JP4342671B2 - 搬送装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、コンベアに支持されたワークをその姿勢を変化させながら複数の処理工程へ通過させるようにした搬送装置に係り、特に車両製造における車体塗装等の表面処理ラインに好適なものに関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の塗装ラインにおいては、前処理、電着、水洗、塗装、乾燥等の多くの処理工程があり、ワークは、これらの処理工程間をコンベアで移送されるようになっている。このうち、比較的大型である4輪車の車体をディッピング塗装する場合は、図17のAに示すように、床面状に配置されたフロアコンベアFC上で移送されて来たワークWを、前処理・電着ライン上へ上下するように配設されオーバーヘッドコンベアHCへ移載して吊り下げ支持させ、この状態で前処理・電着槽等の上を通過させながら上下させてディッピング処理し、その後再びフロアコンベアFCへ移載するようになっている。
【0003】
また、電着塗装の場合は、優良な塗装品質を得るため、電着塗料槽中でワークを回転させるなど姿勢を種々に変化させることが知られている(例えば、特公平6−104920号、特開平2−111481号等参照)。
【0004】
一方、比較的小型である2輪車の車体を塗装する場合は、図17のBに示すように、塗装の全工程をオーバーヘッドコンベアHCで処理することが可能であり、塗装ラインの途中で4輪車のように移載する必要はないが、ディッピング処理については同様の上下動操作を行っている。なお、以下の説明では、コンベアの側方から見て、ワークをフロアコンベア上方へ支持する形式のワーク姿勢をフロアコンベア姿勢、吊り下げ支持する形式のワーク姿勢をオーバーヘッドコンベア姿勢、コンベアの進行方向から見てフロアコンベア姿勢におけるワークを横倒し状態でコンベアの側方へ略水平にして支持された姿勢をサイドコンベア姿勢という。また、進行方向と平行かつ垂直な平面内における進行方向と直交する回転軸の回りにワークを回転する回転を縦回転、進行方向と直角な垂直平面内で進行方向と平行な回転軸の回りにワークを回転する回転を横回転という。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ワーク姿勢をフロアコンベア姿勢とオーバーヘッドコンベア姿勢に変化させる必要のある処理においては、搬送途中でワーク姿勢の変わる毎にいちいち移載するのでは時間ロスが生じるため、少なくとも連続する一つの処理ではワーク姿勢が変化しても途中でワークを移載しないようにすることが望まれる。また、ディッピング処理のように、搬送ラインを連続的に上下変化させる方式ではワークの実質的な浸漬時間に対して浸漬に役立たない入出槽にのみ要する時間の割合が大きくなるので、この時間的ロスの改善も望まれる。さらに、オーバーヘッドコンベアの場合は、上方のコンベアから落下するゴミ等が付着することにより塗装品質を低下するおそれがあるので、このような落下物が付着しにくい搬送形式にすることも望まれる。そこで本願発明は係る問題点の解決を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本願発明に係る搬送装置は、コンベアにワークを支持させ、ワーク姿勢を変化させながらディッピング処理をおこなう電着塗装工程を含む複数の処理工程を通過させて塗装するようにした搬送装置において、ワーク姿勢を変化させるための姿勢制御機構を備えるとともに、この姿勢制御機構によりワークを移載することなく各処理工程毎に必要なワーク姿勢へ連続的に変化させることを特徴とする。
【0007】
この姿勢制御機構は、コンベアの側方から見て、ワーク姿勢をコンベア上方へ支持されるフロアコンベア姿勢とコンベアの下方へ吊り下げ支持されるオーバーヘッドコンベア姿勢とに制御すること、並びにコンベアの進行方向から見てフロアコンベア姿勢におけるワークを横倒し状態でコンベアの側方へ水平に支持するサイドコンベア姿勢を可能にすること、さらには、フロアコンベア姿勢、オーバーヘッドコンベア姿勢及びサイドコンベア姿勢へ連続的に制御することのいずれかもしくはいずれも可能に構成することができる。
【0008】
