JP4322023B2 - 芳香族化合物の製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は芳香族化合物の製造法、より詳しくは、芳香族化合物とオレフィン類又はアセチレン類との酸化的カップリング反応により、対応するアルケニル基又はアルキニル基を有する芳香族化合物を製造する方法に関する。このようなアルケニル基やアルキニル基を有する芳香族化合物(例えば、スチルベン又はその誘導体、桂皮酸又はその誘導体など)は、ポリマー原料、染料、医薬品等の精密化学品の合成中間体、その他の有機化学品の中間原料などとして有用である。
【0002】
【従来の技術】
近年、芳香族炭化水素とオレフィン類とを触媒の存在下で酸化的にカップリングさせて対応するアルケニル基を有する芳香族化合物を得る方法が検討されている。この反応は、芳香族炭化水素の炭素−水素結合を触媒により活性化して新たな炭素−炭素結合を形成するため、原子効率が良く、理想的な反応として注目されている。例えば、Acc, Chem. Res., 34, 633(2001)(非特許文献1)には、パラジウム化合物を触媒とし、ベンゾキノン/t−ブチルヒドロペルオキシドを再酸化剤として用いたアレーン類とアルケン類の酸化的カップリング反応が報告されている。しかし、この方法では、取り扱いにくい過酸化物を用いる必要がある。
【0003】
【非特許文献1】
Acc, Chem. Res., 34, 633(2001)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、取扱性に優れた酸化剤や触媒を用いて、芳香族化合物とオレフィン類又はアセチレン類から対応するアルケニル基又はアルキニル基を有する芳香族化合物を効率よく製造できる方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討した結果、分子状酸素を用いた芳香族化合物とオレフィン類又はアセチレン類との酸化的カップリング反応において、パラジウム化合物と特定の触媒とを併用すると、比較的温和な条件下で対応するアルケニル基又はアルキニル基を有する芳香族化合物が効率よく生成することを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、パラジウム化合物触媒(A)と、下記式
3+n [PMo 12-n n 40
(式中、Aは水素原子、NH 4 、アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選択された少なくとも1種を示し、nは0〜10の整数である)
で表されるリンバナドモリブデン酸若しくはリンモリブデン酸又はそれらの塩からなる触媒(B11)の存在下、下記式(1)
Ar−H (1)
(式中、Arは芳香族性環式基を示す)
で表される芳香族化合物(C1)と下記式(2a′)
【化1】
Figure 0004322023
(式中、R a 、R b 、R c は、それぞれ水素原子、C 1-20 脂肪族炭化水素基、C 6-20 アリール基、3〜8員のシクロアルキル基、C 1-6 ハロアルキル基、複素環式基、置換オキシカルボニル基、カルボキシル基、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、硫黄酸基、硫黄酸エステル基、アシル基から選択された基を示す。R a 、R b 、R c は、それぞれ互いに結合して、隣接する1又は2個の炭素原子とともに3〜20員の脂環式炭素環を形成してもよい。但し、R a 、R b 、R c のうち少なくとも1つは、アシル基、置換オキシカルボニル基、カルボキシル基、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、硫黄酸基、硫黄酸エステル基、C 6-20 アリール基、芳香族性複素環式基、炭素数2〜20の1−アルケニル基又は1−アルキニル基、C 1-6 ハロアルキル基から選択された電子吸引性基である)
で表されるオレフィン類(D1)と分子状酸素(E)とを反応させて、アルケニル基が前記芳香族化合物(C1)の芳香環に酸化的カップリングした対応する下記式(3a′)
【化2】
Figure 0004322023
(式中、Ar、R a 、R b 、R c は前記に同じ)
で表される芳香族化合物(F1)、または、1分子のオレフィン類(D1)に2分子以上の芳香族化合物(C1)が酸化的にカップリングした化合物(F2)、または、1分子の芳香族化合物(C1)に2分子以上のオレフィン類(D1)が酸化的にカップリングした化合物(F3)を生成させることを特徴とする芳香族化合物の製造法を提供する。
本発明は、また、パラジウム化合物触媒(A)と、Pと、Moと、Vとを含み、且つ前記P1グラム原子に対し、Moを10.5〜11.9グラム原子、Vを0.1〜1.5グラム原子含有するヘテロポリ酸若しくはその塩からなる触媒(B12)の存在下、下記式(1)
Ar−H (1)
(式中、Arは芳香族性環式基を示す)
で表される芳香族化合物(C1)と下記式(2a′)
【化3】
Figure 0004322023
(式中、R a 、R b 、R c は、それぞれ水素原子、C 1-20 脂肪族炭化水素基、C 6-20 アリール基、3〜8員のシクロアルキル基、C 1-6 ハロアルキル基、複素環式基、置換オキシカルボニル基、カルボキシル基、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、硫黄酸基、硫黄酸エステル基、アシル基から選択された基を示す。R a 、R b 、R c は、それぞれ互いに結合して、隣接する1又は2個の炭素原子とともに3〜20員の脂環式炭素環を形成してもよい。但し、R a 、R b 、R c のうち少なくとも1つは、アシル基、置換オキシカルボニル基、カルボキシル基、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、硫黄酸基、硫黄酸エステル基、C 6-20 アリール基、芳香族性複素環式基、炭素数2〜20の1−アルケニル基又は1−アルキニル基、C 1-6 ハロアルキル基から選択された電子吸引性基である)
で表されるオレフィン類(D1)と分子状酸素(E)とを反応させて、アルケニル基が前記芳香族化合物(C1)の芳香環に酸化的カップリングした対応する下記式(3a′)
【化4】
Figure 0004322023
(式中、Ar、R a 、R b 、R c は前記に同じ)
で表される芳香族化合物(F1)、または、1分子のオレフィン類(D1)に2分子以上の芳香族化合物(C1)が酸化的にカップリングした化合物(F2)、または、1分子の芳香族化合物(C1)に2分子以上のオレフィン類(D1)が酸化的にカップリングした化合物(F3)を生成させることを特徴とする芳香族化合物の製造法を提供する。
なお、本明細書では、上記発明に限らず、パラジウム化合物触媒(A)と、ヘテロポリ酸若しくはその塩(B1)、又は全体として、P又はSiの元素と、V、Mo及びWから選択された少なくとも1つの元素とを含むオキソ酸若しくはその塩の混合物(B2)からなる触媒(B)の存在下、芳香族化合物(C)とオレフィン類又はアセチレン類(D)と分子状酸素(E)とを反応させて、アルケニル基又はアルキニル基が前記芳香族化合物(C)の芳香環に結合した対応する芳香族化合物(F)を生成させることを特徴とする芳香族化合物の製造法についても説明する。
【0007】
