以下、本発明の一実施形態の携帯式電話機について図面を参照しながら説明する。本実施形態の携帯式電話機1の概略構成を図1に模式的に示す。携帯式電話機1は、通信部11、音声入力部12、音声出力部13、操作部14、撮像部15、外部機器インターフェース(I/F)16、表示部17、および制御部10を備える。
通信部11は、送信すべき信号を搬送波に担持させてアンテナ11aより送出するとともに、アンテナ11aで受信した搬送波から信号を抽出する。音声入力部12は送信すべき音声を取得し、音声出力部13は受信した音声を出力する。操作部14は、数字や文字あるいは所定の機能に対応づけられたいくつかのキーを備えており、電話番号や文字列の入力および動作の指示のために使用者によって操作される。操作部14のキーには、表示部17に表示されるカーソル(ポインタ)を上下左右に移動させるための4つのカーソルキーが含まれる。
撮像部15は、CCDエリアセンサとこれに光を結像させるレンズを含むカメラより成り、画像を撮影する。外部機器インターフェース16は、通信ケーブルを取り付けることが可能であり、ケーブルを介してパーソナルコンピュータ等の他の機器と通信する。表示部17は液晶表示装置より成り、文字や画像を表示する。撮像部15で撮影した画像は表示部17に表示される。
制御部10は、携帯式電話機1の全体の動作を制御するとともに、送受する音声や画像データの処理を行う。制御部10にはCPU10aが含まれており、制御や各種処理は主としてCPU10aによってなされる。
携帯式電話機1は、インターネットに接続してウェブページから情報をダウンロードする機能や電子メールを送受する機能を有する。送受するメールには、様々なファイルを添付することが可能であり、これらのファイルには画像データを記したものも含まれる。ダウンロードされる情報にも画像データが含まれる。ダウンロードした画像データや受信メールに添付されていた画像データが表す画像は、撮像部15で撮影した画像と同様に、表示部17に表示することができる。
携帯式電話機1は、上記の各部のほか、表示用メモリ18、作業用メモリ19、保存用メモリ20、プログラムメモリ21、およびパラメータメモリ22を備える。表示用メモリ18は、表示部17に表示すべき画像を表す画像データを一時的に記憶する。作業用メモリ19は、制御部10のCPU10aが制御や画像データの処理に必要な情報を一時的に記憶する。保存用メモリ20は、画像データを記憶して保存する。保存用メモリ20はフラッシュメモリより成り、書き換え可能であり、また、電力供給を受けないときにも記憶内容を失わない。
プログラムメモリ21はCPU10aが行う動作を記したプログラムを記憶しており、パラメータメモリ22はCPU10aが制御や画像データの処理に用いるパラメータを記憶している。これらのメモリ21、22はROMより成り、電力供給を受けないときでも記憶内容を失わない。
携帯式電話機1は、単一の画像データに基づいて平面的な2次元の画像を表示する機能に加え、視差のある左右の画像を表す2種の画像データに基づいて立体的な3次元の画像を表示する機能を有する。これらの画像の表示の原理を図2に示す。
表示部17の液晶表示装置は透過型であり、赤色(R)光を選択的に透過させるフィルターを備え、画像のR成分を表示する画素(R画素という)群と、緑色(G)光を選択的に透過させ、画像のG成分を表示する画素(G画素という)群と、青色(B)光を選択的に透過させるフィルターを備え、画像のB成分を表示する画素(B画素という)群を有する。これら3種の画素群は、図2(a)に示すように、それぞれ縦方向に列を成すように配置されており、また、この順で横方向に交互に配置されている。横方向に並ぶ3つの画素(R画素、G画素、B画素)が画像の1点を表す。
2次元の画像を表示するときは、画像の各点を横方向および縦方向に連続して表示する。全ての画素からの光は使用者の左眼と右眼の双方に導かれる。一方、3次元の画像を表すときは、図2(b)に示すように、横方向については、左眼用の画像と右眼用の画像を、1画素ごとに交互に表示する。縦方向については、左眼用の画像、右眼用の画像共に、画像の各点を連続して表示する。左眼用の画像の光は左眼のみに導かれ、右眼用の画像は右眼のみに導かれる。
