JP4344849B2 - 光位相分布測定方法 - Google Patents

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本発明は、光位相分布測定方法に関し、特に、簡単且つ経済的に光位相分布を測定できるようにした光位相分布測定方法に関する。
光位相分布(以下、光の位相分布とも称する)には、光源の波面形状、透過物体の屈折率分布、反射物体の表面形状などの情報が含まれている。光位相分布の計測は、光学システムの設計評価、半導体レーザ素子及びレンズなどの光学素子の品質管理、非接触非破壊検査や顕微鏡などの表面形状計測、光波面の整形や天体観測に利用される波面補償光学など多くの分野で必要とされている。光位相分布の定量的な測定は、工学的に非常に重要である(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3を参照)。
従来より、ハードウェア(つまり、特別な測定装置)を用いた、光位相分布の測定方法として、例えば、干渉計により被測定光と参照光との相対的な位相分布を求める方法(以下、干渉計による光位相分布測定方法)(非特許文献4及び非特許文献5を参照)や、シャック・ハートマンセンサーにより位相勾配分布を検出し位相分布を求める方法(以下、シャック・ハートマンセンサーによる光位相分布測定方法)(非特許文献6及び非特許文献7を参照)などがある。
上記の従来の光位相分布測定方法を次のようにより詳細に説明する。
まず、従来の干渉計による光位相分布測定方法とは、被測定光を2つ以上の光に分割し、別々の光路を通ったあと再び重ね合わせ、光路差により発生する干渉縞を捉え、これを解析して光の位相分布を求めるものである。
つまり、図53に示すように、従来の干渉計による光位相分布測定方法では、被測定光を2つに分割し、一方の波面(位相分布)に対して他方の波面がどれだけ異なっているかを調べる。基準となる光は参照光と呼ばれる。参照光はリファレンスレンズとスペイシャルフィルタによって均一な波面の光として取りだされ、被測定光と干渉する。参照光と被測定光の光路差が波長の整数倍であれば干渉した光は明るくなり、光路差が波長の整数倍から波長の半分だけずれていれば干渉光は暗くなる。場所により光路差が一定でない場合には、明暗の干渉縞が観察される。
干渉縞画像から位相分布を求めるには、例えば、図54に示されるような光路長の異なる複数の干渉縞画像を解析する必要がある。干渉により出来た干渉縞の正弦波状の強度分布を走査し、強度の変化から位相を求める、非特許文献4に開示されているフリンジスキャン法が代表的な解析手法である。
また、従来のシャック・ハートマンセンサーによる光位相分布測定方法では、シャック・ハートマンセンサー(SHWS:Shack-Hartmann wavefront sensor)が多数の小型レンズとCCDとから構成される。図55に示されるように、小型レンズに入射した光は、その部分の局所的な光の位相勾配によって、焦点を結ぶ位置が焦点面上でΔsずれる。このずれを全ての小型レンズにおいて検出する。図56に示されたような焦点面上の結像パターンは、ハートマンパターン(Hartmann pattern)と呼ばれ、CCDで検出される。
非特許文献8に開示されるように、Δsと位相の勾配は比例関係にあり、このことから局所的な位相の勾配情報を知ることができ、総合することで全体の位相分布を求めることができる。
ケイ.エイ.ヌージェント(K.A.Nugent),デイ.パガニーニ(D.paganin),ティー.イー.グリエーフ(T.E.Gureyev)共著,「フェイズ オデッセイ(A Phase Odyssey)」、フィジクス トゥデイ(Physics Today),第54巻,第8号,2001年,p27−32 エル.エイ.トンプスン(L.A.Thompson)著,「アダプティブ オプティクス イン アストロノミー(Adaptive Optics in Astronomy)」,フィジクス トゥデイ(Physics Today),第47巻,第12号,1994年,p24−31 三好隆志 著,「光応用ナノインプロセス計測技術の最新動向」,機械の研究,第54巻,第9号、2002年,p928−933 「光測定器ガイド」,オプトロニクス社,1998年 高田元弘 著,「干渉計によるレーザ光の波面収差測定」,光アライアンス,第2版、2001年,p19−22 ダブリュー.エイチ.サウスウェル(W.H.Southwell)著,「ウェイブ フロント エスティメイション フロム ウェイブフロント スロープ メジャーメント(Wave front estimation from wavefront slope measurements)」,ジェイ. オーピーティー. エスオーシー. エイエム.(J.Opt.Soc.Am.),第70巻,第8号,1980年,p998−1005 アール.アーウォン(R.Irwan),アール.ジー.レイン(R.G.Lane)共著,「アナリシス オブ オプティマル セントロイド エスティメイション アプライド トゥー シャック ハートマン センシング(Analysis of optimal centroid estimation applied to Shack-Hartmann sensing)」,アプライド オプティクス(Applied Optics),第38巻,第32号,1999年,p6737−6743 イリット ラス(ILIT RAS),「シャック−ハートマン ウェイブフロント センサー フォア レーザ ビーム アナリシス(Shack-Hartmann Wavefront Sensor for Laser Beam Analysis)」、インターネット<http://www.laser.ru/adopt/Science/sens/sensor.htm> 谷田貝豊彦 著,「光とフーリエ変換」,朝倉書店,1992年 吉村武晃 著,「光情報工学の基礎」,コロナ社,2000年 矢部・八卷 共著,「非線形計画法」,朝倉書店,1999年
しかしながら、上述した従来の光位相分布測定方法に使用されている特別な測定装置(つまり、干渉計やシャック・ハートマンセンサーなどのハードウェア)は、精密な光学機器から構成されているので非常に高価で、また、こういった特別な測定装置を設置するスペースも必要となるという問題があった。
本発明は、上述のような事情よりなされたものであり、本発明の目的は、特別な測定装置を用いることなく、簡便に測定可能な光強度分布の情報から光位相分布を同定することによって光位相分布を測定できるようにした光位相分布測定方法を提供することにある。
本発明は光位相分布測定方法に関し、本発明の上記目的は、被測定光の位相分布を測定するための光位相分布測定方法であって、異なる複数の光学特性が既知の光学系と光波検出センサーとを備える光位相分布測定システムを用いて、前記被測定光の強度分布を測定する強度分布測定ステップと、強度分布測定ステップで得られた前記強度分布と前記各光学系の光学特性とに基づいて、前記光位相分布測定システムの観測方程式を設定する観測方程式設定ステップと、前記観測方程式から被測定光の位相分布を同定する位相分布同定逆問題を設定する位相分布同定逆問題設定ステップと、設定された前記位相分布同定逆問題を非線形の最適化問題として定式化する非線形最適化問題定式化ステップと、前記非線形の最適化問題を解くことで、前記被測定光の位相分布を同定する位相分布同定ステップとを有し、前記非線形の最適化問題において、設計変数を、被測定光の強度と位相を表す複素数ベクトルとし、非線形の目的関数は、前記観測方程式に基づいて設定された関数と、前記位相分布同定逆問題の悪条件性を克服するために、前記被測定光の位相分布に関する先験情報に基づいて設定された適切化関数の和から構成されることにより、或いは、前記先験情報は、前記被測定光の位相は滑らかに分布しているであろうという情報であることにより、或いは、前記非線形の最適化問題の非線形の目的関数の最小化は準ニュートン法を用いて行うことにより、或いは、前記非線形の最適化問題の設計変数の隣り合う所定の点を代表するものを第2の設計変数とし、前記第2の設計変数で表現されたサイズの小さな第2の最適化問題の推定解を、前記非線形の最適化問題の前記設計変数の初期推定解として用い、前記非線形の最適化問題を解くようにすることにより、或いは、前記光位相分布測定システムは、前記被測定光を前記各光学系にそれぞれ入力し、強度と位相を変調し、出力された前記被測定光を前記光波検出センサーにより検出し、検出された前記被測定光の強度分布を画像として測定する測定システムであることにより、或いは、前記光波検出センサーはCCD撮像素子であることにより、或いは、前記複数の光学系は回折系とレンズ焦点系とから構成されることによって効果的に達成される。
本発明に係る光位相分布測定方法によれば、従来の光位相分布測定方法に用いられる特別な測定装置のような高価な光学機器を用いることなく、簡便かつ経済的に測定可能な光強度分布の情報から光位相分布を安定的に推定することができ、簡便かつ経済的な光位相分布の測定を可能にしたといった優れた効果を奏する。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
<1>数理モデル
まず、本発明において使用される、光波や光位相分布測定系の数理モデルについて説明する。

