JP4327013B2 - プラントワイド最適プロセス制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、物質やエネルギーの流れの処理工程、例えば、下水処理プロセス、排水処理プロセス、浄水プロセス、化学プロセスなどのプロセス系の制御装置に関連し、特に非線形性の強いプロセスのプラントワイド最適プロセス制御装置に関する。
上下水道の水量プロセス及び水質プロセスなどの産業界におけるプロセスに対する制御方式として、古典制御の一種であるPID制御やシーケンス制御が広く利用されてきた。これらPID制御やシーケンス制御は、信頼性、制御性能、及び設計やチューニングの容易さなどの観点からバランスのとれた制御方式であり、産業界において最も標準的な制御方式として、今現在においても、80%以上の産業プロセスの制御に用いられている。
しかし、例えば、下水処理においては、近年、従来の有機物除去のみの要求から、窒素やリンなどの河川への放流規制が義務付けられるようになりつつあり、さらに、運転コストなどの経済的なコスト低減や省エネルギーなども求められるようになってきており、制御の目的は多様化している。このような要求に応えるために、従来のPID制御やシーケンス制御に加えて、近年、様々なアドバンスト制御が用いられるようになってきている。
アドバンスト制御は、大別してルールベース制御とモデルベース制御の2つのアプローチに分類され、これらは目的に応じて使い分けられる。対象プロセスの挙動を模擬できるモデルがあれば、モデルベース制御を採用する方がよりよい制御を行なえる潜在能力を持っている。特に、化学プロセスの制御や上下水道プロセスの制御などのいわゆるプロセス制御分野では、制御性能に対する要求と同時に、操作量となる薬品や電力などの運転コストを低減したいという要求が強いため、これらを積極的に考慮したモデルベース制御の1つであるモデル予測制御が発展してきた。
モデル予測制御は、1970年代後半から1980年代初頭にかけて、Shell Oi1社から独立したDMC(Dynamic Matrix Control)社などが産業界で実用化した制御方式であり、主に、石油化学プロセス業界におけるアドバンスト制御として広く用いられている(下記の非特許文献1参照)。モデル予測制御の有効性は実プロセスでも十分に検証されているが、その一方で、下水処理プロセスなどのように生物の代謝反応を伴う、より複雑なプロセスを対象とする場合には、高次元、非線形モデル予測制御系を構築しなければならず、将来的に非常に有望な技術であるものの、現状の技術レベルで実現することは必ずしも容易なことではない。
このような問題に対処するため、発明者等は、「プロセスシミュレータ応用制御装置及び方法」(下記の特許文献1参照。)を提案し、また、未公開の「プラントワイド最適プロセス制御装置」(特願2000−354865号)を提案してきた。特に、「プラントワイド最適プロセス制御装置」は、実際のプロセス制御系での実現の容易さを全面的に考慮して、プロセス全体の最適化を指向したものである。ここでは、プロセスの制御系を上位系(監視制御部:Supervisory Control System、以下、SVCと略記する)と下位系(ローカル制御部:Local Control Loops、LCとも略記される)という階層構造に分け、上位系ではプロセス全体の最適化を行うような最適目標値(又は最適操作量)を計算し、下位系では主にPI制御器からなるワンループコントローラでプロセスが最適目標値に追従するようにプロセスを制御するものであった。
また、「プラントワイド最適プロセス制御装置」では、下水処理プロセスを対象とした詳細な実施の形態を示しており、この場合の制御系の上位系では、経済的なコストや環境負荷を考慮した最適化変数に関して非線形の評価関数を最適化の指標として、以下のような制約条件を組み込んでいる。
a.(生物化学反応と水理学的流れ等の)物質収支を表す非線形代数方程式。
b.操作量の上下限を表す不等式。
c.出力の制約を表す不等式。
d.必要な汚泥滞留時間、滞留時間、水面積負荷などを制約する非線形不等式。
従って、このSVCは、非線形の等式及び不等式制約と非線形評価関数を持つ、「非線形最適化問題」として定式化できる。この定式化は、下水処理プロセスを対象としたものであるが、上記制約条件のうち、3つの制約条件a,b,cは、石油化学プロセス、浄水プロセス、電力プロセスなど任意の物理的なプロセスに通常現れる制約条件である。aに関しては、物質収支ではなくエネルギ収支が考慮される事もある。もう1つの制約条件dは、物理(土木)構造物とその構造物内で生産、消費、処理、転換される物質との間で満たすべき条件として、他のプロセスでも通常なんらかの形で現れる。最適化の指標を経済的指標として選ぶことも通常行われることである。従って、このような形のSVCの定式化は多くのプロセス系に対して適用できるかなり普遍的なものである。
J.Richalet,"Industrial Implementation of Predictive Control",Preprint ofJapan Batch Forum(2002) 特開2002−373002号公報
上述したように、定式化を行った後は、実際に非線形最適化問題を解く必要があるが、一般に非線形最適化問題を解くことは、線形の最適化問題を解くことと比較して相当に難しく、さらに、このSVCに含まれる物質収支に対応する非線形等式制約条件は、この非線形最適化問題を解くことを一層難しくしている。なぜなら、最適化される独立変数のある組み合わせが等式制約条件を満たしていた場合にある1つの独立変数の値を少し変更した組み合わせはもはや等式条件を満たしていることは殆どないからである。しかも、この物質収支は基本的かつ本質的な要請であるため、これを無視したり緩和したりすることは許されず、必ず非線形等式制約条件を考慮しなければならない。従って、このようなSVCをプラントワイド制御装置で実際に実施するためには、この最適化問題の実用解(最適とは限らなくても実用に十分耐えうる近似最適解)を求める方法が必要になる。
さらに、このSVCをオンラインで実行しようとした場合、実用的な最適解をオンラインの制御周期より短い時間に実行できなければ、結果的に使われなくなる可能性がある。そのためには、実用解を高速で解くことも求められる。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、第1の目的は、プラントワイド最適制御を行うに当たり、最適目標値と最適操作量の実用的な近似最適解を具体的に計算することが可能になり、これよってその実現を容易化することのできるプラントワイド最適プロセス制御装置を提供することにある。
本発明の第2の目的は、最適目標値と最適操作量の実用的な近似最適解を高速に演算することができ、オンラインでの利用が可能なプラントワイド最適プロセス制御装置を提供することにある。
請求項1に係る発明は、
流入する物質やエネルギーを外部入力とし、物質やエネルギーの流れの処理工程を対象プロセスとして、対象プロセスのいくつかの状態を計測することのできる少なくとも1つのプロセスセンサと、
対象プロセスの状態を変化させることができる少なくとも1つのアクチュエータと、
少なくとも外部入力の物質量やエネルギー量などの保存量の保存則に関する代数方程式で表される静的な制約条件を設定することのできる保存量制約設定部を含む制約条件設定部と、
運転コストや複数の制御性能を評価できる評価関数を設定することのできる最適評価関数設定部と、
プロセスセンサによって得られるプロセス計測値に基づいて、アクチュエータを動作させ、プロセスのダイナミックな変動を望ましい特性を持つように補償するローカル制御部と、
制約条件設定部によって設定された制約条件を入力し、最適評価関数設定部で設定した評価関数に基づいてローカル制御部の最適な目標値を供給するか、又は、アクチュエータの最適操作量を直接計算するプロセス最適化部と、
を備えたプラントワイド最適プロセス制御装置において、
プロセス最適化部は、保存量制約設定部で設定されるプロセスの定常状態モデルである代数方程式に対応するプロセスの動的モデルである微分方程式で表されるプロセスシミュレーション部と、最適化計算を行う最適演算部とを含んで構成され、
プロセスシミュレーション部では、アクチュエータの操作量値をその操作量の操作範囲内で1つ以上生成して動的モデルに入力し、動的モデルの収束値(定常値)を発生させることによって、制約条件設定部の物質量保存制約を満たす最適演算部の1つ以上の実行可能初期解候補を求め、実行可能初期解候補の中から、制約条件設定部において設定されたすべての制約条件を満たす1つ以上の実行可能初期解候補を実行可能初期解として採用し、最適演算部では、1つ以上の実行可能初期解を初期値として、数理計画法によって局所最適解を1つ以上生成し、その中で評価関数を最適にするものを近似最適解として採用する、アルゴリズムが組み込まれている、