また、姿勢制御機構は、ワーク姿勢の変化がコンベアの進行方向と平行する垂直平面内にて、前記進行方向と直交する第1の回転軸の回りにワークを回転する縦回転のための縦回転機構並びに進行方向と直交する垂直平面内にて、前記進行方向と平行な第2の回転軸の回りにワークを回転する横回転のための横回転機構の少なくともいずれかを備えるとともに、縦回転はコンベアの側方へ突出する第1の回転軸を備え、この第1の回転軸の先端側へワークを取付けるとともに、この第1の回転軸の軸線回りに回転させることにより実現でき、横回転は第1の回転軸の先端側に前記第2の回転軸を介してアーム部材を揺動自在に設け、このアーム部材にワークを支持させ、アーム部材を第2の回転軸の回りに回転させることにより実現できる。
【0009】
【発明の効果】
本願発明は、ワークを同一のコンベアに支持されたままの状態で、異なるワーク姿勢を要求する複数の処理工程へ搬送し、姿勢制御機構によりそれぞれの工程毎に最適なワーク姿勢へ変化させるようにしたので、工程毎に別形式のコンベアへ移載する必要がなく連続的に搬送できるので、従来のこの種搬送装置に必要であった移載のための工程を削減でき、複数工程間におけるワークの搬送を効率化できる。
【0010】
また、フロアコンベア姿勢とオーバーヘッドコンベア姿勢に制御可能にすることにより、ディッピング処理工程にて、フロアコンベア姿勢からオーバーヘッドコンベア姿勢さらにフロアコンベア姿勢と変化させて、ワークを移載せずに連続処理できる。さらに、サイドコンベア姿勢に制御すれば、ワークをコンベアの側方へ離して略水平に支持することができ、コンベアからの落下物が付着することを防止しなければならない工程、特に塗装工程に有効である。そのうえ、フロアコンベア姿勢、オーバーヘッドコンベア姿勢及びサイドコンベア姿勢を組み合わせて制御すれば、ワークの各面を順次一定の方向へ向けるように回転させるような複雑な姿勢制御を容易に実現できる。
【0011】
このような、フロアコンベア姿勢とオーバーヘッドコンベア姿勢間における制御は、ワークを縦回転させることにより実現でき、ワークを連続して搬送しながら姿勢制御する連続搬送形式に好適なものとなる。この場合、コンベアの側方へ突出する回転軸にワークを支持させて回転軸をその軸線回りに回転させればワークを縦回転させることができる。
【0012】
さらに、フロアコンベア姿勢とオーバーヘッドコンベア姿勢及び必要によりサイドコンベア姿勢を含むワーク姿勢間における制御は、ワークを横回転させることにより実現でき、この場合は横回転する平面内でアーム部材を揺動させるか、コンベアの一部に設けた可動部自体をワークとともに回転させることにより容易に実現でき、主としてワークを間欠的に搬送するタクト搬送形式に好適なものとなる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき、自動2輪車の車体塗装を行う実施例について説明する。図1は、この塗装ライン全体の工程図であり、投入・治具付けA、前処理B、電着塗装C、電着乾燥D、上塗りE、上塗り乾燥Fの各処理を順次連続的に行う。図中の丸付数字は図1の工程を示す。(なお、図中における工程番号の表示は対応する丸付数字で示してある。以下同じ。)
【0014】
まず、投入・治具付けAにおいて、この塗装ラインの前工程である溶接ラインのオーバーヘッドコンベアHCで吊り下げて搬送されてきた自動2輪車の車体であるワーク1をコンベア2へキャリヤ3を介してフロアコンベア姿勢で支持させる(1)。
【0015】
前処理Bに移ると、ワーク姿勢を縦回転させながら、フロアコンベア姿勢とオーバーヘッドコンベア姿勢へ連続的に変化させて、脱脂2(オーバーヘッドコンベア姿勢)、水洗及び表面調整3(フロアコンベア姿勢)、化成処理4(オーバーヘッドコンベア姿勢)、水洗5(フロアコンベア姿勢)、同6(オーバーヘッドコンベア姿勢)、純水水洗及び水切り7(フロアコンベア姿勢)の各工程を行う。
【0016】
電着塗装Cでは、同様に縦回転でフロアコンベア姿勢とオーバーヘッドコンベア姿勢に変化させながら、電着塗装8(オーバーヘッドコンベア姿勢)、水洗9(フロアコンベア姿勢)、同10(オーバーヘッドコンベア姿勢)、純水水洗11(フロアコンベア姿勢)の各工程を行う。
【0017】
前処理乾燥Dでは、フロアコンベア姿勢を維持したままでワーク姿勢を変化させずに電着乾燥炉を通過させる(12)。
