以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態における建築図面データ変換装置の構成を示すブロック図である。この建築図面データ変換装置は、CPU1と、書き換え可能な不揮発性メモリからなる第1のメモリ2と、SRAM又はDRAM等のRAMからなる第2のメモリ3と、データ入力部4と、ディスプレイ5と、プリンタ6と、操作入力部7とを有している。
CPU1は、第1のメモリ2に記憶されている建築図面データ変換プログラムを含むコンピュータプログラム2aを実行することにより、後述する各ハードウェア(3〜7)の制御を行うと共に、2次元CADにより作成された建築図面データ(2次元CADデータ)から、3次元CADにより建築物の立体表示が可能なデータ(3次元CADデータ)を生成する。第2のメモリ3は、例えばSRAM又はDRAM等で構成され、CPU1によるコンピュータプログラム2aの実行時に発生する一時的なデータ等を記憶する。
データ入力部4は、例えばDXF、DWG、JWC、FX、JX等のいずれかの形式を用いて2次元CADにより作成された建築図面データが記録されているDVD(Digital Video DiscもしくはDigital Versatile Disc)あるいはフロッピー(登録商標)ディスク等からデータを読み出すデータ読出し装置である。ディスプレイ5は、CRT又はLCD等で構成される表示装置である。プリンタ6は、一般的な印字装置である。操作入力部7は、キーボード及びマウス等で構成され、オペレータが建築図面データ変換装置に対して各種の指示等を行うために用いられる。
第1のメモリ2には、建築図面データ変換装置の動作に必要なコンピュータプログラム2a及び建築図面認識用辞書2bを記憶している。建築図面認識用辞書2bは、各々の建築図面の記載内容を認識するために必要な情報によって構成され、各々の建築図面の記載ルールと、各建築図面に使用される語句及び連語等の用語を集録している建築図面用語集とを含んでいる。
本実施の形態で用いる建築図面は設計図書であり、この建築図面には、各々の部材リスト、通り芯線図、各々の軸組図、各階の柱芯案内図、基礎伏図、各階の床伏図、各々の立面図、各階の平面詳細図、建築物を垂直に切った断面を示す断面図、矩計図、建具表、各階の建具配置図、階段詳細図等がある。
本実施の形態の建築図面データ変換装置では、これらの建築図面が電子データにより構成されている建築図面データ、例えば2次元CAD等を用いてDXF形式等により作成された建築図面データを入力し、3次元CADにより建築物の立体的な表示が可能なデータを生成する。
次に、本実施の形態の建築図面データ変換装置の動作について説明する。図2〜図4は、CPU1がコンピュータプログラム2aに含まれる建築図面データ変換プログラムを実行することにより実現される建築図面データ変換装置の動作を示すフローチャートである。ここでは、鉄筋コンクリート造りの3階建ての建築物の建築図面を例に説明する。図6〜図19は、それぞれ、データ入力部4から入力される建築図面データにより表現されている上記建築物の建築図面の一例を示す図である。
図6は、この建築物の柱、壁等の建築部材の平面配置の位置決めの基準として用いられる基準線である通り芯を示す通り芯線図を示す図である。図6において、丸囲みされた記号(X1、X2、・・・X9、Y1、Y2、Y3)は通り芯を特定するためのものであり、以降の説明では、丸囲みされた記号を、単に、X1、X2、・・・X9、Y1、Y2、Y3と記載する。また、以下では、これらの通り芯を基準線ともいう。
なお、以下で説明する図7〜図11等では、通り芯X6〜X8の部分のみを図示し、他の部分の図示は省略している。
図7は、1階柱芯案内図であり、これは1階の柱の配置を通り芯を基準にして示した平面図である。これには、通り芯X1〜X9と通り芯Y1〜Y3との各交点に配置される柱(C1等)が示される。同様に、2階柱芯案内図及び3階柱芯案内図も存在するが、ここでは図示を省略する。
図8は、基礎伏図であり、1階のスラブ(床版)よりも下の部分を見下げて、基礎(ベース)等の配置を通り芯を基準にして示した図である。これには、基礎F16、F18、F20と、1階の柱の下部同士を繋ぐ基礎梁FG1、FG4、FG8、FG13、FG14等が示されている。
図9は、1階床伏図であり、1階の途中から見下げて、1階のスラブ及び壁等の配置を通り芯を基準にして示した図である。これには、スラブS1、S2(注記事項42内)、柱C1、C7、C8、C9、梁と梁とを繋ぐ梁である小梁B11、B13、B13A及び壁W15(注記事項42内)、W18、EW18、EW25等が示されている。この1階床伏図に示された小梁(B11等)は、基礎梁と基礎梁とを繋ぐ梁である。基礎梁の下面は地面に接しているが、1階床伏図に示された小梁の下面は地面から浮いた状態である。
図10は、2階床伏図であり、2階の途中から見下げて、2階のスラブ及び壁等の配置を通り芯を基準にして示した図である。これには、スラブS2(注記事項43内)、柱C1、C7、C8、C9、柱の上部同士を繋ぐ梁である大梁G1、G5、G6、G7、G12、小梁B6、B11、B13及び壁W15(注記事項43内)、W18等が示されている。同様に、3階床伏図、R階(屋上階)床伏図も存在するが、ここでは図示を省略する。2階及び2階より上階の床伏図に示された小梁は、大梁と大梁、大梁と他の小梁、他の小梁同士を繋ぐ梁である。
図11は、Y1通り軸組図であり、図6のY1−Y1のライン上(Y1通り)における建築物の軸組(柱及び梁等)を示す垂直投影図である。同様に、Y2通り軸組図、Y3通り軸組図も存在するが、ここでは図示を省略する。
また、図6のX1−X1のライン上(X1通り)における建築物の軸組(柱及び梁等)を示す垂直投影図であるX1通り軸組図も存在するが、ここでは図示を省略する。同様に、X2通り軸組図〜X9通り軸組図も存在するが、ここでは図示を省略する。
本実施の形態において、データ取得の対象にする建築部材は、基礎(ベース)、柱、基礎梁、大梁、小梁、躯体である壁(以下、「躯体壁」ともいう)、スラブ(基礎スラブを含む)及び階段等の躯体部材と、間仕切り壁等の躯体ではない壁(以下、「非躯体壁」ともいう)とである。階段以外の躯体部材を種類別にその寸法等を記載した一覧表が部材リストである。また、壁(躯体壁及び非躯体壁)の開口に配置される建具(窓、ドア)の寸法等を記載した一覧表が建具表である。
図12は、部材リストの1つである柱リストを示す図であり、各柱(各階の同一記号で示される柱)について、上欄から順に、柱の断面図を記載する欄、主筋の本数及び直径を記載する欄、及び、フープの直径及びピッチ等を記載する欄が設けられている。
例えば、1階の柱C1の断面図では、柱の断面形状が四角形であり、柱の幅(X方向の幅)と奥行(Y方向の幅)がともに800(mm)であることが示されている。また、断面図に示された丸や他の欄に示された情報は、ここでは関係ないので説明を省略する。
柱については、同一記号であっても、その構造が各階によって異なるので、図12のように各階ごとに分けて示される。
図13は、部材リストの1つである大梁リストを示す図であり、各大梁(各階の同一記号で示される大梁)について、さらにその位置ごとに、その断面図とその大梁に使用される鉄筋(上端部分に配置される主筋である上端筋、下端部分に配置される主筋である下端筋、スターラップ及び腹筋)の本数、直径等が記載されている。図13では、各大梁について、上欄から順に、大梁のどの部分であるかの位置を示す欄、その部分(位置)の断面図を記載する欄、上端筋の本数及び直径を記載する欄、下端筋の本数及び直径を記載する欄、スターラップの本数、直径及びピッチを記載する欄、及び、腹筋の本数及び直径を記載する欄が設けられている。
例えば、R階の大梁G1については、位置の欄に「端部」と「中央」と記載されており、これはその下の欄に大梁の端部部分と中央部分とについての構成が記載されていることを示す。したがって、その下の断面図には、その大梁の端部と中央部分の断面図が示され、大梁の中央部分の幅が450(mm)で、梁成(梁の高さ寸法)が900(mm)であることが示され、端部部分の幅が450(mm)で、梁成は中央部分と同じ900(mm)であるためその記載が省略されている。また、断面図に示された丸や線、及び他の欄に示された情報は、ここでは関係ないので説明を省略する。なお、図13の例では、各梁について、端部と中央の位置に分けて示されているが、端部と中央の内部の鉄筋の構成が全く同じであれば、位置を分けずに示される。この場合、位置の欄に例えば「全断面」と記載される。また、同一の大梁についての端部と中央の外形の寸法は同じである。
また、他の梁のリストとして、大梁リストと同様にして示される基礎梁リスト(基礎梁FG1、FG4、FG5等のリスト)や、小梁(小梁B11、13等)のリスト等があるが、これらは説明の簡単化を図るため、省略する。
なお、大梁については、同一記号であっても、その構造が各階によって異なるので、図13のように2階からR階までの各階ごとに分けて示されるが、小梁については階別には分けられずに示される。また、基礎梁については、最下階(本実施の形態では1階)の柱の下部同士の間に繋がれているので、階別には分けられずに示される。本実施の形態の場合、1階のフロアライン(1FL:図11参照)のすぐ下に基礎梁が位置し、2階のフロアライン(2FL:図11参照)のすぐ下に2階の大梁が位置し、3階のフロアライン(3FL:図11参照)のすぐ下に3階の大梁が位置し、R階(屋上階)のフロアライン(RFL:図11参照)のすぐ下にR階の大梁が位置している。
また、図14は、部材リストの1つである壁リストを示す図であり、各壁(躯体壁)について、上欄から順に、壁の断面図を記載する欄、縦筋の直径及びピッチ等を記載する欄、及び、横筋の直径及びピッチ等を記載する欄、及び開口補強筋(窓等の開口部分の近傍に配置される鉄筋)の仕様を記載する欄が設けられている。
例えば、壁W12の断面図には、壁の厚さが120(mm)であることが示されている。また、断面図に示された丸や他の欄に示された情報は、ここでは関係ないので説明を省略する。
また、図15は、部材リストの1つであるスラブリスト(スラブ配筋リスト)を示す図である。このスラブリストには、記号別に分けられた各スラブ(床版)について、そのスラブの厚さ(版厚)、短辺方向及び長辺方向に使用される鉄筋(上端筋及び下端筋)の直径及びピッチ等が示されている。
例えば、スラブS1については、その厚さが150(mm)であることが示されている。
また、図16は、部材リストの1つである基礎リストを示す図である。この基礎リストには、記号別に分けられた基礎(ベース)について、その断面図(縦断面図)と平面図とが示されている。断面図には、基礎の高さ寸法及びグランドライン(設計GL)から基礎の上端までの深さ、グランドライン(設計GL)から基礎の下端までの深さ等が示され、平面図には、基礎のX方向の寸法及びY方向の寸法等が示されている。
例えば、基礎F2では、断面図に、基礎の高さ寸法(基礎自体の高さ)が1000(mm)、グランドラインから基礎の上端までの深さが700(mm)、グランドラインから基礎の下端までの深さが1700(mm)であることが示されている。また、その下の平面図に、基礎のX方向の寸法が2000(mm)、Y方向の寸法が1000(mm)であることが示されている。
また、図17は、建具表を示す図であり、窓及びドア等の各建具について、姿図及び形式等が記載する欄が設けられている。姿図には、その建具の幅、高さ寸法、フロアライン(FL)からの高さが示されている。
例えば、窓AW−2では、その幅が2500(mm)、高さ寸法が760(mm)、フロアラインからの高さが1820(mm)であることが示されている。
また、図18は、1階の建具配置図であり、建具配置図は階別に作成されている。2階及び3階の建具配置図の図示は省略する。円内に、AW−2(窓記号の一例)やSD−3(ドア記号の一例)等の建具の記号が示されている。
また、図19は、1階の平面詳細図であり、平面詳細図は階別に作成されている。2階及び3階の平面詳細図の図示は省略する。
各々の建築図面には、図6〜図19に示されるように、何の建築図面であるかが記載されているタイトル欄21〜34がある。これらのタイトル欄21〜34は、各建築図面の外枠の上部に設けられているが、下部に設けられてあってもよいし、上部と下部の両方に設けられてあってもよい。
さらに、これら以外に、建築図面としては、前述したように種々の図面等があるが、これらについては説明の簡単化を図るため、省略する。
