JP4311940B2 - 澱粉粒の非凝集体化および均一分散プロセス - Google Patents

澱粉粒の非凝集体化および均一分散プロセス Download PDF

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Description

本発明はせん断、キャビテーション、および衝撃を与えるミクロ流動化装置のごとき機器を用いて部分処理した穀物および非穀類野菜種子の水性スラリー中の澱粉−蛋白質アグロメレートを、高圧のもと、物理的に破壊する効率的「中性型」の方法に関する。本発明の条件下における非凝集体化は高純度および品質の澱粉および蛋白質の単離を容易にし、新規蛋白質−澱粉コンビネーションの回収を可能にする。さらに、本発明は本プロセスによって取得される澱粉および蛋白質製品に関する。
米のごとき穀物を原料とする澱粉商業生産は米国では限られた規模で実施されてきた。米澱粉の商業生産はホーガンが記述している(1967、澱粉:化学と技術、ホイスラー他(編)。アカデミック・プレス、フロリダ州オーランド、の中、65頁)。1960年代以来このプロセスに大きな変化はみられていない、例えば、米の湿式粉砕プロセスは本質的には何十年間も同じである。そのプロセスは破砕した米を室温ないし摂氏50度で24時間苛性ソーダ0.3 - 0.5%溶液に浸漬することからなる。浸漬した米を挽砕くか、または湿式粉砕する。次いで澱粉懸濁液をさらに10-24時間貯蔵し、遠心分離して澱粉を回収し、さらに水洗して乾燥せしめる。蛋白質の等電pH(6.4)まで酸で中和して蛋白質を抽出、回収する。放置して沈殿させた後フィルタープレスまたは遠心分離により回収する(カガンパン他、1966.Cereal Chem.43:145 )。米澱粉および米蛋白質のこの分離プロセスは熟知されまた実施されてきたが、幾つかの欠点がこの種形式のプロセスに関連して判明している。それらの欠点とは、苛性ソーダが蛋白質成分を分解して苦味を生じうる小型のペプチドを生成し人間の消費に不適当な製品を導くこと、これらのプロセスは水-、エネルギー-、および時間集約的であるため発生する廃水の必要な処理にコストが嵩むこと、さらに、アルカリの使用とそれに伴う塩の廃棄処理が環境問題であることである。
米澱粉と蛋白質分離についてはその他多数の実験室的方法が用いられてきた(ホーガン、J. T. ;ジュリアーノ、B. O.1984. 澱粉:化学と技術、2販、ホイスラー他(編)。アカデミック・プレス、フロリダ州オーランド、の中、507-525頁)。さらに、米澱粉と蛋白質は乳化剤を使用しても分離され得る( クン他1987、J. Chinese Agri. Chem. Soc.25:299-307)。最近ではさらに、バルチュ他が湿潤または乾燥条件下で細かく砕き、pH9の水溶液中に浸たし、この浸漬前または浸漬中に酵素を添加し、次いで浸漬中または浸漬後にホモジェナイズすることを含む米澱粉および蛋白質の回収方法を記載している(DE4428933、02/22、1996)。このホモジェナイズは不定圧力条件下の超音波装置、ミクロキャビテーション粉砕装置、コロイドミル、で実施するか、あるいは排水ポンプと組合わせた選別を含む手順により実施する。
トウモロコシおよびその他の穀物産品からの澱粉および蛋白質の単離に関する幾つかの手法が特許文献で公開されているがいずれもある種の欠点と大きく関わっている。単離技術の大半がトウモロコシの湿式粉砕および蛋白質画分抽出に対し化学品を使用することに関係している。カンペン(US特許5410021、04/25、1995)およびハスター他(US特許4416701、11/22、1983)の2件の特許プロセスでは澱粉−蛋白質マトリックス分解の物理的側面を取上げている。
