近年、上記したようなコージェネレーションシステムが家庭等にも導入されつつあるが、家庭等では電力の消費量が少なく、燃料電池やガスエンジンにおいて発生する排熱量も少ない。そのため、従来技術のコージェネレーションシステムは、電力の消費量が少ない場所に設置された場合、排熱加熱装置だけでは湯水や熱媒体の加熱を十分に行えない。従って、従来技術のコージェネレーションシステムは、排熱加熱装置の加熱能力を補助すべく公知の給湯装置等を補助熱源装置として設けた構成とされている。
上記したように、排熱加熱装置は湯水や熱媒体の加熱能力が低い。そのため、貯留手段に貯留された高温の湯水や熱媒体の保温用の熱源として排熱加熱装置を採用すると、設定温度から貯留温度が低下した湯水や熱媒体を設定温度に戻すのに相当の時間を要し、貯留温度が不安定になってしまうという問題があった。
さらに、排熱加熱装置の補助熱源装置として採用されている給湯装置等を湯水や熱媒体の保温のために作動させる場合、これに要する燃料の分だけエネルギーが浪費されてしまい、コージェネレーションシステムの総合エネルギー効率が低下してしまうという問題があった。
上記した問題を解決すべく、本発明は、湯水や熱媒体の保温時における貯留温度が安定しており、総合エネルギー効率が高い熱源装置、並びに、当該熱源装置を採用したコージェネレーションシステムの提供を目的とする。
上記した課題を解決すべく提供される請求項1に記載の発明は、湯水または熱媒体を加熱する複数の熱源手段と、当該熱源手段により加熱された湯水または熱媒体を貯留する貯留手段と、貯留手段に貯留されている湯水または熱媒体の貯留温度を検知する温度検知手段とを有し、貯留温度が所定の設定温度に達した後、湯水または熱媒体を保温する保温動作を断続的あるいは連続的に行うものであり、当該保温動作は、前記貯留温度が設定温度以上になった時点を基準として所定の保温周期を設定し、その保温周期の開始時から所定の遅延時間を経た後に前記貯留温度の測定を行い、前記貯留温度が前記保温周期の間に所定の温度を下回ることを条件として熱源手段を作動させ湯水または熱媒体の再加熱を行うものであり、前記複数の熱源手段は、少なくとも発電に伴い発生する熱エネルギーの供給を受けて湯水または熱媒体を加熱する低能力熱源手段と、当該低能力熱源手段よりも加熱能力が高い高能力熱源手段とを具備しており、低能力熱源手段により保温動作を行う場合の遅延時間は、高能力熱源手段を用いて保温動作を行う場合の遅延時間よりも短いことを特徴とする加熱装置である。
本発明の加熱装置は、湯水や熱媒体の加熱能力が異なる低能力熱源手段と高能力熱源手段とを備えている。高能力熱源手段は、加熱能力が高く、単位時間あたりに湯水や熱媒体に対して付与できる熱エネルギーが大きい。そのため、高能力熱源手段によれば、加熱動作の停止中に湯水や熱媒体の貯留温度が多少低下しても迅速に所定の設定温度まで加熱し、保温できる。一方、高能力熱源手段の加熱能力が大きい場合は、貯留温度が設定温度に近い状態で加熱を行うと、貯留温度が設定温度を超えてしまい、却って保温温度が脈動するおそれがある。従って、保温動作中に湯水や熱媒体の加熱を高能力熱源手段で行う場合は、貯留温度が設定温度からある程度離れた時点で加熱を開始することが望ましい。
一方、低能力熱源手段は、高能力熱源手段よりも加熱能力が低いため、湯水や熱媒体の加熱に要する時間は、高能力熱源手段で加熱する場合よりも長くなる。そのため、低能力熱源手段によって保温動作を行う場合、貯留温度が設定温度から大きく低下しないうちに湯水や熱媒体の加熱を行わないと貯留温度を設定温度に戻すのに要する時間が長くなり、貯留温度が不安定になるおそれがある。従って、保温動作中に湯水や熱媒体の加熱を低能力熱源手段で行う場合は、高能力熱源手段を用いて加熱する場合よりも設定温度に近い温度で加熱を開始することが望ましい。
本発明の加熱装置では、低能力熱源手段によって保温動作を行う場合の遅延時間が高能力熱源手段によって保温動作を行う場合よりも短時間に調整されるため、低能力熱源手段が作動し始める温度は、高能力熱源手段が作動を開始する温度よりも高い。そのため、本発明によれば、保温動作中に低下した貯留温度が設定温度まで回復するのに要する時間が、保温動作に採用される熱源手段の加熱能力の大小にかかわらず略均一な加熱装置を提供できる。
上記したように、本発明の加熱装置は、低能力熱源手段あるいは高能力熱源手段のうちどちらを熱源手段として採用して保温動作を行うのかによって、熱源手段の作動までの遅延時間が異なる。さらに詳細には、低能力熱源手段により保温動作を行う場合の遅延時間は、高能力熱源手段によって保温動作を行う場合よりも短い。そのため、低能力熱源手段を用いて保温動作を行う場合は、貯留温度がさほど低下しないうちに湯水や熱媒体の加熱を開始し、貯留温度をほぼ一定に維持できる。従って、本発明によれば、加熱能力の小さな低能力熱源手段であっても、湯水や熱媒体の貯留温度をほぼ一定に維持でき、熱エネルギーを有効利用可能な加熱装置を提供できる。
