JP4319366B2 - 光線力学的治療用光照射装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光線力学的治療用光照射装置に関するものであり、更に詳しくは、レーザー光を用いた従来の光線力学的治療方法における問題点を解決することを可能とする、メタルハライドランプを用いた、癌、又は腫瘍などの光線力学的治療に用いられる光線力学的治療用光照射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、癌、又は腫瘍などの治療の一手段として、光線力学的治療(Photodynamic Therapy:以下PDTと略称する)が使われている。
このPDTでは、感光剤となるある種の薬品を体内に投与するか、又は前記癌、又は腫瘍などの患部に塗布することにより、該薬品自身あるいは体内代謝によって生成された物質を前記患部に選択的に集積させる。この集積された部分に特定波長の光を照射することにより光化学反応を生起させ、活性酸素を生成させたり特殊なラジカルを生成させたりして、これにより患部を治療する。光化学反応によって生成された活性酸素等は、組織の細胞を酸化等により壊死させ、結果として前記の癌、又は腫瘍などの治療が行われる。また、該感光剤が光を吸収して発生する活性種としては、特に一重項酸素の発生に十分なエネルギーを与えることが望ましく、照射される光エネルギーとしては、波長800nm以下でなければならない。そして、活性酸素等を発生させるために照射される光は、人体組織の中に比較的奥深く入り込める波長域の光が求められ、約600nm以上の波長であることが必要である。該PDT治療方法は、癌や腫瘍以外にウイルス性の疣や伝染性の水疣等にも治療効果を持つ。
【0003】
従来のPDT装置としては、例えば、感光剤としてヘマトポルフィリン誘導体を用い、光源としてエキシマレーザで励起される色素レーザを用いた装置が報告されている(特開昭59ー40830号公報)。
更に、従来の該PDT治療方法で用いられるその他の光源には、治療用としてYAGレーザ励起色素レーザや半導体レーザ、また、必要な波長の光を選択的にろ過したキセノンランプ等が用いられている。
【0004】
しかし、治療用光源として主に用いられていた色素レーザ等の高出力レーザでは、レーザ光のビーム径が非常に小さなものであることから、大面積に照射する場合には長時間の照射が必要となり患者に多大な負担をかける。また、該レーザ光が誤って正常組織に照射された場合、エネルギー密度が高いため、非常に大きなダメージを与える。また、装置が非常に大掛かりであり、可搬性がなく、患者が装置の設置された場所まで移動しなくてはならず、大きな負担を与えていた。更に、価格も高く、取り扱いが大変であり、その操作に専門のオペレータが必要であるなど、種々の問題があった。
【0005】
一方、半導体レーザや発光ダイオード等も用いられているが、いずれも十分な出力が得られず、前記の感光剤が十分に機能しない場合や比較的大きな面積を照射しなければならない場合には、照射に非常に長時間を要するといった問題があった。
また、Xe放電ランプやハロゲン電球等が用いられることもあった。しかし、該Xeランプやハロゲン電球の発光スペクトルは、短波長側の光から長波長側の光までの広い波長域にわたって連続的に分布しているのに対して、感光剤の吸収帯の波長域は比較的狭いものである。そのため、ランプの発光に寄与する電力のうち極めて低い比率のエネルギーしか該感光剤に吸収されず、その大部分は癌や腫瘍といった患部へ到達しないことになる。その結果、Xeランプやハロゲン電球は消費電力が高い割には治療効果が低く、非常に長時間の照射が必要となる等、患者に多大な負担をかけていた。
【0006】