ことを特徴とするものである。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のプラントワイド最適プロセス制御装置において、プロセス最適化部は、現れる操作量や状態変数などの最適化されるべき独立変数の取りうる範囲を略同じになるように正規化する、ことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載のプラントワイド最適プロセス制御装置において、プロセス最適化部のプロセスシミュレーション部における実行可能初期解候補を発生させるための操作量値の組み合わせを遺伝子と見なし、遺伝子から最適演算部を通して計算される評価関数値あるいは評価関数値から変換される何らかの指標を適合度と見なして遺伝的アルゴリズムを併用する、ことを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項3に記載のプラントワイド最適プロセス制御装置において、プロセス最適化部の遺伝的アルゴリズムの代わりに、免疫的アルゴリズム又はメタヒューリスティックスを適用する、ことを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1又は2に記載のプラントワイド最適プロセス制御装置において、プロセス最適化部のプロセスシミュレーション部における実行可能初期解候補を発生させるための操作量値の組み合わせとして、対象プロセスの計算時点における実際の操作量を採用する、ことを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項1又は2に記載のプラントワイド最適プロセス制御装置において、プロセス最適化部における最適化されるべき独立変数の中のいくつかを固定値と見なして最適化を行わず、残りの独立変数のみの最適化を行う、ことを特徴とする。
請求項7に係る発明は、請求項1又は2に記載のプラントワイド最適プロセス制御装置において、プロセス最適化部において、定式化した最適化問題の緩和問題を同時に解くことによって、最適値の下界を見積もる、ことを特徴とする。
請求項8に係る発明は、請求項1又は2に記載のプラントワイド最適プロセス制御装置において、プロセス最適化部のプロセスシミュレーション部における実行可能初期解候補を発生させるための操作量値の組み合わせを遺伝子と見なし、遺伝子から最適演算部を通して計算される評価関数値あるいは評価関数値から変換される何らかの指標を適合度と見なして遺伝的アルゴリズムを併用し、
プロセス最適化部において、定式化した最適化問題の緩和問題を同時に解くことによって、最適値の下界を見積もり、
遺伝的アルゴリズムの終了条件を、近似最適解と最適解の下界の差に対してスレッシュホールドレベルを設けて、これに基づいて決定する、ことを特徴とする。
請求項9に係る発明は、請求項1又は2に記載のプラントワイド最適プロセス制御装置において、実行可能初期解候補の中で実行可能解が1つも見つからなかった場合に、この最適化問題に解が無い可能性が高いことを提示するような機能を備えた、ことを特徴とする。
請求項10に係る発明は、請求項1又は2に記載のプラントワイド最適プロセス制御装置において、複数の対象プロセスにそれぞれ対応させてローカル制御部を備え、制約条件設定部、最適評価関数設定部及びプロセス最適化部の各機能を単一の上位側制御機器に持たせた、この上位側制御機器と対応する要素をそれぞれデータ伝送路で接続した、ことを特徴とする。
請求項11に係る発明は、請求項10に記載のプラントワイド最適制御装置において、制約条件設定、最適評価関数設定部及びプロセス最適化部の機能を複数の制御機器に分割し、これらの制御機器をデータ伝送路にて接続したことを特徴とする。
本発明は、上記のように構成したことにより、プラントワイド最適制御を行うに当たり、最適目標値と最適操作量の実用的な近似最適解を具体的に計算することが可能になり、これよってその実現を容易化することのできるプラントワイド最適プロセス制御装置が提供される。
また、最適目標値と最適操作量の実用的な近似最適解を高速に演算することができ、オンラインでの利用が可能なプラントワイド最適プロセス制御装置が提供される。
以下、本発明を図面に示す好適な実施の形態に基づいて詳細に説明する。
第1の実施の形態
〈第1の実施の形態の構成〉
図1は、本発明に係るプラントワイド最適プロセス制御装置の第1の実施の形態として、窒素及びリンの除去を目的とした下水高度処理プロセスを対象とする制御システムの構成を示すブロック図である。ただし、本発明は、このような下水処理制御システムに限定されるものではなく化学プロセス等、任意のプロセスに適用することができる。
図1に示す下水処理プロセスは2段循環式硝化脱窒プロセスとして構成された下水高度処理プロセス1であり、被処理水は、先ず最初沈澱池101に導入され、ここから順に、嫌気槽102、第1好気槽103、無酸素槽104、第2好気槽105、及び最終沈澱池106を通って放水される。
この下水高度処理プロセス1の状態を変化させることのできるアクチュエータとして、最初沈澱池101に最初沈澱池余剰汚泥引き抜きポンプ111を備え、同様に、最初沈澱池101の出口と無酸素槽104との間にステップ流入ポンプ112、第1好気槽103に酸素を供給するブロワ113、第2好気槽105に酸素を供給するブロワ114、無酸素槽104に炭素源を供給する炭素源投入ポンプ115、第2好気槽105から無酸素槽104に被処理水を還流させる循環ポンプ116、最終沈澱池106の汚泥を最初沈澱池101に返送する返送汚泥ポンプ117、第2好気槽105に凝集剤を投入する凝集剤投入ポンプ118、及び最終沈澱池106から汚泥を引き抜く最終沈澱池余剰汚泥引き抜きポンプ119を備えている。これらのアクチュエータ111〜119は、所定の周期で動作する。
さらに、下水高度処理プロセス1には、その状態を計測するプロセスセンサとして、第1好気槽103のアンモニア濃度を計測するアンモニアセンサ121、無酸素槽104の硝酸濃度を計測する硝酸センサ122、槽102〜105の少なくとも1つの槽(図示の例では無酸素槽104)で活性汚泥量(以下、MLSSと略記する)を計測するMLSSセンサ123、第2好気槽105のアンモニア濃度を計測するアンモニアセンサ124、第2好気槽105のリン酸濃度を計測するリン酸センサ125、最終沈澱池106から引き抜かれる汚泥量のSS濃度を計測するSSセンサ126、最終沈澱池106から引き抜かれる余剰汚泥量を計測する流量センサ127、第2好気槽105の溶存酸素濃度を計測するDOセンサ128、第2好気槽105の酸化還元電位差を計測するORPセンサ129、放流下水の水量とCOD、TN、TPなど複数の水質要素とを計測することのできる放流下水センサ1210、及び流入下水の水量とCOD、TN、TPなど複数の水質要素とを計測することのできる下水流入センサ1211が設けられている。これらのプロセスセンサ121〜129、1210、1211は所定の周期で計測を行っている。
プラントワイド最適プロセス制御装置は、プロセスセンサ121〜129、1210から所定の周期で得られるプロセスデータを収集し保持するプロセス計測データ収集部2と、下水流入センサ1211で計測した外部入力としての流入下水量と流入下水水質の時系列データを収集し保持する外部入力計測データ収集部3と、プロセス計測データ収集部2から所定の周期で供給されるプロセス計測データに基づいて、プロセスセンサ121〜129、1210の異常を診断して、スイッチ部SW2の接点切換操作をするプロセスセンサ異常診断部4と、外部入力計測データ収集部3から所定の周期で供給される外部入力計測データに基づいて、下水流入センサ1211の異常を診断して、スイッチ部SW1の切換操作をする外部入力センサ異常診断部5と、主に下水流入水質の手分析データを保存しておく手分析データ保存部6とを備えている。
さらに、プラントワイド最適プロセス制御装置は、プロセスのマスバランスあるいはエネルギーバランス等の保存量に関する制約条件を設定する保存量制約設定部71、プロセスの出力である水質や水量の規制値などの制約条件を設定する出力制約設定部72、プロセスの入力である操作量のリミットや操作量変化率のリミット(Δリミット)などの制約条件を設定する操作量制約設定部73を含んでなる制約条件設定部7と、プロセスの最適性を定量的に定義した最適評価関数設定部8と、制約条件設定部7で設定された各種の制約値と最適評価関数設定部8で設定された評価関数とに基づいて、外部入力計測データ収集部3を介して得られた下水流入センサ1211の流入下水水量と各種流入下水水質とのデータ又は手分析データ保存部6のデータを入力することによって、アクチュエータ111〜119のそれぞれの最適操作量及びプロセスセンサ121〜129、1210で計測されるプロセス被制御量の最適目標値を計算するプロセス最適化部9と、プロセス計測データ収集部2において収集されたプロセスデータとプロセス最適化部9から供給される最適目標値とを入力とし、各種アクチュエータ111〜119の操作量を計算するローカル制御部10とを備えている。
なお、プロセス最適化部9は、最適化演算の実行可能解を生成するためのプロセスシミュレーション部91及びこれによって生成された実行可能解を初期値として最適化演算を行う最適演算部92を含んで構成されている。
〈第1の実施の形態の作用〉
以下、第1の実施の形態の作用を説明する。先ず、硝酸センサ122で計測された無酸素槽104の硝酸濃度データを所定の周期でプロセス計測データ収集部2に格納する。ここで、硝酸センサ122の出力信号線を3本に分岐してプロセス計測データ収集部2に入力するように記載した理由は、プロセス計測データ収集部2が複数のデータを選択的に収集する複数のデータ収集部(図示せず)を備えていることによる。同様に、アンモニアセンサ121、アンモニアセンサ124で各々計測された第1好気槽103及び第2好気槽105のアンモニア濃度データを所定の周期でプロセス計測データ収集部2に格納する。全く同様に、MLSSセンサ123で計測されたMLSS濃度データ、リン酸センサ125で計測されたリン酸濃度データ、SSセンサ126で計測された余剰汚泥のSS濃度データ、流量センサ127で計測された余剰汚泥の引き抜き流量データを所定の周期でプロセス計測データ収集部2に格納する。
