JP4339250B2 - ポリオール - Google Patents

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Description

本発明は、新規種類のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール、このようなポリオールから製造されるプレポリマー、およびこのようなポリオールからポリウレタン材料を製造するための方法に関する。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール、具体的に言うと、いわゆるアミン含有開始剤から製造されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオールが知られている。たとえば、米国特許第5,367,050号、米国特許第5,476,969号、米国特許第5,672,636号、EP539819、およびWO01/58976を参照。これらの特許文献に開示のポリオールでは、オキシエチレン基の量に対してオキシプロピレン基の量が比較的多い。
オキシエチレン含量の高いポリオールが米国特許第2,979,528号とGB776661に開示されており、これらのポリオールは、より高いオキシエチレンレベルでは室温において固体のブロックコポリマーポリオールである(GB776661の表IIIと7ページの第21〜31行を参照)。「SPI-PU会議議事録, 1995年9月26-29日、212〜215ページ」および「Review of Block Polymer Surfactant, I.R.Schmolka, Journal of the American Oil Chemistry Society, 1977年3月, 112ページ」も参照のこと。
さらに、EP187949は、C2-C12アルキレンオキシドを重合させ、次いでエチレンオキシドまたはC2-C40エポキシドの混合物を重合させることを含む、ある種類のアルコキシル化アミノ-ポリエーテルを開示している。EP582127は、多価ポリアミンを開始剤として得られるポリエーテルポリオールを開示しており、該特許によれば、前記ポリオールは内部ポリオキシエチレンブロックを有する。米国特許第3,042,631号は、アミン化合物を開始剤として得られるポリエーテルポリオールを開示しており、該特許によれば、前記ポリオールは外部ポリオキシエチレンブロックを有する。米国特許第4,186,119号が類似のポリオールを開示している(実施例13を参照)。米国特許第3,779,927号とEP341593は、アミンを開始剤とするポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオールを開示しており、このとき前記ポリオールは、ランダムコポリマーであっても、またはブロックコポリマーであってもよい。
驚くべきことに、オキシエチレン含量が高く、オキシエチレン基の部分をブロック形態で、そして他の部分をランダム形態で有し、高いオキシエチレン含量にも関わらずある特定のレベルより低い融点を示す、新規種類のポリオールが見出された。本発明のポリオールは、ポリウレタン材料〔特に水発泡ポリウレタン材料;このような材料は、揮発性有機化合物のレベルがより低く、また曇り(fogging)の程度もより小さい〕を製造するのに有用である。これらのポリオールはさらに、触媒を使用しないか、あるいはより少量の触媒の使用によりポリウレタン材料を製造できる機会をもたらす。
したがって本発明は、2〜6の平均公称ヒドロキシ官能価、14〜80mgKOH/gのヒドロキシル価、およびオキシエチレン基とオキシプロピレン基との総量を基準として50〜90重量%(好ましくは60〜90重量%)のオキシエチレン含量を有するポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオールに関し、このとき前記オキシエチレン基の10〜90%(好ましくは25〜90%、最も好ましくは50〜90%)がランダムに分布しており、前記ポリオールが、2〜6個の活性水素原子と少なくとも1つの窒素原子とを有する開始剤のアルコキシル化によって製造され、前記ポリオールの尾部が、PO/EO-EOまたはPO-PO/EO-EOという構造を有する。本発明のポリオールは、20〜70mgKOH/gのヒドロキシル価(OHv)を有するのがさらに好ましく、20〜50mgKOH/gのヒドロキシル価(OHv)を有するのが最も好ましい。
本発明のポリオールはさらに、下記の式に従うのが好ましい:
Tm<T0
(式中、Tmは℃にて表示した融点である)、および
Figure 0004339250
(℃にて表示;式中、C=60℃であり、XnはOH基1つ当たりのオキシエチレン単位の数である)。
