JP4342214B2 - 多孔質筒体モジュール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数本の多孔質筒体が束ねられた多孔質筒体モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、特定のガスを選択的に透過させ得る多数の細孔(すなわち連通気孔)を有する多孔質筒体を備えたガス分離装置が知られている。この多孔質筒体は、例えばアルミナ等のセラミック多孔質材料で構成された円筒であり、例えばその円筒の外部から内部に透過したガスをその一方の端面から取り出して回収することによってガスが分離される。このようなガス分離装置では、可及的に小さな容積で大きなガス流量を得る目的で、一般に、径方向において相互に離隔した状態で複数本を束ねたモジュールの形態で上記多孔質筒体が用いられている(例えば特許文献1、2参照)。
【0003】
図6は、上記特許文献1に記載された多孔質筒体モジュール100の構成を水素ガス分離装置の高圧容器98内に収容した状態でその断面構造を以て説明する図である。図において、多孔質筒体モジュール100は、有底穴102を有する例えば円板状の封止体104に複数本の多孔質筒体106の一端が気密に固着されると共に、その他端部が円板状の支持体108の貫通孔110に刺し通されて気密に固着されることにより構成されている。上記封止体104および支持体108は、何れも緻密質のアルミナセラミックス等で構成されており、この支持体108が高圧容器98の一対のフランジ112,114で気密に挟持されている。そのため、高圧容器98の本体部116と支持体108との間には、気体流入口118から流入した気体が多孔質筒体106を透過する経路以外には流出し得ない閉空間が形成されるので、多孔質筒体106の周壁から内部に透過した気体は、その開放端120から排出されることになる。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−112111号公報
【特許文献2】
特開平6−191802号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の多孔質筒体モジュール100の透過性能(例えば透過流量)を測定する方法としては、モジュールに組み立てるに先立って多孔質筒体106の特性を一本ずつ評価する方法と、組み立てられた多孔質筒体モジュール100全体を評価する方法の2つが考えられる。前者の方法によれば、個々の測定が容易である反面、多数の多孔質筒体モジュール100を製造する場合に多大な手間や時間が必要になると共に、モジュール化した後に改めて封止部の気密性や耐熱衝撃性を確認しなければならない不都合がある。なお、一定の透過性能の多孔質筒体を安定して製造することは困難であるため、一部を測定した代表値でモジュール全体の特性を保証することはできない。
【0006】
これに対して、後者の方法によれば、多数の多孔質筒体モジュール100を製造する場合にも、測定回数が比較的少なく留められると共に気密性や耐熱衝撃性も同時に評価し得る。しかしながら、支持部108は、高圧容器98のフランジ112,114で気密に挟持できるように、様々な大きさや形状の高圧容器98毎に各々に合わせた寸法および形状で製造されるため、多孔質筒体モジュール100の透過性能等を測定する際にも、モジュール毎に合わせた封止構造を備えた測定用容器が必要となる不都合があった。
【0007】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的は、様々な大きさのものも共通の測定用容器で透過性能等を測定し得る多孔質筒体モジュールを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
斯かる目的を達成するため、本発明の多孔質筒体モジュールの要旨とするところは、(a)周壁の外部から内部に連通する多数の連通気孔を備え且つ一端がその周壁以上に緻密な材料から成る閉塞封止体で気密に閉塞された複数本の多孔質筒体と、(b)緻密質材料で構成され且つ気体室とその気体室内から外部に通ずる気体通路とを備え且つ前記複数本の多孔質筒体がその他端をその気体室内に開放された状態で気密に固着されることによりその気体室がそれら気体通路および複数本の多孔質筒体を通る経路で外部に連通させられた中空封止体と、(c)緻密質材料で構成され且つ前記気体通路に気密に固着されることにより一端が前記気体室内に開放され且つ他端が前記閉塞封止体を貫通して所定長さだけ突き出すことにより前記中空封止体の反対側に開放された緻密質筒体とを、含むことにある。
