JP4337192B2 - ピエゾアクチュエータ駆動回路 - Google Patents

ピエゾアクチュエータ駆動回路 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はピエゾアクチュエータ駆動回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
ピエゾアクチュエータは圧電体の積層体が圧電効果により伸縮するアクチュエータで、例えば、ディーゼルエンジンのコモンレール式燃料噴射装置における燃料噴射用インジェクタの開弁と閉弁との切り替え用としてインジェクタ内に配設されている。ピエゾアクチュエータは容量性の負荷であり、その充電と放電とで伸長状態と縮小状態とが切り替えられる。
【0003】
図7はピエゾアクチュエータの駆動回路の一例を示すもので、ピエゾアクチュエータ901は、充電スイッチ904をオンすると直流電源902から電流制限素子903を介してピエゾアクチュエータ901に充電されて伸長し、充電スイッチ904をオフすると伸長状態を保持する。一方、その状態から放電スイッチ905をオンするとピエゾアクチュエータ901は放電し縮小する。
【0004】
特開平10−308542号公報には、ピエゾアクチュエータ901の電荷を回収して次回の充電に供するようにしたものが記載されている。図8にこの回路の構成を示す。この回路では、直流電源902の後段にバッファコンデンサ906が設けられ、充電スイッチ904、放電スイッチ905にはそれぞれ並列にダイオード907,908が接続されている。ダイオード907,908はコンデンサ902電圧に対して逆バイアス方向に接続される。また、電流制限素子909はインダクタであるコイルで構成されている。
【0005】
ピエゾアクチュエータ901の充電は充電スイッチ904をパルス状にオンオフを繰り返す。オン時にコイル909に蓄積した電磁エネルギーにより、オフ時にコイル909、ピエゾアクチュエータ901、ダイオード907により形成される回路によりピエゾアクチュエータ901が充電され、ピエゾアクチュエータ901電圧が上昇する。
【0006】
一方、ピエゾアクチュエータ901の放電は充電時とは逆に放電スイッチ905をパルス状にオンオフを繰り返す。オン時にピエゾアクチュエータ901、コイル909および放電スイッチ905で閉成される回路により、ピエゾアクチュエータ901に保持されたエネルギーがコイル909の電磁エネルギーに変換され、オフ時に、ピエゾアクチュエータ901、コイル909およびダイオード908により形成される回路によりバッファコンデンサ906に回収される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平10−308542号公報記載の回路では、ピエゾアクチュエータの充放電時に充電スイッチや放電スイッチをスイッチング作動可能に構成する必要があり、スイッチ制御用の回路が複雑化する。またスイッチングロスがあるので回収効率は必ずしもよくない。
【0008】
本発明は上記実情に鑑みなされたもので、ピエゾアクチュエータの充放電時にスイッチのスイッチング作動が不要で、しかも回収効率のよいピエゾアクチュエータ駆動回路を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、ピエゾアクチュエータ駆動回路に、直流電源により蓄電するコンデンサと、上記ピエゾアクチュエータの充電に先立ち直流電源とコンデンサとの間を接続してコンデンサをピエゾアクチュエータ充電用に蓄電せしめるとともに蓄電完了後に直流電源とコンデンサとの間を遮断する蓄電制御スイッチと、コンデンサとピエゾアクチュエータとの間に介設されたインダクタを有しコンデンサ、インダクタおよびピエゾアクチュエータが直列に接続されたLC共振回路を形成する充電回路と、コンデンサとピエゾアクチュエータとの間に介設されたインダクタを有しコンデンサ、インダクタおよびピエゾアクチュエータが直列に接続されたLC共振回路を形成する放電回路と、上記充電回路の線路に設けられ上記充電回路の閉成と開成とを切り替える充電スイッチと、上記放電回路の線路に設けられ上記放電回路の閉成と開成とを切り替える放電スイッチとを具備せしめる。
