JP4320928B2 - High-strength polyester fiber and method for producing the same - Google Patents

High-strength polyester fiber and method for producing the same Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱や加水分解による分子量の低下が小さく、機械的強度の保持率が良好な高強度ポリエステル繊維に関する。詳しくは実質的に金属元素を含有せず、ゴム補強用繊維として加工する時などに問題になる分子量低下を抑制し、機械的強度保持率が良好なポリエステル繊維に関する。また溶融紡糸時の分子量低下が小さく、高分子量ポリエステル繊維を高効率で生産可能な高強度ポリエステル繊維の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル繊維は、その優れた性質のゆえに、衣料用途、ゴム補強用途、建築資材用途、運輸包装用途、フィルター用途をはじめ広く種々の分野で用いられている。なかでもポリエチレンテレフタレ−ト繊維は機械的強度、化学特性、寸法安定性などに優れ、好適に使用されている。
【0003】
一般にポリエステルは、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールとのエステル化反応あるいはエステル交換反応、及び重縮合反応により製造することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略す)は、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とエチレングリコールから製造される。一般にポリエステルは、重縮合反応速度が遅いため、これらポリエステルの高分子量ポリマーを製造する商業的なプロセスでは、製造を効率化するために重縮合触媒を用い、特定の金属化合物が触媒として広く用いられている。
【0004】
多くの金属化合物はポリエステルの熱分解反応や加水分解反応を促進することが知られており、特にポリエステル中に最も多く含有される金属化合物である重縮合触媒はポリエステルの重縮合反応を促進する反面、同時に熱分解反応も促進するのが一般的である。そこで、PETの重縮合触媒としては重合触媒能に優れるが、熱劣化を促進しない化合物を選択することが重要であり、このことから熱分解速度が比較的遅いアンチモン化合物やゲルマニウム化合物が使用され、中でもその価格の安さからアンチモン化合物が好適に使用され、さらに熱劣化を抑制するために、特開昭46−5384号公報に述べられているようなリン化合物を添加されるのが一般的である。しかしながら、この方法を始めとして古くから様々な方法が検討されているが、熱劣化や加水分解の抑制効果は不十分である。
【0005】
高強度が要求されるゴム補強用繊維に代表される産業用繊維においては、一般に固相重合して重合度を高めたPETを用いて溶融紡糸するため、特に熱や水による分子量低下が顕著となる。すなわち、タイヤコードに使用されるようなPET原糸は7cN/dtexを越える引張強度が要求されるが、このような機械的特性を満足させるためには、一般に固有粘度(以下IV)が0.9以上のPET繊維とする必要がある。このような高粘度の繊維を得るためには液相重合で得られたPET組成物を固相重合する必要があるが、高重合度化したPETの溶融時のIV低下が大きいため、原料としてIVが1.0〜1.5程度のPET組成物を使用する必要がある。ところが、固相重合は液相重合よりも反応温度が低いため長時間の反応プロセスとなり、PET組成物を製造するにあたって時間的・経済的に最も負担が大きい工程となっている。したがって、固相重合時間を短縮できる、溶融時のIV低下が小さな製造方法が望まれていた。
【0006】
また、従来より強度が高い繊維を製造するための手段として高IVのPETを使用することが古くから提案されているが、長時間の固相重合でIVが1.5を越えるようなPETを溶融紡糸しても、得られる繊維のIVは1.0程度であり、繊維の機械的特性も従来の繊維とほとんど変わらない。そこで高IVのPET組成物を原料に溶融紡糸を行う際、IV低下をできる限り抑制してPET繊維を得ようとする技術がいくつか開示されている。例えば、J.Appl.Polm.Sci.,30,3325(1985)には、2,2'-ビス(2-オキサゾリン)などの環状イミノエーテルがポリエステルの鎖連結剤として使用されており、分子量低下を抑制する働きがあることが述べられている。このような方法であると、確かにポリエステルの分子量低下を抑制、または分子量低下分を補償する鎖連結が行われるが、重縮合時や溶融紡糸時に発泡が起こり、糸切れや製品の機械的特性を低下させる。また、該化合物の分散が不完全なままに反応を起こすと局所的に高分子量成分のポリエステルが生成し、これが異物となってパック内フィルターの目詰まりを引き起こしたり、紡糸・延伸時の糸切れの原因となったりする。また、Polymer,37,4421(1996)には、1ーメチルナフタレンなどの高融点の溶剤を20%程度ポリエステル溶融体に混入し、通常の紡糸温度より20〜30℃程度低温で紡糸することによってIVの低下を抑制している。しかしながら、このような溶剤をポリエステルに混入して紡糸する方法は環境負荷が大きく、使用する溶剤の回収、分離などにコストがかかり、工業的生産には好適ではない。このように紡糸工程で1.5を越えるような高い分子量のポリエステルを得ようという試みは幾つかなされているものの、満足のいく方法は得られていないのが現状である。
【0007】
また、ポリエステルに含有される重縮合触媒は、溶融紡糸時以外の工程でも熱分解や加水分解を促進することが知られている。例えば、高強度PET繊維はゴム補強用繊維として使用されるが、ゴムの加硫工程でゴム中に含まれるアミン類などの添加剤によって加水分解を受け、強度が低下することが知られている。また、抄紙用カンバスの材料として用いられる場合も長時間で熱水処理をうけるため、加水分解による製品強度の低下が問題になる。これら加水分解を促進する触媒としてPETのカルボキシル末端のプロトンが作用することが知られている。このPETの加水分解を抑制する手段としてはカルボキシル末端をエポキシやカルボジイミドなどの化合物で封鎖して、強度の低下率を抑制する方法が広く採用されており、例えば特公昭38−15220号公報や特公昭44−27911号公報などに述べられている。また、PETに含有される金属が触媒として作用することも広く知られており、これら金属の触媒能を抑制するキレート化合物を添加する処方などがいくつか開示されている。しかしながらこれらの方法は、添加した化合物が紡糸機内部で長時間滞留する結果として熱劣化による変性を受けやすく、繊維内部に残存して繊維物性を著しく低下させる。また、これらの添加剤が繊維の結晶性を阻害し、熱収縮率が高くなったり、耐熱性を低下するなどゴム補強用繊維としての性能をかえって悪化させるほか、非晶部が増大する結果としてアミン類の浸透を促進し、目的とする加水分解抑制効果を十分得ることができない。
【0008】
さらに、重縮合触媒としてアンチモンを始めとする金属化合物を用いた場合、上記熱劣化や加水分解に伴う問題以外にも好ましくない点が指摘されている。
【0009】
アンチモン触媒を使用して得られたポリエステルを溶融紡糸して繊維とするときに、アンチモン触媒の残渣が口金孔周りに堆積することが知られている。この堆積が進行するとフィラメントに欠点が生じる原因となるため、適時除去する必要が生じる。アンチモン触媒残渣の堆積が生じるのは、アンチモンがポリマー中でアンチモングリコラートの形で存在しており、これが口金近傍で変成を受け、一部が気化、散逸した後、アンチモンを主体とする成分が口金に残るためであると考えられている。このような口金は定期的な清掃が必要となるが、清掃を行う場合には製品の巻き取りを中止する必要が生じ、その間のポリマーは製品となることなく廃棄されるため、環境面・コスト面で問題となっていた。また、清掃作業は機械化することが困難で、高温下での手作業となるため、作業員の安全確保や人件費の観点から改善が望まれていた。
【0010】
また、ポリマー中のアンチモン触媒残渣は比較的大きな粒子状となりやすく、紡糸パック内のフィルターに捕捉されて濾圧上昇を引き起こし、パック交換を頻繁に行う必要が生じるなど連続作業を阻む原因となっている。
【0011】
上記フィルターで捕捉することができなかったアンチモン触媒残渣は、ポリマーに混入して口金から吐出される。紡糸・延伸・高次加工時には繊維に張力がかかるが、触媒残渣はその張力が集中する因子となり易く、糸切れや毛羽発生の原因となって製糸安定性や高次加工通過性を阻んでいる。また、最終製品においては、触媒残渣が張力に対する応力集中因子となるため、産業用繊維の最も基本的な特性である強度を低下させるという大きな問題がある。
【0012】
上記のような背景からアンチモン含有量が極めて少ないか、あるいは含有しないポリエステル繊維が求められている。
【0013】
上記のような課題に対して、アンチモン化合物に代わる重縮合触媒の検討例が幾つかなされている。
【0014】
例えば特開平10−324741号公報には、アルミニウム化合物を重縮合触媒として使用してポリエステル組成物を製造する技術が開示されている。該技術は、アンチモン化合物に代わってアルミニウム化合物を触媒として使用するというものである。確かに該公報に開示されている方法によってアンチモン化合物を使用せずに高重合度のポリエステルを得ることが可能であるが、該化合物を重縮合触媒として用いたPETは紡糸機内での熱劣化が大きいため、製糸安定性に劣る。さらに溶融紡糸された繊維は機械強度が低く、産業用繊維として用いることは難しい。
【0015】
また、系に溶解して触媒活性能を発現するアンチモン、ゲルマニウム、アルミニウムなどの化合物と異なり、系に不溶解な不均一触媒を用いる技術として、WO90/03408等を挙げることができる。これらの技術は、重縮合触媒としての活性を有する結晶質ナトリウムアルミノシリケートモレキュラーシーブ(ゼオライト)をスリップ添加剤及び触媒の両者として用いることにより、重縮合反応における反応性が高まり、反応時間が短くなることが提案されている。しかしながら、該化合物による反応性の改善は行われているものの、最終的に得られるポリマー中に該ゼオライト触媒が系に不溶解のまま多量に残留することにより、色調の悪化による透明度の損失等を招くほか、繊維の機械強度・製糸安定性ともに低く、十分な改善がなされているとは言い難い。