カンペンは湿式アトリッション・ミルによる蛋白質澱粉の機械的破壊プロセスを記載している。穀物粒、特にトウモロコシ、を澱粉と蛋白質の間の結合破壊を齎すに十分な細かさ、および手付かずの澱粉粒子としての実質上すべてを保持するに十分な大きさである粒子サイズに粉砕する。次いで蛋白質をエタノールとアルカリ溶剤で抽出し、蛋白質および/または単離蛋白質の形に分離、乾燥する。この特許に記載されたアトリッション・ミルは高速回転する1個と固定した1個の合計2個のカーボランダム製デイスクからなる。粒子サイズに縮少はこの2個のデイスクの間隔に限定される。それ故に、この間隔を一旦最大粒の粒径以上に設定すれば蛋白質マトリックス中になお固定されているそれより細かい粒の分離は生じない。この手付かずの澱粉粒を製造するプロセスは蛋白質の化学抽出に依存している。
ハスター他の記載はスプリッター・ヘッドあるいは分解弁を備えた高圧装置内での湿式浸漬原料粉砕プロセスである。このプロセスと先行技術との違いは浸漬プロセスを低圧(145-218 psi)で実施しその際浸漬時間を3時間以下に大きく短縮し、その後浸漬原料をスプリッター・ヘッドあるいは分解弁を備えた高圧装置内で1450 psiの最適圧におくことにある。原料を小さいスリットに通すことから生ずる圧損が加速と著しい衝撃および機械的歪を加えるのである。澱粉粒と蛋白質マトリックス間の形態的構造破壊には少なくとも145 psiの圧力および1450 psiの最適圧が勧告されている。
さらに、トウモロコシの場合、完全分解にはスプリッター・ヘッドの使用に対して多数回通過が必要である。
グループ(ミューザー他、1986 現状欧州の穀類/食料科学に関する第1回欧州会議、285-299頁;ミューザー他、1985 穀類淡水化物研究の新しいアプローチ、ヒル他編、エルセヴィル・サイエンス・パブリッシャーズ、アムステルダム、オランダ、161-180頁)によるその後の研究が公開するのは、トウモロコシおよび他の穀物および野菜に対してスプリッター・ヘッド装置内の高圧(1450 psi)処理に先立ち、時にSO2の存在下で、常圧で12時間または218 psiで4時間の浸漬時間が必要であること、および分解弁多数回通過後における粒径分布変化、である。分解弁の最初の通過では多くの粒子が28-160μm範囲に濃縮され、第2回目の通過によって画分の8%が>63μmとなり、さらに4回目の通過後の粒子は手付かずの粒子から完全に構造分解したものまで各種の分解段階にあることが認められた。さらに、低圧ホモジェナイズを利用するこの技術は粒サイズが細かくそのうえ澱粉−蛋白質マトリックスの化学が多様であるが故に米澱粉製造には不適当と考えられる。
米製品は多くの分野、とりわけ食品成分として使用されている。米澱粉のその他の用途では食料品のきめの改良、冷凍‐解凍の安定性維持、および水分保持の改良に対し有用である。米澱粉は食品中の脂肪およびカロリー含有量を軽減する擬似脂肪として使用される。米製品は消化性とグルテンが存在しないので幼児食調製に利用される。未分解型の米蛋白質は低アレルギー性であり同時に栄養価値が高い。微細粉末なので米澱粉には、化粧用パウダー、クリーニング用硬化剤、紙および写真紙パウダー、糖衣、製菓、および医薬錠剤用賦形剤のごとき用途を含む他の適用がある。
米またはある種の野菜の粒から回収した澱粉の品質は残留蛋白質、澱粉‐澱粉および澱粉−蛋白質アグロメレート、低澱粉損傷率によって定まる。例えば、擬似脂肪として最高性能を示す米澱粉では、澱粉は専ら個別粒子の形で存在する必要がある。例えば、化学品と接触させずまた苦味を出さずに米澱粉から米蛋白質を分離し得る物理的米粉分離プロセスが開発できるなら、2番目の付加価値製品が存在することになり生産プロセス経済は総合的に改善されるはずである。合理的に価格設定された「オール・ナチュラル」米澱粉および米蛋白質商業生産プロセス開発の成功は米の新たな産業と新たな市場の開発を可能にするものである。