【0018】
上塗りEでは、縦回転でフロアコンベア姿勢からオーバーヘッドコンベア姿勢へ変化させて、スプレー式の上塗りブースへ入れ(13)、さらにこの上塗りブース中で、ワーク1を90°倒した横倒し状態のサイドコンベア姿勢とし(14)、このまま180°縦回転をさせて上下反転させ(15)、その後ワーク1を再び90°逆方向へ回転させて直立させたフロアコンベア姿勢へ戻す(16)。
【0019】
このように縦回転と横回転を組み合わせてワーク姿勢を制御することにより、塗装する各面を常に上にしてスプレー塗装できる水平塗装を実現できるので、良好な上塗り塗装を実現できる。そのうえ、ワーク1を終止コンベア2の側方へ離れた位置に終止支持するので、コンベア2から落下するゴミ等の付着するおそれが著減し、上塗り塗装における塗装品質を高めることができる。
【0020】
その後の上塗り乾燥Fでは、ワーク1をフロアコンベア姿勢に維持したまま、上塗り乾燥炉内を通過させる(17)。
【0021】
図2はワーク1のフロアコンベアにおける支持状態を示す側面図、図3はその平面図、図4はワーク1の進行方向Fから見た正面図である。これらの図に示すように、キャリヤ3はコンベア2の一 側面にその長さ方向へ移動自在に支持され、キャリヤ3から側方へ略水平に延出する回転軸4はその軸線回りに360°回転自在である。回転軸4の先端に縦アーム5の一端が略直角に結合され、縦アーム5の他端にワーク1の中央下部1bが支持される。また、この縦アーム5から折れ曲がって延びる補助ステー6の先端でワーク1の前部1aが固定される。
【0022】
これにより、ワーク1はキャリヤ3及びコンベア2から離れたその側方に位置し、進行方向F及びこれと直角な垂直方向に平行な平面(以下、これを縦平面という)内において、直立状態すなわち自動2輪車としての使用時状態で支持され、かつ、同一の縦平面内で回転軸4により縦回転可能である。
【0023】
さらに、縦アーム5が回転軸4に対して略直角に折れ曲がった直立位置と、回転軸4と略平行な水平状態となる倒伏位置との間を起倒自在であり、これによりワーク1は前記縦平面に直交するとともに回転軸4及び垂直線と略平行する別平面(以下、これを横平面という)内において起倒自在であって、直立状態から略90°倒れると略水平に横倒し状態をなすサイドコンベア姿勢となる(図4の仮想線状態)。これらのワークの姿勢制御を行うため姿勢制御機構が設けられており、これには縦回転機構と横回転機構がある。
【0024】
図5は縦回転機構を説明するための要部断面図であり、図6はこの縦回転機構を回転軸4方向から示す図である。これらの図において、コンベア2は断面略C字状のガイドレールであり、この中に上下一対で収納されているローラー7は、ローラー軸8で相互に連結され、図示しないが、例えばコンベア2の全長にわたって収納されているケーブル等の駆動手段により、コンベア2の長さ方向へ進行するようになっている。
【0025】
このローラー7は、キャリヤ3の前後2ヶ所に設けられ、一つのキャリヤ3に対して前後上下の計4ヶ所に設けられ、コンベア2のキャリヤ3に対面する側面の長さ方向全長に連結して形成されたスリット9からコンベア3内へ突出するキャリヤ3の連結部10へ支持されている。
【0026】
キャリヤ3は前後方向へ長いボックス状の部材であり、その中央部を回転軸4が貫通し、キャリヤ3との交差部は軸受け11により回転自在に支持されている。キャリヤ3内の回転軸4には左右の軸受け11間の中間部周囲にピニオンギア12が一体に設けられ、下方に配置されたラック13と噛み合っている。ラック13はコンベア2と平行に配設されてコンベア2等へ固定されており、キャリヤ3の底部に前後方向へ貫通している溝14内へ入り込んでいる。
【0027】
ラック13上にピニオンギア12が噛み合った状態でキャリヤ3が進行すると、ピニオンギア12が回転し、その結果、ピニオンギア12と一体の回転軸4が回転し、さらに回転軸4と一体の縦アーム5が回転することにより、これに支持されているワーク1が縦回転するようになっている。ワーク1の回転角度はピニオンギア12の回転角度と一致し、ピニオンギア12がラック13と噛み合って移動する距離に対応する。
【0028】
