JP4324417B2 - 画像処理装置および画像処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像処理装置および画像処理方法に係り、特に、一般化ハフ変換を用いて画像データから対象物を検出する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、一般化ハフ変換やパターンマッチングといった画像処理技術を用いて、画像データから対象物を検出する画像処理装置が実用化されている(例えば、特許文献1および2参照)。一般化ハフ変換では、例えば、画像データに空間微分を施すことにより、画像の二値化が行われる。この二値化に応じて、画像データの中から、対象物の特徴を示す画素(例えば、輪郭線上の画素)がそれぞれ抽出される。抽出されたそれぞれの画素について、一般化ハフ変換を用いて、それぞれの次元が異なる投票パラメータ(回転角、倍率、基準位置(画像データによって規定される画像平面における二次元的な位置))を規定する四次元投票空間への投票が行われる。そして、この四次元投票空間において、投票数のピークを特定することにより、画像データ上のある基準位置に、所定の回転角および倍率で線形写像された対象物が存在すると推定される。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−91914号公報
【特許文献2】
特開平1−233578号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
投票処理に用いられる投票空間は、通常、単一の投票空間が用いられる。この投票空間において、それぞれの次元におけるスケールを密に設定した場合には、対象物を高い分解能で検出することができる反面、投票点が投票空間内にばらつき易く、明確なピークが表れ難い。そのため、対象物の検出精度が低下してしまう。そこで、ピークが明確となるように、投票数を増やすことも考えられるが、処理時間が増大するという不都合が生じる。一方、それぞれの次元におけるスケールを疎に設定した場合、明確なピークが表われやすくなる反面、分解能が低くなり、対象物の検出精度が低下してしまう。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、一般化ハフ変換において、処理時間の増加を抑制しつつ、対象物の検出精度の向上を図ることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために、第1の発明は、画像データから対象物を検出する画像処理装置において、画像データを構成する画素の輝度値に基づいて、投票対象となる画素を抽出する処理部と、抽出された画素について、一般化ハフ変換を用いて、少なくとも第1の投票空間と第2の投票空間とに投票を行う投票部と、第1の投票空間の投票結果と第2の投票空間の投票結果とに基づいて、対象物を検出する検出部とを有する画像処理装置を提供する。この画像処理装置において、第1の投票空間と第2の投票空間とは、少なくとも、スケールの分解能が高い第1の次元と、第1の次元よりもスケールの分解能が低い第2の次元とで構成されているとともに、スケールの分解能的に互いに補完関係にある。
【0007】
ここで、第1の発明において、第1の投票空間および第2の投票空間の一方においてスケールの分解能が高い次元は、第1の投票空間および第2の投票空間の他方においてスケールの分解能が低いことが好ましい。また、検出部は、第1の投票空間における第1の次元の投票結果と、第2の投票空間における第1の次元の投票結果とに基づいて、対象物を検出することが好ましい。さらに、処理部は、投票対象となる画素の数が所定の上限値となるように、画素の抽出を行うことが好ましい。
【0008】
また、第2の発明は、画像データから対象物を検出する画像処理方法を提供する。この画像処理方法は、第1のステップとして、画像データを構成する画素の輝度値に基づいて、投票対象となる画素を抽出する。第2のステップとして、抽出された画素について、一般化ハフ変換を用いて、少なくとも第1の投票空間と第2の投票空間とに投票を行う。第3のステップとして、第1の投票空間の投票結果と第2の投票空間の投票結果とに基づいて、対象物を検出する。ここで、第1の投票空間と第2の投票空間とは、少なくとも、スケールの分解能が高い第1の次元と、第1の次元よりもスケールの分解能が低い第2の次元とで構成されているとともに、スケールの分解能的に互いに補完関係にある。
【0009】