DE4428933, Feb 22, 1996 U.S. Patent 5,410,021, Apr 25, 1995 U.S. Patent 4,416,701, Nov 22, 1983 1967. In Starch: Chemistry and Technology, Whistler et al. (Eds.). Academic Press Orlando,FL,p.65 Cagampang, et al. 1966. Cereal Chem. 43: 145 Hogan, J. T., supra; Juliano, B.O. 1984. In Starch: Chemistry and Technology, 2nd Edition, Whistler et al.(Eds.). Academic Press, Orlando, FL, pp.507-525 Kung et al. 1987. J. Chinese Agri. Chem. Soc. 25:299-307 Meuser et al. 1986. Cereals in a European Context/First Eur. Conf. On Food Sci., pages 285-299; Meuser et al. 1985. New Approaches to Research on Cereal Carbohydrates, Hill et al., Eds. Elsevier Science Publishers, Amsterdam, The Netherlands, Pages 161-180
我々は、粉砕種子から澱粉−蛋白質および澱粉−澱粉アグロメレートの分散粒子を含有する澱粉質粉末スラリーを高圧処理して非凝集体化澱粉および蛋白質を取得できることを見出した。生成する非凝集体化原料は基本的に個別で手付かずの澱粉粒と蛋白質であり液体マトリックス中に均一に分散している。非凝集体化原料のこの実質的に純粋な状態は、その後の処理によって高純度、改良品質、そして他の方法によって製造された画分と比較して一層優れた市場価値を産み出し得るごときものなのである。
本発明に従い、本発明の一つの目的は部分処理した穀物および野菜の新規高圧処理プロセスを提供することである。澱粉および蛋白質の非凝集体化を齎し、しかもなお澱粉および蛋白質両成分の全体と品質が維持確保されているプロセスである。本発明の今一つの目的は澱粉スラリーを高圧処理する方法の提供であり、その方法ではアグロメレート粒子を含む澱粉は非凝集体化され、さらに非凝集体化で生じた個々の澱粉粒および蛋白質が液体マトリックス中で均一に分散している。とりわけ非凝集体化操作が齎す生成物は液状で、微粉への乾燥、あるいはさらに、例えば、澱粉および蛋白質画分回収のための密度基準または粒子サイズ分離技術のごとき分離操作に掛けて利用され得る。特に、澱粉−澱粉および澱粉−蛋白質アグロメレートを含有するコ米スラリーをミクロ流動化装置で処理し液体マトリックス中に均一に分散した非凝集体化米澱粉粒および米蛋白質を製造する方法を提供する。
本発明の実施形態ではもち種または非もち種の米を処理して米澱粉および蛋白質を製造する。
本発明のその他の目的および効果は以下の説明によって明らかである。
発明の詳細な説明
澱粉含有アグロメレートを「ミクロ流動化装置」で処理して非凝集体化と個々の澱粉粒および蛋白質の均一分散を取得する。本発明のプロセスの実施にたいする好ましい装置はUS特許Nos.4533254('254 特許)および4908154に記載され、その全体の開示は本発明に引用されている。とくに好ましいミクロ流動化装置はマイクロフリュイデイックス・コーポレーション、マサチューセッツ州ニュートンがMicrofluidizer(R)の名のもとに製造する'254 特許製品、図1である。Microfluidizer(R)は粒子破壊を高圧下の分子間衝突に依存する装置である。2000 psiから30,000 psiが代表的流体圧力であるが生産サイズによってはミクロ流動化装置は40,000 psi までの処理圧力が可能である。なお、計量法で規定する単位 1 MPaは145 psiに相当する。