次に、第1のメモリ2に記憶されている建築図面認識用辞書2bについて説明しておく。建築図面認識用辞書2bに含まれる各々の建築図面の記載ルールは、例えば図6〜図19の説明で述べたように、各建築図面に含まれるそれぞれの情報がどのようにして記載されているかを示す情報である。CPU1は、この記載ルールに基づいて、後述の各々の建築図面(建築図面ファイル3b)に含まれる情報すなわち各建築図面に記載されている情報を認識する。例えば、直角に交差する通り芯の記載方法としては、図6のように一方向が丸囲み記号のX1、X2、・・・で記載され、他方向が丸囲み記号のY1、Y2、・・・で記載される場合や、一方向が丸囲み記号の1、2、3・・・で記載され、他方向が丸囲み記号のA、B、C、・・・で記載される場合等があり、通り芯についてはこのようにして記載されることが記載ルールに登録されている。また、寸法の記載方法としては、例えば、線分の両端の端点に黒丸等が付されているその線分を寸法線とし、その寸法線の近傍に数字によって寸法(寸法値)が記載される。このようにして寸法が記載されることが記載ルールに登録されている。また、建築物を構成する各部材がどのような記号を用いて記載されているかということも記載ルールに登録されている。例えば、柱はCと数字の組合せ等からなる記号で記載され、大梁はGと数字の組合せ等からなる記号で記載され、基礎梁はFGと数字の組合せ等からなる記号で記載され、小梁はBと数字の組合せ等からなる記号で記載され、壁はW、EWと数字の組合せ等からなる記号で記載され、地面と接するスラブ(基礎スラブ)はFSと数字の組合せ等からなる記号で記載され、他のスラブはSと数字の組合せ等からなる記号で記載され、基礎はFと数字の組合せ等からなる記号で記載される。また、窓は、AWと数字の組合せ等からなる記号で記載され、ドアは、SDと数字の組合せ等からなる記号で記載される。このようにして、各部材の記号が記載されることも記載ルールに登録されている。なお、上記の記号の記載方法は一例であり、上記の方法に限られるものではない。
また、記載ルールは、各々の建築図面に応じて作成されており、例えば図7のような柱芯案内図と図12のような柱リストとでは異なる記載ルールが存在することは明らかであるが、各々の建築図面では、寸法や各部材記号の記載ルールのように共通の記載ルールが存在することも明らかである。例えば、柱芯案内図における記載ルールの一例を、図20に示す。柱芯案内図の記載ルールは、各階の柱芯案内図に共通である。このようにして、各々の建築図面についての記載ルールが記憶されている。
また、建築図面認識用辞書2bに含まれる建築図面用語集は、CPU1が、各建築図面の記載ルールに基づいて、各建築図面に記載されている情報を認識する際、建築図面に記載されている文字等を、単語や文節等として認識するために使用される。
なお、同一の情報を示すものであっても設計業者によって建築図面において記載の仕方が異なることがあり、これに対応するため、建築図面認識用辞書2bに含まれる記載ルールには、様々な記載の仕方を登録しておくことが望ましい。また、既存の記載ルールにない記載の仕方に対応するため、記載ルールを随時追加できるようにしておくことが望ましい。同様に、建築図面認識用辞書2bに含まれる建築図面用語集においても、用語を随時追加できるようにしておくことが望ましい。本実施の形態では、建築図面認識用辞書2bを記憶している第1のメモリ2を書き換え可能なメモリにより構成しており、建築図面認識用辞書2bを更新することができる。
したがって、CPU1は、建築図面認識用辞書2bに基づいて、各建築図面に記載されている情報(少なくとも本実施の形態において取得すべき情報)を認識することができる。
図2(a)、(b)は、本実施の形態の建築図面データ変換装置の概略の動作を示すフローチャートである。この動作は、CPU1がコンピュータプログラム2a(建築図面データ変換プログラム)を実行することにより実現される。
本実施の形態では、例えば、操作入力部7の操作によって、ディスプレイ5に表示されるメニュー画面において「3D変換」を選択し、「開始」ボタンをクリックすると、図2(a)のステップST1〜ST9の処理が行われることにより、建築物を構成する各部材について3次元配置基本データが作成される。この処理が終了した後、メニュー画面において「3D表示」を選択し、所定の表示設定を行うと、図2(b)のステップST11〜ST13の処理が行われる。すなわち、3次元配置基本データに基づいて3次元表示用データを作成し、この3次元表示用データに基づいてディスプレイ5の画面に建築物あるいはその一部を立体的に表示する。ここでは、各部材について3次元配置基本データを作成するための操作と、3次元表示するための操作とを別々に行うようにしているが、はじめに、両方の操作(操作による設定)を行うことにより、ステップST1〜ST9の処理とステップST11〜ST13の処理とが続けて行われるように構成されていてもよい。以下、詳しく説明する。
まず、ステップST1では、例えばDXF形式により作成されている建築図面データをデータ入力部4から入力して第2のメモリ3に記憶する。このDXF形式の建築図面データは、図形、文字(数字を含む)等を区別して認識することが可能なデータである。本実施の形態の場合、第2のメモリ3に記憶される建築図面データ3aは、各々の建築図面別にデータが区分(分類)されていないものとする。各々の建築図面別にデータが各ファイルとして区分されている場合には、次のステップST2を飛ばして、ステップST3へ進んでもよい。
次に、ステップST2では、第2のメモリ3に記憶されている建築図面データ3aを各建築図面ごとに分類する。ここでは、第1のメモリ2に記憶されている建築図面認識用辞書2bを参照し、建築図面データ3aに含まれる各建築図面が何の建築図面であるか(例えば、柱リストであるか、軸組図であるか等)を判断して各建築図面別にデータを抽出し、抽出したデータごとにファイル化することにより、各々の建築図面のデータファイル3bを作成し、第2のメモリ3に記憶する。具体的には、例えば各建築図面のタイトル欄(例えば図7〜図18のタイトル欄21〜34)を辞書2b内の各々の記載ルールに基づいて認識すると同時に、そのタイトル欄に記載された文字等の記載内容を辞書2b内の建築図面用語集を参照して認識することにより、柱リスト等の各々の部材リスト、通り芯線図、各々の軸組図、各階の柱芯案内図、基礎伏図、各階の床伏図、各階の平面詳細図、各断面図、各矩計図、各立面図、建具表、各階の建具配置図、階段詳細図等の各建築図面であることを認識する。そして、例えばディスプレイ5に画面表示あるいはプリンタ6により印字出力された状態(すなわち、図6〜図19のように示された状態)において、各建築図面の外枠及びその外枠で囲まれた内側の記載内容に該当するデータを、それぞれの建築図面のデータであると判断してそれぞれのファイル3bを作成する。このようにして各々の建築図面別に分類されたデータからなる各建築図面ファイル3bを作成して第2のメモリ3に記憶する。
次に、ステップST3では基準線間情報を取得して第2のメモリ3に記憶し、ステップST4では階高情報を取得して第2のメモリ3に記憶する。これらのステップST3、ST4によって記憶された情報の一例を図21に示す。
図21(a)はステップST3等によって第2のメモリ3に記憶された基準線間情報3cを示す図であり、図21(b)はステップST4によって第2のメモリ3に記憶された階高情報3dを示す図である。図21(a)に示された基準線間情報のうち、初期取得情報がステップST3において取得された基準線間情報であり、追加取得情報については、後のステップにおいて取得される情報である。
ステップST3では、例えば図6に示される通り芯線図を用いて、水平方向(X方向、Y方向)の位置決めの基準となるラインである、X1〜X9の通り芯、及びY1、Y2、Y3の通り芯を認識するとともに、各通り芯間の寸法を認識する。そして、X1〜X9の通り芯とY1〜Y3の通り芯に名称を付け、X1〜X9の各通り芯間の寸法と、X方向に並んで隣接する2つの通り芯の名称とを対応付けして記憶するとともに、Y1〜Y3の各通り芯間の寸法と、Y方向に並んで隣接する2つの通り芯の名称とを対応付けして記憶する。以下では、通り芯の記号(X1〜X9、Y1〜Y3)をそのまま通り芯の名称(通り芯名)として説明する。
図21(a)に示すように、X方向の各通り芯間の寸法については、X1〜X2が6000(mm)、X2〜X3が8000(mm)、・・・、X8〜X9が8000(mm)として記憶する。同様に、Y方向の各通り芯間の寸法については、Y1〜Y2が9000(mm)、Y2〜Y3が5000(mm)として記憶する。
なお、通り芯線図は建築図面として作成されない場合もあり、その場合には、通り芯及び各通り芯間の寸法が記載されている柱芯案内図、伏図等を代わりに用いればよい。
次に、ステップST4では、例えば図11に示されるY1通り軸組図等を用いて、高さ方向の位置決めの基準となるラインである、各階のフロアライン(1FL〜RFL)を認識するとともに、フロアラインの各ライン間の寸法を認識する。そして、1FL〜RFLのフロアラインに名称を付け、各フロアライン間の寸法と、隣接する2つのフロアラインの名称とを対応付けして記憶する。また、グランドライン(設計GL)も認識し、グランドラインと1階フロアラインとの間の寸法を認識し、グランドラインに名称を付け、グランドラインと1階フロアラインとの関係を補足情報として記憶する。以下では、グランドライン及びフロアラインの記号(GL,1FL〜RFL)をそのままグランドラインの名称(グランドライン名)及びフロアラインの名称(フロアライン名)として説明する。すなわち、グランドライン名をGL、1階フロアライン名を1FL、2階フロアライン名を2FL、3階フロアライン名を3FL、R階フロアライン名をRFLとする。
図21(b)に示すように、各フロアライン間の寸法については、1FL〜2FLが4100(mm)、2FL〜3FLが3600(mm)、3FL〜RFLが3600(mm)として記憶する。また、補足情報として、グランドラインと1階フロアラインとの関係について、GLが1FL−100(mm)であることを記憶する。
次に、ステップST5では、各部材リストから各部材の外形寸法(断面寸法)等の情報を抽出して第2のメモリ3に記憶することにより、各々の部材(躯体部材)のデータベースを作成する。次のステップST6では、建具表(図17)から各建具の外形寸法を抽出して第2のメモリ3に記憶することにより、壁開口部材(建具)のデータベースを作成する。図1に示す第2のメモリ3内の部材のデータベース3eは、ステップST5及びステップST6によって作成される。
これらステップST5、ST6によって作成された各部材のデータベースの一例を図22に示す。
図22(a)は、柱のデータベースの一例を示す図である。図22(b)は、大梁のデータベースの一例を示す図である。図22(c)は、小梁のデータベースの一例を示す図である。図22(d)は、基礎梁(地中梁)のデータベースの一例を示す図である。図22(e)は、基礎のデータベースの一例を示す図である。図22(f)は、スラブのデータベースの一例を示す図である。図22(g)は、壁(躯体壁)のデータベースの一例を示す図である。図22(h)は、壁開口部材(建具)のデータベースの一例を示す図である。
まず、ステップST5の処理について詳しく述べる。図3は、ステップST5の詳細な処理を示すフローチャートである。
まず、ステップST21では、予め定められたリスト選択順に基づいて、柱リスト、大梁リスト、小梁リスト等の全ての部材リストの中から1つの部材リストを選択し、選択した部材リストの中に記載されている各部材と各部材についての情報が記載されている欄(個別欄)の存在を認識する。ここでのリスト選択順は、各々の部材リストについての優先順位は特になく、適当に部材リストを選択する順序を予め定めたものである。例えば、柱リスト、大梁リスト、小梁リスト、基礎梁リスト、壁リスト、スラブリスト、基礎リストという順番に選択することを予め定めておく。
また、選択した部材リストの中に記載されている各部材及び各個別欄の存在の認識は、建築図面認識用辞書2bの中の、選択している部材リストの記載ルールに基づいて行う。例えば、図12の柱リストの場合には、柱リスト用の記載ルールに基づいて、各柱(各部材)、すなわち、3階の柱C1、2階の柱C1、1階の柱C1、3階の柱C2、2階の柱C2、1階の柱C2(なお、図12では柱C2の図示は省略)というように、階別かつ記号別に各柱を認識するとともに、これらの各柱の個別欄(断面、主筋及びフープの各々に関する記載欄)の存在を認識する。ここで、柱リスト用の記載ルールには、各柱についての情報が表形式にて記載されていることが示されており、表の行方向の各項目(3階、2階、1階、断面、主筋、フープ)を建築図面用語集に基づいて認識し、列方向の各項目(C1、C2、C3、C4)を柱リスト用の記載ルールに基づいて認識するとともに、表形式で記載されていることから、各柱の存在及び各柱の個別欄の存在を認識する。このことは、例えば、図13の大梁リストの場合も同様である。また、図14、図15、図16の各部材リストの場合も、それぞれの部材リストの記載ルールに基づいて各部材の存在及び各個別欄の存在を認識する。
次に、ステップST22では、予め定められたリスト内の部材選択方法に基づいて、ステップST21で選択した部材リストの中から1つの部材を選択する。ここでの部材選択方法は、例えば、柱リストのように、各部材についての情報が記載されている個別欄がマトリクス(行列)状に配置された部材リストの場合に、個別欄が左側の列にある部材から順番に選択するようにし、かつ同列にある部材では上側にある部材から順番に選択するように定めておけばよい。例えば、図12の柱リストの場合には、3階の柱C1、2階の柱C1、1階の柱C1、3階の柱C2、2階の柱C2、1階の柱C2、3階の柱C3、・・・、1階の柱C4という順番に選択される。なお、最終的に、任意の部材リストに記載されている全ての部材が選択されればよく、部材選択方法は、上述の方法に限られるものではない。
次に、ステップST23では、ステップST22で選択した部材について、建築図面認識用辞書2bに基づいてその記載内容を認識し、その中から断面寸法等の情報を抽出し、第2のメモリ3(部材のデータベース3e)に記憶する。
