JP4337199B2 - 合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車車体などに用いられる、優れた加工性と耐食性を有しながら表面外観に優れた合金化溶融亜鉛めっき用鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板ならびにそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用として用いられる鋼板には、一般に、高度な加工性(伸び、r値など)が求められることから、TiやNbを添加することにより侵入型固溶元素をなくした、いわゆるIF(Intersticial Free )鋼(例えば、特開昭59-43825号公報)が採用されてきた。
しかしながら、かかる良加工性の鋼板を溶融亜鉛めっき後、合金化処理すると、しばしば表面に筋状の欠陥模様(以下、単に筋模様と略記する)が現れ、外観不良をきたすという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このようなIF鋼でみられる筋模様の発生には、めっき前鋼板の未再結晶が大きく関わっていると考えられる。すなわち、溶融亜鉛めっきの焼鈍工程において、とくにIF鋼のとりわけ鋼板表層部では再結晶が遅れて未再結晶組織が残りやすく、この未再結晶組織は再結晶組織に比して粒内転移密度が高く、めっき後の合金化挙動が異なる。そして、この未再結晶組織が表層部で不均一に分布しているときに、かかる鋼板(めっき母板)に溶融亜鉛めっきして、合金化し、合金化溶融亜鉛めっき鋼板とした場合に、筋模様が生じる。
なお、特開平10-18011号公報には、熱延仕上温度を調整して鋼板表面の集合組織を制御することにより、筋模様欠陥の発生を抑えることが開示されているが、このような技術によっても筋模様を完全には解消することはできなかった。
本発明は、従来技術が抱えていたこのような問題を解決することにあり、TiやNbを添加してIF化をはかった鋼板を母板として合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する際に、このめっき鋼板の表面に筋模様が生じない、合金化溶融亜鉛めっき用冷延鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板ならびにこれらの製造方法を提案することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、筋模様の発生を防止するには、鋼板表層部を一様に完全再結晶させて、未再結晶組織をなくすことが必要であるとの見地から解決のための方策について検討した。
鋼板の再結晶を遅延させる要因としては、以下のことが考えられる。
(a)Bなどの粒界偏析による粒界移動のピン止め
(b)TiC、NbCなどの析出物によるピン止め
(c)<100>//ND方向の結晶方位
(d)再結晶核の発生位置となる結晶粒界が少ない粗大粒
(e)表面エネルギーによる特定方位の安定性
発明者らは、上記各要因について詳細に研究、検討を重ねた結果、表層に析出物が細かく密に析出すると、表層のみ再結晶温度が極端に上昇することが判り、筋模様を防止するためには、めっきの母板となる冷延鋼板のとくに表層部における析出物を制御することが重要であること、またこのように析出物を制御した冷延鋼板を用いて製造した合金化溶融亜鉛めっき鋼板においても、冷延鋼板と同様に、析出物が制御されていることを知見して本発明に想到した。その要旨構成は以下のとおりである。
【0009】
)C:0.0005〜0.0030%、Si:0.5%以下、Mn:0.05〜1.5%、P:0.12%以下、S:0.01%以下、N:0.0005〜0.0040%、Ti:0.005〜0.05%、Nb:0.05%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるスラブを、加熱温度が1000〜1100℃未満、かつ1000℃以上の在炉時間が3時間以下となる範囲で加熱したのち、仕上げ圧延における第1スタンド入り側の表面温度を1000℃〜(Ar変態点−100℃)、かつ仕上げ圧延終了温度をAr変態点以上として熱間圧延し、その後酸洗、冷間圧延を行い、表面から1.0〜3.0μmの表層部における、析出物の平均粒径r(nm)と析出物の面積率f(%)との比r/fを2000(nm/%)以上とし、次いで、このr/fを含む次式:
−345log10(r/f)+2000(℃)
で表す温度以上、かつ880℃以下の温度で焼鈍を行った後、溶融亜鉛めっき、合金化処理を行うことを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【0010】
2)上記1)において、スラブの成分組成が、質量%でB:0.0002〜0.0030を含有することを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【0011】
なお、上記各発明における析出物には、TiS、Ti(C、N)、NbC、AlN、MnS等が含まれる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、発明者らが行った実験結果とともに、本発明の要旨構成を上記範囲に限定した理由について説明する。
図1は、種々の冷延鋼板(焼鈍前)と、これを用いて焼鈍−溶融亜鉛めっき−合金化処理の工程により製造した合金化溶融亜鉛めっき鋼板について、表面から1.0 〜3.0 μmの表層部における析出物のサイズ/量と表層部の再結晶温度との関係を調べたものである。再結晶温度は、冷延鋼板の表層部における析出物の平均粒径r(nm)と析出物の面積率f(%)との比r/fと極めてよい関係があり、このr/fが2000未満では再結晶温度の上昇が急峻となることがわかる。そして、冷延鋼板の再結晶温度を低下させ、焼鈍工程で表層部を完全再結晶させるにはr/fを2000以上とし、再結晶温度をr/fとの関係で調整する、すなわち−345 log10(r/f)+2000℃以上とすることが必要であることがわかる。
また、再結晶温度とr/fとの関係は、焼鈍を経て製造した合金化溶融亜鉛めっき鋼板においてもみられる。ただし、この場合、再結晶温度の急激な上昇が見られるのは、r/fが1000未満である。
【0013】
このように、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の母板となる冷延鋼板について、表層部の析出物のr/fが2000以上になるように制御することにより、焼鈍工程における表層部を完全再結晶化させ、合金化溶融亜鉛めっき鋼板での筋模様の発生を防止することが可能になる。また、析出物を前記範囲に制御した冷延鋼板を用いて、焼鈍−溶融亜鉛めっき−合金化処理の工程で製造した合金化溶融亜鉛めっき鋼板における、表層部のr/fの値は、冷延鋼板における析出物のr/fの値を継承して、前記冷延鋼板のr/fの値よりも相対的に小さくなる方向へシフトしたものとなる。
以上述べたことより、本発明においては、表面から1.0 〜3.0 μmの表層部における、析出物の平均粒径r(nm)と析出物の面積率f(%)との比r/fを、冷延鋼板については2000(nm/%)以上とし、また、合金化溶融亜鉛めっき鋼板については1000(nm/%)以上とする。
【0014】
次に、表面から1.0 〜3.0 μmの表層部における、析出物の平均粒径r(nm)と析出物の面積率f(%)との比r/fを上記範囲に制御するための冷延鋼板及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造条件について説明する。
・スラブ加熱
スラブ加熱は、加熱温度が1000〜1100℃未満、かつ1000℃以上の在炉時間が3時間以下で行う。1100℃以上で加熱すると、スラブ表面からの侵窒が進行して、鋼板の表層部にTiNなどの窒化物を形成する。このTiN自体は、再結晶温度を上昇させるほか、TiNを析出サイトにして他の析出物生成の誘因にもなる。一方、余りに低温で加熱すると、仕上げ圧延の終了温度がAr以下の温度になり後述する理由で好ましくない。したがって、スラブ加熱温度は1000〜1100℃未満とする。また、1000℃以上の在炉時間が3時間を超えると、高温加熱のときと同様に、表層の窒化が激しくなるので、この温度域における在炉時間を3時間以下とする。
【0015】
・仕上げ圧延