本発明に関して、下記の用語は以下に説明するような意味を有する。
1) イソシアネートインデックスまたはNCOインデックスまたはインデックス:
NCO基と配合物中に存在するイソシアネート反応性水素原子との比であって、百分率として表示する:
Figure 0004339250
言い換えると、NCOインデックスとは、配合物中において使用されるイソシアネート反応性水素の量と反応する上で理論的に必要とされるイソシアネートの量に対する、配合物中の実際に使用されるイソシアネートのパーセントを表わしている。
留意しなければならないことは、本明細書で使用されているイソシアネートインデックスは、イソシアネート成分とイソシアネート反応性成分とを含んだ実際の発泡プロセスの観点から考えられている、という点である。変性ポリイソシアネート(当業界においてプレポリマーと呼ばれているイソシアネート誘導体)を得るための予備工程において消費されるイソシアネート基、あるいは予備工程(たとえば、イソシアネートと反応させて変性ポリオールまたは変性ポリアミンを生成させる)において消費される活性水素は、イソシアネートインデックスの算出において考慮されない。ポリウレタン材料の実際の製造において存在する遊離のイソシアネート基と遊離のイソシアネート反応性水素(水の反応性水素を含める)だけが考慮される。
2) イソシアネートインデックスを算出するために本明細書で使用されている“イソシアネート反応性水素原子”とは、反応性組成物中に存在するヒドロキシル基とアミン基における活性水素原子の合計を表わしている。このことは、実際の発泡プロセスにおけるイソシアネートインデックスを算出する上で、1つのヒドロキシル基は1つ反応性水素を含んでいると見なし、1つの第一級アミン基は1つの反応性水素を含んでいると見なし、そして1つの水分子は2つの活性水素を含んでいると見なす、ということを意味している。
3) 反応系: イソシアネート反応性成分から隔離されている1つ以上の容器中にポリイソシアネートが保持されている場合の、成分の組み合わせ。
4) 本明細書で使用している“ポリウレタンフォーム”とは、ポリイソシアネートとイソシアネート反応性水素含有化合物とを発泡剤を使用して反応させることによって得られる気泡物質を表わしており、特に、水を反応性の発泡剤として使用して(水とイソシアネート基とを反応させてウレア結合と二酸化炭素を生成させることを含み、これによりポリウレア-ウレタンフォームが得られる)、そしてポリオール、アミノアルコール、および/またはポリアミンをイソシアネート反応性化合物として使用して得られる気泡物質を含む。
5) “公称ヒドロキシル官能価”という用語は、本明細書では、この値が、ポリオールの製造において使用される開始剤の官能価(1分子当たりの活性水素原子の数)であると仮定して、ポリオールまたはポリオール組成物の官能価(1分子当たりのヒドロキシル基の数)を示すのに使用されている(しかしながら実際には、幾らかの末端不飽和のため、値が幾分小さい場合が多い)。
6) “平均”とは、特に明記しない限り数平均を表わす。
本発明のポリオールは、10〜90%の、好ましくは25〜90%の、そして最も好ましくは50〜90%のエチレンオキシドを、全部または一部の、好ましくは10〜90%のプロピレンオキシドと共に反応させるという条件にて、2〜6個の反応性水素原子と少なくとも1つの窒素原子を有する開始剤、プロピレンオキシド、およびエチレンオキシドを正しい順序で反応させることによって公知の方法で製造される。
本出願においては、ポリオールについて下記のような記載方式を使用する: PO-EOポリオールは、開始剤に先ずPO(オキシプロピレン)ブロックを付け、次いでEOブロックを付けたポリオールである。PO-PO/EOポリオールは、先ずPOブロックを、次いでランダムに分布したPOとEOのブロックを有するポリオールである。PO-PO/EO-EOポリオールは、先ずPOブロックを、次いでランダムに分布したPOとEOのブロックを、次いでEOのブロックを有するポリオールである。PO-EOポリオールは、先ずPOブロックを、次いでEOブロックを有するポリオールである。上記の説明においては、ポリオールの1の枝、鎖、または尾部だけが記載されており(開始剤からわかる)、公称ヒドロキシル官能価によって、このような尾部がいくつ存在するかが決まる。
本発明のポリオールは、PO/EO-EOまたはPO-PO/EO-EOという構造を有する。ポリオールの構造はPO-PO/EO-EOであることが好ましく、このときオキシプロピレン基の10〜90%がランダムに分布していることが好ましい。PO/EO-EOという構造を有するポリオールは、プロピレンオキシドとエチレンオキシドとの混合物と開始剤とを反応させ、次いで、得られる生成物とエチレンオキシドとを反応させることによって製造される。PO-PO/EO-EOという構造を有するポリオールは、先ず開始剤とプロピレンオキシドとを反応させ、次いで、得られる生成物と、プロピレンオキシドとエチレンオキシドとの混合物とを反応させ、次いで、前記の反応で得られる生成物とエチレンオキシドとを反応させることによって製造される。