【0010】
ピエゾアクチュエータの充電中および放電中は直流電源とコンデンサとの間が遮断され、充電時には充電回路が閉成され、放電時には放電回路が閉成される。ここで充電回路、放電回路はコンデンサとピエゾアクチュエータとを含んだLC共振回路を形成するので、充電スイッチ、放電スイッチをスイッチングすることなく効率よく一気にピエゾアクチュエータの充電、放電を行うことができる。
【0011】
そして請求項記載の発明では、上記コンデンサの静電容量を上記ピエゾアクチュエータの静電容量よりも小さく設定する。
【0012】
かかる設定とすることで、充電回路における共振振動が自由に行い得るものとすると、コンデンサは負電圧をとり得る。したがって、コンデンサの全蓄電量をピエゾアクチュエータに移動せしめることができる。
【0013】
請求項記載の発明では、さらに、上記コンデンサの電荷量が0になると上記ピエゾアクチュエータの充電を停止せしめる充電停止手段を具備せしめる。
【0014】
コンデンサの電荷量が0になるとピエゾアクチュエータの充電が停止するので、ピエゾアクチュエータの充電量の制御を、上記直流電源によるコンデンサの蓄電量を設定することで容易に行い得る。例えばコンデンサ電圧により正確に制御することができる。
【0015】
請求項記載の発明では、請求項の発明の構成において、上記充電停止手段が、上記充電回路の線路に上記ピエゾアクチュエータの充電電流が順方向となるように設けられたダイオードを有する。請求項3記載の発明では、請求項2の発明の構成において、上記充電停止手段が、上記コンデンサに逆並列に接続され上記コンデンサの負電圧を禁止するダイオードを有する
【0016】
ピエゾアクチュエータの充電時において、第1のダイオードによりコンデンサ電圧の負圧が防止され、第2のダイオードによりピエゾアクチュエータからコンデンサへ逆流する電流が禁止されるから、コンデンサ電圧が0になった時点で、すなわちコンデンサが空になると自動的にピエゾアクチュエータの充電が停止しその状態が保持される。
【0017】
請求項記載の発明では、直流電源により蓄電するコンデンサと、上記ピエゾアクチュエータの充電に先立ち直流電源とコンデンサとの間を接続してコンデンサをピエゾアクチュエータ充電用に蓄電せしめるとともに蓄電完了後に直流電源とコンデンサとの間を遮断する蓄電制御スイッチと、コンデンサとピエゾアクチュエータとの間に介設されたインダクタを有しコンデンサ、インダクタおよびピエゾアクチュエータが直列に接続されたLC共振回路を形成する充電回路と、コンデンサとピエゾアクチュエータとの間に介設されたインダクタを有しコンデンサ、インダクタおよびピエゾアクチュエータが直列に接続されたLC共振回路を形成する放電回路と、上記充電回路の線路に設けられ上記充電回路の閉成と開成とを切り替える充電スイッチと、上記放電回路の線路に設けられ上記放電回路の閉成と開成とを切り替える放電スイッチとを有し、ピエゾアクチュエータの充電と放電とを切り替え制御するピエゾアクチュエータ駆動回路において、上記放電回路の線路に上記ピエゾアクチュエータの放電電流が順方向となるようにダイオードを設ける。
【0018】
ピエゾアクチュエータの放電時において、ダイオードによりコンデンサからピエゾアクチュエータへ逆流する電流が禁止されるから、ピエゾアクチュエータが再び充電し伸長することを、放電スイッチの開成作動によることなく回避することができる。
【0019】
請求項記載の発明では、請求項1ないしの発明の構成において、上記充電回路を形成する上記インダクタと放電回路を形成する上記インダクタとが共通の構成とする。
【0020】
インダクタを共通とすることで部品数を低減することができる。
【0021】
請求項記載の発明では、請求項1ないしの発明の構成において、上記充電回路を形成する上記インダクタと放電回路を形成する上記インダクタとが別体の構成とする。
【0022】
インダクタのインダクタンスは充電回路、放電回路における充電電流、放電電流の大きさを規定するので、充電速度、放電速度を独立に設定することができる。
【0023】
請求項記載の発明では、請求項またはの発明の構成において、上記コンデンサの静電容量を上記ピエゾアクチュエータの静電容量よりも小さく設定する。かつ、上記ピエゾアクチュエータと上記インダクタとを通り上記コンデンサを迂回する回路の閉成と開成とを切り替える残存電荷放電スイッチを具備せしめる。