最適評価関数設定部8は、下水高度処理プロセス1の最適性を評価するための最適評価関数を設定するものである。下水高度処理プロセス1では、運転コストの削減と窒素やリンの除去効率の向上が求められているが、これらはトレードオフの関係にあるため、これらのトレードオフを考慮した最適評価関数を設定することが好ましい。例えば、放流水の窒素やリンの負荷量に応じて賦課金を課すという考え方に従って、放流水質の向上を金額換算して放流水質コストとし、この放流水質コストと運転コストとを同時に評価し、例えば、次のような評価関数Jを設定する。
J=EC十OC (1)
ここで、ECは放流水質コストであり、OCは運転コストであって、例えば次式で定義する。
Figure 0004327013
ここで、COD、BOD、SS、TN、TPは、それぞれ、放流水の化学的酸素要求量、生物化学的酸素要求量、浮遊固形物量、全窒素の濃度、全リンの濃度を表し、単位はすべて[kg/m]である。Qef[m/d]は放流水量を表す。Q,Qret,Qcirc,Qex,Qpac,Qcbは、それぞれ、曝気風量、返送量、循環量、余剰汚泥引抜量、凝集剤投入量、炭素源投入量であり、単位はすべて[m/d]である。Qsludge[kg/d]は発生汚泥量である。また、t0及びTは、それぞれ、コスト評価開始時刻及びコスト評価期間を示す。wはコスト換算係数に対応する重みである。
もちろん、最適評価関数設定部8はこのような評価関数に限定されるわけではなく、ユーザのニーズ、あるいは行政判断など様々な基準に基づいた評価関数を用いることができる。ただし、この最適評価関数設定部8では、最適性の基準を定量的に評価できる必要がある。最適評価関数のこの考え方は、下水高度処理プロセス1のトレードオフを定量的に考慮できるため、このようなトレードオフを考慮した評価関数として有効なものである。
次に、もう1つの設定条件として、制約条件設定部7において、保存量制約設定部71と、出力制約設定部72と、操作量制約設定部73とで各々の制約条件を設定する。
保存量制約設定部71では、下水高度処理プロセス1の処理におけるマスバランスを考慮した微分方程式から導出される代数方程式によって記述される。
まず、例えば、下水高度処理プロセス1のプロセスモデル(プロセスシミュレータ)は、具体的には、文献「IAWQ Task Group on Mathematical Modeling for Design and Operation of Biological Wastewater Treatment Processes,“Activated Sludge Models ASM1,ASM2,ASM2d and ASM3”,IAWQ Scientific Technical」に記載されている、次式のような、活性汚泥モデルASM1〜ASM3などを用いた生物反応槽モデルと、レイヤーモデルやTakacsモデルなどの沈降モデルを用いた沈澱池モデルを連結させた形で表現される。
〈生物反応槽モデル〉
Figure 0004327013
ここで、z(t)[g/m]∈ は反応槽の水質要素を表すベクトル、nは状態変数の数、z*in(t)[g/m]∈R は対象となる反応槽に流入してくる下水の水質要素を表すベクトル、V[m]∈Rは対象とする反応槽の容積、Q(t)[m/day]∈Rは流入量を表す。また、S∈Rp×nは化学量論を表すマトリクス、r(・)∈R は反応速度を表すベクトル、pは要素反応プロセスの数を表す。So2*(t)[g/m]∈Rは溶存酸素濃度でz(t)の1つの要素(ASM1〜ASM3では第2番目の要素として割り当てられている)である。So2[g/m]∈Rは飽和溶存酸素量、KLa[1/day]∈Rは総括酸素移動容量係数、QB(t)[m/day]∈Rは曝気量、K[1/m]∈Rは定数を表す。また、*は各反応槽の文字列を表し、例えば、*:=aerobic好気槽を表す。Rはn次の実数の集合を表し、R はn次の正の実数の集合を表す。
〈沈澱池モデル〉
Figure 0004327013
ここで、ssd(t)[g/m]∈R は沈澱池の溶解性の水質要素を表すベクトル、sは溶解性水質要素の数を表す。x sd(t)[g/m]∈Rn−3 は沈澱池の沈澱部の浮遊性の水質要素を表すベクトルであり、x sd(t)[g/m]∈Rn−s は沈澱池の上澄部の浮遊性の水質要素を表すベクトルである。αは1より小さい定数である.Q sdout(t)、Q sdout(t)、及びQ sdout(t)は、各々、余剰汚泥引き抜き流量、返送量、及び放流量を表す。
これらの生物反応槽モデルと沈澱池モデルを下水高度処理プロセス1のプロセス構成に従って適切に連結することによって、下水高度処理プロセスシミュレータが構築される。これは、図1のプロセスシミュレーション部91に用いられるプロセスシミュレータである。以下の説明を簡単にするため、このプロセスシミュレータを形式的に次のように記述しておく。
Figure 0004327013
ここで、xは反応槽内のアンモニア、硝酸、リン酸、CODの要素、SS、MLSSなどの水質要素を表すベクトル、uは、曝気量、循環量、返送量、炭素源投入量などの操作量を表すベクトル、dは流入下水の水質要素や流入下水量などの外乱を表すベクトル、θは、最大比増殖速度、半飽和定数、加水分解定数、死滅定数、などの各種パラメータを表すベクトルである。
さて、プロセスの挙動の過渡状態を考えずに定常状態のみを考える場合には、このプロセスモデル(シミュレータ)を記述した(13)式の左辺の微分値をゼロとおけばよく、この時、定常状態におけるマスバランス式が以下のように得られる。
f(x,u,θ,d)=0 (14)
この(14)式が、保存量制約設定部71の制約条件式の一例である、本発明では制約条件としての(14)式を満足させるために、(13)式を利用したアルゴリズムを開発している。
次に、出力制約設定部72では、例えば、出力である水質の規制値を設定したり、水質濃度など決して負にはならないように制約条件を設定することができる。例えば、(14)式に加えて、次式のような制約条件を設定する。
0≦x≦xmax (15)
ここで、xmaxは水質の規制値などに対応する水質の上限値である。この(15)式が出力制約設定部72の制約条件式である。
次に、操作量制約設定部73では、プロセスのアクチュエータが取り得る範囲内のリミッタを設定することができる、例えば、次式のような制約条件を設定する。
min≦u≦umax (16)
ここで、uminとumaxは操作量の上限値と下限値に対応する。この(16)式が操作量制約設定部73の制約条件式である。
従って、制約条件設定部7には上記(14)、(15)、(16)式の制約条件式が設定される。
本実施の形態は、上述した最適評価関数設定部8及び制約条件設定部7での設定を行った後に、プロセス情報を収集して制御を行う。計測されたプロセスデータと外部入力データは、プロセス計測データ収集部2及び外部入力計測データ収集部3のいずれかに格納される。
次に、プロセス計測データ収集部2は、本発明に直接的に関係する部分ではないので、その詳細な構成に対する図面を省略しているが、その概略説明をすることとする。このプロセス計測データ収集部2は、第1〜第7のデータ収集部からなっている。第1のデータ収集部は、硝酸センサ122によって計測された無酸素槽104の硝酸濃度データを収集する。第2のデータ収集部は、アンモニアセンサ121、124によって計測された第1好気槽103及び第2好気槽105のアンモニア濃度データを収集する。第3のデータ収集部は、硝酸センサ122によって計測された無酸素槽104の硝酸濃度データを収集する。第4のデータ収集部は、硝酸センサ122によって計測された無酸素槽104の硝酸濃度データを収集する。第5のデータ収集部は、MLSSセンサ123によって計測された無酸素槽104のMLSS濃度データを収集する。第6のデータ収集部は、リン酸センサ125によって計測された第2好気槽105のリン酸濃度データを収集する。第7のデータ収集部は、MLSSセンサ123によって計測された無酸素槽104のMLSS濃度データ、SSセンサ126によって計測された、最終沈澱池106から引き抜かれる汚泥のSS濃度データ、及び流量センサ127によって計測された、最終沈澱池106から引き抜かれる余剰汚泥量データを収集する。プロセス計測データ収集部2によって収集された計測データは、プロセスセンサ異常診断部4とローカル制御部10に送出される。
次に、プロセスセンサ異常診断部4では、プロセス計測データ収集部2が収集したプロセス値の時系列データに基づいて、プロセスセンサ121〜129、1210による計測値の異常診断を行う。この異常診断は、例えば、複数のセンサによる相関に基づく主成分分析などの統計的手法を利用した方法により行うことができる。
すなわち、プロセスセンサのうち、いくつかのものは非常に強い相関をもっている場合が多い。例えば、アンモニアセンサ124と、DOセンサ128と、ORPセンサ129とは互いに相関を持っている場合が多く、特に好気条件では相関が強いものとなる。そこで、これら3つの時系列データあるいは加工した時系列データに対して主成分分析を行う。すると、センサが正常である場合には、第1主成分の値が例えば0.9(第1〜第3主成分の総和は1)程度になっている。そこで、スレッシュホールドレベルとして、例えば、0.75を設定しておき、もし、第1主成分の値が0.75未満になっていたらいずれかのセンサが異常であると判断する。そして、例えば、センサが正常であればFB(フィードバック)のフラグを立て、センサが異常であればFF(フィードフォワード)のフラグを立ててセンサ状態を保存しておく。
また、プロセスセンサ異常診断部4は、プロセスセンサ状態がFBであり正常と判断した場合には、スイッチ部SW2の接点をd側に接続する。反対に、プロセスセンサ状態がFFであり異常と判断した場合には、スイッチ部SW2の接点をc側に切換接続する。