【0016】
また、触媒を含まないポリエステル組成物の製造技術がUSP−4、150、214号公報に開示されている。該技術は、IVが0.1〜0.4の低重合体PETを高温で揮発するエステル化触媒を用いて準備し、これを固相重合して所望の重合度のPETを得るものである。しかしながら、このような低重合度PETを溶融紡糸可能な重合度にするためには、長時間の固相重合が必要となり、工業的な方法としては適当でない。また、一般に固相重合中はペレットが固体状態で攪拌混合されるため多くの粉末がペレットから脱落して発生するが、上記技術で必要な長時間の固相重合では大量の粉末が発生して、ペレットの搬送などそのハンドリングを著しく阻害する。さらに、この粉末中ではエチレングリコールの拡散速度がペレットより速くなるため、一般に粉末の重合度はペレットの重合度より高くなる。したがって上記技術で必要な長時間の固相重合を行うと、発生した粉末の重合度が著しく高くなり、紡糸時に十分溶融せずに異物になるなど、工程安定化を大きく悪化させるばかりか、繊維そのものの機械強度を大きく低下させ、産業用途に用いられるような高強度繊維を製造することは困難である。また、該公報に述べられているように、低重合度のものからIVが1.0を越えるような高重合度のポリマーを得ようとすると、低重合度のポリマーの結晶化速度が速いため一般に困難であり、該公報にもIVが0.7までの実施例が述べられているのみである。さらに、該公報には繊維製造工程への寄与は述べられておらず、もちろん金属元素を含有しないポリエステル繊維の有用性についての記載はない。
【0017】
また、系に不溶解な触媒を用いてエステル化合物を合成する技術は、例えば特開平11−140026号公報に述べられており、該公報にはエステル化触媒として固体触媒を用い、固液不均一系にて反応を行う技術が開示されている。該公報には、カルボン酸及び/またはその無水物とアルコールとを反応させてカルボン酸エステルを製造する方法において、メソポーラス構造のチタノシリケート触媒を用いることにより、エステル化反応性の向上及び、触媒の回収・再使用の利点が提案されている。しかしながら、上記技術はエステル化反応に固体触媒を用いた技術であり、ポリエステル製造における重縮合反応性や繊維製造工程への寄与は述べられていない。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように従来の高強度ポリエステルでは、繊維に含まれる金属化合物に起因する繊維の機械的特性の低下や、例えばゴム補強繊維として加工される時の強度低下が避けられなかった。
【0019】
また、従来の高強度ポリエステル繊維の製造方法では、原料の溶融時の分子量低下が著しく、また繊維に含まれる金属化合物に起因する糸切れが避けられなかった。
【0020】
本発明はかかる従来技術の欠点を改良し、工程安定化や最終製品の品位を向上させるポリエステル繊維およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明は、最も含有量が多い金属元素量が2ppm以下であることを特徴とする高強度ポリエステル繊維によって達成される。また、重合触媒として固体触媒を用い、固液不均一系にて重合反応を行った後、固体触媒を実質的に除去したポリエステル組成物を固相重合し、繊維状に成型することを特徴とする高強度ポリエステル繊維の製造方法によって達成される。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明のポリエステルはジカルボン酸及びジオールから合成されるポリマーであ
【0023】
発明は、も汎用的に用いられているポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンテレフタレートからなるポリエステル共重合体において好適である。
【0024】
また、これらのポリエステルには、共重合成分としてアジピン酸、イソフタル酸、セバシン酸、フタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸などのジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリプロピレングリコールなどのジオキシ化合物、p−(β−オキシエトキシ)安息香酸などのオキシカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体などを共重合してもよい。
【0025】
また、本発明においては必要に応じて公知の化合物、例えば各種のリン化合物等の着色防止剤や粒子等を添加、含有しても良い。なお、本発明のポリエステル繊維は実質的に金属元素を含まないため、熱劣化を起こしにくく、着色防止剤や酸化防止剤を従来より減らせるというメリットがある。
【0026】
本発明におけるポリエステル繊維は、最も含有量が多い金属元素量が2ppm未満である。ここでいう金属元素とは、元素周期律表の水素を除くI族、すべてのII族、ホウ素を除くIII族、炭素およびケイ素を除くIV族、窒素とリンおよび砒素を除くV族の典型元素、すべての遷移元素、希土類のことを指す。これら元素およびその化合物を含むポリエステルは熱劣化や加水分解を起こしやすいため、繊維製造工程で熱劣化が促進されて繊維の機械物性が低くなる。また、ゴム加硫工程などでの加水分解が起こりやすいため、補強用繊維としての性能を低下させる。アンチモン、チタン、ゲルマニウムは、比較的加水分解や熱分解触媒能が小さい重縮合触媒であることが知られているものの、満足なものではない。これに対し本発明のポリエステルは加水分解や熱劣化が起こりにくいため、繊維の製造工程の安定性に優れ、繊維の機械物性も高い。さらに該ポリエステル繊維は耐加水分解性や耐熱分解性が高いため、ゴム加硫工程などの高次加工工程での機械強度の低下も少なく、最終製品の信頼性を高めることができる。
【0027】
本発明のポリエステル繊維は最も含有量が多い金属元素量が2ppm以下であるが、一般に高強度を求められる産業用ポリエステル繊維中に含有される金属元素の中で最も多いものは、重縮合触媒に用いられるものであり、同時に使用される金属化合物の種類も、多くて3種類程度である。使用される金属としてはアンチモン、ゲルマニウム、チタンがほとんどであり、マンガン、亜鉛、スズ等が用いられることもある。これら触媒は重縮合反応の逆反応または副反応として、加水分解反応や熱分解反応を著しく促進し、重縮合または製糸工程で混入が不可避に起こる不純物金属元素に比べて、特にポリエステルの分子量低下を引き起こすものである。
【0028】
本発明のポリエステル繊維の強度は7cN/dtex以上であ、7.5cN/dtex以上であるとさらに好ましい。ゴム補強用繊維を代表する産業用繊維には高い強度が要求され、7cN/dtex以上、さらに好ましくは7.5cN/dtex以上の強度を有することが好ましい。
【0029】
本発明のポリエステル繊維の固有粘度は0.9以上であることが好ましい。ゴム補強用繊維を代表する産業用繊維には高い強度が要求され、その要求を満たすためには0.9以上の固有粘度を有する繊維であることが好ましい。
【0030】
本発明におけるポリエステル繊維のカルボキシル末端は、20eq/t以下であることが好ましい。カルボキシ末端が20eq/tを超える量であると、耐加水分解性・耐熱性が低くなるため、ゴム加硫工程などの高次加工工程での機械強度の低下が大きくなり、最終製品の信頼性が低下する。一方、20eq/t以下であれば、良好な耐熱・耐加水分解性の繊維を得ることができる。
【0031】
本発明のポリエステル繊維は、以下の方法によって製造される。すなわち、常法のエステル化反応によって、ジカルボン酸とジオールを無触媒下で反応させ、低重合度ポリエステルを得ることが好ましい。この際、ジカルボン酸のエステル誘導体とジオールから低重合度ポリエステルを得る方法を使用しても構わないが、一般にエステル交換触媒を使用しないと十分な反応速度を得ることができないため、触媒をポリマーに残存させないという本発明の主旨から、無触媒下で直接ジカルボン酸とジオールを反応させる方法をとることが好ましい。
【0032】
上記の低重合度ポリエステルは、重縮合触媒としてポリエステル溶融物に不溶な触媒を用いることによって十分に高重合度化させた後、該触媒をポリマーから取り除く。重縮合触媒としてポリエステルに可溶なものを使用すると、反応終了後にポリエステルから触媒を取り除くことが困難となる。また、無触媒下で重縮合を行う場合には、十分な重合度のポリマーを得るために長時間の反応を行う必要があり、熱によってポリマーが劣化を起こして製品の品位を低下させるほか、生産効率が悪くなるため好ましくない。
【0033】
本発明のポリエステル溶融体に不溶な触媒とは、触媒が重縮合反応を促進する能力を発揮する段階で系に不溶解で、固体状態にあるものを指す。したがって重縮合反応系は液体状態のポリエステル溶融体と、固体状態の触媒が共存する不均一系となる。このようなポリエステル溶融体に不溶解な状態で重縮合触媒能力を有するものを用いれば、反応終了時に触媒を系から除去することが可能であり、最終的に触媒を含有しないポリマーを得ることができる。一方、触媒そのものがポリエステル溶融物に可溶である場合はもちろん、ポリエステル溶融物に添加された後に反応を起こす結果、ポリエステル溶融物に溶解して触媒能を発揮するものは、ポリエステル溶融体に可溶な触媒である。このような触媒を用いた場合には系が均一となるため触媒を分離することが困難であり、最終的に得られるポリマーの中には触媒が残存することとなる。例えば従来PETの重縮合触媒として用いられる三酸化アンチモンは、ポリエステル溶融体に添加される段階では固体状態であるが、系の中でエチレングリコールと反応してグリコラートとなる結果溶解し、重縮合触媒としての能力を発揮することになるが、このような触媒はポリエステル溶融体に可溶な触媒であり、重縮合反応の終了後に系から分離することが困難となる。
【0034】
ポリエステルからポリエステル溶融体に不溶な触媒を取り除く方法は特に限定されないが、例えばバッチ重合の場合は、反応器からポリマーを吐出する部分に触媒を取り除くフィルターを設置すればよい。また、連続重合装置の場合であっても、装置を構成する反応器のポリマー出口に触媒の流出を防ぐフィルターを設けるなどすればよい。また、必要であれば流路や反応機内を複数の小部屋に区切り、部屋の出口部にフィルターを設置しても良い。触媒が存在する容器内は、攪拌して反応の均一性を高めることが好ましい。