一方、十分な治療効果を得るには、感光剤の吸収する光エネルギーを高くするために、ランプ自身を高電力化しなければならず、操作の簡便性が著しく低下すると共に排熱処理も含めて非常なコストアップになるという問題があった。更に、Xeランプやハロゲン電球は、人体組織の極表面近くまでしか入らない波長域の光(600nm以下)、及び熱感を与える光(800nm以上)を大量に含んでいる。従って、該感光剤の該吸収帯の波長域である必要な光以外にも該波長域の光の放射強度と同等の放射強度の光が放射されており、例えば、フィルタ等でろ過しても該放射光の一部が直接患部に照射され患者に熱感を与えるといった問題があった。そして、従来のPDT用照射装置においては,連続的に放射光の照射を行っていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、上記従来技術の問題点を確実に解消し得る新しい技術を開発することを目標として鋭意研究を進める過程で、連続的な照射であると、患者に光が照射される時間が長くなるため、患者にとって苦痛となるばかりでなく、また、光照射時間あたりの腫瘍細胞除去数が少なく、治癒速度が遅いこと、を知見すると共に、メタルハライドランプからの特定波長の光を使用することで高い殺細胞効果が得られ、しかも、連続照射よりもインターバル照射の方が殺細胞効果が高い等の知見を得て、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、患者の苦痛が小さく、腫瘍細胞除去速度が早い光線力学的治療用装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)光線力学的治療に使用される光照射装置であって、
630nm付近の波長域内に比較的大きな吸収係数を持つ感光剤の吸収波長に適合した波長の光を放射するメタルハライドランプと、
該メタルハライドランプからの放射光を集光するミラーと、
上記感光剤を集積させた治療対象物に対してインターバルをとった間欠照射により腫瘍細胞中に酸素が補給されるように前記放射光を所定の時間間隔で遮断するためのシャッター機構及び該シャッター機構に連動したタイマー機構とからなる時分割手段、
を具備したことを特徴とする光線力学的治療用光照射装置。
(2)前記メタルハライドランプが、600nm乃至640nm、及び660nm乃至720nmの波長域の光を放射するものであって、発光元素としてLiを0.1μmol/cm3 以上100μmol/cm3以下封入し、Ne,Ar,Kr,Xeの希ガスのうち、少なくとも一種類以上のガスを0.03×105Paを超え0.7×105Pa未満の圧力で封入し、ハロゲンを封入したメタルハライドランプであることを特徴とする前記(1)に記載の光線力学的治療用光照射装置。
(3)前記メタルハライドランプが、600nm乃至640nmの波長域の光を放射するものであって、発光元素としてNaを0.1μmol/cm3 以上封入し、Ne,Ar,Kr,Xeの希ガスのうち、少なくとも一種類以上のガスを封入し、ハロゲンを封入したメタルハライドランプであることを特徴とする前記(1)に記載の光線力学的治療用光照射装置。
(4)前記メタルハライドランプが、発光元素としてLi、Naの二種類を封入し、Ne,Ar,Kr,Xeの希ガスのうち、少なくとも一種類以上のガスを封入し、ハロゲンを封入したメタルハライドランプであることを特徴とする前記(1)に記載の光線力学的治療用光照射装置。
(5)前記メタルハライドランプが、600nm乃至800nmの波長域内のアルカリ金属による輝線スペクトルの圧力広がりを希ガスのみ封入した場合よりも広げるために水銀を封入したメタルハライドランプであることを特徴とする前記(2)から(4)のいずれかに記載の光線力学的治療用光照射装置。
(6)治療対象物に5分間の連続照射と5分間以上10分間以下の連続非照射を交互に繰り返して放射光を照射するようにしたことを特徴とする前記(1)に記載の光線力学的治療用光照射装置。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、本発明について更に詳細に説明する。
図1に本発明の光照射装置30の具体的な一例について示す。図1中、光照射装置30は、スタンドユニット12の台上に載置されたランプハウス20と該ランプハウス20からランプの放射光を外へ取り出すファイバー10と、そのファイバー10の先端に取り付けられ、患部を照射するレンズヘッド13からなる。図2にランプハウス20の内部構成の一例を示す。点灯用電源3を具えたランプハウス20内に集光ミラー2付きの放電ランプ1を配置し、該放電ランプ1の光は、該ランプ1からの放射光のうち必要な波長の光のみを透過するために配置された2種のフィルタ5、6を介して光ファイバー10に入射する。
4はソレノイド7によって開閉されるシャッターであり、タイマー9と接続されて、所定の間隔で開閉されるように構成されている。8はソレノイド用電源、14は冷却ファンである。
