JP4337458B2 - 保存安定性に優れた脂肪族アルコールとその製造方法 - Google Patents

保存安定性に優れた脂肪族アルコールとその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、保存安定性に優れた脂肪族アルコール及びその製造方法に関し、特にタンク等の中での保管時及びタンカー等による輸送時における保存安定性に優れた飽和又は不飽和の脂肪族アルコール及びその製造方法に関する。
飽和又は不飽和の脂肪族アルコールは非常に多くの用途を有する化合物であり、そのままで或いはエチレンオキシド付加物原料、エステル原料、三級アミン原料として利用されている。
これらの製品は、生産された拠点からパイプラインで顧客に販売されたり、生産後直ちに窒素置換されたドラムに封入されて販売されるケースは少なく、ほとんどが長期間タンクに貯蔵されたり、タンカー等で長期間に亘って長距離を移動するケースが多い。
かかる保管形態においては、飽和又は不飽和の脂肪族アルコールが引火性のある危険物であることから、安全性の向上のために、空気からの樹脂吸着分離操作によって得られた窒素ガス(以下「PSA窒素ガス」と称する。)を、予め、タンクやタンカー中に送ってから飽和又は不飽和の脂肪族アルコールを移送したり、移送した後に上部空間部にPSA窒素ガスを送る方式が採られている。この操作は、あくまでも静電気による引火・爆発を防ぐことが目的であり、空間部に存在する可燃性の脂肪族アルコールの蒸気が爆発限界以内であれば十分とされ、通常、窒素ガス中の酸素含有量は2〜5%程度である。
従来の品質要求レベルであれば、酸素含有量が2〜5%程度の窒素ガスによって、タンクやタンカー中の飽和又は不飽和の脂肪族アルコールの空間部分が置換されておれば、保管上の問題はなかった。しかし、近年、飽和又は不飽和の脂肪族アルコール製品の品質上の要求が非常に高く、タンク保管時及びタンカー輸送時において、空気中の酸素による酸化劣化に起因する品質項目、特にカルボニル価や過酸化物価や色数が非常に高レベルで制限された製品が要求されている。
本発明は、保存安定性に優れた脂肪族アルコール及びそれらの製造方法、特に、タンク等での保管時及びタンカー等による輸送時における保存安定性に優れた脂肪族アルコール及びそれらの製造方法を提供することを目的とする。ここで、保存安定性に優れた製品とは、酸化劣化に起因する品質項目、特に、カルボニル価、過酸化物価及び色数の経時変化が少ない性状を有する製品をいう。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、以下の知見に基づき、本発明を完成するに至った。
(1)脂肪族アルコール中の酸素の溶存量を制御することにより、脂肪族アルコールの保存安定性を大幅に改善することができる。
(2)脂肪族アルコール中に窒素を特定比率で溶存せしめることにより、当該酸素の溶存量を制御することが容易となり、その結果、飽和又は不飽和の脂肪族アルコール又はそれらの混合物の保存安定性を格段に改善し得る。
(3)特定比率の酸素が溶存する窒素ガスを液状の脂肪族アルコール中に吹き込むことで、保存安定性が格段に改善された飽和又は不飽和の脂肪族アルコール又はそれらの混合物を製造し得る。
即ち、本発明は、以下の1種以上の脂肪族アルコール及びそれらの製造方法を提供するものである。
項1 1トン当たり50〜150Nリットルの窒素が溶存している1種以上の脂肪族アルコール。
項2 酸素溶存量が1.5Nリットル/トン以下である項1記載の脂肪族アルコール。
項3 脂肪族アルコールが、炭素数4〜22の直鎖状又は分岐状の脂肪族アルコールである項1又は2記載の脂肪族アルコール。
項4 脂肪族アルコールが、天然油脂を出発原料として調製される飽和又は不飽和の脂肪族アルコールである項1〜3のいずれかに記載の脂肪族アルコール。
項5 窒素ガスを液状の脂肪族アルコール中に吹き込むことを特徴とする保存安定性に優れた脂肪族アルコールの製造方法。
項6 窒素ガスを移送中の液状の脂肪族アルコール中に吹き込み、容器に移送することを特徴とする項5記載の脂肪族アルコールの製造方法。
項7 液状の脂肪族アルコールが、減圧脱気した脂肪族アルコールである項5又は6記載の脂肪族アルコールの製造方法。
項8 液状の脂肪族アルコールが、天然油脂を出発原料として調製される飽和又は不飽和の脂肪族アルコールである項5〜7のいずれかに記載の脂肪族アルコールの製造方法。