ここで、第2の発明は、第1の投票空間および第2の投票空間の一方においてスケールの分解能が高い次元は、第1の投票空間および第2の投票空間の他方においてスケールの分解能が低いことが好ましい。また、第3のステップは、第1の投票空間における第1の次元の投票結果と、第2の投票空間における第1の次元の投票結果とに基づいて、対象物を検出するステップであることが好ましい。さらに、第1のステップは、投票対象となる画素の数が所定の上限値となるように、画素の抽出を行うステップであることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、本実施形態にかかる画像処理装置1のシステム構成を示すブロック図である。この画像処理装置1は、一例として、ヘリコプターなどの飛行体に搭載され、地上の景色を撮像することにより得られた画像データから、地面に描かれたヘリポートの接地帯標識を検出する。接地帯標識には、アルファベットの「H」のパターンと、このHを囲む「円」のパターンとが用いられるという知得に基づき、画像処理装置1は、一般化ハフ変換を用いて、画像データから円を検出する。
【0011】
まず、一般化ハフ変換の概念について説明し、その後に、画像処理装置1のシステム構成およびシステム処理について説明する。一般化ハフ変換は、画像データから線分を検出するハフ変換を拡張し、画像データからある自由度を有する対象物(例えば、楕円や任意の形状を有するパターン)を検出する手法である。一般化ハフ変換では、対象物を検出する前提として、このパターンとほぼ同一形状を有する基準物を参照して、テンプレートテーブルが作成される。
【0012】
図2は、基準物を示す概念図である。テンプレートテーブルは、基準物を撮像することにより得られた画像データに基づいて作成される。具体的には、画像データによって規定される二次元的な画像平面において、基準物上の適当な位置に(例えば、重心位置に)、基準点Rg(Xg,Yg)が設定される。つぎに、この画像データにおいて、輪郭線(所謂、エッジライン)のような基準物の特徴を示す画素点Fj(以下、「特徴点」という)が抽出される。この特徴点Fjは、画像の濃度を二値化することにより基準物と背景とを区別したり、空間微分を施すことによりエッジラインと他の部分とを区別したりすることにより、抽出可能である。これ以外にも、細線化処理などを施すことにより、1画素幅の輪郭線としてエッジラインを抽出することもできる。
【0013】
そして、抽出されたそれぞれの特徴点Fjについて、以下に示す(1)〜(4)の処理が行われる。
(1) 特徴点Fjのグラジエント方向に基づいて、特徴点Fjにおけるエッジラインの接線方向θjを算出する。
(2) 特徴点Fjにおけるエッジラインの接線と、特徴点Fjおよび基準点Rgの間を結ぶ直線とがなす角φjを算出する。
(3) 特徴点Fjと基準点Rjとの間の距離rjを算出する。
(4) (1)〜(3)において算出された値θj,φj,rjを組にして、メモリ内のテンプレートテーブルに格納する。
【0014】
これらの(1)〜(4)の処理により、基準物をモデル表現したテンプレートテーブルが作成される。ここで、グラジエントは、画像の明るさの微分(すなわち、ある画素における隣接画素との輝度の変化率)であり、大きさと方向とを有するベクトルで定義される。このベクトルは、微分値に応じた大きさを有し、その方向は明部と暗部との境界線(エッジラインの接戦方向)に垂直で、明部から暗部に向かう。グラジエントの方向は、一般に、このベクトルと画像の水平方向(x軸方向)とのなす角で表される。
【0015】
図3は、入力画像の一例を示した図である。テンプレートテーブルが作成されると、カメラ等から入力された画像データから対象物の検出が行われる。対象物が入力画像に写し出されている場合、この入力画像におけるエッジラインは対象物を示している可能性が高い。そのため、まず、この入力画像においてエッジラインが検出され、このエッジライン上の画素(x,y)が入力画像ベースの特徴点Fiとして抽出される。そして、この入力画像ベースのそれぞれの特徴点Fiについて、一般化ハフ変換を用いて、以下の(a)〜(g)の処理が行われる(投票処理)。
(a) 回転角θr、倍率Sを設定する。
(b) 特徴点Fiのグラジエント方向に基づいて、この特徴点Fiにおけるエッジラインの接線方向θiを算出する。
(c) テンプレートテーブルを参照して、基準物ベースの特徴点Fjに関する接線方向θjの中から、接線方向θiと回転角θrとの加算値に近い値を探索する。
(d) テンプレートテーブルを参照して、探索された接線方向θjに対応する値(rj,φj)を特定する。
(e) (c)および(d)で得られたθj,rj,φjに基づいて、以下に示す数式1を用いて基準点の候補Rc(xc,yc)を算出する。
【数1】
xc=x+rj・S・cos(θj+φj) ・・・ (1)
yc=y+rj・S・sin(θj+φj) ・・・ (2)