【0035】
本発明におけるポリエステル溶融体に不溶な触媒の組成や形状、添加量は適宜調整されれば良く、特に限定されるものではない。しかしながら、その重合触媒能力や熱に対する安定性から、チタンが表面に存在するメゾもしくはミクロポーラスな物質が好ましい。例えばその基本構造にチタンが含有されるものが挙げられ、Ti−HMS、Ti−MCM41、Ti−MSU−1などに代表されるメゾポーラスな構造を持つチタノシリケートまたはTS−1に代表されるミクロポーラスな構造を持つチタノシリケート化合物を挙げることができる(フジテクノシステム発行 多孔質体の性質とその応用技術、1999)。チタノシリケートを用いる場合は重縮合活性を高くするために、チタンのモル比が0.1%以上であるものを使用することが好ましい。また、チタン化合物を担持する場合には、例えばアルミノシリケートなどのゼオライトと、塩化チタノセンのジクロロメタン溶液を拡散させ、トリエチルアミンよるシラノール基の活性化を行うことによって、ゼオライトの内壁にチタン錯体を担持させることができる。使用する担体はゼオライトが好ましいがこれらに限定されず、炭素繊維、グラファイトなど任意のメゾもしくはミクロポーラスな物質を利用することができ、その微細孔の大きさは5nm以上の平均値を持つことが好ましい。
【0036】
本発明のポリエステル溶融体に不溶な触媒の形態は特に限定されないが、その生産性から、打錠成型されたものが好ましい。打錠成型するに際しては、ポリマーに悪影響をおよぼさない範囲でバインダーを使用することも差し支えない。また、固体触媒の大きさについても特に限定はないが、小さすぎるとポリマーとの分離が困難となり、一方大きすぎると、重縮合反応の活性部分となっている触媒表面積の低下を招くため、平均粒径は0.1〜10mmの範囲が好ましい。
【0037】
本発明のポリエステル溶融体に不溶な触媒の添加量は、十分な重縮合触媒能を得るために適宜調整されるが、例えばチタノシリケートであれば、含有されるチタンの量が最終的に得られるポリエステルに対して、0.001重量%以上となるように添加することが好ましい。0.001重量%未満であると、十分な触媒活性を得ることが難しくなる。また同様に、例えばミクロまたはメゾポーラスな物質にチタン化合物を担持させる場合でも、表面におけるチタンの比が担体骨格の構成元素に対して0.001重量%以上となるよう調整されることが好ましい。
【0038】
本発明の方法でポリエステル溶融体に不溶な触媒を取り除いたポリエステル組成物は、一旦吐出・冷却してチップ化する。得られるポリエステル組成物の重合度は均一な粒径の成型品が製造可能な領域であればよく、例えばPETであれば固有粘度0.5以上0.9未満である。
【0039】
上記この成型品は、高強度の繊維などを製造するために固相重合する。固相重合の方法は従来知られているような方法で構わず、例えばPETであれば、真空下で220〜240℃にて処理すれば良く、連続・バッチいずれの方法で行っても良く、また反応容器内の温度を均一にするために攪拌が行われることが好ましい。固相重合によって得られるポリエステル組成物のIVは1.0以上、好ましくは1.1以上が好ましい。本発明の方法によれば、溶融時の重合度低下が小さいため、従来より低いIVの組成物であっても溶融紡糸の結果得られる繊維のIVは従来糸並みとすることができ、固相重合時間の短縮に貢献することができる。また、IVが1.5を越えるような組成物であっても溶融時の重合度低下が小さいため、溶融紡糸の結果得られる繊維のIVを高くすることができ、従来より高強度の繊維を製造することが可能となる。
【0040】
本発明の方法で触媒を取り除いた高重合度ポリエステルは、繊維状に成型される。この際、高重合度ポリエステルは溶融紡糸機に導入され、常法により計量、濾過された後、口金より吐出され、フィラメントなどに成型されることが好ましい。吐出されたポリマーは冷却・固化され、給油されて用途に応じた紡糸速度で引き取られ、巻き取られるか、または巻き取られることなく直接紡糸延伸される。この際、必要であれば250℃以上に加熱された加熱筒によって、口金直下にて遅延冷却が行われることが好ましい。また、延伸は多段延伸で行われることが好ましく、一段延伸目はガラス転移点〜ガラス転移点+30℃程度の温度で延伸され、延伸後には200℃以上の温度で熱処理され、1〜5%程度の弛緩が行われることが好ましい。また、必要に応じて交絡を掛けられるなどすることがある。巻き取られた糸はそのまま製品になることもあるし、延伸や捲縮加工など、用途に応じた加工を受け、織・編物、ミシン糸、ロープ、コード、網など、各種衣料用、産業用繊維として好適に使用される。特にゴム補強用や抄紙用キャンバスなど高温下で使用される用途であると、従来の金属元素を含有する繊維に比べて耐熱性・耐加水分解性が高いため、優れた性能の製品を得ることが可能となる。
【0041】
また、本発明のポリエステル繊維の製造方法では、固相重合したポリエステルの溶融時の重合度低下が小さいため、それほど高い重合度の組成物原料としなくても高い重合度の繊維を得ることができ、固相重合時間を短縮することができる。また従来より高い重合度の組成物を用いれば、重合度低下が小さい分、高い重合度のポリエステル繊維を製造することが可能となり、繊維の機械物性を高めることが可能となる。
【0042】
さらに、本発明のポリエステル繊維の製造方法は、溶融紡糸機内部での熱劣化が小さいために異物などの発生が少なく、また口金堆積物を抑制することができるため、糸切れが少なく、工程安定性に優れている。
【0043】
【実施例】
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の物性値は以下に述べる方法で測定した。
(1)ポリエステル繊維の固有粘度(IV)
オルソクロロフェノールを溶媒として25℃で測定した。
【0044】
また、原料として使用したPETのIVと繊維のIVの差をΔIVとして示した。
(2)ポリエステル繊維中の金属含有量
IPC発光分光分析装置により求めた。繊維をエタノールで洗浄・乾燥した後、検出下限は約0.1ppmであった。
(3)ポリエステル繊維のカルボキシル末端基量
Mauriceらの方法[Anal.Chim.Acta,22,p363(1960)]によった。
(4)ポリエステル繊維のジエチレングリコール量
ポリエステル繊維をアルカリ溶解し、溶液を液体クロマトグラフィーにてジエチレングリコール量(DEG量)を測定した。
(5)ポリエステル繊維の強伸度
東洋ボールドウイン(株)社製テンシロン引張り試験器により、試長250mm、引張り速度300mm/分でS−S曲線を求め強伸度を算出した。
(6)乾熱収縮率
試料をカセ状にとって20℃、65%RHにて24時間以上放置したのち、試料の0.1g/dの荷重をかけて測定した長さL0の試料を、150℃のオーブン中に30分間処理した後、取り出して4時間以上放冷した。その後、再び0.1g/dの荷重をかけて長さL1を測定し、以下の式で収縮率Sを測定した。
【0045】
S(%)=(L0−L1)/L0×100
(7)口金の堆積物の観察
繊維の紡出から72時間後の口金孔周辺の堆積物量を、長焦点顕微鏡を用いて観察した。堆積物がほとんど認められない状態を○、堆積物は認められるものの操業可能な状態を△、堆積物が認められ頻繁に糸切れが発生する状態を×として判定した。
(8)パック内圧
紡糸機に設置された圧力計にて、パック取付から21日後のパック内部の圧力を測定し、その差圧を示した。
(9)糸切れ
吐出ポリマー1t当たりの紡糸時糸切れ回数を測定した。
(10)耐蒸熱性
耐圧ステンレスポットに糸と水を入れて蓋をした後、170℃に加熱して4時間処理した。処理後、糸を取り出してCOOH末端量(eq/t)を測定して、以下の式によって加水分解性を評価した。
【0046】
加水分解性(%)=(処理後COOH末端量−処理後COOH末端量)/処理前COOH末端量 ×100
(11)IRT(ゴム中耐熱性)
コードをゴムに埋め込み、150℃で6時間加硫後の強力保持率で評価した。
【0047】
実施例1
(チタノシリケートの調整)
WO/29297記載の方法に従い、調整した。窒素雰囲気下でテトラエトキシシラン62.5g(300ミリモル)およびエタノール115ミリリットルをフラスコ(500ミリリットル)に秤量し室温下300rpmで攪拌した。これにテトラ−i−プロピルチタネート2.56g(9ミリモル)とイソプロピルアルコール46ミリリットルの混合物を室温下10分間かけて添加した。ついでこの混合物を70℃まで加熱し3時間保持した後、室温まで冷却した。
【0048】
水115ミリリットル及びドデシルアミン15.0gをセパラブルフラスコに秤量し400rpmで攪拌した中に、上記調整したバイメタリックアルコキサイド溶液を約1時間かけて添加した。ついで4時間攪拌を継続させた後に約1日静置した。得られた沈殿物を濾別し、水で1回洗浄した後、80℃で減圧乾燥した。得られた固体を窒素雰囲気下500℃で1時間焼成した後、引き続き空気流通下650℃で4時間焼成し、チタノシリケート17.5gを得た。
【0049】
上記チタノシリケートを、円筒形の金型にセットして10t/cm2の圧力を5分間かけた後、円筒状の成型体を粉砕した。粉砕されたチタノシリケートの粒状物をふるいにかけ、約1mmの粒径のペレットを集めた。
【0050】
(ポリエステルの合成)
高純度テレフタル酸とエチレングリコールから常法に従って製造した、触媒を含有しないオリゴマーを250℃で溶融し、該溶融物に上記チタノシリケートのペレットを0.5wt%添加した。その後、低重合体を30rpmで攪拌しながら、反応系を250℃から285℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を40Paまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。所定の攪拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージし常圧に戻し重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングしてポリエステルのペレットを得た。なお、反応容器底面には50メッシュの金網が設置されており、ポリマー吐出時には該金網によって固体触媒ペレットを回収した。
