JP4312574B2 - イオンビーム加工装置およびイオンビーム加工方法 - Google Patents

イオンビーム加工装置およびイオンビーム加工方法 Download PDF

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Description

本発明は、スパッタ粒子のマスクパターンおよび加工面への再付着を防止することが容易なイオンビーム加工装置およびイオンビーム加工方法に関するものである。
薄膜の微細加工手法の一つとして、ビーム加工がある。それはアルゴン(Ar)イオン等のビームを試料に高速で照射することにより、試料表面を削る加工方法であり、Arイオンを用いるイオンミリング、ケミカルな反応を併用する反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)などが知られている。
次に、図18によってイオンミリング加工法の概略を説明する。
図18(a)に示すように、通常、加工対象の試料301(例えば基板表面に形成された薄膜302)面上に、適当なレジスト膜もしくは無機材料膜を用いて微細なマスクパターン305を形成する。次いで、図18(b)に示すように、上記試料(薄膜)302にアルゴンイオンビーム311を照射することにより、マスクパターン305により被覆されていない試料(薄膜)302面をミリング(エッチング)する。これにより、マスクパターン305が薄膜302面に転写される。
ここで問題となるのが、図18(c)に示すように、ミリングの際、スパッタされた試料面原子がマスクパターン305〔前記図18(b)参照〕側面および加工部側面に再付着し、いわゆるバリ321を形成することである。ミリング加工面は一般に斜めに削られるため、バリ321もその形状に沿って堆積し、マスクパターン305を除去した後の断面形状がうさぎの耳に似ていることからラビットイアー(rabbit ear)とも呼ばれる。バリ321の高さは、ミリング条件によってはマスクパターン305の膜厚にまで達し、ミリング量には必ずしも比例せず、わずかなミリング深さ(たとえば20nm程度)であってもバリ高さが非常に大きくなる(例えば100〜200nm)場合が多い。このバリ321は、加工面側面に付着することから、多層膜をエッチングした場合、膜間のショートを引き起こしやすく、本来のデバイスとしての機能を失わせることとなる(例えば、特許文献1、非特許文献1および2参照。)。
例えば、図19(a)に示すように、マスクパターン305にレジストを用い、絶縁膜331を埋め込んだ後に、図19(b)に示すように、リフトオフを行う工程が多用される。この場合には、バリ321によってマスクパターン305側面が覆われると、マスクパターン305の剥離が困難になる。すなわち、リフトオフが困難となる。
また、図20(a)の上面図、(b)の断面図に示すように、バリ321は内側に傾いて成長するため、根元部にレジストの残渣333が生じやすい。リフトオフによって素子上面にコンタクトホールが形成されるが、バリ321のために設計サイズよりも開口径が小さくなってしまう。素子サイズがサブμm以下のオーダーになるとコンタクホール部に占めるバリ321の割合が著しく大きくなり、開口が困難となってくる。バリ321の発生は、マスクサイズが小さくなるほど顕著になり、高さ,厚みとも増加する。また、リフトオフあるいはマスクパターン剥離の際に、マスクパターンとともに除去されるバリ321の割合も減る。このため、マスクサイズ、すなわち、素子サイズが微細化するほど、上記のバリ321の弊害が顕著になる。
以上説明したように、従来のイオンミリング加工技術では、ミリングの際に生じるバリ(スパッタ粒子の再付着)のために、微細加工の能力が制限され、今後、半導体デバイス、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等の作製に必要となるサブμm以下からナノメートル(nm)のオーダーの微細化要求に応えることが困難となりつつある。
これに対する一つの対策方法として、イオンビームを試料面に対して斜め方向(試料面鉛直方向から数十度傾けた方向)から入射することにより、試料面をミリングしつつ発生したバリを除去する手法が取られているが、除去効果は小さい。また、ミリング断面に、よりいっそうのテーパーがつくという問題も生じる。
特開平11−289058号公報 御閉博史,絵所壮太郎著 「真空 」第20巻、第11号、p17−24 1977年 Per G. Gloersen著 J. Vac. Sci. Technol. 第12巻、第1号、p28−35 1975年
解決しようとする問題点は、イオンビーム加工において、スパッタ粒子がマスクパターンおよび加工面へ再付着してバリが発生する点である。
本発明のイオンビーム加工装置は、真空チャンバ内でイオンビームを被加工試料に照射して被加工試料を加工するイオンビーム加工装置であって、電界を発生させるもので前記被加工試料に前記電界を与える電極を備え、前記イオンビームにてスパッタされた前記被加工試料のイオン化した原子の軌道を前記電界により前記被加工試料表面に対して前記イオンビームの入射方向に偏向して前記真空チャンバ外に排気する
本発明のイオンビーム加工方法は、真空チャンバ内でイオンビームを被加工試料に照射して被加工試料を加工するイオンビーム加工方法であって、前記イオンビーム加工の際、前記被加工試料に電界を存在させ、前記イオンビーム加工にてスパッタされた前記被加工試料のイオン化した原子の軌道を前記電界により前記被加工試料表面に対して前記イオンビームの入射方向に偏向して前記真空チャンバ外に排気する
