JP4324828B2 - ソーラーガス化炉 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、太陽エネルギーを用いて石炭等の燃料をガス化するソーラーガス化炉に関する。
【0002】
【従来の技術】
CO2 による地球温暖化を回避するために、砂漠地帯で豊富に得られる太陽エネルギーを効率的に利用できる太陽エネルギーの化学燃料化技術が求められている。この太陽エネルギーの化学燃料化技術は、(1)太陽エネルギーの高効率化学エネルギー転換を可能とする、(2)得られた化学エネルギーはグローバル輸送及び貯蔵を容易にする、(3)プロセス中で硫黄等の環境汚染物質を除去できる、(4)輸送コストとインフラ整備の面で導入の経済的障壁が小さい、等の優れた特徴を有している。
【0003】
かかる技術を確立するために、IEA(国際エネルギー機構)の中で、オーストラリア、ドイツ、イスラエル、ロシア、スペイン、スイス、米国等が参加した国際共同研究として、太陽エネルギーの化学エネルギー変換の研究が現在進められている。
【0004】
この研究の一環として、スイスでは、マグネタイトを2000℃付近の高温でウスタイトに分解する太陽/化学エネルギー変換系の研究が進められ、2000℃付近での反応を実現するために、集光ビームをギャビィティの大きい反応炉に導入し、そこにマグネタイト粒子を雲のごとく噴霧する流動床技術が開発・研究されている。また、アメリカとドイツの共同により、100kWの大口径集光太陽炉を用いて、メタンのCO2 リフォーミングによる研究で太陽/化学エネルギー変換技術が研究されている。
【0005】
図4は、太陽エネルギーを用いた石炭ガス化装置用の還元反応炉(以下、太陽光利用還元反応器)の模式図であり、(A)は粒子を垂直方向に落下させ、水平方向から太陽光を照射する還元反応炉、(B)は粒子でベッドを形成させそこに太陽光を照射する還元反応炉である。これらは、いずれもASMEレポートに報告されている("DEVELOPMENT OF SOLAR COAL GASIFICATION TECHNOLOGY", 1996.9.01, ASME REPORT)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図4に示した従来の太陽光利用還元反応器では、太陽光が当たるのは粒子の1列目或いは1層目のみであるため、2列目以降には十分に光が当たらず、広い照射面積が必要となるか、より多くの未反応粒子を循環させる必要がある問題点があった。
すなわち、太陽光を利用して化石燃料等を金属酸化物で還元する場合に、酸化・還元反応を十分に促進させるためには、各々の粒子に効率よく太陽光を照射させる必要があるが、従来の太陽光利用還元反応器では、各々の粒子自体によって太陽光が遮られてしまいその影に位置する粒子が反応せず、その結果、全体の粒子を効率的に反応させるためには大面積を必要としたり粒子循環を繰り返す必要があり、結果として反応効率が低く反応器が大型化する問題点があった。
【0007】
この問題点を解決するために、本願出願人は、先に、石炭と酸化物の混合粒子に光を照射して石炭の還元反応を起こさせる光化学反応炉と、前記石炭の還元反応で生じた還元物を水蒸気との反応により酸化物に戻し同時に水素を発生させる水素発生反応炉と、を備えた光利用還元反応器を創案し出願した(特開平10−279955号)。この発明は、石炭とマグネタイトの混合粒子に太陽光を照射して石炭の還元反応を起こさせる太陽熱化学反応炉と、前記石炭の還元反応で生じたウスタイトを水蒸気との反応によりマグネタイトに戻し同時に水素を発生させる水素発生反応炉とを備えたものである。
【0008】
上述した特開平10−279955号の光利用還元反応器により、粒子に効率よく太陽光を照射でき、これにより粒子の反応効率を高めて化石燃料等を効率的に還元することができる。
【0009】