図1において、光ファイバー10に入射された光は、該ファイバー10の他端に取り付けられたレンズヘッド13により目的とする患部へ照射される。放電ランプとしては、好適には、550nm乃至800nmに主なる放射スペクトルを持つショートアーク型メタルハライドランプが用いられる。また、前記のフィルタはPDT用では波長800nm以上の長波長側の光と550nm以下の短波長側の光を減衰させる。このフィルタは用途及び感光剤の種類により適宜選択される。該フィルタによりろ過された光は、後述する各感光剤、例えば、5−aminolevoulinic acid用やPhotoprin用に使用できる仕様とする。尚、この一例では透過型のフィルタを使用した例を示したが、該部分はランプからの光を選択的に目的とする照射部へ導く光学部品であれば良く、例えば、干渉膜をコートした反射型ミラーやプリズム、波長選択型の光導波路等、種々の構成をとることができる。
【0010】
本発明の一例として、前記光源装置ではショートアーク型放電ランプを示したが、ランプの形態は該装置の構成によって種々の形態が取られる。すなわち、該ランプとしては、ショートアーク型放電ランプ、無電極放電ランプ等の形態が取られる。例えば、体内に光ファイバー等で光を導き治療する場合は、集光性の高いショートアーク型放電ランプが適している。また、該ランプの点灯方式としては、直流点灯、交流点灯、更には、誘導結合あるいは容量結合による高周波点灯、マイクロ波等によって、又はそれらの複合的な電力入力による点灯形式を取ることができる。
【0011】
前記装置を用いて照射される感光剤としては、代表的なものとして、大別するとヘマトポルフィリン誘導体系、フタロシアニン系、5−aminolevulinic acid(以下5−ALAと略称する) 系のものなどがある。これらの感光剤には種々の副作用を持つ場合があり、使用時の患者への負担等が大きいものもある。例えば、ヘマトポルフィリン誘導体では体内への投与後自然排出されるまでに数週間かかるため、投与後数週間程度は暗室等で過ごす等、該感光剤が集積した患部部分を光から遮断する必要がある。最近の研究により該副作用等が小さいものも開発されており、体内への投与後自然排出される期間が短いものとしては5−ALA等がある。また、該感光剤は人体に対して毒性や副作用がないことが好ましく、毒性等があってもごく軽いことが求められている。更に、癌や腫瘍などの細胞へ選択的に集積する度合いが高いことや、癌等の細胞に集積した該感光剤に光を照射した場合光化学的に発生する活性種の発生量子効率が高いことが望ましい。
【0012】
これらの感光剤には個々に特有の感光波長があり、特定波長域で比較的大きな吸光係数を持つ。治療は前記した組織に集中的に浸透しうる等の理由から600nm乃至800nmの波長域、特に630nm付近の特定波長域内に存在する吸収波長帯の波長を持つ光を照射することによって行われる。特に、本発明における放電ランプから放射される強度の強い発光波長である600nm乃至800nmの間に比較的大きな吸光係数をもつ感光剤としては、例えば、Haematoporphyrin−誘導体(Photophrin等)、5−ALA(5−aminolevulinic acid)、5−ALAからの誘導体PpIX(ProtoporphyrinIX),Pheophorbide a、A1PcS4(Aluminium phthalocyanine tetrasulphate),SnET2(Tin etiopurpurin)、ZnOPPc(Zinc(II)−octadecy1−phthalocyanine) ,Purprin−imide、Azachlorin、ZnET2(Zinc etiopurpurin),Pc(Phthalocyanine),CdTX(Cd2 + texaphyrin),texaphyrin、ZnTNP(Zn−Tetraphptaloporphyrin),Verdin,BPD−MA(Benzoporphyrin derirative monoacid ring A),Purprin,ZnTSPc,Ga−Pc(Ga−Phthalocyanine),In−Pc(In−Phthlocyanine),BPD(Benzoporphyrin derivatives),CASPc,ZnPc(Zinc Phathalocyanine derivatives),A1SPc(Aluminium sulphonatedPhthalocyanine),Benzoporphy派生体、Npe6(N−asparty1 Chlorin e6)、Methylene blue、Verteporfin、Rhodamines、Temoporfin、Porphycenes、Hypercinなどがある。