本発明のイオンビーム加工装置は、電界を発生させるもので被加工試料に電界を与える電極を備えているため、イオンビーム加工の際にイオンビームによってスパッタされた正(+)イオンになっている被加工試料の原子(粒子)は、電極と被加工試料間に生じた電界の作用によって射出軌道が被加工試料面に対してイオンビームの入射方向に偏向されるので、イオンビーム加工の際に用いられるマスクに従来の技術では衝突していた原子(粒子)は衝突しなくなり、この結果、マスク側壁でのバリの発生が抑制されるという利点がある。
本発明のイオンビーム加工方法は、イオンビーム加工の際、被加工試料に電界を存在させるため、イオンビーム加工の際にイオンビームによってスパッタされた正(+)イオンになっている被加工試料の原子(粒子)は、電界の作用によって射出軌道が被加工試料面に対してイオンビームの入射方向に偏向されるので、イオンビーム加工の際に用いられるマスクに従来の技術では衝突していた原子(粒子)は衝突しなくなり、この結果、マスク側壁でのバリの発生が抑制されるという利点がある。
よって、本発明のイオンビーム加工装置およびイオンビーム加工方法によれば、イオンミリングあるいは物理的なスパッタ効果を伴う反応性イオンエッチング(RIE)において、マスク周囲に付着するバリの発生が防止されるため、(1)バリの発生による加工後の多層膜間のショートが抑止できる、(2)レジストマスク側面が再付着物(バリ)で覆われることがないためリフトオフ性が著しく向上できる、(3)バリの根元部に生じやすいレジスト残渣が解消できる、(4)微小な素子においても、設計通りのコンタクトホール開口径を得ることができる、(5)マスクサイズが微細化してもバリが成長しないため、サブμm以下のオーダーの微細な形状の加工ができる、(6)バリの除去のために試料面を傾けてイオンビーム加工を行う必要がないので、加工断面のテーパーを抑制することができる、等の効果が得られる。
イオンビーム加工におけるスパッタ原子の試料面への再付着を防止するという目的を、被加工試料の被加工面上の空間に電界を発生させるもので0電位もしくは負電位を有する電極を配置することで、加工ビームによってスパッタされた試料面から射出される原子の射出方向を偏向し、それによってスパッタされた原子の試料面への再付着の防止を実現した。
本発明のイオンビーム加工装置およびイオンビーム加工方法に係る一実施例を、図1の概略構成図、図2の要部斜視図、図3の動作を説明する要部構成図等によって説明する。イオンビーム加工装置には種々の形態があるが、図1では一般的なイオンビーム加工装置に本発明の構成を適用した一例を示す。
図1に示すように、イオンビーム加工装置1は真空チャンバ11を備えている。この真空チャンバ11の内部には、被加工試料51を保持するステージ21が設けられている。このステージ21は、例えば図示しない回動駆動装置により回動されるようになっている。
また、真空チャンバ11の内部には、上記ステージ21に保持される被加工試料51の被加工面に対向して、イオン源31が設置されている。このイオン源31は、例えば、導入されたアルゴン(Ar)ガスをフィラメント32によりプラズマ化して、アルゴンイオンを射出するものである。このイオン源31のアノードには電源33により、例えば+300Vの電圧が印加される。さらにイオン源31のイオンビーム射出側にはイオンを加速するグリッド34が設置されている。このグリッド34には電源35が接続され、この電源35よりグリッド34には、例えば−50Vの負電圧が印加される。また、被加工試料51表面に向けて中和用の電子を放出する電子発生装置(ニュートラライザー)41が真空チャンバ11内部に設置されている。この電子発生装置41には、例えば熱電子発生用フィラメントが用いられている。さらに、イオン源31と被加工試料51との間にはイオンビームを遮蔽可能なシャッター61が設けられている。さらに被加工試料51の加工面近傍に電界を存在させる手段として電極101(図2参照)が、例えば被加工試料51のイオンビーム入射側に設置されている。この電極101は、負電位もしくは0電位にされている。
また、上記真空チャンバ11には、真空排気ポンプ71が接続され、この真空排気ポンプ71により真空チャンバ11内部のガスを排気できるようになっている。
上記イオンビーム加工装置1では、イオン源31にてアルゴン(Ar)ガスをイオン化し、これをグリッド34に電圧をかけて加速し、イオンビーム81として被加工試料51に照射する。この際、イオン源31近傍に配置した電子発生装置41から電子を放出し、加速後のイオンビーム81の中和およびイオンミリング中に帯電する被加工試料51の加工面の中和を行う。イオンビーム81の被加工試料面への入射角は、目的に応じて適宜決められる。通常、0度〜数十度の範囲である。
次に、電極101の配置例について、図2によって説明する。