項9 窒素ガスが、酸素を10〜10000ppm含有する窒素ガスである項5〜8のいずれかに記載の脂肪族アルコールの製造方法。
項10 窒素ガスの吹き込み量が、脂肪族アルコール1m3当たり0.2〜2Nm3である項5〜9のいずれかに記載の脂肪族アルコールの製造方法。
項11 項5〜10のいずれかに記載の方法で製造される1種以上の脂肪族アルコール。
項12 1トン当たり50〜150Nリットルの窒素が溶存している項11記載の脂肪族アルコール。
項13 酸素溶存量が1.5Nリットル/トン以下である項12記載の脂肪族アルコール。
項14 脂肪族アルコールが、天然油脂を出発物質として調製される飽和又は不飽和の脂肪族アルコールである項12又は13記載の脂肪族アルコール。
本発明に係る脂肪族アルコールは、保存安定性に優れ、特にタンク等での保管時やタンカー等による輸送時における保存安定性に優れている。
本発明に係る炭素数4〜22の脂肪族アルコールの具体例としては、動植物由来の天然油脂を出発原料として調製される天然アルコール及び石油製品を出発原料として得られる合成アルコールが含まれる。又、直鎖状飽和アルコール、分岐鎖状飽和アルコール、直鎖状不飽和アルコール及び分岐鎖状不飽和アルコール及びそれらの混合物、脂環式アルコール並びに炭素数4〜12の鎖状ジオールが挙げられる。
飽和天然アルコールの出発原料としては、ヤシ油、パームカーネル油、パーム油、オリーブ油、大豆油、低エルシン菜種油、高エルシン菜種油、サフラワー油、トウモロコシ油、綿実油、ひまわり油、米糠油、亜麻仁油;大豆油、菜種油、サフラワー油、トウモロコシ油、綿実油、ひまわり油、オリーブ油、米糠油のいずれかを揚げ油とした後の油;牛脂、豚脂、鶏脂、魚油等のトリグルセリド及び/又はそれらの油脂から調製される脂肪酸及び/又はその低級アルキルエステルが例示され、好ましくはメチルエステルを還元反応原料とする。メチルエステルや脂肪酸等の還元反応原料は、蒸留分離して各々の炭素数の反応原料を調製しても良いし、上記の油脂の組成そのままで反応原料としても良い。飽和天然アルコールは、通常、上記原料を銅を担持した固体触媒を使用して高温高圧下で、不均一接触水素化反応を行うことで製造される。
直鎖状天然アルコールとしては、カプロイルアルコール、カプリリルアルコール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキニルアルコール、ベヘニルアルコールが例示される。又、これらの混合物として、原料油脂に由来した呼称で混合物を表現することもある。例えば、ヤシアルコール、パームカーネルアルコール、パームアルコール、オリーブアルコール、大豆アルコール、菜種アルコール、サフラワーアルコール、トウモロコシアルコール、綿実アルコール、ひまわりアルコール、米糠アルコール、亜麻仁アルコール、牛脂アルコール、豚脂アルコール、鶏脂アルコール、魚油アルコール等が挙げられる。更に、これらを蒸留分留して得られるC12及びC14が主体のアルコール混合物やC16及びC18が主体のアルコール混合物を例示することができる。
不飽和天然アルコールの原料としては、ヤシ油、パームカーネル油、パーム油、オリーブ油、大豆油、菜種油、サフラワー油、トウモロコシ油、綿実油、ひまわり油、米糠油、亜麻仁油;大豆油、菜種油、サフラワー油、トウモロコシ油、綿実油、ひまわり油、オリーブ油、米糠油のいずれかを揚げ油とした後の油;牛脂、豚脂、鶏脂、魚油を使用した不飽和脂肪酸及び/又はその低級アルキルエステルが例示され、好ましくはそのメチルエステルを還元反応原料とする。当該還元反応原料は、油脂を加水分解して得た不飽和脂肪酸、或いはその不飽和脂肪酸をメチルアルコールでエステル化して得られる。又、植物性油脂とメチルアルコールとのエステル交換反応によって得てもよい。通常、還元反応原料とするためには、不飽和脂肪酸及び/又はそのメチルエステルを蒸留し、必要であれば冷却固体分別操作により、ヨウ素価40〜200の還元反応原料とするのが好ましい。又、還元反応時や還元反応物を蒸留する際に生じた不飽和脂肪酸と不飽和アルコールの蝋エステルも反応原料として使用することができる。
不飽和天然アルコールは、通常、上記原料を亜鉛を担持した固体触媒を使用して高温高圧下で、不均一接触水素化反応を行うことで製造する。