<1−1>光波の数理モデル
本発明において、位相分布測定の対象とする光(つまり、被測定光)が、例えばレーザ光などに代表されるような、単一の波長成分を持つ単色光で、且つ、異なる時刻における位相が常に一定の相関関係を持つ時間的にコヒーレントな光であることを前提とする。

<1−1−1>光波の複素数表示
光は電磁波の一種であり、電場、磁場が振動しながら伝搬する波である。電場E、磁場H、誘電率ε、透磁率μを関係づけるマックスウェルの方程式は,下記数1、数2、数3及び数4といった4つの式から構成される。
Figure 0004344849
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Figure 0004344849
Figure 0004344849
これらの式より、以下のような波動方程式を得る。
Figure 0004344849
Figure 0004344849
電界Eに関する波動方程式である上記数5の解の一つは、下記数7のように表される。
Figure 0004344849
ここで、aは振幅で、eは電界の振動方向を表す単位偏光ベクトルで、ωは角周波数で、tは時刻で、kは波数ベクトルで、rは位置ベクトルで、φは初期位相である。また、iは虚数を表す。なお、磁場Hについても同様であるので以下省略する。
ここで、位相の時間に依存しない成分をまとめて、下記数8と置きなおし、時間振動項を分離して表現すると、下記数9になる。
Figure 0004344849
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本発明では、光学における計算において、このように光波の時間振動項を分離し、複素数vで光波の強度aと位相θを表現する。複素数vは複素振幅と呼ばれ、下記数10のようになる。
Figure 0004344849
また、複素振幅vを実数部vと虚数部vで分離して表現した場合に、下記数11、数12、数13のようになる。
Figure 0004344849
Figure 0004344849
Figure 0004344849
本発明では、上述したように、光を複素数で表現するものとすることを前提とする。

<1−1−2>光波の離散表示
後述するように、本発明では、光位相分布測定系において、被測定光を検出するための光波検出センサーとして、CCD撮像素子(以下、単にCCDとも呼ばれる)を用いることが好ましい。光波検出センサー(本実施形態では、CCD)により、検出されて画像として測定されるのは、被測定光の強度、すなわち、上述した複素振幅の絶対値である。測定された強度の空間分布は、二次元の離散配列で与えられるが、本発明では、光波を表す複素振幅の分布を取扱う場合に、図1に示されるような複素数の二次元配列を離散的に一次元に並べ換え、下記数14で表される複素数ベクトルvで表現する。
Figure 0004344849
ここで、光位相分布測定系で測定されるのは、複素数ベクトルのそれぞれの成分の絶対値である。以降、複素数ベクトルvのそれぞれ成分の絶対値を並べた実数ベクトルを下記数15のように表記するものとする。
Figure 0004344849
<1−2>光位相分布測定系(以下、単に測定系とも称する)の数理モデル
<1−2−1>光位相分布測定系
光位相分布測定系は、光学特性が既知である複数(少なくとも2つ以上)の異なる光学系と光波検出センサーとから構成される。光位相分布測定系の光波検出センサーとしては、CCD撮像素子を用いるのが好ましいが、それに限定されることなく、他のセンサーを用いても良い。なお、本実施形態において、光波検出センサーとしては、CCDを用いる。
本発明では、このような光位相分布測定系を用いて、光波検出センサー(CCD)により被測定光の強度分布画像を測定し、そして、得られた被測定光の強度分布画像や光学系の光学特性などの情報に基づいて、光位相分布測定方法を利用して、被測定光の位相分布を同定することによって、被測定光の位相分布を測定できるようにしている。
前述したように、本発明では、単一の波長成分を持つ単色光を光位相分布の測定対象(つまり、被測定光)としているが、例えば、被測定光に注目する波長成分以外の波長をもつ光波が含まれてしまう場合には、光波検出センサー(CCD)の前にフィルターを置き、注目する波長成分のみを取りだすことによって、本発明を適用することができる。
以下、図2を参照しながら、光位相分布測定系の測定原理及び数理モデルについて説明する。図2に示されるように、光位相分布測定系は、光学特性が既知である異なるk個の光学系と光波検出センサー(CCD)とから構成されている。
光位相分布測定系では、まず、被測定光、すなわち、位相分布を測定したい光を光学特性が既知の光学系に入力し、強度と位相を変調する。そして、出力された光波を光波検出センサー(CCD)により検出し、検出光の強度分布を画像として測定する。これらの手順を同じ被測定光に対し、複数の光学系(ここではk個の光学系、つまり、光学系1、光学系2、…、光学系k)を用いて行う。
光位相分布測定系の測定原理を数学的に表現すると、被測定光を表す複素数ベクトルgが光学系による変換マトリックスHにより変換され、検出光を表す複素数ベクトルfとなることを表している。すなわち、下記数16と表すことができる。
Figure 0004344849
ここで、光波検出センサー(CCD)により検出されるのは、検出光を表す複素数ベクトルfのそれぞれの成分の絶対値を並べた実数ベクトルである。
本発明の光位相分布測定方法では、検出光の絶対値ベクトル|f|を観測量とし、被測定光を表す複素数ベクトルgを同定することによって、被測定光の位相分布の測定を可能にしている。
本発明の光位相分布測定系では、使用する光学系の種類および数は任意である。適切な光学系を適用することで、光位相分布測定系の観測方程式の悪条件性を克し、唯一解を求めることが可能となる。

