JP4327655B2 - 黒色紙製マルチ - Google Patents

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Description

本発明は、黒色紙製マルチ(以下単に「マルチ」という場合がある)に関し、さらに詳しくは稲作における使用農薬の減量や労力の軽減を可能にするマルチに関する。
稲作においては雑草の繁茂が激しく、該雑草の除去は米の収穫量を左右することから、稲の生育とともに除草することが要求されている。除草の方法としては人力または除草機により抜き取る方法、除草剤を散布する方法、活性炭を散布する方法、米糠を撒く方法、カルガモを使用する方法などがあるが、これらの方法はいずれも重労働を要したり、人体や環境への悪影響があり、除草効果が十分に上がらないなどの問題点があった。
このような問題を解決する手段として、稲作においても畑作と同様にプラスチックフィルム製マルチを敷設して雑草の生育を防止する方法が知られているが、現在普及しているプラスチックフィルム製マルチを水田に敷設すると、該マルチは水田から発生するメタンガスに対する通気性がなく、また、水面にマルチが浮いて風により流され、稲を覆ったりして稲の成育が止まるなどの問題がある。また、従来のマルチは生分解性のないプラスチック製であることから、稲刈り時に該マルチを回収する必要があるという問題がある。
プラスチック製フィルムとして、生分解性プラスチックフィルムの使用も提案されているが、通常のプラスチック製フィルムと同様な問題に加え、該生分解性プラスチック製フィルムであっても、稲刈時期までに完全に分解することはなく、結果として一部生分解して細分化したマルチが水田に残り、収穫した米に混入するなどの問題点がある。
上記プラスチックフィルムに代えて紙製マルチを使用することも提案されている。該紙製マルチは通気性があり、分解が早いなどの理由で水田に適したマルチであるが、該マルチを水田に敷設する際に、該マルチが水により濡れた場合に該マルチの強度が低下する(田植え機による敷設作業時の紙切れ)ことがあり、また、該紙製マルチは可視光線遮蔽性も不十分である。
上記問題の対策として紙製マルチとして厚紙で嵩高い紙を使用したり、紙間強化用の充填剤の含有量を多くするなどの提案が行われている(特許文献1)が、該紙製マルチが厚紙で嵩高い場合には、マルチを敷設しつつ田植え機により田植えを行う場合、1個のロール状に巻いたマルチのロール長が短くなり、その結果、田植え機に対するマルチの交換作業が頻繁になり、田植えの作業性が低下する。また、充填剤を多く含む紙製マルチでは、水が該マルチ全体に浸透するには時間差があり、水田に敷設された直後に該マルチが外面にカールし、作業時に風があると煽られて該マルチが捲れることから、風がある場合には作業ができないなどの欠点がある。
特開平6−78659号公報
従って、本発明の目的は、上記従来の紙製マルチの課題を解決し、単位質量当たりの面積が大きく、田植え機にマルチロールとして設置した場合、大面積の水田にマルチを敷設することが可能であり、田植え時に破れることなく、そのうえ可視光線遮蔽性に優れ、作業性および除草性に優れ、水田からの回収が不要である紙製マルチを提供することである。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、セルロース繊維からなる坪量25〜30g/m 2 であり、厚みが35〜45μmの薄紙の少なくとも一方の面に、活性炭と生分解性樹脂(但し天然物から得られる澱粉を除く)とからなる黒色層を設けてなり、可視光線遮蔽率が70%以上であることを特徴とする黒色紙製マルチを提供する
本発明によれば、生分解性樹脂をバインダーとし、活性炭を含む塗料で黒色層を形成したマルチは、可視光線の遮蔽による雑草の生育防止性に優れ、ロール状に長尺巻きができることで、マルチの敷設作業性が良く、また、バインダーは生分解性であるので使用後にマルチを水田から回収する作業が不要である。