ラック13の長さはコンベア2と同じ長さで連続して設けても、または回転軸4を回転させることが必要な場所毎に必要回転角度分の長さづつ適当間隔で設けることができる。ラック13をコンベア2の全長にわたって連続させた場合には、ワーク1が連続して縦回転しながら移動することになるので、この縦回転のサイクルに各工程を一致させることになる。
【0029】
逆に、ラック13を必要場所毎に断続的に設ける場合は、連続する工程に合わせて必要工程のみで縦回転させることができ、縦回転させない工程ではラック13を設けず、ピニオンギア12をフリーにする。但し、この場合は所定のワーク姿勢を維持するため、回転軸4の回転を規制する必要があり、例えばキャリヤ3内に設けたブレーキ15等の適宜規制手段により回転を規制する。
【0030】
図7は横回転機構を示し、回転軸4と縦アーム5の各端部相互を支軸16で連結することにより、縦アーム5を起倒自在とし、かつ縦アーム5の端部に延出する突部17を一体に設け、この突部17の突出端と回転軸4に略平行に設けられた制御ロッド18の一端とを軸19で連結する。
【0031】
制御ロッド18の他端は図示省略してあるが、キャリヤ3内に設けられた制御部材に連結してあり、この制御部材により制御ロッド18を図の右方(矢示a方向)へ押せば、縦アーム5は起立されて(図7のA)、ワーク1を直立状態とし、制御ロッド18を図の左方(矢示b方向)へ引けば、縦アーム5を倒して(図7のB)、ワーク1を横倒し状態にしてサイドコンベア姿勢とする(図4)。
【0032】
次に、電着塗装Cにおける縦回転のワーク姿勢について説明する。この工程では、図8に拡大して示すように、前処理Bの最終工程である水切り工程におけるフロアコンベア姿勢に維持されたまま電着塗装Cに入ると、ワーク1は前転状に前部から電着塗料槽20内へ縦回転しながら没し、オーバーヘッドコンベア姿勢になって電着塗料槽20内へ全没する。
【0033】
電着塗料槽20内ではワーク1はさらに連続して縦回転を続け、やがて前部から液面へ出る。やがてワーク1全体が液面上へ出ると、元のフロアコンベア姿勢となり、ディッピング処理を終了する。
【0034】
ワーク1は、その後も縦回転を続けて、フロアコンベア姿勢、オーバーヘッドコンベア姿勢、フロアコンベア姿勢と縦回転して順次ワーク姿勢を変化させつつ水洗工程を行う。図中の丸付数字は図1の工程番号に対応している。
【0035】
このように、電着塗料槽20中でワーク1を縦回転させると、電着塗装を良好かつ効率的にできるとともに、この工程ではほとんどの範囲でワーク1の少なくとも一部が浸漬しているので、実質的浸漬時間に対して入出槽のみに要する浸漬に関与しないロス時間の割合を少なくでき、電着塗装の短縮が可能になる。そのうえ、電着塗料槽20からワーク1が出るとき、ワーク1は前部から連続的に出てくるので、この間に過剰な塗料をタレ切りしつつ均一な塗装を可能にする。
【0036】
このように、単一の処理においてワーク姿勢をフロアコンベア姿勢とオーバーヘッドコンベア姿勢に変化させる場合でも、いちいちキャリヤ3をフロアコンベアまたはオーバーヘッドコンベアへ移載する必要がなく、コンベア2を一定のまま連続してワーク姿勢を変化させることができるので、かかるワーク姿勢の変更に要する手間が著しく少なくなり、これに要する時間ロスを削減できる。
【0037】
次に、コンベア2の一部を可動にして横回転を実現するようにした第2実施例を説明する。図9〜図12は、第2実施例に係り、図9はコンベアの一部につき部分的に切り欠いて示す側面図、図10はその平面図、図11は図9の11−11線断面図、図12は回転時の状態を示す図11と同様の図である。
【0038】
これらの図において、略正四角形断面図の中空部材であるコンベア2の一部で、ワーク姿勢をフロアコンベア姿勢からオーバーヘッドコンベア姿勢等へ変化させる必要がある工程と対応する位置を別体の可動部30とする。
【0039】
この可動部30は、前後のコンベア2と同一断面であり、進行方向Fと直角な平面内で回転する横回転自在とする。すなわち、可動部30を挟んで、コンベア2の一方側内部にステップモータ31を固定し、その回転軸32をコンベア2及び可動部30の中心と平行に設け、可動部30の前後の縦壁33を貫通させるとともに縦壁33と一体回転可能に嵌合する。
【0040】