本特許出願に関し、“ランダム分布のポリオール”または“ランダム重合”とは、エチレンオキシド(の一部)とプロピレンオキシド(の一部)とが一緒に反応してPO/EOという構造となった場合のポリオール、あるいはエチレンオキシド(の一部)とプロピレンオキシド(の一部)とを一緒に反応させてPO/EOという構造を得る場合のプロセスを表わしている。
前述したように、本発明のポリオールは公知の方法にしたがって製造される。所望するポリオールに応じて、開示剤を、一般には高温(好ましくは80〜140℃)において、一般には触媒〔いわゆるダブル金属シアン化物(double metal cyanide)触媒、ホスファゼニウム触媒、アルカリ金属触媒、またはアルカリ土類金属触媒等〕の存在下にて、幾つかの適切な工程を介してアルコキシル化する。K、Na、Cs、Ba、および/またはSrを含んだ触媒が好ましい(特に、KOHおよび/またはCsOH)。たとえば、PO-PO/EO-EOという構造を有するポリオールは、先ず開始剤とプロピレンオキシドとを反応させ(プロポキシル化)、次いでプロピレンオキシドとエチレンオキシドとの混合物と反応させ、次いで最後にエチレンオキシドと反応させる(エトキシル化)ことによって製造される。
本発明において使用される開始剤は、少なくとも1つの窒素原子と、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドと反応することができる2〜6個の水素原子(‘活性水素原子’)とを有する分子である。開始剤は、芳香族アミン、脂肪族アミン、アリール脂肪族アミン、およびシクロ脂肪族アミンから選択することができる。より具体的には、開始剤は、アルカノールアミン、アミンを開始剤としたポリエーテルポリオール、ヒドラジン、アルキレンアミン、アルキルアミン、およびアミノアルコキシアルカノールから選択することができる。最も好ましいのは、アルカノール基1つ当たり2〜6個の炭素原子を有するアルカノールアミン、アルキレン基1つ当たり2〜4個の炭素原子を有するアルキレンアミン、1〜6個の炭素原子を有するアルキルアミン、ならびにアルコキシ1つ当たりおよびアルカノール基1つ当たり2〜6個の炭素原子を有するアミノアルコキシアルカノールである。このような開始剤の例としては、4,4’-ジフェニルメタンジアミンおよびその異性体と異性体混合物、アニリン、トルエンジアミン、1-(2-アミノエチル)ピペラジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルエタノールアミン、N-エチルエタノールアミン、N-ブチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N-メチルイソプロパノールアミン、N-エチルイソプロパノールアミン、N-プロピルイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、1,2-プロピレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリメチルジアミノヘキサン、N,N-ジメチルエチレンジアミン、エチレンジアミンの高級類縁体(たとえば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、およびテトラエチレンペンタミン)、プロピレンジアミンの類縁体(たとえば、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミン、およびN,N-ジメチルジプロピレントリアミン)、4-アミノベンジルアミン、4-アミノフェニルエチルアミン、ピペラジン、N,N-ビスアミノエチルジプロピレントリアミン、1-アミノ-3,3,5-トリメチル-5-アミノメチルシクロヘキサン、n-ブチルアミン、プロピルアミン、エチルアミン、メチルアミン、ヒドラジン、ならびに、C1-C6アルキル、シクロヘキシル、もしくはフェニルを置換基として有するモノ置換またはN,N-ジ置換ヒドラジン、および、2-(2-アミノエトキシ)エタノールが挙げられる。好ましい開始剤は、アルカノールアミン、アルキレンアミン、およびアルキルアミンである。開始剤の混合物も同様に使用することができる。本発明はさらに、本発明のポリオールを1〜100重量%含んだポリオール組成物と過剰量のポリイソシアネートとを反応させることによって得られる、1〜45重量%(好ましくは5〜40重量%)のNCO値を有するプレポリマーに関する。