【0024】
コンデンサおよびピエゾアクチュエータの静電容量を上記のごとく設定してコンデンサの全蓄電量をピエゾアクチュエータに移動可能となる。そして、ピエゾアクチュエータ放電時にピエゾアクチュエータに残存する電荷が、上記コンデンサを迂回する回路を閉成することで放電回路のインダクタに移動し、次いで開成すると瞬時にコンデンサに回収され、さらに回収効率を高めることができる。
【0025】
請求項記載の発明では、請求項1ないしの発明の構成において、上記放電回路を形成する上記インダクタは、上記充電回路を構成するインダクタを二次側コイルとするトランスで構成する。
【0026】
放電時には、コンデンサとピエゾアクチュエータとがトランスを介して結合するので、ピエゾアクチュエータに残存電荷が生じることなくコンデンサへの回収を行い得る。
【0027】
請求項記載の発明では、請求項1ないしの発明の構成において、上記直流電源と上記コンデンサとの間にコンデンサに直列に電流制限素子を設ける。
【0028】
コンデンサにピエゾアクチュエータ駆動用の蓄電を行う際に直流電源からコンデンサへの電流が制限されるので、蓄電制御用スイッチ等の劣化を防止することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1に本発明のピエゾアクチュエータ駆動回路の構成を示す。本ピエゾアクチュエータ駆動回路は4つのピエゾアクチュエータ11,12,13,14を駆動するもので、例えば4気筒ディーゼルエンジンの上記コモンレール式燃料噴射装置に用いたものを示している。
【0030】
本ピエゾアクチュエータ駆動回路は、ピエゾアクチュエータ11〜14駆動用の電気エネルギーを保持するコンデンサ3、コンデンサ3に給電する直流電源21等を備えている。直流電源21はバッテリやDC−DCコンバータ等からなり、数十〜数百Vの大きさの電圧をコンデンサ3に印加する。コンデンサ3への印加電圧は正圧である。コンデンサ3は静電容量の温度依存性の殆どないもの、例えばフィルムコンデンサが望ましく、使用温度域においてコンデンサ容量をC1 、容量性負荷であるピエゾアクチュエータ11〜14の各静電容量をC2 としてC1 ≦C2 となるように設定したものを使用する。
【0031】
コンデンサ3には並列に後述する負圧防止用ダイオード6が接続されるとともに、直列に、並列接続された充電経路ダイオード54cと放電開始スイッチである通電経路切り替えスイッチ4とが接続してある。負圧防止用ダイオード6はコンデンサ3に対して逆バイアス方向に接続され、充電経路ダイオード54cはコンデンサ3に対して順バイアス方向に接続される。
【0032】
直流電源21とコンデンサ3との間には蓄電制御スイッチ22および電流制限素子である蓄電コイル23が直列に設けてあり、直流電源21に逆バイアス方向にダイオード24が設けてある。蓄電制御スイッチ22と通電経路切り替えスイッチ4とがオンのとき、その間、直流電源21から蓄電コイル23を介してコンデンサ3に給電される。蓄電コイル23を設けることでコンデンサ3給電時の過電流を防止し蓄電制御スイッチ22等の劣化を防止するようになっている。
【0033】
コンデンサ3の正極側端子と各ピエゾアクチュエータ11〜14の正極側端子との間には、直列に、並列接続された充電スイッチ52c、放電経路ダイオード54dと、電流制限素子であるコイル51とが接続してある。ピエゾアクチュエータ11〜14の負極側端子は、それぞれ、並列接続された選択用スイッチ531c,532c,533c,534c、放電経路ダイオード551d,552d,553d,554dが接続してある。選択用スイッチ531c〜534c、放電経路ダイオード551d〜554dは各ピエゾアクチュエータ11〜14ごとに設けられる。
【0034】
充電時には伸長しようとするピエゾアクチュエータ11〜14と接続された選択用スイッチ531c〜534cをオンすると、充電経路ダイオード54c、コンデンサ3、充電スイッチ52c、コイル51、選択されたピエゾアクチュエータ11〜14およびオンした選択用スイッチ531c〜534cにより充電回路5cが形成され、コンデンサ3から選択されたピエゾアクチュエータ11〜14に充電されそのピエゾアクチュエータ11〜14が伸長する。