図2に示すように、電極101は、一例として、環状の銅板を用いた。大きさは、例えば、外径が50mm、内径が37mm、厚さが1.5mmとした。被加工試料51(例えば20mm角基板)をステージ21上に載せ、電極101と装置本体との絶縁が保たれるように、電極101を被加工試料51上方に被加工試料51表面と平行に配置した。例えば、装置本体(例えば真空チャンバ11)に設けた保持機構131により後に説明するカバー141を支持し、そのカバー141に絶縁体132を介して電極101を設置した。その際、被加工試料51と電極101の中心軸を一致させた。電極101と被加工試料51との距離は、両者間で放電が起こらず、また、試料面からスパッタされイオン化した粒子の軌道がアルゴンイオンビーム入射方向に十分に曲げられる電界強度となるよう、適宜決定される。電極101に印加する電圧にもよるが、例えば、約6mm〜8mmとした。上記の各数値は、加工面積、被加工試料51の被加工面に形成されるレジスト膜(マスク)厚、そのマスクの面内サイズ、電極101への印加電圧の大きさ等によって適宜決められるべきものである。
また、電極101には、電極101を負電位とするように、電源151が接続されている。この電源151は、電極101と被加工試料51との間に放電が発生しない電圧を印加するものであり、例えば、−数V〜−500Vの電圧を電極101に印加する。もしくは、電極101をゼロ電位とすることもでき、その場合には、電極101は接地される。電極101が接地された場合であっても、イオンビーム加工の際には被加工試料51表面はわずかながら正に帯電するため、電極101を負電位にしたときと同様なる効果を得ることができ、イオンのマスクへの付着を防止もしくは抑制することができる。
上記電極101の上部(イオンビーム入射側)には、イオンビーム(図示せず)が電極101に直接照射されないようにするために、例えば、接地したカバー141が設けられている。カバー141を設けない場合、(1)負電位の電極101に正に帯電したイオンビームが吸われてしまい、ミリングに寄与するイオンビーム量が減る、(2)その結果、ジュール熱が生じて電極101が加熱されてしまう(例えば300V、10mAで3W)、(3)イオンビーム電流(数mA〜百mA)が、電極101に電圧を印加するための電源151に流れ込むため、電源151の負荷が増加する等の問題が生じる。カバー141は電極101から絶縁されて配置されている。例えば、カバー141は電極101に対して絶縁体132を介して配置されている。カバー141の材質は導電性のある任意の金属、たとえばアルミニウム等でよい。カバー141の内径は、カバー141が被加工試料51に対しイオンビーム照射における影にならないよう、被加工試料51のサイズより大きく、かつ、電極101の内径より小さくなる値としてある。なお、電極101をゼロ電位とする場合は、カバー141は設けなくてもよい。また、上記カバー141は接地されていることが望ましい。また、上記ステージ21は接地されている。
次に、上記イオンビーム加工装置1の本発明部分に係る動作、すなわちイオンビーム加工方法を、図3のイオンビーム加工装置の要部斜視図によって説明する。
図3に示すように、上記イオンビーム加工装置1では、イオン源31より射出されグリッド34により加速されたイオンビーム81(例えばアルゴン(Ar+)イオンビーム)が被加工試料51の被加工面に照射され、ステージ21上に保持された被加工試料51の基板52表面に形成された薄膜(例えば金属薄膜、金属化合物薄膜等)53をミリングする。
この際、イオンビ−ムによって試料表面から叩き出された(スパッタされた)薄膜原子は、スパッタされた直後では+イオンM+になっているため、電極101によって発生される電界の作用によって射出軌道が薄膜表面に対する鉛直方向に曲げられる。このため、スパッタ原子はマスク55に再付着することなく排気される。このとき、電子発生装置41から常に電子が被加工試料51表面に供給されているため、スパッタされて飛び出した+イオンM+は直ちに電気的に中和され、以降は電界の影響を受けない原子(粒子)Mとなる。そして、中性化された原子(粒子)Mは真空チャンバ(前記図1参照)内部に飛散し、真空排気装置(前記図1参照)によって真空チャンバの外部に排出される。もし、イオンビーム加工装置に電極101が設置されていない場合には、スパッタされて飛び出した+イオンM+の多くは、中和後、マスク55の側壁に衝突して付着し、バリを形成することになる。
よって、本発明のイオンビーム加工装置1で加工を行った場合には、被加工試料51の薄膜53上に形成されているマスク55にスパッタ原子が再付着することで形成されていたバリの発生が防止されるか、少なくともバリの成長が抑制、低減される。また、電極101のイオンビーム入射側には電極101と電気的に絶縁されたカバー141が設けられていることから、イオンビーム81が直接電極101に照射されることがない。このため、イオンビーム81が電極101に当たることが防止される。
次に、上記イオンビーム加工装置1を用いて被加工試料51をイオンビーム加工した一例を説明する。
上記被加工試料51として、基板(例えば、熱酸化Siウエハ)上に適当な金属膜を成膜した後にレジストのマスクパターンを形成したものを用意する。レジストの厚さは、例えばサブμmオーダーの大きさの微細なマスク形成が容易である厚みとして、例えば200nm〜400nm程度とする。レジストマスクとしては、例えば図4に示すように、幅が10μm、長さが数百μmの板状のパターン56および1μmφの円形のパターン57を作製した。金属膜、基板の材質は任意であり、目的に応じて適宜選択される。また被加工試料51表面の電位は特に規定しない。
