JP4317369B2 - 金属被覆用樹脂フィルム並びに化粧樹脂被覆金属板の製造方法 - Google Patents

金属被覆用樹脂フィルム並びに化粧樹脂被覆金属板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属被覆用樹脂フィルム並びに化粧樹脂被覆金属板の製造方法に係る。
【0002】
【従来の技術】
表面上に凹凸を与え、表面での艶消しや意匠を付与した樹脂フィルムは、エンボス調フィルムとして広く建材内・外装、家具、家電筐体被覆用フィルムとして使用されている。従来、当該分野ではポリ塩化ビニル(PVC)が用いられてきたが、地球環境や廃棄物汚染など観点から非PVC化が進行し、同樹脂の代替材料の普及が急がれている。
【0003】
非塩ビ樹脂材料としてポリプロピレン(PP)等のポリオレフィンが挙げられる。PPフィルムはPVCフィルムに近い感触や、エンボス加工が可能であり、特開平7−290642号公報等に開示されている。しかし、PPフィルムは表面硬度がPVCに比較し不十分であるため傷つき性、また準不燃認定を受けられない等の課題が有る。
【0004】
ポリエステル樹脂も非塩ビ樹脂として有力な材料である。
【0005】
一般的にポリエステルフィルムは二軸延伸して使用される場合が多い。しかし、2軸延伸したフィルムでは、表面にエンボス加工を施す柔軟性が無かったり、高温で加熱して柔軟性を付与すると収縮したりして、エンボス加工ができない。そこで、特開平9−24588号公報では上層に低融点(Tm)、下層に高Tmのポリエステルを積層することにより、延伸フィルムでもエンボスを可能にすることが開示されている。適切な加熱処理により、上層のポリエステルを軟化し、下層のポリエステルにより形状を保持し、収縮を防止するものである。従って、表面にエンボス加工を施すには非延伸ポリエステル樹脂フィルムが好ましい。
【0006】
各種の樹脂製品の製造の際に、樹脂が熱劣化を起こし、やけ、ブツ、パウダリングなどの現象を起こし、装置ダイスの目詰まり、製品外観の劣化などが生じ、連続操業の妨げになることはよく知られている。しかし、樹脂の劣化様式は様々であり、樹脂、副資材、操業条件、装置などによって大幅に異なるため、通常は劣化原因を特定することは困難であり、多くの場合手探りで酸化防止剤の最適化を行い、劣化を抑制するのにとどまる。
【0007】
また、ポリエステル樹脂の製造においてテレフタル酸の含有量が少ない樹脂を製造する方法自体は知られている。例えば、特開平8−112886号公報(樹脂分解抑制のためにアルカリ添加)、特開平8−231690号公報(シクロヘキサンジメタノールを使うと樹脂分解しにくい)、特開平6−80865号公報(シクロヘキサンジメタノールを使うと樹脂分解しにくい)、特開平10−44319号公報(低分子不純物を樹脂から除く方法)、特開平10−6436号公報(低分子不純物を樹脂から除く方法)、特開2000−71388号公報(シクロヘキサンジメタノールを使うと樹脂分解しにくい他)、特開2000−301662号公報及び特開2000−301663号公報(シクロヘキサンジメタノール入り樹脂をエンボスフィルムに使用するとエンボスがかかりやすい)、WO97/45483号パンフレットなど。
【0008】
【特許文献1】
特開平7−290642号公報
【特許文献2】
特開平9−24588号公報
【特許文献3】
特開平8−112886号公報
【特許文献4】
特開平8−231690号公報
【特許文献5】
特開平6−80865号公報
【特許文献6】
特開平10−44319号公報
【特許文献7】
特開平10−6436号公報
【特許文献8】
特開2000−71388号公報
【特許文献9】
特開2000−301662号公報
【特許文献10】
特開2000−301663号公報
【特許文献11】
WO97/45483号パンフレット
