JP4343352B2 - データ送受信方法及びデータ送受信装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、符号分割多元接続方式の情報通信システムにおいてデータを送受信するデータ送受信方法及びデータ送受信装置に関する。特に、本発明は、符号分割多元接続方式においてランダムアクセスデータを送受信するデータ送受信方法及びデータ送受信装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
情報通信システムでは、１つ以上の基地局と１つ以上の移動局間でデータの通信が行われる。したがって、通信領域は、複数のセルに分割され、各セル内において、１つの基地局が１つ以上の移動局と通信を行う。複数の移動局が伝送システムの限られたリソース（resource）を用いて同時に１つの基地局にアクセスするためには、多元接続方式（Multiple Access System）が用いられる。幾つかの多元接続方式、例えば周波数分割多元接続方式（Frequency Division Multiple Access System：以下、ＦＤＭＡ方式という。）、時分割多元接続方式（Time Division Multiple Access System：以下、ＴＤＭＡ方式という。）、符号分割多元接続方式（Time Division Multiple Access System：以下、ＣＤＭＡ方式という）が知られている。これらの基本的な多元接続方式に加えて、これらを組み合わせて用いることも可能であり、実際に使用されている。例えば移動通信グローバル方式（Global System for Mobile Communications：以下、ＧＳＭ−system）は、ＦＤＭＡ方式とＴＤＭＡ方式を組み合わせたものである。
【０００３】
ＣＤＭＡ方式において、基地局と移動局間の接続を確立するために、ランダムアクセスデータが移動局から所謂ランダムアクセスチャンネル（Random Access Channel：以下、ＲＡＣＨという。）を介して伝送される。移動局からのランダムアクセスデータには、基地局が要求された接続を確立するのに利用できる十分なリソースがあるかの問い合わせを含めることができる。
【０００４】
ランダムアクセスチャンネルは、連続した又は周期的なランダムアクセスタイムウィンドウ（random acces time windows）からなり又は構成され、各ランダムアクセスタイムウィンドウでは、幾つかのランダムアクセスタイムスロット（random access slot）が利用できる。図４は、そのような従来のランダムアクセスタイムウィンドウの構成を示す図である。ランダムアクセスデータを送信するために、異なるランダムアクセスタイムスロットが、移動局によってランダム的に選択される。現在提案されている広帯域直接拡散ＣＤＭＡ（wide band direct sequence CDMA：以下、ＷＣＤＭＡという。）方式では、ランダムアクセスタイムウィンドウは、セル間で異なる初期プリアンブルスクランブリングコード（initial preamble scrambling code）に基づいている。このために、これらのコードは、隣接するセルが同じコードを使用しないように計画する必要がある。したがって、各ランダムアクセスバースト（random access burst）のプリアンブル部には、プリアンブルサイン（preamble signature）が付けられている。このプリアンブルサインは、セル内で使用するのに利用できる１６個の個別コードの１つである。これらの１６個のコードは、個別のスロットとみなすこともできる。これらのコードのうちの１つが、ランダムアクセスデータを送信のために、移動局によってランダム的に選択される。基地局は、予め各セル内でどのコードが利用可能であるかを報知チャンネル（broadcast control channel：以下、ＢＣＣＨという。）を介して報知する。図４に示すように、１タイムフレーム（time frame、例えば１０ｍｓ）は、それぞれが１．２５ｍｓからなる８つのタイムオフセット（time offsets）からなり、８以上のバリエーション（variations）がある。すなわち、各タイムフレームには、１つのランダムアクセスタイムウィンドウが設けられ、このランダムアクセスタイムウィンドウは、１つ以上の移動局から基地局にランダムアクセスデータを送信するための複数のランダムアクセスタイムスロットからなる。そのため、ランダムアクセスタイムウィンドウは、１０ｍｓのタイムフレームに亘って拡がり、１２８個の異なるランダムアクセスタイムスロット（１６個の独立したプリアンブルコード（preamble code）を構成し、各プリアンブルコードが８つのタイムオフセットからなる。）が、１つのランダムタイムアクセスウィンドウ内に設けられている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
衝突（collision）、すなわちメッセージが衝突して消滅する状態は、プリアンブルコードとタイムオフセットの両方が同じランダムアクセスタイムウィンドウ内で選択されたときのみ発生する。実際には、理論上の最大値である１０ｍｓ当たり１２８回のアクセスの約３０％においてしか衝突は生じない。
【０００６】
多くのパケットデータのユーザが１つのバーストトラフィック状態（ burst traffic situation）において動作している状況では、衝突は、すぐにこの最大値に達してしまう。このような状況では、ネットワークへのアクセスは、より遅くなるか、又は全くできなくなってしまう。これは、最初の要求と以前の衝突によって必要となった再送要求が積み重なったために起こる輻輳（congestion）によるものである。ランダムアクセスタイムスロットへのアクセスは、競合原理（contention）に基づくものであり、最初の失敗の後でさえも、システムにアクセスするのに必要とされる時間の上限は、保証されない。パケットデータアプリケーション（packet data applications）、すなわち一定の周期でデータの配信を要求するアプリケーションでは、即時のアクセスが重要である。
【０００７】
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、符号分割多元接続方式の情報通信システムにおいて、複数のランダムアクセスデータを送信するための複数のランダムアクセスタイムスロットを有するランダムアクセスタイムウィンドウをより効率的に用いることができ、また、ランダムアクセスタイムスロットの輻輳を減らすことができるデータ送受信方法及びデータ送受信装置を提供することである。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るデータ送受信方法は、符号分割多元接続通信方式のデータ送受信方法において、ランダムアクセスデータを少なくとも１つの第１の通信装置から第２の通信装置に送信するための複数のランダムアクセスタイムスロットを有するランダムアクセスタイムウィンドウを、該第２の通信装置で準備するステップと、第２の通信装置によって、ランダムアクセスタイムウィンドウの複数のランダムアクセスタイムスロットを少なくとも２つのグループに分割する際に、トラフィック情報に基づいて、新しいグループを決定するとともに、既存の各グループのランダムアクセスタイムスロット数を変更するステップと、第２の通信装置によって、グループを、ランダムアクセスタイムスロットで送信するランダムアクセスデータの送信優先度を表す優先度クラスに割り当てるステップとを有し、第２の通信装置は、ランダムアクセスタイムウィンドウのグループを定義する情報を少なくとも１つの第１の通信装置に送り、第１の通信装置は、グループを定義する情報に基づいて、ランダムアクセスタイムスロットを選択することを特徴とする。
