JP4322874B2 - 連鎖販売取引監視システム - Google Patents

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Description

本発明は、連鎖販売取引において問題のあるビジネス行動を迅速かつ的確に把握し、連鎖販売取引におけるビジネストラブルを未然に防止することを可能にする連鎖販売取引監視システムに関する。
連鎖販売取引(「連鎖販売ビジネス」ともいう)というビジネス形態が知られている。この連鎖販売取引では、製品の製造及び/又は販売を行う事業者が、当該製品の愛用者などを会員としてネットワークを構築し、当該会員を販売員(「ディストリビューター」とも呼ばれる)として製品の販売や販売の斡旋といった自社のビジネスに従事させ、販売員にその実績等に見合った報酬等を提供する。この連鎖販売取引では、会員の実績に基づいたある種の資格を設定し、この資格に基づいて多段階の販売組織を形成するのが一般的である。
販売員は、製品を一般消費者に販売するだけでなく、他者をビジネスに勧誘することによって、製品流通ネットワークを広げることができる。そして、販売員に提供される報酬には、製品を一般消費者に販売することによって発生する小売利益の他、販売員自身とその販売員が勧誘した販売員から派生する、自らが構築したネットワーク(「グループ」ともいう)の製品購入実績により発生する報酬、さらに、グループの販売員を指導・育成した努力などに応じた報酬などが含まれる。すなわち、販売員の報酬は、販売員個人の小売利益による報酬と、販売員が属するグループ活動によってもたらされる報酬から構成される。そして、報酬は、金銭による報酬(「金銭報酬」という)とそれ以外の報酬(「非金銭報酬」という)からなり、非金銭報酬の中には販売員の資格の昇進の他、研修旅行への派遣などが含まれる。
このように連鎖販売ビジネスでは、販売員個人の実績が報酬の多寡に結びつくことから、販売員自身が無理な製品購入を行って自身で過剰な在庫を抱え込むといった危険性が潜在する。また、自らが構築したグループの製品購入実績によって報酬が変動することから、無理な勧誘が行われたり、さらにはそのグループに属する販売員に無理な製品購入を強制してグループで過剰な在庫を抱え込むといった危険性が潜在的に存在することが指摘されている。実際、このような潜在的な危険性が、現実のビジネストラブルとして顕在化する事例が過去に存在した。
また、連鎖販売ビジネスを行うネットワークは、それぞれ資格の異なる多段階の販売員によって構成されており、前述のように、新規加入者は製品を購入した実績や他者をビジネスに勧誘した実績などの各種実績によって上位の資格へ昇進することができるようになっている。グループが大きくなれば上位の資格へ昇進する可能性が広がり、そのグループの販売員を指導・育成した努力に見合った報酬が得られる可能性が生じるため、上位の資格へ昇進する目的でも、無理な勧誘や無理な製品購入などのビジネストラブルが生じる可能性がある。
連鎖販売ビジネスの健全性を高めるためには、販売員が行うビジネスに潜在的に存在する問題点を事前に把握し、また、ビジネストラブルが発生した場合でもその拡大や再発を防止する環境を構築することが望ましいが、現実には実際にビジネストラブルが顕在化してから事後的に対処することがほとんどであった。その理由は、これまでは潜在的なビジネストラブルを把握する具体的な手法が存在せず、あるいは仮にそれが存在したとしても、その把握は人的資源に頼らざるを得ず、そのための判断を迅速に行うことが難しく、また、その判断が必ずしも客観的とは言えない面があったことによる。
本発明は、このような事情のもとでなされたものであり、その目的は、連鎖販売取引においてビジネストラブルにつながる客観的事実を事前に把握する手法を確立し、これをシステム化することによって、ビジネストラブルの発生を未然に防止し、さらに、このような潜在的なビジネストラブルに迅速かつ的確に対応しうるシステムを提供することにある。