また逆に、高能力熱源手段により保温動作を行う場合は、低能力熱源手段によって保温動作を行う場合よりも遅延時間が長いため、湯水や熱媒体の加熱は貯留温度がある程度低下してから行われる。そのため、加熱能力の高い高能力熱源手段によって保温動作を行っても貯留温度の脈動等が殆ど起こらない。従って、本発明によれば、保温動作において使用される加熱能力の大小にかかわらず貯留温度の変動が殆ど起こらない加熱装置を提供できる。
また、同様の課題を解決すべく提供される請求項2に記載の発明は、湯水または熱媒体を加熱する複数の熱源手段と、当該熱源手段により加熱された湯水または熱媒体が供給される負荷手段と、負荷手段に供給あるいは排出される湯水または熱媒体の液温を検知する温度検知手段とを有し、供給温度が所定の設定温度に達した後、湯水または熱媒体を保温する保温動作を断続的あるいは連続的に行うものであり、当該保温動作は、前記貯留温度が設定温度以上になった時点を基準として所定の保温周期を設定し、その保温周期の開始時から所定の遅延時間を経た後に前記貯留温度の測定を行い、前記貯留温度が前記保温周期の間に所定の温度を下回ることを条件として熱源手段を作動させ湯水または熱媒体の再加熱を行うものであり、前記複数の熱源手段は、少なくとも発電に伴い発生する熱エネルギーの供給を受けて湯水または熱媒体を加熱する低能力熱源手段と、当該低能力熱源手段よりも加熱能力が高い高能力熱源手段とを具備しており、低能力熱源手段により保温動作を行う場合の遅延時間は、高能力熱源手段を用いて保温動作を行う場合の遅延時間よりも短いことを特徴とする加熱装置である。
本発明および以下に記す発明において、「負荷手段に供給あるいは排出される湯水または熱媒体」とは負荷手段に流出入する湯水や熱媒体に加えて、負荷手段内を流れる湯水や熱媒体を加えた概念である。従って、本発明が備える温度検知手段は、負荷手段に流入あるいは負荷手段から流出する湯水や熱媒体の液温を測定するものであっても、負荷手段内の液温を測定するものであってもよい。
本発明の加熱装置についても、加熱能力の異なる低能力熱源手段と、高能力熱源手段とを備えた構成となっている。高能力熱源手段は、加熱能力が高く、短時間で湯水や熱媒体を所定の温度まで加熱できる反面、設定温度に近い温度の湯水や熱媒体の加熱を行うとこの温度が設定温度を越えてしまい、負荷手段へ供給される湯水や熱媒体の液温が却って脈動する可能性がある。従って、高能力熱源手段は、負荷手段への液温が設定温度からある程度離れた状態で加熱を開始することが望ましい。
一方、低能力熱源手段は、高能力熱源手段よりも加熱能力が低いため、液温が設定温度付近の状態で加熱動作を行っても液温の脈動が起こらない。その反面、低能力熱源手段は、湯水や熱媒体の加熱に要する時間が高能力熱源手段で加熱する場合よりも長くなる傾向にある。そのため、低能力熱源手段で湯水や熱媒体を加熱する場合は、液温が設定温度から大きく離れないうちに加熱を開始することが望ましい。
上記したように、本発明の加熱装置では、低能力熱源手段による保温動作時の遅延時間が高能力熱源手段によって保温動作を行う場合よりも短時間とされている。そのため、低能力熱源手段の作動開始温度は、高能力熱源手段の作動開始温度よりも高温である。従って、本発明によれば、保温動作中に低下した液温が設定温度まで回復するのに要する時間が、保温動作に採用される熱源手段の加熱能力の大小にかかわらず略均一であり、低能力熱源手段および高能力熱源手段のいずれをもって保温動作を行っても負荷手段への液温の脈動が殆ど起こらない加熱装置を提供できる。
請求項3に記載の発明は、一又は複数の熱源手段が、保温動作中に液温あるいは貯留温度あるいは液温が所定の加熱開始温度以下になることを条件として湯水または熱媒体の加熱を開始し、低能力熱源手段により加熱を行う場合の加熱開始温度が、高能力熱源手段を用いて加加熱を行う場合の加熱開始温度よりも高いことを特徴とする請求項1または2に記載の加熱装置である。
上記したように、低能力熱源手段は、高能力熱源手段に比べて湯水や熱媒体の加熱能力に劣り、加熱に要する時間が長い。本発明の加熱装置は、低能力熱源手段により保温動作を行う場合に加熱開始の指標となる加熱開始温度が高能力熱源手段により保温動作を行う場合の加熱開始温度よりも高い。そのため、本発明の加熱装置は、低能力熱源手段により保温動作を行う場合であっても、貯留温度や液温が設定温度に回復するまでに要する時間が高能力熱源手段によって保温動作を行う場合と大きく違わない。従って、本発明によれば、熱源手段の加熱能力の大小にかかわらず保温動作時の湯水や熱媒体の貯留温度や液温をほぼ一定に維持可能な加熱装置を提供できる。