次に好ましい実施形態を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明は、従来技術の紙製マルチの課題を解決するものである。すなわち、田植え機によりマルチを水田に敷設する作業においては、マルチの田植え機の取り付け(交換)回数が多い程、田植え機の停止回数が多くなり、田植えの作業性が低下することから、マルチの取り付け作業の回数を少なくすることが要求されている。
従来の紙製マルチは、坪量35〜160g/m2、厚み80〜300μmで、最適坪量は90〜120g/m2とされている。通常入手できる紙において、該紙の坪量を厚みの値で割ることから得られる密度を調べた結果、上記従来の紙製マルチの密度は0.60〜0.80g/m3であるが、特許文献1による値は0.44〜0.67g/m3である。このことから、特許文献1に記載の紙製マルチは、嵩高い特殊紙を用いていると言える。これは高い可視光線遮蔽性を得る目的で、紙の坪量に対して嵩のある紙(すなわち、低密度紙)を用いて製造されていることによる。
本発明では、紙製マルチの紙基材として、通常入手できる紙と同等の低坪量の紙(薄紙)を紙基材として使用し、該紙基材の少なくとも一方の面に活性炭と生分解性樹脂とからなる黒色層を形成することで、高い可視光線遮蔽性を得るとともに、田植え機のロール設置装置に収まる長尺ロールの紙製マルチとすることで、1個当たりのロールでマルチを敷設し得る面積を大として、田植え作業を効率的にすることができる。
本発明者が既に上市されている紙製マルチロールを調査した結果、これらの紙製マルチは可視光線遮蔽性や湿強度を得るために嵩高の特殊紙で構成されており、坪量120g/m2のマルチは100m巻きであり、坪量90g/m2のマルチでは125m巻きであった。これに対して本発明では嵩高でない薄紙をマルチの紙基材として使用し、これに黒色層を形成してマルチとしている。このマルチは可視光線遮蔽性に優れるとともに上記従来の紙製マルチと同じロール巻き径で2〜4倍のロール巻き長さになり、田植え機に対するマルチの取り付け回数が従来の紙製マルチの場合の1/2〜1/4になり、ロールを交換するための田植え機の停止時間が少なくなり、田植えの作業効率が向上する。
本発明のマルチは、セルロース繊維からなる紙基材の少なくとも一方の面に、活性炭と生分解性樹脂とからなる黒色層を設けたものであり、該黒色層は活性炭と生分解性樹脂とを含む塗料を塗布および乾燥することによって形成する。ここで使用する活性炭は、人体や環境に悪影響を与えないものであり、黒色層を構成している生分解性樹脂は、マルチが水田に敷設された後、紙と同様に生分解して水田には残留することはなく、環境に悪影響を与えない。
本発明では、紙基材として既に市販されている水田用紙製マルチよりも坪量の低いセルロース紙を使用するが、該紙基材に塗布する塗料中の生分解性樹脂(バインダー)が紙基材の繊維組織内に浸透することにより、紙基材の耐水性や水濡れ強度が向上し、田植え機を使用して水田へ敷設する作業においても、紙切れを生じることもなく田植え作業を行うことができる。また、上記黒色層により、可視光線の遮蔽率を70%以上とすることにより、実質的な雑草生育防止効果が現れ、90%以上にすると顕著な雑草生育防止効果が見られる。
また、本発明で使用する紙基材は、その坪量が25〜30g/m2であり、かつ厚み35〜45μmの薄紙であることが好ましい。このような薄紙では水の浸透に要する時間は厚紙に比べて早く、水に濡れることによる紙の伸びに原因するマルチのカールも最小限に抑えられ、マルチ敷設時の風による影響を考慮することも不要で、田植え作業を行うことができる。通念として樹脂を塗布した紙からなるマルチは水を弾き易く、該マルチを水田に敷設する場合に水田の水の多い部分では、敷設した直後はマルチが水面に浮くが、黒色層の顔料として活性炭を使用した本発明のマルチはその黒色層表面が多孔質であるから、黒色層表面からの水の浸透も容易に起こり、敷設直後から水田状態に追従した形態でマルチを敷設することができる。