直鎖状合成アルコールとしては、エチレンから合成される直鎖チーグラーアルコール、α-直鎖オレフィンのオキソ反応によって得られた直鎖アルコール、オレイン酸をオゾン酸化して得られるペラルゴン酸から誘導されるペラルゴニルアルコールに適用できる。具体的には、n−ヘキシルアルコール、n−ペンチルアルコール、n−オクチルアルコール、n−ノニルアルコール、n−デシルアルコール、n−ウンデシルアルコール、n−ドデシルアルコール、n−トリデシルアルコール、n−テトラデシルアルコール、n−ペンタデシルアルコール、n−ヘキサデシルアルコール、n−ヘプタデシルアルコール、n−オクタデシルアルコール、n−ノナデシルアルコール、n−エイコシルアルコール、n−ヘンイコシルアルコール、n−ドコシルアルコールが例示される。
分岐鎖状合成アルコールとしては、オキソアルコール、分岐オレフィンのオキソ反応によって得られる分岐状飽和アルコールが適用できる。具体的には、イソブチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、イソノニルアルコール、3,5,5−トリメチルヘキシルアルコール、イソデシルアルコール、以下のアルコールの分岐型幾何異性体、即ち、ヘキシルアルコール、ペンチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、ヘンイコシルアルコール、ドコシルアルコールの分岐アルコールが例示される。
脂環式アルコールとしては、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、シクロヘキサメタノール、シクロヘキセンメタノール等の脂環式モノオール;シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオールが例示される。
炭素数4〜12の鎖状ジオールとしては、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、メチル−1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオールが例示される。
これらのアルコールのうち、天然油脂を出発原料として調製される脂肪族アルコールは、酸化劣化によってカルボニル価や過酸化物価が上昇したとき、以下に示す問題点が生ずるが、本発明によれば、タンク等での保管及びタンカー等による輸送時によっても、かかる問題は生起しないので好ましい。かかる効果は、天然油脂を出発原料として調製される不飽和アルコールにおいて顕著である。
(1)天然油脂特有の臭気が発生する。
(2)大きな用途である界面活性剤分野において、エチレンオキシド付加物、及びその硫酸エステルが製造時に着色したり、製品の色相経時安定性が低下する。
(3)大きな用途である化粧品用エステルや塗料用アクリル酸エステルやメタクリル酸エステル等の製造時に着色したり、製品の色相経時安定性が低下する。
又、2−エチルヘキシルアルコール、イソノニルアルコール、3,5,5−トリメチルヘキシルアルコール又はイソデシルアルコールをアルコール成分とし、フタル酸、トリメリット酸又はアジピン酸を酸成分としてエステルを調製するに際し、酸化劣化によりカルボニル価や過酸化物価が上昇した当該アルコールを使用した場合、製造時にエステルが着色するが、本発明に係る脂肪族アルコールを成分として調製されたエステルは、タンク等での保管及びタンカー等による輸送によっても、かかる問題は生起しないので好ましい。当該エステルの主な用途としてPVC用可塑剤が挙げられる。
本発明に係る脂肪族アルコール中の窒素ガスの溶存量は、液状脂肪族アルコール1トン当たり50〜150Nリットルである。ここで、Nリットルとは、気体の標準状態(0℃、1気圧)での体積を示すものとする。脂肪族アルコール1トン当たり50〜150Nリットルの窒素を溶存しめることにより、脂肪族アルコールに溶存する酸素量を工業的に且つ簡便に抑制又は制御することができる。50Nリットル未満の窒素溶存下で保存する場合には液状脂肪族アルコールの酸化劣化が生じやすく、一方、150Nリットルを越える窒素を溶存させて保管又は運送する場合には経済性に欠けるため、いずれの場合も好ましくない。特に溶存させる窒素は、液状物の温度における飽和溶解度の50〜100%(即ち、飽和状態)が好ましく、より好ましくは80〜100%である。当該飽和状態は、冷却又は加圧条件下で脂肪族アルコール中の窒素を過飽和状態とし、次いで保存中又は運送中の条件下で飽和状態とすることによって得ることができる。
