JP4321105B2

JP4321105B2 - Polylactic acid film

Info

Publication number: JP4321105B2
Application number: JP2003131285A
Authority: JP
Inventors: 延久山根; 崇志吉田; 政之新沢
Original assignee: Toray Industries Inc
Current assignee: Toray Industries Inc
Priority date: 2003-05-09
Filing date: 2003-05-09
Publication date: 2009-08-26
Anticipated expiration: 2023-05-09
Also published as: JP2004331860A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐スクラッチ性の良好なポリ乳酸系フィルムに関するものである。さらに詳しくは紙、フィルム、金属等の素材からなる印刷物表面にラミネートして用いるのに好適であり、たとえば本、雑誌などの出版物、化粧品、菓子、玩具、スポーツ用品等の包装箱等、家具、建材、電化製品等の表層に好ましく用いることができる。本発明のポリ乳酸系フィルムは、貼り合わせたフィルム面が擦れた際にもフィルム表面に傷がつきにくいといった特徴を有する。
【０００２】
【従来の技術】
従来から、印刷物にフィルムをラミネートしたプリントラミ用途には、ポリオレフィン系フィルム、ポリエステル系フィルムなどが用いられているが、近年、環境意識の高まりから非石油原料素材、生分解性素材などが注目されており、プリントラミ用にもポリ乳酸系フィルムが用いた例が見られるようになった。
【０００３】
たとえば、特許文献１には、ゴルフボール用包装箱に、ポリ乳酸系フィルムが貼り合わせて用いられた例が示されている。この包装箱には内容物が外から見えるよう窓があけられ、窓部分にはポリ乳酸系フィルムが用いられたものである。この文献では、ゴルフボールが輸送中に、ある程度中箱内で動くために、窓に貼り付けたフィルムに当たってフィルムを傷つけるという問題があり、ポリエチレン、ポリプロピレンに代わってポリ乳酸フィルムを用いた場合には箱の窓部分に傷や折れ目が入らないという効果を例示している。確かにこの文献が示すゴルフボールとフィルムとの擦れによる傷に対しては従来のポリ乳酸系フィルムで有効であるが、本発明の目的であるフィルムとフィルムが面で接触して擦れあい、傷が発生するという問題点を解消するには不十分であった。
【０００４】
ポリ乳酸フィルム表面の傷発生を抑制した例としては、特許文献２，３が挙げられる。これらの例ではポリ乳酸等のポリエステルフィルムの表面粗さ等を特定の範囲とすることによって、フィルムの製造工程、離型層形成時等の加工時にフィルムに傷が発生したり、削れるなどの問題点を解消したものである。これらの例では摩擦係数を考慮していないため、本発明の課題の耐スクラッチ性の改善には不十分なものであった。
【０００５】
また、特許文献４には、フィルムの製造工程などでフィルムを巻き取る際の皺発生を抑制する目的でポリ乳酸にアンチブロッキング剤を特定量添加した例が示されている。この例では、本発明の目的である耐スクラッチ性を十分改良できる具体的な例はなく、さらにはそのための具体的な手法についての記載はない。
【０００６】
特許文献５は、フィルム加工時のハンドリング性を良くする目的で、紙とポリ乳酸系フィルムの滑り性、フィルムの表面固有比抵抗を所定の範囲内にすることについて開示している。具体的な達成手段としては、帯電防止剤をインラインコーティングする手法が挙げられているが、本発明の課題である耐スクラッチ性解決には不十分であり、特許文献５は本発明とは目的・手段が異なるだけでなく、本発明の意図する耐スクラッチ性を改善する手段について十分な開示がなされたものではなかった。
【０００７】
また、従来のプリントラミ用途向けポリプロピレンフィルムで耐スクラッチ性改善のために添加される有機滑剤としては、たとえばステアリン酸モノジグリセライドなどがその代表例として挙げられるが、本願発明の目的を達するに十分な効果を得ることができないものであった。
【０００８】
【特許文献１】
特開２００１−１９２０２３号公報
【０００９】
【特許文献２】
特開２００１−３２３０７９号公報
【００１０】
【特許文献３】
特開２００１−３１０３１３号公報
【００１１】
【特許文献４】
特開２００２−１４６０６４号公報
【００１２】
【特許文献５】
特開２００３−２５４２７号公報
【００１３】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記した従来技術の問題点を解消することにあり、耐スクラッチ性の良好なポリ乳酸系フィルムを提供することにある。
【００１４】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、次の構成を有する。すなわち、Ｓ面を形成する層（Ａ層）にアミド系有機滑剤を０．３〜０．５重量％含有し、フィルム中に無機粒子を０．０１〜１重量％含有し、少なくとも片面（Ｓ面）同士の静摩擦係数が０．０５〜０．４の範囲であり、かつＳ面の表面粗さＲａが１５〜３００ｎｍの範囲であり、かつヘイズが３％以下であり、かつＳ面の光沢度が１２０〜１８０％の範囲であり、かつ少なくともフィルムの長手方向または幅方向のいずれか一方向の破断伸度が１００〜３００％の範囲のポリ乳酸系フィルムである。
【００１５】
【発明の実施の形態】
本発明のポリ乳酸系フィルムにおいて用いられるポリ乳酸系樹脂としては、ポリ乳酸またはＬ−乳酸、Ｄ−乳酸などの乳酸からなる重合体、あるいは他のヒドロキシカルボン酸との共重合体が挙げられる。他のヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、３−ヒドロキシ酪酸、４−ヒドロキシ酪酸、３−ヒドロキシ吉草酸、４−ヒドロキシ吉草酸、６−ビドロキシカプロン酸などが代表的に挙げられる。ポリ乳酸系樹脂は単独で用いても良いが、２種類以上の混合物であってもかまわない。
【００１６】
高い耐熱性と透明性を発現する上で、また抗菌性、防かび性などの衛生性の点からも、本発明のポリ乳酸系フィルムは、ポリ乳酸系樹脂全体に対し、乳酸またはＬ−乳酸、Ｄ−乳酸などの乳酸からなる重合体の割合が９０モル％以上であることが好ましく、特に物性の長期安定性を有する点、耐ブロッキング特性を良好とする面からは、なかでもＬ−乳酸の割合が９５モル％以上であることが好ましい。
【００１７】
また、本発明においては、ポリ乳酸系フィルムの融点が１５０℃以上であることが好ましい。特に印刷物へのラミネート加工などの加工適正を良好とするためには、ポリ乳酸系フィルムの融点はさらに好ましくは１６０℃以上であり、特に好ましくは１６５℃以上である。融点が低温であると耐熱性が悪く、加工時の乾燥工程などでシワが発生したりするなどの問題が発生するためである。なお、融点は特に上限はないが、好ましくは３００℃以下である。
【００１８】