【0009】
【発明の効果】
このようにすれば、一端を緻密質の閉塞封止体で気密に閉塞された複数本の多孔質筒体の他端が中空封止体に備えられた気体室内に開放されると共に、その中空封止体には気体室内から外部に通ずる気体通路が備えられ、その気体室が気体通路および多孔質筒体を通る経路で外部に連通させられ、更に、一端がその気体室内に開放され且つ他端が閉塞封止体を貫通して突き出すことによって中空封止体の反対側に開放された緻密質筒体が備えられているので、すなわち、他の部分は気密な構造とされているので、多孔質筒体モジュールには、多孔質筒体の周壁から気体室、気体通路、および緻密質筒体を経由して外部に至る通気経路が形成される。そのため、多孔質筒体の周壁を外部から内部に透過した気体は緻密質筒体から外部に流出させられることから、多孔質筒体モジュールの透過性能等を測定するに際しては、例えば気体流入口と気体回収口とを有する測定用容器内に多孔質筒体モジュールを納めてその緻密質筒体を気体回収口に気密に接続すると共に、測定用容器を気密に封止すれば足りる。したがって、測定用容器全体の気密封止構造と、緻密質筒体と気体回収口との気密接続構造とを別々に構成できるため、多孔質筒体モジュール全体の大きさとは無関係に、その緻密質筒体を気体回収口との接続構造に応じた一定の形態で設けることにより、種々の大きさの多孔質筒体モジュールの透過性能等を、一定の大きさおよび構造に構成された共通の測定用容器を用いて測定できる。上記により、様々な大きさのものも共通の測定用容器で透過性能等を測定し得る多孔質筒体モジュールが得られる。また、複数本の多孔質筒体の一端が閉塞封止体に気密に固着されていることから、多孔質筒体を当初からその一端が閉塞された形状で構成する場合や、一本ずつ別個に一端を閉塞する場合に比較して多孔質筒体の製造や閉塞構造の構成が容易になると共に、閉塞封止体によって多孔質筒体がその一端側においても一体化させられるので、多孔質筒体モジュール全体の機械的強度が高められる利点がある。また、気体通路に緻密質筒体が気密に接続されることから、中空封止体の外部において開放されたその緻密質筒体の他端を測定用容器の気体回収口等に気密に接続することにより、気体通路と気体回収口とを気密に接続することができるので、中空封止体に設けられた気体通路を直に気体回収口に接続する場合に比較して接続作業が容易になり、延いては気密性の確保が容易になる利点がある。また、緻密であることから多孔質筒体に比較して機械的強度の優る緻密質筒体が中空封止体および閉塞封止体間に設けられるため、緻密質筒体が中空封止体のみに接続されている場合に比較して機械的強度が高められる。
【0010】
しかも、上記のように多孔質筒体モジュールが構成されていることから、これをガス分離装置等の装置内に組み込むに際しても、測定用容器内に設置する場合と同様に容器全体の気密封止構造と気体通路と気体回収口との気密接続構造とを別々に構成できるので、装置構成や組み付け作業が簡単になる利点がある。
【0012】
ここで、好適には、前記多孔質筒体モジュールは、前記緻密質筒体の内壁面に固着された所定の機能を有する機能層を含むものである。このようにすれば、多孔質筒体を透過して緻密質筒体内に流れ込んだ気体は、その開放端に向かって流れる過程でその内壁面に設けられた機能層と接触させられる。そのため、その機能層の機能に応じて、多孔質筒体モジュールを気体の改質等に用いることができる。すなわち、緻密質筒体が備えられた態様においては、その周壁が元々気体を透過させないことからその内壁面に何らかの層(或いは膜)を形成してもモジュール全体の透過性能に何ら影響せず、しかも、その緻密質筒体内を流れる過程でその内壁面に気体が長時間に亘って接触させられるため、その内壁面に機能層を設けることにより好適に気体と反応させ得るのである。例えば、触媒層が機能層として設けられる場合には、その触媒の構成に応じて気体中の有害成分の除去、減少、或いは無害化等が可能である。また、吸着層が機能層として設けられる場合には、その吸着材料の構成に応じて気体中の水分等の不純物を吸着して除去或いは減少させることが可能である。
【0015】
また、好適には、前記中空封止体は、前記多孔質筒体および前記緻密質筒体が差し込まれ且つ気密に固定された複数個の貫通孔をその一面から他面に貫通して備えた板状の端部結合部材と、その他面との間に前記気体室が形成されるようにその端部結合部材に気密に固着された蓋部材とを含むものである。このようにすれば、中空封止体が端部結合部材および蓋部材を含む少なくとも2つの部材で構成されることから、その中空封止体への多孔質筒体および緻密質筒体の接続作業が容易になる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において、各部の寸法比や形状は必ずしも正確に描かれていない。