次に、外部入力センサ異常診断部5では、外部入力計測データ収集部3にて収集された流入下水水質や流入下水量の時系列データを用いてセンサ値の異常診断を行う。具体的な方法としては色々な方法が考えられるが、例えば、以下のように行う。例として流入下水水質のアンモニア濃度を取り上げる。
まず、流入下水水質のアンモニア濃度の典型値を調査しておく。通常、普通の都市下水であればアンモニア濃度の値は、15〜40[mg/L]程度である。そこで、アンモニア濃度の取り得る上限値及び下限値をそれぞれ設定する。例えば、下限値として10[mg/L]とし、上限値を40[mg/L]とする。
また、アンモニア濃度の変化の最大幅を予め設定しておく。例えば、10分周期で収集しているとして、10分間でのアンモニア濃度の最大変化率を10[mg/L]と設定しておく。さらに、アンモニア濃度の時系列データの自己相関関数を計算し、どのくらい過去のデータと現在のデータが相関を持っているかを調べておく。そして、例えば、相関係数が0.8(完全相関の場合に1とした場合)以上である時間のずれを見ておく。例えば、30分前までのデータは通常相関係数が0.8以上であったとする。これらの事前の調査に基づいて、アンモニアセンサの正常/異常を判断する。
そして、流入下水水質や流入下水量などの正常/異常を診断して、もし、下水流入センサ1211が正常であると判断した場合、外部入力センサ異常診断部5はスイッチ部SW1の接点をa側に接続し、外部入力計測データ収集部3が収集したデータをプロセス最適化部9のプロセスシミュレーション部91に入力する。一方、下水流入センサ1211を異常と判断した場合、外部入力センサ異常診断部5はスイッチ部SW1の接点をb側に切換接続し、手分析データ保存部6に保存されているデータをプロセス最適化部9のプロセスシミュレーション部91に入力する。手分析データ保存部6には、例えば、1日に1回分析されたCOD、アンモニア性窒素、リン酸性リンなどのデータが予め保存されている。
なお、下水流入センサ1211が正常であるか異常であるかの判断がつかないような場合には、正常か異常かを運転員や管理者が判断し、スイッチ部SW1を手動操作して外部入力計測データ収集部3又は手分析データ保存部6のいずれか一方の値を選択してプロセスシミュレーション部91に入力するようにする。
次に、プロセス最適化部9では、最適評価関数設定部8で設定した最適評価関数と、制約条件設定部7で設定した各種制約条件とに基づいて、プロセスの最適な目標値と最適な操作量を計算する。本発明では、この最適化問題の具体的な解を求めるアルゴリズムを提案する。
まず、最適化問題を形式的に書くと、以下のようになる。
Figure 0004327013
この最適化間題を解くことによって、最適目標値と最適操作量を計算することができる。前述したように、プロセスセンサ異常診断部4でプロセスセンサのいずれかが異常と診断された場合にはそれに対応する最適操作量を、そうでない場合には最適目標値を演算することが通常である。もっと柔軟に、時と場合に応じて、最適目標値と最適操作量を適切に使い分けて用いてもよい。
最適目標値の場合は、この最適化問題の答えを用いて、NO3−N,NH4−N,MLSS,PO4−P,A−SRTなどを計算すればよい。形式的に書くと、
Optimal Reference Set Points=argNO3−N、NH4−N、MLSS、PO4−P、A−SRT min Cost function subject to(Mass balance,Actuator limit,Output Limit)となる。
計算された最適目標値は、ローカル制御部10に渡され、ここにおいて、各種のアクチュエータの操作量が決定される。このローカル制御部10の作用については後述することとする。
一方、最適操作量は、この最適化問題の答えそのものであり、形式的に書くと、
Optimal Actuator Set Points=argQstep,Qb,Qpac,Qcb,Qcirc,Qret,Qwaste min Cost function subject to(Mass balance,Actuator limit,Output Limit)となる。
さて、本発明は、この最適化問題の近似的な大域的最適解をどのように求めればよいかという問いに関するものである。
一般に制約つきの最適化問題では、制約条件を満たしていない点(これを非実行可能解という)を初期値として解くと、制約条件を満たす最適な解を見つけることが困難になる。つまり、制約つき最適化問題では、最適解を求める前に全ての制約条件を満足する適当な解(これを実行可能解と言う)を求めておくことが好ましい。
さて、前述したように、本発明では、制約条件設定部7で各種の制約条件を設定しており、特に、保存量制約設定部71では、(14)式の等式制約条件として設定している。等式制約条件は、ある点(変数の組み合わせ)がその等式制約条件を満たしていても、その点のある変数の値が少しでもずれれば、もはやその等式条件を満たすことは稀であると言う意味で扱いにくい。この扱いにくさは、等式制約条件の等式の数が最適化すべき変数の数以下である場合には、その連立等式を解くことによって最適化すべき変数の数を減らすことにより回避できるように見えるが、ここでは、さらに、出力制約設定部72や操作量制約設定部73で不等式制約条件をも考慮しており、等式制約条件と不等式制約条件が混在している。等式制約条件を解いた答えが不等式制約条件を満たしている保証は無いため、このような変数消去の方法は簡単には適用できない。例えば、(14)式の等式制約条件を解いたとしても、全ての変数が正であるという不等式条件を満たしていることは稀である。従って、このような不等式制約条件と等式制約条件を同時に満たす実行可能解を、代数的に求めることはかなり難しいと考えられる。
しかし、本発明では、これらの制約条件が導き出されたアイデアの原点に戻れば、比較的容易にこの問題を回避できることを見出し、これを用いた最適化アルゴリズムを提案している。そのアイデアを以下に説明する。
(14)式の等式制約条件は、もともと、(13)式で表される下水処理プロセスのダイナミックモデル(動的マスバランスモデル)である微分方程式の定常解として得られたスタティックモデル(静的マスバランスモデル〉である。従って、この等式制約条件を満足するためには、(13)式のダイナミックモデルに一定値の操作量と外部入力を入力して、所定の期間に亘ってシミュレーションを行いその定常解を求めればよい。このような方法を用いることのもう1つのメリットは、実際にシミュレーションを行うため、現実のプロセスでとり得る操作量を入力すれば、その定常解も通常現実にあり得る値に収束する。従って、出力制約設定部72や操作量制約設定部73の制約条件も通常満足する。もし、満足しない場合には、入力する操作量を変更可能な範囲で変更して再びシミュレーションを繰り返せば、不等式を満足するようにできると思われる。従って、この方法によると、等式制約条件と不等式制約条件を同時に満足でき、実行可能解を求めることができる。
以上の基本的な考え方に従って、図2のフローチャートを用いて、プロセス最適化部9を中心とした、具体的な作用について説明する。
まず、ステップ101で、下水流入センサ1211によって計測され、外部入力計測データ収集部3で収集した流入下水のCOD、TN、TPなど複数の水質要素と水量データでなる流入下水水質のデータや流入下水量データを時系列データとして保持する。
次に、ステップ102にて、保持された時系列データに対して、所定の周期で平均化操作を行ったり、中央値を取り出したり、あるいは、最悪の負荷(流入下水量+流入下水水質)を想定して最大値を取り出すなど、時系列データを一点の代表値で代表させる。
次に、ステップ103で、最初沈澱池余剰汚泥引き抜きポンプ111と、ステップ流入ポンプ112と、第1好気槽103に酸素を供給するブロワ113、第2好気槽105に酸素を供給するブロワ114、無酸素槽104に炭素源を供給する炭素源投入ポンプ115、循環ポンプ116、返送汚泥ポンプ117、凝集剤投入ポンプ118、及び最終沈澱池余剰汚泥引き抜きポンプ119などの操作量を、各々操作可能な範囲内、つまり、(16)式を満足する範囲内の1つの値(固定値)に設定する。
次に、ステップ104では、設定した固定値の操作量と前述の代表値をプロセスシミュレーション部91の(13)式のようなプロセスモデルに入力し、所定の期間に亘ってプロセスシミュレーションを実施する。そして、その収束値を取り出す。ここで、この収束値は、(14)式の非線形代数方程式を満足していることに注意しておく。
次に、ステップ105で、収束値で得られた値、例えば、放流水質のTN(全窒素)濃度やTP(全リン)濃度やCOD濃度などを、出力制約設定部72における(15)式の水質の不等式制約に代入する。そして、ステップ106にて、この不等式を満足しているか否かをチェックする。もし、他の不等式制約、例えば、下水処理プロセスの必要A−SRTを確保するための不等式制約条件や沈殿池における必要水面積負荷を確保するための不等式制約条件などが制約条件として考慮されている場合には、それらの不等式制約条件が満たされているかどうかをチェックする。
