JP4323778B2 - 被削性に優れる鋼の製造方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車や一般機械などに用いられる鋼に関するものであり、切削時の工具寿命と切削表面粗さおよび切り屑処理性に優れた被削性に優れた鋼の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般機械や自動車は多種の部品を組み合わせて製造されているが、その部品は要求精度と製造効率の観点から、多くの場合、切削工程を経て製造されている。その際、コスト低減と生産能率の向上が求められ、鋼にも被削性の向上が求められている。特に従来SUM23やSUM24Lは被削性を重要視して開発されてきた。これまで被削性を向上させるためにS,Pbなどの被削性向上元素を添加するのが有効であることが知られている。しかし、需要家によってはPbは環境負荷として使用を避ける場合も有り、その使用量を低減する方向にある。
【0003】
これまでもPbを添加しない場合にはSのようにMnSのような切削環境下で軟質となる介在物を形成して被削性、特に工具寿命を向上させる手法が使われている。しかし切削工具寿命については製造能率等に直接的に影響するため、注目されがちであるが、被削性の中でも技術的難易度の高いのは表面粗さであり、表面粗さについては、被削材の本質的な性質に影響されるため、表面粗さを従来鋼以上にすることは困難であった。この表面粗さは部品の性能に直結するため、表面粗さの劣化は部品性能の低下や製品製造時の不良率の増加の原因となり、工具寿命よりも重要視される場合が多い。この意味で従来の鉛快削鋼は優れており、単なる硫黄快削鋼に比べ、工具寿命のみならず、表面粗さが優れているために、部品性能の低下を防ぐために多用されてきた。
【0004】
表面粗さを向上させるための鋼に関する技術では、一般にはPb,Biのような快削元素を添加することが多いが、それ以外では、例えば、特許文献1にみられるようにMnS介在物の平均サイズが50μm2 以下に微細化させることで表面粗さを確保するもの、フェライトマトリックス中に、平均断面積:5〜30μm2 の黒鉛を0.20〜1.0%有することを特徴とする工具寿命と仕上げ面粗さの優れた黒鉛快削鋼などが見られる。しかし、これらの手法でも従来の鉛快削鋼以上の表面粗さを得ることは困難であり、いわゆる低炭鉛快削鋼SUM24Lが従来から表面粗さに優れている。その理由はこれらの規定での介在物の微細分散レベルは平均径で3μm程度の粒子を取り扱っているにすぎず、その均一分散が不十分であるため、構成刃先が生じ易くなり、従来の鉛快削鋼ほどには表面粗さが改善できないものと推定される。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−345951号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、低炭快削鋼の範囲において、従来の知見とは全く異なる観点からの技術を導入することにより圧延や熱間鍛造における不具合を避けつつ工具寿命と表面粗さの両者を改善し、従来の低炭硫黄快削鋼SUM23と同等以上の被削性、特に表面粗さの良好な鋼を得るための製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
切削は切り屑を分離する破壊現象であり、それを促進させることが一つのポイントとなる。特に良好な表面粗さを得るためには、マトリックスを脆化させることで破壊を容易にして工具寿命を延長するとともに、鋼中の不均一を極力抑制することで、ミクロ的にも安定した破壊現象を生じさせ、切削表面の凹凸を抑制した。具体的には鋼中パーライトの分布に着目し、鋼中Cを微細なパーライト(厳密にはセメンタイト)として均一分散させることで安定した破壊を生じさせることで、凹凸の少ない切削表面を創成させ、またそれを可能とするための製造方法を提供する。
【0008】
本発明は上記知見に基づいてなされたものであって、その要旨は次のとおりである。
【0009】
(1)質量%で、C:0.03〜0.075%、Si:0.003〜0.5%、Mn:0.92〜2%、P:0.001〜0.2%、S:0.03〜1.0%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼を熱間圧延し、その後の冷却過程において、鋼のA3点以上の温度から0.5℃/sec以上の冷却速度にて550℃以下まで冷却することにより、鋼のミクロ組織において粒径1μmを超えるパーライト粒の占める面積率を5%以下にし、残部組織をフェライト−パーライト又はフェライトにすることを特徴とする被削性に優れる鋼の製造方法。