本発明のポリ乳酸系フィルムは、少なくともＳ面同士（Ｓ面／Ｓ面）の静摩擦係数が０．０５〜０．４の範囲であることが必要である。ここで、「Ｓ面」とは、フィルムを印刷物等に貼り合わせた際に、接着面とは反対側の表層となる側の面のことをいう。ラミネート加工時や本などに加工され積み重ねられた際には、表面のＳ面同士が擦れあうが、静摩擦係数がこの範囲を越えると滑りが悪いために表面に傷が付きやすく、またこの範囲未満であると取り扱い性が悪く、たとえば製品を重ねた際に荷崩れの原因となるなどのため、いずれの場合も特にプリントラミ用途にした場合には不適当である。上記静摩擦係数の範囲は、好ましくは０．０５〜０．３５の範囲であり、特に好ましくは０．０５〜０．３の範囲である。
【００１９】
さらに、Ｓ面の表面粗さＲａは１５〜３００ｎｍの範囲であることが必要である。上記下限値未満では、表面の粗さが不十分であり、表面の接触面積が大きくなるため、擦れた際の傷発生が顕著となる。逆に上記上限値よりも大きいと、表面の突起起因の傷発生や粒子の脱落等による傷発生が顕著となるため本発明の目的を達成することができない。ここで、表面粗さＲａとは中心線平均粗さのことであり、この定義はたとえば奈良治郎著「表面粗さの評価法」（総合技術センタ、１９８３）などの文献に示されている。上記Ｒａの範囲は好ましくは１５〜２００ｎｍであり、さらに好ましくは１５〜４５ｎｍ、特に好ましくは１５〜３０ｎｍの範囲である。
【００２０】
また、上記の静摩擦係数、表面粗さを達成する上では、Ｓ面を形成する層（Ａ層）には滑剤などの添加剤を含有させることが好ましい。好ましい滑剤としては、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、N-オレイルパルミトアミド、N-ステアリルエルカアミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド等のアミド系有機滑剤、また、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、エルカ酸メチル、べへニン酸メチル、ラウリン酸ブチル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ヤシ脂肪酸オクチルエステル、ステアリン酸オクチル、ラウリン酸ラウリル、長ステアリン酸ステアリル、長鎖脂肪酸高級アルコールエステル、べへニン酸べへニン、ミリスチン酸セチル等のモノエステル系有機滑剤、さらにはステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸鉛、オレイン酸ソーダ、ラウリン酸バリウム、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸塩、シリコン系化合物、カルナウバワックス、キャンデリラワックスなどが挙げられる。なかでもアミド系滑剤が優れた滑り性の発現、耐ブリードアウト性などの点から好適に使用することが可能である。
【００２１】
有機滑剤のフィルム中への好ましい添加量としては、０．１〜０．５重量％の範囲であり、さらに好ましくは０．３〜０．５重量％、特に好ましくは０．３２〜０．４５重量％の範囲である。
【００２２】
また、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、カオリン、タルク、アルミナ、ジルコニア、スピネル、湿式あるいは乾式シリカなどの無機粒子、アクリル酸系ポリマー類、ポリスチレン等を構成成分とする有機粒子等を配合することが可能であり、なかでも分散性等の点からシリカ、アルミナ等の無機粒子を好ましく用いることができる。これら無機粒子、有機粒子の粒子径は表面粗さ等の物性が上述の範囲である限り任意とすることが可能であるが、好ましくは０．０１〜５μｍ、より好ましくは０．１〜３μｍの粒径である。また、無機粒子、有機粒子のフィルムへの添加量は、０．００１〜３０重量％の範囲であり、より好ましくは０．０１〜１重量％の範囲である。
【００２３】
また、本発明のポリ乳酸系フィルムには、好ましくは３０重量％以下の範囲、特に好ましくは５重量％以下の範囲で、可塑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、着色防止剤などの各種添加剤や改質剤、さらには脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリオレフィンなどのポリマーを含有させてもよい。
【００２４】
本発明のポリ乳酸系フィルムは、ヘイズが３％以下である。好ましくは１％以下である。ヘイズが低いと透明性が良好であるので、裏面の印刷等の視認性が良好となるため好ましい。
【００２５】
また、Ｓ面の光沢度は、１２０〜１８０％の範囲である。好ましくは１２５〜１４５％の範囲である。ヘイズ、光沢度を上記範囲に設定するためには、フィルムに用いる０．１μｍ以上の大きさ、分散径を有する添加剤、改質剤、また非相溶な異種ポリマーの添加量を抑制し、たとえばポリ乳酸系樹脂に対して１重量％以下とするなどの方法が挙げられる。
【００２６】
また、本発明のポリ乳酸系フィルムは、少なくともフィルムの長手方向または幅方向のいずれか一方向の破断伸度が１００〜３００％の範囲である。好ましくは１２５〜２００％の範囲である。上記下限値未満であれば、フィルム製造時の製膜安定性およびラミネート加工時などの加工安定性が悪化する上、耐スクラッチ性が悪化するため好ましくない。また、この上記上限値を越える場合は十分に配向が進んでいない場合があり、耐熱性、経時安定性の面で好ましくない場合がある。破断伸度をこの範囲内とする手段については特に限定されるものでないが、たとえばポリ乳酸系樹脂に添加する滑剤等の添加剤、改質剤、異種ポリマーの含有量を極力少なくすることや延伸による適度な配向を持たせること、具体的には製膜の際の延伸温度をＴｇ（ガラス転移温度）＋５〜３０℃の範囲とし、また延伸倍率を面倍率（縦倍率×横倍率）として２〜１６倍の範囲とすることなどが挙げられる。
【００２７】
また、本発明のポリ乳酸フィルムの１２０℃×３０分加熱時の熱収縮率はフィルムの長手方向（ＭＤ方向）、および幅方向（ＴＤ）ともに、−５〜５％の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは−１〜３％の範囲である。熱収縮率が大きいとフィルム加工時に大きく収縮し、またこの範囲より小さいと加熱加工時にフィルムが伸び、いずれにしてもしわの発生などのフィルム加工時に不具合を発生させるため好ましくない。。フィルムの熱収縮率を上記範囲とする方法については、特に限定されるものでないが、たとえばフィルム製造工程においてあらかじめフィルムを０．５〜１０％程度弛緩させながらたとえば１２０〜１６０℃程度の比較的高い温度で加熱処理（熱固定）する方法や、一度巻き取ったフィルムを加熱オーブン中で弛緩させながら１２０〜１６０℃程度の温度で熱処理をする方法などが挙げられる。
【００２８】
ポリ乳酸系フィルムは耐熱性の面、経時安定性の面で、１軸延伸フィルムまたは２軸延伸フィルムであることが好ましい。これらの延伸フィルムを製造方法は特に限定されるものではないが、以下に一例を示す。