もし、これらの不等式のうち1つでも制約条件を満たしていないものがあれば、ステップ107にて前述の操作量の値を変更する。これは、プロセスの挙動に対する事前知識があれば、比較的容易に変更することができる。例えば、放流水質のTNに関する制約条件が破れている場合には、第1好気槽103に酸素を供給するブロワ113、第2好気槽105に酸素を供給するブロワ114、炭素源を供給する炭素源投入ポンプ115などの硝化(アンモニア→硝酸)と脱窒(硝酸→窒素ガス)に関わる操作量の値を大きくすれば、TNが小さくなり制約条件を満たしやすくなることは容易に分かる。もし、そのような事前知識が無い場合には、操作可能な範囲で適当にその値を変更する。そして、再度この値をプロセスシミュレーション部91のプロセスモデルに入力してプロセスシミュレーションを行う。
逆に、もし全ての不等式制約条件を満たしている場合には、今までの計算手順から、すでに等式制約条件は満たしているので、制約条件設定部7の全ての制約条件を満たす。従って、この場合には、この値は最適演算部92で制約つきの最適化演算を行う場合の実行可能解になっているので、ステップ108で最適化演算の実行可能な初期値として採用する。
次に、ステップ109にて、最適演算部92はステップ108で求めた実行可能解を初期値として、例えば逐次二次計画法(Sequential Quadratic Programming:以下、SQPと略記する)などの非線形計画法を用いて、最適化演算を実施する。この場合初期値がすでに実行可能解に選ばれているため、これによって求まる解は少なくとも実行可能解になっており、その操作量付近の局所最適解である。なお、この初期値を例えば乱数で選ぶなどして非実行可能解とした場合には、SQPなどを実行しても実行可能解が求まることが少ないことに注意しておくべきである。
以上の手順によって、全ての制約条件を満たす局所最適解を求めることができる。しかし、非線形最適化問題のもう1つの難しさは、一般に最適化問題が数学的に非凸の問題であるため、SQPなどの数理計画法で求めた答えは必ずしも大域的な最適解で無いことである。
そこで、近似的に大域的最適解を求めるためのアルゴリズムを、図3と図4を用いて説明する。
まず、ステップ111にて、大域的最適解の最適値(=最小値〉とその最適値を与える最適変数を保存しておくためのメモリを用意する。そして、この最適値を現実にはあり得ない大きな値としておく。
次に、ステップ112で、操作量制約設定部73の制約条件を満たす範囲内で操作量を固定する。以降の説明を簡単にするため、図4を参照する。図4は、操作量として、第2好気槽105に酸素を供給するブロワ114の曝気量を横軸に、返送汚泥ポンプ117による返送量を縦軸にとって、(16)式に対応する最小値と最大値を各辺として、格子状に返送量と曝気量を区切ったものである。まず、この格子の端点、例えば、図4の「1」の点をまず操作量の固定値として決定する。次に、ステップ113にて、この操作量に対して、前述の局所最適解を求める手順で局所最適値を求める。
次に、ステップ114で、ステップ113にて求めた局所最適値と保存してあった最適値を比較する。もし、局所最適値の方が保存してあった最適値よりも小さければ、これを新たに最適値とみなして、対応する最適変数とともにメモリに確保した上で次のステップ116にて、局所最適解を新たに大域的最適解として置換する。もし、局所最適値の方が保存してあった最適値より大きければ何もしないで次のステップ115で次の操作量を決定してステップ113、114の手続きを実行する。すなわち、図4の格子点を1つずらして、例えば、「2」の地点に操作量を固定して同様の手続きを繰り返す。この場合の終了条件は、格子点が図の右端、最下部の「END」の地点に到達する場合であり、それまでは同様の手続きを繰り返す。次に、ステップ117にて、終了条件に到達したか否かを判定し、到達した時点でメモリに確保されている最適値と対応する最適変数を近似大域的最適解とみなす。
この最適解は、図4の格子点のとり方が粗ければもっと良い最適解が残されている可能性があるし、格子点の取り方が細かければ真の最適解である可能性が高い。ただし、格子点をあまり細かく取ると、計算時間がかかる上、全領域をシミュレーションで探索することと変わらなくなるので意味が無くなる。従って、この格子点の取り方は計算時間が許す範囲の細かさで区切るべきである。つまり、1回の局所探索にa時間を要したとして、計算時間をz時間以内に終わらせたい場合、操作量の数をn、格子点を構成するための各操作量の分割数をmとすると、a×m<zを満たすような最大のmを分割数とすればよい。また、図4では、返送量と曝気量の2変数を用いて説明したが、実際には全ての操作量に対する超立方体において格子点を取る必要がある。
さて、以上のような手順に従って求めた近似大域的最適解の中から、プロセスセンサ異常診断部4や外部入力センサ異常診断部5の診断結果が異常でなければ、例えば、無酸素槽104の硝酸濃度目標値や、第2好気槽105のアンモニア濃度目標値やリン酸濃度目標値などをローカル制御部10へ引き渡す。もしいずれかのセンサが異常であれば、少なくともそのセンサに対応する操作量については最適操作量を直接指定する。
このような手順に従って、プロセス最適化部7の最適化演算が実行される。
以上のような一連の動作に従って、プラントワイドな最適下水処理プロセス制御を具体的に実施することができる。
なお、プロセス最適化部9のプロセス最適化演算における近似大域的最適解を求めるアルゴリズムにおいて、もし、等式制約条件を必ず満足するプロセスシミュレーション収束値の中で、すべての不等式制約条件を満足する解が見つからない場合には、この最適化問題は解を持たない可能性が非常に高い。このような状況は、例えば、放流水質の規制値に対して流入下水水質負荷が極端に高い場合であったり、雨天などのように下水量の負荷が極端に高い場合に起こりうる。あるいは、極端な酸性物質などの反応阻害物質が流入したりする場合にも生じうる。このような場合には、運転そのものを変更する必要がある。
そのために、例えば下水処理プロセスの監視室の画面などに、以下のようなメッセージすなわち、「本プラントワイド最適制御装置は解を持たない可能性があります。下水流量あるいは下水流入水質の負荷が高いことなどが原因として考えられます。原因を確認のうえ、運転モードを切り替えてください。」のように表示することが好ましい。
また、同じくプロセス最適化部9のプロセス最適化演算における近似大域的最適解を求めるアルゴリズムにおいて、通常炭素源投入ポンプ115による炭素源量や最終沈澱池余剰汚泥引き抜きポンプ119による凝集剤投入量は、例えば曝気量、返送量、循環量などと比べて、極端に数値的に小さな値をとる。そのため、炭素源投入量や凝集剤投入量には、計算誤差の影響が相対的に大きく出やすくなる。そこで、これらの操作量を数値的に略同じ範囲内になるように変数変換をして計算することが好ましい。
次に、上述したアルゴリズムに従って求められた最適目標値に従って下水高度処理プロセス1のアクチュエータ111〜119を操作するローカル制御部10について説明する。このローカル制御部10は本発明に直接的に関係する部分ではないので、その詳細な構成に対する図面を省略しているが、第1ないし第7のローカル制御回路を備えている。ここで、○の中にn(n=1〜7)と記載されたものは第nのローカル制御回路の出力に対応している。
第1のローカル制御回路は、プロセス計測データ収集部2の第1のデータ収集部において収集され保持され硝酸濃度データを取り込むと同時に、プロセス最適化部9において計算された最適な硝酸濃度の目標値を取り込む。そして、これらの硝酸濃度データ及び最適な硝酸濃度目標値に基づいて最適なステップ流入量を計算してステップ流入ポンプ112の操作量として出力する。
第2のローカル制御回路は、プロセス計測データ収集部2の第2のデータ収集部において収集され保持されたアンモニア濃度データを取り込むと同時に、プロセス最適化部9において計算された最適なアンモニア濃度の目標値を取り込む。そして、これらのアンモニア濃度データ及び最適なアンモニア濃度目標値に基づいて第1好気槽103及び第2好気槽105における最適な曝気風量を計算してブロワ113及びブロワ114の操作量として出力する。
第3のローカル制御回路は、プロセス計測データ収集部2の第3のデータ収集部において収集され保持された硝酸濃度データを取り込むと同時に、プロセス最適化部9において計算された最適な硝酸濃度の目標値を取り込む。そして、これらの硝酸濃度データ及び最適な硝酸濃度の目標値に基づいて最適な炭素源投入量を計算して炭素源投入ポンプ115の操作量として出力する。
第4のローカル制御回路は、プロセス計測データ収集部2の第4のデータ収集部において収集され保持された硝酸濃度データを取り込むと同時に、プロセス最適化部9において計算された最適な硝酸濃度の目標値を取り込む。そして、これらの硝酸濃度データ及び最適な硝酸濃度の目標値に基づいて最適な循環量を計算して循環ポンプ116の操作量として出力する。
第5のローカル制御回路は、プロセス計測データ収集部2の第5のデータ収集部において収集され保持されたMLSS濃度データを取り込むと同時に、プロセス最適化部9において計算された最適なMLSS濃度の目標値を取り込む。そして、これらのMLSS濃度データ及び最適なMLSS濃度の目標値に基づいて最適な返送量を計算して返送汚泥ポンプ117の操作量として出力する。
第6のローカル制御回路は、プロセス計測データ収集部2の第6のデータ収集部において収集され保持されたリン酸濃度データを取り込むと同時に、プロセス最適化部9において計算された最適なリン酸濃度の目標値を取り込む。そして、これらのリン酸濃度データ及び最適なリン酸濃度の目標値に基づいて最適な凝集剤投入量を計算して凝集剤投入ポンプ118の操作量として出力する。