次に、ステップST24では、ステップST21で選択した部材リストの中の全ての部材が選択されていない場合にはステップST22に戻り、次の部材を選択してステップST23を行う。ステップST21で選択した部材リストの中の全ての部材が選択されている場合にはステップST25へ進む。ステップST25では、ステップST21によって全ての部材リストが選択されていない場合にはステップST21に戻り、次の部材リストを選択してステップST22〜ST24を行う。全ての部材リストが選択されている場合にはステップST5の処理を終了する。このようにして、全ての部材リストの中の全ての部材について、ステップST23の処理を行う。
上記のステップST23の処理についてより具体的に説明する。
例えば、ステップST21により柱リスト(図12)を選択した場合、各柱ごとに、その断面形状及び断面寸法を抽出し、第2のメモリ3(図22(a)の柱のデータベース)に記憶する。
ステップST22により、例えば3階の柱C1を選択した場合、柱リスト用の記載ルールに基づいて、断面図の記載内容を認識し、3階の柱C1について、その断面形状が四角形であることと、X方向の幅が800(mm)であることと、Y方向の幅が800(mm)であることとが抽出されて記憶される。また、ステップST22により、例えば3階の柱C7を選択した場合、3階の柱C7について、その断面形状が円形であることと、柱の半径が565(mm)であることとが記憶される。なお、柱の半径については、柱リストから抽出される直径を半径に換算して記憶する。
また、例えば、ステップST21により大梁リスト(図13)を選択した場合も同様にして、各梁ごとに、その断面形状及び断面寸法を抽出し、第2のメモリ3(図22(b)の大梁のデータベース)に記憶する。
ステップST22により、例えばR階の大梁G1を選択した場合、大梁リスト用の記載ルールに基づいて、断面図の記載内容を認識し、R階の大梁G1について、その断面形状が四角形であることと、幅が450(mm)であることと、梁成が900(mm)であることとが抽出されて記憶される。
また、小梁リスト及び基礎梁リストについても、柱リストや大梁リストと同様にしてその断面形状及び断面寸法を抽出し、第2のメモリ3(図22(c)の小梁のデータベース、図22(d)の基礎梁のデータベース)に記憶する。
また、壁リスト(図14)については、各壁の厚さを抽出し記憶する。ステップST22により、例えば壁W12を選択した場合には、その断面図から認識される厚さが120(mm)であることを抽出し、第2のメモリ3(図22(g)の壁のデータベース)に記憶する。
また、スラブリスト(図15)については、各スラブの厚さを抽出し記憶する。ステップST22により、例えばスラブS1を選択した場合には、その厚さの記載欄から認識される厚さが150(mm)であることを抽出し、第2のメモリ3(図22(f)のスラブのデータベース)に記憶する。
また、基礎リスト(図16)については、基礎の断面形状、X方向の寸法、Y方向の寸法、基礎の高さ寸法(高さ方向の寸法)、基礎の下端レベル、及び基礎の上端レベルを抽出して第2のメモリ3(図22(e)の基礎のデータベース)に記憶する。ステップST22により、例えば基礎F1を選択した場合には、基礎の断面形状が四角形であることと、基礎のX方向の寸法が1000(mm)であることと、Y方向の寸法が1000(mm)であることと、基礎の高さ寸法が1000(mm)であることと、グランドライン(GL)から基礎の下端までの深さが1700(mm)であること、グランドライン(GL)から基礎の上端までの深さが700(mm)であることとを抽出する。ここで、グランドライン(GL)から基礎の下端までの深さである1700(mm)については、図21(b)の階高情報の補足情報(GL=1FL−100)に基づいて、1階フロアライン(1FL)を基準にした下端レベルである1FL−1800に換算して記憶する。同様に、グランドライン(GL)から基礎の上端までの深さである700(mm)についても、1階フロアライン(1FL)を基準にした上端レベルである1FL−800に換算して記憶する。他の抽出したデータはそのまま記憶する。
図16の基礎リストには、通常、上記以外の情報も記載されているが、図16では、上記以外の情報については図示を省略している。
次に、ステップST6では、建具表(図17)から各建具の外形寸法等を抽出し、第2のメモリ3(図22(h)の壁開口部材のデータベース)に記憶する。この処理は、部材リストの場合のステップST21〜ST24と同様に行い、例えば、窓AW−2については、その幅(開口幅)が2500(mm)、高さ方向の寸法(開口の高さ寸法)が760(mm)、フロアライン(FL)からの高さが1820(mm)であることを抽出し、第2のメモリ3に記憶する。また、ドアSD−3については、その幅(開口幅)が850(mm)、高さ方向の寸法(開口の高さ寸法)が2100(mm)、フロアライン(FL)からの高さが0(mm)であることを抽出し、第2のメモリ3に記憶する。
上記のステップST5とステップST6とは順序が逆になってもよいし、建具表も部材リストに含まれるものと考えて、ステップST5を行うようにしてもよい(この場合、ステップST6は省略される)。
次に、ステップST7〜ST9によって、建築物を構成する各部材の3次元配置基本データが記憶された3次元基本配置データテーブルを作成する。なお、3次元基本配置データとは、各部材の種類別に予め定められ、部材の立体形状(平面形状及び高さ等)及び各部材間の相対的な配置位置等を表すために必要な情報である。この3次元配置基本データは、基点を基準にして表した情報として抽出し、記憶する。ここで、基点について図23及び図24を参照して説明しておく。
図23は、通り芯の交点を示す図である。
そして、通り芯X1と通り芯Y1との交点p11、通り芯X1と通り芯Y2との交点p12、・・・、通り芯X9と通り芯Y3との交点p93のそれぞれに名称を付す。例えば、交点p11の名称をX1・Y1、交点p21の名称をX2・Y1、・・・、交点p91の名称をX9・Y1、交点p12の名称をX1・Y2、・・・、交点p92の名称をX9・Y2、交点p13の名称をX1・Y3、・・・、交点p93の名称をX9・Y3とする。
ここで、それぞれの交点p11〜p93の名称(以下、「基準線交点名」または「交点名」という)は、各交点で交差する2つの通り芯の名称との対応付けがなされている(リンクされている)。このことと、先述の基準線間情報によって各通り芯間の寸法と各2つの通り芯の名称とが対応付けされていることとにより、X方向あるいはY方向にそれぞれ互いに隣接する2つの交点名と、その2つの交点間の距離に等しいX方向あるいはY方向の通り芯間の寸法とが対応付けられることとなり、上記2つの交点名によって、その2つの交点間の距離が定められ、2つの交点の相対的な位置が決められる。なお、以下では、後述する新たに設定する基準線以外の基準線、すなわち上記の通り芯と通り芯との交点を、通り芯交点ともいう。
例えば、交点名X1・Y1と交点名X2・Y1とに対し、この2つの交点間の距離である通り芯X1と通り芯X2との間の寸法が対応付けられる。同様に、交点名X1・Y2と交点名X2・Y2とに対し、この2つの交点間の距離である通り芯X1と通り芯X2との間の寸法が対応付けられる。同様に、交点名X1・Y3と交点名X2・Y3とに対し、この2つの交点間の距離である通り芯X1と通り芯X2との間の寸法が対応付けられる。すなわち、交点名Xm・Ynと交点名X(m+1)・Ynとに対し、通り芯Xmと通り芯X(m+1)との間の寸法が対応付けられる(図23の場合、m=1〜8、n=1〜3)。
また、同様にして、例えば、交点名X1・Y1と交点名X1・Y2とに対し、この2つの交点間の距離である通り芯Y1と通り芯Y2との間の寸法が対応付けられる。同様に、交点名X2・Y1と交点名X2・Y2とに対し、この2つの交点間の距離である通り芯Y1と通り芯Y2との間の寸法が対応付けられる。同様に、交点名X1・Y2と交点名X1・Y3とに対し、この2つの交点間の距離である通り芯Y2と通り芯Y3との間の寸法が対応付けられる。すなわち、交点名Xp・Yqと交点名Xp・Y(q+1)とに対し、通り芯Yqと通り芯Y(q+1)との間の寸法が対応付けられる(図23の場合、p=1〜9、q=1〜2)。
そして、各々の通り芯の交点に対し、それぞれ交点を含み、かつ高さ方向に延びる垂直軸を仮想するとともに、各々のフロアラインを含む水平面(以下、「水平基準面」という)を仮想し、それぞれの水平基準面とそれぞれの垂直軸との交点を基点とし、それぞれの基点に名称を付ける。
図24は、基点を示す図である。白丸が基点であり、図24では、通り芯X6、X7、X8上に設定される基点しか示していないが、他の通り芯X1〜X5、X9上にも同様に基点が設定される。各々の通り芯の交点を通る垂直軸(鉛直線)と各々の水平基準面との交点が基点である。したがって、基点は、各々のフロアラインレベルにおけるX方向の通り芯(X1、X2等)とY方向の通り芯(Y1、Y2等)との交点である。また、基点は、x、y、zの3つの軸を有する3次元仮想空間内において、x軸及びy軸によって定まるxy平面上に、基準線間情報に基づいてX方向の通り芯とY方向の通り芯を配置することにより、各々の通り芯交点の平面位置を定め、この定められた各々の通り芯交点の平面位置からz軸方向に延びる複数の各々の垂直軸上において、階高情報に基づいて各々のフロアラインに対応する位置に設定される、と言うこともできる。
そして、各々の基点に名称を付す。例えば、通り芯X6と通り芯Y1との交差上に存在する基点161、261、361、R61は、交点名X6・Y1の基準線交点(通り芯交点)に対応する。基点161の名称を1FL・X6・Y1、基点261の名称を2FL・X6・Y1、基点361の名称を3FL・X6・Y1、基点R61の名称をRFL・X6・Y1とする。このように基点の名称は、フロアライン名と基準線交点名とで構成される。他の基点についても同様にして名称を付ける。
ここで、それぞれの基点の名称(基点名)は、その基点が存在する水平基準面に含まれるフロアライン名と、その基点に対応する基準線交点名との対応付けがなされている(リンクされている)。このことと、先述のように、各フロアライン間の寸法と各2つのフロアライン名とが対応付けされていることと、X方向あるいはY方向にそれぞれ互いに隣接する2つの基準線交点名とその2つの交点間の距離である通り芯間の寸法とが対応付けされていることとにより、高さ方向、X方向あるいはY方向にそれぞれ互いに隣接する2つの基点名と、その2つの基点間の距離に等しい、高さ方向の各フロアライン間の寸法、あるいはX方向あるいはY方向の通り芯間の寸法とが対応付けられることとなり、上記2つの基点名によって、その2つの基点間の距離が定められ、2つの基点の3次元空間における相対的な位置が定められる。
例えば、高さ方向に隣接する任意の2つの基点名に対し、その2つの基点間の距離が定められる。基点名1FL・X6・Y1と基点名2FL・X6・Y1とに対し、この2つの基点間の距離である1階フロアライン1FLと2階フロアライン2FLとの間の寸法が対応付けられる。同様に、基点名2FL・X6・Y1と基点名3FL・X6・Y1とに対し、この2つの基点間の距離である2階フロアライン2FLと3階フロアライン3FLとの間の寸法が対応付けられる。同様に、基点名3FL・X6・Y1と基点名RFL・X6・Y1とに対し、この2つの基点間の距離である3階フロアライン3FLとR階フロアラインRFLとの間の寸法が対応付けられる。すなわち、基点名rFL・Xp・Ynと基点名(r+1)FL・Xp・Ynとに対し、フロアラインrFLとフロアライン(r+1)FLとの間の寸法が対応付けられる。ここで、図24の場合、r=1〜3であり、rが3のときの(r+1)FLはRFLである。
また、同一水平基準面上に存在し、X方向またはY方向に互いに隣接する2つの基点については、それぞれの基点名に含まれる2つの基準線交点名によって、X方向またはY方向の通り芯間の寸法が対応付けられているため、その2つの基点間の距離が定められる。例えば、基点名1FL・X6・Y1と基点名1FL・X7・Y1との2つの基点間の距離として、交点名X6・Y1と交点名X7・Y1との2つの交点間の距離である通り芯X6と通り芯X7との間の寸法が対応付けられる。また、例えば、基点名1FL・X6・Y1と基点名1FL・X6・Y2との2つの基点間の距離として、交点名X6・Y1と交点名X6・Y2との2つの交点間の距離である通り芯Y1と通り芯Y2との間の寸法が対応付けられる。
以上のようにして、高さ方向、X方向及びY方向にそれぞれ互いに隣接する2つの基点間の距離が定められることにより、設定される全ての基点についての3次元空間上の相対的な位置関係が定められる。なお、上記では、基点名にフロアライン名及び基準線交点名が含まれ、基準線交点名に通り芯の名称が含まれるものとしたが、これに限られず、高さ方向、X方向、Y方向にそれぞれ隣接する任意の2つの基点名と、その2つの基点間の距離とが対応付けられていればよい。
ステップST7について説明する。ステップST7では、建築物を複数の階層に区分し、そのうちの1つの階層を選択する。ここで、概略、建築物の最も下の階(本実施の形態の場合では1階、地下階がある場合にはその最も下の階)のスラブ及びそのスラブから下の構造部分を基礎階層とし、k階(k=1〜3)のスラブより上の部分から、k階の1つ上のk+1階のスラブまでの部分を第k階層とする。本実施の形態の場合、3階建ての建築物であるので、下から順に、基礎階層、第1階層、第2階層、第3階層の4つの階層に区分し、下から順に階層を1つずつ選択する。図36(a)、(b)で示された部分が基礎階層であり、図37(a)、(b)で示された部分が第1階層である。図38は全ての階層を合わせて示した図である。なお、図36〜図38では、通り芯X6〜X8の部分を主に示している。