<1−2−2>光学系による光波の変換の数理モデル
本発明の光位相分布測定系に適用できる光学系は、光学特性が既知であれば、どのようなものでも構わない。簡単に利用できるものとして、例えば、レンズ、レンズの焦点はずれ、瞳関数の異なるレンズ、回折格子、空気中の回折(即ち、光学系を介さず直接入射させること)などの光学系が挙げられる。
以下では、三つの光学系の例をあげ、光学系による光波の変換の数理モデルについて説明する。詳細については、非特許文献9、非特許文献10などを参照されたい。

<A>回折系による光波の変換の数理モデル
図3に示すように、xy面内に光波の複素振幅分布g(x,y)が局在しており、z軸方向に距離Rだけ伝搬した後のXY面内の複素振幅分布f(X,Y)とする。このとき、距離Rが波長に比べ十分大きく、回折波がz軸近傍に存在する場合を考えると、下記数17のような光波の伝搬前後の関係を表すフレネル回折の式を得る。
Figure 0004344849
ここで、kは波数であり、波長をλとすると、k=2π/λとなる。下記数18とすると、下記数19で表すたたみ込み積分の定義より、上記数17は、下記数20のようにたたみ込み積分で表すことができる。
Figure 0004344849
Figure 0004344849
Figure 0004344849
上記数20を離散化し、行列、ベクトル表示で書くと、下記数21のようになる。
Figure 0004344849
ここで、簡単のために、1次元で考え、具体的に書き出してみる。上記数21において、下記数22、数23とすると、フレネル回折の変換マトリックスは、下記数24のようになる。
Figure 0004344849
Figure 0004344849
Figure 0004344849
ここで、下記数25が成立する。
Figure 0004344849
h(X,Y)は、点光源入力に対する光学システムのインパルス応答を表し、点像応答関数(PSF:point spread function)と呼ばれる。PSFは入力関数に依存せずシステム固有の性質を示す。光波の回折現象も上記数18のPSFを持つ光学システムと見なせる。この他の光学システムにおいても、PSFが前もって分かれば、入力gに対するシステムの出力fを求めることができる。

<B>結像レンズ系による光波の変換の数理モデル
図4に示すように、xy面内に光波の複素振幅分布g(x,y)が局在しており、距離lだけ伝搬後、レンズを透過し、再び距離rだけ伝搬した後のXY面内の複素振幅分布をf(X,Y)とする。
光波gはレンズの直前まで、距離lだけ伝搬しフレネル回折する。レンズ直前の光波u(x,y)は、下記数26のようになる。
Figure 0004344849
この光波が焦点距離fのレンズによる位相変調および瞳関数p(x,y)による振幅変調を受けると、レンズ直後の光波u(x,y)は、下記数27のようになる。
Figure 0004344849
ここで、下記数28で表す瞳関数は、レンズの開口を表す関数である。
Figure 0004344849
この光波が観測面まで、距離rだけ伝搬し、再びフレネル回折する。観測される出力光波f(x,y)は、下記数29のようになる。
Figure 0004344849
以上の三つの関係から、観測面での光波を求めることができる。観測位置は結像条件を満足し、距離r,lおよび焦点距離fについてレンズの公式、結像倍率M、瞳関数のフーリエ変換形をそれぞれ下記数30、数31、数32とする。
Figure 0004344849
Figure 0004344849
Figure 0004344849
これらの関係式を用いて整理し、定数項を無視すれば、入力光と出力光の関係は、下記数33のようなたたみ込み積分で書ける。詳細は非特許文献10を参照する。
Figure 0004344849
ここで、レンズの直径をDとし、1次元で扱うと、関数Pは矩形関数のフーリエ変換で表される。すなわち、図5に示されるような結像光学系の点像応答関数PSFは、下記数34で表すことが分かる。
Figure 0004344849
具体的な変換マトリックスの形は、下記数35とすれば、数24と同様に結像光学系の変換マトリックスを書くことができる。
Figure 0004344849
上記数35式は、X=x近傍で値を持つので、結像光学系の変換行列は、帯行列になることがわかる。
レンズの直径D→∞のときは、PSFはh(x)=δ(x)となり、点像に広がりのない、ボケのない完全な画像が観察面に出力される。つまり、変換マトリックスは単位行列となる。

<C>回折格子による光波の変換の数理モデル
図6に示すように、xy面内に光波の複素振幅分布g(x,y)が局在しており、距離lだけ伝搬後、回折格子を透過し、再び距離rだけ伝搬した後のXY面内の複素振幅分布をf(X,Y)とする。
入力となる光波gは回折格子の直前まで、距離lだけ伝搬しフレネル回折する。回折格子の直前の光波u(x,y)は、下記数36のようになる。
Figure 0004344849
次に、回折格子の複素透過率をt(x,y)とすると、回折格子を透過した直後の光波u(x,y)は、下記数37のようになる。
Figure 0004344849
この光波が観測面まで、距離rだけ伝搬し、再びフレネル回折する。観測される出力光波f(x,y)は、下記数38のようになる。
Figure 0004344849
以上の処理をまとめると、下記数39のようになる。
Figure 0004344849
上記数39を離散化し、行列ベクトル表示で書くと、下記数40、数41のようになる。
Figure 0004344849
Figure 0004344849
ここで、1次元で考え、具体的に書き出してみる。行列[h],[h]は、数24と同様である。また、行列[t]は、対角行列となり、下記数42のようになる。
Figure 0004344849