本発明に係る連鎖販売取引監視システムは、連鎖販売取引に従事する各販売員の情報を格納・管理する販売員情報管理部と、前記各販売員が事業者に対して行った製品の発注、返品、又は支払いを含むビジネス行動に関する情報を格納・管理するビジネス行動情報格納部と、前記ビジネス行動情報格納部に格納されたビジネス行動を分析し、問題が生じうるビジネス行動を抽出するビジネス行動抽出部と、ワーニングを発する処理を実行するビジネス項目及び各ビジネス項目についてワーニングを発することとする条件を格納するワーニング条件格納部と、前記ビジネス行動抽出部において抽出されたビジネス行動に関する情報を前記ワーニング格納部に格納された条件と比較し、その条件に該当するビジネス行動を行った販売員をワーニングの対象者として抽出するワーニング対象者抽出部とを有する。
上記の連鎖販売取引監視システムにおいて、さらに、前記ワーニング対象者抽出部によって抽出された販売員について、当該販売員の個人情報及びビジネス行動が書き込まれるデータシートを自動的に作成する機能、前記データシートが作成されたときに対応タスクを自動的に作成する機能を設けることができる。また、前記ワーニング対象者抽出部によって抽出された販売員に対して送付するワーニングレターを自動的に作成するワーニングレター作成部を設けることができる。さらに、前記対応タスクにEメールアドレスを付随させておき、対応タスクが作成されたときに、それに付随するEメールアドレス宛に対応タスクを送信する機能を設けることができる。
前記ビジネス行動抽出部によって抽出されるビジネス行動には、例えば、製品発注、製品代金の未払い、返品のうちのいずれか一つ以上が含まれ、前記ワーニングを発する対象となるビジネス項目には、まとめ買い、報酬算定期間の終了間際に集中した発注、高額製品への偏った発注、製品購入代金未回収、資格認定後の返品のうちのいずれか一つ以上が含まれるものとすることができる。
さらに、上記の連鎖販売取引監視システムにおいて、ワーニングを発する対象となるビジネス項目ごとに予め決められたワーニングカウントを格納しておくワーニングカウント格納手段と、実際にワーニングが発せられたビジネス項目が入力されたときに、前記ワーニングカウント格納手段から該当するワーニングカウントを読み出すワーニングカウント読み出し手段と、当該ビジネストラブルに関係する販売員の所定の上位販売員を前記販売員情報管理部から抽出する上位販売員抽出手段と、前記読み出されたワーニングカウントを前記上位販売員抽出手段によって抽出された上位販売員のこれまでのワーニングカウントに加算するワーニングカウント加算手段と、前記ワーニングカウントの合計が予め決められたカウントになったときに、当該上位販売員に対して下位販売員に対する教育・指導要請を表示する表示手段とをさらに設けることができる。
ワーニング条件格納部にビジネストラブルに結びつくと考えられる所定のビジネス項目及び条件を格納しておくとともに、ビジネス行動情報格納部に販売員が行うすべてのビジネス行動を記録・格納しておき、ビジネス行動抽出部において抽出されたビジネス行動のデータと前記条件とを比較することによって、条件を満たすものを抽出することができる。これは潜在的なビジネストラブルとして把握できるので、潜在的なビジネストラブルを客観的に迅速かつ的確に把握することができる。
また、このように、客観的に潜在的なビジネストラブルを把握できることにすることによって、前記ワーニング対象者抽出部によって抽出された販売員について、当該販売員の個人情報及びビジネス行動が書き込まれるデータシートを自動的に作成する機能を設けること、前記データシートが作成されたときに、対応タスクを自動的に作成する機能を設けること、前記対応タスクにはEメールアドレスが付随させておき、対応タスクが作成されたときに、それに付随するEメールアドレス宛に対応タスクを送信する機能を持たせることが可能となる。
さらに、上記のワーニングカウント格納手段、ワーニングカウント読み出し手段、上位販売員抽出手段、ワーニングカウント加算手段、表示手段を設けることによって、前記ワーニングカウントの合計が予め決められたカウントになったときに、上位販売員が下位販売員に対して教育・指導をすべきことを自動的に表示させることができ、必要な教育・指導を確実に行わせることが可能となる。
以下で、図面を参照しながら、本発明の実施の一形態について説明するが、それに先立って連鎖販売ビジネスに関しての一般的な説明を補足する。
連鎖販売ビジネスに潜在的に存在するビジネス上の問題点の把握には、前述のように販売員の通常のビジネス傾向の分析が有用であることが分かっている。また、これとともに、販売員が上位の資格へ昇進する際のビジネス実績の追跡(資格トラッキング)も併せて行うことによってより的確に問題点の把握ができる。