そしてイオンビーム加工装置1のイオン源31のアノードに適当な電圧(ミリングレート等にもよるが、例えば、+300V程度)を印加してArプラズマを生成し、イオンを引き出すためのグリッド34に、例えば−45Vの電圧を印加して、アルゴン(Ar+)イオンビーム81を形成し、電子発生装置41を作動させつつ、被加工試料51の被加工面にイオンビーム81を照射してミリングを行った。イオンビーム電流密度は、例えば、1.4mA/cm2とした。ミリング量(エッチング深さ)は、例えば20nm〜100nmとした。ミリング後、有機溶剤によりレジストマスクを溶解除去し、レジスト残渣がある場合は、さらに酸素(O2)アッシングを行った。その後、AFM(原子間力顕微鏡)にて表面形状を測定し、バリの発生状態を評価した。
その結果を図5によって説明する。図5は、電極への電圧印加がある場合(−300V/6mm)と無い場合(電気的にフロートあるいは電極を配置しない)での、バリの発生状態の違いを、レジスト厚さがおよそ250nm、幅が10μmのパターンをミリングした場合において示すものであり、縦軸にバリの高さを示し、横軸にパターン幅を示す。
被加工試料は、シリコン基板表面に熱酸化膜を形成し、その表面に金属膜(例えばCr:20nm/Au:20nm)を成膜したものとした。ミリング量が20nm〜30nmの場合、電極101を設けないイオンビーム加工装置による従来のミリングでは、図5(a)に示すように、高さが40nm〜50nmのバリが明瞭に生じたのに対し、電極101を設けた本発明のイオンビーム加工装置では、電極101に−300Vの電圧を印加して電界を発生させた場合、図5(b)に示すように、バリの発生がほぼ皆無となった。
また、1μmφのパターンでは、電界のない場合に生じるバリの高さは60nm〜70nm程度であったが、前記と同じ電界を生じさせることにより、バリの高さはほぼ皆無となった。
本発明の効果は、ミリングされる材料によらない。上記例では、加工対象を実用上多用される磁性金属コバルト(Co)としたが、これを酸化シリコン(SiO2)にした場合も、ほぼ同じバリ抑制効果が得られた。この他、金(Au)、白金(Pt)等の貴金属、クロム(Cr)、タングステン(W)等の高融点金属、もしくは金属酸化物(例えばタンタル酸化物(Ta25)、アルミニウム酸化物(Al23)等においても、ミリングレートは変化するものの、本発明によるバリ抑制効果は変わらなかった。
上記イオンビーム加工装置1におけるミリング量が大きい場合、それに応じてレジストマスクの厚さも厚くしなければならない。レジスト膜の厚さが350nmの円形マスク(1μmφ)における一例を、図6によって説明する。
図6に示すように、被加工試料は上記図5によって説明したのと同様に、シリコン基板表面に熱酸化膜を形成し、その表面に金属膜(例えばコバルト膜)を約100nmの厚さに成膜したものとした。ミリング量が約100nmの場合、電極101を設けないイオンビーム加工装置による従来のミリングでは、図6(a)に示すように、高さが約200nmのバリが生じたのに対し、電極101を設けた本発明のイオンビーム加工装置では、−5〜−100V/mmの電界となる電圧を電極101に印加した場合、図6(b)に示すように、バリ高さは60nm程度もしくはそれ以下となり、電極101を設けない場合と比較してバリの高さが大幅に減少した。この程度のバリの高さであれば、レジストマスクを用いたリフトオフを行う上でも、実用上、問題のないレベルである。
本発明のイオンビーム加工装置1における電極101への印加電圧は、0V〜−1kVの範囲で最適な値が適宜決められる。電極101と被加工試料の被加工表面との間の距離を考慮することが必要であり、その距離は電極101と被加工試料51との間に放電が起こらないよう設定される。電界の大きさとしては200V/mm程度が上限となる。最適電界強度は、加工対象材料に依存し、材料のスパッタ率、イオン化率、導電率、誘電率等が関係する。また、マスクとするレジストの厚み、マスクの大きさ(面内サイズ)等により変わり得るため、適宜、検討が必要であるが、概ね−5V/mm〜−100V/mmが望ましい。
上記実施例では、電極101に負電位を印加したが、ゼロ電位でもバリ抑制効果が生じる場合がある。これは、ミリングによって被加工試料表面から飛び出した試料原子の+イオンと電極(ゼロ電位)との間に空間電位が生じ得るためである。また、ミリング中、Ar+イオンによって叩かれた被加工試料表面は正(+)に帯電し易く、電子発生装置(ニュートラライザー)41によって被加工試料表面に電子を照射して中和しているものの、わずかに正(+)に帯電する傾向がある。このため、電極101がゼロ電位であっても、被加工試料表面との間に電界が生じる場合がある。
次に、本発明の効果を、より総合的に評価した例を以下に説明する。ここでは、レジストマスクを板状のパターンとし、厚さが250nm、幅が10μmのレジストマスクを用いて、最表面に厚さが5nmのタンタル(Ta)膜を形成した基板(酸化シリコン(SiO2)膜)をミリングした際に発生するバリの発生状態を調べた。その結果を図7によって説明する。なお、従来のイオンビーム加工条件は表中の「電極無し」の欄に相当する。ここで、「電極無し」とは、電極が電気的にフロート(接地ではない)状態もしくは電極を配置していない状態である。また、イオンビームのチルト角は−5°、電極と被加工試料との間隔は8mmとした。