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らはエンボス加工ポリエステル樹脂系フィルム被覆金属板、即ち、特に非延伸のポリエステル樹脂をエンボスフィルムに製造する方法を開発する過程で、樹脂をフィルム化する際、特に連続操業の際に淡黄白色の粉体が生じ、これが装置、特に製膜ロールに付着することでロールの表面形状が変化し、結果として製品の表面性状が経時的に変化し、作り始めと作り終わりで製品外観が異なるため、連続操業を行うことが困難にする問題があることに気付いた。塩ビ系とは異なる系であり、またエンボス加工しない鏡面ロールでは粉体が蓄積しにくく問題が顕在化しにくいが、特にエンボス加工用のロールの場合には表面に凹凸が有り、凹部に粉体が蓄積するため、長時間操業した際に問題が顕在化したものと考えられる。
【0010】
本発明の樹脂系によるエンボスフィルム製造は非常に珍しく、さらにその系での不純物の発生によるエンボスフィルム製造性の低下の現象は知られておらず、その解決法は未知で、従来の方法から類推は困難と言える。
【0011】
そこで、本発明は、エンボス加工ポリエステル樹脂系フィルムを連続製造する際に製膜ロールに付着する淡黄白色の粉体が製品の表面性状を経時的に変化させる上記の問題を解決した、金属被覆用ポリエステル樹脂系フィルムの製造方法及びエンボス加工樹脂フィルム被覆金属板の製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために下記を提供する。
(1)予め樹脂の一部と添加剤を混合してマスターバッチを得た後、そのマスターバッチ樹脂に残りの樹脂を希釈混合する工程を経てフィルム製造用樹脂組成物を製造しフィルム化する工程を含み、フィルム化後さらにエンボス加工をされる金属被覆用樹脂フィルムの製造方法であって、前記マスターバッチ製造用樹脂として、二価以上の酸成分と50モル%以上がシクロヘキサンジメタノールであるジオール成分とから成るポリエステル樹脂(以下、PET−Gという。)及び/又はポリエチレンテレフタレート(以下、PETという。)を全マスターバッチ樹脂の少なくとも30質量%以上用い、且つ、マスターバッチ樹脂に含まれる全樹脂中のPET−G及び/又はPETの濃度がフィルム製造用樹脂組成物に含まれる全樹脂中のPET−G及び/又はPETの濃度より高く、前記添加剤が、ブレンステッドあるいはルイスの定義における酸性または塩基性を有する添加剤であることを特徴とする金属被覆用樹脂フィルムの製造方法。
(2)マスターバッチ樹脂がポリブチレンテレフタレート(以下、PBTという。)を含む上記(1)記載の金属被覆用樹脂フィルムの製造方法。
(3)フィルム製造用樹脂組成物に含まれるPET−G及び/又はPETが全樹脂中の50質量%以下である上記(1)又は(2)に記載の金属被覆用樹脂フィルムの製造方法。
(4)フィルム製造用樹脂組成物に含まれる全樹脂中の50質量%以上がPBTである上記(1)〜(3)記載の金属被覆用樹脂フィルムの製造方法。
(5)前記添加剤が、アンチブロッキング剤、顔料、又は潤滑剤の1種以上の添加剤であることを特徴とする請求項1記載の金属被覆用樹脂フィルムの製造方法
(6)前記添加剤が顔料を含む上記(1)又は)に記載の金属被覆用樹脂フィルムの製造方法。
)前記顔料が酸化チタンを含む上記(又は)に記載の金属被覆用樹脂フィルムの製造方法。
)フィルム化後にさらにエンボス加工を行う上記(1)〜(のいずれかに記載の金属被覆用樹脂フィルムの製造方法。
)上記()に記載の製造方法で製造された金属被覆用樹脂フィルムを金属板にラミネートすることを特徴とする化粧樹脂被覆金属板の製造方法。
10)上記(1)〜()に記載の製造方法で製造された金属被覆用樹脂フィルムを金属板にラミネートすると同時に又はラミネート後にエンボス加工を行うことを特徴とする化粧樹脂被覆金属板の製造方法
【0013】
【発明の実施の形態】