【００２９】
ポリ乳酸系樹脂と添加剤のマスターペレット（あらかじめ無機粒子、有機滑剤などを２軸押出機などで高濃度（２〜５０重量％程度）含有させたポリ乳酸系樹脂）により添加剤を希釈混合させ、適度な温度（たとえば６０〜１４０℃程度の温度）で乾燥し十分に水分を除去（３００ｐｐｍ以下、好ましくは１００ｐｐｍ以下の水分率）後、押出機内で１８０〜２５０℃程度の好適な条件で溶融し、ポリマー流を形成させる。かかる溶融ポリマーは５〜５０μｍ程度の濾過精度を有するフィルターを通過させポリマーを濾過し粗大異物を除去する。濾過後のポリマーは、スリット状の口金からシート状に押し出し、静電印加法などの手法で１０〜５０℃程度に温度制御したキャスティングドラムに密着させて冷却固化させ未延伸フィルムを作成する。このフィルムを連続して縦方向に１．１〜５倍程度加熱延伸し、しかる後にテンター内に導入してクリップで把持しながら横方向に２〜６倍加熱延伸して、適宜８０〜１５０℃程度の温度で熱処理を行い延伸フィルムを得る。
【００３０】
フィルムの厚みとしては特に限定されるものではないが、通常１〜５００μｍ程度、好ましくは６〜５０μｍ程度、特に好ましくは１０〜２５μｍ程度である。
【００３１】
また、ポリ乳酸系フィルムの耐スクラッチ性を良好とする上で、フィルムの製造工程において、フィルターによる溶融ポリマーの濾過工程を有することが好ましい。フィルターによる濾過により粗大異物、変性ポリマーが十分除去され、フィルム品位上問題となる粗大突起、フィッシュアイを防止するだけでなく、製造工程でも破れの減少となり安定した製膜が可能となる。
【００３２】
本発明のポリ乳酸系フィルムは、単膜構成でもよいし、別の層を積層した２層以上からなる複合フィルムであっても構わない。
【００３３】
積層フィルムとする場合の手法については、特に限定されるものではないが、共押し出しによる方法、インラインコーティング、オフラインコーティングによる方法などが一般的手法として挙げられ、さらにはドライラミネーションによる方法、押し出しラミネーションによる方法が挙げられる。このとき積層比は特に限定されるものではない。ただし積層厚みの比で５０％以上を形成する主たる層がポリ乳酸系樹脂からなることが必要である。
【００３４】
また、フィルムの接着面側のぬれ張力はコロナ処理やアンカーコート処理などを施すことにより、４０ｍＮ／ｍ以上であることが好ましい。
【００３５】
上記した本発明のポリ乳酸系フィルムは、紙、フィルム、金属等の素材からなる印刷物の表面に貼り合わせたり、フィルムの接着面側に印刷を施しこれらの素材表面に貼り合わせて用いるのに好適である。本発明のポリ乳酸系フィルムは、たとえば本、雑誌などの出版物、あるいは化粧品、菓子、玩具、スポーツ用品等の包装箱等、さらには家具、建材、電化製品等の各種素材の表層に用いることができる。
【００３６】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに説明する。
［特性の測定方法］
（１）摩擦係数
ＡＳＴＭ−Ｄ−１８９４に従い、ポリ乳酸系フィルムのＳ面／Ｓ面の静摩擦係数（μｓ）、動摩擦係数（μｄ）を測定した。測定はフィルムの長手方向に５点行い、その平均値を測定値とした。
（２）表面粗さ
小坂研究所製ＥＴ−１０を用いて触針先端半径０．５μｍ、針圧５ｍｇ、測定長１ｍｍ、カットオフ０．０８ｍｍの条件にて中心線平均粗さ（Ｒａ）を測定した。測定はフィルムの長手方向に５点行い、その平均値を測定値とした。
（３）ヘイズ
スガ試験器製ヘイズメーターを使用し、ＪＩＳ−Ｋ７１０５に従い、ヘイズ（全ヘイズ）を測定した。測定値は５点の平均値によるものである。
（４）光沢度（Ｇｓ（６０°））
ＪＩＳ−Ｚ８７４１に基づき、６０度鏡面光沢を測定した。測定値は５点の平均値によるものである。
（５）破断伸度
幅１０ｍｍ、長さ１５０ｍｍに試料を切り出し、この試料をＪＩＳＺ１７０２に準じて、オリエンテック社製引張試験機を用い初期長５０ｍｍ、引張速度３００ｍｍ／分、２３℃の条件で引張試験を行い、破断伸度（％）を測定した。なお、これらの測定値はフィルムの長手方向（ＭＤ）５点、幅方向（ＴＤ）５点のサンプルによるものである。
（６）Δヘイズ
未処理のフィルム２枚を重ね合わせた際のヘイズと摩擦試験後のフィルムを２枚重ね合わせたヘイズとの差からΔヘイズを測定した。なお、摩擦試験は大英化学精器社製の学振型染色物摩擦堅牢試験器“Rubbing tester”にフィルムを貼り付けて、荷重２００ｇをかけ、フィルムのＳ面同士で２０回摩擦した。測定値は５点の平均値によるものである。
（７）耐スクラッチ性
印刷紙にフィルムをラミネートしたシートのフィルムのＳ面同士を摩擦する形で上記Δヘイズで行った方式と同様にして摩擦試験を行った。摩擦試験後の試験片の傷の様子を目視にて観察し、下記基準にて判定した。なお、◎または○が合格である
◎：傷発生は見られない。
【００３７】
○：わずかに傷発生が見られる。
【００３８】
×：傷発生が顕著である（不合格）。
【００３９】
［ポリ乳酸原料］
以下に実施例で用いたポリ乳酸系樹脂について示す。
ポリ乳酸Ａ：
重量平均分子量約１５万、Ｌ−乳酸成分量９８．５％、Ｄ−乳酸成分量１．５％、溶融粘度２００Ｐａ・ｓ（２４０℃、剪断速度１００ｓｅｃ−１）、融点１６８℃のポリ乳酸樹脂である。
ポリ乳酸Ｂ：
ポリ乳酸Ａに対し、平均粒径１．６μｍのシリカ粒子（水澤化学工業（株）製ミズカシルＰ−５２７）を２１０℃で二軸押出機を用いて、シリカ濃度５重量％混合した。
ポリ乳酸Ｃ：
ポリ乳酸Ａに対し、エチレンビスステアリン酸アミド（日本油脂製、アルフローＨ−５０Ｔ。以下、「ＥＢＡ」と略する）を２１０℃で二軸押出機を用いて、７重量％の濃度で混合した。
ポリ乳酸Ｄ：
ポリ乳酸Ａに対し、ステアリン酸モノ・ジグリセライド（花王製、エキセル８４、グリセリン系有機滑剤）を２１０℃で二軸押出機を用いて、７重量％の濃度で混合した。
【００４０】
［ポリ乳酸系フィルムの作成］
実施例１
フィルムへの有機滑剤（ＥＢＡ）の添加量が０．３５重量％、無機粒子（シリカ）添加量が０．０３重量％となるよう上述のポリ乳酸原料をポリ乳酸Ａ：ポリ乳酸Ｂ：ポリ乳酸Ｃ＝９４４：６：５０の重量比率で混合し、１２０℃、２ｋＰａ以下の真空条件下で５時間乾燥した。
【００４１】
乾燥後の樹脂を、スクリュー径５０ｍｍの単軸押出機に供給し、押出機シリンダ温度２３０℃で溶融させた。溶融ポリマーは２０μｍの濾過精度を有する焼結ディスクフィルターを通過せしめ、引き続き口金温度２２０℃でフィルム状に押し出し、３０℃に冷却したドラム上に静電印加キャストして未延伸フィルムを作製した。連続して８３℃の加熱ロール間で長手方向に３倍延伸した後、フィルム端部をクリップで把持してテンター内に導き、７５℃の温度で加熱しつつ横方向に３．５倍延伸し、幅方向に２％弛緩させながら１４０℃、１５秒間の熱処理を行い、さらに片面（接着面）にコロナ処理を施し、厚み１５μｍのポリ乳酸系フィルムを得た。得られたフィルムの特性は、表１に示したとおり、耐スクラッチ性は良好であり、本発明のポリ乳酸系フィルムとして良好なものであった。
【００４２】
比較例７