【0035】
一方、通電経路切り替えスイッチ4をオンすると、伸長状態にあるピエゾアクチュエータ11〜14に対応する放電経路ダイオード551d〜554d、ピエゾアクチュエータ11〜14、コイル51、放電経路ダイオード54d、コンデンサ3および通電経路切り替え用スイッチ4により放電回路5dが形成され、伸長状態のピエゾアクチュエータ11〜14から電荷を放電しピエゾアクチュエータ11〜14を縮小する。
【0036】
また、コイル51と放電経路ダイオード54dとの接続点は残存電荷放電用スイッチ7を介して接地され、残存電荷放電用スイッチ7のオン時に、後述する電荷が残存しているピエゾアクチュエータ11〜14に対応する551d〜554d、ピエゾアクチュエータ11〜14、コイル51および残存電荷放電用スイッチ7により閉回路が形成される。
【0037】
上記各スイッチ22〜7は、図示しないマイクロコンピュータ等の制御部によりオンオフ制御されるようになっている。
【0038】
本ピエゾアクチュエータ駆動回路の作動を説明する。図2は駆動回路の各部等の作動状態を示すタイムチャートである。コンデンサ3はピエゾアクチュエータ11〜14を伸長させる前に予め蓄電される。先ず通電経路切り替えスイッチ4をオンする。これにより、直流電源21、蓄電制御スイッチ22、蓄電制御コイル23、コンデンサ3および通電経路切り替えスイッチ4よりなる降圧チョッパ回路が閉成され、次いで、蓄電制御スイッチ22を繰り返しスイッチングすることによりコンデンサ3の電圧が上昇していく。コンデンサ3の電圧が所定値V1 に達したらスイッチング動作を停止する(スイッチオフの状態に復する)。これによりコンデンサ3に所定量の電荷が蓄電される。
【0039】
ピエゾアクチュエータ11〜14を伸長するタイミングになると、伸長しようとするピエゾアクチュエータ11〜14(以下、これをピエゾアクチュエータ11として説明する)に対応する選択スイッチ531cをオンし、次いで充電スイッチ52cをオンする。これにより、充電経路コンデンサ54c、コンデンサ3、コイル51、ピエゾアクチュエータ11および選択スイッチ531cよりなる充電回路5cが閉成される。充電回路5cはLC共振回路であり、この時、C1 ≦C2 なので、共振作用によりピエゾアクチュエータ11の電荷量の最大値はコンデンサの初期電荷量(上記蓄電量)に達することができる。そして、負圧防止ダイオード6の負圧防止作用および充電経路ダイオード54cの逆方向電流防止作用により、コンデンサ3からの電荷流出が、コンデンサ3の電荷量が0の時停止する。しかして、コンデンサ3に蓄積されていた電気エネルギーC1 V1 2 /2のすべてがピエゾアクチュエータ11に移動しその状態で停止することになる。
【0040】
ピエゾアクチュエータ11への電荷の移動に伴いピエゾアクチュエータ11は伸長し、上記のごとくコンデンサ3に蓄積されていた電気エネルギーC1 V1 2 /2のすべてがピエゾアクチュエータ11に移動すると、ピエゾアクチュエータ11は上記のごとく電荷の移動が停止するので伸長状態を保持する。次いで、スイッチ52c,531cをオフする。
【0041】
ピエゾアクチュエータ11を縮小するタイミングになると、タイムチャート後半に示すように、通電経路切り替えスイッチ4を再びオンする。これにより、ダイオード551d、ピエゾアクチュエータ11、コイル51、放電経路ダイオード54d、コンデンサ3、通電経路切り替えスイッチ4からなる放電回路5dが閉成される。放電回路5dもまたLC共振回路となるから、放電回路5dの共振作用によりピエゾアクチュエータ11が放電し、ピエゾアクチュエータ11の電荷がコンデンサ3に回収される。この場合も上記放電回路5dの電流は、放電経路ダイオード551d,54dにより規定される電荷回収方向の電流のみが許容され、一定時間の後、電荷の移動は停止する。これによりピエゾアクチュエータ11が再び充電して伸長することが回避されるので、選択スイッチ531cの開成等により充電回路5dを開いてピエゾアクチュエータ11の再充電を禁止する必要がなく、制御負担が少なくて済む。
【0042】