熱間仕上げ圧延については、仕上げ圧延機の第1スタンド入り側の表面温度を1000℃〜(Ar−100 ℃)とするとともに、仕上げ圧延終了温度をAr以上とする。仕上げ圧延に先立ち、一般に、水圧をかけることによるスケール除去を行うので、シートバー表面は一旦Ar以下の温度まで冷却される。Ar以下の温度になると、鉄はBCC構造となり、FCC構造よりも析出物が形成されやすい。とくに、本発明の場合のような極低炭素鋼では、この変態点以下でのFCC−BCCの2相域の温度幅が狭いので、変態点以下での長時間保持は析出物の形成を高め、後工程での焼鈍における再結晶のうえから不利となる。この点から、第1スタンド入り側の表面温度は(Ar−100 ℃)を下回らないようにする必要がある。しかし、第1スタンド入り側の表面温度が1000℃を超えると、スケール欠陥が多くなるので避ける必要がある。したがって、第1スタンド入り側の表面温度を1000℃〜(Ar−100 ℃)とする。
【0016】
上記第1スタンド入り側の表面温度を1000℃〜(Ar−100 ℃)として圧延する場合に、仕上げ圧延の終了温度にも留意する必要がある。Ar以下の温度での圧下量が余りに多くなると、BCC構造域のための析出促進のほか、圧延歪による析出サイトが増加するために、析出物は一層細かく、密になりやすい。このほか、Ar以下の温度で圧延すると、表層に粗大粒が形成され、冷間圧延、焼鈍後の再結晶を遅らせる要因ともなる。
したがって、仕上げ圧延の終了温度はAr以上の温度とする必要がある。なお、仕上げ圧延第1スタンド入り側の表面温度が(Ar−100 ℃)まで冷却された場合であっても、圧延材の復熱あるいは加工発熱により、仕上げ圧延の終了温度を表面温度でAr以上の温度とすることは特別な方法を講じなくても可能である。
【0017】
熱間圧延の後、酸洗、冷間圧延を行う。ここに、酸洗は従来行われている方法、例えば、温塩酸を用いた方法により行えばよい。なお、この酸洗に先立って、熱延鋼板の表面にショットブラストを行うことは、筋模様の発生を抑制するうえで好ましい。ショットブラストによる筋模様抑制効果は、再結晶しにくい鋼板表層部に均一な歪が付与され、再結晶の促進に寄与することによるものである。なお、ショットブラストの条件は通常行われている条件で良く、粒子径100 〜300μmの鋼の粒子を吹きつけることが望ましい。
また、次に行う冷間圧延は、50〜90%の圧下率で行うのが望ましい。
【0018】
・焼鈍
冷間圧延に次いで、再結晶焼鈍を行う。本発明では、この焼鈍を連続溶融亜鉛めっき設備(CGL)の前段に設けた加熱設備で行う。焼鈍温度は、再結晶しにくい冷延鋼板表層部の完全再結晶をはかり筋模様を防止するため、析出物の析出状態に応じて、−345 log10(r/f)+2000(℃)で表す温度以上で行う必要がある。なお、冷延鋼板のr/fが2000未満の場合であっても、−345 log10(r/f)+2000(℃)で表される温度以上になることもあり得るが、再結晶温度が急激に上昇してしまい、下記の焼鈍温度の上限との関係から焼鈍温度域が狭くなって、製造性が低下するので実用的ではない。焼鈍温度の上限は880 ℃とする。というのは、880 ℃を超える温度で焼鈍すると、結晶粒が粗大化して、プレス成形後の肌あれの原因となるからである。
【0019】
・溶融亜鉛めっき、合金化処理
連続溶融亜鉛めっき設備において、上記温度範囲で焼鈍を行ったのち、溶融亜鉛めっき及び合金化処理を行う。亜鉛めっきにおける亜鉛浴の温度は450 〜490℃の範囲とするのが望ましい。めっき層の亜鉛付着量は30〜70g/m (片面当たり) が好適である。亜鉛めっき後、直ちに加熱合金化処理を行う。合金化処理の温度は450 〜550 ℃とするのが望ましい。
【0020】
次に、本発明において適用する鋼組成について説明する。鋼中成分としては、C:0.0005〜0.0030%、Si:0.5 %以下、Mn:0.05〜1.5 %、P:0.12%以下、S:0.01%以下、N:0.0005〜0.0040%、Ti:0.005 〜0.05%、Nb:0.05%以下、B:0.0030%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなるものであるが、このほかさらに必要に応じて、Sb:0.01%以下を含有することもできる。
【0021】
C:0.0005〜0.0030%
Cは、成形性を高めるためには低くする必要があり、0.0030%が上限の含有量である。しかし、0.0005%未満に低下させるには、現状の溶製技術では経済的に困難である。よって、C含有量は0.0005〜0.0030%とする。
【0022】
Si:0.5 %以下
Siは、鋼を強化する元素であり、必要な強度に応じて含有させることができる。ただし、0.5 %を超えて添加すると、溶融亜鉛めっきしたときに不めっきを招きやすくなるので、0.5 %を上限として含有させる。