前述の如く、非延伸ポリエステル樹脂系によるエンボスフィルム製造は従来あまり検討されておらず、さらにその系での不純物の発生によるエンボスフィルム製造性の低下の現象は知られておらず、その解決法は未知で、従来の方法から類推は困難であった。そこで、本発明者らは、鋭意努力して詳細に分析した結果、問題の粉体はポリエステルの製造原料であるテレフタル酸(分子量194の低分子有機物、以下TPA)であることを明らかにした。さらにこのテレフタル酸は樹脂の中に最初から未反応原料として残っていたのではなく、ポリエステル樹脂が、製造工程において、水、熱の存在下で加水分解されて発生している事を明らかにした。
【0014】
さらに蓄積のメカニズムを明らかにした。通常のように、低分子物質が樹脂の表面に移行し、それがロールに付着するのではなく、昇華性を有するTPAがガス化し、それが冷たい装置にふれることで装置に付着、蓄積することを明らかにした。
【0015】
これらの原因物質の特定、障害発生のメカニズムという知見を元に、適切な対策を検討した結果、本発明は完成されたものであり、それによりポリエステル系樹脂でエンボス化粧フィルムを製造する長時間の連続操業が可能になり、また、優れた外観を有する製品の製造が可能にされた。
【0016】
本発明のポリエステル系樹脂でエンボス化粧フィルムを製造する方法では、最初にマスターバッチ法でマスターバッチ樹脂(通常ペレット)を製造する。マスターバッチ法とは、樹脂と配合添加物との混合性を高めるために最初にマスターバッチとして少量の樹脂と配合添加剤とだけでよく混合した後から、マスターバッチ樹脂に希釈樹脂を加えてさらに混合することで、樹脂と配合添加剤とが良好に混合されたフィルム製造用樹脂組成物を効率よく製造する方法である。
【0017】
混合性だけの観点からは、マスターバッチ樹脂とフィルム樹脂とは樹脂組成が同じでも異なっていても関係はないが、本発明ではマスターバッチ樹脂を混合する際にPET及び/又はPET−Gを多量に用いることでTPAの生成を抑制できることを見出した。
【0018】
本発明で使用するPET−Gとは、ジオール成分としてシクロヘキサンジメタノール(CHDM)を含むPETの総称であるが、テレフタル酸またはその他の二価以上の酸を主成分とする酸成分と1,4−シクロヘキサンジメタノールとエチレングリコールからなり、酸のモル比が50:50〜95:5であり、1,4−シクロヘキサンジメタノールとエチレングリコールの比率が0.5:95.5〜30:70で、末端カルボキシル基濃度が60当量/106g 以下、固有粘度が0.5−1.7である樹脂が市販されている。
【0019】
エチレンテレフタレート(PET)は公知であり、PETを主成分とした融点が220℃以上の樹脂で、末端カルボキシル基濃度が60当量/10g以下、固有粘度が0.5−1.7である樹脂が市販されている。
【0020】
マスターバッチに用いるポリエステル樹脂としてPET,PET−Gが良い理由は、PETはジオール成分が小さな分子のエチレングリコールであり、それを挟んだ酸成分が近い距離にあり、分子的に混み合った状態にあるため、ジオール成分が長い分子であるPBTよりも加水分解されにくいと考えられる。また、PET−Gは、ジオール成分としてシクロヘキサンジメタノール(CHDM)を主成分として含有するポリエステルの通称であるが、このシクロヘキサンジメタノールは、PETの構成成分であるエチレングリコール,PBTの構成成分であるブチレングリコールと比較して、遙かに嵩高く、エステル部位が水と反応してTPAを発生する際に立体障害となるため、PET−Gは極めてTPAを発生しにくいと考えられる。
【0021】
PET及び/又はPET−Gは、マスターバッチ製造に使用する全ポリエステル樹脂量の30質量%以上、好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは75質量%以上使用する。PET及び/又はPET−Gの割合が30質量%未満ではマスターバッチ製造時にTPAが多量に発生して、ポリエステル系樹脂でエンボス化粧フィルムを連続製造する際に、エンボスロールなどに粉末が付着してエンボス化粧フィルムの品質が低下する原因になる。PET及び/又はPET−Gの中ではPET−Gの方がTPA発生防止効果が高いのでより好ましく、PETとPET−Gを混合使用する場合はPET−Gを30質量%以上使用することが望ましい。
