【0120】
Q0,Q1,Q2,…,Qn,…QN (N+1)個 (9)
P0,P1,P2,…,Pn,…PN (N+1)個 (10)
T1,T2,…,Tn,…TN N個 (11)
【0121】
ということである。だから3N+2の行列を確定すれば本発明の標定方法を実行することができるようになる。事故発生時に計算するのは2段階のニューラルネットワーク計算だけである。確度分布テーブルは計算するのでなく表示するだけである。
【0122】
【発明の効果】
本発明は大区間標定ニューラルネットワークと、小区間標定ニューラルネットワークをもち、初めに大区間標定ニューラルネットワークによって、事故点を含む大区間を求め、その大区間に対応する小区間標定ニューラルネットワークによって事故点小区間を求める。2段階標定にすることによって、ニューラルネットワークの出力層の数を増やさないようにできる。
【0123】
もしも1段階で小区間標定まで行くようにするとすればニューラルネットワークの出力層の項数は、NでなくてNHになってしまう。出力層数が多いとニューラルネットワークを作製するのが難しい。教師データが作りにくいし学習効果も上がらない。それに入力層の数の方が出力層より小さくなり数学的にも問題がある。実際小区間を出力層へもってきたようなニューラルネットワークは未だに存在しない。そのようなことをしなくても本発明は故障点を小区間の範囲で標定できる。
【0124】
確度分布テーブルを作製するから故障点として小区間一つを標定するのではなくて、その近傍の小区間も故障点の可能性をもつものとして表示されている。確度分布テーブルを作製するために数多くの誤差を重畳して評価データを作るから全ての可能性を網羅している筈であり、実際、確度分布テーブルにおいて有限の確率分布を持たない小区間に故障点が存在したということはこれまでなかった。
【0125】
ということは有限確率を持つ小区間だけを調査すればよいということである。これまでの大区間標定と比較して調査の範囲が著しく狭められる。電力線は都市生活の生命線であり事故があればできるだけ迅速に故障点を発見し修復しなければならない。計算に時間が掛かりすぎてはいけないし、計算時間は短くても実際の故障点探索に時間がかかるようではいけない。本発明は計算時間も短くて、故障点範囲を狭く限定でき探索の時間は当然に短縮できる。まことに優れた発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 入力層、中間層、出力層からなる3層のニューラルネットワークの構造を示す。入力層には電流センサの情報を入力するが、ここでは電流、電流差、位相、位相差を入力する例(従来例▲3▼特開平7−181217号)を示している。入力層はK個、中間層はL個、出力層はM個のポートを持つ。ポートのことを、入力層については号、中間層については条、出力層については項と呼ぶ。入力層から中間層への変換の行列を{qij}で、中間層から出力層への変換の行列を{pjk}によって表現する。
【図2】 地絡故障の場合の各鉄塔(不感鉄塔も含めて)での電流、位相分布の例を示すグラフ。横軸が鉄塔番号で縦軸が電流、位相の値である。64番鉄塔が故障点だとする。これはシミュレーションの結果であり実際に測定したわけではない。実際にはセンサ鉄塔だけでしか測定できず不感鉄塔での電流・位相は測定できない。しかしセンサ鉄塔での値を合致させるようなシミュレーションであるから不感鉄塔での値も明らかにすることができるのである。64番鉄塔が故障点だとしても電流・位相がこれ一つに決まるわけではない。多数のケースのシミュレーションが可能である。
【図3】 短絡故障の場合の各鉄塔(不感鉄塔も含めて)での電流、位相分布の例を示すグラフ。64番鉄塔が故障点であるとする。図2の場合と同様である。
【図4】 10基ごとの鉄塔に対センサを設置したセンサ分布例を示す送電線図。
【図5】 小区間標定によって故障点である小区間28番が標定されたとした場合に、故障点である小区間の確率分布を示すグラフ。
【図6】 大区間標定によって故障点の存在する大区間を見出し、その大区間に対応する小区間標定を行って故障点の小区間を見出すようにした大区間標定と小区間標定の二段階の標定を行うことを示す概略図。
【図7】 一つの大区間が10の小区間を含むものとして、1〜10の小区間を故障点としてシミュレーションして100の評価データを作製し、それを小区間標定ニューラルネットワークの入力層に入力して出力層から出力された故障点を累積して頻度分布を表した確度分布テーブルの例。
Claims (2)
- 多数の鉄塔によって送電線を保持し、複数の鉄塔ごとに架空地線に流れる電流を計測する電流センサを設け、電流センサによって故障時の電流情報を得て、故障点を標定する方法であって、センサが設置された区間を大区間とし、大区間の中で鉄塔間の区間を小区間とし、センサによって得られた故障時の電流情報を入力する入力層とその一次結合を非線形変換する中間層と中間層の値の一次結合を非線形変換し故障点を含む大区間を最大値として出力する出力層よりなる大区間標定ニューラルネットワークと、大区間毎に設定されその大区間のうちのどの小区間に故障点があるかを標定するための、センサによって得られた故障時の電流情報を入力する入力層とその一次結合を非線形変換する中間層と中間層の値の一次結合を非線形変換し故障点を含む小区間を最大値として出力する出力層よりなる小区間標定ニューラルネットワークとを用い、全ての大区間の全ての小区間においてその小区間(n群h番)が事故点であると仮定して、数多くのケースの送電線事故をシミュレーションしセンサ電流情報を数多くの評価データとして得て、その大区間(n群)に対応する小区間標定ニューラルネットワークの入力層に入力して出力層に最大値を与える小区間を求め、その出現頻度を小区間ごとに類型した確度分布を求め、その操作を全ての小区間についてシミュレーションを重ねてその大区間に属する全ての小区間の確度分布テーブルを求め、同じ操作を全ての大区間において繰り返して、全ての大区間について、小区間の入力層、出力層に現れる相関を示す確度分布テーブルを求め、事故発生時のセンサによって得た電流情報を大区間標定ニューラルネットワークの入力層に入れて事故点を含む大区間(n群)を求め、その大区間に対応する(n群)小区間標定ニューラルネットワークを選び、その入力層に事故発生時のセンサによって得た電流情報を(n群)小区間標定ニューラルネットワークの入力層に入れて事故点を含む小区間(h番)を求め、大区間標定ニューラルネットワークと小区間標定ニューラルネットワークの2段階標定によって、n群h番が事故点として標定された場合n群確度分布テーブルのh番に出力層側から見て事故点である確率を示す確率分布を求め表示し出力するようにし大区間n群の中の小区間h番が故障点であることを求めるようにした事を特徴とする送電線の事故区間標定方法。
- 送電線事故をシミュレーションした評価データには、事故のシミュレーションだけでなく、センサ誤差やシミュレーション誤差を重畳して作製した評価データも含まれるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の送電線の事故区間標定方法。
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