有機滑剤（ＥＢＡ）の添加量を０．２重量％、無機粒子（シリカ）添加量を０．０２重量％とした以外は実施例１と同様にして、厚み１５μｍのポリ乳酸系フィルムを得た。得られたポリ乳酸系フィルムの特性は表１に示した通りであり、実施例１と比較して、Δヘイズの上昇が見られた。
【００４３】
実施例３
有機滑剤（ＥＢＡ）の添加量を０．４重量％、無機粒子（シリカ）添加量を０．０１重量％とし、厚み２５μｍに変更した以外は実施例１と同様にしてポリ乳酸系フィルムを得た。得られたポリ乳酸系フィルムの特性は表１に示した通りであり、耐スクラッチ性は非常に良好であった。
【００４４】
実施例４
Ａ層、Ｂ層に用いる原料の添加剤を表１に示す濃度となるよう調整し、２台の押出機を用いてＢ層の両面にＡ層を積層（積層比１：１３：１）にて、製膜を行った。乾燥条件、押出条件、製膜条件等の各種条件は実施例１と同様にした。得られたフィルムは透明性が良好であり、耐スクラッチ性も優れ、本発明のポリ乳酸系フィルムとして好適なものであった。
【００４５】
実施例５
Ｓ面を形成するＡ層の片面に、Ｂ層を積層した以外は実施例４と同様の手法にてポリ乳酸系フィルムを得た。得られたフィルムの特性は透明性に優れ、耐スクラッチ性も優れ、本発明のポリ乳酸系フィルムとして好適なものであった。
【００４６】
比較例１
有機滑剤（ＥＢＡ）の添加量を０．３重量％、無機粒子（シリカ）添加量を０．５重量％とし、厚みを１０μｍとした以外は実施例１と同様にしてポリ乳酸系フィルムを得た。得られたポリ乳酸系フィルムは艶消し状のフィルムとなり、耐スクラッチ性試験で若干の傷が見られた。
【００４７】
比較例２
有機滑剤（ＥＢＡ）の添加量を０．４重量％、無機粒子（シリカ）添加量を０．０５重量％とし、長手方向の延伸倍率を３．３倍、テンター内での延伸温度を７２℃とした以外は実施例１と同様にして厚み１５μｍのポリ乳酸系フィルムを得た。得られたポリ乳酸系フィルムの特性は表２に示した通りであり、破断伸度の低下が見られ、耐スクラッチ性試験で若干の傷がみられた。
【００４８】
比較例３
有機滑剤の添加量をゼロとし、無機粒子（シリカ）を添加量０．０５重量％とした以外は実施例１と同様にしてポリ乳酸系フィルムを得た。得られたポリ乳酸系フィルムは摩擦係数が大きく、耐スクラッチ性試験では傷が顕著であり、外観の劣るものであった。
【００４９】
比較例４
有機滑剤（ＥＢＡ）の添加量を０．４重量％、無機粒子の添加量をゼロとし、縦延伸温度７４℃、横延伸温度７６℃、熱処理温度を１２５℃とし、フィルム厚みを４０μｍとした以外は実施例１と同様の手法にてポリ乳酸系フィルムを得た。得られたポリ乳酸系フィルムは、表面粗さが非常に小さく、耐スクラッチ性試験では傷が顕著であり外観の劣るものであった。
【００５０】
比較例５
ポリ乳酸Ｃに変えてポリ乳酸Ｄを用い、グリセリン系有機滑剤（ステアリン酸モノ・ジグリセライド）の添加量を０．３５重量％、無機粒子（シリカ）の添加量を０．０３重量％とした以外は実施例１と同様の手法にてポリ乳酸系フィルムを得た。得られたポリ乳酸系フィルムは摩擦係数が高く、耐スクラッチ性試験では傷が顕著であり外観の劣るものであった。
【００５１】
比較例６
ポリ乳酸Ａに対し、ポリ乳酸Ｂを無機粒子（シリカ）の添加量を０．０８重量％となるようで混合し、１２０℃、２ＫＰａ以下の真空条件下で５時間乾燥した。乾燥後の樹脂をスクリュー径５０ｍｍの単軸押出機に供給し、押出機シリンダ温度２３０℃で溶融させ、口金温度２２０℃でフィルム状に押し出し、２５℃に冷却したドラム上にエアナイフにて押しつけ冷却した。この未延伸フィルムの片面に、帯電防止剤（三洋化成社製、ケミスタット３０３３Ｎとケミスタット２５００の８／２（質量比）混合物）の１質量％濃度の水溶液を塗布した後、倍率可変式パンタグラフ方式の同時二軸延伸機に導いた。６０℃でフィルムを予熱しながら塗剤を乾燥した後８５℃で縦３．０２倍、横３．１７倍に同時二軸延伸を行った。続いて１２５℃で熱処理をしながらＴＤ方向に５％の弛緩熱処理を行い厚み２５μｍのポリ乳酸系フィルムを得た。なお、塗布面がＳ面である。表２に得られたフィルムの特性を示すが、得られたポリ乳酸系フィルムは摩擦係数が高く、耐スクラッチ性試験では傷が顕著であり外観の劣るものであった。
【００５２】
【表１】

【００５３】
【表２】

【００５４】
【発明の効果】
本発明のポリ乳酸系フィルムは、耐スクラッチ性に優れ、フィルム面が擦れた際にも表面に傷がつきにくいといった特徴を有する。このため紙、フィルム、金属等の素材からなる印刷物表面にラミネートして用いるのに好適であり、本、雑誌などの出版物、化粧品、菓子、玩具、スポーツ用品等の包装箱等、家具、建材、電化製品等の表層に好ましく使用することができる。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a polylactic acid film having good scratch resistance. More specifically, it is suitable to be used by laminating on the surface of printed materials made of materials such as paper, film, metal, etc., for example, publications such as books, magazines, packaging boxes for cosmetics, confectionery, toys, sports equipment, etc. It can be preferably used for surface layers of building materials, electrical appliances and the like. The polylactic acid film of the present invention has a feature that even when the bonded film surfaces are rubbed, the film surface is hardly damaged.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, polyolefin films, polyester films, etc. have been used for printing laminations in which films are laminated on printed materials, but in recent years, non-petroleum raw materials, biodegradable materials, etc. have attracted attention due to increasing environmental awareness. As a result, examples of using polylactic acid-based films for printing laminates have come to be seen.