図7に示すように、ミリング量に30nm〜60nmという違いはあるものの、電圧が0V〜負電圧において、バリの発生が抑制されていることがわかる。正(+)電位では、バリが増加し、本発明の効果を逆の立場から支持する結果となっている。具体的には、電極無しの状態では、バリの高さが30nm程度であった。一方、電極への印加電圧が0V〜負電圧では、バリの高さが最大でも5nmであり、ほとんどバリが発生していない状態であった。他方、電極に正(+)電圧を印加した場合には、バリの高さが50nmにも達し、電極が無い場合よりもバリの高さが高くなった。このように、バリの発生を抑制する効果は、電極に印加する電圧の大きさにはあまり依存せず、わずかの負電位(ゼロ電位を含む)によって十分な効果が得られている。
次に、レジストマスクを板状のパターンとし、厚さが250nm、幅が10μmのレジストマスクを用いて、基板(酸化シリコン(SiO2)膜)表面に、厚さが10nmのクロム(Cr)膜、厚さが120nmのコバルト(Co)膜、厚さが20nmの金(Au)膜を順に積層形成した積層膜をミリングした際に発生するバリの発生状態を、電極に印加する電圧の大きさを変えて調べた。その結果を図8によって説明する。なお、従来のイオンビーム加工条件は表中の「電極無し」の欄に相当する。ここで、「電極無し」とは、電極が電気的にフロート(接地ではない)状態もしくは電極を配置していない状態である。また、イオンビームのチルト角は−5°、電極と被加工試料との間隔は7mmとした。
図8に示すように、ミリング量が90nm〜100nmと大きいため、従来ミリング(「電極無し」)でのバリの発生は200nmに及ぶ。しかし、本発明のイオンビーム加工装置によるイオンビーム加工を適用することにより、前記図7によって説明したのと同様に、バリはほとんど発生しないか、発生しても10nm以下となり、バリの発生が大きく抑制される。この例でも、バリの発生を抑制する効果は、電極に印加する電圧の大きさにはあまり依存せず、わずかの負電位(ゼロ電位を含む)によって十分な効果が得られている。
次に、レジストマスクを板状のパターンとし、厚さが350nm、幅が10μmのレジストマスクを用いて、基板(酸化シリコン(SiO2)膜)表面に、厚さが120nmのコバルト(Co)膜、厚さが20nmの金(Au)膜を順に積層形成した積層膜をミリングした際に発生するバリの発生状態を、電極に印加する電圧の大きさを変えて調べた。その結果を図9によって説明する。なお、従来のイオンビーム加工条件は表中の「電極無し」の欄に相当する。ここで、「電極無し」とは、電極が電気的にフロート(接地ではない)状態もしくは電極を配置していない状態である。前記図8によって説明した例では、レジスト膜厚が250nmでミリングを100nm行ったが、この場合にはレジスト膜の残厚が小さくなり、リフトオフが困難となるため、望ましいミリングではない。そこで、本例では、レジストの厚みを350nmに増やして、約100nmのミリングを行った。また、イオンビームのチルト角は−5°、電極と被加工試料との間隔は7mmとした。
図9に示すように、この例では、ゼロ電位ではバリ抑制効果が得られない。負電位印加によって、従来法と比べて数分の1のバリ高さになる。詳しくみていくと、ミリング量にばらつきはあるもの、図9(a)に示すように、「電極無し」の場合、バリの高さは150nm〜270nmとなった。また図9(b)に示すように、電極の電位が0Vの場合、バリの高さは150nm〜270nmとなり、改善が得られなかった。一方、電極の電位が負電位の場合、例えば、図9(c)に示すように、−50Vの場合はバリの高さが40nm〜50nmであり、図9(d)に示すように、−100Vの場合はバリの高さが85nm〜105nmであり、図9(e)に示すように、−300Vの場合はバリの高さが55nm〜70nmであり、図9(f)に示すように、−500Vの場合はバリの高さが55nm〜85nmであった。本例では、前記図8によって説明した例(レジスト膜の厚さが250nm)のように、バリをほぼ皆無にすることはできないが、実用上、十分なバリの発生を抑制する効果が得られた。
次に、レジストマスクをドットパターンとし、厚さが350nm、直径が1.6μmのレジストマスクを用いて、基板(酸化シリコン(SiO2)膜)表面に、厚さが10nmのクロム(Cr)膜、厚さが120nmのコバルト(Co)膜、厚さが20nmの金(Au)膜を順に積層形成した積層膜をミリングした際に発生するバリの発生状態を、電極に印加する電圧の大きさを変えて調べた。その結果を図10によって説明する。なお、従来のイオンビーム加工条件は表中の「電極無し」の欄に相当する。ここで、「電極無し」とは、電極が電気的にフロート(接地ではない)状態もしくは電極を配置していない状態である。図10では、見易くするため3次元のAFM像を示す。また、イオンビームのチルト角は−5°、電極と被加工試料との間隔は7mmとした。
図10に示すように、ドットの回りに環状(例えばフジツボ状)にバリが発生しているが、電極に負電位を印加することにより、バリの高さは1/2〜1/3に減少する。詳しくみていくと、ミリング量にばらつきはあるもの、図10(a)に示すように、「電極無し」の場合、バリの高さは200nmにも達した。また図10(b)に示すように、電極の電位が0Vの場合、バリの高さは180nmに達し、改善が得られなかった。一方、電極の電位が負電位の場合、例えば、図10(c)に示すように、−50Vの場合はバリの高さが50nm〜70nmであり、図10(d)に示すように、−100Vの場合はバリの高さが90nm〜150nmであり、図10(e)に示すように、−300Vの場合はバリの高さが70nm〜90nmであり、図10(f)に示すように、−500Vの場合はバリの高さが70nm〜90nmであった。ドット状の微小なマスクになるとバリの抑制効果は下がるものの、この3次元図から、電極に負電位を印加することにより、バリの高さとともにバリの厚さが数分の1に減少することがわかる。これは本発明の重要な効果である。バリの体積でみれば、約一桁減少していることとなり、やはり、本発明の効果が見て取れる。