ビジネス傾向を分析するための有用な指標として、まず、製品購入パターンを挙げることができる。製品購入パターンの中で問題があるとされるものには、まとめ買い、高額製品への偏った発注、報酬の算定期間の終了間際に集中的になされる発注などがある。ビジネス傾向を分析するための他の指標としては、製品を購入したものの代金の支払いができないなどといった問題のある支払パターン、製品を購入した後に大量に返品するなどの問題のある返品パターンが挙げられる。
ビジネス実績の追跡(資格トラッキング)は、より上位の資格に昇進する際に、昇進に至るまでのビジネス実績が健全なものであったかどうかを確認する目的で、それまでに達成した資格ごとに資格達成後のビジネス実績を追跡調査することによって行われる。例えば、ある資格を達成するために無理な製品購入によって過剰な在庫を抱え込んだ場合には、その資格の達成後に大量返品などが起こり得るので、資格トラッキングとビジネス実績とを結びつけて検討することによってビジネス上の問題点を把握することができる。
販売員のビジネストラブルに関する対応履歴は従来も管理されていたが、ビジネストラブルが発生した場合に、関係する販売員のビジネス状況を確認するための情報収集には時間と手間を要し、また、同様の事例が過去に存在したかどうかという情報については、担当者の記憶や関連部署がそれぞれに行っているデータやファイルなどの記録に頼るしかなかった。
そこで、本発明者らは、販売員が行うビジネス上の潜在的な問題をできるだけ早く把握し、現実のビジネストラブルの発生を未然に防止するとともに、ビジネストラブルが発生した場合でも、トラブルの拡大および再発を防止する環境を構築することを目的として、本発明に係る早期警告システムを開発した。本発明の早期警告システムによれば、ビジネストラブルに発展する可能性のある販売員のビジネス状況を監視し、対応記録を管理し、それらの事例を整理することができる。
図1は、本発明に係る連鎖販売取引監視システムの一実施形態に係る早期警告システムの構成を示した機能ブロック図である。なお、図1中、網掛けで示した部分はオペレータが行う作業を示している。このシステムは、基本的に、複数のコンピュータと、各コンピュータを連結するネットワークと、当該ネットワークに接続されているデータ格納用のデータベースと、その他の周辺機器と、そしてコンピュータに搭載されているコンピュータ・プログラムから構成されている。すなわち、各々一つのまとまりを持ったハードウェアやソフトウェアによって実現されることを意味するのではなく、複合し又は共通したハードウェアやソフトウェアによって実現されるものである。ハードウェア構成は一般的なものなので、それについての詳しい説明は省略する。
図1に示すように、本実施形態のシステムは、主として基幹システム10、EWS(早期警告)システム12から構成されており、さらに付随的に、後述の分析ツール14、営業担当者が参照できるウェッブブラウザ16及び倫理担当者が参照できるウェッブブラウザ18が設けられている。
基幹システム10に含まれている顧客管理システム20、発注管理システム22、資格管理システム24は、このシステムにおいて必要とされる基本的なデータを格納しておく役割を果たす。このうち、顧客管理システム20は、特許請求の範囲における「販売員情報管理部」としての役割を果たし、販売員が販売員としての登録を受ける際に、連鎖販売業者に提供した氏名、住所などの販売員情報を管理するためのシステムである。顧客管理システム20へは、登録時に必要な情報を入力する他、住所等の変更が生じた場合には、その都度登録情報を変更することができる。
発注管理システム22は、特許請求の範囲における「ビジネス行動情報格納部」としての役割を果たす部分であり、販売員からの製品発注、返品、製品代金の支払などが格納され、管理される。販売員から製品発注、返品、製品代金の支払などがあると、その度に担当部署のオペレータがその記録を入力する。この情報は、発注管理システムに登録され、必要に応じて参照することができる。