(f) それぞれが所定のスケールで正規化された、回転角θr、倍率S、基準点xc,ycの四次元投票空間に、(a)および(e)で得られた値θr,S,xc,ycが投票され、投票点(θr,S,xc,yc)が含まれるサブ空間(四次元の各々のスケールによって画定される空間)の投票数をインクリメントする。
(g)回転角θrおよび倍率Sを所定の刻み値だけ変化させながら、(a)〜(f)の処理を繰り返し行う。
【0016】
このような処理を入力画像ベースの特徴点Fiのすべてについて行った場合、四次元投票空間において、あるサブ空間の投票数に極大点(ピーク)が生じる。そして、所定のしきい値を超えて極大点となるサブ空間が投票空間の中から特定される。これにより、特定されたサブ空間の代表値(例えば、平均値θr’,S’,xc’,yc’)に基づき、基準点が入力画像中の位置(xc’,yc’)に存在し、回転角θr’および倍率S’で線形写像された基準物が存在すると推定される(対象物検出)。
【0017】
再び図1を参照して、画像処理装置1のシステム構成について説明する。カメラ2は、例えば、ヘリコプターの機体下部に取り付けられており、機体真下の地上の景色を撮像する。このカメラ2には、イメージセンサ(例えば、CCDまたはCMOSセンサ等)が内蔵されている。カメラ2から出力されたアナログ画像は、A/Dコンバータ3により、所定の輝度階調(例えば、256階調のグレースケール)のデジタル画像に変換される。このディジタル化された画像データは、各画素の輝度値(0〜255)の集合である。ここで、画像データによって規定される画像平面は、x−y座標系で表現され、画像の左下隅を原点として、水平方向をx座標軸、垂直方向をy座標軸とする。一フレーム相当の画像データは、後段の画像データメモリ4に格納される。
【0018】
マイクロコンピュータ5は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェース等で構成されているが、これを機能的に捉えた場合、処理部6と、投票部7と、検出部8と、制御部9とを有する。処理部6は、出力された画像データを構成する画素の輝度値に基づいて、投票対象となる画素、すなわち、エッジライン上の特徴点Fiの抽出を行う。これとともに、特徴点Fiについて、グラジエントの計算が行われる。投票部7は、この特徴点Fiについて、所定次元の投票空間への投票を行う。本実施形態の特徴の一つは、投票空間を複数用意し、これらの投票空間にそれぞれ投票を行う点にあるが、その詳細については後述する。そして、検出部8は、複数の投票空間の投票結果に基づいて、画像データから接地帯標識(具体的には、円のパターン)を検出する。制御部9は、検出結果に基づいて、ヘリコプターの真下位置と、接地帯標識の位置とのずれが大きな場合には、スピーカー等の警報装置14を作動させてヘリコプターのオペレータに対して注意喚起を促す。また、必要に応じて表示装置を制御することにより、カメラ2によって写し出された画像データを表示させたり、検出された円のパターンを画像データに重ね合わせて表示する。
【0019】
図4は、本実施形態にかかる画像処理の手順を示したフローチャートである。このフローチャートに示すルーチンは、所定間隔毎に呼び出され、マイクロコンピュータ5によって実行される。
【0020】
まず、ステップ1において、処理部6は、画像データメモリ4から画像データを読み込む。図5は、ヘリポートの接地帯標識が写し出された画像データ(入力画像)を示した二次元平面図である。接地帯標識は、白線または黄線で地面上に描かれているため、画像の性質として、接地帯標識が最も明るくなり、地面がそれよりも暗くなる。なお、同図では、便宜上、画像の明るい部分が黒色で示されており、それよりも暗い部分が白色で示されている。
【0021】
ステップ2において、処理部6は、読み込まれた画像データについて、画像データを構成する画素の輝度値に基づいて、投票対象となる画素(特徴点Fi)の抽出を行う。この抽出処理では、例えば、二値化処理、空間微分、細線化処理などの手法を用い、対象物の特徴を示す特徴点Fiが抽出される。具体的には、画像データに上下方向の微分フィルターをかけることにより(所謂、空間微分)、二値化処理が行われる。画像データを構成するそれぞれの画素は、所定のしきい値を基準に、微分値(絶対値)がしきい値以下と判断された場合には「0」に変換され、この微分値がしきい値よりも大きいと判断された場合には「1」に変換される。微分フィルターをかけた場合、隣接画素との輝度の差が大きな画素程、微分値(絶対値)が大きくなる。そのため、接地帯標識と地面との境界などのエッジライン上の画素が「1」に変換され、他の画素が「0」に変換される。図6は、二値化された画像データを示した二次元平面図である。同図では、「1」に変換された画素が黒色で示されており、「0」に変換された画素が白色で示されている。この二値化によって「1」に変換された画素、すなわち、対象物のエッジラインを示す画素が、投票対象となる画素(特徴点Fi)として抽出される。