図25は、基礎階層と第1階層に配置される部材の一例を示す概略模式図である。図25に示された基礎階層の部分には、1階の柱51の下に基礎52が設けられ、1階の柱51の下部同士及び基礎52同士の間に、1階の柱51の下部同士を繋ぐ基礎梁53が設けられている。また、基礎52と基礎梁53とで囲まれた領域(例えば略四角形の平面領域)に基礎スラブ54が設けられている。また、対向配置された基礎梁53同士を繋ぐ1階の小梁55が設けられ、さらに小梁55の下に壁(地下の壁)57が設けられている。また、1階の柱51と基礎梁53及び1階の小梁55とで囲まれた領域に1階のスラブ56が設けられている。
また、図25に示された第1階層の部分には、1階の柱61の上部同士の間に柱61と柱61とを繋ぐ2階の大梁62が設けられ、対向配置された2階の大梁62同士を繋ぐ2階の小梁63が設けられている。1階の柱61同士の間で、かつ2階の大梁62の下に1階の壁64が設けられている。また、1階の柱61と2階の大梁62及び小梁63とで囲まれた領域に2階のスラブ65が設けられている。また、壁64には建具(窓またはドア)が配設される部分である開口(壁開口)66が設けられているものもある。なお、図示しないが、第2階層以上の階層については、第1階層と同様である。
なお、例えば、図25に示された基礎階層の左側の柱51と第1階層の左側の柱61とは、同一の柱であるが、本実施の形態では、階層別に別個の部材としてデータ処理される。同様に、右側の柱51と右側の柱61とについても、同一の柱であるが、階層別に別個の部材としてデータ処理される。また、1階の2つのスラブ56及び2階の2つのスラブ65は、それぞれ小梁55,63によって分離されているが、建築図面では、それぞれ1つのスラブとして記載されているものである。本実施の形態では、図25のように小梁によって分離され2つのスラブとしてデータ処理される。
次に、ステップST8では、建築図面ファイル3bとステップST4,ST5により作成した各部材のデータベース3eとから、ステップST7で選択された階層における各々の建築部材を立体的に表現するために必要な情報として建築部材の種類別に予め定められた情報(3次元配置基本データ)を抽出し、3次元配置基本データテーブル3fを作成する。
ステップST8の処理について詳しく述べる。図4は、ステップST8において、任意の階層についての詳細な処理を示すフローチャートである。
まず、ステップST31では、ステップST7で選択された階層に応じて予め定められた建築部材の種類選択順に基づいて、ある1種類の建築部材を選択する。
次に、ステップST32では、選択した種類の建築部材のそれぞれについて、3次元配置基本データを抽出し記憶する。
上記のステップST31及びステップST32の処理を、全ての種類の建築部材について行う(ステップST33)。
次に、ステップST34では、上記のステップST31〜ST33において、取得できていない各部材の高さ情報があれば、それを決定し、記憶する。
このステップST8において取得する各部材の3次元配置基本データのうちの平面配置データ(平面形状とその位置を示すデータ)を図26に示す。
図26(a)は、断面四角形の柱71の平面配置データの一例を説明するための図である。この柱71の平面配置データは、基準線交点N1と、柱のX方向幅寸法a及びY方向幅寸法bと、基準線交点N1に対する柱のX方向振分け寸法c及びY方向振分け寸法dとを有して構成される。
図26(b)は、断面円形の柱72の平面配置データの一例を説明するための図である。この柱72の平面配置データは、基準線交点N2と、柱の半径rと、基準線交点N2に対する柱の中心Oの位置のX方向寄り寸法x1及びY方向寄り寸法y1とを有して構成される。このうち、X方向寄り寸法x1及びY方向寄り寸法y1は、柱のデータベース及び建築図面ファイル3bから直接取得できるデータではなく、基準線交点N2に対するX方向振分け寸法f及びY方向振分け寸法gと半径rとに基づいて、X方向寄り寸法x1(=f−r)及びY方向寄り寸法y1(=g−r)を算出する。なお、半径rは柱のデータベースから取得し、X方向振分け寸法f及びY方向振分け寸法gは建築図面ファイル3b(柱芯案内図)から取得する。
図26(c)は、梁(大梁、基礎梁、小梁)または壁からなる部材73の平面配置データの一例を説明するための図である。この部材(梁・壁)73の平面配置データは、交点間ラインN3・N4と、部材寸法(梁幅・壁の厚さ)gと、交点間ラインN3・N4に対する振分け寸法hとを有して構成される。このように決められたデータでは、梁または壁である部材73は、2つの基準線交点(N3、N4)間にまたがって存在しているが、例えば端部に柱75、76が存在する場合には、後述の適正化処理によって破線領域74を梁または壁の領域とするデータ(3次元配置修正データ)を作成し、その3次元配置修正データに基づいて3次元表示用データが作成され、例えばディスプレイ5に表示される。すなわち梁及び壁に対し、柱が優先して表示される。
図26(d)は、壁開口領域(壁開口部材の配置領域)77の平面配置データの一例を説明するための図である。この壁開口領域77の平面配置データは、基準線交点N5と、基準線交点N5からの開口中心までの寸法(開口中心位置)jと、開口幅iと、開口厚さg1と、交点間ラインN5・N6に対する振分け寸法h1とを有して構成される。ここで、例えば、壁開口領域77を有する壁が図26(c)の部材73であるとすれば、開口厚さg1は壁の厚さgと同じとし、振分け寸法h1は壁の振分け寸法hと同じとする。
図26(e)は、スラブ(基礎スラブ、各階スラブ)78の平面配置データの一例を説明するための図である。このスラブ78の平面配置データは、4つの基準線交点N7、N8、N9、N10を有して構成される。このように決められたデータでは、スラブ78は4つの基準線交点N7、N8、N9、N10を頂点とする四角形の全領域に存在することになるが、その周縁部に柱80〜83及び梁84〜87が存在する場合には、後述の適正化処理によって内側の破線領域79をスラブの領域とするデータ(3次元配置修正データ)を作成し、その3次元配置修正データに基づいて3次元表示用データが作成され、例えばディスプレイ5に表示される。すなわち、各階のスラブに対し、柱及び梁が優先して表示される。また、基礎スラブに対し、基礎梁及び基礎(ベース)が優先して表示される。
次に、ステップST8において行われる部材の検索方法について説明する。
部材の検索は、部材の種類ごとに予め定められた所定の検索ルール(部材検索方法)に基づいて行う。この部材検索方法は、各部材が用いられる建築物の設計上の特徴に基づいて予め定められている。この検索方法について、図27を参照して説明する。
図27(a)は、柱または基礎の検索領域を示す図である。図27(a)において、X方向の通り芯はX1〜X5の5本あり、Y方向の通り芯はY1〜Y3の3本ある。ここで、最初のX方向の通り芯X1と、最後のX方向の通り芯X5と、最初のY方向の通り芯Y1と、最後のY方向の通り芯Y3とで囲まれた内側の領域を内側領域とし、内側領域の外側の領域を外側領域とする。また、図面上の通り芯間の長さがL1〜L6である。なお、これらのことは、図27(b)、図27(c)においても同様である。以下では、通り芯X1〜X5が並んでいる方向をX方向とし、例えば通り芯X1から通り芯X5へ向かう方向をプラスX方向、通り芯X5から通り芯X1へ向かう方向をマイナスX方向とする。同様に、通り芯Y1〜Y3が並んでいる方向をY方向とし、例えば通り芯Y1から通り芯Y3へ向かう方向をプラスY方向、通り芯Y3から通り芯Y1へ向かう方向をマイナスY方向とする。
例えば、1階の柱を検索する場合、1階柱芯案内図を用い、各通り芯の交点に対し、検索領域が定められる。例えば、検索領域K1のように、X方向の範囲は、通り芯の交点からマイナスX方向にL2/2離れた位置から、プラスX方向にL3/2離れた位置までの範囲とし、Y方向の範囲は、通り芯の交点からマイナスY方向にL5/2離れた位置から、プラスY方向にL6/2離れた位置までの範囲とする。すなわち、通り芯の交点X3・Y2に対する検索領域K1は、通り芯の交点X3・Y2を含むX方向の通り芯X3に対し、その通り芯X3からマイナスX方向側で隣接する通り芯X2までの距離L2の1/2離れた位置にあって通り芯X3と平行な線分と、通り芯X3からプラスX方向側で隣接する通り芯X4までの距離L3の1/2離れた位置にあって通り芯X3と平行な線分と、通り芯の交点X3・Y2を含むY方向の通り芯Y2に対し、その通り芯Y2からマイナスY方向側で隣接する通り芯Y1までの距離L5の1/2離れた位置にあって通り芯Y2と平行な線分と、通り芯Y2からプラスY方向側で隣接する通り芯Y3までの距離L6の1/2離れた位置にあって通り芯Y2と平行な線分とで囲まれた領域である。また、最初または最後のX方向の通り芯上の通り芯の交点、あるいは、最初または最後のY方向の通り芯上の通り芯の交点に対して定められる検索領域については、例えば検索領域K2,K3のように、外側領域における範囲は、その内側領域における範囲と等しくなるように定められる。
また、基礎を検索する場合には、基礎伏図を用い、各通り芯の交点に対し、検索領域が定められる。各検索領域の範囲は、前述の柱の場合と同様である。
図27(b)は、大梁または基礎梁の検索領域を示す図である。大梁または基礎梁を検索する時点においては、大梁または基礎梁と干渉する柱91の配置がすでに定められている。ここで、隣合うX方向の通り芯と隣合うY方向の通り芯とで囲まれるそれぞれの四角形を単位四角形とし、単位四角形の4つの各頂点に柱91が存在する場合にはその単位四角形を検索用四角形(SQ2、SQ3)に定め、単位四角形の4つのいずれかの頂点(通り芯交点)に柱91が存在しない場合には、柱91が存在しない頂点を共有する全ての単位四角形を組合せてなる四角形を検索用四角形(SQ1、SQ4)に定める。
このようにして定められた検索用四角形SQ1、SQ2、SQ3、SQ4の各々の辺及びその近傍領域を第1検索領域とし、各々の四角形SQ1〜SQ4の内部を第2検索領域K21,K22,K23,K24とする。
ここで、検索用四角形SQ1において通り芯Y1と通り芯Y3との間の通り芯X3上の辺及びその近傍領域からなる第1検索領域K12は、通り芯Y1と、通り芯Y3と、通り芯X3からマイナスX方向側で隣接する通り芯X2までの距離L2の1/2離れた位置にあって通り芯X3と平行な線分と、通り芯X3からプラスX方向側で隣接する通り芯X4までの距離L3の1/2離れた位置にあって通り芯X3と平行な線分とで囲まれた領域である。また、最初または最後のX方向の通り芯上の辺、あるいは、最初または最後のY方向の通り芯上の辺に対して定められる第1検索領域については、その外側領域における範囲は、その内側領域における範囲と等しくなるように定められる。例えば、検索用四角形SQ1において通り芯Y1と通り芯Y3との間の通り芯X1上の辺及びその近傍領域からなる第1検索領域K14は、通り芯Y1と、通り芯Y3と、通り芯X1からプラスX方向側で隣接する通り芯X2までの距離L1の1/2離れた位置にあって通り芯X1と平行な線分と、通り芯X1からマイナスX方向側へ距離L1の1/2離れた位置にあって通り芯X1と平行な線分とで囲まれた領域である。第1検索領域K11、K13についても同様である。また、他の四角形SQ2、SQ3、SQ4に対しても同様にして第1検索領域を設定する。
図27(c)は、小梁、壁またはスラブの検索領域と外部部材検索領域を示す図である。これらの部材を検索する時点においては、これらの部材と干渉する柱91、大梁(基礎梁を含む)92の配置がすでに定められている。ここで、前述の単位四角形の4つの各辺に大梁92が存在する場合にはその単位四角形を検索用四角形(SQ2、SQ3)に定め、単位四角形の4つのいずれかの辺に大梁92が存在しない場合には、大梁92が存在しない辺を共有する単位四角形を組合せてなる四角形を検索用四角形(SQ11、SQ12、SQ4)に定める。
そして、小梁、スラブ及び地下の壁(例えば図25の地下の壁57)を検索する場合には、検索用四角形SQ11、SQ12、SQ2、SQ3、SQ4の各々の内部を検索領域K211,K212,K22,K23,K24とする。
また、1階以上の階の壁を検索する場合には、検索用四角形SQ11、SQ12、SQ2、SQ3、SQ4の各々の辺及びその近傍領域を第1検索領域とし、検索用四角形SQ11、SQ12、SQ2、SQ3、SQ4の各々の内部を第2検索領域K211,K212,K22,K23,K24とする。この壁を検索する場合の四角形SQ11、SQ12、SQ2、SQ3、SQ4の各々の辺に対して設定する第1検索領域の範囲は、前述の大梁または基礎梁を検索する場合の四角形SQ1、SQ2、SQ3、SQ4の各々の辺に対して設定する第1検索領域の範囲と同様にして設定する。例えば、領域K31,K32,K33,K34が四角形SQ11の辺に対して設定する第1検索領域である。
また、外部部材検索領域K41は、検索用四角形SQ11、SQ12、SQ2、SQ3、SQ4の外側の領域であり、かつ、4辺の各辺が通り芯線の端部を通るように描かれる四角形の内側の領域である。
以下に、各階層についてのステップST8(ST31〜ST34)の処理について具体的に説明する。本実施の形態では、基礎階層、第1階層、第2階層、第3階層の順(下の階層から順)にステップST8の処理が行われる。