第7のローカル制御回路は、プロセス計測データ収集部2の第7のデータ収集部において収集され保持された第2好気槽105内のMLSS濃度データと、最終沈澱池106の引き抜き汚泥内のSS濃度データと、流量センサ127による引き抜き汚泥量データを取り込むと同時に、プロセス最適化部9において計算された最適なSRT(固形物滞留時間)あるいはA−SRT(好気槽の固形物滞留時間)を取り込む。そして、これらのMLSS濃度データ、SS濃度データ、及び引き抜き汚泥量データと、最適なSRTあるいはA−SRTの目標値に基づいて最適な余剰汚泥引き抜き量を計算して最終沈澱池余剰汚泥引き抜きポンプ119の操作量として出力する。
以上のような一連の動作に従って、プラントワイドな最適な下水処理プロセス制御を行うことができる。
〈第1の実施の形態の効果〉
以上の説明によって明らかなように、本発明に係るプラントワイド最適プロセス制御装置の第1の実施の形態によれば、プロセス最適化部を構成するプロセスシミュレーション部及び最適演算部のうち、プロセスシミュレーション部では最適演算部の1つ以上の実行可能初期解候補を求め、その中から制約条件設定部において設定されたすべての制約条件を満たす1つ以上の実行可能初期解候補を実行可能初期解として採用し、最適演算部では1つ以上の実行可能初期解を初期値とし、数理計画法によって局所最適解を1つ以上生成し、その中で評価関数を最適(最小)にする近似最適解として採用する、実現アルゴリズムを備えているので、プラントワイド最適プロセス制御装置を具体的に構築することが可能となる。
また、最適化演算における数値的誤差の取り扱いを正しく考慮することにより、プラントワイド最適プロセス制御装置の最適化演算の結果に信頼性を持たせることができる。
さらに、最適化演算で解が求まらない場合を逆に利用することによって、水質規制や操作量規制に対する制約条件を満足するような答えがありえないことを示し、プロセスの運転変更などの対策をアナウンスすることができる。
第2の実施の形態
〈第2の実施の形態の構成〉
第2の実施の形態は、図1中のプロセス最適化部9に、最適化の計算を高速化するアルゴリズムが組み込まれている点が第1の実施の形態と相違し、これ以外は全て図1と同一に構成されている。
〈第2の実施の形態の作用〉
以下、第2の実施の形態の作用について、特に、第1の実施の形態との関係と併せて、構成を異にする部分について説明する。
図5は、第1の実施の形態で説明したように、最適化の計算を行うプロセス最適化部9に組み込まれたアルゴリズムを要約したものである。図中(a)は、曝気風量(空気倍率)と返送量(返送率)を底面の軸に取り、その時の(1)式の評価値を縦軸に示したものであり、図中(b)は返送量と曝気量を格子状に区切った図4と同様なものである。この第1の実施の形態で行っていることは、基本的に以下の4つの操作である。
最初に、図5(b)の格子点である動作点を選択する。次に、その動作点に対するシミュレーションを行い探索する初期点を選ぶ。これは、図5(a)の評価値でいえば、ある格子点に対する縦軸の値(局面上の点)に探索の初期点を置いていることに相当する。次に、逐次二次計画法などの数理計画法を用いて、その局面上からそれより評価値の低い谷底に向かって探索する。この図5から容易に分かるように、最初の初期点をどこに置くかによって、最終的に到達する谷底(極小点=局所最適解)は異なる。
これを避けるために、第1の実施の形態は、図5(b)に示したような全ての格子点に対応する局面に初期点を置き、それらの初期点から得られる谷底(局所最適解)を全て求め、それらの値を比較することによって、最も小さい局所最適解を大域的な最適解とみなすという考えを具体的にアルゴリズム化したものであった。
しかし、図5から容易に推測されるように、このような探索の仕方は非効率である。計算時間に制約が無い場合には、このような方法も許容されるが、実際には、このようなプラントワイド最適プロセス制御装置は、オンラインで実行されるため、オンラインで実行可能な時間内に計算を行う必要がある。ここでは、簡単な試算を行うことによって、第1の実施の形態のような方法はオンラインで実施することがかなり困難であることを説明することとする。
1回の局所最適解を探索するために必要な計算時間を30秒とする(これは、実際に発明者が計算を行ったときのおおよその時間である)。操作量として、第1好気槽103に酸素を供給するブロワ113、第2好気槽105に酸素を供給するブロワ114、炭素源を供給する炭素源投入ポンプ115、循環ポンプ116、返送汚泥ポンプ117、凝集剤投入ポンプ118、及び最終沈澱池余剰汚泥引き抜きポンプ119の7つを考えてみる。そして、各々の操作量の上下限値の間に5個の点を取る。すると、図5(b)に対応する格子点は、5=78125個になる。従って、これらの格子点の全てを初期点として、近似大域的最適解を求めると、30×78125=2343750秒、すなわち、約27日の計算時間を要することになる。このことから、このプラントワイド最適プロセス制御装置を実際に実現するためには、近似大域的最適解を求めるための高速化手法が重要になることが分かる。
第2の実施の形態は、この高速化を目的としたものであり、そのために、メタヒューリスティックと呼ばれる発見的な探索手法を利用することを考える。特に、メタヒューリスティックの代表的な手法である遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithms:以下、GAと略記する)を用いて、以下にその作用を説明する。
GAでは、遺伝子列から成る個体を複数準備し、これらの個体を適合度と呼ばれる評価指標で評価し、この適合度の良い個体を生存させて、適合度の悪い個体を淘汰していくという戦略に法った発見的な最適化法である。GAの1つの特徴は、比較的高速な演算が可能であることである。
ここで、今回のプラントワイド最適プロセス制御装置の最適化演算にGAを利用するためには、まず、「個体」と「適合度」を定義する必要がある。そこで、ここでは、「個体=図5(b)の各格子点」とする。つまり、各格子点に相当する操作量の組み合わせを1つの個体とみなす。従って、複数の個体を用意するということは、複数の格子点を同時に考えるということである。次に「適合度」であるが、ここでは素直に適合度を(1)式の評価関数の値で評価することにする。
ただし、GAのアルゴリズムでは適合度は大きい方が良いとされることが普通であるので(適合度という言葉の意味を考えれば、そのように定義するのが自然である)、この言葉の意味に合わせるためには、適合度は(1)式の評価関数の値の逆数で評価した方が良いが、本質的にはどちらでも同じである(単に定義の問題である)。それよりも重要なことは、第2の実施の形態では、各格子点の操作量に対応する図5(a)の曲面上の点の値ではなく、各格子点の操作量に対応する図5(a)の曲面上の点を初期値としてSQPなどで求めた局所最小解の評価値を適合度として採用するという点である。
つまり、各個体(=各格子点に対応する操作量の組み合わせ)の適合度は、その格子点を初期解とした場合の局所最適解の評価値で評価する。このような対応付けをすることによって、第1の実施の形態で示したような局所最適解を求めるための途中の具体的なアルゴリズムとは独立にGAを適用することができる(GAによるヒューリスティックな大域的探索とある個体(=格子点に対応する操作量)に対する局所最適解を求める操作を切り離して議論できる)。
さて、このようにして、「個体」と「適合度」を定義すれば、通常のGAの処理に従って近似的な大域的最適解を求めることができる。GAの処理は、以下の一連の操作から成る。
Step1 初期個体の生成
Step2 各個体の適合度の評価
Step3 優秀な個体の選択(淘汰)
Step4 (必要ならば)個体の増殖
Step5 各個体同志の交叉による子の生成
Step6 突然変異による新しい個体の生成
Step7 終了条件になるまでStep2に戻る。
この一連の流れを具体化すればよい。
まず、Step1では、初期個体を生成しなければならないが、これにはいくつかの方法が考えられる。典型的な方法は図5(b)の各格子点に対して番号をつけておき、全ての番号を含む乱数を生成して複数の格子点を初期個体として選択することである。その他の簡単な方法は、なるべく全領域を探索するために、格子点のコーナーを初期個体として選択してやることである。いずれの方法でも良いし、他の別の方法でも良いが、複数の格子点を初期個体として生成する。
次に、Step2では各個体の適合度の評価であるが、これは第1の実施の形態における局所最適解を求めるアルゴリズムを適用すれば、その評価値あるいはその逆数で適合度を評価することができる。
次に、Step3では、Step2における適合度を利用すれば容易に優秀な個体を選択することができる。例えば、全ての個体の適合度を順に並べて適合度の高いものから順に、予め決めた数の個体を生存させ、その他の適合度の悪い個体を淘汰すればよい。あるいは、最も適合度の高い個体と比較した適合度の劣化度を評価してやり(劣化度=最良個体の適合度/対象個体の適合度)、例えば劣化度が2を超えるものは淘汰するというような選択のしかたもできる。なお、ここでは、各格子点に対応する局所最適解の評価値で適合度を評価しているため、異なる格子点に対する適合度が完全に一致する場合もある(同じ局所最適解に到達した場合には完全に一致する)ことに注意する。その場合には、同じ適合度を持つものは1つの個体を残して、残りを全て淘汰することにすることもできるし、全ての個体を残しておくということにすることもできる。前者の方法を採用した場合には、より個体の多様性を保つことができ、全く違う場所に存在するより良い解を発見するように動作するが、行き過ぎるとランダム探索と変わらなくなる。逆に後者の方法を採用した場合には、現在までに見つかったよい解の近くに解を求めるため、その解が本当に大域的最適解に近い場合には、より早く解を見つけることができるが、逆により良い解がある可能性を探索することを諦めているため、局所最適解から抜け出せないという問題もある。従って、これらのどちらを採用すればよいかは実際に試して試行錯誤するべきである。