【0013】
前記の感光剤に適した光の波長域は550nm乃至800nmである。該波長域に強い発光スペクトルを持つ元素としてはLi、Na、K等の元素が考えられる。本発明では、そのPDTに利用する放電ランプは、該感光剤に適した波長域に強い発光スペクトルを持ち、該波長域の光を主に放射する発光元素としてLi、Na、K、及びそれらの混合物を0.1μmol/cm3 以上封入することで実現できることが新しく見出された。
【0014】
図3に本発明の光照射装置に使用される光源について、その一例を示す。放電ランプ1は、内径8.7mm外径11. 0mmの略球状の石英ガラス製発光管101に一対の電極102を具備し、該発光管101内に、例えば、発光元素としてLi、Na、K等のアルカリ金属をハロゲン化物の形で封入している。また、その他の封入物として希ガスを封入している。更に、必要に応じて水銀を封入しても良い。前記電極102は各々モリブデン箔103に溶接され該発光管101の両端で封止されており、該モリブデン箔に溶接された外部リード棒104を介して外部から給電している。前記発光管における電極間距離は10mm以下が望ましい。
【0015】
次に、図4〜7に基づいて、本発明の光照射装置に好適に使用される放電ランプの実施例について説明する。まず、Liに水銀を添加した放電ランプについて、図4にPDT用のフィルタで550nmから800nmの範囲以外の光をろ過し、該光ファイバーからレンズヘッドを介して照射した場合のスペクトル分布を示す。
Liは前記感光剤の比較的大きな吸収係数の波長域である600nmから640nm、及び660nmから720nmの間に強い輝線スペクトルを持つ。特に、後者の原子共鳴スペクトル線は該ランプ点灯時の希ガスの高い圧力によるスペクトル線の圧力広がりが著しく、適用できる感光剤の選択幅が広がる。これは前記した他のアルカリ元素にもいえることである。Liランプの発光はPDT用に必要な長波長側の光としてLiの発光である波長610nmの原子スペクトル線と波長670nmの原子共鳴スペクトル線が圧力広がりにより広い幅を持ったスペクトル線の部分が利用可能である。該ランプにおけるLiの輝線スペクトルの放射強度はランプ中に封入された発光元素であるLiの量によって決まる。該Liの封入量が少なければ該輝線スペクトルの放射強度は低下し、封入量の増加に伴い放射強度も増加する。しかし、該Liをある程度以上の量封入すると該輝線スペクトル部分に自己吸収による放射強度の大きな低下が起こり、更には、ランプ中での未蒸発が発生し管壁に付着するなどにより、結果としてランプからの放射強度の低下が起きる。本発明において、該発光元素であるLiの量は0.1μmol/cm3 以下であれば感光剤に十分吸収される該波長域の有効な発光が十分得られない。また、100μmol/cm3 以上では、前記したように該発光管管壁に未蒸発が発生し該未蒸発物質が管壁に付着するためランプからの放射光が阻害される。
【0016】
更に、始動用として希ガスを封入しており、該希ガスの量としては好ましくは0.03×105 Paから0.7×105 Paである。該希ガスの量は0.03×105 Pa以下であれば該ランプ点灯時にグロー放電からアーク放電への移行までに時間がかかり電極の損耗が激しく、結果としてランプ寿命が短くなる。また、該希ガスの量が0.7×105 Pa以上になるとランプ始動性が悪くなり実用的でない。
Liランプに水銀を0.1μmol/cm3 以上封入すれば、更に有用なPDT用の放電ランプとして使用できる。これは、該ランプ点灯時の水銀による高い圧力でLiの輝線スペクトルの発光波長幅が希ガス添加の場合の圧力広がり以上に広がり、Liのみ添加した場合の輝線スペクトルのピーク波長から離れた波長域に大きな吸光係数を持つ感光剤の活性種生成光化学反応を生じさせるといった利点が生ずるからである。この圧力広がりにより適用できる感光剤の種類を増やすことができる。本実施例ではLiに水銀を添加した場合について示したが、この効果は他の実施例で示すLi以外のアルカリ金属を封入したランプについても同様である。また、水銀を添加することにより、ランプの動作電圧を調整することができる。更に、該水銀の添加により、電極等に高い電流が流れてランプ寿命が短くなるのを防ぐことができる。同時にランプ電流の低下は安定器を小型化、ひいては装置の小型化にも寄与できる。尚、水銀の代わりに希ガスを高圧力に封入しても同様な圧力広がりが現れる。