<2>光位相分布測定方法(以下、位相分布同定手法とも呼ばれる)
以下では、位相分布同定逆問題を設定し、具体的な位相分布同定手法について説明する。

<2−1>位相分布同定逆問題の設定
<2−1−1>光位相分布測定系の観測方程式
入力光(つまり、被測定光)gをn個に離散化し、g∈C、異なるk個の光学系を通過後の光をそれぞれm個に離散化しf,f,…,f∈C、これらの光学系による変換マトリックスをそれぞれ[H],[H],…,[H]∈Cm×nとする。また、光波検出センサーであるCCDにより測定された強度分布を

Figure 0004344849
とすると、光位相分布測定系の観測方程式は、下記数43、数44のように書くことができる。
Figure 0004344849
Figure 0004344849
上記数43は、光学系による被測定光gから検出光fへの変換式であり、上記数44は、複素数ベクトルfの絶対値ベクトル|f|が測定された強度
Figure 0004344849
として与えられる、つまり、測定量であることを表す。ここで、既知量は、光学系の光学特性を表す複素数マトリックス[H]、および測定強度を表す絶対値ベクトル
Figure 0004344849
であり、未知量は、被測定光を表す複素数ベクトルgと検出光を表す複素数ベクトルfである。
本発明の光位相分布測定方法では、被測定光の位相分布を得ることを目的としているので、被測定光の複素振幅を同定する。つまり、複数の測定強度
Figure 0004344849
を観測量とし、光位相分布測定系の観測方程式を満足する被測定光の複素数ベクトルgを同定する位相分布同定逆問題を解くこととなる。

<2−1−2>最適化問題
上記数43と数44で表す、光位相分布測定系の観測方程式を満たす入力光(つまり、被測定光)gを求めるのが、本発明の光位相分布測定方法の目的となるが、これらの方程式系は、非線形方程式のため、直接解を求めるのは困難である。
そこで、本発明の光位相分布測定方法では、入力光(つまり、被測定光)gを求める位相分布同定逆問題を非線形の最適化問題(以下、単に、最適化問題とも称する)として定式化する。定式化された最適化問題において、設計変数を被測定光を表す複素数ベクトルgとし、下記数45のような非線形の目的関数(つまり、評価関数)を設定する。
Figure 0004344849
この位相分布同定逆問題では、上記数45を0とする、つまり、最小とする複素数ベクトルgが推定解となる。
しかし、光位相分布測定系の測定値の誤差により、光位相分布測定系の観測方程式は、厳密には成立しない。このことが位相分布同定逆問題を悪条件化させることが考えられる。そこで、位相分布同定逆問題の悪条件性を克するため、被測定光に関する先験情報を利用し、位相分布同定逆問題を適切化する。すなわち、上記数45に適切化項をつけて得られた下記数46を目的関数として用いる。
Figure 0004344849
ここで、wは適切化の重み係数で、Λ(g)は適切化のために新たに加えられた関数である。

<2−2>最適化の手法
この最適化問題の数値解法および、具体的な先験情報の利用法については、以下のように説明する。
<2−2−1>準ニュートン法
本実施形態では、光位相分布測定方法において、上記数46で表す目的関数の最小化をするにあたり、最適化問題に対する数値解法の中で、非特許文献11に開示されている『準ニュートン法』を用いる。
まず、準ニュートン法について、以下のように簡単な説明をする。
ここで、n変数の目的関数f(x)を最小にするx∈Rを見つけるという、最適化問題があるとする。
ニュートン法では、目的関数を2次モデルで近似し、そのモデル関数を局所的に最小化することを繰り返し行う。ヘッセ行列∇f(x)、勾配ベクトル∇f(x)、探索方向dとすると、モデル関数は、下記数47で表される。
Figure 0004344849
ヘッセ行列が正定値対称行列ならば、q(d)を最小にする点は、∇q(d)=0を満たすベクトルdを求めればよい。つまり、下記数48で表す連立1次方程式を解けばよいことになる。
Figure 0004344849
上記数48で表すこの方程式をニュートン方程式といい、解dをニュートン方向という。
しかし、いつでもヘッセ行列が正定値である保証はなく、ニュートン方向がf(x)の降下方向になるとは限らない。そこで、ヘッセ行列を適当な正定値対称行列Bで近似し、探索方向を決定しようというのが、準ニュートン法である。
準ニュートン法には超一次の速い収束性を持ち、2階微分の計算を必要としないという利点がある。
次に、準ニュートン法のアルゴリズムを以下のように示す。
ステップ1 初期設定
近似解の初期点x、正定値対称な初期行列Bを与え、k=0とおく。
ステップ2 探索方向dの決定
下記数49で表す連立一次方程式を解き、探索方向dを求める。
Figure 0004344849
ステップ3 直線探索
方向でのステップ幅αを決定する
ステップ4 近似解の更新
下記数50のように、近似解を更新する。
Figure 0004344849
ステップ5 収束判定
収束条件が満たされていれば、xk+1を解とみなし、終了する。さもなくば、ステップ6へ行く。
ステップ6 Bの更新
更新公式によりBk+1を計算する。
ステップ7 k+1をkに代入して(つまり、k:=k+1とし)、ステップ2へ

また、直線探索法には様々な手法が存在するが、実用上には次のようなArmijoの基準を用いた簡単な探索法で十分である。
0<ξ<1であるような定数ξに対して、下記数51を満たすαを選ぶ。
Figure 0004344849
Armijoの基準の幾何学的意味は図7で示される。つまり、図7は目的関数f(x)を探索方向dで切った断面図であり、横軸がステップ幅αに対応する。原点におけるf(x+αd)の接線y=f(x)+α∇f(x)の傾きを緩和して得られた直線y=f(x)+ξα∇f(x)よりも関数値が低くなる区間からステップ幅αを選ぶことになる。
Armijoの基準の直線探索アルゴリズムは、次のようになる。
ステップA 初期設定
現在の近似解x、パラメータ0<ξ<1、0<τ<1を与える。
ステップB 探索
探索方向dで、Armijoの基準を満たすステップ幅αを求める。
ステップB1 βk,0=1,i=0とおく。
ステップB2 下記数52で表すArmijoの基準を満たすなら、ステップCへ、さもなくばステップB3へいく。
Figure 0004344849
ステップB3 βk,i+1=τβk,i、i:=i+1とおいて(つまり、i+1をiに代入して)、ステップB2へいく。
ステップC ステップ幅決定
α=βk,iとおく。