上記図7〜図10によって説明した結果を、ミリング深さで規格化したバリの高さと電界強度の関係として図11にまとめた。電極を用いない従来技術と比べ、負電位を印加した電極(電界の存在)によりバリの発生が抑制もしくは防止されていることがわかる。また、電界強度が有る値、例えば−20V/mmよりも負側であれば、ミリング深さで規格化したバリの高さは、各条件においてほぼ一定になることがわかる。
次に、上記電極の形状について図12の概略構成斜視図によって説明する。電極の形状は、上記実施例では、環状のものを用いたが、試料基板の大きさや処理面積に応じて、効率がよい種々の形の電極を使うことが可能である。この図12では、電極を被加工試料の外側に配置する場合を示す。
図12(a)に示すように、被加工試料51の上方に被加工試料51に照射されるイオンビーム81を遮ることがないように、環状かつ板状の電極101aが配置されている。または図12(b)に示すように、被加工試料51の側方に、複数の板状の電極101bを配置してもよい。図面では、2本の板状の電極101bを、被加工試料51を間にして対称に配置した例を示したが、例えば3本であっても4本であってもよい。その場合、被加工試料51の全面に均一な電界を生じるように配置する必要があり、その一例としては、被加工試料51に対して電極101bを点対称にかつ等間隔に配置する。または図12(c)に示すように、被加工試料51の側方に、複数のチップ状の電極101cを配置してもよい。図面では、4個のチップ状の電極101cを、被加工試料51を間にして点対称にかつ等間隔に配置した例を示したが、例えば2個もしくは3個であってもよく、または5個以上であってもよい。また、図12に図示はしないが、板状ではなく線状の環状の電極としてよく、単に電線を環状にしたものでもよい。上記いずれの場合も、被加工試料51に照射されるイオンビームを遮ることなく、また被加工試料表面にイオンビームが均一に照射される電極形状であり電極寸法である必要がある。
次に、上記電極の配置位置(イオンビームの入射方向における被加工試料との位置)について、図13の概略構成図によって説明する。ここでは、被加工試料51の外側に環状の電極を配置する場合を示す。なお、板状の電極、チップ状の電極の場合も環状の電極と同様なる被加工試料との位置関係に配置することができる。なお、図13中の被加工試料51から電極101に向かう矢印は電気力線を表す。
図13(a)に示すように、電極101は、被加工試料51の被加工表面より上方(イオンビーム81の入射側)でかつ電極101の内径部分をイオンビーム81が通過できるように配置することができる。この場合、被加工試料51の中心軸Zと環状の電極101の中心軸zとが一致するように配置されることが望ましい。または図13(b)に示すように、電極101は、被加工試料51の側方でかつ電極101の内径部分に間隔をおいて被加工試料51が配置されるように配置することができる。この場合、被加工試料51の中心軸Zと環状の電極101の中心軸zとが一致するように配置されることが望ましい。または図13(c)に示すように、電極101は、被加工試料51の被加工表面より下方(イオンビーム81の入射側とは反対側)でかつ被加工試料51を投影した投影像が電極101にかからないように配置することができる。この場合、被加工試料51の中心軸Zと環状の電極101の中心軸zとが一致するように配置されることが望ましい。
このように、被加工試料51に対する電極101の上下位置は、必ずしも被加工試料51の被加工面より上(イオンビーム入射側)でなくてもよく、被加工面と同一高さ、場合によっては被加工面より下側になっても構わない。被加工面の上部空間に電界が存在すればよく、したがって、被加工試料51の近傍に電極101が存在すればよい。ただし、被加工試料51中央部と電極101との実効的な距離(電気力線の長さ)が長くなると、被加工試料51の中央部での電界強度は被加工試料51の周辺部よりも低下する。被加工試料51のサイズが大きくなると、電界分布の均一性を考慮しなくてはならないため、電極101が被加工面より上にあることが望ましい。なお、ステージ21が昇降する構成の場合、ステージ21の昇降を妨げない様に、電極101は被加工試料51の側方もしくは下方に設けられることが好ましいが、ステージ21の昇降を妨げなければ、被加工試料51の上方に電極101を配置することが望ましい。
次に、電極のカバーの構造について説明する。電極のカバーは、電極をイオンビーム照射から遮る位置にあれば良く、前記図2によって説明したように、カバー141が電極101のイオンビーム入射側に絶縁体132を介して電極101と離した位置に配置される構成がある。その他の構成としては、図14に示すように、電極101とカバー142とを絶縁層121を介して一体形成した構造としてもよい。一体型電極/カバー構造は、電極101、絶縁層121、カバー142の各層を張り合わせて形成してもよく、もしくは、適当な基板材に薄膜プロセスを用いて成膜形成してもよい。