資格管理システム24は、販売員に付与される資格を管理するためのシステムである。販売員は、製品を購入した実績や第三者をビジネスに勧誘した実績をはじめとする種々の実績に基づいて上位の資格へ昇進できるようになっていることが、連鎖販売ビジネスを有効なものとしている重要な要素の一つである。このため、製品購入実績や勧誘実績など、資格認定条件である各種の実績を管理することが必要となり、この管理作業を支援するのが資格管理システム24である。
EWSシステム12内には、ビジネス傾向分析システム26と資格トラッキングシステム28が含まれている。ビジネス傾向分析システム26は特許請求の範囲における「ビジネス行動抽出部」としての役割を果たす部分であり、発注管理システム22に蓄積された情報の中で、問題のあるビジネス行動が生じうる項目として予め定めてある項目(フラグカテゴリー)に該当する情報を分析して、問題のあるビジネス行動を抽出するシステムである。フラグカテゴリーとしては、製品発注、製品代金の未払い、製品の返品が含まれる。ただし、フラグカテゴリーはこれらに限定されるものではない。
問題のあるビジネス行動のうち一定の基準に該当するものについてワーニングを発するようにするために、フラグ処理を実行する。そのために、フラグカテゴリーのうちワーニングを発する処理を実行する項目(フラグ項目)と、それぞれのフラグ項目についてワーニングを発する基準(フラグ基準)を予め設定しておき、これらをEWSシステム12内のワーニングリスト格納部38に、ワーニングリストとして格納しておく。ワーニングリスト格納部38は、特許請求の範囲における「ワーニング条件格納部」としての役割を果たす。これによって、好ましくないビジネス行動のすべてに対してワーニングを発するのではなく、その中で特にビジネストラブルが起こる可能性の高い一定の基準に該当するビジネス行動に対してのみワーニングが発せられる。
フラグ項目は、例えば、まとめ買い、高額製品への偏った発注、報酬算定期間の終了間際に集中した発注、製品購入代金未回収、資格達成後の大量返品が主として挙げられるが、これらに限定されるものではない。フラグ基準は、例えば、まとめ買いというフラグ項目に対しては1回の発注が30万円以上とし、報酬算定期間の終了間際に集中した発注というフラグ項目に対しては、例えば、算定期間内の発注に対する算定期間の終了日から遡って3日間の発注が90%以上をフラグ基準とするなどである。高額製品への偏った発注というフラグ項目に対しては、例えば、5万円以上の製品が資格認定に必要な販売実績に占める割合を50%以上とするなどである。製品購入代金未回収というフラグ項目に対しては、例えば、10万円以上の製品についての未払いがあるなどである。資格達成後の大量返品というフラグ項目に対しては、例えば、資格達成後の返品の割合を資格認定に必要な販売実績の10%以上とするなどである。
資格トラッキング管理システム28は、予め決められた資格認定審査項目に基づき問題のあるビジネス実績を管理するシステムである。資格認定審査項目は、資格のレベルによって異なり、その項目としては、例えば、製品購入実績が一定の基準を満たすことや、製品購入代金未回収の金額が一定額を下回ることなどが挙げられ、製品購入実績については、販売員だけの実績ではなく、自己がリーダーとなっている販売員のグループの実績を含む基準が設定され、さらにそのグループの範囲は資格のレベルによって異なるなど、その内容は多岐にわたる。
上位の資格に昇進するためには資格認定審査項目をすべて満たすことが条件となるが、健全なビジネス実績に基づいて昇進しているかどうかを昇進時に判断できないこともある。そこで、昇進の認定を行った後においても、資格認定審査項目に基づくビジネス実績情報を収集し、例えば、昇進後に大量返品が生じるなどといった問題のあるビジネス実績の有無を把握できる。
本実施形態のシステムにおいては、ビジネス傾向分析システム26は、基幹システム10に蓄積されたデータに基づいて、問題の生じうるビジネス行動、例えば、製品発注、製品代金の未払い、製品の返品を行った販売員を抽出し、その販売員の氏名、住所等の顧客情報を、基礎情報格納部30に対象顧客情報として蓄積する。そして、対象顧客情報に蓄積された販売員のビジネス行動に関する具体的な実績情報をワーニング詳細情報として蓄積する。ビジネス傾向分析システム26は、特許請求の範囲におけるビジネス行動抽出部としての役割を果たす。
資格トラッキング管理システム28は、資格認定審査項目に基づき問題のあるビジネス実績情報を抽出し、基礎情報格納部30に資格トラッキング情報として蓄積する。