【0022】
マスターバッチ及びフィルム製造用樹脂組成物に用いる他の樹脂としては、特に制約はないが、エンボス化粧フィルムの品質の観点からはポリブチレンテレフタレート(PBT)を主成分とするポリエステル樹脂(融点150−220℃)が望ましい。エンボス化粧フィルムにPET及び/又はPET−Gを単独使用すると、フィルムの熱収縮を起こすので、熱収縮を起こさないPBTなどの樹脂を添加することが望ましい。本発明のフィルム製造用樹脂組成物では、フィルムの熱収縮が小さくなり、フィルムの成形安定性が高くなり、商品価値が低下することを防止するために、フィルム全樹脂(マスターバッチ樹脂+希釈樹脂)中のPET系樹脂(PET、PET−G)は50質量%以下、好ましくは40質量%以下、さらには30質量%以下であることが好ましい。しかし、マスターバッチ樹脂を製造する段階ではPET及び/又はPET−Gを単独使用してもよい。
【0023】
本発明で採用するマスターバッチ法では、ポリエステル系樹脂と配合添加剤とを混合する。マスターバッチの混合方法は特に限定なく、公知の混練装置を使用できる。例えば溶融押し出し機にPET−G及び配合剤を供給し溶融混練を行う方法で、低濃度から高濃度の配合剤を配合した樹脂を製造することが出来る。
【0024】
本発明において、マスターバッチにPET及び/又はPET−Gを使用するとよい理由は次のように考えられる。樹脂の物性制御の為に種々の樹脂配合剤、例えば非晶質シリカなどのアンチブロッキング剤、酸化チタンなどの顔料、ステアリン酸カルシウムの様な滑剤などの添加剤を配合することが知られている。しかしこれら配合添加剤の多くは、ブレンステッドあるいはルイスの定義において酸性または塩基性を有することが多く、あるいはそれ自体が中性であっても、樹脂に高分散させるために、極性を有する表面処理剤にて処理されていることが多い。そのため、ポリエステル樹脂に配合して分散するために230℃以上で混練すると、これらの配合剤が触媒となって、ポリエステルが分解し、TPAが発生することがある。無機顔料、特に酸化チタンは触媒活性があることが知られており、ポリエステルの分解を促進する作用が高いと考えられる。
【0025】
そこでこれらを配合する際には、これらが存在しても分解されにくいPET−Gおよび/またはPETを濃い濃度にして分散することでマスターバッチを製造し、そのマスターバッチを使用して樹脂を希釈して配合剤が低濃度に分散した製品を製造するのが好ましい。
【0026】
本発明で用いるポリエステル樹脂の組成に関しては、原料の酸やジオールの種類、組成に関しては、特に限定はない。一般的な種類、割合であればよい。例えば、特開2000−71388号公報,特開平8−231690号公報が参照される。好ましい樹脂フィルムは、PET、PBT、変性ポリエチレンテレフタレート(例えば、PETの酸成分であるテレフタル酸の一部をイソフタル酸に置換した共重合変性PET;PET−I)、変性ポリブチレンテレフタレート(例えば、PBTの酸成分であるテレフタル酸の一部をイソフタル酸に置換した共重合変性PBT;PBT−I)、PET−G即ちPETのジオール成分であるエチレングリコレートの一部をシクロヘキサンジメタノールで置換した共重合変性PET、ポエチレンナフタレート(PEN)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)、ポリアリーレート(全芳香族ポリエステル;PAr)であり、より好ましい樹脂フィルムはPET、PBT、PET−I、PBT−I、PET−G、PENであり、寸法安定性、経済性からPBTが特に好ましい。