請求項4に記載の発明は、湯水または熱媒体を加熱する複数の熱源手段と、当該熱源手段により加熱された湯水または熱媒体を貯留する貯留手段と、貯留手段に貯留されている湯水または熱媒体の貯留温度を検知する温度検知手段とを有し、貯留温度が所定の設定温度に達した後、湯水または熱媒体を保温する保温動作を断続的あるいは連続的に行うものであり、当該保温動作は、前記貯留温度が設定温度以上になった時点を基準として所定の保温周期を設定し、その保温周期の開始時から所定の遅延時間を経た後に前記貯留温度の測定を行い、前記貯留温度が前記保温周期の間に所定の温度を下回ることを条件として熱源手段を作動させ湯水または熱媒体の再加熱を行うものであり、前記熱源手段は、少なくとも発電に伴い発生する熱エネルギーの供給を受けて湯水または熱媒体を加熱する低能力熱源手段と、当該低能力熱源手段よりも加熱能力が高い高能力熱源手段とを具備しており、保温動作中に貯留温度が所定の加熱開始温度以下になることを条件として湯水または熱媒体の加熱を開始するものであり、低能力熱源手段により加熱を行う場合の加熱開始温度は、高能力熱源手段を用いて加熱を行う場合の加熱開始温度よりも高いことを特徴とする加熱装置である。
本発明の加熱装置は、湯水や熱媒体の加熱能力が比較的低い低能力熱源手段と、加熱能力が比較的高い高能力熱源手段を備えている。高能力熱源手段は、加熱能力が比較的高いため、貯留温度が設定温度からある程度離れてから湯水や熱媒体の加熱を開始しても貯留温度を直ちに設定温度まで回復させ、維持させることができる。一方、低能力熱源手段は、加熱能力が低い分湯水や熱媒体を急激に加熱することは困難であるが、貯留温度を緩やかに昇温させることができる。
かかる特性に鑑み、本発明の加熱装置では、保温動作時の熱源として低能力熱源手段を採用する場合の加熱開始温度を高能力熱源手段により保温動作を行う場合の加熱開始温度よりも高く設定されている。換言すれば、本発明の加熱装置では、低能力熱源手段を採用する場合における設定温度に対する加熱開始温度の偏差が、高能力熱源手段を採用する場合よりも小さい。そのため、本発明によれば、低能力熱源手段を用いて保温動作を行う場合であっても、高能力熱源手段により保温動作を行う場合と同様に貯留温度を正確かつ迅速に設定温度まで回復させることができ、保温動作中における貯留温度の変動を最小限に抑制できる。
また、同様の課題を解決すべく提供される請求項5に記載の発明は、湯水または熱媒体を加熱する複数の熱源手段と、当該熱源手段により加熱された湯水または熱媒体が供給される負荷手段と、負荷手段に供給あるいは排出される湯水または熱媒体の液温を検知する温度検知手段とを有し、液温が所定の設定温度に達した後、湯水または熱媒体を保温する保温動作を断続的あるいは連続的に行うものであり、当該保温動作は、前記貯留温度が設定温度以上になった時点を基準として所定の保温周期を設定し、その保温周期の開始時から所定の遅延時間を経た後に前記貯留温度の測定を行い、前記貯留温度が前記保温周期の間に所定の温度を下回ることを条件として熱源手段を作動させ湯水または熱媒体の再加熱を行うものであり、前記熱源手段は、少なくとも発電に伴い発生する熱エネルギーの供給を受けて湯水または熱媒体を加熱する低能力熱源手段と、当該低能力熱源手段よりも加熱能力が高い高能力熱源手段とを具備しており、保温動作中に貯留温度が所定の加熱開始温度以下になることを条件として湯水または熱媒体の加熱を開始するものであり、低能力熱源手段により加熱を行う場合の加熱開始温度は、高能力熱源手段を用いて加熱を行う場合の加熱開始温度よりも高いことを特徴とする加熱装置である。
本発明の加熱装置は、上記した低能力熱源手段および高能力熱源手段の特性を考慮したものである。従って、本発明の加熱装置は、低能力加熱手段および高能力加熱手段のいずれを用いて保温動作を行っても、液温を同様の速度および精度で設定温度にもどすことができ、保温動作中に負荷手段に供給あるいは排出される湯水や熱媒体の液温の変動が少ない。
また、上記請求項1,3,4のいずれかに記載の加熱装置は、貯留手段が浴槽であってもよい。(請求項5)
かかる構成によれば、浴槽内に貯留される湯水を適温に保温可能であり、入浴時の快適性が高い加熱装置を提供できる。
また、上記請求項2,3,4のいずれかに記載の加熱装置は、負荷手段が暖房用放熱器であってもよい。(請求項6)
かかる構成によれば、暖房装置に供給される湯水や熱媒体の温度を適温に保温可能であり、暖房能力を略一定に維持可能な加熱装置を提供できる。
上記した本発明の加熱装置は、低能力加熱手段が、発電に伴い発生する熱エネルギーの供給を受けて湯水または熱媒体を加熱するものである。
かかる構成によれば、発電に伴い発生する熱エネルギーを貯留手段に貯留される湯水や熱媒体の加熱に有効利用でき、総合エネルギー効率の高い加熱装置を提供できる。
本発明の加熱装置が備える低能力加熱手段は、発電時に発生する熱エネルギーを利用して湯水や熱媒体を加熱するものであるため、低能力加熱手段の加熱能力は、発電量に依存して変動するおそれがある。本発明の加熱装置は、低能力加熱手段に加えて、これよりも加熱能力が高い高能力加熱手段を備えている。そのため、例えば発電量が少ない場合のように低能力熱源手段の加熱能力が著しく小さい場合であっても、高能力熱源手段によって湯水や熱媒体の加熱を行うことにより保温動作中における貯留温度の変動を最小限に抑制できる。
本発明の参考例として、上記した低能力加熱手段が、熱機関において発生する排熱を利用して湯水または熱媒体を加熱するものを例示することができる。
かかる構成によれば、熱機関において発生する排熱が持つ熱エネルギーを湯水や熱媒体の加熱に有効利用でき、総合エネルギー効率の高い加熱装置を提供できる。