このようなプレポリマーは、後述するポリイソシアネートと、本発明のポリオールを1〜100重量%含んだポリオール組成物とから公知の方法にしたがって製造される。ポリイソシアネートとポリオールの相対的な量は、当業者であれば、選択されるポリイソシアネートとポリオール、および所望するNCO値に応じて容易に決定することができる。
本発明のポリオールを100%未満の量にて含んだポリオール組成物がプレポリマーの製造において使用される場合、ポリオール組成物の残部は、ポリエステルポリオール、他の開始剤によるポリエーテルポリオール、および/または、(EO+PO)を基準として50〜90重量%以外のオキシエチレン含量を有するポリエーテルポリオール等の他のポリオールからなる。ポリオール組成物における他のポリオールの量は0〜50重量%である。
本発明はさらに、過剰量のポリイソシアネートと上記のポリオール組成物とを、プレポリマーのNCO値が1〜45重量%となるような相対量にて反応させることによるこのようなプレポリマーの製造法に関する。
本発明はさらに、上記の本発明のポリオールを1〜100重量%含んだポリオール組成物とポリイソシアネートとを反応させることを含む、ポリウレタン材料の製造法に関する。
ポリウレタン材料には種々あるが、特に、発泡もしくは非発泡エラストマー、インテグラルスキンフォーム、連続気泡もしくは独立気泡を有する硬質フォーム、半硬質もしくは軟質フォーム、熱可塑性ポリウレタン、塗料、接着剤、封入剤、シーラント、および親水性フォームから選択することができる。どの材料を所望するかに応じて、他の成分を公知の方法にしたがって使用することができる。
ポリウレタン材料を製造する際に使用されるさらに他の成分がそのようなものとして公知であり、こうした成分としてはポリイソシアネートがあり、そして発泡ポリウレタン材料が製造される場合には発泡剤がある。さらに下記のような成分を任意成分として使用することができる:上記のポリオールとは異なるタイプのポリエーテルポリオール〔たとえば、(EO+PO)を基準として10重量%未満のオキシプロピレン基を含んだポリオキシエチレンポリオール、(EO+PO)を基準として50重量%未満のオキシエチレン基を有していてもよいポリオキシプロピレンポリオール、(EO+PO)を基準として50〜90重量%のオキシエチレン基を有するポリエーテルポリオール、他の開始剤から得られるポリエーテルポリオール、および/または本発明のポリオールとは別のオキシエチレン分布を有するポリエーテルポリオール〕、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリアミン〔これらの化合物は、2〜6(好ましくは2〜3)の数平均公称官能価と500〜5000(好ましくは1000〜3000)の数平均当量を有する〕、および連鎖延長剤と架橋剤(これらの物質は、500未満の当量と、それぞれ2および3〜8の官能価を有するイソシアネート反応性の化合物である)等。このような連鎖延長剤と架橋剤の例としては、エチレングリコール、プロパンジオール、2-メチルプロパン-1,3-ジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、500未満の当量を有するポリオキシエチレンジオールとポリオキシエチレントリオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、スクロース、ソルビトール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、および500未満の当量を有するポリエーテルジアミンとポリエーテルトリアミンなどが挙げられる。
さらに、以下のような任意成分を使用することができる: ウレタン結合の形成を増大させる触媒(たとえば、オクタン酸錫やジブチル錫ジラウレート等の金属触媒、トリエチレンジアミン等の第三アミン触媒、ジメチルイミダゾール等のイミダゾール、およびマレイン酸エステルや酢酸エステル等の他の触媒);界面活性剤;難燃剤;発煙抑制剤;紫外線安定剤;着色剤;微生物抑制剤;充填剤;および内部離型剤(以後、これらを総称して‘添加剤’と呼ぶ)。
ポリウレタン材料(特に軟質フォーム)を製造する際に使用されるポリオールは、付加重合ポリマーもしくは縮合重合ポリマーの分散液または溶液を含んでよい。
このような変性ポリオール(“ポリマーポリオール”と呼ばれることが多い)が従来技術において詳細に説明されており、上記ポリエーテルポリオール中での、1種以上のビニルモノマー(たとえば、スチレンおよび/またはアクリロニトリル)のその場重合によって、あるいは上記ポリオール中での、ポリイソシアネートとアミノおよび/またはヒドロキシ官能性化合物(たとえばトリエタノールアミン)とのその場反応によって得られる生成物が含まれる。
分散ポリマーの量は、全成分を基準として0.1〜10重量%の範囲であってよい。分散ポリマーの粒径は50ミクロン未満であるのが好ましい。