[0003]
For example, Patent Document 1 shows an example in which a polylactic acid film is bonded to a golf ball packaging box. In this packaging box, a window is opened so that the contents can be seen from the outside, and a polylactic acid film is used for the window portion. In this document, since the golf ball moves in the middle box to some extent during transportation, there is a problem of hitting the film stuck on the window and damaging the film, and when using a polylactic acid film instead of polyethylene or polypropylene, The effect that a crack and a crease do not enter in the window part of a box is illustrated. Certainly, the conventional polylactic acid film is effective against scratches caused by rubbing between the golf ball and the film described in this document. However, the film and film which are the object of the present invention are in contact with each other and rubbed against each other. It was not enough to solve the problem of the occurrence of.
[0004]
Patent documents 2 and 3 are mentioned as an example which controlled generating of a crack on the surface of a polylactic acid film. In these examples, by making the surface roughness of the polyester film such as polylactic acid into a specific range, the film may be damaged or scraped during processing such as film production process or mold release layer formation. This is a solution to the problem. In these examples, since the friction coefficient is not taken into consideration, it is insufficient for improving the scratch resistance of the subject of the present invention.
[0005]
Patent Document 4 shows an example in which a specific amount of an antiblocking agent is added to polylactic acid for the purpose of suppressing wrinkle generation when the film is wound up in a film production process or the like. In this example, there is no specific example that can sufficiently improve the scratch resistance, which is the object of the present invention, and there is no description of a specific technique for that purpose.
[0006]
Patent Document 5 discloses that the slipperiness between the paper and the polylactic acid-based film and the surface specific resistivity of the film are within a predetermined range for the purpose of improving the handleability during film processing. As a specific achievement means, a method of in-line coating with an antistatic agent is mentioned, but it is insufficient for solving the scratch resistance which is the subject of the present invention. Not only the means are different, but also a sufficient disclosure of means for improving the intended scratch resistance of the present invention has not been made.
[0007]
In addition, as a typical example of an organic lubricant added for improving scratch resistance in a conventional polypropylene film for use in print lamination, for example, stearic acid monodiglyceride can be cited as a representative example, which is sufficient to achieve the object of the present invention. The effect could not be obtained.
[0008]
[Patent Document 1]
Japanese Patent Laid-Open No. 2001-1920203
[Patent Document 2]
JP 2001-323079 A
[Patent Document 3]
Japanese Patent Laid-Open No. 2001-310313
[Patent Document 4]
Japanese Patent Laid-Open No. 2002-146064
[Patent Document 5]
Japanese Patent Laid-Open No. 2003-25427
[Problems to be solved by the invention]
An object of the present invention is to eliminate the above-described problems of the prior art and to provide a polylactic acid film having good scratch resistance.
[0014]
[Means for Solving the Problems]
In order to solve the above problems, the present invention has the following configuration. That is, the layer forming the S surface (A layer) contains 0.3 to 0.5% by weight of an amide organic lubricant, 0.01 to 1% by weight of inorganic particles in the film, and at least one side (S Surface) has a static friction coefficient in the range of 0.05 to 0.4, the surface roughness Ra of the S surface is in the range of 15 to 300 nm, the haze is 3 % or less, and the gloss of the S surface. The polylactic acid film has a degree of breakage in the range of 120 to 180% and at least the elongation at break in either one of the longitudinal direction or width direction of the film is in the range of 100 to 300%.
[0015]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Examples of the polylactic acid resin used in the polylactic acid film of the present invention include polymers made of lactic acid such as polylactic acid, L-lactic acid, and D-lactic acid, and copolymers with other hydroxycarboxylic acids. Other hydroxycarboxylic acids typically include glycolic acid, 3-hydroxybutyric acid, 4-hydroxybutyric acid, 3-hydroxyvaleric acid, 4-hydroxyvaleric acid, 6-bidoxycaproic acid and the like. The polylactic acid resin may be used alone, but may be a mixture of two or more.
[0016]
From the standpoint of high heat resistance and transparency, and also from the viewpoint of hygiene such as antibacterial and antifungal properties, the polylactic acid film of the present invention is lactic acid or L-lactic acid relative to the entire polylactic acid resin. The ratio of the polymer composed of lactic acid such as D-lactic acid is preferably 90 mol% or more. Particularly, from the viewpoint of having long-term stability of physical properties and good anti-blocking properties, L-lactic acid is particularly preferable. Is preferably 95 mol% or more.
[0017]
Moreover, in this invention, it is preferable that melting | fusing point of a polylactic acid-type film is 150 degreeC or more. In particular, in order to improve processing suitability such as laminating a printed material, the melting point of the polylactic acid film is more preferably 160 ° C. or higher, and particularly preferably 165 ° C. or higher. This is because if the melting point is low, the heat resistance is poor and problems such as wrinkles occur during the drying process during processing. The melting point has no particular upper limit, but is preferably 300 ° C. or lower.