上記した構成とした場合は、低能力加熱手段に加えて、これよりも加熱能力が高い高能力加熱手段を有する。そのため、熱機関の使用が停止している場合のように、低能力加熱手段の加熱能力が低い場合であっても、高能力熱源手段によって保温動作を行うことにより貯留手段に貯留されている湯水や熱媒体の温度変動を最小限に抑制できる。
上記した加熱装置において採用されている低能力加熱手段は、熱エネルギーと、他の形態のエネルギーとを放出することを特徴とするものであってもよい。
また、請求項7に記載の発明は、上記請求項1乃至6のいずれかに記載の加熱装置を備えたことを特徴とするコージェネレーションシステムである。
かかる構成によれば、保温動作時における貯留手段に貯留されている湯水や熱媒体の貯留温度が安定で、総合エネルギー効率の高いコージェネレーションシステムを提供できる。
本発明によれば、保温動作中における湯水や熱媒体の温度変動が小さく、熱源手段において発生する熱エネルギーを効率よく回収可能な加熱装置、並びに、総合エネルギー効率の高いコージェネレーションシステムを提供できる。
続いて、本発明の一実施形態である加熱装置および当該加熱装置を具備したコージェネレーションシステムについて図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本実施形態のコージェネレーションシステムおよび加熱装置の主要部の作動原理図である。また、図2,3は、図1に示すコージェネレーションシステムおよび加熱装置の動作を示すフローチャートである。図4,5は、図1に示すコージェネレーションシステムおよび加熱装置が保温動作時を行う場合のタイムチャートである。
図1において、1は本実施形態のコージェネレーションシステムである。コージェネレーションシステム1は、大別して発電を行う発電系統Eと、湯水(熱媒体)を加熱する加熱系統Hとを備えた構成とされている。
発電系統Eは、ガスエンジンや燃料電池等の発電装置2を備えて構成されるものである。発電系統Eは、コージェネレーションシステム1が設置されている家庭等に電力を供給するものである。発電系統Eは、発電装置2を冷却し、発電に伴って発生した排熱を回収する湯水あるいは熱媒体が流通する熱回収流路3を備えている。
熱回収流路3は、発電装置2と熱交換加熱装置10(低能力熱源手段)との間に熱媒体を循環させる流路であり、その中途にバイパス流路8がある。また、熱回収流路3は、バイパス流路8よりも熱媒体の流れ方向上流側に熱媒体を循環させる排熱ポンプ4があり、バイパス流路8との分岐部に三方弁9が設置されている。三方弁9は、発電装置2側から出る熱媒体の流路を調整するものである。即ち、三方弁9を調整することにより、熱回収流路3内を流れる熱媒体をバイパス流路8側あるいは熱交換加熱装置10側に選択的に供給できる。
加熱系統Hは、熱源手段として熱交換加熱装置10と、給湯装置11(高能力熱源手段)とを有し、これらによって加熱された湯水を浴槽6(貯留手段)に貯留する加熱装置5を備えた構成である。加熱装置5は、浴槽6と、浴槽6内に出入りする湯水が流れる循環流路7とを備えている。循環流路7は、中途に湯水を加熱する熱交換加熱装置10および給湯装置11と、湯水を循環させるための循環ポンプ12と、浴槽6から出る湯水の温度を検知する温度センサ13(温度検知手段)とを備えている。
熱交換加熱装置10には、上記した熱回収流路3および循環流路7が接続されている。熱交換加熱装置10は、循環流路7内を流れる湯水を熱回収流路3内を流れる高温の湯水や熱媒体との熱交換によって加熱するものである。即ち、熱交換加熱装置10は、発電装置2が発電中であって、三方弁9が調整されて発電装置2を冷却する熱媒体が熱交換加熱装置10側に供給されると循環流路7内を流れる湯水を加熱可能な状態となる。給湯装置11は、燃料ガスや液体燃料を燃焼して湯水を加熱するものであり、従来公知の給湯装置等と同様の構成とされている。給湯装置11は、熱交換加熱装置10よりも湯水の加熱能力が高い。
循環ポンプ12は、循環流路7の上流側に設置されており、図1に矢印で示すように浴槽6内の湯水を圧送し、循環させるものである。循環ポンプ12が作動すると、浴槽6内の湯水は、熱交換加熱装置10、給湯装置11の順で通過し、浴槽6に戻る。
コージェネレーションシステム1は、発電系統Eおよび加熱系統Hの作動を制御する制御手段20を有する。制御手段20は、CPUを中心として構成されるものであり、RAM、ROM、I/Oポート、および、アナログのセンサ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路、あるいは、生成されたデジタル制御信号をアナログ制御信号に変換するD/A変換回路などを備えている。制御手段20は、温度センサ13等の検知手段の検知信号や、リモコン21等を介して入力される入力信号を参照し、発電装置2や排熱ポンプ4、三方弁9、給湯装置11、循環ポンプ12等を動作させるものであり、コージェネレーションシステム1の動作全般を司るものである。制御手段20は、制御に用いる各種の判別基準値や制御プログラム等を予めROMに格納しており、CPUで上記した各検知手段の検知信号を随時参照し、制御プログラムに従って処理を行う。