3次元の画像の提供に際し、左眼用の画像の光と右眼用の画像の光をそれぞれ選択的に左眼および右眼に導くための構成を図3に模式的に示す。表示部17は、2つの透過型液晶パネル17a、17b、導光板17cおよび光源17dより成る。光源17dは白色光を発して、発した光を導光板17cにその端面より入射させる。導光板17cは、上面または下面に微細な凹凸(不図示)を有しており、端面より入射した光を、上下両面で全反射して他方の端面に向けて導きつつ、凹凸によって上面から出射させる。
液晶パネル17aは、画像を表示するためのものであり、前述のR画素群、G画素群、B画素群より成る。導光板17cからの光は、液晶パネル17aによって変調されて、画像を表す光となる。なお、液晶パネル17aの上面および下面に対向して偏光板が設けられているが、ここでは図示していない。
液晶パネル17bは、縦方向(図3の紙面に垂直な方向)に延びる透明電極(不図示)を有しており、斜線を付して示したように、電圧印加時にストライプ状の遮光部を現出する。液晶パネル17bは各遮光部が液晶パネル17aの画素と画素の間に対向するように配置されている。液晶パネル17aの横方向に並ぶ画素のうち、奇数番目の画素からの光は、液晶パネル17bの遮光部によって遮断されて右眼には達せず、左眼のみに達し、逆に、偶数番目の画素からの光は、遮光部によって遮断されて左眼には達せず、右眼のみに達する。左眼用の画像と右眼用の画像を1画素ごとに交互に表示することにより、3次元の画像が使用者に提供される。
2次元の画像を表示する際には、液晶パネル17bに電圧を印加せず、遮光部を現出させない。この場合、液晶パネル17aの全ての画素からの光は、左眼と右眼の双方に達する。この設定で2次元の画像を表示する状態を2Dモードといい、図3に示した設定で3次元の画像を表示する状態を3Dモードという。
インターネットを介してダウンロードする画像データや受信メールに添付されている画像データには、2次元の画像を表すものと、3次元の画像を表すものがある。3次元の画像を表す画像データのデータ配列を図4に模式的に示す。左眼用の画像データと右眼用の画像データはそれぞれ2次元の画像を表す画像データの半分の大きさであり、画像の横方向の1列ごとに、左眼用の画像データと右眼用の画像データが並べて配置される。各画像データ中では、画像の1点を表すR画素用、G画素用、B画素用のデータ(それぞれ、R画素データ、G画素データ、B画素データという)の組が横方向に並べて配置されている。
この画像データに基づいてそのまま画像を表示すると、その画像は図5(a)に示したように、左眼用の画像と右眼用の画像が左右に分離して表示されることになる。そこで、図4の画像データをそのまま用いるのではなく、横方向の配列を変更して、左眼用の画像データと右眼用の画像データとを1画素データごとに交互に並べる。この配列変更後の画像データを表示すると、図5(b)に示したように、左眼用の画像と右眼用の画像が融合して表示される。この画像を3Dモードで表示することで、立体的な像が使用者に提供される。
携帯式電話機1は、2次元の画像を表す画像データから3次元の画像を表す画像データを生成する機能を有する。これは、2次元の画像データから、R画素データ、G画素データ、B画素データの組を1組おきに抽出して(間引いて)左眼用の画像データとし、この左眼用の画像データに含まれるR画素データ、G画素データ、B画素データの各組を、左右方向の位置に応じて、端に近いものほどシフト量が大きくなるようにシフトさせて、右眼用の画像データとする。この機能により、インターネットを介して取得した2次元の画像データや、撮像部15で撮影した画像を表す画像データから、3次元の画像を表す画像データが得られ、3次元の画像を提供することが可能になる。
なお、本実施形態では、左右を区別するときに、上記のように、左を主、右を従として説明するが、いずれを主としてもかまわない。説明中の「左」と「右」は相互に置き換えて読むことができる。
携帯式電話機1は、多数の画像データを個別のファイルとして保存用メモリ20に記憶する。インターネットを介してダウンロードした画像データや受信メールに添付されていた画像データのファイルについては、元々付されていたファイル名を付し、撮像部15で撮影した画像を表す画像データのファイルについては、所定のファイル名を付す。これらのファイル名は使用者が任意に変更することができる。