【0010】
(2)前記冷却を施した後、次いで行われる硬度調整のための加熱温度を750℃以下に制限することを特徴とする(1)記載の被削性に優れる鋼の製造方法。
【0011】
(3)前記鋼が、質量%で、さらに、Cr:0.01〜2%,V:0.01〜1.0%,Nb:0.005〜0.2%,Mo:0.01〜1.0%,W:0.05〜1.0%,Ni:0.05〜2.0%,Ti:0.005〜0.2%,B:0.0005〜0.02%のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする(1)または(2)記載の被削性に優れる鋼の製造方法。
(4)前記鋼が、質量%で、さらに、Ca:0.0002〜0.01%, Zr:0.0005〜0.1%,Mg:0.0003〜0.01%,Al:0.001〜0.1%,Te:0.0003〜0.2%, total−N:0.001〜0.02%, total−O:0.0005〜0.035%のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかの項に記載の被削性に優れる鋼の製造方法。
(5)前記鋼が、質量%で、さらに、Zn:0.0005〜0.5%,Sn:0.005〜2.0%,Cu:0.01〜2.0%,Bi:0.005〜0.5%,Pb:0.01〜0.5%のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかの項に記載の被削性に優れる鋼の製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
先ず、本発明で規定する鋼成分組成について説明する。なお、鋼成分組成は何れも質量%である。
【0013】
Cは、鋼材の基本強度と鋼中の酸素量に関係するので被削性に大きな影響を及ぼす。Cを多量に添加して強度を高めると被削性を低下させるのでその上限を0.2%とした。一方、被削性を低下させる硬質酸化物の生成を防止しつつ、凝固過程でのピンホール等の高温での固溶酸素の弊害を抑制するため、酸素量を適量に制御する必要がある。単純に吹錬によってC量を低減させすぎるとコストが嵩むだけでなく、鋼中酸素量が多量に残留してピンホール等の不具合の原因となる。従って、ピンホール等の不具合を容易に防止できるC量0.03%を下限とした。また、これ以上の低C化は延性が高くなりすぎドリル寿命を低下させることにもなる。
【0014】
Sは、Mnと結合してMnS介在物として存在する。MnSは被削性を向上させるが、伸延したMnSは鍛造時の異方性を生じる原因の一つである。粗大なMnSは避けるべきであるが、被削性向上の観点からは多量の添加が好ましく、しかもMnSを微細分散させることが好ましい。被削性向上には0.03%以上の添加が必要である。一方、1.0%を越えると粗大MnSの生成が避けられないだけでなく、FeS等による鋳造特性、熱間変形特性の劣化から製造中に割れを生じるので、1.0%を上限とした。
【0015】
なお、MnSとは、純粋なMnSのみならず、MnSを主体に含み、Fe,Ca,Ti,Zr,Mg,REM等の硫化物がMnSと固溶したり結合して共存している介在物や、MnTeのようにS以外の元素がMnと化合物を形成してMnSと固溶・結合して共存している介在物や、酸化物を核として析出した上記介在物が含まれるものであり、化学式では、(Mn,X)(S,Y)(ここで、X:Mn以外の硫化物形成元素、Y:S以外でMnと結合する元素)として表記できるMn硫化物系介在物を総称して言うものである。
【0016】
本鋼種は低Cであり、低合金鋼のレベルで合金元素を添加しても大きく硬度が上昇し、被削性を低下させることはない。むしろ、焼入れ性を向上させ、また、粗大パーライトの生成を抑制できる元素として、Mn:0.92〜2%を添加するものとし、さらに必要に応じて、Cr:0.01〜2%,V:0.01〜1.0%,Nb:0.005〜0.2%,Mo:0.01〜1.0%,W:0.05〜1.0%,Ni:0.05〜2.0%,Ti:0.005〜0.2%,B:0.0005〜0.02%のうちの1種または2種以上を添加することができる。