また、Bの更新には種々の公式が考えられているが、代表的なものは、下記数53で表すB公式のBFGS(Broyden Fletcher Goldfarb Shanno)更新公式である。
Figure 0004344849
なお、Bは単位行列とするのが一般的である。すなわち、初回の探索方向は最急降下方向である。また、s,yは、下記数54で表されるベクトルである。
Figure 0004344849
ヘッセ行列の逆行列を直接行列Hで近似することも考えられている。このとき、探索方向は連立方程式を解くこと無く、下記数55として求めることができる。
Figure 0004344849
の更新公式は、上記数53の逆行列を計算することによって得られる。具体的には、H公式のBFGS更新公式は、下記数56のような形になる。
Figure 0004344849
B公式およびH公式を用い、実際にそれぞれ最適化の計算を行ったところ、収束性に違いはほとんど見られなかった。H公式は連立方程式を解く必要がないため、計算コスト上有利である。本実施形態では、最適化問題ではH公式を採用した。

<2−2−2>被測定光に関する先験情報の利用
被測定光の光波の強度および位相の空間分布は、滑らかに分布していることが予測された場合に、つまり、「複素振幅(つまり、位相)は滑らかに分布しているであろう」ということが先験情報として利用できる。この先験情報を具体的に表現すると、『ある点における複素振幅とその隣り合う点における複素振幅との差は、小さいはずである』という情報である。これは最適化問題の目的関数に隣り合う点の差を最小化するという目的を加えることで実現できる。また、被測定光の複素ベクトルの分布が滑らかであるという先験情報は、最適化問題の目的関数に被測定光の複素ベクトルgのノルムを最小化する目的を加えても実現できる。
一次元に分布する被測定光gをn個に離散化した場合、つまり、設計変数がg∈Cの場合に、隣り合う点の差の最小化を表す目的関数は、下記数57のように表現できる。
Figure 0004344849
上記数57のような目的関数を先験情報として、数46の適切化関数とする。つまり、光波が一次元で分布している、設計変数がg∈Cの場合では、下記数58のような適切化関数を用いる。
Figure 0004344849
ここで、マトリックスC∈Rn×nは、下記数59で表される。
Figure 0004344849
同様に、被測定光gが二次元(n×n)で分布している場合には、隣り合う点の差の最小化を表す目的関数は、次のように表現できる。まず、簡単のため、設計変数を二次元配列[g]∈Cn×nのまま表記すると、下記数60のようになる。
Figure 0004344849
上記数60を設計変数がベクトル
Figure 0004344849
の表記で書き直すと、下記数61のようになる。
Figure 0004344849
ここで、上記数61において、第一項は図8(A)で表される行方向の、第二項は図8(B)で表される列方向の隣り合う点の差を表している。図8はn=4の場合を示している。よって、上記数58と同様に表せば、被測定光が二次元(n×n)で分布している場合の適切化関数は、下記数62のようになる。
Figure 0004344849
は、図8で表されるように、二次元の複素振幅分布の行方向の差をとるマトリックスであり、Cは列方向の差をとるマトリックスである。つまり、マトリックス
Figure 0004344849
は、数59で表すマトリックスCを用い、下記数63で表される。
Figure 0004344849
また、マトリックス
Figure 0004344849
は、1≦i≦n(n−1)としたときに、(i,i)成分および(i,i+n)成分は、下記数64のようになり、その他の成分は0となる。
Figure 0004344849
具体的に、マトリックスで書き表してみると、下記数65のような形となる。
Figure 0004344849
また、被測定光の複素ベクトルgのノルムを最小化するという先験情報を利用する場合には、マトリックスCは単位マトリックスで表される。
また、光位相分布の計測を表面形状計測などの分野に利用する場合に、表面形状の概形は、前もって分かっていることがある。この表面形状の概形といった情報は、光位相分布の概形が既知であることと等価であり、被測定光に関する先験情報として利用できる。すなわち、設計変数の参照解grefが与えられているときに、適切化関数として、下記数66を用いることができる。
Figure 0004344849
本発明では、上述したような被測定光に関する先験情報を利用することが可能である。位相分布同定逆問題の設定により、適切化関数を使い分けたり、組み合わせることで、位相分布同定逆問題の悪条件性を克することができる。
なお、本発明で利用可能な先験情報として、上述した2種類の情報に限定されることなく、被測定光に関する他の先験情報を利用することが可能であることは言うまでもない。

<2−2−3>最適化問題のサイズ変換方法
本発明では、観測量として光波検出センサー(CCD)により得られる光波の強度分布情報は、膨大なデータとなる。このため、非常に大規模な最適化問題を解くことになり、膨大な計算時間が必要となってしまう問題が生じる。この問題を克するため、本発明の光位相分布測定方法では、設定した大規模な最適化問題に対応するために、次のような最適化問題のサイズ変換方法を用いる。
つまり、設計変数g∈C、観測量|f|∈R、光学系の変換マトリックス[H]∈CN×Nの場合に、下記数67で表す最適化問題があるとき、この最適化問題(以下、元の最適化問題と称する)を直接解くことはせず、図9に示されるように、元の最適化問題の設計変数gを隣り合ういくつかの点を代表する設計変数g´∈C(ただしn<Nとする)で表現する。
Figure 0004344849
図9では、設計変数gの隣り合う4点を代表するものを設計変数g´としている。まず、この設計変数g´で表現されたサイズの小さな最適化問題を解く。観測量は元の最適化問題の|f|の隣り合ういくつかの点を平均化して、サイズの小さな最適化問題に対応する観測量|f´|∈Rを作るものとする。図9では、|f|の隣り合う4点づつの平均をとって並べたものを|f´|∈Rとしている。また、光学系の変換マトリックスは、サイズの小さな最適化問題に対応するように、前述した光学系による変換マトリックスの計算式により、新たに[H´]∈Cn×nを用意する。つまり、元の最適化問題より、サイズの小さな下記数68で表す最適化問題を解く。
Figure 0004344849
上記数68で表すこのサイズの小さな最適化問題の推定解を、元の最適化問題の設計変数の初期値(つまり、初期推定解)として用い、元の最適化問題を解く。
上述した最適化問題のサイズ変換方法の手順を図を用いて説明する。例えば、一次元の100点の最適化問題(つまり、元の最適化問題)があるときに、10点ずつをまとめて、まず、10点の最適化問題(つまり、サイズの小さな最適化問題)を解くことによって、図10に示されるような設計変数g´の推定解が得られる。次に、この推定解を元のサイズの100点に拡張し、図11に示されるように、100点の最適化問題の設計変数gの初期推定解(初期値)とする。最後に、この初期推定解(初期値)を用い、この100点の最適化問題を解くことによって、図12に示されるように、100点の最適化問題の設計変数gの推定解が得られる。
要するに、本発明では、このような最適化問題のサイズ変換方法を用いることで、元の最適化問題において、解の探索を真の解のより近くから開始することができ、直接解くのに比べ少ない反復回数で収束することが期待できる。
そして、本発明では、このような最適化問題のサイズ変換方法を用いることで、計算時間がかからないサイズの小さな最適化問題で、おおまかな推定を行い、大きな計算コストがかかる元の最適化問題での計算時間を短縮することができる。
さらに、本発明の最適化問題のサイズ変換方法では、上述したような二段階の推定だけでなく、サイズの異なる幾つかの最適化問題を用意しておき、サイズの小さな最適化問題から徐々にサイズの大きな最適化問題へと数段階の推定を行うことも可能である。