しかし、特開平10−279955号の光利用還元反応器は、マグネタイト(Fe34)を媒体として石炭と水(H2O)を間接的に反応させ、合成ガス(CO,H2の混合ガス)を製造するため、マグネタイトを大量に循環させる必要があり、装置が大型になる問題点があった。
【0010】
本発明は、上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち本発明の目的は、太陽光を利用して化石燃料等を効率的に還元することができ、粒子に効率よく太陽光を照射でき、これにより粒子の反応効率を高め、かつマグネタイトを大量に循環させずに反応炉をコンパクト化できるソーラーガス化炉を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、内部に流動媒体を有し集光した太陽光(4)が照射される太陽光加熱室(12)と、内部に流動媒体(8)を有し水蒸気(7)と燃料(6)が供給されて互いに反応するガス化反応室(14)とを備え、前記太陽光加熱室(12)の流動層は、燃料を含む流動媒体を水蒸気を含まない流動化ガスで流動化させた下降流動層であり、前記ガス化反応室(14)の流動層は、燃料を含む流動媒体を水蒸気を含む流動化ガスで流動化させた上昇流動層であり、さらに、前記太陽光加熱室の下降流動層から前記ガス化反応室の上昇流動層に前記流動媒体を流入させるための下部連通口と、前記ガス化反応室の上昇流動層から前記太陽光加熱室の下降流動層に前記流動媒体を流入させるための上部連通口と、を備える、ことを特徴とするソーラーガス化炉が提供される。本発明の構成によれば、太陽光加熱室(12)とガス化反応室(14)の間を流動媒体(8)が循環するので、太陽光(4)が照射される太陽光加熱室で太陽光により流動媒体を加熱し、次いで加熱された流動媒体の熱により水蒸気(7)と燃料(6)がガス化反応室で反応して合成ガスを生成することができる。また、燃料(6)は、ガス化反応室(14)に供給されるので、加熱初期に発生するタールやボラタイルマターの太陽光加熱室(12)への流入を抑えることができ、太陽光加熱室(12)内をクリーンに保持することができる。
また、太陽光加熱室(12)の流動層は、水蒸気を含まない流動化ガスで空塔速度を低く抑え、ガス化反応室(14)の流動層は、水蒸気を含む流動化ガスで相対的に早い空塔速度とする。これにより、太陽光加熱室(12)の流動層を下降流動層、ガス化反応室(14)の流動層を上昇流動層とし、下降流動層の下部から上昇流動層に加熱された流動媒体が流入し、上昇流動層の上部から下降流動層に反応後の流動媒体が流入して循環させることができる。
【0014】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記太陽光加熱室(12)は、反射鏡等によって集光された太陽光を炉内へ導くと共に太陽光の密度を更に高める複合放物面鏡(13)を頂部に備える。この複合放物面鏡(13)により、太陽光を多数のヘリオスタットで反射し、次いで反射ミラーで反射して複合放物面鏡(CPC)の焦点に集光して、太陽光加熱室(12)の内部に下向きに照射することができる。
【0015】
さらに、太陽光を下向きに通すように前記複合放物面鏡(13)の頂部に気密に設けられた透過窓(13a)と、前記複合放物面鏡の内部にパージガスを流すパージ手段と、前記複合放物面鏡の外周部を冷却するための冷却水を流す冷却手段と、を備えることを特徴とする。
この透過窓(13a)により太陽光を効率よく下向きに照射し、かつ熱損失を防ぐことができる。また、パージガスのパージにより、太陽光加熱室(12)で発生する異物(タール、ボラタイルマター、粉塵等)による複合放物面鏡(13)及び透過窓(13a)の汚染を防ぐことができる。更に、複合放物面鏡の外周部を冷却水で冷却することにより、複合放物面鏡(CPC)の過熱を防ぎ、その性能低下を防止できる。
【0017】