なお、C1 ≦C2 なので、充電時と異なりピエゾアクチュエータ11には電荷がC1 ,C2 に応じて残存するが、残存電荷放電スイッチ7をオンすると放電経路ダイオード551d、ピエゾアクチュエータ11、コイル51および残存電荷放電用スイッチ7で構成される上記閉成回路が形成されて残存電荷の電気エネルギーがコイル51の電磁エネルギーに変換される。次いで、残存電荷放電用スイッチ7をオフすると、コイル51に蓄積された電磁エネルギーが瞬間的にコンデンサ3に回収され、ごく僅かなコイル51等における損失分を除けばピエゾアクチュエータ11に供給された電気エネルギーを効率よくすべてコンデンサ3に回収することができる。
【0043】
このように、本ピエゾアクチュエータ駆動回路では、コンデンサ3が蓄電完了後、直流電源21と遮断され、コンデンサ3、コイル51、ピエゾアクチュエータ11を含むLC共振回路である充電回路5c、放電回路5dによりスイッチのスイッチング作動によることなく一気に充電、放電を行い得る。そして、コンデンサ3に回収した電荷を次回、ピエゾアクチュエータ12,13,14を伸長させる時のエネルギーとして再利用することができ、消費電力を節約することができる。
【0044】
しかして、続いて行われるピエゾアクチュエータ12〜14の伸長では、既にコンデンサ3に、回収された電気エネルギーが蓄積されているので、蓄電制御スイッチ22のスイッチングは、コンデンサ3の充電量の不足分(コンデンサ電圧所定値V1 に達しない分)のみの充電で足り、速やかにコンデンサ3の充電は完了する。完了後は、タイムチャート前半部と同様にピエゾアクチュエータ12〜14の伸長と縮小とが行われる。
【0045】
(第2実施形態)
図3に本発明の第2実施形態になるピエゾアクチュエータ駆動回路の構成を示す。図1に示した第1実施形態の構成において充電回路と放電回路とでコイルを別々に設けたもので、図中、図1と同じ番号を付した部分は第1実施形態と実質的に同じ作動をするので相違点を中心に説明する。
【0046】
選択された伸長しようとするピエゾアクチュエータ11〜14に対応する選択スイッチ531c〜534cをオンすると、コンデンサ3、充電経路ダイオード54c、充電スイッチ52c、充電コイル56c、選択されたピエゾアクチュエータ11および選択スイッチ531c〜534cにより充電回路5Acが形成される。充電回路5Acは第1実施形態の充電回路5cと実質的に同等のLC共振回路となる。
【0047】
一方、放電スイッチ52dをオンすると、伸長状態のピエゾアクチュエータ11〜14に対応する放電経路ダイオード551d〜554d、上記ピエゾアクチュエータ11〜14、放電コイル56d、放電スイッチ52d、放電経路ダイオード54d、コンデンサ3により、伸長状態のピエゾアクチュエータ11〜14の電荷を放電する放電回路5Adが形成される。放電回路5Adは第1実施形態の放電回路5dと実質的に同等のLC共振回路となる。
【0048】
図4は本ピエゾアクチュエータ駆動回路の作動を示すタイムチャートで、タイムチャート前半に示すように、蓄電制御スイッチ22のスイッチングによりコンデンサ3に所定量の電荷が蓄積され、伸長しようとするピエゾアクチュエータ11〜14(以下、ピエゾアクチュエータ11として説明する)に対応する選択スイッチ531cおよび充電スイッチ52cをオンすると、充電回路5Acが閉成されて上記ピエゾアクチュエータ11に充電される。
【0049】
一方、タイムチャート後半に示すように、放電スイッチ52dをオンすると放電回路5Adが閉成されてピエゾアクチュエータ11は放電しコンデンサ3に回収される。
【0050】
ここで、充電コイル56c、放電コイル56dは電流制限素子であるから、そのインダクタンスに応じてそれぞれ充電速度および放電速度を規定する。したがって、本実施形態では充電速度と放電速度とを独立に設定することができる。
【0051】
なお、ピエゾアクチュエータ11の残存電荷の回収は、第1実施形態と同様に、残存電荷放電スイッチ7をオンオフすることで行われる。
【0052】
(第3実施形態)
図5に本発明の第3実施形態になるピエゾアクチュエータ駆動回路の構成を示す。図1に示した第1実施形態の構成において充電回路と放電回路とを別の構成としたもので、図中、図1と同じ番号を付した部分は第1実施形態と実質的に同じ作動をするので相違点を中心に説明する。