〔基礎階層〕
図28は、基礎階層についてステップST8が行われることにより取得される各部材の3次元配置基本データが記憶されるテーブルの一例を示す図である。図28(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ基礎階層における柱、基礎、梁、スラブの3次元配置基本データテーブルを示す図である。なお、図28(a)〜(d)の場合には、フロアライン名と基準線交点名とからなる基点(基点名)を記憶するようにしているが、これに代えて基準線交点名のみを記憶するようにしてもよい。
まず、基礎階層についてのステップST31〜ST34は、以下のようになる。なお、ステップS31では、選択された階層に応じて予め定められた部材種類選択順に基づいて、ある1種類の建築部材を選択する。ここでの部材種類選択順の一例を図5に示す。図5(a)は、基礎階層の場合の部材種類選択順の一例を示す図であり、図5(b)は、後述する第k階層の場合の部材種類選択順の一例を示す図である。
基礎階層の場合、繰り返し行われるステップST31において、例えば、図5(a)に示されるように、1階の柱、基礎(ベースともいう)、基礎梁(地中梁ともいう)、基礎スラブ(耐圧版ともいう)、地下の壁(1階のスラブあるいは小梁より下の壁)、1階の小梁、1階のスラブ、外部部材の順に選択される。
はじめのステップST31において、1階の柱が選択されると、次のステップST32では、1階柱芯案内図(図7)を選択し、その1階柱芯案内図において柱記号を検索し、柱記号の近傍にある通り芯の交点を内部に含む四角形等の多角形あるいは円等の作画線を柱として認識し、その柱について、取得すべきデータを抽出して、図28(a)の3次元配置基本データテーブルに記憶する。
具体的には、1階柱芯案内図において、各々の通り芯交点について、その通り芯交点を含む所定の検索領域(図27(a)の検索領域K1,K2、K3等を参照)内で柱記号と柱の作画線を検索し、それらが存在すればその柱を認識する。
次に認識した柱の3次元配置基本データを抽出する。例えば、図7の1階柱芯案内図に示された通り芯交点X6・Y1上に存在する柱C1の場合、交点X6・Y1に対するX方向振分け寸法の400(mm)、交点X6・Y1に対するY方向振分け寸法の710(mm)を認識し抽出する。また、柱のデータベース3eに記憶されている1階柱C1の情報から、そのX方向の幅の800(mm)、Y方向の幅の800(mm)、及び断面形状を抽出する。これらの抽出された情報を、その柱に関する基点名とともに、3次元配置基本データテーブル3fに記憶する。1階柱芯案内図に示された通り芯交点X6・Y1上に存在する柱C1に関する基点名は、1FL・X6・Y1である。また、柱の断面形状が円形である場合には、その円の半径を柱のデータベース3eから抽出し、基準線交点に対する柱の中心(円の中心)の位置のX方向の寄り寸法及びY方向の寄り寸法を1階柱芯案内図から抽出して、3次元配置基本データテーブル3fに記憶する。なお、断面形状が四角形である柱のX方向の幅及びY方向の幅、あるいは断面形状が円形である柱の半径(直径からの換算値)については、1階柱芯案内図からも抽出し、その抽出された情報と柱のデータベース3eに記憶されている情報との照合を行い、一致していない場合には、柱のデータベース3eに記憶されている情報を優先させて3次元配置基本データテーブル3fに記憶し、照合結果(何と何の情報が不一致である旨)を記憶しておいて、処理終了後(例えばステップST9での判定がYESの後)にディスプレイ5の画面に表示するようにしてもよい。
次に、上記の3次元配置基本データテーブル3fに記憶した柱の平面配置データ(図28(a)参照)に基づいて、その柱(記号及び作画線)を1階柱芯案内図に作図し、作図された柱と重なっている元の作画線と記号を消去する(部材認識済処理)。
同様にして、全ての検索領域について、順次、柱を検索して、1階柱芯案内図に記載されている全ての柱についての情報を抽出して3次元配置基本データテーブル3fに記憶するとともに、部材認識済処理を行う。これにより、図28(a)のテーブルにおいて、下端レベル及び上端レベル以外の情報は記憶されるが、下端レベル及び上端レベルの情報については、未取得であり、まだ記憶されていない。
次に、図28(a)のテーブルに記憶した1階の柱の平面配置データに基づいて、1階の全ての柱(記号及び作画線)を基礎伏図に作図し、作図された1階の柱と重なっている元の基礎伏図の作画線を消去する。これにより、基礎伏図に記載された1階の柱の作画線は既知の要素になり、同一の通り芯交点に存在する既知ではない基礎の作画線と区別することができ、後述の基礎を検索する際に基礎の作画線を特定することができる。
なお、本実施の形態では、各々の建築図面の内容について認識する際、その建築図面に注記事項(例えば図8〜図10の注記事項41〜43等)が記載されてあれば、まずその内容を認識するようにしている。
次に、ステップST31において、基礎(ベース)が選択されると、ステップST32では、基礎伏図に記載されている基礎記号を検索し、柱以外の作画線で、基礎記号の近傍にある四角形等の多角形の作画線を基礎として認識し、その基礎について、取得すべきデータを抽出して、図28(b)の3次元配置基本データテーブルに記憶する。
具体的には、基礎伏図において、各々の通り芯交点について、その通り芯交点を含む所定の検索領域(図27(a)の検索領域K1,K2、K3等を参照)内で基礎記号と基礎の作画線を検索し、それらが存在すればその基礎を認識する。
次に認識した基礎の3次元配置基本データを抽出する。例えば、図8に示された通り芯X6と通り芯Y1との交点X6・Y1上に存在する基礎F16の場合、その基礎のX方向の寸法及びY方向の寸法と、下端レベル(1FLに対するその基礎の下端のレベル)と、上端レベル(1FLに対するその基礎の上端のレベル)と、断面形状とを、基礎のデータベース3eから抽出し、図28(b)のテーブルに記憶する。また、図8のように、通り芯X6に対する基礎の振分け寸法(X方向の振分け寸法)及び通り芯Y1に対する基礎の振分け寸法(Y方向の振分け寸法)が、基礎伏図に記載されていない場合には、その基礎を表す図形(例えば四角形)の重心がその基礎の上に存在する1階の柱を表す図形(例えば四角形)の重心と同じ位置にあるとものとして、X方向振分け寸法及びY方向振分け寸法を算出し、それぞれを図28(b)のテーブルに記憶する。
次に、図28(b)のテーブルに記憶した基礎の平面配置データに基づいて、その基礎(記号及び作画線)を基礎伏図に作図し、作図された基礎と重なっている元の作画線と記号を消去する(部材認識済処理)。
同様にして、全ての検索領域について、順次基礎を検索して、基礎伏図に記載されている全ての基礎についての情報を抽出して3次元配置基本データテーブル3fに記憶するとともに、部材認識済処理を行う。これにより、図28(b)のテーブルに記憶すべき情報は全て記憶される。
次に、ステップST31において、基礎梁が選択されると、ステップST32では、基礎伏図に記載されている基礎梁記号を検索し、基礎梁記号の近傍にある基礎梁の作画線を基礎梁として認識し、その基礎梁について、取得すべきデータを抽出して図28(c)の3次元配置基本データテーブルに記憶する。
具体的には、基礎伏図において、図27(b)を用いて説明した1つの第1検索領域(図27(b)の第1検索領域K11,K12、K13、K14等を参照)内で基礎梁記号と基礎梁の作画線(2本の平行線)を検索し、それらが存在すればその基礎梁を認識する。全ての第1検索領域の検索が終了した後、第2検索領域(図27(b)の第2検索領域K21,K22、K23、K24等を参照)が検索される。
次に認識した基礎梁の3次元配置基本データを抽出する。例えば、通り芯交点X6・Y1と、通り芯交点X7・Y1との間にある基礎梁FG8(図8)の場合、その梁幅と梁成と断面形状とを基礎梁のデータベース3eから抽出する。また、図8のように、通り芯Y1に対する基礎梁の振分け寸法(この場合、Y方向の振分け寸法)が、基礎伏図に記載されていない場合には、次のようにして認識する。通り芯Y1の一部に相当し、交点X6・Y1と交点X7・Y1とを結ぶ線分である交点間ラインh61(図29参照)を設定し、この交点間ラインh61に対する基礎梁FG8の一方の側面までの距離(振分け寸法)は、基礎梁として認識された2本の平行線と、その両端に配置された柱との接続部分の位置関係から、柱の側面と梁の側面とが同一面上である梁(以下、「偏芯接合の梁」という)か、梁の中心ライン(2本の平行線の中心ライン)上に柱の中心がある梁(以下、「芯振分けの梁」という)かを判定し、その判定に基づいて算出する。あるいは、この振分け寸法の数値を平面詳細図等から直接抽出してもよい。
また、基礎梁FG8の位置は、交点X6・Y1と交点X7・Y1との間の交点間ラインh61上にあることで特定され、ここでは交点X6・Y1と交点X7・Y1との間の寸法(8000mm)がその長さになるが、その長さ自体(8000mm)はその基礎梁のデータとしては記憶されない。交点間ラインh61は、その両端の交点X6・Y1と交点X7・Y1によって特定される。
また、基礎梁FG8の上端(天端)レベルについては、基礎伏図の注記事項41(図8)の記載から、1FL(1FL±0)として認識し、図28(c)のテーブルに記憶する。
次に、図28(c)のテーブルに記憶した基礎梁の平面配置データに基づいて、その基礎梁(記号及び作画線)を基礎伏図に作図し、作図された基礎梁と重なっている元の作画線と記号を消去する(部材認識済処理)。
同様にして、全ての第1検索領域及び第2検索領域について、順次基礎梁を検索して、基礎伏図に記載されている全ての基礎梁についての情報を抽出して3次元配置基本データテーブル3fに記憶するとともに、部材認識済処理を行う。これにより、図28(c)のテーブルに記憶すべき情報は全て記憶される。
上記の基礎梁のデータを抽出する際に設定される交点間ラインを図29に示す。図29において、白丸が、通り芯交点P61、P62、P63、P71、P72、P73、P81、P82、P83であり、実線が、通り芯交点間に設定される交点間ラインh61、h62、h63、h71、h72、h73、H61、H62、H71、H72、H81、H82である。なお、黒丸は、後述の処理を行う際に新たに設定される基準線交点PS1〜PS7であり、鎖線は、後述の処理を行う際に新たに設定される交点間ラインSS1〜SS4である。また、Y1’、X6’、X7’は、後述の処理を行う際に新たに設定される基準線である。
次に、ステップST31において、基礎スラブが選択されるが、図8には、基礎スラブは存在していないので、ここでの説明は省略する。
次に、ステップST31において、地下の壁が選択されるが、図8には、地下の壁は存在していないので、ここでの説明は省略する。
以上のようにして、基礎伏図に記載されている全ての部材についてのデータが取得されると、1階床伏図に記載されている小梁記号とスラブ記号と破線とを基礎伏図に移動させるとともに、1階床伏図に記載されている寸法の値とその寸法線及び寸法補助線を基礎伏図に複写する。これにより、1階床伏図には、図9の1階床伏図に示された部材としては1階の柱と壁が残された状態となる(なお、階段が記載されていれば階段も残る)。そして、基礎伏図に移動させた破線のうち、基礎伏図の作画線と重なる破線は消去する。これにより、1階床伏図から移動された基礎梁の破線が消去され、残った破線が小梁を示すものになる。
次に、ステップST31において、1階の小梁が選択されると、ステップST32では、基礎伏図に記載されている小梁記号を検索し、小梁記号の近傍にある小梁の作画線(2本の平行な破線)を小梁として認識し、その小梁について、取得すべきデータを抽出して図28(c)の梁の3次元配置基本データテーブルに記憶する。
具体的には、基礎伏図において、図27(c)を用いて説明した1つの検索領域(図27(c)の検索領域K211,K212、K22、K23、K24等を参照)内で小梁記号と小梁の作画線(2本の平行線)を検索し、それらが存在すればその小梁を認識する。
次に認識した小梁の3次元配置基本データを抽出する。例えば、通り芯X6と通り芯X7と通り芯Y1と通り芯Y2とで囲まれた検索領域内を検索する場合には、小梁B13と小梁B11(図9参照)とが認識される。このように複数の小梁B13、B11が認識された場合、まず基礎梁と基礎梁とを繋ぐ小梁B13についての情報を取得した後、基礎梁と小梁(B13)とを繋ぐ小梁B11についての情報を取得する。
まず、小梁B13の断面形状、梁幅、梁成については小梁のデータベース3eから抽出し、図28(c)のテーブルに記憶する。そして、小梁B13の位置情報を抽出するために、小梁B13の位置を示すための新しい基準線(Y1’とする)を基準線Y1からの距離(3000)を示すための寸法補助線上に基準線Y1と平行に設定し、その基準線Y1’と通り芯X6、X7との交点を新しい基準線交点PS1、PS2(図29)として設定する。ここで、新しい基準線Y1’を設定することに伴い、基準線Y1、Y1’間の寸法が3000mmである情報と、基準線Y1’、Y2間の寸法が6000(=9000−3000)mmである情報とを、基準線間情報(図21(a))に追加する。