【0017】
図1は、本発明の一実施例の多孔質円筒モジュール(以下、モジュールという)10の全体を示す斜視図であり、図2は、その長手方向に沿った断面を中間部を省略して示す図である。これらの図において、モジュール10は、複数本、例えば6本の多孔質円筒12と、1本の緻密質円筒14と、それら多孔質円筒12および緻密質円筒14の両端部にそれぞれ嵌め合わされたエンドキャップ16,18とを備えて構成されている。
【0018】
上記の多孔質円筒12は、例えば、外径が6(mm)程度、内径が4(mm)程度、長さ寸法が400(mm)程度の大きさを備えて断面が円環状を成し、一端20および他端22がそれぞれ開放されたものである。また、この多孔質円筒12は、例えば気孔率が30〜40(%)程度の多孔質のアルミナ・セラミックスから成るものであって、例えば4(nm)程度の平均細孔径を備えた微細な多数の細孔がその周壁24の表面26から内面28まで連通して形成されており、その周壁24を例えば窒素や水素のような気体が透過し得るように構成されている。
【0019】
また、上記の緻密質円筒14は、例えば外径が6(mm)程度、内径が4(mm)程度、長さ寸法が500(mm)程度の大きさを備えて断面が円環状を成し、一端30および他端32がそれぞれ開放されたものである。また、この緻密質円筒14は、例えば気孔率が0〜5(%)程度すなわち多孔質円筒12よりも十分に緻密な緻密質のアルミナ・セラミックスから成るものであって、その周壁34は気体が透過し得ないように構成されている。
【0020】
また、前記のエンドキャップ16,18は、何れも緻密質円筒14と同様な緻密質のアルミナ・セラミックスから成り、略円板状を成すものである。エンドキャップ16は、中央部に厚み方向に貫通する貫通孔36が備えられると共に、エンドキャップ18側の一面38に開口する例えば6個の有底穴40がその周囲に備えられたものである。上記貫通孔36は、エンドキャップ16の中心に位置し、有底穴40は、その周囲の一円周上に一定の間隔で、すなわち例えば60度程度の間隔で配置されている。
【0021】
また、前記のエンドキャップ18は、エンドキャップ16とは反対側の一面44に環状の段付部46が形成されると共に、更にその内周に凹所48が形成されたものである。この凹所48には、一面44側から他面50に貫通する例えば7個の貫通孔52、53が備えられている。これら7個の貫通孔52、53は、1個(貫通孔53)がエンドキャップ18の中心に位置し、残る6個(貫通孔52)がその周囲の一円周上に一定の間隔で配置されている。この貫通孔52が配置されている円周の直径は、有底穴40が配置されている円周の直径と同じ大きさである。
【0022】
また、上記のエンドキャップ18の一面44には、上記の凹所48を閉じる円板状のエンドカバー54が例えばシール・ガラス等の封着材56で気密に固着されており、それらの間に気体室58が形成されている。このエンドカバー54も、エンドキャップ18と同様に緻密質のアルミナ・セラミックス等で構成され、気体を透過させないものである。
【0023】
前記の多孔質円筒12および緻密質円筒14は、このように構成されたエンドキャップ16,18の貫通孔36,52、53に刺し通されると共に、有底穴40に嵌め入れられており、何れもシール・ガラス等の封着材56で気密に固着されている。この結果、上記の図2から明らかなように、多孔質円筒12は、その一端20が緻密なエンドキャップ16に閉塞されると共に、他端22が緻密なエンドキャップ18とエンドカバー54との間に形成された気体室58内に開放されており、一方、緻密質円筒14は、その他端30がエンドキャップ16の他面42側に突き出して開放されると共に、一端32が上記の気体室58内に開放されている。そのため、上記の多孔質円筒12の周壁24を透過して気体がその内部に入ると、その開放された他端22から気体室58内に向かって流れ、緻密質円筒14にその一端32から流れ込んだものがその内部を他端30に向かって流れ、その開放された他端30から流れ出ることになる。本実施例においては、エンドキャップ16が閉塞封止体に相当し、エンドキャップ18およびエンドカバー54によって中空封止体が構成されている。また、緻密質円筒14が嵌め入れられた貫通孔53が気体通路に相当する。
【0024】