次に、カバーを一体構造とした電極形状例について、図15および図16の概略構成斜視図によって説明する。
図15に示すように、線状に形成された電極線111上に絶縁層122を挟んでカバー層143を形成した構造、すなわち、電極線とカバーとを一体構造とすることで、電極形状のバリエーションが増える。この構造では、図16に示すように、電極102を細線で形成することができるため、電極102を被加工試料51の上方、すなわちイオンビームが入射する側に配置してもイオンビームを遮ることがほとんどなく、被加工試料51の被加工面に電極102の影が生じない。また被加工試料51の被加工面に対して鉛直方向、すなわちイオンビームが入射する領域に電極102を配置することができるため、被加工面に接する空間の電界密度が高くなるので、バリを抑制する効果を高めることができる。
次に、電極102の種々の形状例について、図16によって説明する。図16に示す本発明のイオンビーム加工装置1〔前記図1および図2参照〕に装着される電極は全て前記図15によって説明した構造の電極とカバーとを一体構造とした細線、例えば幅が1mm程度の線で形成されるものである。
図16(a)に示す電極1021は1本の直線状に形成されたものであり、被加工試料51の直径方向かつ上方(イオンビーム入射側)に配置されたものである。
図16(b)に示す電極1022は、線状に形成された電極を複数本(例えば図面では4本)を、互いに平行となるようにかつ被加工試料51の被加工面から等距離に設けたものであり、被加工試料51の上方(イオンビーム入射側)に配置されたものである。
図16(c)に示す電極1023は、線状に形成された電極を複数本(例えば図面では4本ずつ)を、互いに直交するようにかつ被加工試料51の被加工面から等距離に設けたものであり、被加工試料51の上方(イオンビーム入射側)に配置されたものである。すなわち、上記電極を含む細線が格子状に配置されたものである。
図16(d)に示す電極1024は、1本の上記電極を含む細線が環状に形成されたものであり、被加工試料51に対して平行にかつ上方(イオンビーム入射側)に配置されたものである。
図16(e)に示す電極1025は線状に形成された電極を環状にして、それを複数本(例えば図面では4本)用意し、それらを同心円状にかつ被加工試料51の被加工面に対して平行にかつ等距離となるように設けたものであり、被加工試料51の上方(イオンビーム入射側)に配置されたものである。
図16(f)に示す電極1026は線状に形成された電極を環状にして、それを複数本(例えば図面では16本)用意し、それらをマトリクス状にかつ被加工試料51の被加工面に対して平行にかつ等距離となるように設けたものであり、被加工試料51の上方(イオンビーム入射側)に配置されたものである。
図16(g)に示す電極1027は線状に形成された電極を渦巻き状に形成し、かつ被加工試料(図示せず)の被加工面に対して平行にかつ等距離となるように設けたものであり、被加工試料の上方(イオンビーム入射側)に配置されたものである。
図16(h)に示す電極1028は線状に形成された電極を折れ線状に形成し、かつ被加工試料(図示せず)の被加工面に対して平行にかつ等距離となるように設けたものであり、被加工試料の上方(イオンビーム入射側)に配置されたものである。
次に、好ましくない電極形状の一例を図17によって説明する。図17に示すように、板状の電極103には複数の孔113が設けられていて、被加工試料51の上方(イオンビームの入射側)に配置されているものである。この構成の電極103では、被加工試料51に照射されたイオンビームの多くは電極103に照射され、電極103が影になって被加工試料51表面にイオンビームが到達しなくなる。このため、イオンビーム加工にむらを生じ、高精度なイオンビーム加工が困難となる。ただし、孔径が板状電極に対して十分大きく、すなわち、孔部面積が母材残部面積より十分大きければ、これは図16(c)、(f)に示した概格子状の電極に類似のものとなり、使用可能である。
上記図16(a)〜図16(h)によって説明した各電極の構成では、イオンビームが均一に被加工試料51の被加工面に照射されるように、イオンビーム通過領域を十分に確保する形状、寸法でなければならない。通過領域の面積が小さいと、被加工試料51に電極の影ができる他、電極近傍の電界によりイオンビームが偏向、加速される危険がある。すなわち、電極が一種のグリッドになってしまう。また電子発生装置(前記図1参照)からの電子でイオンビームはある程度中和されているが、電極通過に際しては、電極とビームの間に適当な隙間が必要である。このため、電極線の幅はおおよそ1mm以下とすることが望ましく、また、電極線の密度は5本/cm2程度以下とすることが望ましい。
また、被加工面近傍に電界を発生させたことによるミリングレートへの影響は、上記実施例の範囲では生じない。すなわち、電極の存在あるいは電界の存在によるイオンビームへの影響はないと見なせる。
イオンビーム加工装置には、イオン源(イオン銃)、電子発生装置(ニュートラライザー)、被加工試料を保持するステージ等の機構の違いによって種々の形式があるが、アルゴンイオンビームを加速照射して被加工面を叩き、表面を削るという基本的作用は同じであるため、本発明は、どのような形式のイオンビーム加工装置にも適用することが可能である。また、化学的な作用を用いる反応性イオンエッチング(RIE)においても、程度の違いはあるにせよ、エッチング種(各種イオン)が運動エネルギーを持って被加工面に衝突することによる物理的エッチング(スパッタ)作用は存在し、イオンビーム加工と同様にバリの発生の問題があるため、本発明の適用が有効となる。