回転軸32の先端は他側のコンベア2の縦壁34へナット35で固定する。これにより、ステップモータ31が所定角度回転することにより、その回転角度と同じ角度で回転軸32と一体に結合する可動部30が一体に横回転する。
【0041】
コンベア2の底面は、長さ方向へ所定間隔で支柱36により床面上に支持される。可動部30には支柱36を設けず回転可能にする。キャリア3は、コンベア2及び可動部30が貫通するように、相似形でかつこれらより若干大きな四角穴状をなす本体部37を有し、この本体部37内をコンベア2及び可動部30が貫通することにより、キャリア3はコンベア2及び可動部30の上を案内されてモノレール状に進行方向へ移動可能である。
【0042】
本体部37の上面には支持ロッド38の一端が一体に取付けられ、その他端にワーク1が支持されている。また各面の前後左右計4ヶ所にローラー39が回転自在に支持され、これらがコンベア2及び可動部30の各面上を転動するようになっている。
【0043】
本体部37の前後両端部には円板状のフランジ40が設けられ、その一部でフロアコンベア姿勢時に下部となる部分は切り欠き部41が形成され、進行時の支柱36との干渉を避けるようになっている。このフランジ40は、略コ字状をなす係止部材42と常時係合し、この係合状態はキャリア3が横回転しても維持される。係止部材42はコンベア2と平行に配設されるベルト状の搬送駆動部材43へ固定され、搬送駆動部材43が進行方向Fへ動くことにより、係止部材42によってコンベア2及び可動部30のいずれかの上をキャリア3の横回転有無に関わらず進行方向Fへ移動する。
【0044】
次に、本実施例の作用を説明する。図13は電着塗装工程Cを示し、フロアコンベア姿勢でキャリア3がコンベア2上を移動し、コンベア2のうち電着塗料槽20の上方部分に設けられた可動部30上へ来ると停止する。ここでステップモータ31が180°回転すると、回転軸32と一体の縦壁33を介してキャリア3が180°横回転する。
【0045】
このため、ワーク1は横回転してオーバーヘッドコンベア姿勢等となり、電着塗料槽20中へ没し、塗料をディッピングにより付着させた後、さらに180°回転させると電着塗料槽20から出て当初のフロアコンベア姿勢へ戻る。
【0046】
このときステップモータ31の設定により電着塗料槽20内でワーク1を連続的に横回転させることも、間欠的に回転させることもでき、電着塗料槽20中を移動させることにより電着塗装を良好にする。
【0047】
そのうえ、コンベア2自体は上下に変化せず、同一水平面内で直線状を維持するので、ワーク1を直ちにディッピングでき、浸漬を入出槽のみに費やされて実質的に浸漬していないロス時間を著しく短縮できるから塗装時間全体を短縮できる。
【0048】
次に、同様の横回転機構に関する第3実施例を説明する。図14はコンベアの可動部部分の一部を切り欠いた側面図、図15はその作用を示す平面図、図16は横回転機構を進行方向Fと前方から示した作用を示す図である。
【0049】
これらの図において、コンベア2は角筒状をなして、一部に可動部30を有する。可動部30はステップモータ31によって横回転自在であり、ステップモータ31は可動部30を挟む一方側のコンベア2内へ固定され、回転軸32が可動部30の縦壁33を貫通して他側のコンベア2へ延びここでコンベア2側の縦壁34へ先端を固定されている。可動部30は縦壁33及び回転軸32が一体回転可能になることにより回転軸32と同期回転する。
【0050】
キャリア3はコンベア2及び可動部30の各一側面に沿って移動するように連結され、この側面に長さ方向へ連続して形成されているスリット9からコンベア2及び可動部30の内部へ、キャリア3の突部10が突出し、この突部10に前後上下の4隅に設けられたローラー11が支持されている。キャリア3はコンベア2及び可動部30の内部を転動するローラー11により移動自在であり、図示しない適宜駆動手段により進行方向へ移動する。
図15及び図16に明らかなように、キャリア3の一側面からは側方へ水平アーム50が延出し、その先端に自動2輪車の使用時における適宜状態でワーク1が持されている(図16A)。また、図15Aに示すように、コンベア2及び可動部30の一側(本実施例では左側)に支持されている。
【0051】