本発明において推奨される脂肪族アルコール中の酸素溶存量は1.5Nリットル/トン以下であり、好ましくは0.005〜1Nリットル/トン、より好ましくは0.1〜1Nリットル/トンである。1.5Nリットル/トンを越える酸素が溶存している場合には、脂肪族アルコールの酸化劣化が生じやすくなる場合がある。
本発明において推奨される窒素ガス中の酸素含有量は10〜10000ppmであり、好ましくは100〜5000ppm、より好ましくは500〜5000ppmである。窒素中の酸素含有量は少ない程好ましいが、一般に酸素含有量の少ない窒素程高価である。10ppm未満の酸素が溶存している窒素は特殊な液体窒素からでなければ得られず、一般の液体窒素の場合は100〜500ppmである。液体窒素は、保管用の特殊な設備を必要とするが、品質保持上は好ましい。又、500〜10000ppmの酸素含有量のPSA窒素ガスを使用することは、コスト的にも品質的にもバランスしているため好ましい。
液体窒素とPSA窒素ガスの選択は、経費計算、立地条件等を考慮して選択できる。窒素ガス中の酸素濃度が10000ppmを越える場合、例えば、酸素濃度が2容量%の窒素ガスを植物性不飽和アルコールに吹き込んだ場合には、保存期間が長期化するに従って、COV、POV、色数が共に上昇し、臭気を有するようになる傾向が認められる。尚、窒素ガス中の酸素濃度は、熱伝導式検出器付きガスクロマトグラム、ベックマン磁気式酸素濃度計、ジルコニア式酸素濃度計、ガルバニ電池式酸素濃度計等の分析機器を、窒素ガスタンクや配管に設置することによって酸素濃度を管理することができる。
本発明に係る保存安定性の改善された脂肪族アルコールは、窒素ガスを液状の脂肪族アルコール中に吹き込むことによって製造することができる。ここで、液状の脂肪族アルコールには、常温下、冷却下又は加温下を問わず、窒素ガスを吹き込む条件下において液状を呈する脂肪族アルコールが含まれる。
推奨される方法として、減圧脱気した液状の脂肪族アルコールに、酸素含有量が10〜10000ppmである窒素ガスを吹き込む方法が挙げられる。当該方法は、特に脂肪族不飽和アルコールの場合に効果的である。
減圧脱気は、減圧脱気装置によって行っても良い。又、脂肪族アルコールを蒸留して得た留出液は脱気状態であるため、減圧蒸留装置中の減圧を保たれている留分受器から抜き出す時に本発明の窒素ガスを吹き込んでも良い。
本発明の窒素ガスを吹き込む温度は、脂肪族アルコールが液状を呈する温度であれば差し支えないが、窒素ガスの溶解度からは低い方が好ましい。外気温で液状のアルコールの場合は5〜80℃が推奨され、好ましくは20〜60℃である。高融点アルコールの場合、融点より10〜15℃高い温度が推奨され、具体的には70〜80℃が好ましい。
脂肪族アルコールに対する窒素ガスの吹き込み方法としては、脂肪族アルコールの移送中に窒素ガスを吹き込んでも良いし、吹き込み用のタンクを設けて脂肪族アルコールを窒素ガスでバブリングしても良い。好ましくは移送配管中にガスを分散せしめる装置を用いることによって、移送中の脂肪族アルコールに窒素ガスを吹き込む方式が好ましい(図1)。ガスの分散は動力を使用してもよいし、静的な分散装置を使用してもよいが、更に好ましくは、静的な分散装置でガスを分散する装置が推奨される。例えば、図2に示す配管内にガス分散器を装備した気液混合装置を挙げることができる。静置型気液混合装置であれば、ガスをノズルから配管中に吹き込む管と静置型気液混合装置の組合せであってもよい。
脂肪族アルコールへの窒素ガスの吹き込み量としては、脂肪族アルコール1m3に対して0.2〜2Nm3が推奨され、特に0.5〜1.5Nm3が好ましい。0.2Nm3未満の場合には窒素ガスの溶存量を脂肪族アルコール1トン当たり50〜150Nリットルにすることが困難であり、2Nm3を越える場合には、一般に脂肪族アルコールへの窒素の溶解度を超えて窒素が供給される結果、窒素ガスが無駄に消費されるため、いずれの場合にも好ましくない。
窒素ガスの吹き込み速度としては、液体の移送速度とほぼ同じ体積速度が好ましく、通常、ポンプが移送する速度、例えば0.5〜50m3/hが推奨される。