【0017】
さらに、酸化物の軟質化技術や硫化物の形態制御技術とも組み合わせることができ、Si:0.003〜0.5%を添加するものとし、さらに必要に応じて、Ca:0.0002〜0.01%, Zr:0.0005〜0.1%,Mg:0.0003〜0.01%,Al:0.001〜0.1%,Te:0.0003〜0.2%, total−N:0.001〜0.02%, total−O:0.0005〜0.035%のうちの1種または2種以上を添加してもよい。
【0018】
さらに被削性をより向上させるために、P:0.001〜0.2%を添加するものとし、さらに必要に応じて、Zn:0.0005〜0.5%,Sn:0.005〜2.0%,Cu:0.01〜2.0%,Bi:0.005〜0.5%,Pb:0.01〜0.5%のうちの1種または2種以上を添加することも可能である。
【0019】
次に、本発明において、パーライト面積率を5%以下とした理由について説明する。
【0020】
切削表面粗さに工具への構成刃先の生成挙動が大きく影響する。本来、力学的には切削工具直上が最も材料にとって過酷な環境であり、材料の破壊/分離が生じ易いと考えられるので、構成刃先の付着はないはずであるが、実際には工具/被削材間の強力な凝着と被削材の組織不均一のために構成刃先が生じる。そこで材料のミクロ組織の均質性を極力増すことが重要と考えた。その結果、本発明者はこれまで殆ど関係がないと考えられていたパーライト分布がミクロ組織の均質性に大きく関係することを見出した。
【0021】
ここで、パーライトとは鏡面研磨面にナイタールエッチングを施して黒く見える組織を指す。パーライトとは厳密にはフェライトと板状セメンタイトが交互に並んで構成された群を指すが、光学顕微鏡では恰かも一つの結晶粒のように見える。さらに、図1に示すように、通常の圧延・放冷による製造ではこのパーライト粒がバンド状に並んで析出する(以後これをパーライトバンドと記す)。このパーライトはマトリックスの単相フェライトとは機械的性質が異なるため、刃先近傍での変形破断を不均一化し、さらには構成刃先の成長を助長すると考えられる。
【0022】
そこで、鋼成分または熱履歴を調整することで、粒径1μm以上のパーライト粒に関して、測定視野4mm2 の観察視野におけるパーライト面積率を抑制して良好な表面粗さを得られる臨界領域を調査したところ、表面粗さの劣化を抑制するには粒径1μm以上のパーライト粒の占める面積率が5%以下であることが判明した。図2にパーライト面積率と表面粗さの関係を示した。
【0023】
図6に示すように、本発明による快削鋼はこの黒く見える組織が極端に少ないことが分かる。本発明においては、炭化物はパーライト(換言すれば板状セメンタイトとフェライトによる縞状組織)ではなく、セメンタイト粒の形態を取っている可能性も否定できない。しかし、ここではそのような鉄系炭化物を総称してパーライトと記すことにする。
【0024】
次に本発明による快削鋼の製造方法について説明する。
[熱履歴焼入れ:A3 点以上の温度から550℃以下まで0.5℃/s]
本発明においては、熱延後の熱履歴として、熱延後A3 点以上の温度から550℃以下までを0.5℃/sec 以上の冷却速度で冷却することが重要である。
【0025】
従来、いわゆる低炭快削鋼に対して急冷することは行われていなかった。低炭快削鋼はC量が少ないため、焼入しても硬度変化が少ない。従って従来の「焼入れ焼戻し」による強度/靱性に影響も無く、快削鋼には必要ないと言う固定観念に囚われていたためと考えられる。しかし切削の本質に立ち返って考えて材質の均質性を追求した場合、A3 点から急冷することで鋼中Cの移動を凍結し、空冷時の変態で生じる粗大なセメンタイトさらにはパーライトの生成を抑制できればよい。この場合、焼入れによる硬化が目的ではないため、たとえマルテンサイト構造を有する焼入れ組織にならなくとも、鋼中Cの移動を凍結し、粗大なセメンタイトまたはパーライトの生成を阻止できれば良い。そのためには図3に示すようにA3 点から550℃以下まで0.5℃/sec 以上の速度で冷却する必要がある。焼入れ性向上元素の少ない場合などでは、1℃/s以上の冷却速度が好ましい。冷却後の温度が550℃を超えていたり、冷却速度が0.5℃/sec よりも遅い場合のは粗大なパーライトを生じる。一般にはバンド状に析出しパーライトバンドと呼ばれることも多い。当然、合金元素がステンレス鋼のように多量に添加されていると、冷却速度が0.5℃/sec より遅くともパーライトバンドは生じないが、ここでは一般の快削鋼を想定しているため、0.5℃/sec と規定した。