ヘテロポリ酸若しくはその塩(B1)は、構成元素として、P又はSiの元素と、V、Mo及びWから選択された少なくとも1つの元素とを含んでいてもよい。また、ヘテロポリ酸若しくはその塩(B1)は、下記式
3+n[PMo12-nn40
(式中、Aは水素原子、NH4、アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選択された少なくとも1種を示し、nは0〜10の整数である)
で表されるリンバナドモリブデン酸若しくはリンモリブデン酸又はそれらの塩であってもよい。また、前記触媒(B)としては、P又はSiと、Moと、Vとを含み、且つ前記P又はSi1グラム原子に対し、Moを10.5〜11.9グラム原子、Vを0.1〜1.5グラム原子含有しているのが好ましい。
【0008】
なお、本明細書では、「パラジウム化合物」をパラジウム単体を含む意味に用いる。
【0009】
【発明の実施の形態】
[触媒]
本発明では、触媒として、パラジウム化合物触媒(A)と、ヘテロポリ酸若しくはその塩(B1)、又は全体として、P又はSiの元素と、V、Mo及びWから選択された少なくとも1つの元素とを含むオキソ酸若しくはその塩の混合物(B2)からなる触媒(B)を用いる。
【0010】
パラジウム化合物触媒(A)としては、例えば、金属パラジウム、0価のパラジウム錯体などの0価のパラジウム化合物;酢酸パラジウム(II)、シアン化パラジウム(II)などの2価のパラジウムの有機酸塩、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)などの2価のパラジウムの有機錯体、フッ化パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、ヨウ化パラジウム(II)などの2価のパラジウムのハロゲン化物、硝酸パラジウム(II)、硫酸パラジウム(II)などの2価のパラジウムの酸素酸塩、酸化パラジウム(II)、硫化パラジウム(II)、セレン化パラジウム(II)、水酸化パラジウム(II)、テトラアンミンパラジウム(II)塩化物などの2価のパラジウムの無機錯体などの2価のパラジウム化合物などが例示できる。
【0011】
これらのパラジウム化合物のなかでも、酢酸パラジウム(II)などの2価のパラジウムの有機酸塩又は有機錯体、塩化パラジウム(II)などの2価のパラジウムのハロゲン化物、硫酸パラジウム(II)などの2価のパラジウムの酸素酸塩などの2価のパラジウム化合物が好ましい。
【0012】
パラジウム化合物は活性炭、シリカ、アルミナ、ゼオライトなどの担体に担持した形態で用いてもよい。また、パラジウム化合物としては、パラジウムをハイドロタルサイト、ヒドロキシアパタイト等の天然鉱物の構成元素として組み込んだ形態で使用することもできる。パラジウム化合物は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0013】
パラジウム化合物の使用量は、原料として用いる芳香族化合物(C)とオレフィン類又はアセチレン類(D)のうち少量用いる方の化合物1モルに対して、例えば、0.000001〜0.5モル、好ましくは0.0001〜0.2モル、さらに好ましくは0.005〜0.1モル程度である。
【0014】
前記ヘテロポリ酸若しくはその塩(B1)において、ヘテロポリ酸とは、種類の異なる2種以上の中心イオンを含む酸素酸の縮合物であり、異核縮合酸ともいう。ヘテロポリ酸は、例えば、P、As、Sn、Si、Ti、Zrなどの元素の酸素酸イオン(例えば、リン酸、ケイ酸など)と、V、Mo、Wなどの元素の酸素酸イオン(例えば、バナジン酸、モリブデン酸、タングステン酸など)とで構成されており、その組み合わせにより種々のヘテロポリ酸が可能である。
【0015】
ヘテロポリ酸を構成する酸素酸のヘテロ原子は特に限定されず、例えば、Cu、Be、B、Al、C、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Ce、Th、N、P、As、Sb、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、U、Se、Te、Mn、I、Fe、Co、Ni、Rh、Os、Ir、Ptなどが例示できる。好ましいヘテロポリ酸は、P、Si、V、Mo、Wの少なくとも一種の元素を含有しており、さらに好ましくはP又はSiと、V、Mo及びW(特に、V及びMo)の少なくとも1つの元素とを含有している。
【0016】
ヘテロポリ酸又はその塩を構成するヘテロポリ酸アニオンとしては種々の組成のものを使用できるが、好ましいヘテロポリ酸アニオンの組成は、XM1240で表すことができる。この組成式において、Xは、Si、Pなどの元素であり、Mは、Mo、W、Vなどの元素である。このような組成を有するヘテロポリ酸アニオンとして、例えば、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、ケイモリブデン酸、ケイタングステン酸、リンバナドモリブデン酸のアニオンなどが例示できる。
【0017】
ヘテロポリ酸は遊離のヘテロポリ酸であってもよく、ヘテロポリ酸のカチオンに相当する水素原子の少なくとも一部を他のカチオンで置換して、ヘテロポリ酸の塩として使用することもできる。前記水素原子と置換可能なカチオンとしては、例えば、アンモニウム(NH4など)、アルカリ金属(Cs、Rb、K、Na、Liなど)、アルカリ土類金属(Ba、Sr、Ca、Mgなど)などが例示できる。
【0018】
前記ヘテロポリ酸又はその塩のなかでも、下記式で表されるリンバナドモリブデン酸若しくはリンモリブデン酸又はそれらの塩が好適に用いられる。
3+n[PMo12-nn40
[式中、Aはヘテロポリ酸カチオンを表し、nは0〜10(好ましくは1〜10)の整数である]
【0019】
Aで表されるカチオンとしては、水素原子のほか、前記のカチオンが例示できる。なかでも、完全プロトン型のリンバナドモリブデン酸又はリンモリブデン酸、及び、一部又はすべてのプロトンがNH4で置換されたリンバナドモリブデン酸アンモニウム又はリンモリブデン酸アンモニウムが特に好ましい。この場合、通常、nは0〜4(好ましくは1〜4)である。完全プロトン型のリンバナドモリブデン酸として、H4PMo11VO40、H5PMo10240、H6PMo9340、H7PMo8440などが挙げられる。
【0020】
ヘテロポリ酸又はその塩は無水物であってもよく、結晶水含有物であってもよい。また、ヘテロポリ酸又はその塩は活性炭等の担体に担持した形態で用いてもよい。この場合、ヘテロポリ酸又はその塩とパラジウム化合物とを同一の担体上に分散担持させてもよい。ヘテロポリ酸及びその塩は単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0021】
本発明において、オキソ酸若しくはその塩の混合物(B2)としては、全体として、P又はSiの元素と、V、Mo及びWから選択された少なくとも1つの元素とを含むオキソ酸又はその塩の混合物であれば特に限定されない。なお、本明細書では、「オキソ酸」をヘテロポリ酸を含む意味に用い、ヘテロポリ酸を含まない意味に用いる場合は「狭義のオキソ酸」という。
【0022】