【０００９】
ここで、例えば、第１の通信装置は電気通信システムの移動局であり、第２の通信装置は基地局である。
【００１０】
本発明に係るデータ送受信装置は、符号分割多元接続通信システムにおけるデータ送受信装置において、ランダムアクセスデータを送信するための複数のランダムアクセスタイムスロットを有するランダムアクセスタイムウィンドウを少なくとも２つのグループに分割する際に、トラフィック情報に基づいて、新しいグループを決定するとともに、既存の各グループのランダムアクセスタイムスロット数を変更し、該各グループに、ランダムアクセスタイムスロットで送信するランダムアクセスデータの送信優先度を表す優先度クラスを割り当て、送信するランダムアクセスデータの送信優先度に対応した優先度クラスを有するグループから１つ以上のランダムアクセスタイムスロットをランダム的に選択する選択手段と、選択されたランダムスロットを介してランダムアクセスデータを送信する送信手段と、受信された報知信号からランダムアクセスタイムウィンドウのグループを定義する情報を抽出する抽出手段とを備え、選択手段は、抽出されたランダムアクセスタイムウィンドウのグループを定義する情報に基づいて、ランダムアクセスタイムスロットを選択することを特徴とする。
【００１１】
本発明に係るデータ送受信装置は、符号分割多元接続通信方式の情報システムにおけるデータ送受信装置において、ランダムアクセスデータを送信するための複数のランダムアクセスタイムスロットを有するランダムアクセスタイムウィンドウを少なくとも２つのグループに分割する際に、トラフィック情報に基づいて、新しいグループを決定するとともに、既存の各グループの大きさを変更し、該各グループに、該ランダムアクセスタイムスロットで送信するランダムアクセスデータの送信優先度に対応した優先度クラスを割り当てる分割手段と、ランダムアクセスタイムウィンドウのグループを定義する情報を送信する送信手段とを備える。
【００１２】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るデータの送受信方法及びデータ送受信装置について図面を参照しながら詳細に説明する。
【００１３】
図１は、本発明を適用したランダムアクセスタイムウィンドウ（random access time window）の構成を示す概念図である。ランダムアクセスタイムウィンドウには、複数のランダムアクセスタイムスロット（random access time slots）が設けられている。図１に示すランダムアクセスタイムウィンドウ１０には、１２８個のランダムアクセスタイムスロットが設けられており、各ランダムアクセスタイムスロットは、８個ずつに分割され、１６個のプリアンブルコード（preamble codes）を構成している。
【００１４】
ランダムアクセスタイムウィンドウ１０は、図１に示すように、例えば１０ｍｓのタイムフレーム（time frame）に亘って拡がっており、１つのプリアンブルコードが、それぞれ１．２５ｍｓからなる８つのタイムオフセット（time offsets）で構成されている。
【００１５】
ランダムアクセスタイムウィンドウ１０の各ランダムアクセスタイムスロットは、図１に示すように、×、○、□の異なる３つのグループに分割されている。各グループは、異なるアクセス優先度（access priority）を有す。図１に示すランダムアクセスタイムウィンドウ１０では、×で示す３２個のランダムアクセスタイムスロット１１が、初期アクセス試行（initial access attempt）に割り当てられている。初期アクセスは、移動局が基地局との接続を確立するためのものである。ここで、ランダムアクセスタイムスロット１１のグループを第１のランダムアクセスタイムスロットグループと称する。第１のランダムアクセスグループの各ランダムアクセスタイムスロット１１は、最初の８つのプリアンブルコードの番号（０〜７）と最初の４つのタイムオフセットの番号（０〜３）によって定義することができる。○で示す３２個のランダムアクセスタイムスロット１２からなる第２のランダムアクセスタイムスロットグループは、パケットデータアクセス試行（packet data access attempt）に割り当てられている。パケットデータアクセスは、接続が確立された移動局から基地局にパケットデータを転送するためのものである。第２のランダムアクセスグループの各ランダムアクセスタイムスロット１２は、最初の８つのプリアンブルコードの番号（０〜７）と後の４つのタイムオフセットの番号（４〜７）によって定義される。
【００１６】
□で示すランダムアクセスタイムスロット１３からなる第３のランダムアクセスタイムスロットグループは、一番大きなグループであり、各ランダムアクセスタイムスロット１３は、後の８つのプリアンブルコードの番号（８〜１５）と８つの全てのタイムオフセットの番号（０〜７）によって定義される。第３のランダムアクセスタイムスロットグループのランダムアクセスタイムスロット１３は、音声発呼アクセス試行（voice call access attempt）に割り当てられている。音声発呼アクセスは、基地局との接続を確立した移動局が実時間通話接続（real time speech connection）を初期化するためのものである。第３のランダムアクセスタイムスロットグループは、一番高い優先度を有するとともに、ランダムアクセスタイムスロットの数も一番多いので、音声発呼アクセス試行のアクセス確率は一番高くなる。
【００１７】
図２は、本発明を適用した移動局の具体的な構成を示すブロック図であり、図３は、本発明を適用した基地局の具体的な構成を示すブロック図である。なお、図２及び図３に示すブロック図には、本発明を実施するのに必要な構成要素のみを示している。換言すると、本発明を適用した移動局及び基地局は、図示しないが、符号分割多元接続（Code Division Multiple Access：ＣＤＭＡ）方式の情報通信システムにおいてデータの送受信に必要とされる諸々の回路、例えば符号化器、復号化器、インターリーブ回路、デインターリーブ回路、変調器、復調器等を備えている。
【００１８】