以上のように構成されたモジュール10は、よく知られたセラミック製造技術を用いて、前述したような各特性を備えたエンドキャップ16,18、エンドカバー54、多孔質円筒12、および緻密質円筒14を作製し、これらを組み合わせて固着することにより製造される。エンドキャップ16,18、エンドカバー54は、例えば粉末プレス成形および切削加工等によって成形され、多孔質円筒12および緻密質円筒14は、例えば押出成形や冷間静水圧加圧成形および切削加工等によって成形される。また、原料は、所望とする気孔率に応じて焼結特性の異なるものや添加物を含むもの等が適宜用いられる。また、必要な寸法・形状精度を得るために、焼結後に適宜研削加工が施される。
【0025】
そして、各部品を製造した後、例えば、エンドキャップ16に緻密質円筒14を貫通させると共に、多孔質円筒12を差し込んでそれぞれ封着材56で固着し、それらの他端側にエンドキャップ18を嵌め合わせて封着材56で固着し、更に、そのエンドキャップ18の一面44にエンドカバー54を嵌め入れて封着材56で固着することによりモジュール10が製造される。
【0026】
図3は、モジュール10の使用状態を説明するための模式図である。図において、モジュール10は反応容器60内に図示しない固定装置等を用いて固定されており、そのエンドキャップ16から突き出した緻密質円筒14の開放端がジョイント62によってガス導出口(すなわち気体流入口)64に気密に接続されている。この反応容器60は、気密に構成されたものであって、その側面にガス導入口66が設けられると共に、左端部に上記のガス導出口(すなわち気体回収口)64が設けられたものである。ガス導出口64は、反応容器60の蓋68に設けられており、その蓋68は、図示しないボルト等の締結装置によって気密に容器本体に取り付けられている。また、ガス導入口66には、バルブ70を介してガス供給源72が接続され、一方、ガス導出口64には、バルブ74を介してガス流量等を測定するための測定装置76が接続されている。すなわち、モジュール10は、気密な反応容器60内に配置され、且つその緻密質円筒14がガス導出口64に気密に接続されているが、その反応容器60内には気密な仕切は何ら存在しない。
【0027】
このような装置構成において、バルブ70、74を開けてガス供給源72から例えば窒素等の所定の気体を反応容器60内に供給すると、反応容器60は気密に構成されていることから、供給された気体は、唯一の流通経路である多孔質円筒12の周壁を透過してその内部に流れ込む。図において、矢印は気体の流通方向を表している。多孔質円筒12内に流入した気体は、気体室58内に向かって流れ、更に、その気体室58を経由して緻密質円筒14内に流れ込む。そして、その緻密質円筒14からガス導出口64を経て測定装置76に気体が導かれる。すなわち、このように気体流通経路が構成されていることから、緻密質円筒14のガス導出口64側が相対的に負圧となるので、ガス供給源72から適当な圧力で気体が供給されると、多孔質円筒12の周壁24を透過し、透過した気体が全て緻密質円筒14に流れるのである。また、ガス導出口64には緻密質円筒14が気密に接続されていることから、反応容器60内に導入されたガスは、多孔質円筒12を経て緻密質円筒14を通る経路のみでガス導出口64に送られる。したがって、測定装置76で測定されるガス流量は、モジュール10の透過流量となる。
【0028】
下記の表1は、このような装置構成でモジュール10の多孔質円筒12の構成材料を種々変更して窒素ガスを流した場合の透過流量を測定した結果を示したものである。なお、下記の各実施例では、多孔質円筒12の細孔径を構成材料を変更することで変化させた他は、前述したものと同様な構成とした。下記に示される通り、モジュール10を構成する多孔質円筒12を下記のような種々の細孔径の場合にも、何ら支障なく透過流量を測定できることが確かめられた。すなわち、本実施例に示されるようなバンドル構造としても、図6に示されるような従来のバンドル構造の場合と何ら特性に相違の無いことが判った。
【0029】
【0030】
要するに、本実施例によれば、一端20を閉塞された複数本の多孔質筒体12の他端22がエンドキャップ18とエンドカバー54との間の気体室58内に開放されると共に、そのエンドキャップ18には気体室58内から外部に通ずる貫通孔53が備えられ、更に、その気体室58が貫通孔53および多孔質筒体12を通る経路で外部に連通させられているので、モジュール10には、多孔質筒体12の周壁24から気体室58および貫通孔53を経由して外部に至る通気経路が形成される。そのため、多孔質筒体12の周壁24を外部から内部に透過した気体は貫通孔53から外部すなわち測定装置76に向かって流出させられることから、モジュール10の透過性能等を測定するに際しては、反応容器60内にモジュール10を納めてその貫通孔53をガス導出口64に気密に接続すると共に、反応容器60を気密に封止すれば足りる。したがって、反応容器60全体の気密封止構造と、貫通孔53とガス導出口64との気密接続構造とを別々に構成できるため、モジュール10全体の大きさとは無関係に、その貫通孔53をガス導出口64との接続構造に応じた一定の形態で設けることにより、種々の大きさのモジュール10の透過性能等を、一定の大きさおよび構造に構成された共通の反応容器60を用いて測定できる。