P、Si、V、Mo又はWを含むヘテロポリ酸としては、例えば、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、リンバナジン酸、リンバナドモリブデン酸、ケイモリブデン酸、ケイタングステン酸、ケイバナジン酸などが挙げられる。P、Si、V、Mo又はWを含む狭義のオキソ酸としては、例えば、リン酸、ケイ酸、バナジン酸、モリブデン酸、タングステン酸などが挙げられる。ヘテロポリ酸の塩、狭義のオキソ酸の塩としては、例えば、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などが挙げられる。
【0023】
オキソ酸若しくはその塩の混合物(B2)の態様として、(i)2種以上のヘテロポリ酸又はその塩の混合物(例えば、リンモリブデン酸又はその塩とリンバナナジン酸又はその塩との混合物など)、(ii)ヘテロポリ酸又はその塩と狭義のオキソ酸又はその塩との混合物(例えば、リンモリブデン酸又はその塩とバナジン酸又はその塩との混合物、リンバナジン酸又はその塩とモリブデン酸又はその塩との混合物など)、及び(iii)2種以上の狭義のオキソ酸又はその塩の混合物(例えば、リン酸又はその塩とモリブデン酸又はその塩とバナジン酸又はその塩との混合物)などが挙げられる。オキソ酸又はその塩は無水物であってもよく、結晶水含有物であってもよい。
【0024】
本発明の好ましい態様では、前記触媒(B)(すなわち、(B1)又は(B2))として、P又はSiと、Moと、Vとを含み、且つ前記P又はSi(特に、P)1グラム原子に対し、Moを10.5〜11.9グラム原子(好ましくは10.8〜11.8グラム原子、さらに好ましくは11.2〜11.7グラム原子)、Vを0.1〜1.5グラム原子(好ましくは0.2〜1.2グラム原子、さらに好ましくは0.3〜0.8グラム原子)含有している触媒を用いる。このような触媒を用いると、パラジウム触媒の活性が向上するため、パラジウム触媒の使用量を低減できる。
【0025】
なお、触媒(B1)の場合には、組成の異なるヘテロポリ酸又はその塩を2種以上混合することにより、各元素の比率を上記の範囲に調整することができる。例えば、前記式A3+n[PMo12-nn40]で表されるリンバナドモリブデン酸又はその塩(n=1〜10)の組成の異なるものを2種以上混合したり、式A3+n[PMo12-nn40]で表されるリンバナドモリブデン酸又はその塩(n=1〜10)と、式A3PMo1240で表されるリンモリブデン酸又はその塩とを混合することにより、各元素の比率が上記の範囲に入る触媒を調製することができる。
【0026】
触媒(B)の使用量は、特に限定されないが、原料として用いる芳香族化合物(C)とオレフィン類又はアセチレン類(D)のうち少量用いる方の化合物1モルに対して、例えば、0.00001〜0.5モル、好ましくは0.0001〜0.1モル、さらに好ましくは0.001〜0.05モル程度である。
【0027】
[他の触媒成分等]
本発明の方法においては、アルカリ金属化合物若しくはアルカリ土類金属化合物、又は塩基(無機塩基、有機塩基)を系内に添加すると、目的の芳香族カップリング生成物(F)の収率が大幅に向上する。特に、塩基性のアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物が好ましい。これらの成分は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0028】
アルカリ金属化合物としては、例えば、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウムなどのアルカリ金属の有機酸塩(カルボン酸塩等);ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなどのアルカリ金属のアルコキシド;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属の炭酸水素塩;塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウムなどのアルカリ金属の鉱酸塩などが挙げられる。
【0029】
アルカリ土類金属化合物としては、例えば、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウムなどのアルカリ土類金属の有機酸塩(カルボン酸塩等);炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどのアルカリ土類金属の炭酸塩;塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウムなどのアルカリ土類金属の鉱酸塩などが挙げられる。
【0030】
上記のなかでも、酢酸ナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属の有機酸塩(カルボン酸塩等)が特に好ましい。
【0031】
前記アルカリ金属化合物等の使用量は、原料として用いる芳香族化合物(C)とオレフィン類又はアセチレン類(D)のうち少量用いる方の化合物1モルに対して、例えば、0.00001〜1.0モル、好ましくは0.0001〜0.5モル、さらに好ましくは0.001〜0.1モル程度である。
【0032】
また、本発明では、パラジウムに対して配位性を有する化合物(配位性化合物)を系内に添加すると、パラジウム化合物触媒の活性が高まり反応収率が大幅に向上する。配位性化合物としては、例えば、アセチルアセトン、ベンジリデンアセトン(ベンザルアセトン)、ジベンジリデンアセトンなどのカルボニル化合物;トリフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィンなどのホスフィン系化合物;シクロオクタジエン、シクロペンタジエンなどの非芳香族性不飽和化合物;芳香族系化合物などが挙げられる。
【0033】
前記配位性化合物の使用量は、原料として用いる芳香族化合物(C)とオレフィン類又はアセチレン類(D)のうち少量用いる方の化合物1モルに対して、例えば0.00001〜1.0モル、好ましくは0.0001〜0.5モル、さらに好ましくは0.001〜0.1モル程度である。
【0034】
[分子状酸素(E)]
分子状酸素(E)としては、特に限定されず、純粋な酸素を用いてもよく、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスで希釈した酸素や空気を使用してもよい。
【0035】
分子状酸素(E)の使用量は、原料として用いる芳香族化合物(C)とオレフィン類又はアセチレン類(D)のうち少量用いる方の化合物1モルに対して、通常0.5モル以上(例えば、1モル以上)、好ましくは1〜100モル、さらに好ましくは1〜50モル程度である。分子状酸素(E)は芳香族化合物(C)及びオレフィン類又はアセチレン類(D)に対して大過剰量用いてもよい。
【0036】
[芳香族化合物(C)]
本発明の方法において原料として用いる芳香族化合物(C)としては、酸化的カップリング反応が起こりうる部位(例えば、炭素−水素結合)を少なくとも1つ有する芳香族性環をもつ化合物であれば特に限定されない。芳香族性環は、芳香族炭化水素環、芳香族性複素環の何れであってもよく、芳香族性環は反応を阻害しない範囲で種々の置換基を有していてもよい。
【0037】
芳香族化合物(C)は、例えば、下記式(1)
Ar−H (1)
(式中、Arは芳香族性環式基を示す)
で表される。式(1)中、Arにおける芳香族性環式基には芳香族炭化水素基及び芳香族性複素環式基が含まれる。芳香族炭化水素基における芳香族炭化水素環及び芳香族性複素環式基における芳香族性複素環は、反応を阻害しない範囲で種々の置換基を有していてもよい。