【0022】
このような二値化を行う前提として、処理部6は、微分値(絶対値)の大きな上位X個の画素が「1」に変換されるように、上記のしきい値を設定している。この値Xは投票処理の投票数に対応する関係上、この値を大きく設定した場合には、処理時間を増加させるものの、円検出の精度向上を図ることができる。一方、値Xを小さく設定した場合には、円検出の精度を低下させるものの、処理時間を短縮させることができる。そのため、この値Xは、設計段階などにおいて、処理時間と検出精度との両者の関係を考慮した上で、適切な値となるように予め設定されている。
【0023】
ステップ3において、特徴点Fiについてグラジエントの方向が算出される。グラジエントを示すベクトルの角度は、周知の手法により、一義的に算出することができる。そして、特徴点Fiについて、投票処理が行われる(ステップ4)。画像データから円を検出する場合、特徴点Fiのグラジエントの方向は、原則として、円の中心に向かう。また、円の対称性より、基準点を円の中心に設定することで、テンプレートテーブルを必要とせずに、投票処理を行うことができる。円検出の場合には、それぞれの特徴点Fiを処理対象として、(i)〜(iv)が行われる。
(i) 半径rを設定する。
(ii) 数式2を用いて、円の中心の候補(xc,yc)を算出する。
【数2】
xc=x−rcosθi
yc=y−rsinθi
(iii) 算出された半径xc,yc、および半径rを、後述する複数の投票空間にそれぞれ投票する。
(iv) 半径rを所定の刻み値だけ変化させ、(i)〜(iii)の処理を繰り返し行う。
【0024】
ここで、数式2において、θiは、特徴点Fjのグラジエント方向に基づいて算出される、特徴点Fiにおけるエッジラインの接線方向である。
【0025】
図7は、投票空間の概念図である。同図には、例示的に、2つの投票空間A,Bがそれぞれ示されている。通常、一般化ハフ変換の投票処理は、四次元投票空間を用いて行われる。しかしながら、円検出の場合、円の対称性より、回転角θrを考慮する必要がないので、投票空間は、三次元投票空間を用いることができる。そのため、投票空間A,Bは、L,M,Nの3つの投票パラメータを規定する三次元投票空間でそれぞれ構成される。ここで、次元Lはその投票パラメータとして円の半径(倍率)、次元M,Nはその投票パラメータとして円の中心(基準点)xc,ycをそれぞれ示しており、それぞれの次元は分解能に応じたスケールが設定されている。
【0026】
それぞれの投票空間A,Bは、少なくとも、スケールの分解能が高い次元と、この次元よりもスケールの分解能が低い次元とで構成されているとともに、この投票空間Aと投票空間Bとは、スケールの分解能的に互いに補完関係にある。具体的には、これらの投票空間A,Bの一方において(本実施形態では、投票空間A)、次元M,Nはそのスケールが高い分解能に設定されており、次元Lはそのスケールが次元M,Nよりも低い分解能に設定されている。例えば、次元M(または次元N)が、「0,1,2,3,4,・・・」という1刻みのスケールで正規化されている場合には、次元Lは、「0,2,4,6,・・・」という2刻みのスケールで正規化されているといった如くである。なお、次元Lのスケールを極端に粗くした場合には、投票空間Aは、実質的にM,Nの二次元の投票空間となる。これに対して、これらの投票空間A,Bの他方において(投票空間B)、次元Lはそのスケールが高い分解能に設定されており、次元M,Nはそのスケールが次元Lよりも低い分解能に設定されている。
【0027】
このようなスケールの分解能的に相互補完の関係にある投票空間A,Bは、投票空間A,Bの一方において、スケールの分解能が高い次元は、他方の投票空間において、スケールの分解能が低くなる。例えば、投票空間Aにおいて、スケールの分解能が高い次元M(または次元N)は、投票空間Bにおいて、スケールの分解能が低くなる。また、相互補完の関係により、投票空間Bにおいて、スケールの分解能が高い次元Lは、投票空間Aにおいて、スケールの分解能が低くなる。
【0028】
なお、本明細書において、スケールの分解能が高いという表現は、絶対的な分解能のレベルを意味するものではなく、各次元間の相対的な分解能の高低を意味している。そのため、高い分解能で円検出を行う場合には、基準となる高い分解能に設定されたスケールの分解能は、絶対的に高い分解能となり、低い分解能で円検出を行う場合には、基準となる高い分解能に設定されたスケールの分解能は、絶対的に低くなる。なお、以下、スケールの分解能が高い次元を「密の次元」といい、このスケールよりも分解能が低い次元を「疎の次元」という。