そして、小梁B13の両端の2つの基準線交点PS1、PS2の交点名を決めて、図28(c)のテーブルに記憶する。例えば、基準線交点PS1の交点名を、X6・Y1’と決め、基準線交点PS2の交点名を、X7・Y1’と決める。また、基準線交点PS1、PS2の交点間ラインSS1に対する小梁B13の振分け寸法は、交点間ラインSS1が小梁B13の中心を通る中心線である(芯振分けである)と判断し、梁幅の1/2として算出し、記憶する。あるいは、この振分け寸法の数値を平面詳細図から直接取得してもよい。また、小梁B13の上端(天端)レベルについては、建築図面には明記されていないが、小梁B13と干渉しているスラブの天端に等しいものとして後で取得する。
次に、図28(c)のテーブルに記憶した小梁B13の平面配置データに基づいて、その小梁B13(記号及び作画線)を基礎伏図に作図し、作図された小梁B13と重なっている元の作画線(破線)と記号を消去する(部材認識済処理)。
次に、小梁B11についても、小梁B13と同様にして3次元配置基本データを抽出する。すなわち、小梁B11の断面形状、梁幅、梁成については小梁のデータベースから取得し、図28(c)のテーブルに記憶する。そして、小梁B11の位置情報を抽出するために、小梁B11の位置を示すための新しい基準線X6’を基準線X6と平行に設定し、その基準線X6’と基準線Y2、Y1’との交点を新しい基準線交点PS3、PS4(図29)として設定する。ここで、新しい基準線X6’を設定することに伴い、基準線X6、X6’間の寸法が4000mmである情報と、基準線X6’、X7間の寸法が4000mmである情報とを、基準線間情報に追加する。
そして、小梁B11の両端の2つの基準線交点PS3、PS4の交点名を決めて、図28(c)のテーブルに記憶する。例えば、基準線交点PS3の交点名を、X6’・Y2と決め、基準線交点PS4の交点名を、X6’・Y1’と決める。また、基準線交点PS3、PS4の交点間ラインSS2に対する小梁B11の振分け寸法は、交点間ラインSS2が小梁B11の中心を通る中心線である(芯振分けである)と判断し、梁幅の1/2として算出し、記憶する。あるいは、この振分け寸法の数値を平面詳細図から直接取得してもよい。また、小梁B11の上端(天端)レベルについては、小梁B11と干渉しているスラブの天端に等しいものとして後で取得する。
次に、図28(c)のテーブルに記憶した小梁B11の平面配置データに基づいて、その小梁B11(記号及び作画線)を基礎伏図に作図し、作図された小梁B11と重なっている元の作画線(破線)と記号を消去する。
同様にして、全ての検索領域について、順次小梁を検索して、基礎伏図に記載されている全ての小梁についての情報を抽出して図28(c)のテーブルに記憶する。
次に、ステップST31において、1階のスラブが選択されると、ステップST32では、基礎伏図において、前述の1階の小梁の場合と同じ検索領域(図27(c)の検索領域K211,K212、K22、K23、K24等を参照)を用いてスラブ記号を検索し、その検索領域内のスラブを認識し、認識したスラブについて、取得すべきデータを抽出して図28(d)の3次元配置基本データテーブルに記憶する。
なお、ここで、検索領域内にスラブ記号が記載されていない場合には、1階床伏図の注記事項42(図9)の内容から、検索領域内に存在するスラブを認識する。例えば、4本の通り芯X6、X7、Y1、Y2で囲まれた検索領域内を検索した場合には、スラブ記号は記載されていないが、1階床伏図の注記事項42に、「特記を除き、スラブ記号はS2とする。」と記載されているので、その検索領域にはスラブS2があることを認識する。また、4本の通り芯X6、X7、Y2、Y3で囲まれた検索領域内を検索した場合には、スラブ記号であるS1が存在するので、その検索領域にはスラブS1があることを認識する。
次に、認識したスラブの3次元配置基本データを抽出する。ここで、上記のように認識した通り芯X6、X7、Y1、Y2で囲まれた検索領域内のスラブS2の場合、その厚さについてはスラブのデータベース3eから抽出する。
また、スラブS2の上端(天端)レベルについては、1階床伏図の注記事項42に、「特記を除き、基礎梁、スラブ天端レベルは1FL±0(GL±100)とする。」と記載されていることから、1FL(1FL±0)として取得する。
ここで認識された1階のスラブS2は、4辺が基礎梁で囲まれた領域に存在するスラブであるが、図28(d)のテーブルには、4辺が、判明している梁(基礎梁、小梁)に対応する交点間ラインで囲まれた領域に、1つのスラブが存在するものとして記憶する。例えば、基礎梁が配置された4本の交点間ラインH61、h61、H71、h62(図29)で囲まれた領域に、1つのスラブS2が存在していることが認識され、この1つのスラブS2は3つのスラブに分けて記憶される。
すなわち、基点1FL・X6・Y1と基点1FL・X7・Y1と基点1FL・X6・Y1’と基点1FL・X7・Y1’とで囲まれた領域のスラブS2と、基点1FL・X6・Y1’と基点1FL・X6’・Y1’と基点1FL・X6・Y2と基点1FL・X6’・Y2とで囲まれた領域のスラブS2と、基点1FL・X6’・Y1’と基点1FL・X7・Y1’と基点1FL・X6’・Y2と基点1FL・X7・Y2とで囲まれた領域のスラブS2とに分けられて記憶される。この3つのスラブS2について記憶される部材記号、厚さ、上端レベルは当然同じ情報である。
次に、図28(d)のテーブルに記憶したスラブS2の記号を基礎伏図に作図し、元の記号を消去する。
同様にして、全ての検索領域について、順次1階のスラブを検索して、基礎伏図に記載されている全ての1階のスラブについての情報を抽出して図28(d)のテーブルに記憶する。
最後に、外部部材検索領域(図27(c)の外部部材検索領域K41を参照)において、部材記号を検索し、検索された部材記号によって示される部材を認識し、同部材について、取得すべきデータを抽出し、基礎階層の同部材の3次元配置基本データテーブル(図示せず)に記憶する。ここで、認識される外部部材には梁やスラブ等があり、これらについてのデータの取得方法は、前述した通りである。また、前述のように、必要であれば、新たな基準線及び基準線交点を設定すればよい。
また、基礎スラブ(耐圧版)、地下の壁が存在する場合について説明しておく。この場合の基礎伏図の一例を図30に示す。図8と比較すればわかるように、図30の基礎伏図には、FS1,FS2のスラブ記号で示される基礎スラブと、W25の壁記号で示される地下の壁が追加されている。
基礎スラブの場合、1階のスラブの場合と同様、ステップST31において、基礎スラブが選択されると、ステップST32では、基礎伏図において、前述の1階の小梁の場合と同じ検索領域(図27(c)の検索領域K211,K212、K22、K23、K24等を参照)を用いて基礎スラブ記号を検索し、その検索領域内に基礎スラブ記号が有ればその基礎スラブを認識し、認識した基礎スラブについて、取得すべきデータを抽出して図28(d)のテーブルに記憶する。なお、基礎スラブの場合、その有無は、基礎スラブの記号の有無によって判断する。また、1つの検索領域内の基礎スラブは、1つの基礎スラブとして記憶され、1階のスラブのように複数に分けて記憶されない。例えば、図30に示された4つの通り芯X6、X7、Y1、Y2で囲まれた領域に配置されている基礎スラブFS2の場合、4つの交点間ラインH61、h61、H71、h62(図29)を定める4つの基準線交点名を平面配置データとし、その厚さは、スラブのデータベースから取得する。また、この基礎スラブFS2の上端レベルについては、基礎伏図(図30)の注記事項41aに記載されている「特記を除き、耐圧版下端レベルはGL−1600とする」という情報と、階高情報の補足情報(GLが1FL−100であること)と、スラブのデータベースから取得した基礎スラブFS2の厚さとから、算出する。耐圧版である基礎スラブFS2の下端レベルがGL−1600であり、GLが1FL−100であることから、基礎スラブFS2の下端レベルを1FL−1700と算出し、さらに、その厚さが300であれば、基礎スラブFS2の上端レベルを1FL−1400と算出する。
また、地下の壁の場合、1階のスラブ及び基礎スラブの場合と同様、ステップST31において、地下の壁が選択されると、ステップST32では、基礎伏図において、前述の1階の小梁の場合と同じ検索領域(図27(c)の検索領域K211,K212、K22、K23、K24等を参照)を用いて壁記号を検索し、壁記号の近傍にある壁の作画線(2本の平行な実線)を壁として認識し、その壁について、取得すべきデータを抽出し、基礎階層の壁の3次元配置基本データテーブル(図示せず)に記憶する。この基礎階層の壁(地下の壁)の3次元配置基本データテーブルは、図31(c)に示された後述の第1階層の壁の3次元配置基本データテーブルの壁基本テーブル(但し、「関連の壁開口番号」の欄が無いもの)と同様である。また、基礎階層の壁の平面配置データについての取得方法は、前述の1階の小梁の場合と同様である。また、この壁の下端レベルについては、この壁と干渉している基礎スラブの上端レベルと等しいデータを記憶する。
以上のようにして、基礎階層に含まれる全ての部材についてのデータが取得されるが、高さ方向のデータについては未取得のものがある。
そこで、ステップST34では、各々の3次元配置基本データテーブルにおいて未取得のデータが求められる。ここで、柱の3次元配置基本データテーブルにおいては、下端レベル及び上端レベルが未取得であり、各柱の下端レベルについては、その柱の直下に存在する基礎の上端レベルと等しいデータを記憶し、各柱の上端レベルについては、その柱に干渉する梁(基礎梁)及び1階のスラブのうちの最も高い上端レベルと等しいデータを記憶する。また、1階の小梁の上端レベルについては、その小梁に干渉するスラブの上端レベルと等しいデータを記憶する。また、図30のように、基礎スラブ及び地下の壁がある場合、地下の壁(W25)の上端レベルについては、その壁の直上に存在する1階の小梁(例えば図9の通り芯X7と通り芯X8との間に存在する小梁B11)の下端レベルを算出し、その下端レベルと等しいデータを記憶する。ここで1階の小梁の下端レベルは、その上端レベルから梁成を減算して算出すればよい。
以上により、基礎階層に含まれる全ての部材について、各々の3次元配置基本データテーブルが完成する。
〔第k階層〕
図31及び図32は、k=1の場合である第1階層についてステップST8が行われることにより取得される各部材の3次元配置基本データが記憶されるテーブルの一例を示す図である。図31(a)、(b)、(c)、(d)は、第1階層における柱、梁、壁、スラブの3次元配置基本データテーブルを示す図であり、図32は、第1階層における階段の3次元配置基本データテーブルを示す図である。なお、図31(a)〜(d)及び図32の場合には、フロアライン名と基準線交点名とからなる基点(基点名)を記憶するようにしているが、これに代えて基準線交点名のみを記憶するようにしてもよい。
第k階層における柱については、k階の柱芯案内図及び柱のデータベースを主に用いて3次元配置基本データを取得する。また、第k階層における梁、壁、スラブについては、その前の階層の処理で使用した2つの伏図のうち上階(k階)の伏図と、(k+1)階の伏図と、各部材のデータベースとを主に用いて3次元配置基本データを取得する。また、第k階層における階段については、階段詳細図を主に用いて3次元配置基本データを取得する。
この第k階層についてのステップST31〜ST34は、以下のようになる。
第k階層の場合、繰り返し行われるステップST31において、例えば、図5(b)に示されるように、k階の柱、(k+1)階の大梁、(k+1)階の小梁、k階の壁(その壁の開口を含む)、(k+1)階のスラブ、k階のスラブと(k+1)階のスラブとを繋ぐ階段、外部部材の順に選択される。本実施の形態の場合、3階建ての建築物であるので、k=1〜3であり、k=3の場合の(k+1)階はR階(屋上階)である。
はじめのステップST31において、k階の柱が選択されると、ステップST32では、k階柱芯案内図を選択し、そのk階柱芯案内図において柱記号を検索し、柱記号の近傍にある通り芯の交点を内部に含む四角形等の多角形あるいは円等の作画線を柱として認識し、その柱について、取得すべきデータを抽出して柱の3次元配置基本データテーブルに記憶する。ここで、第k階層のkが2以上の場合、すなわち第2階層以上の階層の柱についてのステップS32は基礎階層で述べた1階の柱についての処理と同様に行い、k階の全ての柱についての平面配置データを求めればよい。また、第k階層の柱の下端レベルについては、存在位置を示す通り芯交点が同一である第(k−1)階層の柱の上端レベルと等しい情報を記憶する。
また、kが1の場合、すなわち第1階層の場合には、基礎階層の場合に1階の柱についての平面配置データをすでに求めているので、その平面配置データを第1階層の柱の3次元配置基本データテーブルに複写すればよい。また、第1階層の柱の下端レベルについては、存在位置を示す通り芯交点が同一である基礎階層の柱の上端レベルと等しい情報を記憶する。
以上により、第k階層の柱の3次元配置基本データテーブルにおいて、上端レベル以外の情報は記憶されるが、上端レベルの情報については、未取得であり、まだ記憶されていない。
次に、k階の柱の平面配置データに基づいて、k階の全ての柱(記号及び作画線)をk階床伏図に作図し、作図されたk階の柱と重なっている元のk階床伏図の作画線及び元の柱記号を消去する。