田植え機によるマルチの敷設作業では、田植え機にマルチを取り付け、マルチの敷設と同時に田植えを行う。田植え機に取り付けるマルチロールの巻き径は限られているが、本発明の長尺巻きのマルチロールを使用することで、田植え作業でのマルチロールの交換作業が少なくなり、時間当たりの作業面積を上げることができる。
本発明で使用する活性炭は、着色力を高めるためにその平均粒径は好ましくは0.2〜20μmであり、さらに好ましくは0.2〜10μmである。上記平均粒径を0.2μm未満にすることは非常に困難である。一方、上記平均粒径が20μmを超えると、活性炭の使用量が増大し、不経済であり、分散性が悪くなり、着色力も低く、さらに該活性炭を含む塗料でマルチを作成した場合、活性炭が紙の繊維間に入り込まず、水田の水や雨水などによって活性炭が脱落し易く、高い可視光線遮蔽性を維持できない。
上記活性炭には特に制限はなく、おが屑、ヤシ殻、石炭などを原料とし、薬品または水蒸気により賦活した活性炭を使用することができ、粉末炭として市販されている活性炭のほか、粒状炭を粉砕しても使用することもできる。活性炭は上水道の水処理、醸造工場におけるビール、酒、醤油などの精製、医薬品の精製、精糖の脱色など、食品飲料工業において長い使用の歴史があり、安全性が確認されている。
また、活性炭の真密度は約2g/cm3であって、マルチからは容易に脱落および流出せず、無数の微細孔を有し、その広い表面積により各種の分子を吸着するので、水田中の肥料や有用微生物を吸着保持し、それらの効果を長期間にわたって持続させることができる。これに対してカーボンブラックは、塗料中における分散性が良好であるという利点を有するものの、カーボンブラックを用いて作成したマルチを水田に敷設した場合、カーボンブラックが容易に脱落し、河川に流れ込むおそれがあり、該カーボンブラックは食品添加物の認可対象品ではないので安全衛生上の懸念もある。
本発明で使用する塗料は、活性炭を1〜40質量%含有することが好ましく、5〜30質量%含有することがより好ましい。活性炭の含有量が1質量%未満であると、紙基材に塗料を塗布してマルチとして使用した場合、可視光線遮蔽性が不十分であって雑草の発生防止効果が十分ではない。一方、活性炭の含有量が40質量%を超えると、塗料の調製中の活性炭の分散安定性が低下する傾向がみられる。
本発明において使用する生分解性樹脂としては、石油系材料を原料とするポリカプロラクトン、琥珀酸とグリコールとの重合物、アジピン酸とグリコールとの重合物などの各種ポリエステル樹脂、ポリエチレングリコール、ポリビニールアルコール、生分解性のポリオールを原料としたポリウレタン樹脂、ポリウレタン・ウレア樹脂などであり、天然物または天然物の変性物を原料とするロジンおよびその変性物、油脂およびその変性物、シェラックおよびその変性物、酢酸セルロース、焼成澱粉、修飾澱粉、カゼイン類、ポリ乳酸およびポリ乳酸を骨格とした変性物などが挙げられる。
本発明で使用する塗料における上記生分解性樹脂の含有量は、1〜40質量%であることが好ましい。生分解性樹脂の含有量が1質量%未満であると、活性炭を分散させる効果が劣り、塗料中において活性炭が凝集または沈降するおそれがある。一方、生分解性樹脂の含有量が40質量%を超えると、含有量の割にはそれ以上の活性炭に対する分散効果の向上は見られず、むしろ経済的に不利となる。また、生分解性樹脂の使用量は、活性炭100質量部当たり30〜200質量部であることが好ましい。
本発明で使用する塗料は、活性炭を生分解性樹脂を含む分散媒体中に均質に分散させることにより調製することができる。分散媒体としては、水、有機溶剤或いは水と有機溶剤との混合物が使用できる。前記生分解性樹脂としては、水田での使用時におけるマルチの強度の向上および活性炭の脱落を防止するために水不溶性の材料を使用することが好ましいので、前記分散媒体としては、前記生分解性樹脂を溶解できるメタノール、エタノールなどのアルコール、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン、酢酸エチルなどのエステルなどの汎用溶剤を使用することが好ましい。