一言で言えば、Microfluidizer(R)は水性スラリーを相互作用室に送込む1台の高圧ポンプからなる。高圧液流が相互作用室に押出されるとき、液流は予め定められた直径の入り口を通って相互作用室に入り、結果的にスラリーが入り口を通ることで圧力増加状態が形成される。次いで、液流は分流器で少なくとも2個の層流に分離される。それぞれの流れ、したがって生成物は相互作用室ブロックの水路内に圧入され、水路壁に沿うせん断力が液流に働く。水路はそれぞれに層流となって、始めは相互に離れ次に相互に向かう設計がとられている。流れは収斂し、2個の水路のそれよりも相対的に大きい断面積と容積をもつ空間内で高圧により相互に衝撃を及ぼし合う。この断面積と容積の急激な変化が齎す十分な圧力減少が蒸発と液流中のキャビテーションを発生せしめる。短時間に激しく発生する蒸気泡の生成と崩壊が強度のキャビテーション応力を導く。2個の対向する高圧高速の液流間の粒子−粒子衝突が押込みとなって単一の流れに改質される。液体スラリー流の衝突は必然的に流れの中の粒子間衝突を巻込む。粒子(アグロメレート)は他の粒子(アグロメレート)に衝突し、いかなる固体アグロメレートも非凝集体化される。上述したせん断、キャビテーション、および衝撃力が相互作用室内で発生し、液流に作用して粒子のサイズ減少と均一分布が達成される。この技術における精しいメカニズムおよび総合結果に及ぼす応力(せん断、キャビテーション、および衝撃)それぞれの寄与は明確にされてはいないが、例えば、圧力、室の設計、および室数、流れ、および圧力ポンプの変更によりそれら応力の影響を制御することが可能である。Microfluidizer(R)の設計や運転操作の変更方法は本技術の当業者にはよく知られている。従って、「ミクロ流動化」および「ミクロ流動化する」という用語はここでは少なくともせん断、キャビテーション、および衝撃、特に少なくとも2種のアグロメレート液流が高圧高速で衝突するとき両アグロメレート間に生じしかも微細粒子化した懸濁固体が流体のように行動せしめるがごとき衝撃を含むプロセスを意味することで使用される;用語「ミクロ流動化装置」はここでは「ミクロ流動化」を目的に「ミクロ流動化する」ために利用される装置を意味する。用語Microfluidizer(R)はマイクロフリュイデイックス・コーポレーション、マサチューセッツ州ニュートンが製造するミクロ流動化装置のことである。
高圧下で非凝集体化/分散する方法にMicrofluidizer(R)を利用することが望ましい。しかしながら、別の設計による他形式の装置も利用できる。それらの装置は単独またはMicrofluidizer(R)の場合のごとくせん断、衝撃、およびキャビテーションの応力との組合わせによりしかも同じ結果、すなわち澱粉損傷が最少および液体マトリックス内に個々の澱粉粒と蛋白質が均一に分散する澱粉−蛋白質アグロメレートの非凝集体化を達成する装置である。さらにミクロ流動化は、ラニー高圧ホモジェナイザー(APVコーポレーション、マサチューセッツ州ウイルミントン)またはローター−ステーター・ホモジェナイザー(シルヴァーソン、L4R)のごとき本発明が要求する温度と圧力のもとで操作し得るある種のホモジェナイズ装置内にても実施できると考えられる。ミクロ流動化は代表的操作圧が約3,000から30,000 psiまでの高圧ホモジェナイザーにおいても都合よく実施できる。そのようなプロセスの実施では圧力範囲が約9,000から15,000 psiが好まれる。生成物は液体マトリックス中の蛋白質および別々の澱粉粒からなる。高圧ホモジェナイズに加えて、高せん断、ハイドロシアー・ミキサー、超音波ミキサー、コロイド・ミル、ミキサー・ホモジェナイザー、超音波処理、高せん断インペラ、細胞破壊器、および水ジェットのごとき、単独あるいは高圧ホモジェナイズ装置との組合わせ使用により高せん断を及ぼすプロセスは、その利用が澱粉含有粒子の非凝集体化と「ミクロ流動化」による結果のごとき個々の澱粉粒および蛋白質の液体マトリックス内均一分散を生ぜしめる限度内において本発明に包含される。