前記太陽光加熱室(12)とガス化反応室(14)の下部に互いに仕切られた風箱(15a,15b)を有し、太陽光加熱室とガス化反応室が各々独立して流動化できる。この構成により、太陽光加熱室(12)の風箱(15a)から水蒸気を含まない流動化ガスを空塔速度を低く抑えて供給でき、ガス化反応室(14)の風箱(15b)から水蒸気を含む流動化ガスを相対的に早い空塔速度で供給することができ、太陽光加熱室とガス化反応室の間の流動媒体の循環を形成することができる。
【0018】
前記ガス化反応室(14)から反応後の生成ガスとともに飛散する燃料と流動媒体の混合物を生成ガスから分離するサイクロンセパレータ(22)と、分離された混合物をガス化反応室へ戻す循環配管(23)とを設ける。このサイクロンセパレータ(22)により、生成ガスに同伴される微粒子(燃料と流動媒体の混合物)を生成ガスから分離し、循環配管(23)を介してガス化反応室(14)に戻すことができ、生成ガス中の微粒子を低減し、かつガス化反応室での反応効率を高めることができる。
【0019】
前記流動媒体は、蓄熱機能に優れた固体粒子であるのがよい。例えば、熱の吸収率が高い黒色に近い珪砂等を流動媒体として用いることにより、流動媒体の蓄熱量を高め、ガス化効率を高めることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略する。
【0023】
図1は、本発明のソーラーガス化炉を備えたガス化設備の構成図である。この図は、反射タワー方式の集光システムを示しており、1はヘリオスタット、2はタワーに設けられた反射ミラー、10はソーラーガス化炉である。太陽光4は、多数のヘリオスタット1で反射し、次いで反射ミラー2で反射してソーラーガス化炉10に向けて集光され、その内部に下向きに照射されようになっている。この構成により、ソーラーガス化炉10の内部を1200℃以上の高温に加熱することができる。なお、本発明はかかる集光システムに限定されず、例えばフレネルレンズを用いた集光システムであってもよい。
【0024】
図2は、本発明のソーラーガス化炉の全体構成図であり、図3は、本発明のソーラーガス化炉の内部構成図である。図2及び図3に示すように、本発明のソーラーガス化炉10は、太陽光加熱室12とガス化反応室14とを備え、太陽光加熱室12とガス化反応室14の間を流動媒体8が循環する。流動媒体8(又は流動助剤)は、例えば流動層燃焼と同様の流動媒体、例えば珪砂を用いる。
【0025】
太陽光加熱室12は、複合放物面鏡13を頂部に備える。この複合放物面鏡13は、図1の反射鏡等1,2によって集光された太陽光4を放物面鏡の焦点に集光し、更に炉内へ導くと共に太陽光の密度を更に高めるようになっている。また、複合放物面鏡13の頂部に、太陽光を下向きに通すように上面に気密に設けられた透過窓13a(例えば石英ガラス)を備え、太陽光を効率よく下向きに照射し、かつ熱損失を防いでいる。更に、複合放物面鏡13の内部はパージガスがパージされ、このパージガスの下方流れにより、太陽光加熱室12で発生する異物(タール、ボラタイルマター、粉塵等)による複合放物面鏡13及び透過窓13aの汚染を防いでいる。また、複合放物面鏡13の外周部は冷却水で冷却され、複合放物面鏡(CPC)の過熱を防ぎ、その性能低下を防止している。
【0026】
太陽光加熱室12とガス化反応室14の下部には、互いに仕切られた風箱15a,15bが設けられる。図2に示すように、ガス化反応室14を出た合成ガスは、サイクロンセパレータ22を介してガス精製設備等に供給される。また、合成ガスの一部は、フィルター24で粉塵を除去した後、フアン25により太陽光加熱室12の風箱15aに供給される。このガスを一般に「循環ガス」と呼ぶ。循環ガスの主成分は、水素(H2)と一酸化炭素(CO)である。また、循環ガスに水蒸気を添加した混合ガスが、ガス化反応室14の風箱15bに供給される。
【0027】
太陽光加熱室12の内部には流動媒体8が充填され、風箱15aと太陽光加熱室12を仕切る隔壁には、ガスを通す分散板17aが設けられ、下方から流入する循環ガスにより、内部の流動媒体8を流動化させ、穏やかな流動層を形成する。
【0028】