ここ数年の間に、低い不飽和度(level of unsaturation)を有するポリエーテルポリオールを製造するための幾つかの方法が報告されている。こうした開発により、分子量範囲における高い分子量限界付近のポリエーテルポリオールが使用できるようになった。現在では、このようなポリオールを、許容されうる低不飽和度で製造できるからである。本発明によれば、低不飽和度を有するポリオールも同様に使用することができる。特に、低不飽和度を有するこのような高分子量ポリオールは、高い反発弾性(ball rebound)と高いレジリエンスを有する軟質フォームを製造するのに使用することができる。
発泡ポリウレタンを製造する場合は、発泡剤が使用される。炭化水素、いわゆるCFC類とHCFC類、N2、CO2、および水等の、当業界に公知の発泡剤を使用することができる。水は発泡剤として使用するのが最も好ましく、所望によりCO2と共に使用する。発泡剤の量は所望する密度によって変わる。当業者であれば、所望する密度および使用する発泡剤の種類に応じて発泡剤の量を決定することができる。水が使用される場合、その量は、使用する他の全成分の重量の4倍までである。自動車シートや家具に使用される軟質フォームの場合、水の量は0.8〜5重量%であり;微孔質エラストマーとインテグラルスキン半硬質フォームの場合、一般には0.8重量%までの量が使用され;そして親水性フォームの場合は、5重量%を超える量(好ましくは20〜300重量%)が使用される(記載の量はいずれも、使用する他の全成分の重量を基準として算出されている)。ポリウレタン材料を製造するのに使用されるポリイソシアネートは、脂肪族ポリイソシアネート、シクロ脂肪族ポリイソシアネート(cycloaliphatic polyisocyanate)、および芳香族脂肪族ポリイソシアネート(araliphatic polyisocyanate)(特に、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、4,4-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、m-テトラメチルキシレンジイソシアネート、およびp-テトラメチルキシレンジイソシアネート等のジイソシアネート);ならびに、特に、芳香族ポリイソシアネート〔トルエンジイソシアネート(TDI)、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、および最も好ましくは、2より大きいイソシアネート官能価を有するジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とその類縁体(たとえば、クルードMDIとポリメリックMDI)〕から選択することができる。好ましいポリイソシアネートは、純粋な4,4’-MDI;4,4’-MDI、2,4’-MDI、および10重量%未満の2,2’-MDIの異性体混合物;ならびにカルボジイミド基、ウレトンイミン基、および/またはウレタン基を含有する、これらジイソシアネートの変性体(modified variants)〔たとえば、少なくとも20重量%のNCO含量を有するウレトンイミンおよび/またはカルボジイミド変性MDI、ならびに過剰のMDIと低分子量ポリオール(最大1000までの分子量)とを反応させることによって得られ、少なくとも20重量%のNCO含量を有するウレタン変性MDI〕;から選択されるジフェニルメタンジイソシアネートである。必要であれば、上記イソシアネートの混合物も使用することができる。ポリイソシアネートは、必要に応じて、従来の方法で(たとえば、少量のイソホロンジアミンをポリイソシアネートに加えることによって)製造される分散ウレア粒子および/または分散ウレタン粒子を含有してよい。最も好ましいポリイソシアネートは、少なくとも65重量%(好ましくは少なくとも80重量%の、さらに好ましくは少なくとも95重量%)の4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートまたはその変性体を含有するポリイソシアネートである。最も好ましいポリイソシアネートは、純粋な4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートから実質的になっていてもよいし、あるいは4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートと1種以上の他の有機ポリイソシアネート〔特に、他のジフェニルメタンジイソシアネート異性体(たとえば、幾らかの2,2’-異性体が含まれていてもよい2,4’-異性体)〕との混合物から実質的になっていてもよい。