【0026】
次に、本発明においては、上述した急冷処理に引続き、750℃以下の温度で保定する熱処理を施すことにより、更に快削鋼の組織を均質化することができる。
【0027】
実製造工程ではさらに製品の安定性を増すためにはC量が少ないとはいえ、鋼中の硬度ばらつきを小さくする方が好ましい。そのため、再度高温で保持することで、材質ばらつきを減少させることができる。まず粗大パーライトを抑制するためにはA3 点以上の温度から粗大パーライトを生じなくなる550℃以下まで急冷温することが重要である。その上で、さらに図4に示すように再度、所定の温度T2 ℃に保定することで、需要家要求を満たす硬度に調整し、硬度ばらつきも減少させることができる。750℃以下の温度まで加熱および補定することで、需要家の要求を満たす硬度になるよう調整する。
【0028】
保定温度T2 ℃に関して、この保定温度と保定時間は需要家の要求を満たす硬度になるよう決定すべきである。ただし、保定温度T2 ℃が750℃を超えるとオーステナイトへの変態が始まるので、再度の冷却時の冷却速度が遅いとパーライトバンドを生じてしまう。したがって保定温度T2 ℃は750℃以下とした。さらに後工程で伸線等の二次加工を加えられることも多いため、それら後工程の取り扱いに適する硬度になるよう温度T2 ℃を調整することが好ましい。その保定時間に関しては工業生産的には3分以下でほとんど保定なしの場合にくらべて、硬度等が変化しないので、これ以上とするのが好ましい。
【0029】
なお工業生産上は圧延や鍛造寸法などにより、鋼内部でも温度の不均一を生じるため、粗大パーライト防止のための急冷後の550℃以下の温度T1 ℃での保定時間も考慮すべきである。急冷後の550℃以下の温度T1 ℃では好ましくは5分以上保定することで、素材寸法や偏析帯に関係なく、均一なフェライト変態を促進できる。このようにすれば、その後、保定温度T2 ℃(≦750℃)まで温度を上げても粗大パーライトやパーライトバンドを生じることはない。逆に、圧延や鍛造後の寸法が大きな場合には550℃以下での保持時間が、1分より短いと内部の変態が終了していないため、その後550℃以上の温度で保持した場合には粗大パーライトやパーライトバンドが生成する。
【0030】
【実施例】
本発明の効果を実施例によって説明する。
【0031】
表1、表2に示す供試材は一部は270t転炉で溶製後、連続鋳造およびビレットに分塊圧延、さらにφ50mmに圧延した。他は2t真空溶解炉にて溶製、圧延した。表1に示す実施例材料の被削性を表面粗さとドリル穿孔特性で評価したドリル穿孔特性は工具寿命の指標である。実施例2,10,13,17は請求項1に相当し、φ20mmに圧延され、圧延直後の冷却前に圧延ラインの後端にある水槽に直接投入するいわゆるインライン熱処理を施した。その急冷後には特に熱処理を施さなかったため、保定温度T1、保定時間L1、保定温度T2、保定時間L2の表記はない。実施例5,20,24,27,29は、A3 点以上の温度から500℃の鉛槽に投入した例である。また、保定時間L1が「600分以上」の実施例は現実的には保定温度T1で10hr以上放置された実施例であり、表2に示す実施例34以降の比較例では実質焼準処理を本定義によって表現したものであり、室温まで放冷された後、放置されていることを示す。
【0032】
保定温度T1、保定時間L1、保定温度L2、保定時間L2のすべてを表記してある実施例はφ20mmに圧延され、圧延直後の冷却前に圧延ラインの後端にある水槽に直接投入するいわゆるインライン熱処理を施した後、さらに所定の温度で焼戻しを施した実施例である。
【0033】
ここで保定時間L1を明記したのは図4に示すようにパーライトが生成しにくい温度(550℃以下)まで十分に鋼材が冷却されるように制御したことを示すためである。冷却後、さらに保定温度L2および保定時間L2を制御することにより鋼材の硬さを切削加工や伸線加工に好ましい硬さに調整できる。
【0034】
このように、手法は異なるものの本発明の請求項に示す熱処理をオンラインおよびオフラインのバッチ処理で実施した。
【0035】