記憶している画像データが表す画像を表示部17に表示するとき、および記録している画像データを電子メールに添付して送付するとき、使用者は、ファイル名を一覧として表示部17に表示させて、所望のものを選択することができる。携帯式電話機1は、使用者による選択をより容易にするために、サムネイル画像を一覧表示する機能も有する。サムネイル画像を表す画像データは、インターネットを介して取得した画像データ、または撮像部15によって撮影した画像を表す画像データから作成しておき、元の画像データと共にその画像データのファイル内に記憶しておく。
サムネイル画像は2次元の画像とすることもできるし、3次元の画像とすることもできる。サムネイル画像の表示例を図6(a)〜図6(e)に示す。これらの図において、三角形で表記したサムネイル画像は元の画像データが2次元の画像を表すものあることを意味し、円形または楕円形で表記したサムネイル画像は元の画像データが3次元の画像を表すものであることを意味する。サムネイル画像は、2Dモードで一律に平面的に、または3Dモードで一律に立体的に表示する。
図6(a)〜図6(d)は2Dモードでのサムネイル画像の表示例であり、図6(e)は3Dモードでのサムネイル画像の例である。いずれの例においても、2次元の画像を表す画像データから作成したサムネイル画像と、3次元の画像データから作成したサムネイル画像が混在している。
サムネイル画像を表す画像データは、元の画像データからR画素データ、G画素データ、B画素データの組を複数の組あたり1組抽出して(間引いて)作成する。元の画像データが3次元の画像を表す場合の2次元のサムネイル画像の画像データの作成には、3通りの方法がある。まず、図6(a)に示すように、図4のデータ配列全体から生成することができる。また、図6(b)に示すように、図4のデータ配列のうち、左眼用の画像データのみから生成することもできる。さらに、図6(c)に示すように、左眼用の画像データのみから、横方向の間引き率を半分にして、生成することもできる。
左眼用の画像データのみからサムネイル画像の画像データを作成する場合、元の画像データが2次元の画像を表すものか3次元の画像を表すものかが、使用者にとって判り難くなる。そこで、各サムネイル画像と共に、元の画像データが表す画像の次元を記号で表示するとよい。図6(d)は、図6(c)の表示に、「2D」および「3D」の記号を加えたものである。
元の画像データが3次元の画像を表す場合の3次元の画像を表す画像データの作成は、図4のデータ配列を、前述のように、左眼用の画素データと右眼用の画素データが交互に並ぶ形式に変換し、その変換後の画像データを用いて行う。また、元の画像データが2次元の画像を表す場合の3次元の画像を表す画像データの作成は、元の画像データからのデータ抽出により左眼用の画像データを作成し、この左眼用の画像データから右眼用の画像データを生成し、さらに、左眼用の画素データと右眼用の画素データが交互に並ぶ形式に変換して、その変換後の画像データを用いて行う。
また、元の画像データが2次元の画像を表す場合、元の画像データからのデータ抽出により左眼用の画像データを作成し、この左眼用の画像データをそのまま複写して右眼用の画像データとし、左眼用の画素データと右眼用の画素データが交互に並ぶ形式に変換して、その変換後の画像データを用いて行うようにしてもよい。このようにすると、3Dモードでの表示により、左右の眼に視差のない画像、つまり2次元の画像が提供されることになる。
サムネイル画像の大きさは一定であり、したがって、その画像データの大きさ(画素数)も一定である。一方、撮像部15で撮影する画像の大きさは一定であるものの、インターネットを介して取得する画像の大きさは、提供者によって異なる。このため、サムネイル画像を表す画像データの作成に際しては、元の画像の大きさを考慮する。具体的には次のようにしてサムネイル画像の画像データを作成する。