活性炭を分散媒体中に分散させる方法には特に制限はなく、例えば、サンドミル、スピードラインミルなどの分散機を用いて行うことができる。活性炭の分散工程においては、活性炭の平均粒径が0.2〜20μm、好ましくは0.2〜10μmになるまで、十分に分散処理することが望ましい。
本発明のマルチは、紙基材の一方の面に、上記黒色塗料を塗布および乾燥することによって得られる。塗料の塗布方法としては、ロールコート、グラビアコート、バーコート、スプレイコートなど、従来公知の何れの方法でよい。塗料の塗布量としては、得られるマルチの可視光線遮蔽性が70%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上となる範囲が好ましく、上記範囲未満の量では十分な可視光線遮蔽性を有するマルチが得られない。
本発明の黒色紙製マルチの断面を模式的に図1に示す。図示するように、活性炭のかなりの部分は生分解性樹脂とともに、紙基材の組織中に入り込んでおり、活性炭は紙基材中のサイズ剤と生分解性樹脂によって紙基材内に固着されている。従って該マルチが、水田の水や雨水などに遭遇しても、一部の活性炭は脱落することもあり得るが、少なくとも半分以上は数か月間紙基材に保持されており、雑草の発生および成長を防止することができる。このような本発明のマルチは水田用のマルチとして有用なばかりでなく、畑作用のマルチとしても有用である。
次に実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、文中「部」または「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
参考例1]
生分解性樹脂として澱粉脂肪酸エステル樹脂(エステル化率:90%、重量平均分子量約3万)を15部、木炭系粉末活性炭20部および酢酸エチル65部の混合物を横型サンドミルで分散して塗料を作製した。この塗料10部当たり5部の酢酸エチルを加えて希釈し、該希釈塗料を、坪量50g/m2で厚み72μmの未晒しクラフト紙に、0.5、1、2、3および5g/m2(dry)の塗布量で塗布および乾燥して参考例のマルチを得た。
参考例2]
生分解性樹脂としてポリカプロラクトン樹脂(重量平均分子量約5万)10部、木炭系粉末活性炭20部および酢酸エチル70部の混合物を横型サンドミルで分散して塗料を作製した。この塗料10部当たり5部の酢酸エチルを加えて希釈し、該希釈塗料を、坪量50g/m2で厚み72μmの未晒しクラフト紙に、0.5、1、2、3および5g/m2(dry)の塗布量で塗布および乾燥して参考例のマルチを得た。
参考例3]
生分解性樹脂として無漂白シェラック樹脂15部、木炭系粉末活性炭20部およびエタノール65部の混合物を横型サンドミルで分散した塗料を作製した。この塗料10部当たり5部のエタノールを加えて希釈し、該希釈塗料を、坪量50g/m2で厚み72μmの未晒しクラフト紙に、0.5、1、2、3および5g/m2(dry)の塗布量で塗布および乾燥して参考例のマルチを得た。
参考例4]
生分解性樹脂として酢酸セルロース樹脂3部、木炭系粉末活性炭13部、メチルエチルケトン30部およびアセトン54部の混合物を横型サンドミルで分散した塗料を作製した。この塗料10部当たり5部の酢酸エチルを加えて希釈し、該希釈塗料を、坪量50g/m2で厚み72μmの未晒しクラフト紙に、0.5、1、2、3および5g/m2(dry)の塗布量で塗布および乾燥して参考例のマルチを得た。
[実施例
生分解性樹脂として澱粉脂肪酸エステル樹脂(エステル化率:90%、重量平均分子量約3万)を15部、木炭系粉末活性炭20部および酢酸エチル65部の混合物を横型サンドミルで分散して塗料を作製した。この塗料10部当たり5部の酢酸エチルを加えて希釈し、該希釈塗料を、坪量30g/m2で厚み45μmの未晒しクラフト紙に3g/m2(dry)の塗布量で塗布および乾燥して本発明のマルチを得た。
[比較例1]