図２に示す移動局２０は、アンテナ２１を備え、アンテナ２１には、図３に示す基地局３０にアンテナ２１を介してデータを送信する送信機２２と、基地局３０からデータを受信する受信機２３とを備える。送信機２２には、ランダムアクセスタイムスロット選択器２４が接続されており、ランダムアクセスタイムスロット選択器２４は、ある優先度クラス（priority class）を有するランダムアクセスタイムスロットグループから、送信されるランダムアクセスデータに対応する１つ以上のランダムアクセスタイムスロットをランダム的に選択する。例えば図１に示すように、移動局２０が送信するランダムアクセスデータがパケットデータであるとき、ランダムアクセスタイムスロット選択器２４は、対応するグループから、１つ以上のランダムアクセスタイムスロット１２を選択する。ランダムアクセスタイムスロット選択器２４は、グループ情報抽出器２５に接続されており、グループ情報抽出器２５は、基地局３０から受信される報知信号（broadcast signal）から、グループを定義する情報を抽出する。例えば図３に示す基地局３０は、ネットワークがランダムアクセスタイムウィンドウ１０内のグループの配置を変化させる毎に、グループを定義する信号を、接続している移動局２０に報知する。そして、移動局２０の受信機２３は、アンテナ２１を介して、この報知信号を受信し、グループ情報抽出器２５は、報知信号、すなわちランダムアクセスタイムウィンドウ１０内に新しいグループを定義する情報を抽出し、ランダムアクセスタイムスロット選択器２４に供給する。ランダムアクセスタイムスロット選択器２４は、この情報に基づき、各グループから、必要とするランダムアクセスタイムスロットを選択する。なお、ランダムアクセスタイムスロット選択器２４及びグループ情報抽出器２５は、符号分割多元接続方式の情報通信システムにおいて動作に必要とされる移動局２０の他の回路にも接続している。
【００１９】
図３に示す基地局３０は、アンテナ３１と、受信機３２と、送信機３３とを備え、例えば図２に示す移動局２０とデータの送受信を行う。送信機３３には、分割器３４が接続されており、分割器３４は、ランダムアクセスタイムウィンドウ１０内のランダムアクセスタイムスロットを、少なくとも２つのグループに分割する。そのため、分割器３４は、システムの要求に関する情報、例えば現在のトラフィックのパターン情報等を受け取り、新しいグループを決定したり、既存のグループの大きさを変更したりして、逐次変化するシステムの要求に、ランダムアクセスタイムスロットを動的に（dynamically）適合させる。また、分割器３４は、ランダムアクセスタイムウィンドウ１０の新しいグループを定義する情報を含む信号を生成して、送信機３３に供給し、送信機３３は、この信号を、接続される移動局２０に報知する。受信機３２及び分割器３４は、符号分割多元接続方式の情報通信システムにおいて動作に必要とされる基地局３０の他の回路にも接続している。なお、これらの回路は、説明を簡単且つ明確にするために、図示していない。
【００２０】
本発明では、ランダムアクセスタイムウィンドウ１０内の利用可能なランダムアクセスタイムスロットを、複数のグループ、例えば初期アクセス試行に割り当てるランダムアクセスタイムスロット１１のグループ（第１のグループ）と、パケットデータアクセス試行に割り当てるランダムアクセスタイムスロット１２のグループ（第２のグループ）と、音声発呼アクセス試行に割り当てるランダムアクセスタイムスロット１３のグループ（第３のグループ）とに分割する。そして、各グループには、異なる優先度を与えるとともに、それらの大きさ、すなわち各グループのランダムアクセスタイムスロット数を現在のトラフィックレベルと、要求されるサービス品質とに基づいて決定するようにしている。したがって、あるグループの内容（contents）が他のグループのものと重なることもある。ランダムアクセスメッセージがランダムアクセスチャンネルを介して送信されるとき、このメッセージは、ある優先度クラス（priority class）に分類される。これらの優先度クラスは、ランダムアクセスタイムスロットのグループに対応している。メッセージがどの優先度クラスに属するかは、メッセージの種類と内容によって定まる。移動局２０は、この対応したグループの中から、使用するランダムアクセスタイムスロットをランダムに選択する。これによって、ある優先度クラスからのメッセージは、セル内で別の移動局２０によって送信された同じ優先度クラスの他のメッセージと同じ確率で、ネットワークにアクセスすることが保証される。なお、異なる優先度を有する他のランダムアクセスメッセージはその必要はない。サイズ、すなわちグループのランダムアクセスタイムスロット数は、アクセスの成功率を決定する。各グループのサイズは、基地局３０によって制御され、分割器３４によってランダムアクセスタイムウィンドウ１０をグループ化し、接続された移動局２０に対応した情報を報知することによって、動的に変化される。分割器３４は、現在のトラフィックパターン、ネットワーク要求又は予め設定された制御パラメータによって、ランダムアクセスタイムウィンドウ１０を分割する。
【００２１】
ランダムアクセスタイムウィンドウ１０のグループに関する情報を含む情報信号は、単純な２進数の対として、基地局３０の送信機３３によって報知される。図１に示すランダムアクセスタイムウィンドウ１０の具体例では、ランダムアクセスタイムスロットのアドレスは、タイムオフセット値アクセスに対しては（０，３）となり、プリアンブルコードアクセスに対しては（０，７）となり、初期アクセス試行用に確保されたランダムアクセスタイムスロット１１を表すことになる。上述したように、各グループのアクセス成功率は、ネットワークによって動的に変化する。このように、制御は、特定のアクセスタイプに適用されるサービスの品質で許容される。
【００２２】
ランダムアクセスタイムスロット上での衝突を減らし、ランダムアクセスタイムウィンドウ１０をより効果的に使用するために、ランダムアクセスタイムウィンドウのグループを、少なくとも第１のセクションと第２のセクションに分割するようにしてもよい。そして、第１のセクションが競合（contention）を主体としたランダムアクセスタイムスロットのみを含み、第２のセクションが予約（reservation）を主体としたランダムアクセスタイムスロットのみを含むようにする。グループの第１のセクションのランダムアクセスタイムスロットを、通常の競合を主体としたランダムアクセス試行に使用するようにする。一方、第２のセクションのランダムアクセスタイムスロットを、パケットデータのようなより多量なデータを転送するために、次のランダムアクセスタイムウィンドウ１０内に確保するようにする。また、ランダムアクセスタイムウィンドウ１０の各グループを、ネットワーク要求に応じて、動的に細分化するようにしてもよい。この場合、基地局３０が、対応する信号を移動局２０に報知するようにする。
【００２３】
以上の説明からも明らかなように、本発明に係るデータ送受信方法及びデータ送受信装置では、割り当てられたランダムアクセスチャンネルの資源（resources）を、優先度に基づいて、異なる種類のアクセス間で分割する。したがって、高い優先度を有するアクセスタイプは、より多くの物理的資源（physical resources）を享受する。これにより、あるアクセスタイプのメッセージがネットワークにアクセスできる可能性が高くなり、ある特定のメッセージが基地局に正常に到達する可能性が高くなる。優先度の種類及び格付けは、ネットワークによって変更され、報知制御チャンネルを介して移動局に報知することができる。