【0027】
樹脂としてはポリエステル以外の樹脂成分がポリエステルに添加されていても良い。例えば、ポリエステル−極性ユニットを含有するビニル重合体混合樹脂、及び、ポリエステル−極性ユニットを含有するビニル重合体−ゴム状弾性体の三種混合樹脂でもよい。また2種混合樹脂では重合体混合樹脂がマトリックス中に粒径1μm以下で分散した構造を有する樹脂でよく、または三種混合樹脂ではビニル重合体がゴム状弾性体を包み込んだコアシェル構造を有し、さらにその粒子が粒径1μm以下で分散した構造を有する樹脂であってもよい。これらの樹脂組成物は金属板被覆エンボス加工樹脂フィルムの製造用として優れた性質を有している。
【0028】
ただし、限定するわけではないが、一般的にいって、ポリエステル樹脂に酸価が高いすなわち酸成分が多いと、それが触媒となって樹脂が分解されやすいので酸価は低い方が良い。固有粘度は高すぎると剪断発熱が大きくなり樹脂が分解しやすくなり、低すぎるとフィルムの強度が低下し、製造性が低下する。
【0029】
マスターバッチに希釈樹脂を混合する方法及びフィルムを製造する方法も特に限定されない。例えば、溶融押出し機にマスターバッチ及び希釈樹脂を添加してフィルムを製造することができる。あるいは、マスターバッチ希釈樹脂で希釈したペレットを製造してから、フィルムを製造してもよい。
【0030】
本発明の金属板被覆用樹脂フィルムには、フィルム製造後にエンボス加工を施す。エンボス加工法は公知の加工方法を適応可能である。以下に、主な加工方法を記す。中でも、インラインエンボス法、ラミネート同時エンボス法が、高温での加工が可能であり、残留歪みエネルギーを小さく制御しやすいので、好ましい。
【0031】
インラインエンボス法:製膜装置のTダイス直下で可塑化された樹脂をキャスティング(製膜展延)する際、エンボス加工を施したロールとバックアップロールを用い、製膜と同時にフィルム表面にエンボス模様を転写する方法。
【0032】
アフターエンボス法:一度製膜したフィルムを、再加熱し軟化させ、エンボス加工を施したロールとバックアップロールを用いフィルム表面にエンボス模様を転写する方法。
【0033】
ラミネート同時エンボス法:一度製膜したフィルムを鋼板にラミネートする際、圧下ロールにエンボス加工を施したロールを用い、鋼板へのラミネートと同時にフィルム表面にエンボス模様を転写する方法。
【0034】
ラミネート後エンボス法:フィルムを鋼板にラミネートした後、ラミネート鋼板を再加熱し、樹脂部分を軟化させエンボスロールを用いフィルム表面にエンボス模様を転写する方法。
【0035】
いずれのエンボス加工でも樹脂フィルムが加熱されてフィルムに含まれるTPAが粉末として析出しエンボスロールの凹凸部に付着することで、連続操業すると、エンボス調樹脂フィルムの外観品質(特に光沢度)を低下させていたが、本発明の樹脂フィルムを用いるとフィルムに含まれるTPAが減少しているために、エンボス調樹脂フィルムを連続操業しても外観品質の低下が防止される。
【0036】
【実施例】
〔実施例1〕(マスターバッチを使用する例)
酸化チタン(高分散タイプ)500Kg、樹脂としてそれぞれPBT樹脂(東レ製トレコン1200S),PET樹脂(SA1346P),PET−G(イーストマンケミカル製イースター)樹脂(各500Kg)を使用して下記表の組成で、二軸押し出し機により275℃でマスターバッチを製造した。
【0037】
さらにこのマスターバッチ及び後添加樹脂(マスターバッチ樹脂:後添加樹脂(質量比)=20:80)を使用し、押し出しTダイスを使用して、フィルムを製造した(ダイス押出し時の樹脂温度275℃)。この押出機によるフィルム製造を行い、製造されるフィルムの1000m目と5000m目の製品外観(主に光沢度)の違いを評価し、結果を次の基準で○×で表す。
【0038】
○:両者間で全く同様、変化なし
△:僅かに相違が認められる
