JP4337724B2 - 筒内直接噴射式火花点火内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、筒内に燃料を直接に噴射する筒内直接噴射式火花点火内燃機関に関し、特に、排気系の触媒コンバータの早期昇温(早期活性化)が要求される冷間始動時における噴射時期および点火時期の制御に関する。
特許文献1には、筒内直接噴射式火花点火内燃機関の触媒暖機方法として、排気浄化用の触媒コンバータが活性温度よりも低い未暖機状態のときに、吸気行程から点火時期にかけての期間内で、部分的な空燃比の濃淡を有する混合気を燃焼室内に形成する後期噴射と、この後期噴射より前に燃料を噴射して、後期噴射の燃料と後期噴射の燃焼とで延焼可能な、理論空燃比よりもリーンな空燃比の混合気を燃焼室内に生成する早期噴射と、の少なくとも2回の分割噴射を行い、かつ点火時期をMBT点より所定量リタードさせるとともに、機関の無負荷領域では点火時期を圧縮上死点よりも前に設定し、無負荷領域を除く低速低負荷領域では点火時期を圧縮上死点以降までリタードさせる技術が記載されている。上記後期噴射は、圧縮行程の中期以降、例えば120°BTDC〜45°BTDCに行われる。
特許第3325230号公報
内燃機関の冷機時における触媒の早期活性化および後燃えによるHC低減のためには、点火時期の遅角が有効であり、より大きな効果を得るためには、圧縮上死点以降の点火(ATDC点火)が望ましい。ATDC点火で安定した燃焼を行わせるためには、燃焼期間を短縮する必要があり、そのために、筒内の乱れを強化して、燃焼速度(火炎伝播速度)を上昇させることが必要である。
このような乱れの強化のために、筒内に高圧で噴射される燃料噴霧のエネルギにより筒内に乱れを生成することが考えられる。
しかしながら、特許文献1では、主に、1回目の燃料噴射(早期噴射)を吸気行程中に行い、2回目の燃料噴射(後期噴射)を圧縮行程中の120°BTDC〜45°BTDCに行っている。このように最後の燃料噴射が圧縮上死点よりも前では、その噴霧により筒内に乱れを生成しても、圧縮上死点以降はその乱れが減衰してしまい、ATDC点火での火炎伝播速度上昇には寄与しない。
例えば、図3は、吸気ポート内に設けたガス流動制御弁(例えばタンブル制御弁)を作動させた場合とこのようなガス流動制御弁を具備しない場合とについて、筒内の乱れの大きさを示したものであるが、ガス流動制御弁を作動させることで吸気行程中に生成した乱れ(符号Aの部分)は、圧縮行程の進行とともに減衰し、圧縮行程後期のタンブル流の崩壊に伴い一時的に乱れが大きくなる(符号Bの部分)ものの、圧縮上死点以降は符号Cで示すように急速に減衰してしまい、その乱れを用いた燃焼改善(火炎伝播向上)はあまり期待できない。燃料噴霧による乱れについても同様であり、圧縮上死点より前の燃料噴射により乱れが生成されたとしても、圧縮上死点以降の点火燃焼には寄与しない。
このため、ATDC点火の方が排温上昇やHC低減に有利であるが、燃焼安定性が成立しないため、特許文献1では、無負荷領域では点火時期を圧縮上死点前(BTDC点火)としている。
本発明は、このような実状を踏まえて、触媒の早期活性化およびHC低減のためのATDC点火での燃焼安定性を改善することを目的としている。
この発明は、筒内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁を備えるとともに、点火プラグを備えてなる筒内直接噴射式火花点火内燃機関の制御装置において、筒内にガス流動強化用の流体を噴射する流体噴射手段を設け、排気系の早期昇温が要求される内燃機関の冷間始動時に、超リタード燃焼として、点火時期を圧縮上死点後に設定するとともに、吸気行程中に燃料噴射を行い、点火時期前でかつ圧縮上死点後の膨張行程中に上記流体噴射手段による流体噴射を行うことを特徴としている。