同様に、ガス化反応室14の内部にも流動媒体8が充填され、風箱15bとガス化反応室14を仕切る隔壁には、ガスを通す分散板17bが設けられ、下方から流入する混合ガスにより、内部の流動媒体8を流動化させ、相対的に激しい流動層を形成する。
なお、図2において、26は流動媒体ホッパ、27は燃料ホッパであり、それぞれ、太陽光加熱室12とガス化反応室14に流動媒体と燃料を供給するようになっている。
【0029】
図3に示すように、太陽光加熱室12とガス化反応室14は、耐熱隔壁16により仕切られている。また、その上部と下部に互いに連通する上部連通口16a(オーバーフロー口)と下部連通口16bが設けられている。上述のように、太陽光加熱室12の流動層は穏やかであり、ガス化反応室14の流動層は相対的に激しいため、上部連通口16aから太陽光加熱室12に流動媒体8がオーバーフローし、下部連通口16bからガス化反応室14に流体と同様の圧力差により流動媒体が流入する。従って、太陽光加熱室12の流動層は、燃料を含む流動媒体8を水蒸気を含まない流動化ガス(循環ガス)で流動化させた下降流動層であり、ガス化反応室14の流動層は、燃料を含む流動媒体を水蒸気を含む流動化ガスで流動化させた上昇流動層となり、下降流動層の下部から上昇流動層に加熱された流動媒体が流入し、上昇流動層の上部から下降流動層に反応後の流動媒体が流入して循環する。燃料6には、主として石炭、コークス、等の炭素を主成分とする固体燃料を使用するが、廃棄物等についても炭素を主成分とする可燃物は使用できる。
【0030】
図3に示すように、燃料6はガス化反応室14に供給され、流動媒体8は必要に応じて太陽光加熱室12に供給される。太陽光加熱室12内の流動媒体8は、複合放物面鏡13で集光され、その内部に下向きに照射された太陽光によって、1000℃以上の高温に加熱される。この場合、太陽光加熱室12内の流動媒体8は、未反応の燃料6を含まず、かつ循環ガスにも水蒸気を含まないため、太陽光加熱室12内では、流動媒体8が単に加熱されるだけで、反応はほとんど生じない。従って、タール、ボラタイルマター、粉塵等の発生を最小限に抑え、複合放物面鏡13及び透過窓13aの汚染を防止できる。
【0031】
一方、ガス化反応室14に供給さた燃料6は、内部で加熱されてタール、ボラタイルマター等を発生するが、これらは短時間に熱分解してガス化し、生成ガスと共に排出される。この熱分解で残ったカーボンCは、太陽光加熱室12に供給されて、流動媒体8と共に高温に加熱され、ガス化反応室14の下部に供給される。ガス化反応室14の流動化ガスには、上述のように水蒸気を含んでいるので、ガス化反応室14で、C+H2O→CO+H2の反応により、水素を含む合成ガスを生成する。
【0032】
上述した流動媒体8に蓄熱機能に優れた固体粒子(例えば黒色に近い珪砂)を用いることにより、ガス化反応室での吸熱反応での温度低下を抑制し、ガス化反応を促進することができる。
また、流動媒体8に硫黄分を吸収する成分(例えばCaCO3)を添加し、燃料のガス化反応の際に副生する硫黄化合物(H2S)を、ガス化反応室内でH2S+CaO→CaS+H2Oの反応により、硫黄化合物をCaSの固体で回収し、硫黄分の少ない合成ガスを生成することができる。
更に、ガス化反応室の流動化ガスに酸素を含むガス(空気、酸素富化空気、純酸素等)を添加し、ガス化反応室で部分酸化反応を行い、ガス化反応に必要な熱の一部を燃料の発熱で供給することもできる。
【0033】
また、図2に示すように、この実施形態では、ガス化反応室14から反応後の生成ガスとともに飛散する燃料及び熱分解で残ったカーボンC、ならびに流動媒体の混合物を生成ガスから分離するサイクロンセパレータ22と、分離された混合物をガス化反応室へ戻す循環配管23とを備えており、サイクロンセパレータ22で生成ガスに同伴される微粒子(燃料及び熱分解で残ったカーボンC、ならびに流動媒体の混合物)を生成ガスから分離し、循環配管23を介してガス化反応室14に戻すことにより、生成ガス中の微粒子を低減し、かつガス化反応室での反応効率を高めるようになっている。