以上のようにして、k階床伏図に記載されている全ての柱についてのデータが取得されると、(k+1)階床伏図に記載されているスラブ記号と梁記号と梁の作画線とをk階床伏図に移動させるとともに、(k+1)階床伏図に記載されている寸法の値とその寸法線及び寸法補助線をk階床伏図に複写する。ここで、移動させる梁の作画線(破線及び実線)の認識方法については、大梁については、大梁記号の最も近傍にあり、円形あるいは四角形等の柱の作画線の間を結ぶ通り芯線と平行な2本の平行線をその梁の作画線として認識する。また、小梁については、小梁記号の最も近傍にあり、梁として認識済みの他の2組の平行線(ここで1組が2本の平行線)の間を結ぶ2本の平行線をその梁の作画線として認識する。なお、壁の作画線を含めて3本以上の平行線が存在する場合には、その最も外側の2本の平行線を梁の作画線として認識する。また、(k+1)階床伏図に、スラブが無いことを示す破線のバツ印93,94(図33参照)が描かれている場合には、その破線のバツ印93,94もk階床伏図に移動させる。これにより、(k+1)階床伏図には、(k+1)階の柱と壁が残された状態となる(なお、階段が記載されていれば階段も残る)。図33は、スラブが存在しない領域を有する床伏図の一例を示す図である。
次に、大梁、小梁、壁、スラブ、階段についてのステップST32の処理は、kが2以上の場合も、kが1の場合と同様であるので、以下では、kが1の場合、すなわち第1階層の場合について説明し、第2階層以上の階層については説明を省略する。
第1階層の場合、先の第k階層の説明で述べたように、1階床伏図に記載されている全ての柱についてのデータが取得されると、2階床伏図に記載されているスラブ記号と梁記号と梁の作画線とを1階床伏図に移動させるとともに、2階床伏図に記載されている寸法の値とその寸法線及び寸法補助線を1階床伏図に複写する。また、2階床伏図に、スラブが無いことを示す破線のバツ印93,94(図33参照)が描かれている場合には、その破線のバツ印93,94も1階床伏図に移動させる。これにより、2階床伏図には、2階の柱と壁が残された状態となる(なお、階段が記載されていれば階段も残る)。
次に、ステップST31において、2階の大梁が選択されると、ステップST32では、1階床伏図(図10)において、大梁記号を検索し、大梁記号の近傍にある大梁の作画線(2本の平行線)を大梁として認識し、その大梁について、取得すべきデータを抽出して図31(b)の3次元配置基本データテーブルに記憶する。
この大梁についての検索及び認識方法は、基礎梁の場合と同様である。また、認識した大梁の3次元配置基本データの抽出方法についても、大梁の梁幅及び梁成を、基礎梁のデータベースの代わりに、大梁のデータベースから抽出する以外は基礎梁の場合と同様であり、説明を省略する。大梁の位置についても基礎梁の場合と同様、両端の基準線交点名が記憶される。また、大梁の上端(天端)レベルについては、2階床伏図の注記事項43(図10)の記載から取得し記憶する。この注記事項43の記載から、例えば、ハッチングが描かれていない大梁の上端レベルは、2FL−10として認識し、図31(b)のテーブルに記憶する。
次に、ステップST31において、2階の小梁が選択されると、ステップST32では、1階床伏図において、小梁記号を検索し、小梁記号の近傍にある小梁の作画線(2本の平行線)を小梁として認識し、その小梁について、取得すべきデータを抽出して図31(b)のテーブルに記憶する。
この小梁についてのステップST32は、小梁の上端(天端)レベルを、2階床伏図の注記事項43の記載から取得する以外は、基礎階層の小梁の場合と同様であり、説明を省略する。
次に、ステップST31において、1階の壁が選択されると、ステップST32では、1階床伏図において、壁記号を検索し、壁記号の近傍にある壁の作画線(2本の平行線)を壁として認識し、その壁について、取得すべきデータを抽出して図31(c)の3次元配置基本データテーブルに記憶する。この壁の3次元配置基本データテーブルは、図31(c)のように、壁基本テーブルと壁開口テーブルとによって構成され、まず壁基本テーブルから作成される。
具体的には、1階床伏図において、図27(c)を用いて説明した1つの第1検索領域(図27(c)の第1検索領域K31,K32、K33、K34等を参照)内で壁記号と壁の作画線(2本の平行線)を検索し、それらが存在すればその壁を認識する。全ての第1検索領域の検索が終了した後、第2検索領域(図27(c)の第2検索領域K211,K212、K22、K23、K24等を参照)が検索される。
次に認識した壁の3次元配置基本データを抽出する。例えば、通り芯交点X7・Y3と、通り芯交点X8・Y3との間にある壁W18の場合、その厚さを壁のデータベース3eから抽出する。また、図9のように、通り芯Y3に対する壁W18の振分け寸法(この場合はY方向の振分け寸法)が、1階床伏図に記載されていない場合には、1階平面詳細図(図19参照)から抽出する。
また、壁W18の位置は、交点X7・Y3と交点X8・Y3との間の交点間ライン上にあることで特定され、ここでは交点X7・Y3と交点X8・Y3との間の寸法(8000mm)がその長さになるが、その長さ自体(8000mm)はその壁のデータとしては記憶されない。交点間ラインは、その両端の交点X7・Y3と交点X8・Y3によって特定される。
また、壁の下端レベルについては、その壁の直下の梁またはスラブの上端レベルと等しい情報を記憶する。壁の上端(天端)レベルについては、その壁の直上の梁またはスラブの下端レベルを算出し、その算出した情報を記憶する。
次に、図31(c)の壁基本テーブルの平面配置データに基づいて、その壁(記号及び作画線)を1階床伏図に作図し、作図された壁と重なっている元の作画線と記号を消去する(部材認識済処理)。
同様にして、全ての第1検索領域及び第2検索領域について、順次壁を検索して、1階床伏図に記載されている全ての壁についての情報を抽出して3次元配置基本データテーブル3fの壁基本テーブルに記憶するとともに、部材認識済処理を行う。これにより、図31(c)の壁基本テーブルに記憶すべき情報は、関連の壁開口番号以外、全て記憶される。
次に、壁基本テーブルに対する附属テーブルとして壁開口テーブルを作成する。
1階床伏図に、1階建具配置図(図18)の建具記号(窓記号及びドア記号)をその位置を変えずに複写する。これにより、例えば、交点X7・Y3と交点X8・Y3との間の壁W18の両端付近に、それぞれAW−2の窓記号が配置され、壁W18に対して2つの窓AW−2が配置される2つの壁開口を認識する。
次に認識した壁開口のデータを抽出する。ここで、交点X7・Y3に近い方の窓AW−2が配置される壁開口について説明する。壁開口部材のデータベースから、窓AW−2についての情報である開口幅、開口の高さ、FLからの高さのデータを抽出し、それぞれ、壁開口テーブルに記憶する。また、開口中心位置については、例えば1階平面詳細図(図19参照)から交点X7・Y3に近い方の窓AW−2に関する寸法を抽出し、算出する。1階平面詳細図から抽出される上記窓AW−2に関する寸法は、開口幅に該当する2500(mm)と、交点X7・Y3から窓AW−2までの水平距離である512.5(mm)である。この場合、開口中心位置は、(2500/2)+512.5=1762.5として算出し、壁開口テーブルに記憶する。
上記のように開口中心位置は、開口が設けられる壁の一方の基準線交点を基準(0)にして壁開口の中心までの水平距離で示される。本実施の形態では、X方向と平行に配置される壁については、基準線交点から壁開口の中心へ向かう方向がプラスX方向となるように基準となる基準線交点を定め、Y方向と平行に配置される壁については、基準線交点から壁開口の中心へ向かう方向がプラスY方向となるように基準となる基準線交点を定めるようにしている。
さらに、壁開口が設けられる壁の番号(壁基本テーブルの壁番号)を壁開口テーブルの関連の壁番号に記憶するとともに、その壁開口が設けられる壁の関連の壁開口番号(壁基本テーブル)に壁開口の番号(壁開口テーブルの壁開口番号)を記憶し、壁のデータと壁開口のデータとをリンクさせる。
他の窓が設けられる壁開口、ドアが設けられる壁開口についても同様にして情報を取得して壁開口テーブルを作成する。
以上は、躯体である壁(以下、「躯体壁」という)について説明したが、間仕切り壁等の躯体ではない壁(以下、「非躯体壁」という)について説明する。非躯体壁は各階の床伏図には記載されていない。
非躯体壁については、1階平面詳細図を用いてデータを取得し、壁の配置情報テーブルに記憶する。
図示しないが、1階平面詳細図には、躯体壁の壁リスト同様、非躯体壁について各壁記号ごとにその厚さが明記された壁リストが載せられてあり、この壁リストから各壁の厚さを抽出し、非躯体壁のデータベースを作成する。
次に、1階平面詳細図において、非躯体壁の壁記号を検索し、壁記号の近傍にある壁の作画線(2本の平行線)を壁として認識し、その壁について、取得すべきデータを抽出して図31(b)のテーブルに記憶する。
具体的には、1階平面詳細図において、図27(c)を用いて説明した1つの第2検索領域(図27(c)の第2検索領域K211,K212、K22、K23、K24等を参照)内で壁記号と壁の作画線(2本の平行線)を検索し、それらが存在すればその非躯体壁を認識する。
次に認識した非躯体壁の3次元配置基本データを抽出し、図31(b)のテーブルに記憶する。ここで非躯体壁の厚さについては非躯体壁のデータベースから取得し記憶する。非躯体壁の位置情報については、大梁あるいは小梁の場合と同様にして、両端の基準線交点名を記憶する。また、振分け寸法については小梁の場合と同様にして取得する。また、非躯体壁の上端レベル及び下端レベルについては、躯体壁の場合と同様にして取得する。
次に、図31(c)のテーブルに記憶した非躯体壁の平面配置データに基づいて、その非躯体壁(記号及び作画線)を1階平面詳細図に作図し、作図された壁と重なっている元の作画線と記号を消去する(部材認識済処理)。
同様にして、全ての第2検索領域について、順次、非躯体壁を検索して、1階平面詳細図に記載されている全ての壁についての情報を抽出して3次元配置基本データテーブル3fに記憶するとともに、部材認識済処理を行う。これにより、図31(c)の基本テーブルに記憶すべき情報は、関連の壁開口番号以外、全て記憶される。
次に、第1階層の非躯体壁に関する壁開口情報を壁開口テーブルに追加する。
躯体壁の場合は、1階床伏図に、1階建具配置図(図18)の建具記号(窓記号及びドア記号)を複写したが、非躯体壁の場合も同様に、1階平面詳細図に、1階建具配置図(図18)の建具記号(窓記号及びドア記号)をその位置を変えずに複写する。以降は、躯体壁の壁開口情報を取得する場合と同様に行えばよく、その説明を省略する。
次に、ステップST31において、2階のスラブが選択されると、ステップST32では、1階床伏図において、小梁の場合と同じ検索領域(図27(c)の検索領域K211,K212、K22、K23、K24等を参照)を用いてスラブ記号を検索し、その検索領域内のスラブを認識し、認識したスラブについて、取得すべきデータを抽出して図31(d)の3次元配置基本データテーブルに記憶する。この2階のスラブについてのステップST32は、基礎階層の場合の1階のスラブについてのステップST32の処理と同様であるので、その詳しい説明を省略する。
なお、上記のようにスラブについて、各検索領域を検索し、スラブが無いことを示す破線のバツ印が描かれている領域については、スラブが無いので、データとしては記憶しない。図33は、スラブの無い領域の一例が示されている2階床伏図の一部を示す図である。なお、図33では、各部の寸法等は省略している。
図33において、4本の通り芯X1,X2,Y2,Y3で囲まれた領域、及び、4本の通り芯X2,X3,Y2,Y3で囲まれた領域がそれぞれ1つの検索領域に相当する。ここで、4本の通り芯X2,X3,Y2,Y3で囲まれた検索領域では、その全領域に対して破線のバツ印93が描かれているので、スラブは無いものとして認識し、データとしては記憶しない。また、4本の通り芯X1,X2,Y2,Y3で囲まれた検索領域については、スラブ記号のS3が記載されているのでスラブS3を認識する。この検索領域において、破線のバツ印94が描かれていない場合には、基礎階層の説明で述べたように、スラブS3は、3つのスラブに分けて記憶される。しかし、図33の場合には、上記3つのスラブのうちの1つのスラブの領域に破線のバツ印94が描かれているので、破線のバツ印が描かれた領域についてはスラブが無いものとして、データとしては記憶しない。他の2つのスラブについてはその存在を認識して記憶する。
次に、ステップST31において、階段が選択される。この階段が選択された場合のステップST32は、以下のようになる。
ステップST32では、1階床伏図において、小梁の場合と同じ検索領域(図27(c)の検索領域K211,K212、K22、K23、K24等を参照)を用いて、階段の登る方向を示す矢印及び記号(U,UP等)を検索し、それらの矢印及び記号があればその検索領域内に1階から2階へ上がる階段が存在することを認識する。同様に、2階床伏図において、小梁の場合と同じ検索領域(図27(c)の検索領域K211,K212、K22、K23、K24等を参照)を用いて、階段の下りる方向を示す矢印及び記号(D,DN等)を検索し、それらの矢印及び記号があればその検索領域内に2階から1階へ下る(1階から2階へ上がる)階段が存在することを認識する。このようにして階段の存在が認識された場合には、例えば階段詳細図からその階段についてデータを抽出し、例えば図32に示される階段の3次元配置基本データテーブルを作成する。