まず、サムネイル画像の横方向の大きさ(画素数)に対する元の画像の横方向の大きさ(画素数)の比と、サムネイル画像の縦方向の大きさに対する元の画像の縦方向の大きさの比を算出する。そして、小さい方の比に従って元の画像データから画素データを抽出して、中間画像データを生成する。この中間画像データは、比の小さい方向についてはサムネイル画像に合致した大きさとなる。次いで、比の大きい方向について、中間画像データのうちのサムネイル画像の大きさを超える部分を削除する。これで、元の画像データの大きさによらず、一定の大きさのサムネイル画像を表す画像データが得られる。
画像データ取得時の携帯式電話機1の処理の流れの概略を図7に示す。まず、インターネットからのダウンロード、電子メール受信、または撮像部15での撮影によって画像データを取得し(ステップ#10)、取得した画像データをファイルとして保存用メモリ20に記憶する(#11)。次いで、取得した画像データならびにその画像データのファイル名およびファイルに付加されている情報を解析して、画像データの種類(書式)、画像の次元、著作権に関する情報等を得て(#12)、それらを画像データの属性として、画像データのファイルに記憶する(#13)。さらに、取得した画像データからサムネイル画像を表す画像データを作成し(#14)、その画像データを元の画像データのファイルに記憶する(#15)。最後に、取得した画像データが表す画像を、その次元に応じて2Dモードまたは3Dモードで、表示部17に表示する(#16)。
ステップ#12および#13の処理においては、作業用メモリ19を使用する。作業用メモリ19および保存用メモリ20における記憶内容の構造を、それぞれ図8(a)および図8(b)に模式的に示す。図8(b)に示すように、保存用メモリ20には、画像データごとのファイルが記憶され、全てのファイルには一連の番号が付されている。なお、ここでは、番号が1のファイルが削除されて存在しなくなった状態の例を示している。
保存用メモリ20中の各ファイルは、管理情報、サムネイル画像データ、および画像データで構成される。管理情報には、画像の種類(書式)、画像の次元属性、著作権属性、ファイル名、画像サイズ(画像データの横方向と縦方向の画素数)が含まれる。サムネイル画像データは、圧縮して記憶しておき、その圧縮処理に関する情報を付加しておく。また、画像データは、取得時に圧縮されており、圧縮処理に関する情報と共にそのまま記憶する。画像データには、前述のように、2次元の画像を表すものと3次元の画像を表すものがある。
作業用メモリ19には、保存用メモリ20中の全ての画像データのファイルの管理情報と、先頭の画像データの番号が記憶される。また、各画像データの管理情報ごとに、次の画像データの番号が記憶される。図8(a)の例では、先頭の画像データの番号(画像番号)は「2」、2番目の画像データの次の画像データの番号は「3」である。最後の画像データの管理情報には、次の画像データの番号として「0」が記憶される(不図示)。さらに、インターネットを介して画像データを取得したときには、その画像データに付加されている画像の種類(書式)を表す情報および著作権に関する情報を、作業用メモリ19の所定の領域に記憶しておく(不図示)。
制御部10は、電力供給開始時に、保存用メモリ20から全ての画像データの管理情報を読み出して作業用メモリ19に記憶させておく。以降は、作業用メモリ19を参照して、保存用メモリ20の各ファイルを管理する。管理には、画像データの番号を用いる。保存用メモリ20からファイルを削除したときには、対応する管理情報を作業用メモリ19から削除し、作業メモリ19中の次の画像データの番号を適宜変更する。また、新たな画像データを保存用メモリ20に記憶させたときは、その管理情報を作業用メモリ19に記憶し、作業メモリ19中の次の画像データの番号を適宜変更する。
一般に、インターネットを介して提供される画像データはJPEG方式に従って圧縮されており、撮像部15によって撮影した画像を表す画像データも、JPEG方式に従って圧縮する。ただし、インターネットを介して提供されるJPEG方式の画像データのファイル名の拡張子は、2次元の画像を表すときには「JPEG」または「JPG」とされ、3次元の画像を表すときには「STJ」とされている。携帯式電話機1でもこれに準じて、撮影した2次元の画像を表す画像データについては、ファイル名の拡張子を「JPEG」または「JPG」とし、その画像データから生成した3次元の画像を表す画像データについては、そのファイル名の拡張子を「STJ」とする。