【0038】
前記芳香族炭化水素環には、ベンゼン環、縮合炭素環(例えば、ナフタレン、アズレン、インダセン、アントラセン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレンなどの2〜10個の4〜7員炭素環が縮合した縮合炭素環など)などが含まれる。
【0039】
芳香族性複素環としては、例えば、ヘテロ原子として酸素原子を含む複素環(例えば、フラン、オキサゾール、イソオキサゾールなどの5員環、4−オキソ−4H−ピランなどの6員環、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、4−オキソ−4H−クロメンなどの縮合環など)、ヘテロ原子としてイオウ原子を含む複素環(例えば、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、チアジアゾールなどの5員環、4−オキソ−4H−チオピランなどの6員環、ベンゾチオフェンなどの縮合環など)、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環(例えば、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾールなどの5員環、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジンなどの6員環、インドール、キノリン、アクリジン、ナフチリジン、キナゾリン、プリンなどの縮合環など)などが挙げられる。
【0040】
前記芳香族性環(芳香族炭化水素環、芳香族性複素環)が有していてもよい置換基として、例えば、アルキル基(メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル基などのC1-4アルキル基等)、アルケニル基(ビニル、アリル基などのC1-4アルケニル基等)、アルキニル基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基(フェニル基、ナフチル基等)、アシル基、複素環式基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、置換オキシ基(例えば、メトキシ基等のC1-4アルコキシ基などのアルコキシ基、フェノキシ基などのアリールオキシ基、アセチルオキシ基などのアシルオキシ基等)、置換チオ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル基などのC1-4アルコキシ−カルボニル基などのアルコキシカルボニル基等)、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、置換又は無置換アミノ基(アミノ基、N,N−ジメチルアミノ基などのN,N−ジC1-4アルキルアミノ基等)、スルホ基、これらが複数個結合した基などが挙げられる。
【0041】
芳香族化合物(C)の代表的な例として、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、スチレン、フェニルアセチレン、ビフェニル、アセトフェノン、ベンゾフェノン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、フェノール、アニソール、ジフェニルエーテル、酢酸フェニル、安息香酸、無水フタル酸、フタルイミド、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸アミド、ベンゾニトリル、ニトロベンゼン、アニリン、N,N−ジメチルアニリンなどのベンゼン及びその誘導体;ナフタレン、アズレン、インダセン、アントラセン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレンなどのベンゼン環が複数個縮合した芳香族炭化水素及びその誘導体(ナフトキノンやアントラキノンなど);ピリジン、フラン、チオフェンなどの芳香族複素環化合物などが挙げられる。
【0042】
[オレフィン類若しくはアセチレン類(D)]
原料として用いるオレフィン類、アセチレン類(D)は、例えば、それぞれ下記式(2a)、(2b)で表される。
【化1】
Figure 0004322023
(式中、Ra、Rb、Rc、Rdは、それぞれ水素原子又は有機基を示す。Ra、Rb、Rcは、それぞれ互いに結合して、隣接する1又は2個の炭素原子とともに環を形成してもよい)
【0043】
前記有機基としては、反応を損なわないような基であればよく、例えば、炭化水素基、複素環式基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アルコキシ基、ハロゲン原子、N−置換又は無置換アミノ基、アシル基及びこのカルボニル基保護体、置換オキシカルボニル基、カルボキシル基、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、置換又は無置換イミノアルキル基、ニトロ基、硫黄酸基、硫黄酸エステル基などが挙げられる。ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基などは慣用の保護基で保護されていてもよい。
【0044】
前記炭化水素基には、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基が含まれる。脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ビニル、アリル、1−プロペニル、エチニル基などの炭素数1〜20(好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜6)程度の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基(アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基)などが挙げられる。
【0045】
脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロオクチル、シクロデシル、シクロドデシル基などの炭素数3〜20(好ましくは炭素数3〜15)程度の脂環式炭化水素基(シクロアルキル基、シクロアルケニル基等)などが挙げられる。
【0046】
芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル、ナフチル基などの炭素数6〜20程度の芳香族炭化水素基などが挙げられる。
【0047】
これらの炭化水素基は、種々の置換基、例えば、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子)、オキソ基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシメチル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基、置換オキシカルボニル基、置換又は無置換カルバモイル基、ニトロ基、アシル基、シアノ基、アルキル基(例えば、メチル、エチル基などのC1-4アルキル基など)、シクロアルキル基、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル基など)、複素環式基などを有していてもよい。前記保護基としては、有機合成の分野で慣用の保護基を使用できる。