あるいは、排気系の早期昇温が要求される内燃機関の冷間始動時に、超リタード燃焼として、点火時期を圧縮上死点後15°〜30°CAに設定するとともに、吸気行程中もしくは圧縮行程中に燃料噴射を行い、点火時期前でかつ圧縮上死点後の膨張行程中に上記流体噴射手段による流体噴射を行うことを特徴としている。
すなわち、圧縮上死点以降では、吸気行程や圧縮行程で生成された乱れは減衰してしまうが、圧縮上死点以降の膨張行程中になされる適宜な高圧流体(ガス流動強化用流体)の噴射によって、筒内の乱れを生成・強化することができ、ATDC点火での火炎伝播が促進される。従って、点火時期を圧縮上死点後とした超リタード燃焼が安定的に成立する。
また、圧縮上死点後の流体の噴射に先立ち、吸気行程中もしくは圧縮行程中に燃料噴射を行うことにより、その噴射燃料が燃焼室全体に予め拡散し、ATDC点火によるHCの後燃えの促進に寄与するので、HC低減および排温上昇に有効となる。
燃料噴射時期としては、吸気行程あるいは圧縮行程のいずれであってもよいが、圧縮行程後半(90°BTDC以降)に設定すると、高圧の燃料噴射自体によって生成された筒内の乱れが残り、膨張行程にガス流動強化用流体を噴射することで、燃料噴射で生成した乱れを助長するように乱れを強化でき、上死点付近での乱れをより高めることができる。特に、この圧縮行程中の燃料噴射を、45°BTDC以降、より望ましくは20°BTDC以降とすると、圧縮上死点以降のガス流動をより強化することができる。また、吸気行程中に燃料噴射を行えば、点火までの燃料気化時間を十分に長く確保でき、筒内温度が非常に低い冷間始動直後などに有利となる。
ここで、上記のガス流動強化用の流体としては、気体あるいは液体のいずれであってもよく、空気、既燃ガス、水、あるいは燃料を含むガス、等を用いることができる。例えば、空気噴射の場合、燃料の後燃えに必要な酸素を十分に供給することができるようになり、後燃えによるHC低減および排温上昇が図れる。また燃焼後の高温既燃ガスを噴射する場合には、ガス温度が高いことによる燃焼促進が図れる。水噴射の場合には、上記のHC低減に加えて、その大きな気化潜熱により、NOxの低減が図れる。
この発明によれば、膨張行程に適宜な高圧流体を噴射してガス流動を強化することにより、点火時期を圧縮上死点後に設定した超リタード燃焼の燃焼安定性を十分に確保することができ、冷間始動の際に、触媒の早期活性化および後燃えによるHC低減を達成することができる。
以下、この発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、この発明が適用される筒内直接噴射式火花点火内燃機関のシステム構成を示す構成説明図である。
この内燃機関1のピストン2により形成される燃焼室3には、吸気弁(図示せず)を介して吸気通路4が接続され、かつ排気弁(図示せず)を介して排気通路5が接続されている。上記吸気通路4には、吸入空気量を検出するエアフロメータ6が配設されているとともに、制御信号によりアクチュエータ8を介して開度制御される電子制御スロットル弁7が配設されている。排気通路5には、排気浄化用の触媒コンバータ10が配設されているとともに、その上流側および下流側にそれぞれ空燃比センサ11,12が設けられており、さらに、上流側の空燃比センサ11と並んで、触媒コンバータ10入口側での排気温度を検出する排気温度センサ13が設けられている。
燃焼室3の中央頂上部には、点火プラグ14が配置されている。また、燃焼室3の吸気通路4側の側部に、該燃焼室3内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁15が配置されている。この燃料噴射弁15には、高圧燃料ポンプ16およびプレッシャレギュレータ17によって所定圧力に調圧された燃料が、高圧燃料通路18を介して供給されている。従って、各気筒の燃料噴射弁15が制御パルスにより開弁することで、その開弁期間に応じた量の燃料が噴射される。なお、19は、燃圧を検出する燃圧センサ、20は、上記高圧燃料ポンプ16へ燃料を送る低圧燃料ポンプである。