<3>本発明を適用した光位相分布測定結果
本発明に係る光位相分布測定系及び光位相分布測定方法の有効性を確認するために、数値実験を行った。本発明の光位相分布測定系及び光位相分布測定方法を用いて、光位相分布の幾つかの測定結果(同定例)を以下のように示す。

<3−1>被測定光が一次元分布の場合
被測定光が一次元分布する場合での測定結果(つまり、例1〜例8)を示し、本発明における先験情報の利用および最適化問題のサイズ変換方法の有効性を確認する。

<3−1−1>位相分布同定逆問題設定
まず、本発明の光位相分布測定系に用いる光学系は、二種類とし、つまり、回折系とレンズ焦点系を用いるものとする。ここで、レンズは直径無限大の理想的なレンズであるとする。
入力光および観測光をn個に離散化した場合に、回折系の変換マトリックス[H]の(i,j)成分は、<1>数理モデルで説明したように、下記数69で表される。
Figure 0004344849
ここで、kは波数で、Rは光の入力面と観測面との距離である。被測定光の波長λ=0.5×10−6(m)、つまり、波数k=2π/λ=1.256×10−7(1/m)とする。また、R=0.1(m)とし、入力面xおよび観測面Xの離散点の間隔Δx,ΔX=1.0×10−5(m)とする。
レンズ焦点系の変換マトリックス[H]は、直径が無限大の理想的なレンズを用いた場合に、下記数70に表されるように、焦点でボケのない完全な像を結ぶため単位行列となる。
Figure 0004344849
次に、ある正解の入力光gを設定し、これを元に、数43で表す光位相分布測定系の観測方程式を用いて、模擬的に測定された強度分布|f|(回折系)、|f|(レンズ焦点系)を作成する。これを有効数字3桁に丸め、誤差を含ませたものを観測量とする。

<3−1−2>本発明の光位相分布測定方法を用いた測定結果(同定結果)
まず、本発明において、先験情報の利用の有効性を確認する。
入力面および観測面を100点に離散化した例1を図13〜図15、例2を図16〜図18、例3を図19〜図21、例4を図22〜図24にそれぞれ示す。図13、図16、図19及び図22は、被測定光の強度である観測量|f|,|f|を表し、図14、図17、図20及び図23は、先験情報を利用せずに、本発明を用いて同定した結果を示し、図15、図18、図21及び図24は、『複素振幅分布(つまり、位相)は滑らかに分布する』という先験情報を利用して、本発明を用いて同定した結果を示している。
例1、例2及び例3は、被測定光の強度分布がガウス分布の例である。先験情報を用いないで本発明を用いて同定した結果である図14、図17、図20を見ると、中央部では同定精度が比較的に良いが、被測定光の強度が微弱な両端部では精度があまり良くないことが分かる。続いて、『複素振幅分布は滑らかに分布する』という先験情報を用いて本発明を用いて同定した結果である図15、図18を見ると、全体に渡りうまく同定できていることがよく分かり、本発明において先験情報の利用の有効性の確認ができた。
しかし、例3において、『複素振幅分布は滑らかに分布する』という先験情報を用いて本発明を用いて同定した結果である図21に示されるように、被測定光の強度が微弱な領域で大きな位相差が存在するときは両端部までうまく同定できていない。強度微弱領域における設計変数値の挙動は、目的関数値にあまり影響を与えないため、解が収束しづらいものと推測できる。
そこで、例4のように、図22に示されるような被測定光の強度分布を一様なものとして、本発明の光位相分布測定方法を用いて、光位相分布同定を行った。すると、図23、図24のように全体に渡り精度良く同定することができた。先験情報を用いて本発明を用いて同定した結果である図24の方が僅かに精度が良いようである。
このように、被測定光の強度を一様な分布としても、例5の被測定光および観測光を1000点に離散化し、位相分布が複雑な形状をしている場合の同定例では、図26を見ると、先験情報を用いないで本発明を用いて同定した場合に、全く見当はずれな解が出てきていることが分かる。このような悪条件な位相分布同定逆問題においても、先験情報を用いて本発明を用いて同定した結果である図27を見ると、解の変動を抑え、うまく同定できていることが良く分かる。光の強度が一様な分布の場合でも、本発明において、先験情報の利用の有効性の確認ができた。
次に、最適化の計算が収束するまでの反復回数の面から、本発明において、先験情報の利用の有効性を確認する。下記表1は、例1〜例5において、先験情報を用いない場合と先験情報を用いた場合の最適化の計算が収束するまでにかかった反復回数を示している。
Figure 0004344849
表1から、例1、例2、例3及び例5では、先験情報の利用は、同定精度の向上と計算時間の短縮に貢献していることが分かる。また、例4では、先験情報を用いた場合も先験情報を用いない場合も最終的な同定精度はほぼ同程度であるが、やはり先験情報の利用は計算時間を短縮させている。このことから、計算時間の面でも、本発明において、先験情報の利用の有効性の確認ができた。
以上より、『複素振幅が滑らかに分布する』という先験情報は、解を安定化させ、同定精度の向上及び計算時間の短縮に有効であることが確認できた。
次に、本発明において、最適化問題のサイズ変換方法(以下、二段階の同定手法とも称する)の利用の有効性を確認する。
二段階の同定手法を適用した例6を図28〜図30、例7を図31〜図33、例8を図34〜図36にそれぞれ示す。例6、例7及び例8において、入力面および観測面は、それぞれ1000点ずつに離散化する。例6、例7及び例8において、二段階の同定手法は、次のように適用される。
まず、1000点の最適化問題を100点の最適化問題に変換し、そして、サイズの小さな100点の最適化問題を解く。次に、この100点の最適化問題での推定解を1000点の最適化問題の初期推定解として用い、1000点の最適化問題を解くようにする。
図28、図31、及び図34は、観測量である被測定光の強度分布を示し、図29、図32、及び図35は、100点の最適化問題の推定解(つまり、二段階の同定手法の一段階目で得られた位相分布)を示し、図30、図33、及び図36は、元の1000点の最適化問題の推定解(つまり、二段階の同定手法の二段階目で得られた位相分布)を示す。
例6、例7及び例8からは、100点の最適化問題で解をおおまかに推定した後に、元の1000点の最適化問題で詳細に解を同定している様子がよく分かる。
下記表2は、二段階の同定手法を用いた場合と二段階の同定手法を用いない場合の最適化の計算が収束するまでにかかる反復回数を示している。
Figure 0004344849
表2では、二段階の同定手法を用いた場合の最適化の計算が収束するまでにかかる反復回数は、一段階目(100点の最適化問題)と二段階目(1000点の最適化問題)と分けて表示してある。なお、設計変数100点の1回の反復計算にかかる時間は、1000点のそれと比べ非常に短いため無視できる程度である。
表2より、二段階の同定手法を用いることで、最適化の計算が収束するまでの反復回数を大幅に減少させたことがよく分かる。本発明の光位相分布測定方法において、二段階の同定手法の利用は、計算時間の短縮に有効であることが確認できた。勿論、この二段階の同定手法を多段階に拡張して用いることで、大規模な最適化問題にも対応することができる。