次にStep4では、もしStep3で選択した個体数が少ない場合(例えば初期個体数の1/2未満になる場合)、選択された個体を複数コピーすることによって一定の個体数を保持するような操作を行う。
次に、Step5で交叉を行う。交叉の方法としては様々な方法が考えられる。例えば、各格子点を2進数でコード化しておき、選択された個体を2個づつ適当な方法でペアリングする。そして、図6に示すように、乱数で交差点を決定してペアリングされた2個体の前半部分のコードと後半部分のコードを入れ替えるといった通常の交叉方法を採用することができる。あるいは、各々の操作量の値を変えたく無い場合には、図6に示すように交叉する点を2進数でコード化された各操作量のつなぎ目のみに限定して交叉を行うようにすればよい。このような交叉を行うとペアリングされた親の形質を継承した子供が生成される。Step3で選択される親の数を初期個体の半分にしておけば、このように生成された子と併せて個体数を一定に保つことができる。
次に、非常に小さい確率で、2進化されたコードの1つのビットを反転するなどして、突然変異を行い、探索の多様性を保つようにする。
最後に終了条件を満たさない限り、Step2に戻ってこの操作を継続する。終了条件は、例えば、世代数(繰り返し数〉で設定する。
以上に説明したように、第2の実施の形態でGAを用いた探索手法は、概念的には、図7に示すように大域的最適解がありそうな付近のみを集中して探索し、他は探索をしないというものである。このように大域的最適解あるいはこれと評価値が非常に近い局所最適解の近傍を効率よく探索することができれば、どのような方法でもよい。メタヒューリスティックスの分野では、GA以外にも例えば免疫的アルゴリズムと言ったような手法が開発されている。これらの原理はそれぞれ少しづつ異なり、より高速な探索方法の開発が進んでいる。従って、図7に示したような集中的な探索が行えるより高速な探索方法があれば、これをGAの代わりに適用することは自然である。
〈第2の実施の形態の効果〉
かくして、第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果に加えて、プラントワイド最適プロセス制御装置の最適化演算を高速化することができ、この装置をオンラインで実施することができるようになる。
第3の実施の形態
〈第3の実施の形態の構成〉
プロセス制御系は、図1に示した第1の実施の形態と同一に構成され、プラントワイド最適プロセス制御装置は、プロセス最適化部9に、プロセスの現在の運転情報を取り込み、計算の簡略化と高速化を図っている点が第1の実施の形態と構成を異にしている。
〈第3の実施の形態の作用〉
以下、第3の実施の形態の作用について、上記の実施の形態と構成を異にするプロセス最適化部9について説明する。第1及び第2の実施の形態では、大域的な最適解を求めるために、格子状に区切った格子点(=運転点、動作点)の複数の点について局所最適解を求めて、それらを比較することによって、より大域的な最適解を求めようとするものであった。これらでは、実際のプロセスで運転されている操作量の情報を全く用いていない。これは、実際のプロセスで運転されている操作量が最適であるか否かなどは数学的には全く不明であり、数学的には、実際最適である可能性は低いため、このような情報を利用しないことは最適化の観点からは何ら不思議ではない。
しかし、「実際のプロセスの運転における操作量は、長年の経験に基づいて決定されているため、経験的にかなり良い運転になっており、最適ではなくても最適に近い運転がなされている可能性が高い」、「本発明では、最適な操作量は(1)式に基づいて決定することにしているが、実際のプロセスでは、(1)式の評価に含まれない実プロセスの諸条件を考慮して操作量が決められている場合が多い」などの理由により、現状の操作量を大幅に変更したく無いという場合も往々にしてある。
このような場合には、第1の実施の形態及び第2の実施の形態に示すように、可能性のある多くの領域を探索するよりも実際の運転条件の近くを探索した方が良い場合もある。そこで、探索の初期解として、まず、現状のプロセス運転における操作量を入力する。そして、プロセスシミュレーションを行い、その収束値を初期解としてSQPなどで局所探索を行う。これによって求まる局所最適解を用いて、最適目標値や最適操作量を供給する。
同様に、実際のプロセスでは、ある操作量の値は変更しても良いが、他の操作量は変更したく無いと言ったような状況になる場合がしばしばある。例えば、曝気風量などは大きく変更するが、返送量や循環量を大幅に変更することはあまり行わないといった下水処理場がある。このような場合には、返送量や循環量など変更を行いたくないものについては現状の操作量を固定値として与え、最適化すべき変数と見倣さない。そして、曝気風量など変更を行っても良い操作量と他の状態変数(水質など)を最適化すべき変数と見倣して最適化を行い、最適な目標値や最適な操作量を供給することができる。
〈第3の実施の形態の効果〉
かくして、第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果に加えて、以下の効果が得られる。
大域的な最適化をあきらめる代わりに、現状のプロセス運転状態をより改善することのできる実用的な最適解を提供することができる。同時に、あまりに急激な運転条件の変更を行わないため、プロセス運転員等に安心と信頼感を与えることができ、実際に利用される可能性が高い。
また、実際のプロセスの運転は、評価関数に現れない諸条件を考慮して適切な運転がなされていることが多いため、この運転条件の近傍に探索を制限することによって、結果的に、評価関数に現れない諸条件を考慮した最適化が達成されることが期待できる。
さらに、探索を1回しか行わず、また、最適化変数の数が減る場合もあるので、きわめて高速に計算ができ、オンラインでの適用が容易になる。
第4の実施の形態
〈第4の実施の形態の構成〉
プロセス制御系は、図1に示した第1の実施の形態と同一に構成され、プラントワイド最適プロセス制御装置は、プロセス最適化部9で、近似的な大域的最適化演算を行っているばかりでなく、その最適度を同時に評価している点が第1の実施の形態と構成を異にしている。
〈第4の実施の形態の作用〉
以下、第4の実施の形態の作用について、上記の実施の形態と構成を異にするプロセス最適化部9について説明する。
上記の各実施の形態は、実用的な最適化演算を行うことに主眼が置かれており、結果的に得られた近似最適解がどの程度最適であるかを定量的に見積もることをしていなかった。第1の実施の形態や第2の実施の形態では、近似的な大域的最適解を求めることを指向しているものの、格子点の区切り方やGAの探索繰り返し数などによっては、結果的に局所最適解に陥る可能性も残されていた。
この第4の実施の形態は最適解の最適性の評価を指向したものである。最適化問題では、解こうとしている最適化問題に対して、その緩和問題というものを考えることによって、図8に示すような最適解の下界を見積もることができる。上記の実施の形態で取り上げた下水処理プロセスモデルなどは、モノー式と呼ばれる分数型の非線形関数や双線形型の非線形関数を含んでいるが、これらに関する等式制約条件や不等式制約条件は、多項式型の非線形関数として表現することができる。このような多項式型の非線形関数を制約条件や目的関数に持つ最適化問題に対しては、半正定値緩和という方法がその下界を見積もるために有効であることが知られている。従って、上記の各実施の形態で示したように、最適化問題を具体的に実用的な方法で解くと同時にその半正定値緩和問題を同時に解いてその下界を同時に見積もれば、最大でどれくらいの誤差を持ちうる近似最適解であるかが同時に分かる。
また、この事実を利用すれば、第2の実施の形態で示したGAを用いた近似大域的最適解を求めるアルゴリズムをさらに高速化することが可能となる。GAでは、世代数(繰り返し回数〉を予め設定しておく場合が多いが、この下界を評価しておき、許容される誤差を予め設定しておけば、許容誤差に入った時点で繰り返し探索を打ち切ることができる。このようにすれば、許容できる範囲で近似的な大域的最適界をきわめて高速に探索することができる。
〈第4の実施の形態の効果〉
かくして、第4の実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果に加えて、以下の効果があげられる。
実用的な最適解を求めると同時にその到達しうる限界を評価することによって、求めた実用的な近似最適解の最適性を評価することができる。
また、最適性の限界を評価し、かつ許容誤差を設定することによって、近似的な大域的最適解探索をより効率よく高速化することができる。
第5の実施の形態
上述した各実施の形態は、1つの下水高度処理プロセス1に対応させてローカル制御部10が設けられ、さらに、このローカル制御部10の最適な目標値を供給するか、又は、アクチュエータ111〜119の最適操作量を直接計算するための制約条件設定部7、最適評価関数設定部8及びプロセス最適化部9を備えたが、下水高度処理プロセス1等の対象プロセスが複数存在し、これらの対象プロセスに対応させてローカル制御部10が複数設けられているとき、これらのローカル制御部10にそれぞれ供給する最適目標値、又は、アクチュエータ111〜119の最適操作量を直接計算するために処理能力の高い1つの上位側制御機器を設け、この上位側制御機器に複数のローカル制御部10の最適目標値又はアクチュエータの最適操作量を演算させ、データ伝送路で各ローカル制御部10又はアクチュエータ111〜119と接続する構成とすることもできる。