基礎情報格納部30に格納された情報は、分析ツール14によって利用され、分析担当者が必要に応じて「ワーニングセグメント分析」、「ワーニング対応結果分析」、「要因クラスタリング分析」を行うことができる。ワーニングセグメント分析とは、販売員の行動要因からいくつかのセグメンテーション分析を行うことであり、効果的なワーニングリストのフラグ項目を設定することに役立てる。ワーニング対応結果分析とは、ワーニング対象となった販売員への対応履歴から改善があった行動を見つけることであり、効果的な対応タスクを設定することに役立てる。要因クラスタリング分析とは、問題のあるビジネス行動を有するとして認識された販売員に共通したビジネスパターンを見出すことであり、クラスタ分析によりグループ化された販売員のビジネス要因知識を得ることに役立てる。
基礎情報格納部30に格納される対象顧客情報、ワーニング詳細情報、資格トラッキング情報は、ワーニングリストのフラグ基準に該当する販売員を抽出し、当該販売員に対して後述の所定の対応を自動的に行うのに利用される。フラグ基準に該当する販売員を抽出する処理を、対象者抽出処理(特許請求の範囲における「ワーニング対象者抽出部」に対応する)という。
図2に、対象者抽出処理のフローチャートを示す。EWSシステム12は、ワーニングリストを参照し(S201)、フラグ基準に該当した対象者についてインシデントを作成する(S202)。ここで、インシデントとは、抽出された販売員と関連づけられたデータシートであり、基幹システム10などに格納されている情報から当該販売員に関する情報のサマリーが取り出されてここに記録される。このインシデントは、該当する販売員にワーニングを発する処理を行うべき担当者に送られる。
インシデントが作成されると、作成されたインシデントごとに対応タスクが自動的に作成される(S203)。対応タスクとは、該当する担当者が実行すべきタスクのリストであって、対応タスクの内容に応じてそれを実行すべき担当者のEメールアドレスが付随しており、当該担当者のコンピュータに自動的に送られる。担当者が行うべきタスクには、例えばインシデントの内容を確認すること、抽出された販売員に審査書類を送付することなどが含まれる。対応タスクの実例は予め用意され、格納されており、インシデントが作成された場合には、その内容ごとに対応するタスクが抽出されて対応タスクが作成される。
担当者は対応タスクを見て実行すべきタスクを認識し、そしてタスクを実行した場合には、タスクが完了した旨の情報と、必要に応じて関連するコメントを自己のコンピュータ端末から入力する。この情報は、後に参照できるようにデータベース化される。
続いて、インシデントが作成された対象者に、考慮すべき資格トラッキングがあるかどうかを判定し(S204)、あると判定された場合にはそれに対応した資格トラッキングに関するインシデントが作成される(S205)。ここで作成されるインシデントは、後述の処理において利用される。
S203又はS205においてインシデントが作成された対象者については、対象顧客情報にワーニングを表示するための情報を作成し(S206)、さらにその販売員をグループに勧誘した上位の販売員についても、対象顧客情報にワーニングを表示するための情報が作成される(S207)。この時、フラグ基準に該当した販売員に対してインシデントを作成する処理で、対象顧客情報のワーニング表示のワーニング件数項目に当該インシデントの件数を加算する。また、上位の販売員に対しては、グループ内で発生したインシデントの総件数を上位販売員の対象顧客情報のワーニング表示件数項目に表示する。
対象者である販売員には、担当者から、審査書類が送付される(S208)。この審査書類の送付が、「ワーニング」である。なお、この審査書類は、対象顧客情報から住所や氏名を抽出して郵送用の宛て名に印刷し、またワーニング詳細情報から、審査内容の情報を抽出して印刷することによって、自動的に作成することができる。