【0017】
該Li水銀ランプの発光はPDT用に必要な長波長側の光としてはLiの発光である波長610nmの原子線と波長670nmの共鳴線が圧力広がりにより広い幅を持ったスペクトル線の部分が利用可能である。
次に、本発明の光照射装置に使用されるランプの他の実施例として、Naと水銀を封入したメタルハライドランプについて、図5にPDT用のフィルタで550nmから800nmの範囲以外の光をろ過し、光ファイバーからレンズヘッドを介して照射した場合のスペクトル分布を示す。
【0018】
また、本発明の光照射装置に使用されるランプの他の実施例として、Kと水銀を封入したメタルハライドランプについて、図6にPDT用のフィルタで550nmから800nmの範囲以外の光をろ過し、該光ファイバーからレンズヘッドを介して照射した場合のスペクトル分布を示す。
更に、Li、Na、Kの混合物を封入したPDT用に用いる放電ランプのひとつとして、Li−Naランプについて、図7にPDT用のフィルタで550nmから800nmの範囲以外の光をろ過し、該光ファイバーからレンズヘッドを介して照射した場合のスペクトル分布を示す。
アルカリ金属を2種類以上封入することにより550nm乃至800nmの波長域での発光を1種類のみ封入した場合と比べて更に広げることができ、適用できる前記感光剤を増やすことができる。
【0019】
前記実施例で示した、発光元素である水銀の封入量が0.1μmol/cm3以下であれば感光剤に十分吸収される該波長域の有効な発光が得られない。また、通常1000μmol/cm3 以上では未蒸発が発生したり、点灯中のランプ内圧が高く成りすぎて発光管が破裂する危険性がある。水銀の封入量は該範囲内で発光量と所望の電圧から適宜選択される。
また、前記実施例に示した、各ランプに封入されたアルカリ金属は1 種類のみであるが、該アルカリ金属が2種類以上封入されていても良い。すなわち、Li、Na、Kのうち少なくとも2種類以上を封入し、水銀を0.1μmol/cm3 以上封入し、Ne、Ar、Kr、Xeの希ガスのうち少なくとも1種類以上を封入することができる。該アルカリ金属を2種類以上封入することにより1種類のみ封入した場合と比べて600nm乃至800nmの波長域での発光を更に広げることができ、適用できる前記感光剤を増やすことができる。また、水銀を0.1μmol/cm3 以上封入することによりPDT用のランプとして使用できる。
【0020】
次に、前記実施例で示した、放電ランプに用いる発光管の材料について説明する。放電ランプの発光管材料としては石英ガラスが一般的に多く用いられている。しかし、前記実施例に示したようなLi、Na、K、及びそれらの混合物を金属として封入する場合、該ランプの発光管材料に石英ガラスを用いると該金属によって石英ガラスが侵食され透過率の劣化や白濁等が起こり実用的でない。そのため、Li、Na、K、及び混合物を金属として封入する場合、該発光管材料としては透光性セラミックが適している。また、該Li、Na、K、及び混合物を金属としてではなくハロゲン化物の形で封入すれば該発光管に石英ガラスを使用できる。該ハロゲンの封入量はLi、Na、K、及び混合物の封入mol数と同等又はそれ以上封入することが望ましく、例えば、前記封入金属の沃化物や臭化物の形で封入することができる。更に、場合によっては、過剰ハロゲンを封入しても良く、例えば、水銀の沃化物等の形で過剰ハロゲンを封入することができる。
【0021】
実験例
次に、実験例を示して本発明の光線力学的治療用光照射装置の作用効果について具体的に説明する。
(1)試料の準備
10%のウシ胎児血清を加えたRPMI1640培地で継代したマウス胸腺リンパ系腫瘍細胞EL−4を5×105 個/mlになるようにRPMI1640培地を用いて希釈した。
希釈した細胞5mlを半径2.5cmのプラスチックシャーレに分取し、10%の5−aminolevulinic acid生理食塩水(5−ALA)を所定量加え、暗室で3時間放置した。
【0022】
(2)照射実験