【0034】
上述したように、本発明のソーラーガス化炉は、太陽光を集光し、ガス化炉上部より炉内へ取り込み、その太陽光の熱によりカーボンのガス化(すなわち水蒸気改質反応)を行うことを特徴とする。また、太陽光の熱を効率よく石炭に伝えるための熱媒体を炉内に保有し、これを流動化ならびに炉内部での循環を行わせるための流動化ガス分散ノズル(分散板17a,17b)、隔壁16、燃料および流動媒体の供給ノズル、燃料の灰や未燃分および流動媒体の混合物、ならびに太陽光を流動層内部に供給する構造を有する。
【0035】
本発明は、マグネタイト等の酸化還元反応の媒体となる副原料を使用しないことを特徴とする。ただし、燃料(石炭等)のガス化反応を流動層で行うため、流動の安定化と太陽熱の伝熱を促進するため珪砂等の流動層燃焼等で一般的に使用される流動媒体(ベッド剤)を使用する。
一方、太陽光を効率よく反応物に照射するため、流動層内に仕切りを設け、燃料とベッド剤の混合物の流れを制御している。太陽光が入る中央の加熱ゾーンでは燃料とベッド剤の混合物が下降流となり、太陽光より効率よく熱を吸収させることができる。
【0036】
特開平10−279955号と同様の集光設備でガス化炉へ太陽光を導き、集光された太陽光はガス化炉の頂部よりCPCを介して炉内太陽光加熱室へ導かれる。太陽光加熱室では、太陽光によって燃料とベッド剤の混合物が加熱され、燃料の水蒸気改質反応に必要な温度(1000℃程度以上)となり、隔壁下部の開口部よりガス化反応室へ移動する。ガス化反応室へはガス分散ノズルより水蒸気を含んだガスが噴射され、石炭と水蒸気が反応して合成ガスが生成する。未反応の石炭とベッド剤は流動によって再び加熱ゾーンへ移動し、灰分は合成ガスとともに炉外へ排出され回収される。
【0037】
以下、本発明のソーラーガス化炉を更に詳細に説明する。
(炉の構造)
ソーラーガス化炉10は、耐火物内張り構造であり、下部に水蒸気や循環ガスを吹き込むための風箱15a,15bを有する。風箱15aは、内側に太陽光加熱室流動化用の循環ガスのみ吹き込む部屋であり、風箱15bは、その外側にガス化反応室流動化件改質反応用の水蒸気と循環ガスの混合ガスを吹き込む部屋である。風箱15a,15bとその上のガス化反応室14または太陽光加熱室12の間には分散板17a,17bを設け、その上側を燃料および流動媒体8が流動する。分散板17a,17bは、流動層内に流すが燃料や流動媒体が風箱へ落ちないような構造となっている。
流動層の空塔速度は、太陽光加熱室12では小さく、ガス化反応室14では比較的大きくし、太陽光加熱室12では、流動化助剤等が静かに流動化しながら少しずつ下向きに流れる。また、ガス化反応室14では、比較的早い空塔速度で燃料と流動媒体の混合物が水蒸気を含むガスと接触し、流動媒体に吸収された熱を消費しながらガス化(改質反応)が進行する。
【0038】
(炉内外での燃料および流動媒体の挙動)
燃料は、ガス化反応室へ供給され、ここで比較的早い空塔速度で流動化され、反応により微粒子化した燃料は、生成ガスに同伴して炉外へ持ち出され、外部に設けたサイクロンで粒径の大きいものはここで分離され炉へ戻される。細かい粒子は、サイクロンでは分離されず、更に下流に設けた高性能サイクロンまたはセラミックフィルタ等で分離され、灰として回収される。1段目のサイクロンの性能を適当に設定することで、灰として回収される微粒子中の未反応炭素分の割合を調整できる。
太陽光加熱室へ燃料を供給しない理由は、燃料が加熱されたときに発生するタールやボラタイルマターが複合放物面(CPC)の反射面を曇らせ、太陽光の反射率が低下することを防止する意味がある。
燃料を流動媒体より細かい粒径として供給し、ガス化反応室を比較的早い空塔速度で流動化することにより、燃料の大部分は生成ガスに同伴して炉外へ排出され、太陽光加熱室へオーバーフローで流れ込むのは、主として粒径の大きい流動媒体となるため、ここでの揮発分の発生は抑えられる。