生分解性樹脂として澱粉脂肪酸エステル(エステル化率:90%、重量平均分子量約3万)を15部、カーボンブラック10部および酢酸エチル75部の混合物を横型サンドミルで分散した塗料を作製した。この塗料10部当たり5部の酢酸エチルを加えて希釈し、該希釈塗料を、坪量50g/m2で厚み72μmの未晒しクラフト紙に、0.5、1、2、3および5g/m2(dry)の塗布量で塗布および乾燥して比較例のマルチを得た。
[比較例2]
坪量50g/m2で厚み72μmの未晒しクラフト紙(紙基材)。
[比較例3]
既に市場販売されている坪量120g/m2の白着色水田用紙製マルチ。
[比較例4]
既に市場販売されている坪量90g/m2の黒着色水田用紙製マルチ。
[作業効率]
上記実施例および比較例のマルチを外径35mmの紙管に巻き径165mmで巻き取り、その巻き長さを調べた結果、比較例3(坪量120g/m2)では100m、比較例4(坪量90g/m2)では125mの巻き長さである。本発明のマルチの中で塗布量3g/m2(dry)のものの巻き長さは、坪量30g/m2で厚み45μm(実施例)の場合は470mであり、坪量50g/m2で厚み72μm(参考例1)の場合では280mである。
マルチの厚みは、黒色層を形成する塗料の塗布量には関係なく同じであり、いずれの塗布量でも同量の巻き長さが得られる。これは塗料が紙基材の塗布面の近傍に浸透乾燥することで、マルチの厚みに影響がないからである。本発明のマルチは水田に該マルチを敷設する作業で、一つのロールで多くの面積に敷設できることから、マルチの交換頻度は比較例のマルチに比べて1/2〜1/4になり、マルチの交換のための田植え機の停止回数が少なくなり、田植えの作業効率が上がる。
[可視光線遮蔽性]
マルチの可視光線遮蔽性は、紙基材に対する黒色塗料の塗布量が多くなる程、大きくなる。可視光線遮蔽性はマルチを水に24時間浸漬後、分光光度計を使用して測定した結果、坪量50g/m2で厚み72μmの紙基材(比較例2)では、50%であるが、参考例1〜3においては塗布量0.5g/m2(dry)で80%、塗布量1g/m2(dry)で93%、塗布量2g/m2(dry)で97%、塗布量3g/m2(dry)で99%、塗布量5g/m2(dry)で99.8%である。
参考例4では塗布量0.5g/m2(dry)で70%、塗布量1g/m2(dry)で90%、塗布量2g/m2(dry)で93%、塗布量3g/m2(dry)で96%、塗布量5g/m2(dry)で98%である。比較例1は参考例1〜3と同等の可視光線遮蔽率であるが、黒色顔料としてカーボンブラックを使用したマルチであり、カーボンブラックには発ガン性物質の微量混入する場合があり、水田用としては好ましくない材料である。比較例3は可視光線遮蔽率90%であり、比較例4は可視光線遮蔽率97%である。
[雑草生育防止効果]
雑草生育防止効果は、可視光線遮蔽率が大きくなるほど効果が大きくなるが、該効果は以下の試験で確認された。試験水田は手入れなしで放置された2年間の休耕田で、12月に草を刈り取り水田放置で枯らし、該枯れた雑草の撤去は行わず試験水田とした。
上記の条件下でマルチ使用なしの雑草発生量を標準とした雑草生育防止率は坪量50g/m2で厚み72μmの紙基材そのものでは70%、塗布量0.5g/m2(dry)のマルチでは80〜90%、塗布量1g/m2(dry)のマルチでは94〜97%、塗布量2g/m2(dry)のマルチでは95〜99%、塗布量3g/m2(dry)〜5g/m2(dry)のマルチでは99%以上である。
従って好ましい黒色塗料の塗布量は2g/m2以上であるが、これは実施例の塗料を使用した場合であり、好ましい塗布量は粉末活性炭の濃度や分散状態に左右される。粉末活性炭の濃度が低かったり、活性炭の分散が悪い塗料を用いた場合には多くの塗布量を必要とする。粉末活性炭が高濃度であったり、粉末活性炭が高分散した塗料を用いれば、塗料の塗布量を下げることができる。
[マルチの付着性]