表面粗さは突切工具によって工具形状を転写する、表3に示すいわゆるプランジ切削によって評価した。その実験方法の概要を図5に示す。実験では200溝加工した場合の表面粗さを測定した。
【0036】
プランジ切削とは図5のように突切り工具により繰り返し溝加工を行う切削方法のことで、本実施例ではその溝の底面について試験片長手方向に触針式粗さ計の触針を移動させることで、溝断面の粗さプロファイルを測定し、表面粗さを評価した。
【0037】
工具寿命評価として行ったドリル穿孔試験条件を表4に示す。累積穴深さ1000mmまで切削可能な最高の切削速度(いわゆるLV1000)で被削性を評価した。
【0038】
類似の化学成分で熱処理条件だけを変化させた場合、発明例はいずれも比較例に対してドリル工具寿命に優れるとともに、プランジ切削における表面粗さが良好であった。
【0039】
請求項1に相当する鋼では硬度を大きくなるため、若干工具寿命が低下する傾向にあるが、良好な表面粗さと従来と同等の工具寿命レベルとなった。
【0040】
発明例は、おおむね図6に示すように粗大なパーライト粒は認められず、パーライトバンドも見られない。これはC,S等の添加量が異なっても、その順位が変わることはなく、Zn,Sn,B等の元素が添加された場合、同一C,S量を有する比較鋼に比べ、工具寿命と表面粗さに優れていることが分かる。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】
【表5】
【0046】
【表6】
【0047】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明は鋼のミクロ組織を制御することにより切削時の工具寿命と切削表面粗さ、切り屑処理性に優れた快削鋼を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来鋼のパーライトの大きさを示す図。
【図2】パーライト面積率と表面粗さの関係を示す図。
【図3】本発明による熱処理条件を示す図。
【図4】本発明による熱処理条件を示す図。
【図5】プランジ切削による実験方法を示す図。
【図6】本発明により得られる快削鋼のパーライトの大きさを示す図。
Claims (5)
- 質量%で、C:0.03〜0.075%、
Si:0.003〜0.5%、
Mn:0.92〜2%、
P:0.001〜0.2%、
S:0.03〜1.0%
を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼を熱間圧延し、その後の冷却過程において、鋼のA3点以上の温度から0.5℃/sec以上の冷却速度にて550℃以下まで冷却することにより、鋼のミクロ組織において粒径1μmを超えるパーライト粒の占める面積率を5%以下にし、残部組織をフェライト−パーライト又はフェライトにすることを特徴とする被削性に優れる鋼の製造方法。 - 前記冷却を施した後、次いで行われる硬度調整のための加熱温度を750℃以下に制限することを特徴とする請求項1記載の被削性に優れる鋼の製造方法。
- 前記鋼が、質量%で、さらに、Cr:0.01〜2%,V:0.01〜1.0%,Nb:0.005〜0.2%,Mo:0.01〜1.0%,W:0.05〜1.0%,Ni:0.05〜2.0%,Ti:0.005〜0.2%,B:0.0005〜0.02%のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2記載の被削性に優れる鋼の製造方法。
- 前記鋼が、質量%で、さらに、Ca:0.0002〜0.01%, Zr:0.0005〜0.1%,Mg:0.0003〜0.01%,Al:0.001〜0.1%,Te:0.0003〜0.2%, total−N:0.001〜0.02%, total−O:0.0005〜0.035%のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の被削性に優れる鋼の製造方法。
- 前記鋼が、質量%で、さらに、Zn:0.0005〜0.5%,Sn:0.005〜2.0%,Cu:0.01〜2.0%,Bi:0.005〜0.5%,Pb:0.01〜0.5%のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の被削性に優れる鋼の製造方法。
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