また、ワーニングリストの項目によっては、対象者である販売員の上位の販売員に対して、当該上位販売員のグループに属する販売員が審査対象者となり審査書類が送られることを知らせる通知書が送付される(S209)。以上が、対象者抽出処理の内容である。この対象者抽出処理において作成されたインシデント及び対応タスク情報は、ワーニング対応情報としてワーニング対応情報格納部32に蓄積される。このワーニング対応情報は、後述のリポーティングツール42、44によってリポートの作成に利用される。このリポートは、ウェッブブラウザ18を介して倫理担当者が、あるいはウェッブブラウザ16を介して営業担当者が参照することができる。倫理担当者と営業担当者は同一であっても異なってもよく、また、その他関係する担当者が参照できるようにすることもできる。
上記とは異なり、販売員のビジネストラブルに関する情報が、行政機関からの問い合わせや一般消費者からの苦情などといった、外部の第三者から提供されることがある。本実施形態のシステムでは、このように第三者からビジネストラブルに関する情報が提供された場合には、担当部署のオペレータがその旨の情報を入力して、ワーニング対応情報としてワーニング対応情報格納部32に蓄積するようにしている。第三者からビジネストラブルに関する情報が提供されると、担当部署は、それが個別に対応する必要があるトラブルか否かを判断し(S401)、個別に対応が必要であると判断した場合には、所定の対応を行う(S402)。
連鎖販売ビジネスにおいては、通常、販売員は、例えば「倫理綱領・行動規準」と称される規則に従ってビジネスを行うこととされている。このような規則に違反している可能性があると判断された販売員に対しては、担当部署により個別に対応がなされる。この一連の対応措置を倫理綱領違反顧客対応管理50という。
まず、第三者から提供されたビジネストラブルに関する情報の内容が規則に違反している可能性があると判断された場合には、担当者が当事者である販売員から聞き取り調査を行い、その内容をウェッブブラウザ18から入力する(S402)。規則に違反している可能性がないと判断された場合であっても、当事者である販売員に対して、ビジネストラブルに関するワーニング表示がされている場合には(S301)、担当者が聞き取り調査を行い、その内容をウェッブブラウザ18から入力する(S302)。また、資格トラッキングに関するワーニング表示がされている場合には(S301)、担当者が当事者である販売員から聞き取り調査を行い、その内容をウェッブブラウザ16から入力する(S302)。
いずれの場合も、調査内容が入力されると、その内容に応じた対応タスクが自動的に作成され(S303)、担当者はそのタスクに従ってその後の対応を行う。具体的には、担当者は、「第一コンタクトを行なう」という対応タスクが作成されると、まずは相談者に電話を掛け、その後、当事者に連絡し、必要に応じて当事者を含む関係者の面談等を行なうなどして、事実を確認する。また、対応タスクには、販売員登録の撤回、製品の出荷止め、報酬の支払い保留、返品の受付保留などがあり、担当者はそれに従って対応を行うことになる。対応タスクは担当者が入力することもできるが、対応タスクが自動的に作成され、それに従って対応することで、従来ばらつきのあった担当者の対応が統一され、対応に公平性が保たれる。また、対応も順序立てて確実に実行されるようになる。
タスクに従って対応を行った結果、倫理綱領違反措置を採ることが決定された場合には(S305)、措置内容に応じた書面60が送付される(S306)。倫理綱領違反措置としては、例えば、連絡、指導・啓蒙、注意、警告、販売員資格の解約、資格の降格、販売員活動の停止などが挙げられる。連絡とは、聞き取り調査の結果、規則に違反していないことが明らかになった場合に、聞き取り調査の間に明らかになった内容を確認することであり、指導・啓蒙とは、規則の違反行為には該当しないものの違反行為に発展する可能性のある問題であることが明らかになった場合に、指導・啓蒙を行うことであり、注意とは、軽微な違反行為が明らかになった場合に、その内容を知らしめ注意喚起を行うことであり、さらに、警告とは、違反行為が明らかになった場合に、その内容を知らしめ、違反行為を続けた場合には資格取り消しなどの制裁措置に至る可能性があることを認識させることである。
また、タスクに従って対応を行った結果、資格関連措置を採ることが決定された場合には、対象者に対して、措置内容に応じた書面62が送付される。資格関連措置としては、例えば、販売員自身の製品購入代金が未回収の場合やそのグループの製品購入代金が未回収の場合に、その金額に応じて決められた確認、注意、警告、降格、資格解約などの措置が挙げられ、あるいは、販売員自身が購入した製品の返品額やそのグループの返品の累計額に応じて決められた確認、注意、警告、降格、資格解約などの措置が挙げられる。