【0048】
前記有機基のうち複素環式基を構成する複素環には、芳香族性複素環及び非芳香族性複素環が含まれる。このような複素環としては、例えば、ヘテロ原子として酸素原子を含む複素環(例えば、フラン、テトラヒドロフラン、オキサゾール、イソオキサゾールなどの5員環、4−オキソ−4H−ピラン、テトラヒドロピラン、モルホリンなどの6員環、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、4−オキソ−4H−クロメン、クロマン、イソクロマンなどの縮合環など)、ヘテロ原子としてイオウ原子を含む複素環(例えば、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、チアジアゾールなどの5員環、4−オキソ−4H−チオピランなどの6員環、ベンゾチオフェンなどの縮合環など)、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環(例えば、ピロール、ピロリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾールなどの5員環、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペリジン、ピペラジンなどの6員環、インドール、インドリン、キノリン、アクリジン、ナフチリジン、キナゾリン、プリンなどの縮合環など)などが挙げられる。これらの複素環式基は、置換基(例えば、前記炭化水素基が有していてもよい置換基と同様の基)を有していてもよい。
【0049】
前記有機基のうちアルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ基などの炭素数1〜6程度のアルコキシ基などが挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素原子が挙げられる。N−置換アミノ基には、例えば、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、ピペリジノ基などが含まれる。アシル基としては、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、(メタ)アクリロイル、シクロペンタンカルボニル、シクロヘキサンカルボニル、ベンゾイル、ナフトイル、ピリジルカルボニル基などの脂肪族、脂環式、芳香族又は複素環式アシル基が挙げられる。アシル基のカルボニル保護体としては、ジメチルアセタール、ジエチルアセタール、1,3−ジオキサン、1,3−ジオキソラン等のアセタール体;S,S′−ジメチルジチオアセタールなどのジチオアセタール体などが挙げられる。
【0050】
置換オキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ビニルオキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、フェノキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、ピリジルオキシカルボニル基、アシルオキシカルボニル基(酸無水物基)などが挙げられる。
【0051】
置換又は無置換カルバモイル基としては、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、1−ピロリジニルカルボニル、ピペリジノカルボニルなどが挙げられる。硫黄酸基には、スルホン酸基、スルフィン酸基などが含まれる。硫黄酸エステル基には、スルホン酸メチル、スルホン酸エチル基などのスルホン酸エステル基、スルフィン酸メチル、スルフィン酸エチル基などのスルフィン酸エステル基などが含まれる。
【0052】
a、Rb、Rcがそれぞれ互いに結合して、隣接する1又は2個の炭素原子とともに形成する環としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロオクタン、シクロドデカン、ノルボルネン環などの3〜20員程度の脂環式炭素環(シクロアルカン環、シクロアルケン環、橋かけ炭素環等)などが挙げられる。これらの環は置換基を有していてもよく、また他の環(非芳香族性環又は芳香族性環)が縮合していてもよい。
【0053】
好ましいRa、Rb、Rc、Rdには、水素原子、炭化水素基[例えば、C1-20脂肪族炭化水素基(特にC1-10脂肪族炭化水素基など)、C6-20アリール基(フェニル基、ナフチル基など)、シクロアルキル基(3〜8員程度のシクロアルキル基など)、ハロアルキル基(例えば、トリフルオロメチル基などのC1-6ハロアルキル基、特にC1-4ハロアルキル基)など]、複素環式基、置換オキシカルボニル基(例えば、C1-6アルコキシ−カルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基など)、カルボキシル基、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、硫黄酸基、硫黄酸エステル基、アシル基などが含まれる。
【0054】
また、Ra、Rb、Rcのうち少なくとも1つは電子吸引性基であるのが好ましい。電子吸引基としては、前記アシル基又はこのカルボニル保護体、置換オキシカルボニル基、カルボキシル基、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、置換又は無置換イミノアルキル基、ニトロ基、硫黄酸基、硫黄酸エステル基、及びフェニル基、ナフチル基などのアリール基、3−ピリジル基などの芳香族性複素環式基、ビニル、1−プロペニル、エチニル基などの1−アルケニル基又は1−アルキニル基、トリフルオロメチル基などのハロアルキル基等が挙げられる。
【0055】
式(2a)で表されるオレフィン類としては、α−オレフィン及び内部オレフィンの何れであってもよい。また、オレフィン類にはジエンなど炭素−炭素二重結合を複数個有するオレフィン類も含まれる。オレフィン類の代表的な例として、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、3−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、2−オクテン、3−オクテン、4−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、3−ビニルピリジン、3−ビニルフラン、3−ビニルチオフェン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル類[(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなど]、クロトン酸エステル類(クロトン酸メチル、クロトン酸エチルなど)、3−フェニル(メタ)アクリル酸エステル類[3−フェニル(メタ)アクリル酸メチル、3−フェニル(メタ)アクリル酸エチルなど]、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸エステル類(マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジイソプロピルなど)、フマル酸エステル類(フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジイソプロピルなど)などのα,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体、(メタ)アクリロニトリル、アクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、ゲラニオール、α,β−不飽和ケトン類[メチルビニルケトン、ジビニルケトン、ベンジリデンアセトン、ジベンジリデンアセトンなど]等の鎖状オレフィン類(アルケン類);シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、シクロデセン、シクロドデセン、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、シクロオクタジエンなどの環状オレフィン類(シクロアルケン類、炭素−炭素二重結合を有する橋かけ環式炭化水素類)などが挙げられる。