制御手段20は、発電装置2に接続された電力負荷(図示せず)や浴槽6内に貯留される湯水の設定温度に応じて発電系統Eおよび加熱系統Hを動作させる。本発明のコージェネレーションシステム1は、制御手段20による加熱系統Hの制御方法に特徴を有する。以下、加熱系統Hの制御方法について図2のフローチャートを参照しながら詳細に説明する。
制御手段20は、浴槽6内に湯水を落とし込む場合や、浴槽6内の湯水の追い焚きを行う場合、先ずステップ1−1において熱交換加熱装置10への熱エネルギーの供給源として機能する発電装置2が動作しているかを確認する。即ち、制御手段20は、ステップ1−1において発電装置2が発電中であり、熱交換加熱装置10への熱エネルギーの供給が可能か否かを確認する。
ステップ1−1において発電装置2が発電を行っていない場合は、排熱ポンプ4を起動しても熱交換加熱装置10は湯水の加熱を行えない。そこで、ステップ1−1において発電を行っていないことが確認されると、制御手段20は、制御フローをステップ1−7に進め、循環ポンプ12を起動して浴槽6内の湯水の循環を開始すると共に、ステップ1−8において給湯装置11の燃焼作動を開始させ、これによる湯水の加熱を開始する。その後、制御手段20は、制御フローをステップ1−5に進める。
一方、ステップ1−1において発電装置2が発電中である場合、発電装置2を冷却すると共に発電に伴って発生する排熱から熱エネルギーを回収すべく、ステップ1−2において排熱ポンプ4を起動する。排熱ポンプ4の起動に伴い、発電装置2の放出する熱エネルギーが熱媒体を介して熱交換加熱装置10に供給される。またこれと同時に、制御手段20は、循環ポンプ12を起動し、浴槽6内に貯留されている湯水を循環流路7内に循環させる。
排熱ポンプ4および循環ポンプ12が起動したことが確認されると、制御手段20は、ステップ1−3において浴槽6内の湯水の温度(湯温t)が所定の加熱基準温度tu未満であるか否かを確認する。ここで、加熱基準温度tuとは、熱交換加熱装置10のみによる加熱で浴槽6内の湯水を所定の設定温度tsに加熱可能と想定される温度である。加熱基準温度tuは、制御手段20に予め設定された温度であっても、浴槽6内に貯留されている湯水の量や湯温t等を勘案して導出した温度であってもよい。ステップ1−3において浴槽6内の湯水が加熱基準温度tuよりも低温である場合、熱交換加熱装置10の加熱能力では湯温tを設定温度tsまで昇温することが困難であると想定される。そこで、制御手段20は、湯温tが加熱基準温度tuよりも低温である場合は給湯装置11によって湯水の加熱を行うべきであると判断し、ステップ1−4において給湯装置11による湯水の加熱動作を開始して制御フローをステップ1−5に進める。一方、ステップ1−3において浴槽6内の湯温tが加熱基準温度tu以上である場合、給湯装置11による加熱の必要がないため、制御フローがステップ1−5へと進行する。
制御フローがステップ1−5に進行すると、制御手段20は、浴槽6内の湯温tが設定温度ts以上であるか否かを確認する。ここで、湯温tが設定温度ts未満である場合、制御手段20は制御フローをステップ1−1に戻し加熱を継続する。一方、ステップ1−5において湯温tが設定温度ts以上になっていることが確認されると、制御手段20は、制御フローをステップ1−6に進める。制御手段20は、ステップ1−6において給湯装置11が燃焼作動中である場合は燃焼作動を停止させる。その後、制御手段20は、制御フローを図3のステップ2−1以降の保温段階に進め、浴槽6内の湯水の保温動作を行う。
浴槽6内の湯水が所定の設定温度tsに達すると、制御手段20は、図3のフローチャートに従って浴槽6内の湯水の保温動作を行う。コージェネレーションシステム1が保温動作を行う場合、制御手段20は、図4や図5のように浴槽6の湯温tが設定温度ts以上になった時点を基準として所定の保温周期Lを設定し、その保温周期Lの開始時から所定の遅延時間Le,Lnが経過した後に循環ポンプ12を起動して循環流路7内に湯水を循環させ、湯温tの測定を行う。制御手段20は、湯温tが保温周期Lの間に所定の温度(排熱保温温度teあるいは通常保温温度tn)を下回ることを条件として湯水を再加熱する。再加熱により湯温tが設定温度tsに達すると、再度保温周期Lを設定し直し、同様の手順で保温動作を繰り返す。また、保温周期Lの間に湯温tが排熱保温温度teや通常保温温度tnを下回らない場合、制御手段20は、保温周期Lを再度設定し直し、保温動作を継続する。以下、コージェネレーションシステム1の動作状態が保温段階に移行した際に行われる保温動作について図3に示すフローチャートを参照しながら詳細に説明する。
コージェネレーションシステム1の動作状態が保温段階に移行すると、制御手段20は、ステップ2−1において発電装置2が発電中であるかを確認する。ここで、発電装置2が発電中である場合は制御フローが以下に示すステップ2−2に進行し、発電を行っていない場合は制御フローが後述するステップ2−13へと進行する。