携帯式電話機1は、動きのある画像を表す2つ以上の画像データから、それらの画像の中間のいくつかの画像を表す画像データを生成して、動きの滑らかな動画を表示する機能を有する。このような画像をEアニメーションという。Eアニメーションにも、平面的な2次元の画像と立体的な3次元の画像がある。また、Eアニメーションの画像データはインターネットを介して提供されている。提供されるEアニメーションの画像データもJPEG方式に従って圧縮されている。ただし、Eアニメーションの画像データは、2次元の画像を表すか3次元の画像を表すかにかかわらず、ファイル名の拡張子を「NVA」とされる。携帯式電話機1においてもこれに準じて、全てのEアニメーションの画像データについて、ファイル名の拡張子を「NVA」とする。
図7に示した画像データ取得時の処理のうち、ステップ#12〜#15における処理をより詳細に図9に示す。まず、保存用メモリ20から画像データを読み出す(ステップ#102)。読み出しに際しては、画像データに付されている圧縮処理の情報を用いて解凍する。そして、作業用メモリ19の前述の所定領域を参照して、画像の種類を判別する(#104)。撮像部15での撮影により画像データを取得したときには、作業用メモリ19の所定領域には何も記憶していないが、このときは画像の種類を「JPEG」とする。
次いで、画像データを解析して、Eアニメーションの画像であるか否かを判別する(#106)。Eアニメーションでないときは、ファイル名を調べて、拡張子が「STJ」であるか否を判別する(#108)。拡張子が「STJ」であれば、2D/3D属性を「3D」とし(#114)、そうでなければ、2D/3D属性を「2D」とする(#116)。2D/3D属性は作業用メモリの所定領域に記憶しておく(#118)。Eアニメーションの画像データであれば、画像データを解析して2次元の画像データであるか、3次元の画像データであるかを判別する(#110)。3次元の画像データのときには、2D/3D属性を「3D」とし(#114)、2次元の画像データのときには、2D/3D属性を「2D」とする(#116)。
そして、作業用メモリ19の前述の所定領域を参照して著作権に関する情報の有無を判別し(#120)、あれば著作権属性を「あり」とし(#122)、なければ著作権属性を「なし」とする(#124)。また、サムネイル画像の画像データを作成し(#126)、作成した画像データを圧縮する(#128)。
次いで、保存用メモリ20中の画像データに付す画像番号Nを1とする(#130)。そして、その画像番号Nの管理情報を作業用メモリ19に記憶しているか否かを調べ(#132)、記憶していれば画像番号Nに1を加えて(#134)、ステップ#132に戻る。画像番号Nを記憶していなければ、保存用メモリ20のうち、図7のステップ#11で記憶した画像データのファイル内に、圧縮したサムネイル画像の画像データ、画像種類属性、2D/3D属性、および著作権属性を記憶して保存する(#136)。その際、そのファイル(画像データ)の番号をNとする。また、作業用メモリ19に、管理情報として、画像種類属性、2D/3D属性および著作権属性を記憶し(#138)、その管理情報の番号をNとする。
さらに、作業用メモリ19に記憶した管理情報に付加する次の画像番号を、その時点での先頭の画像番号とし(#140)、先頭の画像番号をNとする(#142)。
ステップ#128におけるサムネイル画像の画像データの圧縮はJPEG方式に従って行い、ステップ#136におけるその画像データの記憶に際しては、後の解凍を可能にするために、圧縮処理に用いたパラメータも記憶しておく。ここで、サムネイル画像の画像データは、携帯式電話機1のみで使用するものであるので、一部のパラメータは常時一定として、全ての画像データに共通にすることが可能である。このような共通のパラメータをサムネイル画像の画像データごとに記憶するとすれば、保存用メモリ20の記憶容量の無駄使いとなる。そこで、大きな記憶容量を必要とする共通のパラメータについては、画像データごとに記憶するのではなく、パラメータメモリ22(図1参照)に記憶しておく。