【0056】
式(2b)で表されるアセチレン類としては、例えば、アセチレン、1−プロピン、1−ブチン、1−ペンチン、1−ヘキシン、1−ヘプチン、1−オクチン、フェニルアセチレン、プロピオール酸エステル類(例えば、プロピオール酸メチル、プロピオール酸エチル、プロピオール酸イソプロピル、プロピオール酸プロピル、プロピオール酸ブチルなど)などが挙げられる。
【0057】
[反応]
反応は溶媒の存在下又は非存在下で行われる。溶媒は原料として用いる芳香族化合物(C)及びオレフィン類又はアセチレン類(D)の種類等により適宜選択できる。溶媒として、例えば、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸などのカルボン酸等の有機酸;ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ニトロメタン、ニトロエタンなどのニトロ化合物;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの鎖状又は環状エーテル類;エタノール、プロパノール、ブタノール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類;ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素;水;これらの混合溶媒などが挙げられる。これらの溶媒のなかでも、プロトン性の溶媒、例えば、カルボン酸等の有機酸などが好ましい。
【0058】
芳香族化合物(C)[例えば、前記式(1)で表される芳香族化合物]とオレフィン類又はアセチレン類(D)[例えば、前記式(2a)又は(2b)で表される化合物]との比率は、両化合物の種類や組み合わせなどに応じて適宜選択できるが、反応性などの点から、通常、前者/後者(モル比)=0.8〜50程度、好ましくは1.5〜30程度、さらに好ましくは2〜20程度である。
【0059】
オレフィン類等の重合を防止するため、反応系内にハイドロキノンなどの重合禁止剤を添加してもよい。
【0060】
本発明の方法では、比較的温和な条件であっても円滑に反応が進行する。反応温度は、原料化合物の種類等に応じて適宜選択できるが、通常、0〜200℃、好ましくは40〜150℃、さらに好ましくは60〜120℃程度である。反応は常圧で行ってもよく、加圧下で行ってもよい。反応圧力は、例えば0.1〜5MPa、好ましくは0.1〜2MPaであり、常圧(0.1MPa)であっても充分に反応は進行する。反応は、酸素雰囲気下又は酸素流通下、回分式、半回分式、連続式などの慣用の方法により行うことができる。
【0061】
この方法によれば、芳香族化合物(C)とオレフィン類又はアセチレン類(D)との酸化的カップリング反応が進行し、対応するアルケニル基(1−アルケニル基)又はアルキニル基(1−アルキニル基)を有する芳香族化合物(F)が生成する。例えば、芳香族化合物(C)として前記式(1)で表される化合物を用い、オレフィン類又はアセチレン類(D)として前記式(2a)又は(2b)で表される化合物を用いた場合には、下記式(3a)又は(3b)で表される化合物がそれぞれ生成する。
【化2】
Figure 0004322023
(式中、Ar、Ra、Rb、Rc、Rdは前記に同じ)
【0062】
なお、反応条件により、1分子のオレフィン類又はアセチレン類(D)に2分子以上の芳香族化合物(C)が酸化的にカップリングした化合物や、1分子の芳香族化合物(C)に2分子以上のオレフィン類又はアセチレン類(D)が酸化的にカップリングした化合物が生成しうる。特に溶媒としてプロピオン酸などの炭素数3以上のカルボン酸を用いた場合には、反応速度が速い上、1分子のオレフィン類又はアセチレン類(D)に2分子以上の芳香族化合物(C)が酸化的にカップリングした化合物が生成しやすい。
【0063】
反応終了後、反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、吸着、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段やこれらを組み合わせることにより分離精製できる。
【0064】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、分子状酸素を用いた芳香族化合物とオレフィン類又はアセチレン類の酸化的カップリング反応において、触媒としてパラジウム化合物と特定の化合物とを組み合わせて用いるので、温和な条件下でも、対応するアルケニル基又はアルキニル基を有する芳香族化合物を効率よく製造することができる。
【0065】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0066】
実施例1
フラスコに、ベンゼン15ミリモル、アクリル酸エチル2ミリモル、酢酸パラジウム(II)0.1ミリモル、ハイドロキノン0.4ミリモル、H7PMo8440 0.02ミリモル、及び酢酸5mlを入れ、温度を90℃に保ちながら1気圧(0.1MPa)の酸素雰囲気下で15時間攪拌した。反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、桂皮酸エチルが収率26%、3,3−ジフェニルアクリル酸エチルが収率2%、3−アセトキシアクリル酸エチルが収率9%で生成していた。
【0067】
実施例2
フラスコに、ベンゼン15ミリモル、アクリロニトリル2ミリモル、酢酸パラジウム(II)0.1ミリモル、ハイドロキノン0.4ミリモル、H7PMo8440 0.02ミリモル、及び酢酸5mlを入れ、温度を90℃に保ちながら1気圧(0.1MPa)の酸素雰囲気下で15時間攪拌した。反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、3−フェニルアクリロニトリルが収率20%で生成していた。
【0068】
実施例3
フラスコに、ベンゼン15ミリモル、スチレン2ミリモル、酢酸パラジウム(II)0.1ミリモル、ハイドロキノン0.4ミリモル、H7PMo8440 0.02ミリモル、及び酢酸5mlを入れ、温度を90℃に保ちながら1気圧(0.1MPa)の酸素雰囲気下で15時間攪拌した。反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、スチルベンが収率28%で生成していた。
【0069】
実施例4