推奨される具体的な方法としては、蒸留留出液の抜き出し配管の途中に、図1に示す如き液中に気体を導入する装置を装備し、本発明に係る低酸素濃度の窒素ガスと脂肪族アルコールを共に中間タンクに保管し、更に製品タンク及びタンカーに移送する方法が挙げられる。
更に、本発明の脂肪族アルコールをタンク内で長期間保管したり、タンカーで長時間輸送するには、製品タンクやタンカー内のタンクが本発明の窒素ガスによって弱加圧を保つ設備を装備している製品タンクやタンカーが好ましい。
以下に実施例を掲げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、glc組成において、脂肪酸組成のF1、F2等の表記Fnは、不飽和アルコールが二重結合をn個有することを示す。
<脂肪族アルコールの保存安定性>
脂肪族アルコールの保存安定性は、COV、POV、色数及び臭気の有無で評価した。
(1)COV(単位:mgKOH/g)は、JIS K−1525に準拠して測定した。
(2)POV(単位:meq/kg)は、A.O.C.S Cd8−53に準拠して測定した。
(3)色相(ハーゼン)は、JIS K−0071−1に準拠して測定した。
(4)臭気は、225mlの蓋付きマヨネーズ瓶に試料150gを入れ、蓋を解放した直後の臭気の有無を10人のモニターにより評価し、以下の通り判定した。
○:臭気が認められなかった場合
△:わずかに臭気が認められた場合
<液状アルコール中の溶存気体量の測定(油中ガス分析)>
(1)試験方法1=試料油から真空系内に溶存ガスを放出させ(ピストン方式)、抽出された溶存ガスをガスクロマトグラフィーによって定量する。
(2)試験方法2=試料油中にヘリウムガスを吹き込み、強制的に飽和溶解させることによって油中溶存ガスをヘリウムで置換抽出し(真空ストリッピング方式)、抽出された溶存ガスをガスクロマトグラフィーによって定量する。
<植物性飽和アルコール>
パーム核油とメチルアルコールとをエステル交換して製造したメチルエステルを蒸留分留して得たラウリン酸メチルとミリスチン酸メチルの混合物をエステル還元反応して得た粗アルコール5トンを3kPaで減圧蒸留した。留出してくる混合アルコール(ラウリルアルコール75重量%、ミリスチルアルコール25重量%)を減圧状態のまま液体温度を30℃になるように温度制御している受器に受け、留出速度に合わせた移送速度で連続的に製品タンクに移送した。この受器に受けた混合物は減圧下で蒸留されており、脱気された状態が保持されている。この混合物を1m3/hで製品タンクに向けて移送する際に、図2に示したガス分散器を装備した気液混合装置を装着した配管を使用して、500ppmの酸素を含む窒素ガスを1m3/hで液体と共に、弱加圧を保つ装置が装備された製品タンクに移送した。この製品タンク中の液状の植物性飽和アルコールへの窒素ガス溶存量を試験方法2によって測定したところ、液体1トンに対して100Nリットルであった。この製品タンク中の製品を3ヶ月保管して、保管中の品質変化を追跡した。得られた結果を以下に示す。
Figure 0004337458
<動物性飽和アルコール>
牛豚混合油(牛脂/豚脂=7/3:重量基準)とメチルアルコールをエステル交換して製造したメチルエステルを蒸留分留して得た、パルミチン酸メチルとステアリン酸メチルの混合物をエステル還元反応して得た粗アルコール5トンを1.1kPaで減圧蒸留した。留出してくる混合アルコール(パルミチルアルコール25重量%、ステアリルアルコール65重量%、その他の脂肪アルコール10重量%)を減圧状態のまま液体温度を70℃になるように温度制御している受器に受け、留出速度に合わせた移送速度で連続的に製品タンクに移送した。この受器に受けた混合物は減圧下で蒸留されており、脱気された状態が保持されている。この混合物を1m3/hで製品タンクに向けて移送する際に、図2に示したガス分散器を装備した気液混合装置を装着した配管を使用して、6000ppmの酸素を含む窒素ガスを1m3/hで液体と共に、弱加圧を保つ装置が装備された製品タンクに移送した。この製品タンク中の液状の動物性飽和アルコールへの窒素ガス溶存量を試験方法1によって測定したところ、液体1トンに対して60Nリットルであった。この製品タンク中の製品を3ヶ月保管して、保管中の品質変化を追跡した。得られた結果を以下に示す。
Figure 0004337458
<植物性不飽和アルコール>