【0031】
しかも、本実施例においては、モジュール10は、貫通孔53に気密に固着されることにより一端32が気体室58内に開放され且つ他端30が外部に開放された緻密質筒体14を含むことから、エンドキャップ18の外部において開放されたその緻密質筒体14の他端30を反応容器60のガス導出口64に気密に接続することにより、貫通孔53とガス導出口64とを気密に接続することができる。したがって、貫通孔53を直にガス導出口64に接続する場合に比較して接続作業延いては気密性の確保が容易である。
【0032】
また、本実施例においては、多孔質筒体12にその一端20を閉塞した状態で気密に固着されたエンドキャップ16を含むことから、多孔質筒体12を当初からその一端20が閉塞された形状で構成する場合や、一本ずつ別個に一端20を閉塞する場合に比較して製造や閉塞構造の構成が容易になると共に、エンドキャップ16によって多孔質筒体12がその一端20側においても一体化させられるので、モジュール10全体の機械的強度が高められる利点がある。
【0033】
また、本実施例においては、緻密であることから多孔質筒体12に比較して機械的強度の優る緻密質筒体14がエンドキャップ16、18間に設けられるため、一層機械的強度が高められる。
【0034】
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の実施例において、前述した実施例と共通する部分は同一の符号を付して説明を省略する。
【0035】
図4に示されるモジュール78は、前記の緻密質円筒14の内壁面に触媒層80を固着したものであるが、他の構成はモジュール10と全く同一である。触媒層80は、例えば、0.1(wt%)程度の割合で白金を含むアルミナから成るものであり、例えば、100(μm)程度の厚さ寸法で、緻密質円筒14の全長に亘って設けられている。このようなモジュール78では、多孔質円筒12および気体室58を経由して緻密質円筒14内に気体が流れ込むと、その内壁面上に設けられた触媒層80と接触しつつ開放端30に向かわせられる。そのため、その流通過程で触媒との間で気体が反応させられるので、例えば有害な気体を除去することができる。
【0036】
例えば、ガス供給源72から送られる気体がH2、H2O、O2の混合ガスである場合に、100(ml/min)程度の流量で流したところ、その混合ガス中のCO濃度が供給側で1000(ppm)であったのに対し、出口側で8(ppm)程度まで低下させられた。また、同様な供給側濃度で流量を1000(ml/min)程度とした場合には、出口側におけるCO濃度を50(ppm)程度に低下させることができた。また、導入する混合ガスを空気(air)と水素との混合ガスとした場合には、1000(ml/min)程度の流量で、供給側におけるVOC濃度が10000(ppm)程度であった場合に、出口側で500(ppm)程度まで低下させることができた。
【0037】
また、上記のような触媒層80に代えて他の触媒層を設けて気体中の微少量の不純物を除去することもできる。また、触媒層80に代えて、吸着層82を設けることもできる。例えば、マグネシウムおよびリチウム化合物を含む吸着層82を設けた場合には、気体中のCO2を除去することができる。また、シリカゲルやモレキュラーシーブ等で吸着層82を構成した場合には、気体中に含まれる微小水を除去することが可能である。
【0038】
図5は、更に他の実施例のモジュール84を表す側面図である。このモジュール84は、有底穴40を備えているが貫通孔36は備えていないエンドキャップ86と、貫通孔52を備えているが貫通孔53は備えていないエンドキャップ88と、貫通孔90を備えたエンドカバー92と、複数本の多孔質円筒12と、緻密質円筒14より短い緻密質円筒94とから構成されている。このモジュール84においても、緻密質円筒94および多孔質円筒12の一端がそれぞれ気体室58内に開放されていると共に、多孔質円筒12の他端がエンドキャップ86によって閉塞されているので、気体の取出方向がモジュール10とは反対に気体室58が備えられたエンドキャップ88側となっているが、モジュール10と同様に用いられ得る。
【0039】