【0023】
Mn:0.05〜1.5 %
Mnは、TiとともにSを固着させるほか、粗大粒に起因した再結晶温度の上昇や耐リジング性の低下を抑制するのに有効な元素である。このような効果は、0.05%以上で得られるが1.5 %を超えると、溶融亜鉛めっきしたときに不めっきを招きやすくなる。よって、Mn含有量は0.05〜1.5 %とする。
【0024】
P:0.12%以下
Pは、r値などの成形特性を高めるとともに、鋼を強化するのに有効な元素であり、必要に応じて含有させることができる。しかし、0.12%を超えて添加すると、溶融亜鉛めっき後の合金化処理で合金化を遅延させるので、0.12%以下の範囲で添加する。
【0025】
S:0.01%以下
Sは、伸びを低下させるほか、熱間割れを引き起こす元素であるので0.01%を上限とする必要がある。一方で、スラブ加熱時にTiなどの比較的粗大な析出物を生成する元素であるので、このような作用を利用する場合には、少なくとも0.0005%以上とすることが好ましい。
【0026】
N:0.0005〜0.0040%
Nは、成形性を低下させる元素であり、高成形性を得るには0.0040%以下にする必要がある。しかし、0.0005%未満に低下させるには、現状の溶製技術では経済的に困難である。よって、N含有量は0.0005〜0.0040%とする。
【0027】
Ti:0.005 〜0.05%
Tiは、C、Nを固着させ、成形性を向上させる元素であり、0.005 %以上の添加が必要である。一方、Tiを過剰に含有させると、析出物として固着したものが再結晶温度を一層上昇させ、また表面から侵入するC、Nなどと反応して表層の析出物を一層増すことになるので、0.05%以下の範囲で含有させる。
【0028】
Nb:0.05%以下
Nbも、C、Nを固着させ、成形性を向上させるのに有効な元素であり、必要に応じ含有させることができる。このNbは、溶解度積の関係からして、Ti系析出物に比して細かい析出物となり再結晶温度をより上昇させやすい傾向を有しているが、表面から侵入するC、Nとの反応性はTiよりも低いため、表層析出物による再結晶温度の上昇抑制には有効である。このような効果は、0.05%以下で得られるので、0.05%以下、好ましくは0.002 〜0.020 %の範囲で含有させる。
【0029】
B:0.0002〜0.0030
Bは、耐二次加工脆性を向上させるのに有用な元素であり、必要に応じて添加する。この効果は0.0002%以上で得られるが、0.0030%を超えて添加すると耐二次加工脆性の改善効果が飽和するうえ、r値や伸びが低下するので、0.0002〜0.0030%の範囲で添加する。
【0030】
このほか、Sbも必要に応じて添加することができる。Sbは、表層からの浸窒を防止する効果がある。ただし、0.01%を超えて添加すると、El, r値の低下が大きいので、0.01%以下が好ましい。
【0031】
【実施例】
以下に、実施例に基づき本発明について説明する。
表1に示す組成の鋼スラブを、表2に示す条件で、加熱(雰囲気:O1%、残りN)後、熱間仕上げ圧延、酸洗を経て冷間圧延(冷間圧下率:76%)した。この冷延鋼板をめっき用母板として、表2に示す条件でCGLにて焼鈍(雰囲気:5%H+Nガス、焼鈍時間20秒)し、下記条件で溶融亜鉛めっきを行い、引き続き、470 〜550 ℃の温度で、合金化後のめっき層中のFe濃度が10%となるように合金化処理した。
溶融亜鉛めっき条件
・めっき浴のAl濃度:0.13%
・めっき浴温: 475℃
・板温: 475℃
・浸漬時間:3秒
・目付量:45 g/m(片面当たり)
【0032】
【表1】
Figure 0004337199
【0033】
【表2】
Figure 0004337199
【0034】
得られた冷延鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板について、析出物の平均粒径rと析出物の面積率fとの比r/fを以下の方法で測定した。冷延鋼板と、合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき層を除去したものを、それぞれバフ研磨し、二段レプリカ法(例えば、金属組織学 (丸善) p. 257 参照) により、析出物の状態を電子顕微鏡を用いて観察した。観察面を10000 倍で5視野写真撮影し、これを画像処理することにより析出物の面積率fと平均粒径r(円形に換算した相当直径)を測定し、r/fを算出した。