【0051】
このペレットを130℃にて3時間の結晶化を行った後、真空下・230℃にて10時間の固相重合を行った結果、固有粘度1.21のポリマーを得た。
【0052】
(ポリエステルの製糸)
このペレットを再乾燥した後、エクストルーダ型紡糸機に供給し、紡糸温度295℃で溶融紡糸した。このときフィルターとして絶対濾過精度25μmの金属不織布を使用し、0.6mmφの丸孔を144備えた口金を用いた。口金から吐出した糸を300℃・30cmの加熱フードで遅延徐冷し、25℃・30m/分のチムニー冷却風を当てて冷却固化し、オイリングローラーにて給油した後、引き取り速度500m/分で引き取り、一旦巻き取ることなく90℃、120℃にて合計延伸倍率5.3倍の2段延伸を行い、230℃にて熱セット、3%のリラックス処理を行って巻き取った。
【0053】
(処理コードの作製)
次にこの延伸糸に下撚りをS方向に49T/10cm、上撚りをZ方向に49T/10cmかけて生コードとした。次にこのコードをリツラー社製コンピュートリーターを用いて接着剤をディップして処理コードを作製した。処理条件は乾燥温度160℃、定長処理、熱処理温度240℃の緊張処理、後処理温度は240℃の弛緩処理であった。この緊張率および弛緩率を調整することによって処理コードの中間伸度を3〜4%とした。
【0054】
このように得られたポリマーの重合反応性、ポリマー特性はとも良好であり、溶融紡糸工程においては、パック圧力上昇、口金汚れ、紡糸時糸切れは比較例5、6に比べていずれも低かった。また、得られた繊維の溶融粘度の低下も小さく、強度も優れていた。さらに、耐蒸熱性、IRTともに比較例1、2に比べ、優れていた。
【0055】
実施例2〜3
チタノシリケートの添加量を変更してPETを重縮合する以外は実施例1と同様の方法によった。実施例2、3は良好な繊維の化学・物理的特性を有し、溶融紡糸工程においても比較例1、2に比べて優れた製糸安定性を有していた。また、耐蒸熱性、IRT共に優れており、過酷な条件下で成型されても最終製品として優秀な性能を発現できることがわかった
実施例4〜5
チタノシリケートの粒状物の大きさを変更する以外は実施例1と同様の方法によった。実施例4、5は良好な繊維の化学・物理的特性を有し、溶融紡糸工程においても比較例1、2に比べて優れた製糸安定性を有していた。また、耐蒸熱性、IRT共に優れており、過酷な条件下で成型されても最終製品として優秀な性能を発現できることがわかった。
【0056】
実施例6〜7、
チタノシリケートを調整する際、実施例6ではテトラ−i−プロピルチタネートを0.17g(0.6ミリモル)、実施例7ではテトラ−i−プロピルチタネート4.27g(15ミリモル)を使用する以外は実施例1と同様の方法によった。実施例6、7は良好な繊維の化学・物理的特性を有し、溶融紡糸工程においても比較例1、2に比べて優れた製糸安定性を有していた。また、耐蒸熱性、IRT共に優れており、過酷な条件下で成型されても最終製品として優秀な性能を発現できることがわかった。
【0057】
実施例8、9
製糸の際の紡糸速度を変更する以外は、実施例1と同様の方法によった。実施例8、9は良好な繊維の化学・物理的特性を有し、溶融紡糸工程においても優れた製糸安定性を有していた。また、耐蒸熱性、IRT共に優れており、過酷な条件下で成型されても最終製品として優秀な性能を発現できることがわかった。
【0058】
実施例10
室温にてCp2 TiCl2 (Cp=シクロペンタジエニル配位子)のジクロロメタン溶液にトリメチルアミンを添加し、更にモービル社製MCM41ゼオライトを加え、攪拌した。18時間後に不溶物を分離し、ジクロロメタンで洗浄した。
この方法で得られたチタン化合物担持ゼオライトを用いる以外は実施例1と同様の方法によった。実施例8、9は良好な繊維の化学・物理的特性を有し、溶融紡糸工程においても優れた製糸安定性を有していた。また、耐蒸熱性、IRT共に優れており、過酷な条件下で成型されても最終製品として優秀な性能を発現できることがわかった。
【0059】
比較例1、2
チタノシリケートの変わりに、三酸化アンチモン、三酸化ゲルマニウムの所定量を添加した以外は、実施例1と同様の方法によった。比較例1、2はカルボキシル末端量やDEG量が多く、また強度が低いなど、満足のいく化学・物理的特性の繊維を得ることができなかった。また、溶融紡糸工程においても、パック圧上昇が速く、口金汚れが激しいことなどに起因して糸切れが多く、製糸安定性は悪かった。また、耐蒸熱性、IRT共に劣っており、過酷な条件下で成型されると原糸の有する性能が低下することがわかった。
【0060】
実施例11、12、比較例3
固相重合時間を変更して到達IVが異なるPETを用いて溶融した以外は、実施例1と同様の方法によって実施例11、12を行った。また、 固相重合時間を変更して到達IVが異なるPETを用いて溶融した以外は、比較例1と同様の方法によって比較例3を行った。実施例11は、比較例3と同様の原料IV出会ったにも関わらず、溶融時のIVドロップが小さいために繊維のIVが高くなった。また、実施例12は比較例1に比べて原料IVが小さいにも関わらず、溶融時のIV低下が小さいために繊維のIVは比較例1と同等のIVとなった。その結果、実施例11、12は良好な繊維の化学・物理的特性を有し、溶融紡糸工程においても優れた製糸安定性を有していた。また、耐蒸熱性、IRT共に優れており、過酷な条件下で成型されても最終製品として優秀な性能を発現できることがわかった。
【0061】
【表1】

Figure 0004320928
【0062】
【表2】
Figure 0004320928
【0063】
【発明の効果】
本発明のポリエステル繊維は、ゴム補強繊維として加工される時などに加えられる熱や水による分子量低下が小さいため、最終製品中でも高い機械特性を保持することができる。そのため、ゴム補強用繊維の他、シートベルト、エアバッグなど高温下で使用される製品の原料としても好適に使用することができる。さらに、ドライヤーキャンパスや漁網など、水や蒸気と接する材料としても、優れた耐久性を発現することができる。
【0064】
本発明のポリエステル繊維の製造方法によれば、溶融紡糸時の分子量低下が小さく、またパックの濾圧上昇や口金汚れを抑制することができるため、ポリエステル繊維を高効率で生産することが可能となる。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a high-strength polyester fiber that has a small decrease in molecular weight due to heat and hydrolysis and a good mechanical strength retention. More specifically, the present invention relates to a polyester fiber that contains substantially no metal element, suppresses a decrease in molecular weight, which is a problem when processed as a rubber reinforcing fiber, and has a good mechanical strength retention. The present invention also relates to a method for producing a high-strength polyester fiber capable of producing a high-molecular weight polyester fiber with high efficiency, with a small decrease in molecular weight during melt spinning.
[0002]
[Prior art]
Polyester fibers are widely used in various fields including garments, rubber reinforcement, building materials, transportation packaging, and filters because of their excellent properties. Among these, polyethylene terephthalate fibers are excellent in mechanical strength, chemical characteristics, dimensional stability, etc., and are preferably used.
[0003]
In general, a polyester can be produced by an esterification reaction or transesterification reaction between a dicarboxylic acid or an ester-forming derivative thereof and a diol, and a polycondensation reaction. For example, polyethylene terephthalate (hereinafter abbreviated as PET) is produced from terephthalic acid or an ester-forming derivative thereof and ethylene glycol. In general, polyesters have a slow polycondensation reaction rate, so in the commercial process for producing high molecular weight polymers of these polyesters, polycondensation catalysts are used for efficient production, and specific metal compounds are widely used as catalysts. ing.