【００２４】
本発明に係るデータ送受信方法及びデータ送受信装置では、特に、例えばパケットデータの容量要求、アクセスバースト内での少量のユーザデータの転送等の負荷の増加が原因で起こるランダムアクセスチャンネル上での輻輳の影響を減らすことができる。
【００２５】
また、送信するランダムアクセスデータの送信優先度は、ランダムアクセスデータの内容及び種類に基づいて決定される。さらに、例えば移動局であるデータ送受信装置において、ランダムアクセスタイムスロットをグループに分割する分割手段は、システム要求に応じて、各グループのランダムアクセスタイムスロット数を変更する。したがって、各グループの大きさは、ネットワークによって制御されるとともに、現在のトラフィックパターン、ネットワーク要求等に応じて動的に変更することができる。新しいグループを示す対応した信号は、基地局から報知チャンネルを介して、移動局に送信される。
【００２６】
本発明に係るデータ送受信装置は、例えば移動局であり、受信された通信信号からランダムアクセスタイムウィンドウのグループを定義する情報を抽出するグループ情報抽出器２５を備える。定義されたグループが、ネットワークによって変更される度に、基地局から対応する信号が報知される。この信号は、移動局によって受信され、移動局のグループ情報抽出器２５によって抽出され、その情報は、次のランダムアクセスバーストを送信するのに用いられる。アクセスの可能性は、各グループのランダムアクセスタイムスロット数によって決定することができる。したがって、高い優先度クラスのグループは、低い優先グループよりも多くのランダムアクセスタイムスロットを有することができる。
【００２７】
ランダムアクセスタイムウィンドウの各ランダムアクセスタイムスロットは、タイムオフセット値とプリアンブルコードによって定義される。
【００２８】
本発明に係るデータ送受信方法及びデータ送受信装置では、アクセス種類に関するアクセスの優先度権を柔軟に変更することができ、低いアクセス優先度を有すると考えられるアクセス種類よりも、高いアクセス優先度を有すると考えられるアクセス種類に対して、連続的な輻輳を防止することができる。また、本発明に係るデータ送受信方法及びデータ送受信装置では、サービスレベルの品質（quality of service level）を、異なるアクセス種類のための報知チャンネルを介して、トラフィック状況に規則的に基づいて、動的に選択することができる。また、本発明に係るデータ送受信方法及びデータ送受信装置では、ランダムアクセスチャンネルの再送信が通常のトラフィックと重なって、システムが過負荷になり、ある種類のトラフィックのために他の種類のトラフィックが消失するデッドロック状態を回避することができる。
【００２９】
【発明の効果】
以上の説明でも明らかなように、本発明では、ランダムアクセスデータを少なくとも１つの第１の通信装置から第２の通信装置に送信するための複数のランダムアクセスタイムスロットを有するランダムアクセスタイムウィンドウを準備する。そして、ランダムアクセスタイムウィンドウの複数のランダムアクセスタイムスロットを少なくとも２つのグループに分割し、これらのグループを、ランダムアクセスタイムスロットで送信するランダムアクセスデータの送信優先度を表す優先度クラスに割り当てる。これによって、複数のランダムアクセスデータを送信するための複数のランダムアクセスタイムスロットを有するランダムアクセスタイムウィンドウをより効率的に用いることができ、また、ランダムアクセスタイムスロットの輻輳を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明を適用したランダムアクセスタイムウィンドウの構成を示す概念図である。
【図２】 本発明を適用した移動局の構成を示すブロック図である。
【図３】 本発明を適用した基地局の構成を示すブロック図である。
【図４】 従来のランダムアクセスタイムウィンドウの構成を示す概念図である。
【符号の説明】
２０ 移動局、２１ アンテナ、２２ 送信機、２３ 受信機、２４ ランダムアクセスタイムスロット選択器、２５ グループ情報抽出器
【発明の属する技術分野】
本発明は、符号分割多元接続方式の情報通信システムにおいてデータを送受信するデータ送受信方法及びデータ送受信装置に関する。特に、本発明は、符号分割多元接続方式においてランダムアクセスデータを送受信するデータ送受信方法及びデータ送受信装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
情報通信システムでは、１つ以上の基地局と１つ以上の移動局間でデータの通信が行われる。したがって、通信領域は、複数のセルに分割され、各セル内において、１つの基地局が１つ以上の移動局と通信を行う。複数の移動局が伝送システムの限られたリソース（resource）を用いて同時に１つの基地局にアクセスするためには、多元接続方式（Multiple Access System）が用いられる。幾つかの多元接続方式、例えば周波数分割多元接続方式（Frequency Division Multiple Access System：以下、ＦＤＭＡ方式という。）、時分割多元接続方式（Time Division Multiple Access System：以下、ＴＤＭＡ方式という。）、符号分割多元接続方式（Time Division Multiple Access System：以下、ＣＤＭＡ方式という）が知られている。これらの基本的な多元接続方式に加えて、これらを組み合わせて用いることも可能であり、実際に使用されている。例えば移動通信グローバル方式（Global System for Mobile Communications：以下、ＧＳＭ−system）は、ＦＤＭＡ方式とＴＤＭＡ方式を組み合わせたものである。
【０００３】
ＣＤＭＡ方式において、基地局と移動局間の接続を確立するために、ランダムアクセスデータが移動局から所謂ランダムアクセスチャンネル（Random Access Channel：以下、ＲＡＣＨという。）を介して伝送される。移動局からのランダムアクセスデータには、基地局が要求された接続を確立するのに利用できる十分なリソースがあるかの問い合わせを含めることができる。
【０００４】