そして、この実施例では、筒内にガス流動強化用流体として高圧空気を噴射するための空気噴射弁31が燃焼室3へ向けて配置されており、高圧空気源となる高圧空気ポンプ32が接続されている。
また内燃機関1には、機関冷却水温を検出する水温センサ21が設けられているとともに、クランク角を検出するクランク角センサ22が設けられている。さらに、運転者によるアクセルペダル踏み込み量を検出するアクセル開度センサ23が設けられている。
上記内燃機関1の燃料噴射量や噴射時期、点火時期、高圧空気噴射の噴射時期、等は、コントロールユニット25によって制御される。このコントロールユニット25には、上述した各種のセンサ類の検出信号が入力されている。コントロールユニット25は、これらの入力信号により検出される機関運転条件に応じて、燃焼方式つまり均質燃焼とするか成層燃焼とするかを決定するとともに、これに合わせて、電子制御スロットル弁7の開度、燃料噴射弁15の燃料噴射時期および燃料噴射量、点火プラグ14の点火時期、等を制御する。なお、暖機完了後においては、低速低負荷側の所定の領域では、通常の成層燃焼運転として、圧縮行程の適宜な時期に燃料噴射が行われ、かつ圧縮上死点前の時期に点火が行われる。燃料噴霧は点火プラグ14近傍に層状に集められ、これにより、空燃比を30〜40程度とした極リーンの成層燃焼が実現される。また、高速高負荷側の所定の領域では、通常の均質燃焼運転として、吸気行程中に燃料噴射が行われ、かつ圧縮上死点前のMBT点近傍において点火が行われる。この場合は、燃料は筒内で均質な混合気となる。この均質燃焼運転としては、運転条件に応じて、空燃比を理論空燃比とした均質ストイキ燃焼と、空燃比を20〜30程度のリーンとした均質リーン燃焼と、がある。これらの通常の運転時には、空気噴射弁31からの空気噴射は行われない。
本発明は、触媒コンバータ10の早期昇温が要求される内燃機関1の冷間始動時において、排気温度を高温とするように、超リタード燃焼を行うものであり、以下、この超リタード燃焼の燃料噴射時期および点火時期を図2に基づいて説明する。
図2は、超リタード燃焼の2つの実施例を示しており、実施例1では、点火時期を15°〜30°ATDC(例えば20°ATDC)とし、かつ、燃料噴射の噴射時期(詳しくは燃料噴射開始時期)を吸気行程中に設定し、高圧空気噴射の噴射時期(同じく噴射開始時期)を、圧縮上死点以降でかつ点火時期前に設定する。なお、このとき、空燃比(高圧噴射される空気を考慮した空燃比)は、理論空燃比ないしはこれよりも若干リーン(16〜17程度)に設定される。
すなわち、触媒暖機促進ならびにHC低減のためには、点火時期遅角が有効であり、上死点以降の点火(ATDC点火)が望ましいが、ATDC点火で安定した燃焼を行わせるためには、燃焼期間を短縮する必要があり、そのためには、乱れによる火炎伝播を促進しなければならない。前述したように、圧縮上死点以降では、吸気行程や圧縮行程で生成された乱れは減衰してしまうが、本発明では、圧縮上死点以降の膨張行程中になされる高圧の流体噴射(例えば空気噴射)によって、ガス流動が生じ、これにより筒内の乱れを生成・強化することができる。従って、ATDC点火での火炎伝播が促進され、安定した燃焼が可能となる。
また、上記のように、圧縮上死点後の流体噴射に先立ち、吸気行程中に燃料噴射(吸気行程噴射)を行うと、吸気行程噴射の燃料噴霧による乱れは圧縮行程後半で減衰してしまい、圧縮上死点後におけるガス流動強化には殆ど影響を与えないが、噴射燃料が燃焼室全体に拡散していて、ATDC点火によるHCの後燃えの促進に寄与するので、HC低減および排温上昇には有効である。特に、膨張行程で噴射された空気によって、後燃えに必要な空気がより確実に供給される。