担当者は、システムに蓄積されている書式を使用して簡単に各書面を作成することができる。書面の内容や発送履歴、社内承認状況などは自動的に管理され記録される。社内承認手続き自体を電子承認にすることもできる。
ビジネストラブルに対する会社の対応には、その内容に応じて予め決められたスコアがつけられ、ワーニングカウントとしてワーニングカウント格納部34に蓄積される。このワーニングカウントは、EWSシステム12が読み出すことができる。スコアは、例えば、前述の指導・啓蒙であれば1、注意であれば3、警告であれば5というように予め決めておく。ワーニングカウントはグループを率いる上位販売員にグループに属する販売員の教育・指導を要請するタイミングを管理するために利用される。該当する上位販売員は、顧客管理システム20から抽出される。例えば、グループでの蓄積ワーニングカウントが5になった場合に一定レベルの資格を有する上位販売員に教育・指導要請を行うように設定する。この場合、各上位販売員のグループ内に警告を受けた販売員が一人発生すれば、システム上でその上位販売員への教育・指導要請が表示され、担当者が当該上位販売員に対してグループの教育・指導を要請することになる。
担当者がワーニング対応情報に基づき実際に対応し、その履歴を入力すると、その情報は対応履歴として蓄積される。対応履歴には、前述の倫理綱領違反顧客対応管理や資格関連顧客対応管理の過程で入力された聞き取り調査の内容に関するデータも含まれる。
本発明の一実施形態に係る早期警告システムは、リポーティングツールを備える。ワーニング対応情報、ワーニングカウント情報、及び対応履歴情報を用いワーニングインシデント詳細情報に関するリポート、日次インシデントの集計リポート、集計情報による対象者のトレンドリポート、その他任意に予め設定したリポートの作成を行うことができる。その一例が図5のフローチャートに示してある。
また、本発明のシステムは、データ変更管理ツールを備える。このツールの処理を示すフローチャートを図6に示す。このデータ変更管理ツールにより、例えば、フラグ項目の変更や追加、フラグ基準の変更や追加など、ワーニングリストを管理することができる。
本発明の実施の一形態に係る連鎖販売取引監視システムの一実施形態に係る早期警告システムの構成を示した機能ブロック図である。 本発明の実施の一形態の早期警告システムにおける対象者抽出処理のフローチャートである。 本発明の実施の一形態の早期警告システムにおいて、ワーニングを行う必要がある対象者へ対応措置のレターを送付するまでの処理手順を示したフローチャートである。 本発明の実施の一形態の早期警告システムにおいて、第三者からビジネストラブルに関する情報が提供された場合の処理の手順を示したフローチャートである。 本発明の実施の一形態の早期警告システムにおいて、リポーティングツールが行う処理を示したフローチャートである。 本発明の実施の一形態の早期警告システムにおいて、フラグ項目及びフラグ基準の設定、変更の手順を示したフローチャートである。
符号の説明
10・・・基幹システム
14・・・分析ツール
16,18・・・ウェッブブラウザ
20・・・顧客管理システム
22・・・発注管理システム
24・・・資格管理システム
26・・・ビジネス傾向分析システム
28・・・資格トラッキング管理システム
30・・・基礎情報格納部
32・・・ワーニング対応情報格納部
34・・・ワーニングカウント格納部
38・・・ワーニングリスト格納部
40・・・データ変更管理ツール
42,44・・・リポーティングツール

Claims (8)

  1. 販売員に付与される複数の資格が用意され、販売員の実績及び当該販売員が構築したグループの実績が所定の条件を満たしたときに上位の資格への昇進が認められるよう形成された販売組織によって行われる連鎖販売取引における潜在的なビジネストラブルの発生を監視する連鎖販売取引監視システムであって、
    連鎖販売取引に従事する各販売員の情報を格納・管理する販売員情報管理部と、
    前記各販売員が事業者に対して行った製品の発注、返品、又は支払いを含むビジネス行動に関する情報を格納・管理するビジネス行動情報格納部と、
    販売員に付与される資格の認定条件であるビジネス実績を格納・管理する資格管理部と、