JPEG方式による圧縮処理で用いられるパラメータを図10に示す。圧縮は、ハフマン符号化とこれに続く量子化の2段階で行われ、それぞれハフマンテーブルと、量子化テーブルがパラメータとして用いられる。携帯式電話機1では、ハフマンテーブル(記号DHT)を全てのサムネイル画像の画像データに共通として、これをサムネイル画像の画像データに付加して記憶するパラメータから除外する。ハフマンテーブル大きさは400バイト程度であり、例えば、標準的な圧縮を用いた48×48ドットのサムネイル画像の画像データと全パラメータの大きさ(約900バイト)の約45%に相当するから、ハフマンテーブルを記憶しないことで、保存用メモリ20の記憶容量の大きな節約となる。なお、量子化テーブル(記号DQT)はハフマン符号化後の画像データに依存するため、画像データごとに個別に記憶する必要がある。
サムネイル画像の表示に際しては、圧縮されている画像データを、その画像データと共に記憶している量子化テーブルを用いて逆量子化し、さらに、パラメータメモリ22に記憶しているハフマンテーブルを用いて逆符号化(復号化)する。
取得した画像データについては、ハフマンテーブルを含む全パラメータを記憶する。インターネットを介して提供される画像データは、ハフマンテーブルが共通でないからである。ただし、撮像部15の撮影で取得した画像データについては、共通のハフマンテーブルをパラメータメモリ22に記憶しておいて、これを用いて符号化を行って、ハフマンテーブルを記憶しないようにしてもよい。このようにすると、保存用メモリ20の記憶容量のさらなる節約になる。
ハフマンテーブルを画像データと共に記憶しない場合、ハフマンテーブルを記憶していないことを示す情報を画像データに付加して記憶しておくとよい。このようにすると、その画像データを電子メールに添付して送信する際に、共通のハフマンテーブルを付加すべきことが明確になる。また、ハフマンテーブルを記憶しなかった画像データについては電子メールへの添付を許さないようにするときに、後述するように、電子メールへの添付が不可である旨をサムネイル画像と共に表示することができる。ハフマンテーブルを記憶していないことを示す情報は、前述の2D/3D属性や著作権属性と同様に、管理情報に含めておくのが好ましい。ハフマンテーブルの有無の判断を速やかに行うことが可能になる。
ハフマンテーブルを記憶しなかった画像データを、そのまま他の機器に提供することを許すようにしてもよい。この場合は、ハフマンテーブルが省略されていることを示す情報を画像データに付加しておく。そのような画像データを取得した機器は、付加されている情報によってハフマンテーブルが省略されていることが判り、適切な対策を講じることが可能になる。
例えば、携帯式電話機1が同じ機能を有する他の携帯式電話機からそのような画像データを取得したときは、共通のハフマンテーブルを用いて復号化を行うことにより、取得した画像データが表す画像を表示することが可能である。共通のハフマンテーブルを用いて復号化することができないときには、例えば「×」印や「表示不可」の文字を画像に代えて表示して、表示できないことを示すこともできる。ハフマンテーブルを省略して画像データを提供することは、通信量の低減にもつながり、ダウンロードや電子メールの送受に要する時間が短縮される。
電子メールを作成して送信する際の処理の流れの概略を図11に示す。まず、使用者の入力操作に従って、電子メールを作成する(ステップ#20)。このとき、送信先のメールアドレスも設定しておく。次いで、作成した電子メールに画像データを添付することが指示されたか否かを判定する(#21)。画像データの添付が指示されていないときは、そのまま電子メールを送信する(#25)
画像データの添付が指示されたときは、サムネイル画像を一覧表示する(#22)。その際、元の画像データが2次元の画像を表すものであるか3次元の画像を表すものであるかにかかわらず、サムネイル画像を表示する。そして、使用者の指定した画像データを選択する(#23)。このとき、画像の次元、著作権等に基づいて、電子メールに添付してよい画像データをあらかじめ定めておき、添付してよい画像データのみを選択可能とする。最後に画像データを電子メールに添付して(#24)、送信する(#25)。
ステップ#22、#23における処理をより詳細に図12に示す。まず、表示部17に一度に表示し得るサムネイル画像の最大数M0を設定し、サムネイル画像の表示位置Mを1とする(ステップ#202)。例えば、横に3つ、縦に3つの画像を表示するとき、M0は9であり、その場合の、右端中央の表示位置Mは6である。次いで、作業用メモリ19から先頭の画像番号Nを読み出す(#204)。