上述の諸特許に記載あるごとくミクロ流動化装置の水性懸濁液循環は凝集体化粒子サイズの一層の減少および/またはあるサイズ範囲にする、すなわち、所要程度の非凝集体化が達成されるまで実施する。効率と能力はミクロ流動化装置の設計を調整、例えば、相互に作用し合う流れの数を増やすか室の形式や数を変化させて利用することにより制御できる。
ミクロ流動化装置室の多くはY-またはZ-型室に分類される。Z-室は一般的に1または複数のY-室の下流に位置する;Z-型室は背圧を与えY-室の最適機能を確保する。加工米から得られた予備結果は米粉スラリーをZ-室においてのみ処理した場合、恐らくスラリーが堅いステンレス鋼壁に衝突することが原因となる米損傷が増加する点を示した。澱粉が損傷すると、低分子量澱粉鎖はせん断により遊離し、次でランダムに分散し、瞬間的に可溶化した。それゆえに、増大する澱粉損傷は澱粉溶解性の増加と相関する。分解弁をもつ圧力降下ホモジェナイザーを用いるとき同様の損傷が予想される。反対に、Y-室では、異なる速度で運動する2個の米スラリー流が相互に衝撃を与え合う。2個の流れの衝突で生ずる粒子‐粒子衝撃が所要の非凝集体化を齎し澱粉損傷は最少になる。この理由から主反応室にはY配置が望ましい。
室を結合するときは各追加室に関係する圧力降下が存在するので圧力を増大せねばならない。所期成果を得るべき正確な条件の選定は本技術の実施範囲に属する1形態である。
澱粉からの徹底した蛋白質分離を確保するには、澱粉‐蛋白質アグロメレートが非凝集体化され、生成する非凝集体化成分は相互に分離していなければならない。非凝集体化した澱粉粒子(澱粉‐澱粉および澱粉‐蛋白質アグロメレート)のすべて、または実質的にすべてが個々の澱粉粒サイズ、すなわち分離している澱粉粒サイズに戻されねばならない。ここで、澱粉粒子の「サイズ」とは通常「水和」澱粉粒子のサイズを意味する。プロセスや分離が水性スラリー中で発生するのでサイズ測定は澱粉粒子が水和したときに行う。選択したサイズは個々の澱粉粒の大部分を包含すべきである。米を使用例にとると、水和米の平均粒径は5ミクロンであるが、米からの個々の澱粉粒のサイズの実際は約1ミクロンから約12ミクロンの間にある。処理する穀物により、アグロメレートは澱粉および蛋白質に加えこれ以外の他の成分、例えば澱粉/蛋白質/繊維または澱粉/蛋白質/油分を包含する。ここで使用している通り、用語「単離澱粉」または「単離蛋白質」は他の穀物成分から分離された澱粉ないし蛋白質を意味することを意図している。
粒子サイズ減少が不完全あるいは粒子サイズ範囲が本来の正規分布パターンに従って現れない場合、澱粉‐蛋白質アグロメレートは遠心分離後も澱粉画分中に留まり得て澱粉の蛋白質濃度を増加させる。このような状況では、洗浄回数がいかほどであっても、澱粉画分の蛋白質濃度はすべての非凝集体化蛋白質を除去したときの水準にまでは決して減少しない。完全な蛋白質分離を達成し従って純粋な澱粉製品を取得するには完全な粒子サイズ減少を生じせしめることが極めて重要である。さらに、手付かずの澱粉粒の市場価値が一層高いことからして澱粉粒の損傷は最少にせねばならない。本発明の非凝集体化手順が齎す製品は本質的に液体マトリックス中にある個々の澱粉粒と蛋白質である。しかしまた本発明の方法が個々の澱粉粒生成を必要としない完全処理、例えば、澱粉損傷減少という利点は望ましいが澱粉と蛋白質の最適分離は必要としない状況下でも使用可能であることに注目すべきである。