[0004]
Many metal compounds are known to accelerate the thermal decomposition and hydrolysis reactions of polyesters. In particular, polycondensation catalysts, which are the most abundant metal compounds in polyesters, promote polyester polycondensation reactions. At the same time, the thermal decomposition reaction is generally promoted. Therefore, as a polycondensation catalyst for PET, it is important to select a compound that is excellent in polymerization catalyst ability but does not promote thermal degradation, and therefore, antimony compounds and germanium compounds having a relatively low thermal decomposition rate are used. Among them, antimony compounds are preferably used because of their low cost, and in order to further suppress thermal degradation, it is common to add phosphorus compounds as described in JP-A-46-5384. . However, various methods such as this method have been studied for a long time, but the effect of suppressing thermal deterioration and hydrolysis is insufficient.
[0005]
In industrial fibers typified by rubber reinforcing fibers that require high strength, since melt spinning is generally performed using PET having a high degree of polymerization by solid-phase polymerization, the decrease in molecular weight due to heat or water is particularly significant. Become. That is, PET raw yarn used for tire cords is required to have a tensile strength exceeding 7 cN / dtex. In order to satisfy such mechanical properties, the intrinsic viscosity (hereinafter referred to as IV) is generally 0. It is necessary to use 9 or more PET fibers. In order to obtain such high-viscosity fibers, it is necessary to solid-phase polymerize the PET composition obtained by liquid phase polymerization. However, since the IV decrease when melting highly polymerized PET is large, It is necessary to use a PET composition having an IV of about 1.0 to 1.5. However, solid-phase polymerization has a lower reaction temperature than liquid-phase polymerization, and thus becomes a long-time reaction process, which is the most burdensome in terms of time and economy in producing a PET composition. Therefore, there has been a demand for a production method that can shorten the solid-phase polymerization time and has a small IV decrease during melting.
[0006]
In addition, it has been proposed for a long time to use PET with high IV as a means for producing fibers having higher strength than before, but PET with IV exceeding 1.5 in solid phase polymerization for a long time has been proposed. Even when melt spinning, the fiber obtained has an IV of about 1.0, and the mechanical properties of the fiber are almost the same as those of the conventional fiber. In view of this, several techniques have been disclosed for obtaining PET fibers while suppressing IV decrease as much as possible when melt spinning using a high IV PET composition as a raw material. For example, J.Appl.Polm.Sci., 30,3325 (1985) uses a cyclic iminoether such as 2,2'-bis (2-oxazoline) as a polyester chain linking agent, which reduces the molecular weight. It is stated that there is a function to suppress. In this way, chain linkage is performed to suppress the decrease in molecular weight of the polyester or compensate for the decrease in molecular weight, but foaming occurs during polycondensation and melt spinning, resulting in yarn breakage and mechanical properties of the product. Reduce. In addition, if the reaction occurs with incomplete dispersion of the compound, a polyester having a high molecular weight component is locally generated, which becomes a foreign substance and causes clogging of the filter in the pack, or breakage during spinning / drawing. It may cause. In Polymer, 37,4421 (1996), a solvent having a high melting point such as 1-methylnaphthalene is mixed in a polyester melt by about 20%, and spinning is performed at a temperature about 20 to 30 ° C. lower than the normal spinning temperature. The decrease in IV is suppressed. However, the method of spinning by mixing such a solvent with polyester has a large environmental load, and costs are high for recovery and separation of the solvent used, which is not suitable for industrial production. Although several attempts have been made to obtain a high molecular weight polyester exceeding 1.5 in the spinning process as described above, a satisfactory method has not been obtained.
[0007]
Further, it is known that the polycondensation catalyst contained in the polyester promotes thermal decomposition and hydrolysis even in steps other than melt spinning. For example, high-strength PET fibers are used as rubber reinforcing fibers, but are known to undergo hydrolysis by additives such as amines contained in the rubber during the rubber vulcanization process, resulting in a decrease in strength. . In addition, when used as a material for a papermaking canvas, it is subjected to a hot water treatment for a long time, so that a reduction in product strength due to hydrolysis becomes a problem. It is known that the proton at the carboxyl terminal of PET acts as a catalyst for promoting the hydrolysis. As a means for suppressing the hydrolysis of PET, a method in which the carboxyl end is blocked with a compound such as epoxy or carbodiimide to suppress the rate of decrease in strength is widely adopted. For example, Japanese Patent Publication No. 38-15220 and This is described in Japanese Patent Publication No. 44-27911. In addition, it is widely known that metals contained in PET act as a catalyst, and several formulations for adding a chelate compound that suppresses the catalytic ability of these metals are disclosed. However, these methods are susceptible to denaturation due to thermal deterioration as a result of the added compound staying in the spinning machine for a long time, and remain in the fiber to significantly reduce the fiber properties. In addition, these additives hinder the crystallinity of the fiber, increase the thermal shrinkage rate, reduce the heat resistance, and deteriorate the performance as a rubber reinforcing fiber. The penetration of amines is promoted and the desired hydrolysis inhibiting effect cannot be obtained sufficiently.
[0008]
Furthermore, it has been pointed out that when a metal compound such as antimony is used as the polycondensation catalyst, it is not preferable other than the problems associated with the thermal degradation and hydrolysis.
[0009]
It is known that when a polyester obtained using an antimony catalyst is melt-spun into a fiber, a residue of the antimony catalyst is deposited around the mouthpiece hole. As this deposition progresses, it becomes a cause of defects in the filament, so that it needs to be removed in a timely manner. Antimony catalyst residue deposits occur when antimony is present in the polymer in the form of antimony glycolate, which undergoes transformation near the base and partially vaporizes and dissipates. It is thought that it is to remain in the base. Such bases need to be cleaned regularly, but when cleaning, it is necessary to stop winding the product, and the polymer in the meantime is discarded without becoming a product. It was a problem in terms. In addition, since the cleaning work is difficult to mechanize and is a manual work at a high temperature, improvement is desired from the viewpoint of ensuring the safety of workers and personnel costs.
[0010]
In addition, the antimony catalyst residue in the polymer tends to be relatively large particles, which is trapped by the filter in the spinning pack and causes an increase in the filtration pressure, which causes the need for frequent replacement of the pack and hinders continuous work. Yes.
[0011]
Antimony catalyst residues that could not be captured by the filter are mixed into the polymer and discharged from the die. Fibers are tensioned during spinning, drawing, and high-order processing, but the catalyst residue tends to be a factor that concentrates the tension, causing yarn breakage and fluffing and hindering the stability of yarn production and high-order processing. . Further, in the final product, since the catalyst residue becomes a stress concentration factor with respect to the tension, there is a big problem that the strength, which is the most basic characteristic of industrial fibers, is reduced.
[0012]
In view of the above background, there is a demand for polyester fibers that contain very little or no antimony.
[0013]
In order to solve the above-described problems, several examples of studying polycondensation catalysts instead of antimony compounds have been made.
[0014]
For example, Japanese Patent Laid-Open No. 10-324741 discloses a technique for producing a polyester composition using an aluminum compound as a polycondensation catalyst. This technique uses an aluminum compound as a catalyst in place of the antimony compound. Certainly, it is possible to obtain a polyester having a high degree of polymerization without using an antimony compound by the method disclosed in the publication, but PET using the compound as a polycondensation catalyst is susceptible to thermal degradation in a spinning machine. Due to its large size, it is inferior in the stability of yarn production. Furthermore, melt-spun fibers have low mechanical strength and are difficult to use as industrial fibers.
[0015]
In addition, unlike a compound such as antimony, germanium, and aluminum that dissolves in the system and exhibits catalytic activity, a technique using a heterogeneous catalyst that is insoluble in the system includes WO90 / 03408. These technologies use crystalline sodium aluminosilicate molecular sieve (zeolite) having activity as a polycondensation catalyst as both a slip additive and a catalyst, thereby increasing the reactivity in the polycondensation reaction and shortening the reaction time. It has been proposed. However, although the reactivity has been improved by the compound, the zeolite catalyst remains in a large amount without being dissolved in the system in the finally obtained polymer, thereby causing a loss of transparency due to a deterioration in color tone. In addition, it is difficult to say that the mechanical strength and yarn-spinning stability of the fiber are low, and that sufficient improvements have been made.
[0016]
Moreover, the manufacturing technology of the polyester composition which does not contain a catalyst is disclosed by USP-4,150,214 gazette. In this technique, a low polymer PET having an IV of 0.1 to 0.4 is prepared using an esterification catalyst that volatilizes at a high temperature, and this is solid-phase polymerized to obtain a PET having a desired degree of polymerization. . However, in order to make such a low degree of polymerization PET into a degree of melt spinning, solid phase polymerization for a long time is required, which is not suitable as an industrial method. In general, during solid-phase polymerization, the pellets are stirred and mixed in a solid state, so many powders fall off from the pellets, but in the long-term solid-state polymerization required by the above technology, a large amount of powder is generated. The handling of pellets is greatly hindered. Further, in this powder, the diffusion rate of ethylene glycol is faster than that of the pellet, so that the polymerization degree of the powder is generally higher than that of the pellet. Therefore, if the solid phase polymerization required for the above technique is performed for a long time, the degree of polymerization of the generated powder becomes remarkably high, and not only the process stability is greatly deteriorated, such as a foreign matter without being sufficiently melted during spinning. It is difficult to produce high-strength fibers that greatly reduce their mechanical strength and are used in industrial applications. Further, as described in the publication, when a polymer having a high degree of polymerization such that IV exceeds 1.0 from a low degree of polymerization, the crystallization rate of the polymer having a low degree of polymerization is high. In general, this is difficult, and this publication only describes examples with an IV of up to 0.7. Furthermore, the publication does not mention contribution to the fiber manufacturing process, and of course, there is no description about the usefulness of polyester fibers containing no metal element.