そして、画像番号Nが0か否かを判定し(#206)、0でなければ、表示位置Mが最大数M0以下であるか否かを判定する(#208)。表示位置Mが最大数M0以下のときは、保存用メモリ20から画像番号Nのサムネイル画像データを読み出して(#210)、解凍し(#212)、解凍後の画像データを、表示用メモリ18の表示位置Mに対応する領域に記憶する(#214)。
次いで、作業用メモリ19のN番目の管理情報を参照して(#216)、2D/3D属性を判定する(#218)。2D/3D属性が「2D」のときは、作業用メモリ19のN番目の管理情報を参照して(#220)、著作権属性を判定する(#222)。著作権情報が「なし」のときは、そのN番目の画像データを選択可能(メールに添付してよい)とし、その旨を作業用メモリ19の所定領域に記憶する(#224)。
ステップ#218の判定で、2D/3D属性が「3D」のとき、または、ステップ#222の判定で、著作権属性が「あり」のときは、選択不可とする(#226)。さらに、選択不可であることを明確に示すために、表示用メモリ18中のその画像データを修飾して、斜線を表すデータを付加する(#228)。
これらの処理に続き、表示用メモリ18の全てのデータを用いて表示部17に表示する(#230)。これで、ステップ#214の処理を行った回数に等しい数のサムネイル画像が表示される。次いで、作業用メモリ19から次の画像番号Nを読み出し(#232)、表示位置Mを1だけ増して(#234)、ステップ#206に戻る。
ステップ#206の判定で画像番号Nが0のとき、すなわち全ての画像データのサムネイル画像を表示し終えたとき、または、ステップ#208の判定で表示位置Mが最大数M0を超えたとき、すなわちサムネイル画像を表示する位置に余裕がなくなったときは、操作部14が操作されて、表示のスクロールが指示されたか否かを判定する(#236)。スクロールの指示があったときは、それに応じて、表示位置Mを更新し(#238)、画像番号Nも更新する(#240)。例えば、横方向に3つ並べてサムネイル画像を表示しているときは、表示位置Mを3増加または減少させる。そして、ステップ#206に戻る。
スクロールの指示がないときは、決定が指示されたか否かを判定する(#242)。この指示は、使用者が操作部14の所定のキーを操作することによって与える。また、使用者は、この指示を与える前に、操作部14のカーソルキーを操作して表示部17のカーソルを選択したいサムネイル画像の上に位置させておく。決定の指示がないときはステップ#236に戻る。
決定の指示があったときは、カーソルが存在する表示位置に対応する画像番号について、ステップ#224または#226で記憶した情報を作業用メモリ19から読み出し、選択可であるか選択不可であるかを判定する(#244)。選択不可のときは、ステップ#236に戻る。選択可のときは、その画像番号の画像データを保存用メモリ20から読み出し(#246)、また、そのファイル名を作業用メモリ19から読み出す(#248)。その後、図11のステップ#24において、読み出した画像データに読み出したファイル名をつけて、電子メールに添付する。
ステップ#228で修飾された画像データが表すサムネイル画像の例を図13に示す。図13(a)は前述の図6(c)のサムネイル画像に斜線を付したものであり、図13(b)は図6(e)のサムネイル画像に斜線を付したものである。このように斜線を付すことによって、電子メールに添付することが許されていない画像データを明確にすることができる。斜線を付すことに代えて、「不可」の文字等の他の表示を加えることで、添付が許されないことを明確にしてもよい。また、色彩のない白黒画像とすることで、添付が許されないことを明確にしてもよい。なお、電子メールへの添付のためではなく、画像の表示のためにサムネイル画像の一覧を表示するときは、図6(a)〜図6(e)に示したごとく、添付が許されないことを示す斜線等の表示は行わない。