ミクロ流動化装置の非凝集体化と分散プロセスを最も効率よく達成させるには、原料(穀物粒、スムースピー、あるいは豆類)の澱粉含有粒子を最初に部分処理せねばならない。ここで、「部分処理」とは、当初の粒子サイズを物理的/機械的予備処理によってミクロ流動化装置に適合するサイズ、例えばあるメッシュ、にまで減少せしめられた原料のことである。最初のサイズ減少プロセスでは乾式磨砕装置および/または湿式磨砕機が利用できる。澱粉水和とミクロ流動化装置に適合する流れの創出という両目的のため、水、または他の水性媒体を添加する。粉砕ステップは穀物ないし穀物粉末の粒子を流動が維持され得る点、通常は実際上どの粒子もすべて約250ミクロンを超えないときに生ずるその点、まで粉砕することからなる。粒子サイズは120メッシュあるいは約125ミクロンまたはそれ以下であることが望ましい。例えば、80メッシュの予備選別で得られる大きいサイズの粒子はミクロ流動化装置を詰まらせ得るが、250ミクロン程度の大粒子は圧力を高めてミクロ流動化装置を押し通すことができる。
「部分処理」には「先行技術の説明」の節に記載した諸プロセスが必要とするごとき予備処理手順、すなわち、蛋白質画分を抽出するためのエタノールまたはアルカリ溶剤のごとき化学品による;酵素による;酵素消化あるいは構造の破砕を容易にするためのpH上昇用アルカリによる;あるいは同様に、pH調整または消化や破砕を容易にするための酸またはSO2による予備処理のごときは含まれない。本質的に「ナチュラル・プロセス」と記載し得る本新規プロセスの実現に化学処理は不必要である。非化学処理原料が好まれるとは言っても本法では化学的ないし酵素的に前処理した原料の使用を除外はしない。そのような原料は、「ナチュラル・プロセッシング」を必要としない状況下で使用できる。例えば、蛋白質の品質が第1目標ではないがこの「ミクロ流動化」プロセスの特殊な利点を有用とする場合、例えば、澱粉アグロメレートのサイズを澱粉損傷を最少にして本質的に個々の澱粉粒サイズにまで減少せしめる場合である。
図2はミクロ流動化に先立ってもち種および非もち種米に使用し得る別の前処理を例示する。記載のごとくプロセスは湿式粉砕プロセス(左)または乾式粉砕プロセス(右)のいずれでもよい。乾式プロセスの実施では最初ピン・ミルまたは他の粉砕機で予め定めた粒子サイズにまで全米を減少させ、生成する米粉を水で水和させてミクロ流動化装置に適合する流れを創出させる。湿式プロセスの実施では、全米または破砕米の原料を水和させた後ミクロ流動化装置に適合する流れを確保し得る粒子サイズになるまで粉砕ミルを通す。
前記の方法は米粉およびトウモロコシ、オート麦、ソルガム、大麦、小麦、ライ麦、キビのごとき他の穀物ならびにスムースピーおよび大豆、インゲンマメ、ヒヨコマメ、ブラックビーンのごときある種の豆類や野菜種子粉末を含む粉砕種子を原料とする澱粉質粉の加工に利用できる。本法の非凝集体化に対し当業者が容易に判断し得るごとく他の穀物も適している。
ミクロ流動化に続き、非凝集体化原料はその水性液体の形で使用されるかまたは密度基準分離工程にかけて精製蛋白質を分離するかあるいはまた蛋白質被覆澱粉粒を生ずる乾燥工程にかけ得る。当業技術の一つではある状況下でミクロ流動化と密度基準分離工程の間に今一つのサイズ分離段階を含ませることを選んでいる。そうした状況ではオーバーサイズまたはアンダーサイズの粒子を篩別、遠心分離、ハイドロサイクロン処理、および/または圧力選別のごときサイズ‐分離技術によって除去し得る。
ミクロ流動化の結果得られた非凝集体化は澱粉と蛋白質の一層良好な密度基準分離を導く。ミクロ流動化装置の使用が個々の澱粉粒に戻った非凝集体化澱粉の回収を齎す。ミクロ流動化後に回収した澱粉成品はもはや蛋白質とのアグロメレートではない;従って、遠心分離/分離操作の後の澱粉成品は本来的に澱粉である。澱粉成品中に存在する蛋白質量は低い(例えば、出発原料中よりも有意に低く、先行技術で用いられる通常化学品や酵素を使用しない場合また分離が商業生産において日常使用されているハイドロサイクロンのごとき装置によってさらに向上され得るこの種の「天然処理」に対しても低い)。分離後に得られる澱粉は元の澱粉のペースト化特性を保持し、アミラーゼ消化の感受性あるいは走査電子顕微鏡による粒完全性の測定では、先行技術が採用する物理的または機械的破壊方法が齎す澱粉成品よりも少ない澱粉損傷を示している。