ランダムアクセスチャンネルは、連続した又は周期的なランダムアクセスタイムウィンドウ（random acces time windows）からなり又は構成され、各ランダムアクセスタイムウィンドウでは、幾つかのランダムアクセスタイムスロット（random access slot）が利用できる。図４は、そのような従来のランダムアクセスタイムウィンドウの構成を示す図である。ランダムアクセスデータを送信するために、異なるランダムアクセスタイムスロットが、移動局によってランダム的に選択される。現在提案されている広帯域直接拡散ＣＤＭＡ（wide band direct sequence CDMA：以下、ＷＣＤＭＡという。）方式では、ランダムアクセスタイムウィンドウは、セル間で異なる初期プリアンブルスクランブリングコード（initial preamble scrambling code）に基づいている。このために、これらのコードは、隣接するセルが同じコードを使用しないように計画する必要がある。したがって、各ランダムアクセスバースト（random access burst）のプリアンブル部には、プリアンブルサイン（preamble signature）が付けられている。このプリアンブルサインは、セル内で使用するのに利用できる１６個の個別コードの１つである。これらの１６個のコードは、個別のスロットとみなすこともできる。これらのコードのうちの１つが、ランダムアクセスデータを送信のために、移動局によってランダム的に選択される。基地局は、予め各セル内でどのコードが利用可能であるかを報知チャンネル（broadcast control channel：以下、ＢＣＣＨという。）を介して報知する。図４に示すように、１タイムフレーム（time frame、例えば１０ｍｓ）は、それぞれが１．２５ｍｓからなる８つのタイムオフセット（time offsets）からなり、８以上のバリエーション（variations）がある。すなわち、各タイムフレームには、１つのランダムアクセスタイムウィンドウが設けられ、このランダムアクセスタイムウィンドウは、１つ以上の移動局から基地局にランダムアクセスデータを送信するための複数のランダムアクセスタイムスロットからなる。そのため、ランダムアクセスタイムウィンドウは、１０ｍｓのタイムフレームに亘って拡がり、１２８個の異なるランダムアクセスタイムスロット（１６個の独立したプリアンブルコード（preamble code）を構成し、各プリアンブルコードが８つのタイムオフセットからなる。）が、１つのランダムタイムアクセスウィンドウ内に設けられている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
衝突（collision）、すなわちメッセージが衝突して消滅する状態は、プリアンブルコードとタイムオフセットの両方が同じランダムアクセスタイムウィンドウ内で選択されたときのみ発生する。実際には、理論上の最大値である１０ｍｓ当たり１２８回のアクセスの約３０％においてしか衝突は生じない。
【０００６】
多くのパケットデータのユーザが１つのバーストトラフィック状態（ burst traffic situation）において動作している状況では、衝突は、すぐにこの最大値に達してしまう。このような状況では、ネットワークへのアクセスは、より遅くなるか、又は全くできなくなってしまう。これは、最初の要求と以前の衝突によって必要となった再送要求が積み重なったために起こる輻輳（congestion）によるものである。ランダムアクセスタイムスロットへのアクセスは、競合原理（contention）に基づくものであり、最初の失敗の後でさえも、システムにアクセスするのに必要とされる時間の上限は、保証されない。パケットデータアプリケーション（packet data applications）、すなわち一定の周期でデータの配信を要求するアプリケーションでは、即時のアクセスが重要である。
【０００７】
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、符号分割多元接続方式の情報通信システムにおいて、複数のランダムアクセスデータを送信するための複数のランダムアクセスタイムスロットを有するランダムアクセスタイムウィンドウをより効率的に用いることができ、また、ランダムアクセスタイムスロットの輻輳を減らすことができるデータ送受信方法及びデータ送受信装置を提供することである。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るデータ送受信方法は、符号分割多元接続通信方式のデータ送受信方法において、ランダムアクセスデータを少なくとも１つの第１の通信装置から第２の通信装置に送信するための複数のランダムアクセスタイムスロットを有するランダムアクセスタイムウィンドウを、該第２の通信装置で準備するステップと、第２の通信装置によって、ランダムアクセスタイムウィンドウの複数のランダムアクセスタイムスロットを少なくとも２つのグループに分割する際に、トラフィック情報に基づいて、新しいグループを決定するとともに、既存の各グループのランダムアクセスタイムスロット数を変更するステップと、第２の通信装置によって、グループを、ランダムアクセスタイムスロットで送信するランダムアクセスデータの送信優先度を表す優先度クラスに割り当てるステップとを有し、第２の通信装置は、ランダムアクセスタイムウィンドウのグループを定義する情報を少なくとも１つの第１の通信装置に送り、第１の通信装置は、グループを定義する情報に基づいて、ランダムアクセスタイムスロットを選択することを特徴とする。
【０００９】
ここで、例えば、第１の通信装置は電気通信システムの移動局であり、第２の通信装置は基地局である。
【００１０】
本発明に係るデータ送受信装置は、符号分割多元接続通信システムにおけるデータ送受信装置において、ランダムアクセスデータを送信するための複数のランダムアクセスタイムスロットを有するランダムアクセスタイムウィンドウを少なくとも２つのグループに分割する際に、トラフィック情報に基づいて、新しいグループを決定するとともに、既存の各グループのランダムアクセスタイムスロット数を変更し、該各グループに、ランダムアクセスタイムスロットで送信するランダムアクセスデータの送信優先度を表す優先度クラスを割り当て、送信するランダムアクセスデータの送信優先度に対応した優先度クラスを有するグループから１つ以上のランダムアクセスタイムスロットをランダム的に選択する選択手段と、選択されたランダムスロットを介してランダムアクセスデータを送信する送信手段と、受信された報知信号からランダムアクセスタイムウィンドウのグループを定義する情報を抽出する抽出手段とを備え、選択手段は、抽出されたランダムアクセスタイムウィンドウのグループを定義する情報に基づいて、ランダムアクセスタイムスロットを選択することを特徴とする。
【００１１】
本発明に係るデータ送受信装置は、符号分割多元接続通信方式の情報システムにおけるデータ送受信装置において、ランダムアクセスデータを送信するための複数のランダムアクセスタイムスロットを有するランダムアクセスタイムウィンドウを少なくとも２つのグループに分割する際に、トラフィック情報に基づいて、新しいグループを決定するとともに、既存の各グループの大きさを変更し、該各グループに、該ランダムアクセスタイムスロットで送信するランダムアクセスデータの送信優先度に対応した優先度クラスを割り当てる分割手段と、ランダムアクセスタイムウィンドウのグループを定義する情報を送信する送信手段とを備える。
【００１２】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るデータの送受信方法及びデータ送受信装置について図面を参照しながら詳細に説明する。
【００１３】