[0017]
A technique for synthesizing an ester compound using a catalyst that is insoluble in the system is described in, for example, Japanese Patent Application Laid-Open No. 11-140026. In this publication, a solid catalyst is used as an esterification catalyst. A technique for performing a reaction in a system is disclosed. In this publication, in a method for producing a carboxylic acid ester by reacting a carboxylic acid and / or an anhydride thereof with an alcohol, by using a titanosilicate catalyst having a mesoporous structure, the esterification reactivity is improved and the catalyst is produced. The benefits of recovery and reuse of the water are proposed. However, the above technique is a technique using a solid catalyst for the esterification reaction, and there is no mention of polycondensation reactivity in polyester production and contribution to the fiber production process.
[0018]
[Problems to be solved by the invention]
As described above, in the conventional high-strength polyester, a decrease in the mechanical properties of the fiber due to the metal compound contained in the fiber, and a decrease in the strength when processed as, for example, a rubber reinforcing fiber cannot be avoided.
[0019]
Further, in the conventional method for producing a high-strength polyester fiber, the molecular weight is greatly reduced when the raw material is melted, and yarn breakage due to the metal compound contained in the fiber cannot be avoided.
[0020]
An object of the present invention is to provide a polyester fiber and a method for producing the same that improve the drawbacks of the prior art and stabilize the process and improve the quality of the final product.
[0021]
[Means for Solving the Problems]
The present invention is achieved by a high-strength polyester fiber characterized in that the amount of metal element having the largest content is 2 ppm or less. In addition, a solid catalyst is used as a polymerization catalyst, and after performing a polymerization reaction in a solid-liquid heterogeneous system, the polyester composition from which the solid catalyst is substantially removed is solid-phase polymerized and formed into a fiber shape. This is achieved by a method for producing high-strength polyester fibers.
[0022]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The polyester of the present invention is a polymer synthesized from a dicarboxylic acid and a diol. Ru .
[0023]
Book The invention Most Is also suitable for polyester copolymers made of polyethylene terephthalate or polyethylene terephthalate, which are used for general purposes.
[0024]
These polyesters include dicarboxylic acids such as adipic acid, isophthalic acid, sebacic acid, phthalic acid, 4,4′-diphenyldicarboxylic acid and ester-forming derivatives thereof, polyethylene glycol, diethylene glycol, hexamethylene as copolymerization components. Dioxy compounds such as glycol, neopentyl glycol and polypropylene glycol, oxycarboxylic acids such as p- (β-oxyethoxy) benzoic acid and ester-forming derivatives thereof may be copolymerized.
[0025]
Moreover, in this invention, you may add and contain a coloring inhibitor, particle | grains, etc., such as a well-known compound, for example, various phosphorus compounds, as needed. In addition, since the polyester fiber of this invention does not contain a metal element substantially, there exists a merit that it is hard to raise | generate a thermal deterioration and can reduce a coloring inhibitor and antioxidant conventionally.
[0026]
The polyester fiber in the present invention has a metal element content of the largest content of less than 2 ppm. The metal element here is a typical element of Group I excluding hydrogen, Group II excluding hydrogen, Group III excluding boron, Group IV excluding carbon and silicon, and Group V excluding nitrogen, phosphorus and arsenic. , Refers to all transition elements, rare earths. Polyesters containing these elements and their compounds are prone to thermal degradation and hydrolysis, so that thermal degradation is promoted in the fiber production process and the mechanical properties of the fibers are lowered. Moreover, since hydrolysis is likely to occur in a rubber vulcanization process or the like, the performance as a reinforcing fiber is lowered. Although antimony, titanium, and germanium are known to be polycondensation catalysts having relatively small hydrolysis and thermal decomposition catalytic ability, they are not satisfactory. On the other hand, since the polyester of the present invention hardly undergoes hydrolysis or thermal degradation, it is excellent in the stability of the fiber production process and has high mechanical properties of the fiber. Furthermore, since the polyester fiber has high hydrolysis resistance and heat decomposition resistance, there is little decrease in mechanical strength in higher processing steps such as a rubber vulcanization step, and the reliability of the final product can be improved.
[0027]
The polyester fiber of the present invention has a metal element content of 2 ppm or less with the highest content, but the most common metal element contained in industrial polyester fibers generally required for high strength is the polycondensation catalyst. The number of types of metal compounds used at the same time is at most about three. Most of the metals used are antimony, germanium and titanium, and manganese, zinc, tin and the like are sometimes used. These catalysts, as the reverse reaction or side reaction of the polycondensation reaction, significantly accelerate the hydrolysis reaction and thermal decomposition reaction, and in particular reduce the molecular weight of the polyester compared to the impurity metal elements that are inevitably mixed in the polycondensation or yarn production process. It is what causes.
[0028]
The strength of the polyester fiber of the present invention is 7 cN / dtex or more. R 7.5 cN / dtex or more is more preferable. Industrial fibers representing rubber reinforcing fibers are required to have high strength, and preferably have a strength of 7 cN / dtex or more, more preferably 7.5 cN / dtex or more.
[0029]
The intrinsic viscosity of the polyester fiber of the present invention is preferably 0.9 or more. Industrial fibers representing rubber reinforcing fibers are required to have high strength, and in order to satisfy these requirements, fibers having an intrinsic viscosity of 0.9 or more are preferable.
[0030]
The carboxyl end of the polyester fiber in the present invention is preferably 20 eq / t or less. If the carboxy terminus exceeds 20 eq / t, the hydrolysis resistance and heat resistance will be low, so the mechanical strength will be greatly reduced in higher processing steps such as rubber vulcanization, and the reliability of the final product will be increased. Decreases. On the other hand, if it is 20 eq / t or less, good heat-resistant and hydrolysis-resistant fibers can be obtained.
[0031]
The polyester fiber of the present invention is produced by the following method. That is, it is preferable to obtain a low-polymerization polyester by reacting a dicarboxylic acid and a diol in the absence of a catalyst by a conventional esterification reaction. At this time, a method of obtaining a low-polymerization degree polyester from an ester derivative of a dicarboxylic acid and a diol may be used, but in general, a sufficient reaction rate cannot be obtained unless a transesterification catalyst is used. From the gist of the present invention that it does not remain, it is preferable to take a method in which a dicarboxylic acid and a diol are directly reacted in the absence of a catalyst.
[0032]
The low polymerization degree polyester is sufficiently increased in polymerization degree by using a catalyst insoluble in the polyester melt as a polycondensation catalyst, and then the catalyst is removed from the polymer. If a polycondensation catalyst that is soluble in polyester is used, it is difficult to remove the catalyst from the polyester after completion of the reaction. In addition, when polycondensation is carried out in the absence of a catalyst, it is necessary to carry out a long reaction in order to obtain a polymer having a sufficient degree of polymerization. In addition to causing the polymer to deteriorate due to heat, the product quality is lowered. Since production efficiency deteriorates, it is not preferable.
[0033]
The catalyst insoluble in the polyester melt of the present invention refers to a catalyst that is insoluble in the system and is in a solid state at the stage where the catalyst exhibits the ability to promote the polycondensation reaction. Therefore, the polycondensation reaction system is a heterogeneous system in which the liquid polyester melt and the solid catalyst coexist. By using a polycondensation catalyst insoluble in such a polyester melt, it is possible to remove the catalyst from the system at the end of the reaction, and finally obtain a polymer containing no catalyst. it can. On the other hand, not only when the catalyst itself is soluble in the polyester melt, but also after being added to the polyester melt, a reaction that occurs as a result of dissolving in the polyester melt and exhibiting catalytic activity is acceptable for the polyester melt. It is a soluble catalyst. When such a catalyst is used, the system becomes uniform and it is difficult to separate the catalyst, and the catalyst remains in the finally obtained polymer. For example, antimony trioxide conventionally used as a polycondensation catalyst for PET is in a solid state when added to a polyester melt, but dissolves as a result of reacting with ethylene glycol to form a glycolate in the system. However, such a catalyst is a catalyst that is soluble in the polyester melt and is difficult to separate from the system after the polycondensation reaction is completed.
[0034]
The method for removing the catalyst insoluble in the polyester melt from the polyester is not particularly limited. For example, in the case of batch polymerization, a filter for removing the catalyst may be installed in a portion where the polymer is discharged from the reactor. Even in the case of a continuous polymerization apparatus, a filter for preventing the catalyst from flowing out may be provided at the polymer outlet of the reactor constituting the apparatus. Further, if necessary, the flow path and the inside of the reactor may be divided into a plurality of small rooms, and a filter may be installed at the outlet of the room. The inside of the container in which the catalyst is present is preferably stirred to improve the uniformity of the reaction.