【0053】
ピエゾアクチュエータ11〜14を充電する充電回路5Bcはコンデンサ3、後述するトランス57の二次側コイル572、充電経路ダイオード54c、充電スイッチ52c、選択されたピエゾアクチュエータ11〜14および選択スイッチ531c〜534cにより、第1、第2実施形態の充電回路5c,5Acと実質的に同等のLC共振回路を形成している。
【0054】
放電回路5Bdは伸長状態のピエゾアクチュエータ11〜14に対応する放電経路ダイオード551d〜554d、そのピエゾアクチュエータ11〜14、トランス57の一次側コイル571および放電スイッチ58dで閉成される一次側回路、ならびにピエゾアクチュエータ11〜14の放電時の電流方向を規定する放電経路ダイオード59d、上記トランス一次側コイル571と電磁的に結合する上記トランス二次側コイル572およびコンデンサ3で閉成される二次側回路により構成され、LC共振回路を形成している。
【0055】
図6は本ピエゾアクチュエータ駆動回路の作動を示すタイムチャートで、蓄電制御スイッチ22のスイッチングによりコンデンサ3に所定量の電荷が蓄積され、伸長しようとするピエゾアクチュエータ11〜14(以下、ピエゾアクチュエータ11として説明する)に対応する選択スイッチ531cおよび充電スイッチ52cをオンすると、充電回路5Bcが閉成されて上記ピエゾアクチュエータ11に充電される。
【0056】
一方、放電スイッチ58dをオンすると放電回路5Bdの上記一次側回路が閉成されてトランス一次側コイル571に電流が流れ、誘導作用によりトランス二次側コイル572に発生する誘導電圧により上記二次側回路に電流が流れる。しかしてピエゾアクチュエータ11は放電しコンデンサ3に回収される。
【0057】
なお、上記各実施形態は、コンデンサに並列に接続された負圧防止ダイオードと、充電回路において直列に接続された充電経路ダイオードとにより、コンデンサ電圧が0になった時点で充電回路が停止するようになっており、上記のごとくコンデンサに保持されたエネルギーがすべてピエゾアクチュエータに移動する、等エネルギー制御となっているが、コンデンサ電圧の検出系を利用し、コンデンサ電圧が0Vになったら充電スイッチをオフする構成としてもよく、この場合は等電荷量制御となる。
【0058】
また、上記各スイッチはバイポーラトランジスタあるいはFET等とし、ベース電流、ゲート電圧を制御して電流制限をかける構成とするのもよい。
【0059】
なお、本実施形態はコモンレール式燃料噴射装置に適用したものを示したが、本発明はピエゾアクチュエータを用いる他の用途にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態になるピエゾアクチュエータ駆動回路の回路図である。
【図2】上記ピエゾアクチュエータ駆動回路の作動を示すタイムチャートである。
【図3】本発明の第2実施形態になるピエゾアクチュエータ駆動回路の回路図である。
【図4】上記ピエゾアクチュエータ駆動回路の作動を示すタイムチャートである。
【図5】本発明の第3実施形態になるピエゾアクチュエータ駆動回路の回路図である。
【図6】上記ピエゾアクチュエータ駆動回路の作動を示すタイムチャートである。
【図7】従来のピエゾアクチュエータ駆動回路の代表的なものの一例を示す回路図である。
【図8】従来のピエゾアクチュエータ駆動回路の代表的なものの別の一例を示す回路図である。
【符号の説明】
11,12,13,14 ピエゾアクチュエータ
21 直流電源
22 蓄電制御スイッチ
23 蓄電制御コイル
24 ダイオード
3 コンデンサ
4 通電経路切り替えスイッチ
5c,5Ac,5Bc 充電回路
51 コイル
52c 充電スイッチ
531c,532c,533c,534c 選択スイッチ
54c 充電経路ダイオード
56c 充電用コイル
571 一次側コイル
5d,5Ad,5Bd 放電回路
52d,58d 放電スイッチ
54d 放電経路ダイオード
551d,552d,553d,554d,59d 放電経路ダイオード
56d 放電用コイル
57 トランス
6 負電圧防止ダイオード
7 残存電荷放電スイッチ

Claims (9)