なお、流動媒体、特に脱硫のため加えるCaCO3(炉内では熱分解してCaOとなっている)もCPCを曇る原因となるため、CPC保護の観点からCPCへは常時パージガスを供給し、粉体が内部に侵入するのを防止する。
【0039】
(流動媒体)
通常、流動層燃焼等では流動媒体として珪砂等の不活性無機物を使用する。本発明においても同様であるが、特に太陽光から熱を効率よく吸収する機能を持たせるため、色が黒いものが好ましい。
【0040】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【0041】
【発明の効果】
上述したように、本発明のソーラーガス化炉によれば、太陽光を利用して化石燃料等を効率的に還元することができ、粒子に効率よく太陽光を照射でき、これにより粒子の反応効率を高め、かつマグネタイトを大量に循環させずに反応炉をコンパクト化できる、等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のソーラーガス化炉を備えたガス化設備の構成図である。
【図2】本発明のソーラーガス化炉の全体構成図である。
【図3】本発明のソーラーガス化炉の内部構成図である。
【図4】従来の太陽光利用還元反応器の構成図である。
【符号の説明】
1 ヘリオスタット
2 タワーに設けられた反射ミラー
4 太陽光
6 燃料
7 水蒸気
8 流動媒体(流動化助剤、珪砂)
10 ソーラーガス化炉
12 太陽光加熱室
13 複合放物面鏡(CPC)
13a 透過窓(石英ガラス)
14 ガス化反応室
15a,15b 風箱
16 耐熱隔壁
16a 上部連通口(オーバーフロー口)
16b 下部連通口
17a,17b 分散板
22 サイクロンセパレータ
23 循環配管
24 フィルター
25 フアン
26 流動媒体ホッパ
27 燃料ホッパ

Claims (6)

  1. 内部に流動媒体を有し集光した太陽光(4)が照射される太陽光加熱室(12)と、
    内部に流動媒体(8)を有し水蒸気(7)と燃料(6)が供給されて互いに反応するガス化反応室(14)とを備え、
    前記太陽光加熱室(12)の流動層は、燃料を含む流動媒体を水蒸気を含まない流動化ガスで流動化させた下降流動層であり、前記ガス化反応室(14)の流動層は、燃料を含む流動媒体を水蒸気を含む流動化ガスで流動化させた上昇流動層であり、
    さらに、前記太陽光加熱室の下降流動層から前記ガス化反応室の上昇流動層に前記流動媒体を流入させるための下部連通口と、前記ガス化反応室の上昇流動層から前記太陽光加熱室の下降流動層に前記流動媒体を流入させるための上部連通口と、を備える、ことを特徴とするソーラーガス化炉。
  2. 前記太陽光加熱室(12)は、反射鏡等によって集光された太陽光を炉内へ導くと共に太陽光の密度を更に高める複合放物面鏡(13)を頂部に備える、ことを特徴とする請求項記載のソーラーガス化炉。
  3. さらに、太陽光を下向きに通すように前記複合放物面鏡(13)の頂部に気密に設けられた透過窓(13a)と、
    前記複合放物面鏡の内部にパージガスを流すパージ手段と、
    前記複合放物面鏡の外周部を冷却するための冷却水を流す冷却手段と、を備えることを特徴とする請求項に記載のソーラーガス化炉。
  4. 前記太陽光加熱室(12)とガス化反応室(14)の下部に互いに仕切られた風箱(15a,15b)を有する、ことを特徴とする請求項記載のソーラーガス化炉。
  5. 前記ガス化反応室(14)から反応後の生成ガスとともに飛散する燃料と流動媒体の混合物を生成ガスから分離するサイクロンセパレータ(22)と、分離された混合物をガス化反応室へ戻す循環配管(23)とを設けた、ことを特徴とする請求項記載のソーラーガス化炉。
  6. 前記流動媒体は蓄熱機能に優れた固体粒子である、ことを特徴とする請求項記載のソーラーガス化炉。
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