以上、本発明を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施できる。
【0040】
例えば、実施例においては、モジュール10、78,84は全体がアルミナ・セラミックスやアルミナとシリカの混合材料等で構成されていたが、気体を前述したような経路で流通させ得るのであれば、他のセラミック材料で構成することもでき、また、使用環境に応じた種々の他の材料で構成することもできる。
【0041】
また、緻密質円筒14等の構成材料は、多孔質円筒12、エンドキャップ16,18等の構成材料と同一或いは同一系統である必要もなく、樹脂や金属材料等で構成しても良い。但し、モジュール10が例えば温度変化の生じ得る環境で用いられる場合には、他の構成材料と可及的に熱膨張係数の相違の小さい材料で構成することが望ましい。例えば、コバール等の金属が好適に用いられる。
【0042】
また、実施例においては、両端の開放された多孔質円筒12が用いられ、その一端20がエンドキャップ16で閉じられていたが、これに代えて有底の多孔質円筒を用いれば、エンドキャップ16は無用である。また、緻密質のエンドキャップ16に代えて、多孔質円筒12の周壁24よりも十分に気孔率の小さい多孔質材料から成るエンドキャップを用いることもできる。
【0043】
また、実施例においては、エンドキャップ16が多孔質円筒12の一端20を完全に閉じるものであったが、エンドキャップ18と同様に構成されることにより、複数本の多孔質円筒12内に流入した気体がその一端20側でも相互に流通し得るように構成されていても良い。
【0044】
また、実施例においては、多孔質円筒12の本数が6本、緻密質円筒14の本数が1本とされると共に、何れも外径6(mm)、内径4(mm)とされていたが、これらの本数や大きさはモジュール10の用途に応じて適宜変更され、また、多孔質円筒12と緻密質円筒14とが同一の断面寸法・断面形状に形成されている必要もない。また、円筒に限られず、角筒状等の種々の断面形状の筒体も同様に用いられ得る。
【0045】
また、実施例においては、気体通路として機能する貫通孔53に緻密質円筒14が嵌め入れられて気密に固着されることにより、その緻密質円筒14の他端30から気体が排出され、或いは、貫通孔90に緻密質円筒94が嵌め入れられて気密に固着されることにより、その一端から気体が排出されるように構成されていたが、緻密質円筒14,94は、測定装置76やモジュール10,78,84が組み込まれる装置のガス導出口64等との接続を容易にするために設けられているものである。そのため、例えば貫通孔53,90を予め定められた一定の位置および大きさで設け、測定装置76等にこれに対応する接続部材を用意する等の構成とすれば、緻密質円筒14等は備えられていなくとも良い。
【0046】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の多孔質筒体モジュールの全体を示す斜視図である。
【図2】図1の多孔質筒体モジュールの縦断面を示す図である。
【図3】図1の多孔質筒体モジュールを気密容器内に納めた状態で示す模式図である。
【図4】本発明の他の実施例の多孔質筒体モジュールの縦断面を示す図である。
【図5】本発明の更に他の実施例の多孔質筒体モジュールの縦断面を示す図である。
【図6】従来の多孔質モジュールの構成を説明するためのガス分離装置の断面図である。
【符号の説明】
10:多孔質円筒モジュール
12:多孔質円筒
14:緻密質円筒
16,18:エンドキャップ
53:貫通孔
54:エンドカバー
58:気体室
60:反応容器
64:ガス導出口
Claims (2)
- 周壁の外部から内部に連通する多数の連通気孔を備え且つ一端がその周壁以上に緻密な材料から成る閉塞封止体で気密に閉塞された複数本の多孔質筒体と、
緻密質材料で構成され且つ気体室とその気体室内から外部に通ずる気体通路とを備え且つ前記複数本の多孔質筒体がその他端をその気体室内に開放された状態で気密に固着されることによりその気体室がそれら気体通路および複数本の多孔質筒体を通る経路で外部に連通させられた中空封止体と、
緻密質材料で構成され且つ前記気体通路に気密に固着されることにより一端が前記気体室内に開放され且つ他端が前記閉塞封止体を貫通して所定長さだけ突き出すことにより前記中空封止体の反対側に開放された緻密質筒体と
を、含むことを特徴とする多孔質筒体モジュール。 - 前記緻密質筒体の内壁面に固着された所定の機能を有する機能層を含むものである請求項1の多孔質筒体モジュール。
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