次に、本実施例の作用を説明する。図16の電着塗料槽20上へキャリア3が移動すると、キャリア3が停止し、ステップモータ31が180°回転する。これにより、可動部30が横回転するので、図16Bに示すオーバーヘッドコンベア姿勢等となり、前実施例と同様にディッピング処理可能になる。この処理については、前実施例同様になるので説明を省略する。
【0052】
なお、本願発明におけるワーク姿勢制御は、車体塗装ラインに限らず、例えば、その他の表面処理ラインに適用でき、さらには車体の組立ライン等、連続するワーク姿勢制御を必要とするものであれば種々な処理に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例(図1〜8)に係る車体塗装ライン全体の工程図
【図2】フロアコンベア状態を示す側面図
【図3】その平面図
【図4】同正面図
【図5】縦回転機構の要部断面図
【図6】その側面図
【図7】横回転機構を示す図
【図8】電着塗装におけるワーク姿勢制御を示す図
【図9】第2実施例(図9〜13)に係る可動部側断面図
【図10】その平面図
【図11】図9の11−11線断面図
【図12】図11の作動状態を示す図
【図13】電着塗装におけるワーク姿勢制御を示す図
【図14】第3実施例(図14〜16)に係る可動部側断面図
【図15】作用とともに示すその平面図
【図16】可動部を進行方向F前方から作用とともに示す図
【図17】従来の塗装ラインにおける工程図
【符号の説明】
1:ワーク、2:コンベア、3:キャリヤ、4:回転軸、5:縦アーム、7:ローラー、12:ピニオン、13:ラック、20:電着塗料槽、30:可動部
Claims (6)
- コンベアにワークを支持させ、ワーク姿勢を変化させながらディッピング処理をおこなう電着塗装工程を含む複数の処理工程を通過させて塗装するようにした搬送装置において、
ワーク姿勢を、コンベアの側方から見て、ワークがコンベア上方へ支持されるフロアコンベア姿勢と、コンベアの下方へ吊り下げ支持されるオーバーヘッドコンベア姿勢とに変化させる姿勢制御機構を備え、
さらにこの姿勢制御機構は、コンベアの進行方向と平行する垂直平面内にて、前記進行方向と直交する第1の回転軸の回りにワークを回転する縦回転のための縦回転機構及び前記進行方向と直交する垂直平面内にて、前記進行方向と平行な第2の回転軸の回りにワークを回転する横回転のための横回転機構の少なくともいずれかを備えるとともに、
前記電着塗装工程にて、前記縦回転機構もしくは横回転機構により、ワーク姿勢をフロアコンベア姿勢からオーバーヘッドコンベア姿勢に変化させ、さらにフロアコンベア姿勢と変化させながらディッピング処理をするよう連続的に制御することを特徴とする搬送装置。 - 前記複数の処理工程は、電着塗装工程に加えてスプレー式の上塗り工程を備え、この上塗り工程では、コンベアの進行方向から見てフロアコンベア姿勢におけるワークを横倒し状態でコンベアの側方へ水平に支持するサイドコンベア姿勢に変化させてスプレー塗装することを特徴とする請求項1に記載した搬送装置。
- 前記第1の回転軸はコンベアの側方へ突出し、この第1の回転軸の先端側へ前記第2の回転軸を介してアーム部材を揺動自在に設け、このアーム部材にワークを支持させるとともに、
第1の回転軸を回転させてその軸回りにワークを縦回転させることで前記電着塗装工程における姿勢制御をおこない、
前記第2の回転軸の回りにワークを揺動させて横回転させることにより前記上塗り工程における姿勢制御を行うことを特徴とする請求項2に記載した搬送装置。 - 前記上塗り工程において、縦回転と横回転を組み合わせてワーク姿勢を制御することにより、常にワークの塗装面を上にしてスプレーで水平塗装することを特徴とする請求項3に記載した搬送装置。
- 前記姿勢制御機構は、コンベアの一部に設けられた可動部を横回転させるようにした横回転機構を備え、前記電着塗装工程において、横回転機構によりワーク姿勢を変化させながら前記ディッピング処理をすることを特徴とする請求項1に記載した搬送装置。
- ワークを同一のコンベア上にて移載することなく各処理工程へ移動させながら、前記姿勢制御機構により、縦回転又は横回転させて、フロアコンベア姿勢、オーバーヘッドコンベア姿勢及びサイドコンベア姿勢へ連続的に制御することを特徴とする請求項2に記載した搬送装置。
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