<3−2>被測定光が二次元分布の場合
被測定光が二次元分布の場合でも、本発明に係る光位相分布測定方法が有効であることを測定結果(つまり、例9〜例12)により確認する。

<3−2−1>位相分布同定逆問題設定
まず、本発明の光位相分布測定系に用いる光学系は、二種類とし、つまり、回折系とレンズ焦点系を用いるものとする。ここで、レンズは直径無限大の理想的なレンズであるとする。
入力光および観測光をn×n個に離散化した場合に、回折系の変換マトリックス[H]の(n(i−1)+j,n(k−1)+l)成分は、下記数71で表される。
Figure 0004344849
ここで、kは波数で、Rは光の入力面と観測面との距離である。被測定光の波長λ=0.5×10−6(m)、つまり、波数k=2π/λ=1.256×10−7(1/m)とする。また、R=0.1(m)とし、入力面(x,y)および観測面(X,Y)の離散点の間隔Δx,Δy,ΔX,ΔY=1.0×10−5(m)とする。
また、レンズ焦点系の変換マトリックス[H]も、一次元分布の場合と同様に、直径が無限大の理想的なレンズを用いた場合に、数70に表されるように、焦点でボケのない完全な像を結ぶため単位行列となる。
次に、ある正解の入力光gを設定し、これを元に、数43で表す光位相分布測定系の観測方程式を用いて、模擬的に測定された強度分布|f|(回折系)、|f|(レンズ焦点系)を作成する。これを有効数字3桁に丸め、誤差を含ませたものを観測量とする。

<3−2−2>本発明の光位相分布測定方法を用いた測定結果(同定結果)
入力面および観測面を40×40点に離散化した例9を図37〜図40、例10を図41〜図44、例11を図45〜図48、例12を図49〜図52にそれぞれ示す。例9、例10、例11及び例12は、二段階の同定手法を適用せず、『複素振幅が滑らかに分布する』という先験情報を利用して、本発明の光位相分布測定方法を用いた測定結果(同定結果)である。
図37、図41、図45及び図49は、被測定光の強度である観測量|f|の分布を示す。なお、観測量|f|は、観測量|f|と一様分布となるため、その分布図を省略する。図38、図42、図46及び図50は、被測定光の正解の位相分布である。図39、図43、図47及び図51は、本発明の光位相分布測定方法を用いて同定された被測定光の位相分布である。図40、図44、図48及び図52は、正解および本発明による同定結果の位相分布のy=20(点)における断面を示している。
例9や例10のような被測定光の正解の位相が滑らかに分布している場合に、本発明を用いた同定結果を見ると、全領域で良く正解と一致していることがよく分かる。また、例11や例12のような被測定光の正解の位相が急激に変化するような分布をしている場合においても、本発明を用いた同定結果を見ると、多少のばらつきが見られるが全領域でうまく同定できていることがよく分かる。また、離散点数を増やし空間周波数を上げることで、このようなばらつきを抑えることができる。
以上のように、例1〜例12を通して、本発明に係る光位相分布測定系及び光位相分布測定方法の有効性が確認された。