550nm乃至800nmの波長域内に比較的大きな吸収係数を持つ感光剤の吸収波長に適合した波長の光を放射する光源として、以下のランプを準備した。また、図11に示した2種類のフィルタを組み合わせた。赤外線カットフィルタ(型式:HA−50)とカラーフィルタ(型式:OCLI302)である。HA−50は赤外領域の放射光を除去し、OCLI302は550nm以下の波長の光を除去するフィルタである。
【0023】
(3)準備したランプ
ランプとして、以下の1)〜4)のランプを準備した。
発光管寸法(内径,外径):内径8.7mm、外形11mm
内容積:0.4cm3
ランプの種類:
1)ランプ1:
600nm乃至640nm、及び660nm乃至720nmの波長域の光を放射するために発光元素としてLiをLiIの形で2mg封入し、水銀14.5mgと、希ガスとしてアルゴンを4×104 Pa(300Torr)封入した150Wのメタルハライドランプ
2)ランプ2:
600nm乃至640nmの波長域の光を放射するために発光元素としてNaをNaIの形で2mg封入し、水銀14.5mgと、希ガスとしてアルゴンを4×104 Pa封入した150Wのメタルハライドランプ
3)ランプ3:
550nm乃至700nmの波長域の光を放射するために発光元素としてKをKIの形で2mg封入し、水銀14.5mgと、希ガスとしてアルゴンを4×104 Pa封入した150Wのメタルハライドランプ
4)ランプ4:
発光元素としてLiとNaをNaIの形で2mg、LiIの形で0.1mg封入し、水銀14.5mgと、希ガスとしてアルゴンを4×104 Pa封入した150Wのメタルハライドランプ
【0024】
(4)照射実験
上記1)〜4)のランプを光照射装置に組み込み、前記腫瘍細胞試料から距離100mm、照射径φ55mmで照射した。
照射後、トリパンプルブルー溶液を加え、5分間放置後に血球計算盤を用いて細胞の生死を判別し、生存率を求めた。
まず、連続照射を行い、照射エネルギー増加による細胞の生存率の変化を調べた。その結果を図8に示す。横軸が照射エネルギー、縦軸が生存率である。照射エネルギーが増加するほど生存率は減少した。上記のランプにおいて、4)のNa−Liランプが最も殺細胞効果が大きいことが分かった。
【0025】
次に、前記腫瘍細胞に対し、ランプからの放射光を連続して照射した場合と、所定の時間間隔で放射光を間欠照射した場合で比較実験を行った。
ランプとしては、前記2)のメタルハライドランプ、具体的には、石英ガラス製の放電容器内に、NaをNaIの形で2mg、水銀14.5mgと、希ガスとしてアルゴンを4×104 Paを封入した150Wのメタルハライドランプを光照射装置に組み込み、前記腫瘍細胞試料から距離100mm、照射径φ55mmで照射した。
【0026】
照射実験は図9に示すように、15分間の連続照射(15分間ON)をしたときと、5分毎に5分間のインターバルをとって照射時間の合計が15分間になるように間欠照射したときと、更に、5分間照射後に10分間のインターバルをとって照射時間の合計が同じく15分間になるように間欠照射したときの腫瘍細胞の生存率を比較した。
その結果を図10に示す。連続照射においては、生存率は約90%であったが、5分毎に5分間のインターバルをとった間欠照射においては、生存率は約54%、5分間照射後に10分間のインターバルをとった間欠照射においては、生存率は約46%であった。
このように、間欠照射の方が連続照射より殺細胞効果が高いことが分かった。この理由について考察すると、PDTにおいては光照射によって腫瘍細胞に溶存する酸素が消費されるが、このときにインターバルを与えることにより、細胞中に酸素が補給されるためにPDTの効果が上昇したものと考えられる。
【0027】
更に、5分間照射後に20分間のインターバルをとって照射時間の合計が同じく15分間になるように間欠照射を行った結果、細胞の生存率は約49%であり、5分間照射後に10分間のインターバルをとった間欠照射の場合とほぼ同じであり、生存率の減少はなかった。
この理由については、10分以上放置すると細胞内酸素濃度が飽和するため、それ以上効果が向上しなかったものと考えられる。