図１は、本発明を適用したランダムアクセスタイムウィンドウ（random access time window）の構成を示す概念図である。ランダムアクセスタイムウィンドウには、複数のランダムアクセスタイムスロット（random access time slots）が設けられている。図１に示すランダムアクセスタイムウィンドウ１０には、１２８個のランダムアクセスタイムスロットが設けられており、各ランダムアクセスタイムスロットは、８個ずつに分割され、１６個のプリアンブルコード（preamble codes）を構成している。
【００１４】
ランダムアクセスタイムウィンドウ１０は、図１に示すように、例えば１０ｍｓのタイムフレーム（time frame）に亘って拡がっており、１つのプリアンブルコードが、それぞれ１．２５ｍｓからなる８つのタイムオフセット（time offsets）で構成されている。
【００１５】
ランダムアクセスタイムウィンドウ１０の各ランダムアクセスタイムスロットは、図１に示すように、×、○、□の異なる３つのグループに分割されている。各グループは、異なるアクセス優先度（access priority）を有す。図１に示すランダムアクセスタイムウィンドウ１０では、×で示す３２個のランダムアクセスタイムスロット１１が、初期アクセス試行（initial access attempt）に割り当てられている。初期アクセスは、移動局が基地局との接続を確立するためのものである。ここで、ランダムアクセスタイムスロット１１のグループを第１のランダムアクセスタイムスロットグループと称する。第１のランダムアクセスグループの各ランダムアクセスタイムスロット１１は、最初の８つのプリアンブルコードの番号（０〜７）と最初の４つのタイムオフセットの番号（０〜３）によって定義することができる。○で示す３２個のランダムアクセスタイムスロット１２からなる第２のランダムアクセスタイムスロットグループは、パケットデータアクセス試行（packet data access attempt）に割り当てられている。パケットデータアクセスは、接続が確立された移動局から基地局にパケットデータを転送するためのものである。第２のランダムアクセスグループの各ランダムアクセスタイムスロット１２は、最初の８つのプリアンブルコードの番号（０〜７）と後の４つのタイムオフセットの番号（４〜７）によって定義される。
【００１６】
□で示すランダムアクセスタイムスロット１３からなる第３のランダムアクセスタイムスロットグループは、一番大きなグループであり、各ランダムアクセスタイムスロット１３は、後の８つのプリアンブルコードの番号（８〜１５）と８つの全てのタイムオフセットの番号（０〜７）によって定義される。第３のランダムアクセスタイムスロットグループのランダムアクセスタイムスロット１３は、音声発呼アクセス試行（voice call access attempt）に割り当てられている。音声発呼アクセスは、基地局との接続を確立した移動局が実時間通話接続（real time speech connection）を初期化するためのものである。第３のランダムアクセスタイムスロットグループは、一番高い優先度を有するとともに、ランダムアクセスタイムスロットの数も一番多いので、音声発呼アクセス試行のアクセス確率は一番高くなる。
【００１７】
図２は、本発明を適用した移動局の具体的な構成を示すブロック図であり、図３は、本発明を適用した基地局の具体的な構成を示すブロック図である。なお、図２及び図３に示すブロック図には、本発明を実施するのに必要な構成要素のみを示している。換言すると、本発明を適用した移動局及び基地局は、図示しないが、符号分割多元接続（Code Division Multiple Access：ＣＤＭＡ）方式の情報通信システムにおいてデータの送受信に必要とされる諸々の回路、例えば符号化器、復号化器、インターリーブ回路、デインターリーブ回路、変調器、復調器等を備えている。
【００１８】
図２に示す移動局２０は、アンテナ２１を備え、アンテナ２１には、図３に示す基地局３０にアンテナ２１を介してデータを送信する送信機２２と、基地局３０からデータを受信する受信機２３とを備える。送信機２２には、ランダムアクセスタイムスロット選択器２４が接続されており、ランダムアクセスタイムスロット選択器２４は、ある優先度クラス（priority class）を有するランダムアクセスタイムスロットグループから、送信されるランダムアクセスデータに対応する１つ以上のランダムアクセスタイムスロットをランダム的に選択する。例えば図１に示すように、移動局２０が送信するランダムアクセスデータがパケットデータであるとき、ランダムアクセスタイムスロット選択器２４は、対応するグループから、１つ以上のランダムアクセスタイムスロット１２を選択する。ランダムアクセスタイムスロット選択器２４は、グループ情報抽出器２５に接続されており、グループ情報抽出器２５は、基地局３０から受信される報知信号（broadcast signal）から、グループを定義する情報を抽出する。例えば図３に示す基地局３０は、ネットワークがランダムアクセスタイムウィンドウ１０内のグループの配置を変化させる毎に、グループを定義する信号を、接続している移動局２０に報知する。そして、移動局２０の受信機２３は、アンテナ２１を介して、この報知信号を受信し、グループ情報抽出器２５は、報知信号、すなわちランダムアクセスタイムウィンドウ１０内に新しいグループを定義する情報を抽出し、ランダムアクセスタイムスロット選択器２４に供給する。ランダムアクセスタイムスロット選択器２４は、この情報に基づき、各グループから、必要とするランダムアクセスタイムスロットを選択する。なお、ランダムアクセスタイムスロット選択器２４及びグループ情報抽出器２５は、符号分割多元接続方式の情報通信システムにおいて動作に必要とされる移動局２０の他の回路にも接続している。
【００１９】
図３に示す基地局３０は、アンテナ３１と、受信機３２と、送信機３３とを備え、例えば図２に示す移動局２０とデータの送受信を行う。送信機３３には、分割器３４が接続されており、分割器３４は、ランダムアクセスタイムウィンドウ１０内のランダムアクセスタイムスロットを、少なくとも２つのグループに分割する。そのため、分割器３４は、システムの要求に関する情報、例えば現在のトラフィックのパターン情報等を受け取り、新しいグループを決定したり、既存のグループの大きさを変更したりして、逐次変化するシステムの要求に、ランダムアクセスタイムスロットを動的に（dynamically）適合させる。また、分割器３４は、ランダムアクセスタイムウィンドウ１０の新しいグループを定義する情報を含む信号を生成して、送信機３３に供給し、送信機３３は、この信号を、接続される移動局２０に報知する。受信機３２及び分割器３４は、符号分割多元接続方式の情報通信システムにおいて動作に必要とされる基地局３０の他の回路にも接続している。なお、これらの回路は、説明を簡単且つ明確にするために、図示していない。
【００２０】