最も好ましいポリイソシアネートはさらに、少なくとも65重量%の4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートを含有するポリイソシアネート組成物から誘導されるMDI変性体であってもよい。MDI変性体は当業界によく知られており、本発明にしたがって使用するためのものとしては特に、前記ポリイソシアネート中にウレトンイミン基および/またはカルボジイミド基を導入することによって(このようなカルボジイミド変性および/またはウレトンイミン変性ポリイソシアネートは少なくとも20重量%のNCO値を有するのが好ましい)、および/または、好ましくは少なくとも20重量%のNCO値を有する変性ポリイソシアネートが得られるよう、このようなポリイソシアネートと、2〜6のヒドロキシル官能価と60〜1000の分子量を有する1種以上のポリオールとを反応させることによって得られる液体(25℃にて)物質がある。最大25重量%までの他のポリイソシアネートを、この最も好ましいポリイソシアネートと共に使用することができ、このとき好ましい他のポリイソシアネートは、ポリメリックMDIとトルエンジイソシアネートである。
ポリウレタン材料(親水性フォームを除く)を製造するための反応は、40〜150(好ましくは70〜110)のNCOインデックスにて行うことができる。親水性フォームの場合は、使用する水の量が多いことから、NCOインデックスがかなり広い範囲で変わる。ポリウレタン材料は、ワンショット法とプレポリマー法にしたがって製造することができる。ワンショット法によれば、ポリイソシアネート、本発明のポリエーテルポリオール、および他の任意成分を合わせてミキシングし、反応を起こさせる。必要に応じて、ポリエーテルポリオールと他の任意成分をプレミックスする。プレポリマー法によれば、イソシアネート反応性化合物(水が使用される場合は、水を除いて)の一部または全部を過剰量のポリイソシアネートと予備反応させて、ウレタン含有のイソシアネート末端プレポリマーを作製する。こうして形成されるプレポリマーを、残部のイソシアネート反応性化合物および/または水と反応させる。
本発明のポリオールは、インテグラルスキンフォーム成形品、半硬質フォーム成形品、および軟質フォーム成形品を製造するのに特に適している。このような軟質フォーム成形品は、1)前記のポリイソシアネート;2)少なくとも10重量%(好ましくは少なくとも50重量%)の本発明のポリオール〔残部は、500〜5000の平均当量と25重量%以上(好ましくは50重量%以上)のオキシエチレン含量を有する他のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオールであるのが好ましい〕;3)水;および4)必要に応じて、連鎖延長剤と架橋剤と前記の添加剤;から製造するのが好ましい。これらの軟質フォーム成形品は、内部離型剤を使用することなく、最初の成形を行う前だけに外部離型剤(EMR)を使用することによって製造することができる(WO00/55232に記載)。これらの軟質フォーム成形品は、家具、寝具、および自動車シートに使用するのに特に適している。他の驚くべき特徴は、本発明の成分を使用することでいわゆるストライク-スルー(strike-through)が避けられるので、これらの軟質フォームを、現場注入発泡法にしたがって、そしてより具体的には、バリヤーを使用することなくフォーム-イン-ファブリック法(foam-in-fabric process)にしたがって製造することができる、という点である。これらのフォームはさらに、高いレジリエンス、良好な圧縮永久歪み、低いヒステリシス損失、および快い感触等の優れた特性を有する。
本発明のポリオールは、ウレタンの形成に対して幾らかの触媒活性を示すことがある。このため(他の)触媒の量がより少なくて済み、したがって製造されるポリウレタン材料は、揮発性有機化学物質の含有量がより少なくなることがある。
したがって本発明はさらに、フォームの重量を基準として少なくとも25重量%(好ましくは少なくとも35重量%)のオキシエチレン含量を有し、そして50〜300パーツ・パー・ミリオン(ppm)のVOCレベルを有するポリウレタンフォームに関する。本発明のフォームは、少なくとも60%のレジリエンス(ISO8307にしたがって測定)と25〜80kg/m3の総合密度(ISO845)を有する軟質フォームであるのが好ましい。軟質フォームは、成形されたフォームであるのが最も好ましい。VOC(揮発性有機化合物)はダイムラー-クライスラーのPB VWL 709にしたがって測定される。50〜250ppmであるのが好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明を説明する。
(実施例1)