  1. 流電源により蓄電するコンデンサと、上記ピエゾアクチュエータの充電に先立ち直流電源とコンデンサとの間を接続してコンデンサをピエゾアクチュエータ充電用に蓄電せしめるとともに蓄電完了後に直流電源とコンデンサとの間を遮断する蓄電制御スイッチと、コンデンサとピエゾアクチュエータとの間に介設されたインダクタを有しコンデンサ、インダクタおよびピエゾアクチュエータが直列に接続されたLC共振回路を形成する充電回路と、コンデンサとピエゾアクチュエータとの間に介設されたインダクタを有しコンデンサ、インダクタおよびピエゾアクチュエータが直列に接続されたLC共振回路を形成する放電回路と、上記充電回路の線路に設けられ上記充電回路の閉成と開成とを切り替える充電スイッチと、上記放電回路の線路に設けられ上記放電回路の閉成と開成とを切り替える放電スイッチとを有し、ピエゾアクチュエータの充電と放電とを切り替え制御するピエゾアクチュエータ駆動回路において、
    上記コンデンサの静電容量を上記ピエゾアクチュエータの静電容量よりも小さく設定し、
    上記コンデンサの電荷量が0になると上記ピエゾアクチュエータの充電を停止せしめる充電停止手段を具備せしめたことを特徴とするピエゾアクチュエータ駆動回路。
  2. 請求項1記載のピエゾアクチュエータ駆動回路において、上記充電停止手段が、上記充電回路の線路に上記ピエゾアクチュエータの充電電流が順方向となるように設けられたダイオードを有するピエゾアクチュエータ駆動回路。
  3. 請求項記載のピエゾアクチュエータ駆動回路において、上記充電停止手段が、上記コンデンサに逆並列に接続され上記コンデンサの負電圧を禁止するダイオードを有するピエゾアクチュエータ駆動回路。
  4. 直流電源により蓄電するコンデンサと、上記ピエゾアクチュエータの充電に先立ち直流電源とコンデンサとの間を接続してコンデンサをピエゾアクチュエータ充電用に蓄電せしめるとともに蓄電完了後に直流電源とコンデンサとの間を遮断する蓄電制御スイッチと、コンデンサとピエゾアクチュエータとの間に介設されたインダクタを有しコンデンサ、インダクタおよびピエゾアクチュエータが直列に接続されたLC共振回路を形成する充電回路と、コンデンサとピエゾアクチュエータとの間に介設されたインダクタを有しコンデンサ、インダクタおよびピエゾアクチュエータが直列に接続されたLC共振回路を形成する放電回路と、上記充電回路の線路に設けられ上記充電回路の閉成と開成とを切り替える充電スイッチと、上記放電回路の線路に設けられ上記放電回路の閉成と開成とを切り替える放電スイッチとを有し、ピエゾアクチュエータの充電と放電とを切り替え制御するピエゾアクチュエータ駆動回路において、
    上記放電回路の線路に上記ピエゾアクチュエータの放電電流が順方向となるようにダイオードを設けたピエゾアクチュエータ駆動回路。
  5. 請求項1ないし4いずれか記載のピエゾアクチュエータ駆動回路において、上記充電回路を形成する上記インダクタと放電回路を形成する上記インダクタとが共通の構成としたピエゾアクチュエータ駆動回路。
  6. 請求項1ないしいずれか記載のピエゾアクチュエータ駆動回路において、上記充電回路を形成する上記インダクタと放電回路を形成する上記インダクタとが別体の構成としたピエゾアクチュエータ駆動回路。
  7. 請求項5または6いずれか記載のピエゾアクチュエータ駆動回路において、上記コンデンサの静電容量を上記ピエゾアクチュエータの静電容量よりも小さく設定し、かつ、上記ピエゾアクチュエータと上記インダクタとを通り上記コンデンサを迂回する回路の閉成と開成とを切り替える残存電荷放電スイッチを具備せしめたピエゾアクチュエータ駆動回路。
  8. 請求項1ないしいずれか記載のピエゾアクチュエータ駆動回路において、上記放電回路を形成する上記インダクタは、上記充電回路を構成するインダクタを二次側コイルとするトランスで構成したピエゾアクチュエータ駆動回路。
  9. 請求項1ないし8いずれか記載のピエゾアクチュエータ駆動回路において、上記直流電源と上記コンデンサとの間にコンデンサに直列に電流制限素子を設けたピエゾアクチュエータ駆動回路。
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