フラスコに、ベンゼン15ミリモル、アクリル酸イソブチル2ミリモル、酢酸パラジウム(II)0.1ミリモル、ハイドロキノン0.4ミリモル、H7PMo8440 0.02ミリモル、及び酢酸5mlを入れ、温度を90℃に保ちながら1気圧(0.1MPa)の酸素雰囲気下で15時間攪拌した。反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、桂皮酸イソブチルが収率63%で生成していた。
【0070】
実施例5
フラスコに、ベンゼン15ミリモル、アクリル酸ブチル2ミリモル、酢酸パラジウム(II)0.1ミリモル、ハイドロキノン0.4ミリモル、H7PMo8440 0.02ミリモル、及び酢酸5mlを入れ、温度を90℃に保ちながら1気圧(0.1MPa)の酸素雰囲気下で15時間攪拌した。反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、桂皮酸ブチルが収率47%で生成していた。
【0071】
実施例6
フラスコに、ベンゼン15ミリモル、アクリル酸メチル2ミリモル、酢酸パラジウム(II)0.1ミリモル、ハイドロキノン0.4ミリモル、H7PMo8440 0.02ミリモル、及び酢酸5mlを入れ、温度を90℃に保ちながら1気圧(0.1MPa)の酸素雰囲気下で15時間攪拌した。反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、桂皮酸メチルが収率54%で生成していた。
【0072】
実施例7
フラスコに、ベンゼン15ミリモル、アクリル酸エチル1.5ミリモル、酢酸パラジウム(II)0.1ミリモル、H7PMo8440 0.02ミリモル、酢酸ナトリウム0.08ミリモル、アセチルアセトン0.1ミリモル及び酢酸5mlを入れ、温度を90℃に保ちながら1気圧(0.1MPa)の酸素雰囲気下で6時間攪拌した。反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、桂皮酸エチルが収率63%、3,3−ジフェニルアクリル酸エチルが収率5%、3−アセトキシアクリル酸エチルが収率12%で生成していた。
【0073】
実施例8
フラスコに、ベンゼン30ミリモル、アクリル酸エチル1.5ミリモル、酢酸パラジウム(II)0.1ミリモル、H7PMo8440 0.02ミリモル、酢酸ナトリウム0.08ミリモル、アセチルアセトン0.1ミリモル及びプロピオン酸5mlを入れ、温度を90℃に保ちながら1気圧(0.1MPa)の酸素雰囲気下で3時間攪拌した。反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、桂皮酸エチルが収率72%、3,3−ジフェニルアクリル酸エチルが収率10%で生成していた。
【0074】
実施例9
反応時間を6時間とした以外は実施例8と同様の操作を行った。反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、桂皮酸エチルが収率8%、3,3−ジフェニルアクリル酸エチルが収率73%で生成していた。
【0075】
実施例10
フラスコに、ベンゼン30ミリモル、3−フェニルアクリル酸エチル1.5ミリモル、酢酸パラジウム(II)0.1ミリモル、H7PMo8440 0.02ミリモル、酢酸ナトリウム0.08ミリモル、アセチルアセトン0.1ミリモル及びプロピオン酸5mlを入れ、温度を90℃に保ちながら1気圧(0.1MPa)の酸素雰囲気下で3時間攪拌した。反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、3,3−ジフェニルアクリル酸エチルが収率84%で生成していた。
【0076】
実施例11
フラスコに、ベンゼン30ミリモル、ベンザルアセトン1.5ミリモル、酢酸パラジウム(II)0.1ミリモル、H7PMo8440 0.02ミリモル、酢酸ナトリウム0.08ミリモル、アセチルアセトン0.1ミリモル及びプロピオン酸5mlを入れ、温度を90℃に保ちながら1気圧(0.1MPa)の酸素雰囲気下で3時間攪拌した。反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、メチル−(2,2−ジフェニルエテニル)−ケトンが収率70%で生成していた。
【0077】
実施例12
フラスコに、トルエン30ミリモル、アクリル酸エチル1.5ミリモル、酢酸パラジウム(II)0.1ミリモル、H7PMo8440 0.02ミリモル、酢酸ナトリウム0.08ミリモル、アセチルアセトン0.1ミリモル及びプロピオン酸5mlを入れ、温度を90℃に保ちながら1気圧(0.1MPa)の酸素雰囲気下で2.5時間攪拌した。反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、3−[(o,m又はp)−メチルフェニル]アクリル酸エチルが収率70%(o体:m体:p体=15:42:43)で生成していた。
【0078】
実施例13
フラスコに、クロロベンゼン30ミリモル、アクリル酸エチル1.5ミリモル、酢酸パラジウム(II)0.1ミリモル、H7PMo8440 0.02ミリモル、酢酸ナトリウム0.08ミリモル、アセチルアセトン0.1ミリモル及びプロピオン酸5mlを入れ、温度を90℃に保ちながら1気圧(0.1MPa)の酸素雰囲気下で6時間攪拌した。反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、3−[(o,m又はp)−クロロフェニル]アクリル酸エチルが収率68%(o体:m体:p体=27:40:44)で生成していた。
【0079】
実施例14
フラスコに、ブロモベンゼン30ミリモル、アクリル酸エチル1.5ミリモル、酢酸パラジウム(II)0.1ミリモル、H7PMo8440 0.02ミリモル、酢酸ナトリウム0.08ミリモル、アセチルアセトン0.1ミリモル及びプロピオン酸5mlを入れ、温度を90℃に保ちながら1気圧(0.1MPa)の酸素雰囲気下で7時間攪拌した。反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、3−[(o,m又はp)−ブロモフェニル]アクリル酸エチルが収率49%(o体:m体:p体=38:35:27)、桂皮酸エチルが収率4%で生成していた。
【0080】
実施例15
フラスコに、ナフタレン5ミリモル、アクリル酸エチル1.5ミリモル、酢酸パラジウム(II)0.1ミリモル、H7PMo8440 0.02ミリモル、酢酸ナトリウム0.08ミリモル、アセチルアセトン0.1ミリモル及びプロピオン酸5mlを入れ、温度を90℃に保ちながら1気圧(0.1MPa)の酸素雰囲気下で4時間攪拌した。反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、3−ナフチルアクリル酸エチルが収率42%(α体:β体=66:34)で生成していた。
【0081】
実施例16
フラスコに、フラン3ミリモル、アクリル酸エチル1.5ミリモル、酢酸パラジウム(II)0.1ミリモル、H7PMo8440 0.02ミリモル、酢酸ナトリウム0.08ミリモル、アセチルアセトン0.1ミリモル及びプロピオン酸5mlを入れ、温度を50℃に保ちながら1気圧(0.1MPa)の酸素雰囲気下で3時間攪拌した。反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、3−(2−フリル)アクリル酸エチルが収率51%、2,5−ビス(2−エトキシカルボニルエテニル)フランが収率18%で生成していた。
【0082】
実施例17