1869グラムのトリエタノールアミンと138グラムのKOH水溶液(85重量%)をオートクレーブ中に入れ、引き続き窒素で3回パージし、次いで含水量が0.03重量%未満になるまで125℃にて減圧ストリッピングした。21gのサンプルを分析用に抜き取った。8090グラムのプロピレンオキシド(PO)とエチレンオキシド(EO)(重量比31.25:68.75)を120℃で185分にわたって加えた。反応をさらに10分継続し、次いで減圧ストリッピングを30分行った。得られた生成物のうちの8160gを取り出し、残部に上記のPO/EO混合物6850gを120℃にて190分にわたって加えた。反応をさらに30分継続し、次いで減圧ストリッピングを60分行った。得られたポリオールのOH価は44mgKOH/gであった。
(実施例2)
実施例1において最終的に得られたポリオールに、2080gのEOを120℃にて50分にわたって加えた。反応をさらに60分継続し、次いで減圧ストリッピングを60分行った。ポリオールを80℃に冷却した。216gのアンボソール(Ambosol)を加えてから125℃に加熱し、引き続きプレートフィルターによって濾過した。得られたポリオールのOH価は39mgKOH/g、オキシエチレン含量は約75重量%(EOとPOの合計を基準として)、チップト・オキシエチレン(tipped oxyethylene)またはキャップト・オキシエチレン(capped oxyethylene)の量は約20重量%(EOとPOの合計を基準として)、そして一級ヒドロキシルの含量が91%(全ヒドロキシル基を基準として算出)であった。℃表示のTm〔示差走査熱量測定法(DSC)にしたがって測定〕は4であった。T0(式から算出)は17であり、不飽和度(unsaturation level)のレベルは0.003ミリ当量/gであった。
(実施例3)
実施例1の場合と同様に、トリエタノールアミンの代わりにジエチレントリアミンからポリオールを製造した。以下の点が実施例1とは異なる:
・5000gのジエチレントリアミンを開始剤として使用した;
・1513gの50重量%KOH水溶液を使用した;
・18637gのPOを115℃にて最初に加えた;
・得られたポリオールのうちの20000gを取り出し、48300gのPO/EO(26.7/73.3,w/w)混合物を残部に加えた。これによって得られたポリオールのOH価は45mgKOH/gであり、EO含量は約69重量%(EOとPOの合計を基準として)であった。
(実施例4)
実施例3において最終的に得られたポリオールに12802gのEOを加え、減圧ストリッピングを30分行ったこと以外は、実施例2を繰り返した。得られたポリオールのOH価は36mgKOH/gであり、オキシエチレン含量は約75重量%であった。ポリオールはPO-PO/EO-EOという構造を有していて、このときPO-ブロックとEO-ブロックがそれぞれ、全体のポリオールを製造するのに使用されるPOとEOの合計量の5重量%と20重量%を構成し;残部はPO/EO-コポリマーブロックで形成されていて、このときPOとEOとの重量比は20:55である。Tm、T0、および不飽和度(unsaturation)はそれぞれ、10℃、19℃、および0.011ミリ当量/gであった。
(実施例5)
OH価が51mgKOH/gであって、実施例4において最終的に得られたポリオールと同じEOとPOの相対分布を有するポリオールを製造すべく、PO、EO/PO混合物、およびEOの量を調整したこと以外は、実施例3と4を繰り返した。Tm、T0、および不飽和度はそれぞれ、6℃、15℃、および0.005ミリ当量/gであった。
(実施例6)
実施例2と5において最終的に得られたポリオールを下記の配合処方にて使用して、フリーライズ軟質ポリウレタンフォームを製造した。
Figure 0004339250
ポリオール1はカラドール(Caradol)(商標)SA3602(シェル社から市販)であり、オキシエチレン含量が高く、アミン化合物を開始剤としていないポリオールである。
ポリオール2は、実施例2において最終的に得られたポリオールである。
ポリオール3は、実施例5において最終的に得られたポリオールである。
ポリオール4は、6の公称官能価と187mgKOH/gのヒドロキシル価を有するポリオキシエチレンポリオールである。
D33LV:エアープロダクツ社から市販のアミン触媒。
ポリイソシアネート1:スプラセク(Suprasec)2020とスプラセクMPR (どちらもハンツマン・ポリウレタンズ社から市販)との混合物(30/70,w/w)。スプラセクはハンツマン・インターナショナルLLCの商標である。
(実施例7)
従来の軟質ポリウレタンフォーム成形品は、ダルトセル(Daltocel)428ポリオール(ハンツマン・ポリウレタンズ社から市販)を使用して製造された(ダルトセルはハンツマン・インターナショナルLLCの商標である)。従来の軟質ポリウレタンフォーム成形品と実施例4において最終的に得られたポリオールを使用して得たフォーム成形品とを比較した。使用した成分と得られた結果を下記に示す。金型に注入する前に、ポリイソシアネートを除く全ての成分を混合した。正立方体で9リットル容積の金型の温度は60℃であり、成分の温度は周囲温度であった。