    前記ビジネス行動情報格納部に格納されたビジネス行動を分析し、問題が生じうるビジネス行動を抽出するビジネス行動抽出部と、
    前記資格管理部において管理されるビジネス実績と販売員に付与された資格の認定審査項目に基づいて、資格昇進後において、それまでに達成した資格ごとに当該販売員及び自己がリーダーとなっている販売員のグループの問題が生じうるビジネス実績を抽出する資格トラッキング部と、
    ワーニングを発する処理を実行するビジネス項目及び各ビジネス項目についてワーニングを発することとする条件を格納するワーニング条件格納部と、
    前記ビジネス行動抽出部において抽出されたビジネス行動に関する情報を前記ワーニング条件格納部に格納された条件と比較し、その条件に該当するビジネス行動を行った販売員をワーニングの対象者として抽出するとともに、前記資格トラッキング部において抽出されたビジネス実績に関する情報を前記ワーニング条件格納部に格納された条件と比較し、その条件に該当するビジネス実績を有する販売員をワーニングの対象者として抽出するワーニング対象者抽出部とを有し、
    前記ワーニング対象者抽出部は、前記販売員をワーニングの対象者として抽出するだけでなく、前記ワーニング条件格納部に格納された条件によっては、当該販売員の所定の上位販売員をワーニング対象者として抽出する
    ことを特徴とする連鎖販売取引監視システム。
  2. さらに、前記ワーニング対象者抽出部によって抽出された販売員について、当該販売員の個人情報及びビジネス行動が書き込まれるデータシートを自動的に作成する機能を有する請求項1に記載の連鎖販売取引監視システム。
  3. さらに、前記データシートが作成されたときに、対応タスクを自動的に作成する機能を有する請求項2に記載の連鎖販売取引監視システム。
  4. 前記ビジネス行動抽出部によって抽出されるビジネス行動には、
    (1)製品発注
    (2)製品代金の未払い
    (3)返品
    のうちのいずれか一つ以上が含まれる、請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の連鎖販売取引監視システム。
  5. 前記ワーニングを発する対象となるビジネス項目には、
    (1)まとめ買い
    (2)報酬算定期間の終了間際に集中した発注
    (3)高額製品への偏った発注
    (4)製品購入代金未回収
    (5)資格認定後の返品
    のうちのいずれか一つ以上が含まれる、請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の連鎖販売取引監視システム。
  6. さらに、前記ワーニング対象者抽出部によって抽出された販売員に対して送付するワーニングレターを自動的に作成するワーニングレター作成部を有する、請求項1乃至5のうちいずれか一項に記載の連鎖販売取引監視システム。
  7. さらに、前記対応タスクにはEメールアドレスが付随されており、対応タスクが作成されたときに、それに付随するEメールアドレス宛に対応タスクを送信する機能を有する請求項3乃至6のうちいずれか一項に記載の連鎖販売取引監視システム。
  8. ワーニングを発する対象となるビジネス項目ごとに予め決められたワーニングカウントを格納しておくワーニングカウント格納手段と、
    実際にワーニングが発せられたビジネス項目が入力されたときに、前記ワーニングカウント格納手段から該当するワーニングカウントを読み出すワーニングカウント読み出し手段と、
    当該ビジネストラブルに関係する販売員の所定の上位販売員を前記販売員情報管理部から抽出する上位販売員抽出手段と、
    前記読み出されたワーニングカウントを前記上位販売員抽出手段によって抽出された上位販売員のこれまでのワーニングカウントに加算するワーニングカウント加算手段と、
    前記ワーニングカウントの合計が予め決められたカウントになったときに、当該上位販売員に対して下位販売員に対する教育・指導要請を表示する表示手段と、
    をさらに有している、請求項1乃至7のうちいずれか一項に記載の連鎖販売取引監視システム。
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