これによって、複数の対象プロセスに対して上位側制御機器を共通で活用することが可能となる。その結果、複数の対象プロセスに対してプラントワイド制御装置を複数備える場合に上位側制御機器の数量を削減することが可能となり、アプリケーション・プロバイダ・サービス(ASP)のように、各対象プロセスの制御を安価に導入することが可能となると言う効果も得られる。
第6の実施の形態
第5の実施の形態では、複数の対象プロセスに対して、制約条件設定部7、最適評価関数設定部8及びプロセス最適化部9の全ての機能を単一の上位側制御機器に持たせたが、これらの機能を複数の制御機器に分割し、これらの制御機器をデータ伝送路で接続する構成とすることもできる。
これによって、既存の制御機器の処理能力に余裕がある場合、その制御機器をデータ伝送路で接続することにより、上位側制御機器の機能を実現することができる。その結果、上位側制御機器として新たに制御機器を導入することなく、プラントワイド制御装置を導入することが可能となる。
本発明に係るプラントワイド最適プロセス制御装置の第1の実施の形態として、窒素及びリンの除去を目的とした下水高度処理プロセスを対象とする制御システムの構成を示すブロック図。 第1の実施の形態の作用を説明するために、物質量保存等式制約を持つ場合の局所最適解を求めるためのアルゴリズムを示したフローチャート。 第1の実施の形態の作用を説明するために、物質量保存等式制約を持つ場合の近似大域的最適解を求めるためのアルゴリズムを示したフローチャート。 第1の実施の形態の作用を説明するために、物質量保存等式制約を持つ場合の近似大域的最適解を求めるための手順を説明するための図。 本発明に係るプラントワイド最適プロセス制御装置の第2の実施の形態に関連する近似大域的最適解を求めるアルゴリズムの基本的な考え方を示した説明図。 第2の実施の形態の動作を説明するために、GAを用いた高速演算における交叉の考え方を説明した図。 第2の実施の形態の動作を説明するために、GAを用いた高速演算の高速化の原理の概念を説明した図。 本発明に係るプラントワイド最適プロセス制御装置の第4の実施の形態の動作を説明するために、最適化演算における最適値とその下界の関係を説明した図。
符号の説明
1 下水高度処理プロセス
2 プロセス計測データ収集部
3 外部入力計測データ収集部
4 プロセスセンサ異常診断部
5 外部入力センサ異常診断部
6 手分析データ保存部
7 制約条件設定部
8 最適評価関数設定部
9 プロセス最適化部
10 ローカル制御部
71 保存量制約設定部
72 出力制約設定部
73 操作量制約設定部
91 プロセスシミュレーション部
92 最適演算部
101 最初沈澱池
102 嫌気槽
103 第1好気槽
104 無酸素槽
105 第2好気槽
106 最終沈澱池
111 最初沈澱池余剰汚泥引き抜きポンプ
112 ステップ流入ポンプ
113,114 ブロワ
115 炭素源投入ポンプ
116 循環ポンプ
117 返送汚泥ポンプ
118 凝集剤投入ポンプ
119 最終沈澱池余剰汚泥引き抜きポンプ
121,124 アンモニアセンサ
122 硝酸センサ
123 MLSSセンサ
125 リン酸センサ
126 SSセンサ
127 流量センサ
128 DOセンサ
129 ORPセンサ
1210 放流下水センサ
1211 下水流入センサ

Claims (11)

  1. 流入する物質やエネルギーを外部入力とし、前記物質やエネルギーの流れの処理工程を対象プロセスとして、対象プロセスのいくつかの状態を計測することのできる少なくとも1つのプロセスセンサと、
    対象プロセスの状態を変化させることができる少なくとも1つのアクチュエータと、
    少なくとも前記外部入力の物質量やエネルギー量などの保存量の保存則に関する代数方程式で表される静的な制約条件を設定することのできる保存量制約設定部を含む制約条件設定部と、
    運転コストや複数の制御性能を評価できる評価関数を設定することのできる最適評価関数設定部と、
    前記プロセスセンサによって得られるプロセス計測値に基づいて、前記アクチュエータを動作させ、プロセスのダイナミックな変動を望ましい特性を持つように補償するローカル制御部と、
    前記制約条件設定部によって設定された制約条件を入力し、前記最適評価関数設定部で設定した評価関数に基づいて前記ローカル制御部の最適な目標値を供給するか、又は、前記アクチュエータの最適操作量を直接計算するプロセス最適化部と、
    を備えたプラントワイド最適プロセス制御装置において、
    前記プロセス最適化部は、前記保存量制約設定部で設定されるプロセスの定常状態モデルである代数方程式に対応するプロセスの動的モデルである微分方程式で表されるプロセスシミュレーション部と、最適化計算を行う最適演算部とを含んで構成され、
    前記プロセスシミュレーション部では、前記アクチュエータの操作量値をその操作量の操作範囲内で1つ以上生成して動的モデルに入力し、前記動的モデルの収束値を発生させることによって、前記制約条件設定部の物質量保存制約を満たす前記最適演算部の1つ以上の実行可能初期解候補を求め、前記実行可能初期解候補の中から、前記制約条件設定部において設定されたすべての制約条件を満たす1つ以上の実行可能初期解候補を実行可能初期解として採用し、前記最適演算部では、前記1つ以上の実行可能初期解を初期値として、数理計画法によって局所最適解を1つ以上生成し、その中で評価関数を最適にするものを近似最適解として採用する、アルゴリズムが組み込まれている、
    ことを特徴とするプラントワイド最適プロセス制御装置。
  2. 前記プロセス最適化部は、現れる操作量や状態変数などの最適化されるべき独立変数の取りうる範囲を略同じになるように正規化する、ことを特徴とする請求項1に記載のプラントワイド最適プロセス制御装置。
  3. 前記プロセス最適化部のプロセスシミュレーション部における実行可能初期解候補を発生させるための操作量値の組み合わせを遺伝子と見なし、遺伝子から前記最適演算部を通して計算される評価関数値あるいは評価関数値から変換される何らかの指標を適合度と見なして遺伝的アルゴリズムを併用する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のプラントワイド最適プロセス制御装置。
  4. 前記プロセス最適化部の遺伝的アルゴリズムの代わりに、免疫的アルゴリズム又はメタヒューリスティックスを適用する、ことを特徴とする請求項3に記載のプラントワイド最適プロセス制御装置。
  5. 前記プロセス最適化部のプロセスシミュレーション部における実行可能初期解候補を発生させるための操作量値の組み合わせとして、対象プロセスの計算時点における実際の操作量を採用する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のプラントワイド最適プロセス制御装置。
  6. 前記プロセス最適化部における最適化されるべき独立変数の中のいくつかを固定値と見なして最適化を行わず、残りの独立変数のみの最適化を行う、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のプラントワイド最適プロセス制御装置。
  7. 前記プロセス最適化部において、定式化した最適化問題の緩和問題を同時に解くことによって、最適値の下界を見積もる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のプラントワイド最適プロセス制御装置。
  8. 前記プロセス最適化部のプロセスシミュレーション部における実行可能初期解候補を発生させるための操作量値の組み合わせを遺伝子と見なし、遺伝子から前記最適演算部を通して計算される評価関数値あるいは評価関数値から変換される何らかの指標を適合度と見なして遺伝的アルゴリズムを併用し、
    前記プロセス最適化部において、定式化した最適化問題の緩和問題を同時に解くことによって、最適値の下界を見積もり、
    前記遺伝的アルゴリズムの終了条件を、近似最適解と最適解の下界の差に対してスレッシュホールドレベルを設けて、これに基づいて決定する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のプラントワイド最適プロセス制御装置。
  9. 実行可能初期解候補の中で実行可能解が1つも見つからなかった場合に、この最適化問題に解が無い可能性が高いことを提示するような機能を備えた、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のプラントワイド最適プロセス制御装置。
  10. 複数の対象プロセスにそれぞれ対応させて前記ローカル制御部を備え、前記制約条件設定部、最適評価関数設定部及びプロセス最適化部の各機能を単一の上位側制御機器に持たせた、この上位側制御機器と対応する要素をそれぞれデータ伝送路で接続した、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のプラントワイド最適プロセス制御装置。
  11. 前記制約条件設定、最適評価関数設定部及びプロセス最適化部の機能を複数の制御機器に分割し、これらの制御機器をデータ伝送路にて接続したことを特徴とする請求項10に記載のプラントワイド最適制御装置。
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