本発明では、ランダムアクセスタイムウィンドウ１０内の利用可能なランダムアクセスタイムスロットを、複数のグループ、例えば初期アクセス試行に割り当てるランダムアクセスタイムスロット１１のグループ（第１のグループ）と、パケットデータアクセス試行に割り当てるランダムアクセスタイムスロット１２のグループ（第２のグループ）と、音声発呼アクセス試行に割り当てるランダムアクセスタイムスロット１３のグループ（第３のグループ）とに分割する。そして、各グループには、異なる優先度を与えるとともに、それらの大きさ、すなわち各グループのランダムアクセスタイムスロット数を現在のトラフィックレベルと、要求されるサービス品質とに基づいて決定するようにしている。したがって、あるグループの内容（contents）が他のグループのものと重なることもある。ランダムアクセスメッセージがランダムアクセスチャンネルを介して送信されるとき、このメッセージは、ある優先度クラス（priority class）に分類される。これらの優先度クラスは、ランダムアクセスタイムスロットのグループに対応している。メッセージがどの優先度クラスに属するかは、メッセージの種類と内容によって定まる。移動局２０は、この対応したグループの中から、使用するランダムアクセスタイムスロットをランダムに選択する。これによって、ある優先度クラスからのメッセージは、セル内で別の移動局２０によって送信された同じ優先度クラスの他のメッセージと同じ確率で、ネットワークにアクセスすることが保証される。なお、異なる優先度を有する他のランダムアクセスメッセージはその必要はない。サイズ、すなわちグループのランダムアクセスタイムスロット数は、アクセスの成功率を決定する。各グループのサイズは、基地局３０によって制御され、分割器３４によってランダムアクセスタイムウィンドウ１０をグループ化し、接続された移動局２０に対応した情報を報知することによって、動的に変化される。分割器３４は、現在のトラフィックパターン、ネットワーク要求又は予め設定された制御パラメータによって、ランダムアクセスタイムウィンドウ１０を分割する。
【００２１】
ランダムアクセスタイムウィンドウ１０のグループに関する情報を含む情報信号は、単純な２進数の対として、基地局３０の送信機３３によって報知される。図１に示すランダムアクセスタイムウィンドウ１０の具体例では、ランダムアクセスタイムスロットのアドレスは、タイムオフセット値アクセスに対しては（０，３）となり、プリアンブルコードアクセスに対しては（０，７）となり、初期アクセス試行用に確保されたランダムアクセスタイムスロット１１を表すことになる。上述したように、各グループのアクセス成功率は、ネットワークによって動的に変化する。このように、制御は、特定のアクセスタイプに適用されるサービスの品質で許容される。
【００２２】
ランダムアクセスタイムスロット上での衝突を減らし、ランダムアクセスタイムウィンドウ１０をより効果的に使用するために、ランダムアクセスタイムウィンドウのグループを、少なくとも第１のセクションと第２のセクションに分割するようにしてもよい。そして、第１のセクションが競合（contention）を主体としたランダムアクセスタイムスロットのみを含み、第２のセクションが予約（reservation）を主体としたランダムアクセスタイムスロットのみを含むようにする。グループの第１のセクションのランダムアクセスタイムスロットを、通常の競合を主体としたランダムアクセス試行に使用するようにする。一方、第２のセクションのランダムアクセスタイムスロットを、パケットデータのようなより多量なデータを転送するために、次のランダムアクセスタイムウィンドウ１０内に確保するようにする。また、ランダムアクセスタイムウィンドウ１０の各グループを、ネットワーク要求に応じて、動的に細分化するようにしてもよい。この場合、基地局３０が、対応する信号を移動局２０に報知するようにする。
【００２３】
以上の説明からも明らかなように、本発明に係るデータ送受信方法及びデータ送受信装置では、割り当てられたランダムアクセスチャンネルの資源（resources）を、優先度に基づいて、異なる種類のアクセス間で分割する。したがって、高い優先度を有するアクセスタイプは、より多くの物理的資源（physical resources）を享受する。これにより、あるアクセスタイプのメッセージがネットワークにアクセスできる可能性が高くなり、ある特定のメッセージが基地局に正常に到達する可能性が高くなる。優先度の種類及び格付けは、ネットワークによって変更され、報知制御チャンネルを介して移動局に報知することができる。
【００２４】
本発明に係るデータ送受信方法及びデータ送受信装置では、特に、例えばパケットデータの容量要求、アクセスバースト内での少量のユーザデータの転送等の負荷の増加が原因で起こるランダムアクセスチャンネル上での輻輳の影響を減らすことができる。
【００２５】
また、送信するランダムアクセスデータの送信優先度は、ランダムアクセスデータの内容及び種類に基づいて決定される。さらに、例えば移動局であるデータ送受信装置において、ランダムアクセスタイムスロットをグループに分割する分割手段は、システム要求に応じて、各グループのランダムアクセスタイムスロット数を変更する。したがって、各グループの大きさは、ネットワークによって制御されるとともに、現在のトラフィックパターン、ネットワーク要求等に応じて動的に変更することができる。新しいグループを示す対応した信号は、基地局から報知チャンネルを介して、移動局に送信される。
【００２６】
本発明に係るデータ送受信装置は、例えば移動局であり、受信された通信信号からランダムアクセスタイムウィンドウのグループを定義する情報を抽出するグループ情報抽出器２５を備える。定義されたグループが、ネットワークによって変更される度に、基地局から対応する信号が報知される。この信号は、移動局によって受信され、移動局のグループ情報抽出器２５によって抽出され、その情報は、次のランダムアクセスバーストを送信するのに用いられる。アクセスの可能性は、各グループのランダムアクセスタイムスロット数によって決定することができる。したがって、高い優先度クラスのグループは、低い優先グループよりも多くのランダムアクセスタイムスロットを有することができる。
【００２７】
ランダムアクセスタイムウィンドウの各ランダムアクセスタイムスロットは、タイムオフセット値とプリアンブルコードによって定義される。
【００２８】
本発明に係るデータ送受信方法及びデータ送受信装置では、アクセス種類に関するアクセスの優先度権を柔軟に変更することができ、低いアクセス優先度を有すると考えられるアクセス種類よりも、高いアクセス優先度を有すると考えられるアクセス種類に対して、連続的な輻輳を防止することができる。また、本発明に係るデータ送受信方法及びデータ送受信装置では、サービスレベルの品質（quality of service level）を、異なるアクセス種類のための報知チャンネルを介して、トラフィック状況に規則的に基づいて、動的に選択することができる。また、本発明に係るデータ送受信方法及びデータ送受信装置では、ランダムアクセスチャンネルの再送信が通常のトラフィックと重なって、システムが過負荷になり、ある種類のトラフィックのために他の種類のトラフィックが消失するデッドロック状態を回避することができる。
【００２９】
【発明の効果】