マルチを水田に敷設する際の水田へのマルチの付着性は、紙基材に対する黒色塗料の塗布量の影響を受ける。通常、マルチは黒色塗料の塗布量が多くなると、塗料中の樹脂はサイズ剤と同様な作用をもたらし、紙基材全体に浸透し、紙基材中の空隙を包含した状態の黒色層を形成し、この比率が高くなると、黒色層の比重が水より大きくなるが、その黒色層への水の浸透性は悪く、マルチの水田への付着が悪くなる(水田に張られた水面に浮く)。比較例1のカーボンブラックを使用したマルチにはこの現象が見られ、坪量50gの未晒しクラフト紙(紙基材)で塗布量3g/m2までは付着性への影響はないが、塗布量5g/m2では水田の水張りの多い部分で水面にマルチの浮きがあり、水の流れや風の影響を受けて、マルチの移動があり、その結果マルチが苗を覆う現象が一部で見られる。しかし、黒色顔料として粉末活性炭を使用した本発明のマルチでは、水田付着性が塗料の紙基材に対する塗布量の影響を受けなくなる。これは粉末活性炭が多孔質であることから、黒色層の表面からの水の浸透性があり、水の浸透が速やかに紙基材内部まで起こるからである。
[生分解性]
塗料に用いる樹脂(バインダー)が、マルチの使用の結果、水田に残ると土壌汚染になることから、水田への樹脂の残存を回避する方法として、本発明では生分解性樹脂を使用した。実施例では生分解性樹脂として澱粉脂肪酸エステル、ポリカプロラクトンおよびシェラック樹脂を使用して試験を行ったが、紙基材と該紙基材を用いたマルチとの間では、水田における生分解速度の差は見られず、両者とも水田中で約2ヶ月で消滅が確認された。
[引っ張り強度]
田植えにおいては、田植え機にマルチロールを取り付け、マルチを水田へ敷設しながら苗の植付けを行うが、この際、マルチには湿状態で引っ張り応力がかかる。湿状態でのマルチの引っ張り強度を測定した結果、本発明では黒色層を形成することによりマルチの湿状態での引っ張り強度の向上が得られた。引っ張り強度の測定は、マルチを水に1時間浸漬後にマルチの抄紙の流れ方向について引っ張り試験機を使用して測定した。
坪量50g/m2で厚さ72μmの紙基材では1N/15mm、塗布量0.5g/m2(dry)のマルチで1N/15mm、塗布量1g/m2(dry)のマルチで1.2N/15mm、塗布量2g/m2(dry)のマルチで1.3N/15mm、塗布量3g/m2(dry)のマルチで1.4N/15mm、塗布量5g/m2(dry)のマルチで1.5N/15mmである。塗料に使用する樹脂(澱粉脂肪酸エステル、ポリカプロラクトン、シェラック、酢酸セルロース)の間には性能差は見られなくほぼ同じ値であった。マルチの強度は黒色層の厚みに比例した値であった。例として坪量30g/m2で厚さ45μmの紙基材を用いた実施例のマルチは0.6N/15mmの引っ張り強度で、これを水田に田植え機を使用して敷設したが、紙切れは見られなかった。
使用する紙基材の坪量をさらに下げる、あるいは長繊維の混入が少ないなどの実施例に使用した紙より、性能の低い紙でも本発明のように黒色層を形成することによりマルチの引っ張り強度が改善され、紙基材のみでは使用適性がなくても黒色層の形成による性能改善効果でマルチとして使用可能になることは容易に推定できる。
以上のように本発明によれば、生分解性樹脂をバインダーとし、活性炭を含む塗料で黒色層を形成したマルチは、可視光線の遮蔽による雑草の生育防止性に優れ、ロール状に長尺巻きができることで、田植え時のマルチの敷設作業性が良く、また、バインダーは生分解性であるので使用後にマルチを水田から回収する作業が不要となる。
本発明のマルチの製造において、塗料が紙基材の塗布面の近傍に浸透し、乾燥した状態を示す図。

Claims (1)

  1. セルロース繊維からなる坪量25〜30g/m 2 であり、厚みが35〜45μmの薄紙の少なくとも一方の面に、活性炭と生分解性樹脂(但し天然物から得られる澱粉を除く)とからなる黒色層を設けてなり、可視光線遮蔽率が70%以上であることを特徴とする黒色紙製マルチ。
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