【0029】
ステップ5において、検出部8は、投票空間Aにおいて、密の次元(次元M,N)に注目して、この投票数がピークとなる投票点から、円の中心(xc,yc)を特定する。また、検出部8は、投票空間Bにおいて、特定された円の中心(xc,yc)を参照した上で、密の次元(次元L)の投票数がピークとなる投票点から、円の半径rを特定する。そして、画像平面において、半径r、中心位置(xc,yc)の円が存在すると推定され、この推定された円が接地帯標識として検出される。換言すれば、この検出部8は、投票空間Aにおける密の次元(次元Mおよび次元N)の投票結果と、投票空間Bにおける密の次元(次元L)の投票結果とに基づいて、対象物を検出している。
【0030】
このように、本実施形態によれば、一般化ハフ変換における投票処理が、投票空間A,Bを用いて行われる。分解能的に相互補完の関係にある投票空間A,Bでは、投票空間Aにおいて、次元M,Nが密の次元となり、次元Lが疎の次元となり、投票空間Bにおいて、次元Lが密の次元となり、次元M,Nが疎の次元となる。これにより、投票空間Aでは、次元Lのスケールの分解能が低く、次元Lにおける投票点の分散が抑制されるため、投票点の空間的なばらつきが少なくなる。そのため、次元M,Nのピークが特定しやすくなるという効果を奏する。また、一方の投票空間Bでは、投票空間Aとは逆に、次元M,Nのスケールの分解能が低く、次元M,Nにおける投票点の分散が抑制されるため、投票点の空間的なばらつきが少なくなる。そのため、次元Lのピークが特定しやすくなるという効果を奏する。これにより、分解能的に相互補完の関係にある投票空間A,Bのピークを合成することにより、あたかも三次元とも密の次元に設定した投票空間を用いたかのように、高い分解能で円を検出することができる。また、複数の投票空間を用いることにより、投票数を増やす必要がないので、処理時間の増加を抑制することができる。
【0031】
また、本実施形態では、投票空間を2個用意しているが、これらの投票空間には並列的に投票処理を行うことができるので、処理時間の増大を抑制することができる。また、二値化される一方の上限値を定めることで、投票数をコントルールすることができるので、投票処理の時間を短縮することができる。
【0032】
なお、本実施形態では、2つの投票空間を用意しているが、本発明はこれに限定されない。この投票空間の最大数は、投票空間を構成する次元の数だけ用意することができる。例えば、三次元投票空間であれば、投票空間は最大で3つ用意することができる。図8は、3つの三次元投票空間を示す説明図である。このケースでも、各々の投票空間C〜Eは、少なくとも、密の次元と疎の次元とから構成されており、分解能的な補完関係にある。具体的には、投票空間C,Dについて、投票空間Cにおいて密となる次元Nは投票空間Dにおいて疎となり、投票空間Dにおいて密となる次元Lは投票空間Cにおいて疎となる。また、投票空間C,Eについて、投票空間Cにおいて密となる次元Nは投票空間Eにおいて疎となり、投票空間Eにおいて密となる次元Mは投票空間Cにおいて疎となる。さらに、投票空間E,Dについても、これらの関係と同様に、分解能的な補完関係にある。このように、互いに分解能的に補完関係にある3つの投票空間を用るケースでも、上述した実施形態と同様、投票点の空間的な分散が抑制されるため、ある次元のピークを容易に特定することができる。また、これらの投票空間が補完関係にあるため、それぞれの投票空間において、全次元のピークを検出することができる。
【0033】
また、本実施形態は、三次元投票空間のみならず、一般的ハフ変換の基本形である四次元投票空間にも適用可能である。例えば、投票空間を2つだけ用意し、一方の投票空間では、回転角θr,倍率Sの次元を疎に設定し、基準点xc,ycの次元を密に設定し、他方の投票空間では、回転角θr,倍率Sの次元を密に設定し、基準点xc,ycの次元を疎に設定するといった如くである。また、ハフ変換を用いて円検出を行ったが、検出される対象物は円に限定されず、楕円などの任意の形状を有するパターンの検出に適用することができる。なお、本実施形態は、投票空間に空間的な広がりを有する三次元以上の投票空間に好適な手法であるが、直線検出のハフ変換に本実施形態を適用してもよい。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、一般化ハフ変換を用いた投票処理が、少なくとも2つの投票空間を用いて行われる。これらの投票空間では、少なくとも、スケールの分解能が高い次元と、この次元よりも分解能が低い次元とで構成される。また、これらの投票空間では、スケールの分解能が互いに補完関係となっている。そのため、ある投票空間において、疎の次元において、投票点の分散が抑制されるため、投票点の空間的な分散を抑制できる。そのため、密の次元におけるピークが特定しやすくなるという効果を奏する。そして、これらの投票空間の投票結果に基づいて、ピークを特定することにより、高い分解能で対象物を検出することができる。また、投票数を増加させることなく高い分解能で検出を行うことができるので、処理時間の増加を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態にかかる画像処理装置のシステム構成を示すブロック図