また、合金化溶融亜鉛めっき鋼板については、さらに引張特性、筋模様の発生状況、パウダリング性を調査した。ここに、筋模様は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面を目視観察して、筋模様が全くないものをランク0、全面に筋模様がはっきりと観察されるものをランク3として4段階評価した。耐パウダリング性の評価は90°曲げ戻しの後、セロテープに付着した亜鉛粉を蛍光X線にて測定した。これらの測定結果を併せて表2に示す。
【0035】
表2から、本発明によって製造した合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、いずれも、筋模様が発生せず、しかも成形性、耐パウダリング性も良好であることがわかる。
これに対して、No. 2では焼鈍温度が低いために未再結晶組織となり、筋模様が発生した。No. 9はスラブ加熱温度が高く、表面に窒化層が形成されたために未再結晶組織になった。No. 10は仕上げ圧延終了温度がAr以下となり、熱延板表層に粗大粒が形成され、このため再結晶が遅延した。No. 12は800 ℃焼鈍したために未再結晶組織が残り、No. 14は再結晶組織ではあったが、加熱温度が高かったために、粗大粒となり、強度の低下、伸びの減少を生じた。No. 15は、スラブ加熱温度が高く、仕上げ圧延終了温度が低いものであり、表層部に未再結晶が観察されたが、この範囲が鋼板表層の全面にあったため、筋模様としては目立たず、筋模様のランクは良好な値となったものである。ただし、この例では、耐パウダリング性が劣っていた。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、鋼成分組成、加熱および熱間仕上げ圧延の条件を適正範囲にして製造することにより、合金化溶融亜鉛めっきで筋模様が発生しない範囲に、表層部における析出物の状態を制御した冷延鋼板を提供することが可能になる。また、かかる冷延鋼板を用いて、適正条件で焼鈍を行って、溶融亜鉛めっき−合金化処理することにより、良好な析出物状態が得られ、筋模様のない合金溶融亜鉛めっき鋼板を製造できる。
したがって、本発明によれば、優れた加工性と耐食性を具えたうえ、筋模様の発生がない合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびこの製造に適した冷延鋼板を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】冷延鋼板および合金溶融亜鉛めっき鋼板における、鋼板表層部における析出物の平均粒径/析出物の面積率(r/f)と表層部の再結晶完了温度との関係を示すグラフである。

Claims (2)

  1. 質量%で、C:0.0005〜0.0030%、Si:0.5%以下、Mn:0.05〜1.5%、P:0.12%以下、S:0.01%以下、N:0.0005〜0.0040%、Ti:0.005〜0.05%、Nb:0.05%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるスラブを、加熱温度が1000〜1100℃未満、かつ1000℃以上の在炉時間が3時間以下となる範囲で加熱したのち、仕上げ圧延における第1スタンド入り側の表面温度を1000℃〜(Ar変態点−100℃)、かつ仕上げ圧延終了温度をAr変態点以上として熱間圧延し、その後酸洗、冷間圧延を行い、表面から1.0〜3.0μmの表層部における、析出物の平均粒径r(nm)と析出物の面積率f(%)との比r/fを2000(nm/%)以上とし、次いで、このr/fを含む次式:−345log10(r/f)+2000(℃)
    で表す温度以上、かつ880℃以下の温度で焼鈍を行った後、溶融亜鉛めっき、合金化処理を行うことを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  2. 請求項において、スラブの成分組成が、質量%でB:0.0002〜0.0030%を含有することを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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