[0018]
In the polylactic acid-based film of the present invention, it is necessary that the coefficient of static friction between at least S surfaces (S surface / S surface) is in the range of 0.05 to 0.4. Here, the “S surface” refers to a surface on the side opposite to the adhesive surface when the film is bonded to a printed material or the like. When laminated and processed into a book, etc., the S surfaces of the surfaces rub against each other, but if the static friction coefficient exceeds this range, the surface is prone to scratches and the surface is easily scratched. In such a case, the handling property is poor and, for example, it may cause a load collapse when the products are stacked. The range of the static friction coefficient is preferably in the range of 0.05 to 0.35, and particularly preferably in the range of 0.05 to 0.3.
[0019]
Furthermore, the surface roughness Ra of the S surface needs to be in the range of 15 to 300 nm. If it is less than the lower limit, the surface roughness is insufficient and the contact area of the surface becomes large, so that the occurrence of scratches when rubbed becomes significant. On the other hand, if it is larger than the above upper limit value, the occurrence of scratches due to protrusions on the surface or the occurrence of scratches due to particle dropout becomes significant, and the object of the present invention cannot be achieved. Here, the surface roughness Ra is a center line average roughness, and this definition is shown in documents such as “Evaluation Method of Surface Roughness” by Jiro Nara (General Technology Center, 1983). The range of Ra is preferably 15 to 200 nm, more preferably 15 to 45 nm, and particularly preferably 15 to 30 nm.
[0020]
In order to achieve the static friction coefficient and the surface roughness, it is preferable that an additive such as a lubricant is contained in the layer forming the S plane (A layer). Preferred lubricants include amide-based organic compounds such as oleic acid amide, stearic acid amide, erucic acid amide, behenic acid amide, N-oleyl palmitoamide, N-stearyl erucamide, ethylene bis stearic acid amide, and ethylene bis oleic acid amide. Lubricant, methyl laurate, methyl myristate, methyl palmitate, methyl stearate, methyl oleate, methyl erucate, methyl behenate, butyl laurate, butyl stearate, isopropyl myristate, isopropyl palmitate, Monoester organics such as octyl palmitate, octyl palmitate, octyl stearate, lauryl laurate, stearyl long stearate, higher alcohol esters of long chain fatty acids, behenine behenate, cetyl myristate Agents, and also fatty acid salts such as zinc stearate, calcium stearate, magnesium stearate, aluminum stearate, barium stearate, lithium stearate, lead stearate, sodium oleate, barium laurate, zinc laurate, silicon compounds , Carnauba wax, candelilla wax and the like. Of these, amide-based lubricants can be suitably used from the viewpoints of excellent slipperiness and bleed-out resistance.
[0021]
The preferred amount of organic lubricant added to the film is in the range of 0.1 to 0.5% by weight, more preferably 0.3 to 0.5% by weight, particularly preferably 0.32 to 0.45. It is in the range of wt%.
[0022]
Also, inorganic particles such as clay, mica, titanium oxide, calcium carbonate, calcium phosphate, kaolin, talc, alumina, zirconia, spinel, wet or dry silica, organic particles composed of acrylic acid polymers, polystyrene, etc. Among them, inorganic particles such as silica and alumina can be preferably used from the viewpoint of dispersibility. The particle diameter of these inorganic particles and organic particles can be arbitrarily set as long as the physical properties such as surface roughness are within the above-mentioned range, but preferably 0.01 to 5 μm, more preferably 0.1 to 3 μm. The particle size. Moreover, the addition amount to the film of an inorganic particle and an organic particle is the range of 0.001-30 weight%, More preferably, it is the range of 0.01-1 weight%.
[0023]
The polylactic acid-based film of the present invention preferably has a plasticizer, an antioxidant, an antistatic agent, an ultraviolet absorber, and an anti-coloring agent in the range of 30% by weight or less, particularly preferably in the range of 5% by weight or less. Various additives and modifiers such as aliphatic polyesters, aromatic polyesters, and polyolefins may be contained.
[0024]
The polylactic acid film of the present invention has a haze of 3% or less. Preferably it is 1% or less. When the haze is low, the transparency is good, and thus visibility such as printing on the back surface is good, which is preferable.
[0025]
Also, the glossiness of the S plane, area by der 120 to 180%. Preferably it is 125 to 145% of range. In order to set the haze and glossiness within the above ranges, the amount of additives or modifiers having a size of 0.1 μm or more used in the film, a dispersed diameter, a modifier, or an incompatible different polymer is suppressed, For example, the method of making it 1 weight% or less with respect to polylactic acid-type resin is mentioned.
[0026]
The polylactic acid film of the present invention has a breaking elongation in the range of 100 to 300% in at least one of the longitudinal direction and the width direction of the film . Preferably it is 125 to 200% of range. If it is less than the said lower limit, since film-forming stability at the time of film manufacture and processing stability at the time of a lamination process deteriorate, it is unpreferable since scratch resistance deteriorates. Moreover, when this upper limit is exceeded, the orientation may not be sufficiently advanced, which may be undesirable in terms of heat resistance and stability over time. The means for setting the breaking elongation within this range is not particularly limited. For example, additives such as lubricants added to polylactic acid resins, modifiers, reducing the content of different polymers as much as possible and stretching. The stretching temperature during film formation is set to a range of Tg (glass transition temperature) +5 to 30 ° C., and the stretching ratio is 2 (vertical ratio × horizontal ratio). For example, a range of ˜16 times may be mentioned.
[0027]
Moreover, it is preferable that the thermal contraction rate at the time of 120 degreeC x 30 minute heating of the polylactic acid film of this invention is the range of -5 to 5% in the longitudinal direction (MD direction) and width direction (TD) of a film. More preferably, it is in the range of −1 to 3%. If the heat shrinkage rate is large, the film is greatly shrunk during film processing, and if it is smaller than this range, the film is stretched during heat processing, and in any case, problems such as wrinkles are caused during film processing. . The method for setting the heat shrinkage rate of the film in the above range is not particularly limited, but is relatively high, for example, about 120 to 160 ° C. while relaxing the film about 0.5 to 10% in advance in the film production process. Examples thereof include a method of heat treatment (heat setting) at a temperature and a method of heat treatment at a temperature of about 120 to 160 ° C. while relaxing the film once wound in a heating oven.
[0028]
The polylactic acid film is preferably a uniaxially stretched film or a biaxially stretched film in terms of heat resistance and stability over time. Although the manufacturing method of these stretched films is not particularly limited, an example is shown below.