【図2】基準物を示す概念図
【図3】入力画像の一例を示す図
【図4】本実施形態にかかる画像処理の手順を示したフローチャート
【図5】ヘリポートの接地帯標識が写し出された画像データを示した二次元平面図
【図6】二値化された画像データを示した二次元平面図
【図7】投票空間の概念図
【図8】3つの三次元投票空間を示す説明図
【符号の説明】
1 画像処理装置
2 カメラ
3 A/Dコンバータ
4 画像データメモリ
5 マイクロコンピュータ
6 処理部
7 投票部
8 検出部
9 制御部
10 警報装置
11 表示装置
Claims (8)
- 画像データから対象物を検出する画像処理装置において、
前記画像データを構成する画素の輝度値に基づいて、投票対象となる画素を抽出する処理部と、
前記抽出された画素について、一般化ハフ変換を用いて、少なくとも第1の投票空間と第2の投票空間とに投票を行う投票部と、
前記第1の投票空間の投票結果と前記第2の投票空間の投票結果とに基づいて、前記対象物を検出する検出部とを有し、
前記第1の投票空間と前記第2の投票空間とは、少なくとも、スケールの分解能が高い第1の次元と、当該第1の次元よりもスケールの分解能が低い第2の次元とで構成されているとともに、前記スケールの分解能的に互いに補完関係にあることを特徴とする画像処理装置。 - 前記第1の投票空間および前記第2の投票空間の一方において前記スケールの分解能が高い次元は、前記第1の投票空間および前記第2の投票空間の他方において前記スケールの分解能が低いことを特徴とする請求項1に記載された画像処理装置。
- 前記検出部は、前記第1の投票空間における前記第1の次元の投票結果と、前記第2の投票空間における前記第1の次元の投票結果とに基づいて、前記対象物を検出することを特徴とする請求項1または2に記載された画像処理装置。
- 前記処理部は、前記投票対象となる画素の数が所定の上限値となるように、前記画素の抽出を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載された画像処理装置。
- 画像データから対象物を検出する画像処理方法において、
前記画像データを構成する画素の輝度値に基づいて、投票対象となる画素を抽出する第1のステップと、
前記抽出された画素について、一般化ハフ変換を用いて、少なくとも第1の投票空間と第2の投票空間とに投票を行う第2のステップと、
前記第1の投票空間の投票結果と前記第2の投票空間の投票結果とに基づいて、前記対象物を検出する第3のステップとを有し、
前記第1の投票空間と前記第2の投票空間とは、少なくとも、スケールの分解能が高い第1の次元と、当該第1の次元よりもスケールの分解能が低い第2の次元とで構成されているとともに、前記スケールの分解能的に互いに補完関係にあることを特徴とする画像処理方法。 - 前記第1の投票空間および前記第2の投票空間の一方において前記スケールの分解能が高い次元は、前記第1の投票空間および前記第2の投票空間の他方において前記スケールの分解能が低いことを特徴とする請求項5に記載された画像処理方法。
- 前記第3のステップは、前記第1の投票空間における前記第1の次元の投票結果と、前記第2の投票空間における前記第1の次元の投票結果とに基づいて、前記対象物を検出するステップであることを特徴とする請求項5または6に記載された画像処理方法。
- 前記第1のステップは、前記投票対象となる画素の数が所定の上限値となるように、前記画素の抽出を行うステップであることを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載された画像処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003199151A JP4324417B2 (ja) | 2003-07-18 | 2003-07-18 | 画像処理装置および画像処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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