制御フローがステップ2−2に移行すると、制御手段20は、排熱ポンプ4を作動させ、発電装置2を冷却する。その後、制御手段20は、ステップ2−3において制御手段20が備える検温タイマ(図示せず)をリセットする。ここで、検温タイマは、リセットされた後の経過時間を計時するものである。
ステップ2−3で検温タイマがリセットされると、制御手段20は、ステップ2−4で検温タイマがカウントを開始した計時時間Lcが遅延時間Leに達するまで待機する。即ち、図4のように、循環ポンプ12を停止させると共に、発電装置2側から熱交換加熱装置10への熱媒体の供給を停止して熱交換加熱装置10を実質的に加熱停止状態とする。
ステップ2−4において計時時間Lcが遅延時間Leに達すると、制御フローはステップ2−5に進行し、循環ポンプ12が起動する。循環ポンプ12が起動すると、循環流路7内を浴槽6内の湯水が循環し始め、温度センサ13による湯温tの測定が開始される。
ステップ2−5において湯温tの測定を開始してからステップ2−7において検温タイマの計時時間Lcが保温周期Lに達するまでの間、制御手段は、ステップ2−6において浴槽6内の湯温tが排熱保温温度te未満まで低下しているかを確認する。ここで、湯温tが排熱保温温度te以上である場合、制御手段20は浴槽6の湯温tが十分高く、湯水の加熱を行う必要がないものと判断し、検温タイマによる計時が完了するまで湯温tの検知を継続する。図4の区間Dに示すように、浴槽6内の湯温tが排熱保温温度teのまま保温周期Lを迎えた場合、制御手段20は、ステップ2−8において循環ポンプ12を停止させる。その後、制御フローはステップ2−1に戻り、保温動作が継続される。
一方、ステップ2−6において湯温tが排熱保温温度te未満であることが検知されると、検知手段20は、制御フローをステップ2−9に進め、検温タイマをリセットして計時を中断する。これと同時に、制御手段20は、ステップ2−9において三方弁9を熱交換加熱装置10側に開状態となるように調整する。これにより、発電装置2において発生する排熱により加熱された高温の熱媒体が熱交換加熱装置10側に流入する。即ち、発電装置2において発生している熱エネルギーが、熱回収流路3内を流れる熱媒体を介して熱交換加熱装置10に供給され、熱交換加熱装置10による湯水の加熱が開始される。
ステップ2−10において三方弁9が調整され、熱交換加熱装置10に熱媒体が供給されると、循環流路7内を循環する湯水は、熱交換加熱装置10において熱回収流路3内を流れる熱媒体との熱交換により加熱され、高温になる。制御手段20は、循環ポンプ12の起動後、ステップ2−11aおよびステップ2−11bにおいて湯温tを計測し、この湯温tが設定温度ts以上になるまで湯水の加熱を継続する。
さらに具体的に説明すると、ステップ2−11aにおいて湯温tが設定温度ts以上になったことが確認されると、制御手段20は、ステップ2−12において循環ポンプ12を停止させ、浴槽6内の湯水の加熱を終了する。その後、制御手段20は、図4の区間A〜Cに示すように、上記した一連の制御フローに要した時間が保温周期L未満であっても制御フローをステップ2−1に戻し、保温周期Lを新たに設定し直して保温動作を継続する。
一方、ステップ2−11aにおいて湯温tが設定温度ts未満である場合、制御手段20は、ステップ2−11bにおいて湯温tが通常保温温度tn(te<tn)未満まで低下していないかを確認する。ここで、湯温tが通常保温温度tnよりも低温である場合は、熱交換加熱装置10の加熱能力よりも放熱量の方が大きく、湯温tが低下傾向にあるものと想定される。この場合、熱交換加熱装置10のみの加熱では、湯温tが設定温度tsから大きく離れてしまうおそれがある。そこで、ステップ2−11bにおいて湯温tが通常保温温度tnよりも低い場合は、熱交換加熱装置10による湯水の加熱を継続したまま制御フローをステップ2−21に進め、熱交換加熱装置10よりも加熱能力の高い給湯装置11による湯水の加熱を開始する。即ち、ステップ2−11bにおいて湯温tが通常保温温度tn未満である場合、制御手段20は、熱交換加熱装置10および給湯装置11の双方を稼働させ、湯水の加熱を行う。
制御装置20は、給湯装置11による湯水の加熱開始後、ステップ2−22において湯温tが設定温度ts以上になったことが確認されるまで熱交換加熱装置10および給湯装置11の双方による湯水の加熱を継続する。ステップ2−22において湯温tが設定温度ts以上に達したことが確認されると、制御手段20は、ステップ2−23において給湯装置11の燃焼動作を停止させると共に、ステップ2−24において循環ポンプ12を停止させ、浴槽6内の湯水の加熱を終了する。ここで、制御手段20は、上記した一連の制御フローに要した時間が保温周期L未満であっても制御フローをステップ2−1に戻し、保温周期Lを新たに設定し直して保温動作を継続する。
上記したステップ2−1において発電装置2が発電を行っていない場合は、排熱ポンプ4を作動させても発電装置2の排熱による湯水の加熱、即ち熱交換加熱装置10における湯水の加熱は行えない。そこで、ステップ2−1において発電装置2が発電を行っていない場合、制御手段20は、ステップ2−13において排熱ポンプ4を停止させ、制御フローをステップ2−14に進める。