また、図2の実施例2は、燃料噴射を圧縮行程中に行い、流体噴射(空気噴射)を圧縮上死点以降に行う。このように、圧縮上死点後の流体噴射に先立ち、圧縮行程中に燃料噴射(圧縮行程噴射)を行うと、実施例1の吸気行程噴射に比べれば、圧縮行程噴射の方が、その燃料噴霧による乱れの減衰が遅くなるため、この燃料噴射による乱れが残り、圧縮上死点以降に流体噴射を行うことで、先の燃料噴射で生成した乱れを助長するように乱れを強化でき、圧縮上死点付近における更なるガス流動強化が図れる。
この実施例2の場合に、圧縮行程中の燃料噴射は、圧縮行程前半でもよいが、圧縮行程後半(90°BTDC以降)に設定すると、上死点付近での乱れをより高めることができる。特に、この圧縮行程噴射を、45°BTDC以降、より望ましくは20°BTDC以降とすると、圧縮上死点以降のガス流動をより強化することができる。
このように、実施例1,2の超リタード燃焼によれば、点火の直前に高圧空気を噴射することにより筒内の乱れを生成・強化することができ、火炎伝播を促進して、安定した燃焼を行わせることができる。特に、点火時期を15°〜30°ATDCまで遅角させることにより、触媒の早期活性化およびHC低減のための十分な後燃え効果を得ることができる。換言すれば、このように点火時期を大きく遅らせても、その直前に適宜な高圧流体の噴射を行って、乱れの生成時期も遅らせることで、火炎伝播向上による燃焼改善を達成できるのである。
なお、図2に示した高圧空気噴射の噴射時期は一例であり、圧縮上死点以降でかつ点火時期前であればよい。
本発明に係る内燃機関全体のシステム構成を示す構成説明図。 本発明の超リタード燃焼の燃料噴射時期、流体噴射時期および点火時期を示す特性図。 従来技術における筒内の乱れの変化を示す説明図。
符号の説明
3…燃焼室
10…触媒コンバータ
14…点火プラグ
15…燃料噴射弁
25…コントロールユニット
31…空気噴射弁

Claims (6)

  1. 筒内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁を備えるとともに、点火プラグを備えてなる筒内直接噴射式火花点火内燃機関の制御装置において、筒内にガス流動強化用の流体を噴射する流体噴射手段を設け、排気系の早期昇温が要求される内燃機関の冷間始動時に、超リタード燃焼として、点火時期を圧縮上死点後に設定するとともに、吸気行程中に燃料噴射を行い、点火時期前でかつ圧縮上死点後の膨張行程中に上記流体噴射手段による流体噴射を行うことを特徴とする筒内直接噴射式火花点火内燃機関の制御装置。
  2. 筒内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁を備えるとともに、点火プラグを備えてなる筒内直接噴射式火花点火内燃機関の制御装置において、筒内にガス流動強化用の流体を噴射する流体噴射手段を設け、排気系の早期昇温が要求される内燃機関の冷間始動時に、超リタード燃焼として、点火時期を圧縮上死点後15°〜30°CAに設定するとともに、吸気行程中もしくは圧縮行程中に燃料噴射を行い、点火時期前でかつ圧縮上死点後の膨張行程中に上記流体噴射手段による流体噴射を行うことを特徴とする筒内直接噴射式火花点火内燃機関の制御装置。
  3. 吸気行程中に燃料噴射を行うことを特徴とする請求項に記載の筒内直接噴射式火花点火内燃機関の制御装置。
  4. 圧縮行程中に燃料噴射を行うことを特徴とする請求項に記載の筒内直接噴射式火花点火内燃機関の制御装置。
  5. ガス流動強化用の流体は、空気、既燃ガス、水、あるいは燃料を含むガス、のいずれかを含んでいることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の筒内直接噴射式火花点火内燃機関の制御装置。
  6. 超リタード燃焼における空燃比は、理論空燃比もしくは若干リーンであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の筒内直接噴射式火花点火内燃機関の制御装置。
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