×:明らかに違いが認められる
マスターバッチ樹脂 後添加樹脂 製品外観の違い
トレコン1200S トレコン1200S ×
SA1346P トレコン1200S ○〜△
イースター トレコン1200S ○
SA1346P/イースター トレコン1200S ○
=20/80
イースター/トレコン1200S トレコン1200S ○
=50/50
イースター/トレコン1200S トレコン1200S ×〜△
=10/90
〔参考例1〕
酸化チタン(高分散タイプ)を20質量%添加して、下記の各樹脂を押し出しTダイスを使用して、50μm厚のフィルムに製膜した(製膜温度260−280℃)。このフィルムからヘキサフルオロ−2−プロパノール及びメタノールを使用して、テレフタル酸を抽出し、ガスクロマトグラフ質量分析計を使用して樹脂中のテレフタル酸量を定量した。
【0039】
樹脂 テレフタル酸含量
東レ製トレコン1200S 110ppm
1346P 58ppm
イーストマンケミカル製 イースター 27ppm
【0040】
【発明の効果】
本発明により、エンボス加工ポリエステル樹脂系フィルムを連続製造する際に、製膜ロールに付着する淡黄白色の粉体が製品の表面性状を経時的に変化させる問題を解決した。この結果として金属被覆用ポリエステル樹脂系フィルムの製造及びエンボス加工樹脂フィルム被覆金属板の製造を良好に行うことが出来る。

Claims (10)

  1. 予め樹脂の一部と添加剤を混合してマスターバッチを得た後、そのマスターバッチ樹脂に残りの樹脂を希釈混合する工程を経てフィルム製造用樹脂組成物を製造しフィルム化する工程を含み、フィルム化後さらにエンボス加工をされる金属被覆用樹脂フィルムの製造方法であって
    前記マスターバッチ製造用樹脂として、二価以上の酸成分と50モル%以上がシクロヘキサンジメタノールであるジオール成分とから成るポリエステル樹脂(以下、PET−Gという。)及び/又はポリエチレンテレフタレート(以下、PETという。)を全マスターバッチ樹脂の少なくとも30質量%以上用い、且つ、マスターバッチ樹脂に含まれる全樹脂中のPET−G及び/又はPETの濃度がフィルム製造用樹脂組成物に含まれる全樹脂中のPET−G及び/又はPETの濃度より高く、
    前記添加剤が、ブレンステッドあるいはルイスの定義における酸性または塩基性を有する添加剤であることを特徴とする金属被覆用樹脂フィルムの製造方法。
  2. マスターバッチ樹脂がポリブチレンテレフタレート(以下、PBTという。)を含む請求項1記載の金属被覆用樹脂フィルムの製造方法。
  3. フィルム製造用樹脂組成物に含まれるPET−G及び/又はPETが全樹脂中の50質量%以下である請求項1又は2に記載の金属被覆用樹脂フィルムの製造方法。
  4. フィルム製造用樹脂組成物に含まれる全樹脂中の50質量%以上がPBTである請求項1〜3のいずれかに記載の金属被覆用樹脂フィルムの製造方法。
  5. 前記添加剤が、アンチブロッキング剤、顔料、又は潤滑剤の1種以上の添加剤であることを特徴とする請求項1記載の金属被覆用樹脂フィルムの製造方法。
  6. 前記添加剤が顔料を含む請求項1又は5に記載の金属被覆用樹脂フィルムの製造方法。
  7. 前記顔料が酸化チタンを含む請求項5又は6に記載の金属被覆用樹脂フィルムの製造方法。
  8. フィルム化後にさらにエンボス加工を行う請求項1〜のいずれかに記載の金属被覆用樹脂フィルムの製造方法。
  9. 請求項に記載の製造方法で製造された金属被覆用樹脂フィルムを金属板にラミネートすることを特徴とする化粧樹脂被覆金属板の製造方法。
  10. 請求項1〜のいずれかに記載の製造方法で製造された金属被覆用樹脂フィルムを金属板にラミネートすると同時に又はラミネート後にエンボス加工を行うことを特徴とする化粧樹脂被覆金属板の製造方法。
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