[0029]
Master additive pellets of polylactic acid resin and additives (polylactic acid resin containing inorganic particles, organic lubricant, etc. in high concentration (about 2 to 50% by weight) with a twin screw extruder) Then, after drying at an appropriate temperature (for example, a temperature of about 60 to 140 ° C.) and sufficiently removing water (moisture content of 300 ppm or less, preferably 100 ppm or less), it is melted in an extruder at suitable conditions of about 180 to 250 ° C. To form a polymer stream. The molten polymer is passed through a filter having a filtration accuracy of about 5 to 50 μm, and the polymer is filtered to remove coarse foreign matters. The polymer after filtration is extruded into a sheet form from a slit-shaped base, and is brought into close contact with a casting drum whose temperature is controlled to about 10 to 50 ° C. by a technique such as an electrostatic application method to cool and solidify to produce an unstretched film. The film is continuously heated and stretched about 1.1 to 5 times in the longitudinal direction, and then introduced into the tenter and heated and stretched 2 to 6 times in the lateral direction while being held by a clip. A stretched film is obtained by performing heat treatment at a temperature of about.
[0030]
Although it does not specifically limit as thickness of a film, Usually, about 1-500 micrometers, Preferably it is about 6-50 micrometers, Most preferably, it is about 10-25 micrometers.
[0031]
In order to improve the scratch resistance of the polylactic acid-based film, it is preferable that the film production process includes a filtration step of the molten polymer using a filter. By filtering with a filter, coarse foreign matter and modified polymer are sufficiently removed, and not only coarse protrusions and fish eyes that cause problems in film quality are prevented, but also tearing is reduced in the production process, and stable film formation becomes possible.
[0032]
The polylactic acid film of the present invention may have a single film configuration or a composite film composed of two or more layers obtained by laminating other layers.
[0033]
The method for forming a laminated film is not particularly limited, but methods such as coextrusion, in-line coating, and offline coating are examples of general methods, and further, dry lamination and extrusion lamination. A method is mentioned. At this time, the lamination ratio is not particularly limited. However, it is necessary that the main layer that forms 50% or more of the lamination thickness ratio is made of a polylactic acid resin.
[0034]
The wetting tension on the adhesive surface side of the film is preferably 40 mN / m or more by performing corona treatment or anchor coating treatment.
[0035]
The polylactic acid-based film of the present invention described above is suitable for use on a surface of a printed material made of a material such as paper, film or metal, or for printing on the adhesive surface side of the film and attaching to the surface of these materials. It is. The polylactic acid film of the present invention is used for the surface layer of various materials such as publications such as books and magazines, packaging boxes for cosmetics, confectionery, toys, sports equipment and the like, as well as furniture, building materials, and electrical appliances. Can do.
[0036]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be further described by examples.
[Measurement method of characteristics]
(1) Friction coefficient According to ASTM-D-1894, the static friction coefficient (μs) and dynamic friction coefficient (μd) of the S surface / S surface of the polylactic acid film were measured. Measurement was performed at five points in the longitudinal direction of the film, and the average value was taken as the measured value.
(2) Surface roughness Using ET-10 manufactured by Kosaka Laboratory, the center line average roughness (Ra) was measured under the conditions of a stylus tip radius of 0.5 μm, a needle pressure of 5 mg, a measurement length of 1 mm, and a cutoff of 0.08 mm. It was measured. Measurement was performed at five points in the longitudinal direction of the film, and the average value was taken as the measured value.
(3) Using a haze meter manufactured by Haze Suga Test Instruments, haze (total haze) was measured according to JIS-K7105. The measured value is based on an average value of 5 points.
(4) Glossiness (Gs (60 °))
Based on JIS-Z8741, 60 degree specular gloss was measured. The measured value is based on an average value of 5 points.
(5) A sample was cut out to a breaking elongation width of 10 mm and a length of 150 mm, and this sample was pulled according to JISZ1702 using an orientec tensile tester under the conditions of an initial length of 50 mm, a tensile speed of 300 mm / min, and 23 ° C. The test was performed and the elongation at break (%) was measured. These measured values are based on samples of 5 points in the longitudinal direction (MD) and 5 points in the width direction (TD) of the film.
(6) Δhaze was measured from the difference between the haze when two untreated haze films were superposed and the haze obtained by superposing two films after the friction test. The friction test was performed by attaching a film to a “Rubbing tester”, a Gakushin type dyeing friction fastness tester manufactured by Daiei Kagaku Seiki Co., Ltd., applying a load of 200 g, and rubbing 20 times between the S surfaces of the film. The measured value is based on an average value of 5 points.
(7) A friction test was carried out in the same manner as in the above-mentioned Δ haze method in which the S surfaces of the film laminated on the scratch-resistant printing paper were rubbed. The state of scratches on the test piece after the friction test was visually observed and judged according to the following criteria. In addition, (double-circle) or (circle) is a pass (double-circle): A crack generation | occurrence | production is not seen.
[0037]
○: Slight scratching is observed.
[0038]
X: Scratch generation is remarkable (failure).
[0039]
[Polylactic acid raw material]
The polylactic acid resin used in the examples is shown below.
Polylactic acid A:
Polylactic acid resin having a weight average molecular weight of about 150,000, an L-lactic acid component amount of 98.5%, a D-lactic acid component amount of 1.5%, a melt viscosity of 200 Pa · s (240 ° C., shear rate of 100 sec-1), and a melting point of 168 ° C. It is.
Polylactic acid B:
Polylactic acid A was mixed with silica particles having an average particle diameter of 1.6 μm (Mizusukacil P-527 manufactured by Mizusawa Chemical Co., Ltd.) at 210 ° C. using a twin screw extruder at a silica concentration of 5% by weight.
Polylactic acid C:
Polylactic acid A was mixed with ethylenebisstearic acid amide (manufactured by NOF Corporation, Alflow H-50T, hereinafter abbreviated as “EBA”) at 210 ° C. using a twin screw extruder at a concentration of 7% by weight. .
Polylactic acid D:
Polylactic acid A was mixed with stearic acid mono-diglyceride (manufactured by Kao Corporation, Excel 84, glycerin organic lubricant) at 210 ° C. using a twin screw extruder at a concentration of 7% by weight.
[0040]
[Creation of polylactic acid film]
Example 1
Polylactic acid A: Polylactic acid B: Polylactic acid were added to the above-mentioned polylactic acid raw material so that the amount of organic lubricant (EBA) added to the film was 0.35% by weight and the amount of inorganic particles (silica) added was 0.03% by weight. The mixture was mixed at a weight ratio of C = 944: 6: 50, and dried under a vacuum condition of 120 ° C. and 2 kPa or less for 5 hours.
[0041]
The dried resin was supplied to a single screw extruder having a screw diameter of 50 mm and melted at an extruder cylinder temperature of 230 ° C. The molten polymer was passed through a sintered disk filter having a filtration accuracy of 20 μm, subsequently extruded into a film shape at a base temperature of 220 ° C., and electrostatically cast on a drum cooled to 30 ° C. to produce an unstretched film. After continuously stretching 3 times in the longitudinal direction between 83 ° C heating rolls, the film edge is gripped with a clip and guided into the tenter and stretched 3.5 times in the lateral direction while heating at a temperature of 75 ° C. Then, heat treatment was performed at 140 ° C. for 15 seconds while relaxing 2% in the width direction, and further, corona treatment was performed on one surface (adhesion surface) to obtain a polylactic acid film having a thickness of 15 μm. As shown in Table 1, the obtained film had good scratch resistance and was good as the polylactic acid film of the present invention.