上記説明したように、本発明のイオンビーム加工装置およびイオンビーム加工方法では、被加工試料の被加工面近傍に負電位(もしくは0V電位)を持つ電極を配置して電極と被加工試料との間に電界を生じさせ、スパッタされた被加工試料の原子〔正(+)イオン〕の射出方向を上方(イオンビームの入射側)に偏向し、これによりスパッタ原子(粒子)のマスクおよび加工面への再付着を防止することができる。また、イオンミリングあるいは物理的なスパッタ効果を伴う反応性イオンエッチング(RIE)においても、マスク周囲に付着するバリの発生が防止されるため、(1)加工後の多層膜間のショートが抑止される、(2)マスク側面が再付着物で覆われることがないためリフトオフ性が著しく向上する、(3)バリの根元部に生じやすいレジスト残渣が解消する、(4)微小な素子においても、設計通りのコンタクトホール開口径を得ることができる、(5)マスクサイズが微細化してもバリが成長しないため、サブμm以下のオーダーの微細な形状を加工できる、(6)バリの除去のために試料面を傾けてミリングを行う必要がなく、ミリング断面のテーパーを抑制できる、等の効果が得られる。
本発明のイオンビーム加工装置およびイオンビーム加工方法は、情報通信産業における各種メモリー、演算素子、トランジスター、ストレージ機器部品(磁気ヘッド等)の作製に適用することができ、また、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)として知られる微細機構デバイスの作製などにも適用することができる。
本発明のイオンビーム加工装置およびイオンビーム加工方法に係る一実施例を示した概略構成図である。 本発明のイオンビーム加工装置の要部斜視図である。 本発明のイオンビーム加工装置の動作を説明する要部構成図である。 レジストマスクの一例を説明する斜視図である。 本発明の効果を説明するバリの高さを測定した結果を示す図である。 バリの形状を説明する概略斜視図である。 本発明の電極による電界の印加効果を説明する図である。 本発明の電極による電界の印加効果を説明する図である。 本発明の電極による電界の印加効果を説明するバリの形状を示す図である。 本発明の電極による電界の印加効果を説明する写真図面である。 ミリング深さで規格化したバリの高さと電界強度との関係図である。 本発明のイオンビーム加工装置およびイオンビーム加工方法に係る電極形状の一実施例を示す概略構成斜視図である。 本発明のイオンビーム加工装置およびイオンビーム加工方法に係る電極の配置位置の一実施例を示す概略構成図である。 本発明のイオンビーム加工装置およびイオンビーム加工方法に係る電極形状の一実施例を示す概略構成斜視図である。 電極のカバー構造に係る一実施例を示す斜視断面図である。 電極の構成の一例を示す概略斜視図である。 好ましくない電極形状の一例を示す概略斜視図である。 従来のイオンミリング加工を説明する図である。 従来のイオンミリング加工におけるリフトオフ法の問題点を説明する図である。 従来のイオンミリング加工におけるリフトオフ法の問題点を説明する図である。
符号の説明
1…イオンビーム加工装置、81…イオンビーム、101…電極

Claims (8)

  1. 真空チャンバ内でイオンビームを被加工試料に照射して被加工試料を加工するイオンビーム加工装置であって、
    電界を発生させるもので前記被加工試料に前記電界を与える電極を備え、
    前記イオンビームにてスパッタされた前記被加工試料のイオン化した原子の軌道を前記電界により前記被加工試料表面に対して前記イオンビームの入射方向に偏向して前記真空チャンバ外に排気する
    イオンビーム加工装置。
  2. 前記電極の電位は負電位もしくは0Vとする
    ことを特徴とする請求項1記載のイオンビーム加工装置。
  3. 前記電極は、前記被加工試料よりも上方、前記被加工試料の側方もしくは前記被加工試料よりも下方に配置される
    ことを特徴とする請求項1記載のイオンビーム加工装置。
  4. 前記電極の前記イオンビームの入射側に前記電極との絶縁が保たれたカバーが配置される
    ことを特徴とする請求項1記載のイオンビーム加工装置。
  5. 真空チャンバ内でイオンビームを被加工試料に照射して被加工試料を加工するイオンビーム加工方法であって、
    前記イオンビーム加工の際、前記被加工試料に電界を存在させ
    前記イオンビーム加工にてスパッタされた前記被加工試料のイオン化した原子の軌道を前記電界により前記被加工試料表面に対して前記イオンビームの入射方向に偏向して前記真空チャンバ外に排気する
    イオンビーム加工方法。
  6. 前記被加工試料に電界を存在させる手段は、電界を発生させるもので前記被加工試料に前記電界を与える電極による
    ことを特徴とする請求項5記載のイオンビーム加工方法。
  7. 前記電極の電位は負電位もしくは0Vとする
    ことを特徴とする請求項6記載のイオンビーム加工方法。
  8. 前記電極の電位を負電位とした場合、前記イオンビームの入射側に、前記電極との絶縁が保たれたカバーを配置する
    ことを特徴とする請求項6記載のイオンビーム加工方法。
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