[0035]
The composition, shape, and amount of the catalyst insoluble in the polyester melt in the present invention may be adjusted as appropriate, and are not particularly limited. However, a meso- or microporous material in which titanium is present on the surface is preferable because of its polymerization catalyst ability and stability to heat. For example, those containing titanium in the basic structure are included, and titanosilicate having a mesoporous structure typified by Ti-HMS, Ti-MCM41, Ti-MSU-1 or the like, or micro typified by TS-1. A titanosilicate compound having a porous structure can be mentioned (published by Fuji Techno System, Properties of porous materials and their application technology, 1999). When titanosilicate is used, it is preferable to use a titanium having a molar ratio of 0.1% or more in order to increase the polycondensation activity. In addition, when supporting a titanium compound, for example, a titanium complex is supported on the inner wall of the zeolite by diffusing a zeolite solution such as aluminosilicate and a dichloromethane solution of titanocene chloride and activating silanol groups with triethylamine. Can do. The carrier to be used is preferably zeolite, but is not limited thereto, and any meso or microporous material such as carbon fiber and graphite can be used, and the size of the micropores should have an average value of 5 nm or more. preferable.
[0036]
The form of the catalyst insoluble in the polyester melt of the present invention is not particularly limited, but from the viewpoint of productivity, those formed by tableting are preferred. In tableting molding, a binder may be used as long as it does not adversely affect the polymer. Also, the size of the solid catalyst is not particularly limited, but if it is too small, separation from the polymer becomes difficult. On the other hand, if it is too large, the surface area of the catalyst that is an active part of the polycondensation reaction is reduced. The particle size is preferably in the range of 0.1 to 10 mm.
[0037]
The amount of the catalyst insoluble in the polyester melt of the present invention is appropriately adjusted in order to obtain sufficient polycondensation catalytic ability. For example, in the case of titanosilicate, the amount of titanium contained is finally obtained. It is preferable to add so that it may become 0.001 weight% or more with respect to the polyester obtained. If it is less than 0.001% by weight, it becomes difficult to obtain sufficient catalytic activity. Similarly, for example, even when a titanium compound is supported on a micro or mesoporous material, the ratio of titanium on the surface is preferably adjusted to be 0.001% by weight or more with respect to the constituent elements of the support skeleton.
[0038]
The polyester composition from which the catalyst insoluble in the polyester melt is removed by the method of the present invention is once discharged and cooled to form chips. The degree of polymerization of the obtained polyester composition may be in a region where a molded product having a uniform particle diameter can be produced. For example, in the case of PET, the intrinsic viscosity is 0.5 or more and less than 0.9.
[0039]
The molded product is subjected to solid phase polymerization in order to produce high strength fibers and the like. The method of solid phase polymerization may be a conventionally known method, for example, if it is PET, it may be processed at 220 to 240 ° C. under vacuum, and may be performed by either continuous or batch method. Further, stirring is preferably performed in order to make the temperature in the reaction vessel uniform. The polyester composition obtained by solid phase polymerization has an IV of 1.0 or more, preferably 1.1 or more. According to the method of the present invention, since the decrease in the degree of polymerization at the time of melting is small, the IV of the fiber obtained as a result of melt spinning can be the same as that of the conventional yarn even in the case of a composition having a lower IV than conventional. This can contribute to shortening the polymerization time. Further, even if the composition has an IV exceeding 1.5, the degree of polymerization at the time of melting is small, so that the IV of the fiber obtained as a result of melt spinning can be increased, and a higher strength fiber than conventional ones can be obtained. It can be manufactured.
[0040]
The high polymerization degree polyester from which the catalyst has been removed by the method of the present invention is formed into a fiber. At this time, it is preferable that the high degree of polymerization polyester is introduced into a melt spinning machine, measured and filtered by a conventional method, then discharged from a die and molded into a filament or the like. The discharged polymer is cooled and solidified, supplied with oil, taken up at a spinning speed according to the application, and taken up or directly drawn without being taken up. At this time, it is preferable that delayed cooling is performed directly below the base by a heating cylinder heated to 250 ° C. or higher if necessary. The stretching is preferably performed by multi-stage stretching, and the first stage is stretched at a temperature of glass transition point to glass transition point + 30 ° C., and after the stretching, it is heat-treated at a temperature of 200 ° C. or more, and about 1 to 5%. It is preferable that the relaxation of is performed. Moreover, it may be entangled as necessary. The wound yarn may be used as it is, or it may be processed according to the application such as drawing or crimping, and weaving / knitting, sewing thread, rope, cord, net, etc. It is suitably used as a fiber. In particular, for applications that are used at high temperatures such as rubber reinforcement and papermaking canvas, it has higher heat resistance and hydrolysis resistance than conventional fibers containing metal elements, so that products with excellent performance can be obtained. Is possible.
[0041]
Further, in the method for producing a polyester fiber according to the present invention, since the decrease in the polymerization degree when the solid-phase polymerized polyester is melted is small, a fiber with a high polymerization degree can be obtained without using a composition raw material with a very high polymerization degree. The solid-state polymerization time can be shortened. Further, if a composition having a higher degree of polymerization than before is used, polyester fibers having a higher degree of polymerization can be produced because the decrease in the degree of polymerization is small, and the mechanical properties of the fiber can be improved.
[0042]
Furthermore, the polyester fiber manufacturing method of the present invention has less heat deterioration inside the melt-spinning machine, so there is little generation of foreign matter and the like, and it is possible to suppress the die deposits, resulting in less yarn breakage and process stability. Excellent in properties.
[0043]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described in more detail with reference to examples. In addition, the physical-property value in an Example was measured by the method described below.
(1) Intrinsic viscosity of polyester fiber (IV)
Measurement was performed at 25 ° C. using orthochlorophenol as a solvent.
[0044]
Moreover, the difference between IV of PET used as a raw material and IV of fiber was shown as ΔIV.
(2) Metal content in polyester fiber
It calculated | required with the IPC emission-spectral-analysis apparatus. After washing and drying the fiber with ethanol, the lower limit of detection was about 0.1 ppm.
(3) Carboxyl end group amount of polyester fiber
Maurice et al. [Anal. Chim. Acta, 22, p363 (1960)].
(4) Diethylene glycol content of polyester fiber
The polyester fiber was dissolved in alkali, and the amount of diethylene glycol (DEG amount) of the solution was measured by liquid chromatography.
(5) Strength of polyester fiber
The S-S curve was obtained by a Tensilon tensile tester manufactured by Toyo Baldwin Co., Ltd. at a test length of 250 mm and a tensile speed of 300 mm / min, and the strength and elongation were calculated.
(6) Dry heat shrinkage
After leaving the sample in the shape of a cake at 20 ° C. and 65% RH for 24 hours or longer, the sample of length L0 measured by applying a load of 0.1 g / d to the sample is treated in an oven at 150 ° C. for 30 minutes. Then, it was taken out and allowed to cool for 4 hours or more. Thereafter, a load of 0.1 g / d was applied again to measure the length L1, and the shrinkage rate S was measured by the following equation.
[0045]
S (%) = (L0−L1) / L0 × 100
(7) Observation of the deposit on the base
The amount of deposit around the die hole 72 hours after spinning of the fiber was observed using a long focus microscope. The state in which deposits were hardly recognized was judged as ◯, the state in which deposits were recognized but operable was judged as Δ, and the state in which deposits were found and yarn breakage frequently occurred was judged as ×.
(8) Pack internal pressure
The pressure inside the pack was measured 21 days after the pack was attached with a pressure gauge installed in the spinning machine, and the differential pressure was shown.
(9) Thread break
The number of yarn breakage during spinning per ton of discharged polymer was measured.
(10) Steam heat resistance
After putting a thread | yarn and water in a pressure-resistant stainless steel pot, and covering, it heated at 170 degreeC and processed for 4 hours. After the treatment, the yarn was taken out, the COOH end amount (eq / t) was measured, and the hydrolyzability was evaluated by the following formula.
[0046]
Hydrolyzability (%) = (COOH end amount after treatment−COOH end amount after treatment) / COOH end amount before treatment × 100
(11) IRT (heat resistance in rubber)
The cord was embedded in rubber and evaluated by the strength retention after vulcanization at 150 ° C. for 6 hours.
[0047]
Example 1
(Adjustment of titanosilicate)
Adjustment was made according to the method described in WO / 29297. Under a nitrogen atmosphere, 62.5 g (300 mmol) of tetraethoxysilane and 115 ml of ethanol were weighed in a flask (500 ml) and stirred at room temperature at 300 rpm. To this was added a mixture of 2.56 g (9 mmol) of tetra-i-propyl titanate and 46 ml of isopropyl alcohol over 10 minutes at room temperature. The mixture was then heated to 70 ° C. and held for 3 hours before cooling to room temperature.
[0048]
While 115 ml of water and 15.0 g of dodecylamine were weighed into a separable flask and stirred at 400 rpm, the adjusted bimetallic alkoxide solution was added over about 1 hour. Then, after stirring was continued for 4 hours, the mixture was allowed to stand for about 1 day. The resulting precipitate was filtered off, washed once with water, and dried under reduced pressure at 80 ° C. The obtained solid was calcined at 500 ° C. for 1 hour in a nitrogen atmosphere, and then calcined at 650 ° C. for 4 hours under air flow to obtain 17.5 g of titanosilicate.