[0042]
Comparative Example 7
A polylactic acid film having a thickness of 15 μm was obtained in the same manner as in Example 1 except that the addition amount of the organic lubricant (EBA) was 0.2 wt% and the addition amount of the inorganic particles (silica) was 0.02 wt%. . The characteristics of the obtained polylactic acid-based film are as shown in Table 1. Compared with Example 1, an increase in Δhaze was observed .
[0043]
Example 3
A polylactic acid film was obtained in the same manner as in Example 1 except that the amount of organic lubricant (EBA) added was 0.4% by weight, the amount of inorganic particles (silica) added was 0.01% by weight, and the thickness was changed to 25 μm. It was. The properties of the obtained polylactic acid film were as shown in Table 1, and the scratch resistance was very good.
[0044]
Example 4
The additive of the raw material used for the A layer and the B layer is adjusted so as to have the concentration shown in Table 1, and the A layer is laminated on both surfaces of the B layer by using two extruders (lamination ratio 1: 13: 1). Then, film formation was performed. Various conditions such as drying conditions, extrusion conditions, and film forming conditions were the same as in Example 1. The obtained film had good transparency and excellent scratch resistance, and was suitable as the polylactic acid film of the present invention.
[0045]
Example 5
A polylactic acid film was obtained in the same manner as in Example 4 except that the B layer was laminated on one side of the A layer forming the S surface. The obtained film was excellent in transparency and scratch resistance, and was suitable as a polylactic acid film of the present invention.
[0046]
Comparative Example 1
A polylactic acid-based film was obtained in the same manner as in Example 1 except that the amount of organic lubricant (EBA) added was 0.3% by weight, the amount of inorganic particles (silica) added was 0.5% by weight, and the thickness was 10 μm. It was. The resulting polylactic acid film was a matte film, and some scratches were observed in the scratch resistance test .
[0047]
Comparative Example 2
The amount of organic lubricant (EBA) added is 0.4% by weight, the amount of inorganic particles (silica) added is 0.05% by weight, the stretching ratio in the longitudinal direction is 3.3 times, and the stretching temperature in the tenter is 72 ° C. A polylactic acid film having a thickness of 15 μm was obtained in the same manner as in Example 1 except that. The properties of the obtained polylactic acid film were as shown in Table 2. A decrease in the elongation at break was observed, and some scratches were observed in the scratch resistance test .
[0048]
Comparative Example 3
A polylactic acid-based film was obtained in the same manner as in Example 1 except that the amount of organic lubricant added was zero and the amount of inorganic particles (silica) was 0.05% by weight. The obtained polylactic acid-based film had a large coefficient of friction, scratches were remarkable in the scratch resistance test, and the appearance was inferior.
[0049]
Comparative Example 4
Except that the addition amount of organic lubricant (EBA) is 0.4 wt%, the addition amount of inorganic particles is zero, the longitudinal stretching temperature is 74 ° C., the transverse stretching temperature is 76 ° C., the heat treatment temperature is 125 ° C., and the film thickness is 40 μm. Obtained a polylactic acid film in the same manner as in Example 1. The obtained polylactic acid-based film had very small surface roughness, and scratches were remarkable in the scratch resistance test, and the appearance was poor.
[0050]
Comparative Example 5
Other than using polylactic acid D instead of polylactic acid C, the addition amount of glycerin-based organic lubricant (stearic acid mono-diglyceride) was 0.35% by weight, and the addition amount of inorganic particles (silica) was 0.03% by weight Obtained a polylactic acid film in the same manner as in Example 1. The obtained polylactic acid-based film had a high coefficient of friction, and scratches were remarkable in the scratch resistance test, resulting in poor appearance.
[0051]
Comparative Example 6
Polylactic acid B was mixed with polylactic acid A so that the amount of inorganic particles (silica) added was 0.08% by weight, and dried under vacuum conditions of 120 ° C. and 2 KPa or less for 5 hours. The dried resin is supplied to a single screw extruder with a screw diameter of 50 mm, melted at an extruder cylinder temperature of 230 ° C, extruded into a film at a die temperature of 220 ° C, and cooled by pressing it onto a drum cooled to 25 ° C with an air knife. did. After applying an aqueous solution having a concentration of 1% by mass of an antistatic agent (manufactured by Sanyo Chemical Co., Ltd., 8/2 (mass ratio) mixture of Chemistat 3033N and Chemistat 2500) to one side of this unstretched film, a variable magnification pantograph system was used. It led to simultaneous biaxial stretching machine. The coating was dried while preheating the film at 60 ° C., and then subjected to simultaneous biaxial stretching at 85 ° C. to 3.02 times in length and 3.17 times in width. Subsequently, a relaxation heat treatment of 5% was performed in the TD direction while performing a heat treatment at 125 ° C. to obtain a 25 μm thick polylactic acid film. The application surface is the S surface. The characteristics of the obtained film are shown in Table 2. The obtained polylactic acid-based film had a high coefficient of friction, and scratches were remarkable in the scratch resistance test, resulting in poor appearance.
[0052]
[Table 1]

[0053]
[Table 2]

[0054]
【The invention's effect】
The polylactic acid-based film of the present invention is excellent in scratch resistance and has the characteristics that the surface is hardly damaged even when the film surface is rubbed. For this reason, it is suitable to be used by laminating on the surface of printed materials made of materials such as paper, film, metal, etc., publications such as books, magazines, packaging boxes for cosmetics, confectionery, toys, sports equipment, etc., furniture, building materials It can be preferably used for the surface layer of electrical appliances.

Claims

Containing 0.3 to 0.5% by weight of an amide organic lubricant in the layer forming the S surface (A layer);
Containing 0.01 to 1% by weight of inorganic particles in the film,
The static friction coefficient between at least one surface (S surface) is in the range of 0.05 to 0.4,
And the surface roughness Ra of the S surface is in the range of 15 to 300 nm,
And haze is 3 % or less,
And the glossiness of the S surface is in the range of 120 to 180%,
And the polylactic acid-type film whose breaking elongation of any one of the longitudinal direction or the width direction of a film is the range of 100 to 300%.

The polylactic acid film according to claim 1 , which is a laminated film .

The polylactic acid film according to claim 1 or 2 provided on the surface of a printed matter.