フラスコに、ベンゼン45ミリモル、アクリル酸エチル3ミリモル、酢酸パラジウム(II)0.03ミリモル、H3PMo1240 0.02ミリモル、酢酸ナトリウム0.08ミリモル、アセチルアセトン0.03ミリモル及びプロピオン酸5mlを入れ、温度を90℃に保ちながら1気圧(0.1MPa)の酸素雰囲気下で12時間攪拌した。反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、桂皮酸エチルが収率19%、3,3−ジフェニルアクリル酸エチルが収率1%で生成していた。
【0083】
実施例18
フラスコに、ベンゼン45ミリモル、アクリル酸エチル3ミリモル、酢酸パラジウム(II)0.03ミリモル、H4PMo11140 0.02ミリモル、酢酸ナトリウム0.08ミリモル、アセチルアセトン0.03ミリモル及びプロピオン酸5mlを入れ、温度を90℃に保ちながら1気圧(0.1MPa)の酸素雰囲気下で12時間攪拌した。反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、桂皮酸エチルが収率66%、3,3−ジフェニルアクリル酸エチルが収率10%で生成していた。
【0084】
実施例19
フラスコに、ベンゼン45ミリモル、アクリル酸エチル3ミリモル、酢酸パラジウム(II)0.03ミリモル、H3PMo1240 0.01ミリモル、H4PMo11140 0.01ミリモル、酢酸ナトリウム0.08ミリモル、アセチルアセトン0.03ミリモル及びプロピオン酸5mlを入れ、温度を90℃に保ちながら1気圧(0.1MPa)の酸素雰囲気下で12時間攪拌した。反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、桂皮酸エチルが収率73%、3,3−ジフェニルアクリル酸エチルが収率8%で生成していた。
【0085】
実施例20
反応時間を24時間とした以外は実施例19と同様の操作を行った。反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、桂皮酸エチルが収率27%、3,3−ジフェニルアクリル酸エチルが収率54%で生成していた。
【0086】
実施例21
フラスコに、チオフェン5ミリモル、アクリル酸エチル1.5ミリモル、酢酸パラジウム(II)0.1ミリモル、H7PMo8440 0.02ミリモル、酢酸ナトリウム0.08ミリモル、アセチルアセトン0.1ミリモル及びプロピオン酸5mlを入れ、温度を90℃に保ちながら1気圧(0.1MPa)の酸素雰囲気下で6時間攪拌した。反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、3−(2−チエニル)アクリル酸エチルが収率60%で生成していた。

Claims (2)

  1. パラジウム化合物触媒(A)と、下記式
    3+n [PMo 12-n n 40
    (式中、Aは水素原子、NH 4 、アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選択された少なくとも1種を示し、nは0〜10の整数である)
    で表されるリンバナドモリブデン酸若しくはリンモリブデン酸又はそれらの塩からなる触媒(B11)の存在下、下記式(1)
    Ar−H (1)
    (式中、Arは芳香族性環式基を示す)
    で表される芳香族化合物(C1)と下記式(2a′)
    Figure 0004322023
    (式中、R a 、R b 、R c は、それぞれ水素原子、C 1-20 脂肪族炭化水素基、C 6-20 アリール基、3〜8員のシクロアルキル基、C 1-6 ハロアルキル基、複素環式基、置換オキシカルボニル基、カルボキシル基、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、硫黄酸基、硫黄酸エステル基、アシル基から選択された基を示す。R a 、R b 、R c は、それぞれ互いに結合して、隣接する1又は2個の炭素原子とともに3〜20員の脂環式炭素環を形成してもよい。但し、R a 、R b 、R c のうち少なくとも1つは、アシル基、置換オキシカルボニル基、カルボキシル基、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、硫黄酸基、硫黄酸エステル基、C 6-20 アリール基、芳香族性複素環式基、炭素数2〜20の1−アルケニル基又は1−アルキニル基、C 1-6 ハロアルキル基から選択された電子吸引性基である)
    で表されるオレフィン類(D1)と分子状酸素(E)とを反応させて、アルケニル基が前記芳香族化合物(C1)の芳香環に酸化的カップリングした対応する下記式(3a′)
    Figure 0004322023
    (式中、Ar、R a 、R b 、R c は前記に同じ)
    で表される芳香族化合物(F1)、または、1分子のオレフィン類(D1)に2分子以上の芳香族化合物(C1)が酸化的にカップリングした化合物(F2)、または、1分子の芳香族化合物(C1)に2分子以上のオレフィン類(D1)が酸化的にカップリングした化合物(F3)を生成させることを特徴とする芳香族化合物の製造法。
  2. パラジウム化合物触媒(A)と、Pと、Moと、Vとを含み、且つ前記P1グラム原子に対し、Moを10.5〜11.9グラム原子、Vを0.1〜1.5グラム原子含有するヘテロポリ酸若しくはその塩からなる触媒(B12)の存在下、下記式(1)
    Ar−H (1)
    (式中、Arは芳香族性環式基を示す)
    で表される芳香族化合物(C1)と下記式(2a′)
    Figure 0004322023
    (式中、R a 、R b 、R c は、それぞれ水素原子、C 1-20 脂肪族炭化水素基、C 6-20 アリール基、3〜8員のシクロアルキル基、C 1-6 ハロアルキル基、複素環式基、置換オキシカルボニル基、カルボキシル基、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、硫黄酸基、硫黄酸エステル基、アシル基から選択された基を示す。R a 、R b 、R c は、それぞれ互いに結合して、隣接する1又は2個の炭素原子とともに3〜20員の脂環式炭素環を形成してもよい。但し、R a 、R b 、R c のうち少なくとも1つは、アシル基、置換オキシカルボニル基、カルボキシル基、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、硫黄酸基、硫黄酸エステル基、C 6-20 アリール基、芳香族性複素環式基、炭素数2〜20の1−アルケニル基又は1−アルキニル基、C 1-6 ハロアルキル基から選択された電子吸引性基である)
    で表されるオレフィン類(D1)と分子状酸素(E)とを反応させて、アルケニル基が前記芳香族化合物(C1)の芳香環に酸化的カップリングした対応する下記式(3a′)
    Figure 0004322023
    (式中、Ar、R a 、R b 、R c は前記に同じ)
    で表される芳香族化合物(F1)、または、1分子のオレフィン類(D1)に2分子以上の芳香族化合物(C1)が酸化的にカップリングした化合物(F2)、または、1分子の芳香族化合物(C1)に2分子以上のオレフィン類(D1)が酸化的にカップリングした化合物(F3)を生成させることを特徴とする芳香族化合物の製造法。
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