パームカーネル油を加水分解した脂肪酸を蒸留し、冷却固体分別して得た不飽和脂肪酸(ヨウ素価93.4、glc組成(%)=C12:0.6、C14:0.6、C16:5.5、C18:1.4、C18F1:79.3%、C18F2:11.8%、C18F3:0.5、C20F1:0.3)(商品名「PALMAC750」アシッドケム社)とメチルアルコールをエステル化反応して製造したメチルエステルをエステル不飽和還元反応して得た粗アルコール5トンを1.1kPaで減圧蒸留して、下記の不飽和アルコールを得た。
ヨウ素価89.7
曇点 4.1℃
組成 C12 0.2%
C14 0.6%
C16 5.9%
C18 1.8%
C18F1 81.9%
C18F2 2.9%
C20F1 0.3%
共役ジエン 6.4%
この混合物を減圧状態のまま液体温度を30℃になるように温度制御している受器に受け、留出速度に合わせた移送速度で連続的に製品タンクに移送した。この受器に受けた混合物は減圧下で蒸留されており、脱気された状態が保持されている。この混合物を1m3/hで製品タンクに向けて移送する際に、図2に示したガス分散器を装備した気液混合装置を装着した配管を使用して、500ppmの酸素を含む窒素ガスを1m3/hで液体と共に、弱加圧を保つ装置が装備された製品タンクに移送した。この製品タンク中の液体のガス溶存量を試験方法2によって測定したところ、液状の植物性不飽和アルコール1トンに対して100Nリットルであった。この製品タンク中の製品を3ヶ月保管して、保管中の品質変化を追跡した。得られた結果を以下に示す。
Figure 0004337458
<動物性不飽和アルコール>
牛豚混合油(牛脂/豚脂=7/3:重量基準)とメチルアルコールをエステル交換して製造したメチルエステルを蒸留分留して得たパルミチン酸メチルとステアリン酸メチルの混合物をエステル還元反応して得た粗アルコール5トンを1.1kPaで減圧蒸留して、下記の不飽和アルコールを得た。
ヨウ素価 52.4
曇点 36.0℃
組成 C12 0.2%
C14 1.3%
C16 22.5%
C16F1 4.1%
C18 23.1%
C18F1 41.8%
共役ジエン 3.2%
その他 3.8%
この混合物を減圧状態のまま液体温度を50℃になるように温度制御している受器に受け、留出速度に合わせた移送速度で連続的に製品タンクに移送した。この受器に受けた混合物は減圧下で蒸留されており、脱気された状態が保持されている。この混合物を1m3/hで製品タンクに向けて移送する際に、図2に示したガス分散器を装備した気液混合装置を装着した配管を使用して、500ppmの酸素を含む窒素ガスを1m3/hで液体と共に、弱加圧を保つ装置が装備された製品タンクに移送した。この製品タンク中の液状の動物性不飽和アルコールへの窒素ガス溶存量を試験方法1によって測定したところ、液体1トンに対して80Nリットルであった。この製品タンク中の製品を3ヶ月保管して、保管中の品質変化を追跡した。得られた結果を以下に示す。
Figure 0004337458
本発明は、保存安定性に優れた脂肪族アルコール及びその製造方法に関する。保存安定性の改善された脂肪族アルコールは、近年の製品に対する品質上の要求を満足させることができる。
フローの説明図である。 ガス分散器を装備した気液混合装置の説明図である。
符号の説明
1 減圧缶
2 窒素ガス導入口
3 流量計
4 静止型気液混合器
5 製品タンクへの出口
6 気体の入口
7 気体の出口
8 液体の入口
9 気体の溶存した液体の出口
10 気泡

Claims (5)

  1. 窒素ガスを移送中の液状の脂肪族アルコール中に吹き込み、容器に移送することを特徴とする保存安定性に優れた脂肪族アルコールの製造方法。
  2. 液状の脂肪族アルコールが、減圧脱気した脂肪族アルコールである請求項1に記載の脂肪族アルコールの製造方法。
  3. 液状の脂肪族アルコールが、天然油脂を出発原料として調製される飽和又は不飽和の脂肪族アルコールである請求項1又は請求項2に記載の脂肪族アルコールの製造方法。
  4. 窒素ガスが、酸素を10〜10000ppm含有する窒素ガスである請求項1〜3のいずれかに記載の脂肪族アルコールの製造方法。
  5. 窒素ガスの吹き込み量が、脂肪族アルコール1m 当たり0.2〜2Nm である請求項1〜4のいずれかに記載の脂肪族アルコールの製造方法。
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