電子メールに添付することの可否の判断基準の例を図14に示す。JPEG方式で作成された画像データのうち、2次元であってインターネットを介して取得したものは、通常、著作権に関する情報が付加されており、著作権属性に基づいて添付不可とする。また、撮像部15での撮影により取得した2次元の画像データは、著作権属性および2D/3D属性に基づいて添付の可否を判断するが、2D/3D属性からは添付可であり、著作権属性からも添付可となる。ただし、携帯式電話機1は、撮像部15で撮影した画像を表す画像データに著作権に関する情報を付加する機能も備えており、使用者が著作権に関する情報を付加したときは、著作権属性によって添付不可となる。
JPEG方式で作成された画像データのうち、3次元であってインターネットを介して取得したものも、通常、著作権に関する情報が付加されており、著作権属性に基づいて添付不可とする。また、たとえ著作権に関する情報が付加されておらず、著作権属性からは可となっても、2D/3D属性から不可とする。また、3次元への変換機能によって2次元の画像データから作成した画像データ(ファイル名の拡張子はSTJ)は、2D/3D属性から不可とする。3次元の画像を表示し得る携帯式電話機はあまり普及しておらず、3次元の画像データを送信しても無駄になる可能性が高いからである。
Eアニメーションの画像データ(ファイル名の拡張子はNVA)は、2次元の画像を表すものであるか3次元の画像を表すものであるかにかかわらず、著作権属性または画像種別(画像の種類)から添付不可とする。著作権属性からは可となる場合でも、画像種別は常にNVAであり、Eアニメーションの画像データは常に添付不可となる。
なお、携帯式電話機1では、中央部が空白の、すなわち周辺部のみのEアニメーションの画像データを保存用メモリ20にいくつか記憶しており、これらの画像データと撮像部15で撮影した画像の画像データとを合成して、フレームに相当する周辺部が滑らかに動く画像として表示する機能を有する。これらのEアニメーションの画像データにも2次元のものと3次元のものとがあるが、いずれの画像データも、その画像種別(NVA)に基づいて、メールへの添付を不可とする。Eアニメーションの画像を表示し得る携帯式電話機は、3次元の画像を表示し得る携帯式電話機と同様に、未だ広範には普及しておらず、Eアニメーションの画像データを送信しても無駄になり易いからである。
前述のように、携帯式電話機1は、外部機器インターフェース16(図1参照)に接続されたケーブルを介して、パーソナルコンピュータ等の他の機器と通信することができる。この通信で他の機器に送信し得る情報には画像データも含まれるが、この場合も、画像データの送信の可否を、電子メールへの添付の可否と同様にして判断する。これにより、画像データ作成者の著作権が確実に保護されるとともに、無駄な送信を避けることができる。
なお、本発明は、以下のように表現することもできる。すなわち、本発明は、画像データを電子メールに添付して送信する携帯式電話機であって、画像データが表す画像の縮小画像を表示して、使用者によって指定された縮小画像に対応する画像データを電子メールに添付するものにおいて、画像データの電子メールへの添付の可否を所定の基準によって定めるとともに、電子メールへの添付の可否にかかわらず全ての画像データが表す画像の縮小画像を表示し、添付可の画像データが表す画像の縮小画像と添付不可の画像データが表す画像の縮小画像とで、表示様式を相違させるようにしたものである。
この携帯式電話機では、所定の画像データについては電子メールへの添付を許さない。ただし、電子メールに添付する画像データを選択するときに表示するサムネイル画像の一覧には、添付可の画像データのものと、添付不可の画像データのものの、双方を含める。また、添付可の画像データのサムネイル画像と添付不可の画像データのサムネイル画像とを、異なる様式で表示する。これにより、存在する全ての画像データが使用者に判り、しかも、電子メールへの添付が許されない画像データも明確になる。なお、電子メールへの添付可否の判断基準は、例えば、著作権情報の有無であり、また、画像データが表す画像の次元である。
電子メールへの添付の可否に応じて表示様式を相違させることは、具体的には、添付不可の画像データが表す画像の縮小画像に、所定の画像を重ねて表示することによって行う。また、添付不可の画像データが表す画像の縮小画像を、色彩のない画像として表示することでも行うことができる。