以上の説明でも明らかなように、本発明では、ランダムアクセスデータを少なくとも１つの第１の通信装置から第２の通信装置に送信するための複数のランダムアクセスタイムスロットを有するランダムアクセスタイムウィンドウを準備する。そして、ランダムアクセスタイムウィンドウの複数のランダムアクセスタイムスロットを少なくとも２つのグループに分割し、これらのグループを、ランダムアクセスタイムスロットで送信するランダムアクセスデータの送信優先度を表す優先度クラスに割り当てる。これによって、複数のランダムアクセスデータを送信するための複数のランダムアクセスタイムスロットを有するランダムアクセスタイムウィンドウをより効率的に用いることができ、また、ランダムアクセスタイムスロットの輻輳を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明を適用したランダムアクセスタイムウィンドウの構成を示す概念図である。
【図２】 本発明を適用した移動局の構成を示すブロック図である。
【図３】 本発明を適用した基地局の構成を示すブロック図である。
【図４】 従来のランダムアクセスタイムウィンドウの構成を示す概念図である。
【符号の説明】
２０ 移動局、２１ アンテナ、２２ 送信機、２３ 受信機、２４ ランダムアクセスタイムスロット選択器、２５ グループ情報抽出器
Claims (16)
- 符号分割多元接続通信方式のデータ送受信方法において、
ランダムアクセスデータを少なくとも１つの第１の通信装置から第２の通信装置に送信するための複数のランダムアクセスタイムスロットを有するランダムアクセスタイムウィンドウを、該第２の通信装置で準備するステップと、
上記第２の通信装置によって、上記ランダムアクセスタイムウィンドウの複数のランダムアクセスタイムスロットを少なくとも２つのグループに分割する際に、トラフィック情報に基づいて、新しいグループを決定するとともに、既存の各グループのランダムアクセスタイムスロット数を変更するステップと、
上記第２の通信装置によって、上記グループを、ランダムアクセスタイムスロットで送信するランダムアクセスデータの送信優先度を表す優先度クラスに割り当てるステップとを有し、
上記第２の通信装置は、上記ランダムアクセスタイムウィンドウのグループを定義する情報を上記少なくとも１つの第１の通信装置に送り、該第１の通信装置は、該グループを定義する情報に基づいて、上記ランダムアクセスタイムスロットを選択することを特徴とするデータ送受信方法。 - 上記送信するランダムアクセスデータの送信優先度は、上記ランダムアクセスデータの内容と種類に基づいて決定されることを特徴とする請求項１に記載のデータ送受信方法。
- 各グループのランダムアクセスタイムスロット数が、上記符号分割多元接続通信方式の要求に応じて変化されることを特徴とする請求項１又は２に記載のデータ送受信方法。
- 上記第１の通信装置が、任意の送信優先度のランダムアクセスデータを送信するために、対応する優先度クラスを有するグループから１つ以上のランダムアクセスタイムスロットをランダム的に選択することを特徴とする請求項１乃至３のいずれか１項に記載のデータ送受信方法。
- 上記第１の通信装置のアクセスの可能性は、グループのランダムアクセスタイムスロット数に依存していることを特徴とする請求項４に記載のデータ送受信方法。
- 上記ランダムアクセスタイムウィンドウの各ランダムアクセスタイムスロットが、タイムオフセット値とプリアンブルコードによって定義されることを特徴とする請求項１乃至５のいずれか１項に記載のデータ送受信方法。
- 上記少なくとも２つのグループは、初期アクセス試行、パケットデータアクセス試行及び音声発呼アクセス試行のいずれかのために用いられることを特徴とする請求項１乃至６のいずれか１項に記載のデータ送受信方法。
- 符号分割多元接続通信システムにおけるデータ送受信装置において、
ランダムアクセスデータを送信するための複数のランダムアクセスタイムスロットを有するランダムアクセスタイムウィンドウを少なくとも２つのグループに分割する際に、トラフィック情報に基づいて、新しいグループを決定するとともに、既存の各グループのランダムアクセスタイムスロット数を変更し、該各グループに、該ランダムアクセスタイムスロットで送信するランダムアクセスデータの送信優先度を表す優先度クラスを割り当て、該送信するランダムアクセスデータの送信優先度に対応した優先度クラスを有するグループから１つ以上のランダムアクセスタイムスロットをランダム的に選択する選択手段と、
上記選択されたランダムスロットを介してランダムアクセスデータを送信する送信手段と、
受信された報知信号から上記ランダムアクセスタイムウィンドウのグループを定義する情報を抽出する抽出手段とを備え、
上記選択手段は、上記抽出されたランダムアクセスタイムウィンドウのグループを定義する情報に基づいて、上記ランダムアクセスタイムスロットを選択することを特徴とするデータ送受信装置。 - アクセスの可能性は、上記グループのランダムアクセスタイムスロット数に依存していることを特徴とする請求項８に記載のデータ送受信装置。
- 上記ランダムアクセスタイムウィンドウの各ランダムアクセスタイムスロットは、タイムオフセット値とプリアンブルコードによって定義されることを特徴とする請求項８又は９に記載のデータ送受信装置。
- 上記少なくとも２つのグループは、初期アクセス試行、パケットデータアクセス試行及び音声発呼アクセス試行のいずれかのために用いられることを特徴とする請求項８乃至１０のいずれか１項に記載のデータ送受信装置。
- 符号分割多元接続通信方式の情報システムにおけるデータ送受信装置において、
ランダムアクセスデータを送信するための複数のランダムアクセスタイムスロットを有するランダムアクセスタイムウィンドウを少なくとも２つのグループに分割する際に、トラフィック情報に基づいて、新しいグループを決定するとともに、既存の各グループの大きさを変更し、該各グループに、該ランダムアクセスタイムスロットで送信するランダムアクセスデータの送信優先度に対応した優先度クラスを割り当てる分割手段と、
上記ランダムアクセスタイムウィンドウのグループを定義する情報を送信する送信手段とを備えるデータ送受信装置。 - 上記送信するランダムアクセスデータの送信優先度は、上記ランダムアクセスデータの内容と種類に基づいて決定されることを特徴とする請求項１２に記載のデータ送受信装置。
- 上記ランダムアクセスタイムスロットをグループに分割する分割手段は、上記符号分割多元接続通信方式の要求に応じて、上記各グループのランダムアクセスタイムスロット数を変更することを特徴とする請求項１２又は１３に記載のデータ送受信装置。
- 上記ランダムアクセスタイムウィンドウの各ランダムアクセスタイムスロットは、タイムオフセット値とプリアンブルコードによって定義されることを特徴とする請求項１２乃至１４のいずれか１項に記載のデータ送受信装置。
- 上記少なくとも２つのグループは、初期アクセス試行、パケットデータアクセス試行及び音声発呼アクセス試行のいずれかのために用いられることを特徴とする請求項１２乃至１５のいずれか１項に記載のデータ送受信装置。
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