制御手段20は、ステップ2−14において検温タイマをリセットし、保温周期Lの開始からの時間(計時時間Lc)を計時し始める。制御手段20は、検温タイマがリセットされた後ステップ2−15において計時時間Lcが遅延時間Lnに達するまで待機する。ここで、遅延時間Lnは、熱交換加熱装置10によって湯水を加熱する際の遅延時間Leよりも長時間に設定される。さらに詳細に説明すると、給湯装置11は、熱交換加熱装置10よりも湯水の加熱能力に優れ、湯温tが多少低下しても直ちに設定温度tsまで加熱できる。その一方で、湯温tを検知するためには一定時間にわたって循環ポンプ12を起動する必要があるため、これに要するエネルギー等の観点からすると循環ポンプ12の起動時間を短くすることが望ましい。また、給湯装置11は湯水の加熱能力が高いため、湯温tが設定温度tsに近い状態で給湯装置11を作動させると湯温tが設定温度tsを越え、湯温tがかえって不安定になる可能性がある。そこで、制御手段20は、ステップ2−15において低能力熱源11によって保温動作を行う場合の遅延時間Leよりも長い遅延時間Lnが経過するのを待ち、その後ステップ2−16において循環ポンプ12を起動する。
ステップ2−16において循環ポンプ12が起動すると、制御手段20は、温度センサ13の検知信号に基づいて湯温tの計測を開始し、ステップ2−17で湯温tが通常保温温度tn以上であるかを確認する。ここで、通常保温温度tnは、給湯装置11の作動の基準であり、熱交換加熱装置10の作動の指標となる排熱保温温度teよりも低温に設定されている。即ち、通常保温温度tnおよび排熱保温温度teは共に設定温度tsよりも低温であり、設定温度tsに対する通常保温温度tnの偏差は、設定温度tsに対する排熱保温温度teの偏差よりも大きい。これは、上記したように、給湯装置11の加熱能力が熱交換加熱装置10よりも湯水の加熱能力が高いためであり、新たに燃料ガスや液体燃料を燃焼することによるエネルギー消費を抑制すると共に、給湯装置11の作動による湯水や熱媒体の過昇温等を防止することを意図したものである。
ステップ2−17において湯温tが通常保温温度tn以上である場合、ステップ2−18において計時時間Lcが保温周期Lに達するまで湯温tの測定を継続する。ステップ2−18において計時時間Lcが保温周期Lに達した場合は、図5の区間Dに示すように浴槽6内の湯水の放熱速度が遅く、保温周期Lに渡って湯温tが設定温度ts近傍の高温であり、加熱の必要がない。そのため、制御手段20は、ステップ2−19において循環ポンプ12を停止して湯温tの計測を中止し、制御フローをステップ2−1に戻す。
一方、上記したステップ2−17において湯温tが通常保温温度tn未満に低下していることが確認されると、制御手段20は、制御フローをステップ2−20に進める。制御手段20は、ステップ2−20において検温タイマをリセットし、計時を中断させた状態で給湯装置11による湯水の加熱を開始する。
ステップ2−21において給湯装置11が燃焼作動を開始すると、制御手段20は、ステップ2−22において温度センサ13の検知信号に基づいて湯温tを検知する。ステップ2−22において湯温tが所定の設定温度ts以上に加熱されたことが検知されると、制御手段20は、ステップ2−23において給湯装置11の燃焼作動を停止し、ステップ2−24において循環ポンプ12を停止する。循環ポンプ12が停止すると、図5の区間A〜Cのように、上記した一連の制御フローに要した時間が保温周期L未満であっても制御フローをステップ2−1に戻して保温周期Lを新たに設定し直し、上記した制御フローに則って保温動作を継続する。
上記したように、コージェネレーションシステム1は、保温動作時に発電装置2が発電中である限りは熱交換加熱装置10を作動させて保温動作を行う。コージェネレーションシステム1は、発電装置2が発電停止中であって熱交換加熱装置10において湯水の加熱を行えない場合や、例え発電装置2が発電中で熱交換加熱装置10における湯水の加熱が可能な場合であっても、湯水の放熱が速く湯温tが通常保温温度tnを下回った場合のように、湯温tを設定温度tsに維持するために給湯装置11の加熱能力を必要とする場合に給湯装置11を作動させるものである。そのため、上記した構成によれば、保温動作における給湯装置11の作動が最小限で済み、保温動作に要するエネルギーを最小限に抑制できる。
また、コージェネレーションシステム1では、熱交換加熱装置10によって保温動作を行う場合の遅延時間Leが給湯装置11を使用した場合の遅延時間Lnよりも短く、熱交換加熱装置10の作動の指標となる排熱保温温度teが給湯装置11の作動の指標となる通常保温温度tnよりも高く設定されている。そのため、熱交換加熱装置10によって保温動作を行う場合であっても、給湯装置11によって保温動作を行う場合と同様に湯温tが安定しており、設定温度tsへの回復速度も速い。