【0028】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明により、PDT用に用いられる特定の感光剤の持つ感光波長に対して効率良い発光を持つ放電ランプを使用することで、電源を含めた光線力学的治療用装置全体を小型化でき、可搬性の軽量な装置を提供することができる。更に、正常組織に光が照射されたとしてもレーザ等と比べて安全であり、取り扱いが簡便である。照射と非照射のシーケンスを組めるメタルハライドランプを光源とした装置を作製し、インターバル照射により光線力学的治療を行うことで、連続照射を行ったときと比べて、飛躍的に腫瘍細胞の壊死率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光照射装置の構成例の概略を示す。
【図2】本発明の光照射装置のランプハウス内の構成例を示す。
【図3】本発明の光照射装置に使用される放電ランプの構成例を示す。
【図4】Liを封入した本発明の光照射装置用放電ランプの発光スペクトルを示す。
【図5】Naを封入した本発明の光照射装置用放電ランプの発光スペクトルを示す。
【図6】Kを封入した本発明の光照射装置用放電ランプの発光スペクトルを示す。
【図7】Na、Liを封入した本発明の光照射装置用放電ランプの発光スペクトルを示す。
【図8】各ランプの光を照射した場合の腫瘍細胞の生存率を示す。
【図9】連続照射と間欠照射の説明図である。
【図10】間欠照射と生存率の関係を示す。
【図11】本発明の照射装置に使用されるフィルタの透過特性を示す。
【符号の説明】
1 放電ランプ
101 発光管
102 電極
103 モリブデン箔
104 外部リード棒
2 集光ミラー
3 点灯用電源
4 シャッター
5 カラーフィルタ
6 赤外線カットフィルタ
7 ソレノイド
8 ソレノイド用電源
9 タイマー
10 ファイバー
11 プラグコード
12 スタンドユニット
13 レンズユニット
14 冷却ファン
20 ランプハウス
30 光照射装置

Claims (6)

  1. 光線力学的治療に使用される光照射装置であって、
    630nm付近の波長域内に比較的大きな吸収係数を持つ感光剤の吸収波長に適合した波長の光を放射するメタルハライドランプと、
    該メタルハライドランプからの放射光を集光するミラーと、
    上記感光剤を集積させた治療対象物に対してインターバルをとった間欠照射により腫瘍細胞中に酸素が補給されるように前記放射光を所定の時間間隔で遮断するためのシャッター機構及び該シャッター機構に連動したタイマー機構とからなる時分割手段、
    を具備したことを特徴とする光線力学的治療用光照射装置。
  2. 前記メタルハライドランプが、600nm乃至640nm、及び660nm乃至720nmの波長域の光を放射するものであって、発光元素としてLiを0.1μmol/cm3 以上100μmol/cm3以下封入し、Ne,Ar,Kr,Xeの希ガスのうち、少なくとも一種類以上のガスを0.03×105Paを超え0.7×105Pa未満の圧力で封入し、ハロゲンを封入したメタルハライドランプであることを特徴とする請求項1に記載の光線力学的治療用光照射装置。
  3. 前記メタルハライドランプが、600nm乃至640nmの波長域の光を放射するものであって、発光元素としてNaを0.1μmol/cm3 以上封入し、Ne,Ar,Kr,Xeの希ガスのうち、少なくとも一種類以上のガスを封入し、ハロゲンを封入したメタルハライドランプであることを特徴とする請求項1に記載の光線力学的治療用光照射装置。
  4. 前記メタルハライドランプが、発光元素としてLi、Naの二種類を封入し、Ne,Ar,Kr,Xeの希ガスのうち、少なくとも一種類以上のガスを封入し、ハロゲンを封入したメタルハライドランプであることを特徴とする請求項1に記載の光線力学的治療用光照射装置。
  5. 前記メタルハライドランプが、600nm乃至800nmの波長域内のアルカリ金属による輝線スペクトルの圧力広がりを希ガスのみ封入した場合よりも広げるために水銀を封入したメタルハライドランプであることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載の光線力学的治療用光照射装置。
  6. 治療対象物に5分間の連続照射と5分間以上10分間以下の連続非照射を交互に繰り返して放射光を照射するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の光線力学的治療用光照射装置。
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