[0049]
The titanosilicate was set in a cylindrical mold and a pressure of 10 t / cm 2 was applied for 5 minutes, and then the cylindrical molded body was pulverized. The ground titanosilicate granules were screened to collect pellets with a particle size of about 1 mm.
[0050]
(Synthesis of polyester)
A catalyst-free oligomer produced from high-purity terephthalic acid and ethylene glycol according to a conventional method was melted at 250 ° C., and 0.5 wt% of the titanosilicate pellets were added to the melt. Thereafter, while stirring the low polymer at 30 rpm, the reaction system was gradually heated from 250 ° C. to 285 ° C. and the pressure was reduced to 40 Pa. The time to reach the final temperature and final pressure was both 60 minutes. When the predetermined stirring torque was reached, the reaction system was purged with nitrogen, returned to normal pressure, the polycondensation reaction was stopped, discharged into cold water in a strand form, and immediately cut to obtain polyester pellets. A 50-mesh wire mesh was installed on the bottom of the reaction vessel, and solid catalyst pellets were collected by the wire mesh when the polymer was discharged.
[0051]
This pellet was crystallized at 130 ° C. for 3 hours and then subjected to solid phase polymerization at 230 ° C. under vacuum for 10 hours. As a result, a polymer having an intrinsic viscosity of 1.21 was obtained.
[0052]
(Polyester yarn making)
After the pellets were re-dried, they were supplied to an extruder type spinning machine and melt-spun at a spinning temperature of 295 ° C. At this time, a metal non-woven fabric having an absolute filtration accuracy of 25 μm was used as a filter, and a die provided with 144 holes of 0.6 mmφ was used. The yarn discharged from the die is slowly cooled with a heating hood at 300 ° C / 30cm, cooled and solidified by applying a chimney cooling air at 25 ° C / 30m / min, and lubricated with an oiling roller, and then the take-up speed is 500m / min. The film was taken up and subjected to two-stage drawing at a total draw ratio of 5.3 times at 90 ° C. and 120 ° C. without being wound up, and was heat-set at 230 ° C. and subjected to a relaxation treatment of 3% and wound up.
[0053]
(Preparation of processing code)
Next, this stretched yarn was made into a raw cord by applying a lower twist of 49 T / 10 cm in the S direction and an upper twist of 49 T / 10 cm in the Z direction. Next, this cord was dipped in an adhesive using a Ritzler computer treater to prepare a treated cord. The treatment conditions were a drying temperature of 160 ° C., a constant length treatment, a tension treatment at a heat treatment temperature of 240 ° C., and a post-treatment temperature of a relaxation treatment at 240 ° C. By adjusting the tension rate and relaxation rate, the intermediate elongation of the treated cord was made 3 to 4%.
[0054]
The polymerization reactivity and polymer properties of the polymer thus obtained were both good, and in the melt spinning process, the pack pressure increase, the base stain, and the yarn breakage during spinning were all lower than those of Comparative Examples 5 and 6. . Moreover, the decrease in melt viscosity of the obtained fiber was small and the strength was excellent. Furthermore, both steam resistance and IRT were superior to Comparative Examples 1 and 2.
[0055]
Examples 2-3
The procedure was the same as in Example 1 except that the amount of titanosilicate added was changed to polycondense PET. Examples 2 and 3 had good chemical and physical properties of the fiber, and had excellent yarn-making stability in the melt spinning process as compared with Comparative Examples 1 and 2. In addition, both steam heat resistance and IRT are excellent, and it was found that even when molded under harsh conditions, excellent performance can be achieved as a final product.
Examples 4-5
A method similar to that of Example 1 was used except that the size of the titanosilicate granular material was changed. Examples 4 and 5 had good chemical and physical properties of the fiber, and had excellent yarn production stability in the melt spinning process as compared with Comparative Examples 1 and 2. Moreover, it was found that both the heat resistance and IRT are excellent, and even when molded under severe conditions, excellent performance can be achieved as a final product.
[0056]
Examples 6-7,
In preparing the titanosilicate, Example 6 uses 0.17 g (0.6 mmol) of tetra-i-propyl titanate, and Example 7 uses 4.27 g (15 mmol) of tetra-i-propyl titanate. Was the same method as in Example 1. Examples 6 and 7 had good fiber chemical and physical properties, and had superior yarn-making stability in the melt spinning process as compared with Comparative Examples 1 and 2. Moreover, it was found that both the heat resistance and IRT are excellent, and even when molded under severe conditions, excellent performance can be achieved as a final product.
[0057]
Examples 8 and 9
A method similar to that in Example 1 was used except that the spinning speed at the time of yarn production was changed. Examples 8 and 9 had good fiber chemical and physical properties, and had excellent yarn production stability even in the melt spinning process. Moreover, it was found that both the heat resistance and IRT are excellent, and even when molded under severe conditions, excellent performance can be achieved as a final product.
[0058]
Example 10
Cp at room temperature 2 TiCl 2 Trimethylamine was added to a dichloromethane solution of (Cp = cyclopentadienyl ligand), and MCM41 zeolite manufactured by Mobil was added and stirred. After 18 hours, the insoluble material was separated and washed with dichloromethane.
The same method as in Example 1 was used except that the titanium compound-supported zeolite obtained by this method was used. Examples 8 and 9 had good fiber chemical and physical properties, and had excellent yarn production stability even in the melt spinning process. Moreover, it was found that both the heat resistance and IRT are excellent, and even when molded under severe conditions, excellent performance can be achieved as a final product.
[0059]
Comparative Examples 1 and 2
A method similar to that in Example 1 was used except that predetermined amounts of antimony trioxide and germanium trioxide were added instead of titanosilicate. In Comparative Examples 1 and 2, fibers having satisfactory chemical / physical properties such as a large amount of carboxyl ends and a large amount of DEG and low strength could not be obtained. Also in the melt spinning process, the pack pressure was increased rapidly and the base was heavily soiled. Moreover, it was found that both the heat resistance and the IRT were inferior, and the performance of the raw yarn deteriorated when molded under severe conditions.
[0060]
Examples 11 and 12, Comparative Example 3
Examples 11 and 12 were carried out in the same manner as in Example 1 except that the solid phase polymerization time was changed and melting was performed using PET having a different arrival IV. Further, Comparative Example 3 was carried out in the same manner as Comparative Example 1 except that the solid phase polymerization time was changed and melting was performed using PET having a different arrival IV. In Example 11, although the same raw material IV as in Comparative Example 3 was encountered, the IV of the fiber was high because the IV drop at the time of melting was small. In Example 12, although the raw material IV was smaller than that of Comparative Example 1, the IV of the fiber was the same as that of Comparative Example 1 because the decrease in IV during melting was small. As a result, Examples 11 and 12 had good fiber chemical and physical properties, and had excellent yarn-synthesizing stability even in the melt spinning process. Moreover, it was found that both the heat resistance and IRT are excellent, and even when molded under severe conditions, excellent performance can be achieved as a final product.
[0061]
[Table 1]
Figure 0004320928
[0062]
[Table 2]
Figure 0004320928
[0063]
【The invention's effect】
The polyester fiber of the present invention can maintain high mechanical properties even in the final product because the decrease in molecular weight due to heat and water applied during processing as a rubber reinforcing fiber is small. Therefore, in addition to rubber reinforcing fibers, it can be suitably used as a raw material for products used at high temperatures such as seat belts and airbags. Furthermore, excellent durability can be expressed as a material that comes into contact with water or steam, such as a dryer campus or a fishing net.
[0064]
According to the method for producing a polyester fiber of the present invention, it is possible to produce a polyester fiber with high efficiency because a decrease in molecular weight at the time of melt spinning is small and an increase in filtration pressure of a pack and a base stain can be suppressed. Become.

Claims (4)

最も含有量の多い金属元素の含有率が2ppm以下であり、強度が7cN/dtex以上のポリエチレンテレフタレートからなるゴム補強用途の高強度ポリエステル繊維。A high-strength polyester fiber for rubber reinforcement comprising a polyethylene terephthalate having a metal element content of 2 ppm or less and a strength of 7 cN / dtex or more. 固有粘度が0.9以上であることを特徴とする請求項1記載の高強度ポリエステル繊維。  The high-strength polyester fiber according to claim 1, wherein the intrinsic viscosity is 0.9 or more. カルボキシ末端が20eq/ton以下であることを特徴とする請求項1または2記載の高強度ポリエステル繊維。  The high-strength polyester fiber according to claim 1 or 2, wherein a carboxy terminal is 20 eq / ton or less. ポリエステル溶融体に不溶な触媒を用い、固液不均一系にて重縮合反応を行った後、該触媒を実質的に除去したポリエステル組成物を固相重合し、繊維状に成形することを特徴とする請求項1記載の高強度ポリエステル繊維の製造方法。  A polycondensation reaction is performed in a solid-liquid heterogeneous system using a catalyst insoluble in a polyester melt, and then a polyester composition from which the catalyst has been substantially removed is solid-phase polymerized to form a fiber. The method for producing a high-strength polyester fiber according to claim 1.
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