上記したコージェネレーションシステム1では、循環流路7に浴槽6が接続された例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば浴槽6に代わって貯留タンク等のような何らかの貯留手段を接続した構成とすることも可能である。
上記実施形態では、図3に示す制御フローに基づいて保温動作を行う場合に湯温tの測定開始前に所定の遅延時間Le,Lnを設ける構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、湯温tの計測を絶え間なく行う構成としてもよい。かかる構成によれば、ひとたび設定温度tsまで加熱された湯水が放熱し低温になる前に加熱でき、湯温tの変動および給湯装置11の燃焼作動に伴うエネルギー消費を最小限に抑制できる。また特に、上記したように、浴槽6に代わってファンコンベクターや床暖房装置のような負荷端末に湯水や熱媒体を供給して循環させる構成とする場合や、循環ポンプ12を作動させなくても浴槽6内の湯温tを測定可能な場合のように湯温tの測定のために改めて循環ポンプ12等を作動させる必要がなく、これに要するエネルギー消費を考慮する必要がない場合は、遅延時間を設けず湯温tの計測を絶え間なく行う構成としてもよい。
本実施形態のコージェネレーションシステム1は、浴槽6内の湯水を加熱するための熱源として熱交換加熱手段10および給湯装置11を一つずつ備えた構成であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、熱交換加熱手段10や給湯装置11を多数備えたものや、これらの熱源装置と加熱能力の異なる熱源装置を備えたものであってもよい。なお、この場合であっても、各熱源装置の加熱能力等を考慮して保温動作時の遅延時間や加熱開始温度が調整されることが望ましい。
また、上記実施形態において、熱交換加熱装置10は、発電装置2において発生する排熱により加熱された湯水や熱媒体との熱交換により循環流路7内を流れる湯水を加熱するものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば太陽熱温水器(太陽熱温水パネル)等によって加熱された湯水や熱媒体と熱交換するものであってもよい。
上記実施形態では、浴槽6内の湯水が循環する循環流路7の中途に給湯装置11や循環ポンプ12を直列に配置した例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば循環ポンプ12を給湯装置11に内蔵されている図示しないポンプとしても良い。また、上記実施形態のコージェネレーションシステム1は、循環流路7内を流れる湯水が必ず給湯装置11内を通過する構成であったが、例えば図1に破線で示すように給湯装置11を迂回するバイパス流路15および三方弁16を設け、必要に応じて給湯装置11側に湯水を供給する構成とすることも可能である。かかる構成によれば、給湯装置11の停止中に給湯装置11内の熱交換器(図示せず)において循環流路7内を流れる湯水が放熱することを確実に防止でき、コージェネレーションシステム1のエネルギー効率をより一層向上できる。
また、コージェネレーションシステム1は、保温動作中に湯温tが所定の排熱保温温度teあるいは通常保温温度tnを下回ることを条件として湯水の加熱を行うものであり、湯水の加熱が開始され、これにより湯温tが設定温度tsに達すると先に設定された保温周期Lが完了する前であっても湯温tの測定および加熱を中断し、動作段階を保温周期Lの設定段階に戻して保温動作を行うものであったが、本発明はこれに限定されるものではない。さらに具体的には、コージェネレーションシステム1および加熱装置5は、一連の保温動作中に湯温tが設定温度tsに達したとしても、保温周期Lが完了するまで保温動作を継続するものであってもよい。即ち、コージェネレーションシステム1および加熱装置5は、所定の保温周期Lで一連の保温動作を繰り返すものであってもよい。
また、コージェネレーションシステム1は、浴槽6に貯留されている湯温tを計測し、これに応じて熱交換加熱装置10および給湯装置11を作動させて保温するものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図6のように上記した浴槽6に代わってファンコンベクターや床暖房装置のような暖房用放熱器等の負荷端末51に湯水や熱媒体等の液体を供給するコージェネレーションシステム50であってもよい。この場合、制御装置20は、コージェネレーションシステム1の場合に加熱動作の指標とされていた湯温tに代わって循環流路7に設けられた温度センサ13によって検知される液温t1や、温度センサ52によって検知される負荷端末51に流入する液温t2、温度センサ53によって検知される負荷端末51内に滞留あるいは流通する液温t3等のいずれか一つあるいはこれらの組み合わせに基づき、上記したのと同様の制御フローに基づいて液体の加熱を行う構成とすることができる。また、制御手段20は、前記した液温t1〜t3を適宜用いて導出される情報に基づいて加熱動作を行うものであってもよい。