<4>本発明のまとめ
上述したように、本発明に係る光位相分布測定方法は、異なる複数の光学系を通過した被測定光の強度画像から、被測定光の位相分布を同定することを最大の特徴としている。
要するに、本発明では、まず、異なる複数の光学系と光波検出センサーとから構成される光位相分布測定系を用いて、同一の被測定光を光学特性が既知であるこれら複数の光学系にそれぞれ通過させ、強度と位相を変調し、被測定光の強度分布を複数測定する。そして、得られた被測定光の強度分布の情報及び光学系の光学特性に基づいて、光位相分布測定系の観測方程式をたて、この観測方程式から被測定光の位相分布を同定する位相分布同定逆問題を設定し、設定された位相分布同定逆問題を非線形の最適化問題として定式化し、この最適化問題を解くことで、被測定光の位相分布を同定するようにしている。
なお、上述したように、準ニュートン法を用いて、本発明の最適化問題の目的関数の最小化を行うことが好ましいが、それに限定されることなく、最適化問題に対する数値解法であれば、他の方法を用いて本発明の最適化問題を解くことができる。
また、本発明では、光位相分布測定系において、適切な光学系を任意の個数設定することや、光位相分布測定方法において、被測定光の位相分布に関する先験情報を与えることによって、光位相分布測定系の観測方程式の悪条件性を克し、解を安定化させ、唯一解を求めることが可能となる。
更に、本発明の光位相分布測定方法で設定する位相分布同定逆問題において、観測量として、光波検出センサー(CCD)により得られる被測定光の強度分布情報は、膨大なデータになるため、非常に大規模な最適化問題を解くことになる。本発明の光位相分布測定方法では、最適化問題のサイズ変換方法を用いて、このような大規模な最適化問題に対応するようにしている。
光波の複素数の二次元配列を説明するための模式図である。 本発明に係る光位相分布測定系の測定原理及び数理モデルを説明するための模式図である。 回折系による光波の変換の数理モデルを説明するための模式図である。 結像レンズ系による光波の変換の数理モデルを説明するための模式図である。 結像光学系の点像応答関数PSFを示す図である。 回折格子による光波の変換の数理モデルを説明するための模式図である。 Armijoの基準の幾何学的意味を説明するための図である。 光波が二次元(4×4)で分布している場合の行方向又は列方向の隣り合う点を説明するための模式図である。 最適化問題のサイズ変換を説明するための模式図である。 サイズの小さな最適化問題の設計変数g´の推定解を示す図である。 元の最適化問題の設計変数gの初期値を示す図である。 元の最適化問題の設計変数gの推定解を示す図である。 例1において、光位相分布測定系を用いて測定された被測定光の強度分布図である。 例1において、先験情報を利用せずに本発明を用いて同定された被測定光の位相分布図である。 例1において、先験情報を利用して本発明を用いて同定された被測定光の位相分布図である。 例2において、光位相分布測定系を用いて測定された被測定光の強度分布図である。 例2において、先験情報を利用せずに本発明を用いて同定された被測定光の位相分布図である。 例2において、先験情報を利用して本発明を用いて同定された被測定光の位相分布図である。 例3において、光位相分布測定系を用いて測定された被測定光の強度分布図である。 例3において、先験情報を利用せずに本発明を用いて同定された被測定光の位相分布図である。 例3において、先験情報を利用して本発明を用いて同定された被測定光の位相分布図である。 例4において、光位相分布測定系を用いて測定された被測定光の強度分布図である。 例4において、先験情報を利用せずに本発明を用いて同定された被測定光の位相分布図である。 例4において、先験情報を利用して本発明を用いて同定された被測定光の位相分布図である。 例5において、光位相分布測定系を用いて測定された被測定光の強度分布図である。 例5において、先験情報を利用せずに本発明を用いて同定された被測定光の位相分布図である。 例5において、先験情報を利用して本発明を用いて同定された被測定光の位相分布図である。 例6において、光位相分布測定系を用いて測定された被測定光の強度分布図である。 例6において、二段階の同定手法の一段階目で得られた位相分布図である。 例6において、二段階の同定手法の二段階目で得られた位相分布図である。 例7において、光位相分布測定系を用いて測定された被測定光の強度分布図である。 例7において、二段階の同定手法の一段階目で得られた位相分布図である。 例7において、二段階の同定手法の二段階目で得られた位相分布図である。 例8において、光位相分布測定系を用いて測定された被測定光の強度分布図である。 例8において、二段階の同定手法の一段階目で得られた位相分布図である。 例8において、二段階の同定手法の二段階目で得られた位相分布図である。 例9において、光位相分布測定系を用いて測定された被測定光の強度分布図である。 例9において、被測定光の正解の位相分布図である。 例9において、本発明を用いて同定された被測定光の位相分布図である。 例9において、本発明を用いて同定された被測定光の位相分布図のy=20(点)における断面図である。 例10において、光位相分布測定系を用いて測定された被測定光の強度分布図である。 例10において、被測定光の正解の位相分布図である。 例10において、本発明を用いて同定された被測定光の位相分布図である。 例10において、本発明を用いて同定された被測定光の位相分布図のy=20(点)における断面図である。 例11において、光位相分布測定系を用いて測定された被測定光の強度分布図である。 例11において、被測定光の正解の位相分布図である。 例11において、本発明を用いて同定された被測定光の位相分布図である。 例11において、本発明を用いて同定された被測定光の位相分布図のy=20(点)における断面図である。 例12において、光位相分布測定系を用いて測定された被測定光の強度分布図である。 例12において、被測定光の正解の位相分布図である。 例12において、本発明を用いて同定された被測定光の位相分布図である。 例12において、本発明を用いて同定された被測定光の位相分布図のy=20(点)における断面図である。 従来の干渉計による光位相分布測定方法を説明するための模式図である。 干渉縞画像の例を示す図である。 従来のシャック・ハートマンセンサーによる光位相分布測定方法を説明するための模式図である。 ハートマンパターンの例を示す図である。

Claims (7)

  1. 被測定光の位相分布を測定するための光位相分布測定方法であって、
    異なる複数の光学特性が既知の光学系と光波検出センサーとを備える光位相分布測定システムを用いて、前記被測定光の強度分布を測定する強度分布測定ステップと、
    強度分布測定ステップで得られた前記強度分布と前記各光学系の光学特性とに基づいて、前記光位相分布測定システムの観測方程式を設定する観測方程式設定ステップと、
    前記観測方程式から被測定光の位相分布を同定する位相分布同定逆問題を設定する位相分布同定逆問題設定ステップと、
    設定された前記位相分布同定逆問題を非線形の最適化問題として定式化する非線形最適化問題定式化ステップと、
    前記非線形の最適化問題を解くことで、前記被測定光の位相分布を同定する位相分布同定ステップとを有し、
    前記非線形の最適化問題において、設計変数を、被測定光の強度と位相を表す複素数ベクトルとし、非線形の目的関数は、前記観測方程式に基づいて設定された関数と、前記位相分布同定逆問題の悪条件性を克服するために、前記被測定光の位相分布に関する先験情報に基づいて設定された適切化関数の和から構成されることを特徴とする光位相分布測定方法。
  2. 前記先験情報は、前記被測定光の位相は滑らかに分布しているであろうという情報である請求項に記載の光位相分布測定方法。
  3. 前記非線形の最適化問題の非線形の目的関数の最小化は準ニュートン法を用いて行う請求項1に記載の光位相分布測定方法。
  4. 前記非線形の最適化問題の設計変数の隣り合う所定の点を代表するものを第2の設計変数とし、前記第2の設計変数で表現されたサイズの小さな第2の最適化問題の推定解を、前記非線形の最適化問題の前記設計変数の初期推定解として用い、前記非線形の最適化問題を解くようにする請求項1に記載の光位相分布測定方法。
  5. 前記光位相分布測定システムは、前記被測定光を前記各光学系にそれぞれ入力し、強度と位相を変調し、出力された前記被測定光を前記光波検出センサーにより検出し、検出された前記被測定光の強度分布を画像として測定する測定システムである請求項1乃至請求項の何れかに記載の光位相分布測定方法。
  6. 前記光波検出センサーはCCD撮像素子である請求項に記載の光位相分布測定方法。
  7. 前記複数の光学系は回折系とレンズ焦点系とから構成される請求項又は請求項に記載の光位相分布測定方法。
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