図34(a)は、階段の一例が示されている階段詳細図のうちの1階平面図を示す図であり、図34(b)は、同階段詳細図のうちの2階平面図を示す図である。図35は、同階段詳細図のうちの断面図を示す図である。
階段の3次元配置基本データテーブルに記憶される情報は、図32に示される情報であり、これらの情報は、例えば階段詳細図(図34、図35)から取得する。なお、図34、図35に示されたA〜Lの符号は、図32に括弧書きで記載しているものと対応している。
例えば、図32に示される階段の3次元配置基本データテーブルにおいて、階段番号1として記憶されている情報は、例えば図34、図35から取得される。この場合、進行方向(階段の登り方向あるいは下り方向)における階段迄の距離Aは、通り芯X4から階段の1段目までの距離であり、階段詳細図(例えば図35)から1450(mm)を取得して記憶する。また、階段の水平長さBは階段の1段目から最終段までの水平距離であり、階段詳細図(例えば図35)から4940(mm)を取得して記憶する。また、階段迄の距離Cは、階段の最終段から通り芯X5までの距離であり、階段詳細図(例えば図35)から1610(mm)を取得して記憶する。また、階段迄の距離Aの基準にするラインである交点間ラインを示す2つの基準線交点(基点1、基点2)として、X4・Y2とX4・Y3とを記憶し、階段迄の距離Cの基準にするラインである交点間ラインを示す2つの基準線交点(基点3、基点4)として、X5・Y2とX5・Y3とを記憶する。
また、幅方向における階段迄の距離Dは、通り芯Y2から階段までの距離であり、階段詳細図(例えば図34(a)または図34(b))から3100(=5000−1000−900)(mm)を取得して記憶する。また、階段の幅Eは、階段詳細図(例えば図34(a)または図34(b))から900(mm)を取得して記憶する。また、階段迄の距離Fは、階段から通り芯Y3までの距離であり、階段詳細図(例えば図34(a)または図34(b))から1000(mm)を取得して記憶する。また、階段迄の距離Dの基準にするラインである交点間ラインを示す2つの基準線交点(基点5、基点6)として、X4・Y2とX5・Y2とを記憶し、階段迄の距離Fの基準にするラインである交点間ラインを示す2つの基準線交点(基点7、基点8)として、X4・Y3とX5・Y3とを記憶する。
また、階段詳細図(例えば図35)から、登りスラブ厚Gとして150(mm)を取得して記憶し、踏み面寸法Hとして260(mm)を取得して記憶し、蹴込み寸法Iとして30(mm)を取得して記憶し、蹴上げ寸法Jとして205(mm)を取得して記憶し、段数Kとして20(段)を取得して記憶し、階段の高さ寸法Lとして4100(mm)を取得して記憶する。また、階段の1段目とつながるスラブの番号(スラブの3次元配置基本データテーブルに記憶されている番号)を、下階スラブ番号に記憶し、階段の最終段につながるスラブの番号(スラブの3次元配置基本データテーブルに記憶されている番号)を、上階スラブ番号に記憶する。この下階スラブ番号に記憶されているスラブの上端レベルと、上階スラブ番号に記憶されているスラブの上端レベルとの間に、階段が構成されることになる。
なお、上記の階段について取得すべき3次元配置基本データは、直進階段(鉄砲階段)の場合の一例であり、その他、階段の形状に応じて予め定められている。
最後に、外部部材検索領域(図27(c)の外部部材検索領域K41を参照)において、部材記号を検索し、検索された部材記号によって示される部材を認識し、同部材について、取得すべきデータを抽出し、第1階層の同部材の3次元配置基本データテーブル(図示せず)に記憶する。ここで、認識される外部部材には梁、壁やスラブ、階段等があり、これらについてのデータの取得方法は、前述した各部材の取得方法と同様である。
以上のようにして、第1階層に含まれる全ての部材についてのデータが取得されるが、高さ方向のデータについて未取得のものがある。
そこで、ステップST34では、各々の3次元配置基本データテーブルにおいて未取得のデータが求められる。ここで、柱の3次元配置基本データテーブルにおいては、各柱の上端レベルが未取得であり、この上端レベルについては、その柱に干渉する梁(大梁)及び2階のスラブのうちの最も高い上端レベルと等しいデータを記憶し、その柱に干渉する部材が無い場合には「2FL」として記憶する。また、間仕切り壁のように、2階のスラブと干渉する壁の上端レベルについては、その壁の直上に存在する2階のスラブの下端レベルを算出し、その下端レベルと等しいデータを記憶する。ここで2階のスラブの下端レベルは、その上端レベルから厚さを減算して算出する。
以上により、第1階層に含まれる全ての部材について、各々の3次元配置基本データテーブルが完成する。
第2階層以上の階層についても、第1階層と同様にして、各々の3次元配置基本データテーブルを完成させる。
次に、全ての階層について、各部材の3次元配置基本データテーブルを作成した後、図36〜図38に示される3次元表示を行う場合について説明する。
この場合、例えば、操作入力部7の操作によって、ディスプレイ5に表示されるメニュー画面において「3D表示」を選択すると、3D表示する階層を設定するためのダイアログボックスが表示される。そのダイアログボックスに表示させようとする階層を指定(入力)する。ここで、1つの階層のみを指定することもできるし、基礎階層〜第2階層というように連続する複数の階層及び全階層を指定することもできる。
操作入力部7の操作によって表示しようとする階層が指定されると、CPU1は、指定された階層の3次元配置基本データテーブルに記憶されたデータ(3次元配置基本データ)から3次元配置修正データを作成し(ステップST11)、さらにそれに基づいて3次元表示用データを作成し(ステップST12)、この3次元表示用データに基づいてディスプレイ5の画面に指定された階層を立体的に表示する(ステップST13)。本実施の形態では、一般的な3次元CADに搭載されている機能と同様の表示機能を有し、操作入力部7の操作によって、例えば、図36(a)に示すようなワイヤーフレーム表示画像と、図36(b)に示すようなシェーディング表示画像とを切替えて表示することができる。図36(a)は基礎階層を指定した場合のワイヤーフレーム表示画像であり、図36(b)は基礎階層を指定した場合のシェーディング表示画像である。また、図37(a)は第1階層を指定した場合のワイヤーフレーム表示画像であり、図37(b)は第1階層を指定した場合のシェーディング表示画像である。また、図38は全階層を指定した場合のシェーディング表示画像である。このような表示画像は、操作入力部7の操作によって、プリンタ6から印字出力させることもできる。
上記の3次元配置基本データに基づいて3次元表示用データを作成する処理は、以下の2つの処理に大別できる。
まず、第1の処理では、指定された階層の3次元配置基本データに対して、各々の部材間での重複部分(重なり合う部分)を無くした3次元配置修正データを作成する(ステップST11)。
この第1の処理は、例えば図26(c)、(e)の説明でも述べたように、異なる種類の部材間での重複部分を無くしたデータを作成する適正化処理である。そのため、予め部材の種類間で優先順位が定められており、優先順位の低い方の部材の重複部分が取り除かれて、優先順位の低い方の部材が優先順位の高い方の部材に接した状態となるように、優先順位の低い方の部材の重複部分を取り除くためのデータ処理を行い、優先順位の低い方の部材の3次元配置修正データを作成する。また、優先順位の高い方の部材については、他に重複部分が無ければ、3次元配置基本データと同じデータを3次元配置修正データとして作成する。
なお、3次元配置基本データにおいて重複部分が生じる部材の種類と、優先順位の関係(優先順位の高・低を括弧書き)とを示せば、基礎(高)と基礎梁(低)、柱(高)と大梁・基礎梁(低)、大梁・基礎梁(高)と小梁(低)、柱・全ての梁(高)とスラブ(低)、柱(高)と壁(低)、等がある。
この第1の処理(適正化処理)によって、柱及び基礎の3次元配置基本データについては変更されることなくそのまま3次元配置修正データになる。例えば、図31(b)に示される梁の3次元配置基本データの場合には、基点1と基点2とが梁の長手方向の両端の位置になっているが、その両端に柱が存在する場合には、図26(c)の破線領域74のように、基点1と基点2との内側に梁の両端がずれることになる。この場合、基点1からのずれ量(例えば基点1から梁の一端までの距離)と、基点2からのずれ量(例えば基点2から梁の他端までの距離)とが、それぞれ、基点1に存在する柱の3次元配置基本データ、基点2に存在する柱の3次元配置基本データを用いて演算処理により求められ、それらが梁の3次元配置基本データに追加されて、梁の3次元配置修正データが作成される。この3次元配置修正データにおいては、基点1と、基点1からのずれ量とによって梁の長手方向の一端が示され、基点2と、基点2からのずれ量とによって梁の他端が示される。壁の3次元配置修正データについても同様にして作成される。
また、図31(d)に示されるスラブの3次元配置基本データの場合には、4つの基点1〜基点4を頂点とする四角形(平面形状)のスラブが示されているが、各基準線交点に柱が存在し、交点間ライン上に梁が存在する場合には、例えば図26(e)の破線領域79が3次元配置修正データによって示されるスラブになる。この場合も、3次元配置修正データに必要となるデータが演算処理によって求められ、そのデータが3次元配置基本データに追加されて、3次元配置修正データが作成される。例えば、梁が存在することによって、基点1と基点2との間、基点2と基点3との間、基点3と基点4との間、及び基点4と基点1との間のそれぞれの交点間ラインに対して内側へずれるずれ量と、柱が存在することによって、基点1〜4の各基点から内側へずれるX方向のずれ量及びY方向のずれ量とが求められ、3次元配置基本データに追加されて3次元配置修正データが作成される。なお、上記の例では、平面配置データの修正によって3次元配置修正データを作成することができるが、高さ方向に関するデータの修正が必要になる場合もある。
次に、第2の処理では、3次元配置修正データに基づいて3次元仮想空間内に建築物の表示指定された階層部分を構築し、それを2次元平面に投影した画像を表示するための3次元表示用データを作成する(ステップST12)。ここで、3次元仮想空間内に建築物の表示指定された階層部分を構築する場合に、各々の部材を順次、3次元仮想空間内に作成していく。このとき、3次元配置修正データに含まれる各基点の相対的な位置が、図21(a)、(b)の基準線間情報及び階高情報によって定められる(例えば図24参照)。このように各基点の相対的な位置が定まれば、それを基準にして各部材の位置が定められ、3次元仮想空間内に建築物の表示指定された階層部分を構築することができる。このように、3次元仮想空間内に構築されたモデル(建築物の表示指定された階層部分)を2次元平面に投影した画像を表示するための3次元表示用データを作成する方法は、周知の3次元コンピュータグラフィックスの技術を用いればよい。
なお、前述の適正化処理を行わない場合には、部材同士が重なり合って表示されることになる。そこで、適正化処理により、3次元配置基本データとは別に3次元配置修正データを作成するようにしている。
以上のように本実施の形態では、3次元仮想空間内に設定される各々の基点の相対的な位置が、基準線間情報及び階高情報によって定められ、基準線交点の名称とフロアラインの名称と関連付けられている。また、各々の部材の3次元配置データ(3次元配置基本データ及び3次元配置修正データ)は、基準線交点及びフロアラインを基準にしたデータであるため、3次元仮想空間内に設定される基点を基準にして、各々の部材を3次元仮想空間内に配置することが可能になり、建築物を立体的に表示することが可能なデータ(3次元表示用データ)を作成することができる。
また、本実施の形態では、操作入力部7の操作により、図21(a)、(b)に示されるような基準線間情報及び階高情報をディスプレイ5の画面に表示し、さらに操作入力部7を操作して、画面上の基準線間情報及び階高情報のそれぞれの寸法を変更することが可能である。画面上の基準線間情報及び階高情報の寸法を変更することにより、記憶されている基準線間情報及び階高情報の寸法も変更される。本実施の形態では、各部材の3次元配置基本データを、基準線間情報及び階高情報と対応付けられた基点名を基準にして作成しているため、基準線間寸法及び/又は階高寸法を設計変更する場合に、部材の寸法を逐一変更しなくても、変更すべき基準線間情報及び/又は階高情報を変更するだけで、その設計変更に応じて建築物及びその一部(表示指定部分)の3次元表示が可能になる。一般的に、建築物を設計する際、基準線間寸法及び階高寸法等の種々の設計変更があり、基準線間寸法及び/又は階高寸法を設計変更する際に、変更後の3次元表示を上記のように容易に行えることは、非常に有用である。
なお、本実施の形態では、非躯体壁についても3次元配置基本データを取得し、その表示を行うようにしているが、非躯体壁については3次元配置基本データを取得しないようにして、建築物の躯体部材についてのみ3次元配置基本データを取得し、建築物の躯体のみについての3次元表示を行うようにしてもよい。あるいは、はじめに3次元配置基本データを取得すべき建築部材を選択できるようにし、その建築部材について3次元表示を行うようにしてもよい。また、本実施の形態のように予め定められた建築部材について3次元配置基本データを取得するようにし、3次元表示を行うときに、表示すべき建築部材の選択を行えるようにしてもよい。