Figure 0004339250
ポリオール5はハンツマン・ポリウレタンズ社から市販のダルトセル428である。
ポリオール6は、3の公称官能価と127mgKOH/gのヒドロキシル価を有するポリオキシエチレンポリオールである。
D8154:エアープロダクツ社から市販の触媒〔ダブコ(Dabco)(商標)8154〕。
B4113:ゴールドシュミット社から市販のテゴスタブ(Tegostab)(商標)B4113シリコーン界面活性剤
ナイアックス(Niax)(商標)A1:OSI社から市販の触媒。
ポリオール7:実施例4にしたがって最終的に得られるポリオール。
ポリオール8:194mgKOH/gのOHvと84重量%のEO含量を有する、エチレンジアミンを開始剤とするEO/POポリオール。
ポリイソシアネート2:ハンツマン・ポリウレタンズ社から市販のスプラセク2591。
VOCと曇り(Fogging):ダイムラー-クライスラーのPBVWL709にしたがって測定。
(実施例8)
実施例4において得たポリオールの60重量部と、100ppmの塩化チオニルを含有するスプラセクMPRの40重量部とを85℃にて3.5時間反応させた。11.5重量%のNCO値を有するイソシアネート末端プレポリマーが得られた。
(実施例9)
下記の成分を混合し、反応させることによってフリーライズ軟質フォームを製造した。得られたフォームの物理的特性を下記の表に示す。
Figure 0004339250
全ての実施例において、ポリイソシアネートとポリオールは少量の酸化防止剤を含有し、この酸化防止剤を含めたフォーム中のVOCレベルは約65ppmになった。

Claims (10)

  1. 2〜6の平均公称ヒドロキシル官能価、500〜5000の平均当量、1000〜20000の平均分子量、およびオキシエチレン基とオキシプロピレン基との総量を基準として50〜90重量%のオキシエチレン含量を有するポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオールであって、前記オキシエチレン基の10〜90%がランダムに分布しており、前記ポリオールが、2〜6個の活性水素原子と少なくとも1つの窒素原子とを有する開始剤のアルコキシル化によって製造され、前記ポリオールの尾部が、PO/EO−EOまたはPO−PO/EO−EOという構造を有する、前記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール。
  2. 前記当量が1000〜3000であり、前記分子量が2000〜10000であり、前記オキシエチレン基の50〜90%がランダムに分布しており、前記オキシエチレン含量が60〜90重量%である、請求項1に記載のポリオール。
  3. 前記オキシプロピレン基の10〜90%がランダムに分布している、請求項1または2に記載のポリオール。
  4. 前記開始剤が、アルカノール基1つ当たり1〜6個の炭素原子を有するアルカノールアミン、アルキレン基1つ当たり1〜4個の炭素原子を有するアルキレンアミン、および1〜6個の炭素原子を有するアルキルアミンから選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリオール。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の1〜100重量%のポリオールを含んだポリオール組成物と過剰量のポリイソシアネートとを反応させることによって得られる、1〜45重量%のNCO値を有するプレポリマー。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリオールおよび/または請求項5に記載のプレポリマーが使用される、ポリウレタン材料の製造法。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリオールを使用して製造される、少なくとも25重量%のオキシエチレン含量と50〜300ppmのVOCレベルを有するポリウレタンフォーム。
  8. 前記フォームが少なくとも60%のレジリエンスと25〜80kg/mの総合密度を有する軟質フォームであり、前記VOCレベルが50〜250ppmである、請求項7に記載のフォーム。
  9. 前記フォームが成形フォームである、請求項7または8に記載のフォーム。
  10. 前記フォームが請求項6に記載の方法にしたがって製造される、請求項7〜9のいずれか1項に記載のフォーム。
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