本プロセスで取得した蛋白質は苦味を持たない、すなわち、酵素および化学品処理に関わる苦味が存在しない。従って、本プロセスで発生した蛋白質は人間の消費に適する。さらに、この蛋白質製品は同一出発原料を先行技術が採用する物理的または機械的破壊方法を使用する処理法による蛋白質製品に比較して高い溶解度を示す。高い溶解度をもつ蛋白質製品はそれゆえ飲料に利用され得る。この2番目の付加価値製品の存在が生産プロセスの総合経済を向上させ、例えば合理的価格の「すべて天然」澱粉および蛋白質の製造を可能とするのである。
別の実施例では、非凝集体化した澱粉粒およびマトリックス中に均一分散したた蛋白質からなるミクロ流動化、非凝集体化した原料を乾燥噴霧にかけ高品質の澱粉/蛋白質製品、蛋白質被覆澱粉粒を導く。ここで、用語「被覆」および「被覆した」は澱粉粒の連続または不連続被覆のいずれか一方を形成する蛋白質を包含する。蛋白質被覆澱粉の創製には、噴霧乾燥に加え、その他形式の乾燥機、例えばトンネル乾燥機、フラッシュ乾燥機、リング乾燥機、およびマルチローター・セル・ミル/ドライヤーを利用できる。さらに、蛋白質被覆澱粉は追加蛋白質または噴霧乾燥工程前の他成分の強化のごとき蛋白質被覆澱粉中の蛋白質および澱粉の量に関し変化し得る。
実施例
以下の実施例は、本発明の実施の方法およびさらなる説明に役立つ。これらに限定する意図はなく、むしろ本発明の実施方法に関する指針を提供する。
澱粉および蛋白質画分ならびに蛋白質カプセル入り澱粉の、粒子サイズ、全蛋白質、および下記する蛋白質溶解度の分析を含む物理化学的特性測定のための試験;走査電子顕微鏡(下記);澱粉損傷(AACC法76-30A)、ペースト化特性(AACC法61-02)、および水分分析(AOAC公定法925.09)を実施した。
粒子サイズ分析
クルター小容積モジュールLS230型粒子サイズ分析器で澱粉の粒子サイズ分析を実施した。澱粉1.5gを純水10mlと結合させて渦をつくらせ、計器の読みが45%PIDS(分極強度微分分散)または不明瞭さ10-14%になるまで希釈澱粉スラリーを試料入口に添加する。機器内の懸濁液には水を使用した。水和米澱粉の最大粒サイズは10ミクロンであるので、完全アグロメレート崩壊の達成程度を示すサイズ10ミクロン以下の粒子のパーセントとして与えられる。
蛋白質分析
3画分:上澄液、蛋白質画分、および澱粉画分について、LECO蛋白質分析器(型式FP-2000、レコ・コーポレーション、ミネソタ州セント・ジョセフ)で実施した。計器の校正には同社の勧告するプロトコールに従ってグリセリンを用いた。蛋白質%は窒素%の値を5.95倍した。
蛋白質溶解度分析
蛋白質の溶解度はpH 3,4,5,6,7,8および10において水25ml中に蛋白質0.05g
を溶解して測定した。懸濁液を15分間磁気攪拌し、次いで14,237gで遠心分離した(ソーヴァルRC-5Cプラス、SLA-ロータ、デユポン、マサチューセッツ州ニュートン)。 上澄液をワットマン#4濾紙で濾過し、濾液についてバイオ‐ラッドDC蛋白質分析キット(バイオ‐ラッド・ラボラトリーズ、カリフォルニア州ハーキュリーズ)を用いて全蛋白質を分析した。
走査電子顕微鏡
日立S-510型により走査電子顕微鏡(SEM)検査を実行した。澱粉試料を真空炉(AOAC公定法925.09)で乾燥した。スタブ上に両面テープを置き、試料中にスタブを浸漬し1回軽く叩いてゆるい澱粉粒を除去する。試料をハンマーIIスパッター・コーターに置き20-30 nmの金/パラジユームで被覆し、SEMで検査した。
セージVフーズ、テキサス州フリーポートのもち種および非もち種米粉(それぞれRF-W1120およびRF-LO120)および全米を120メッシュ粉に粉砕しミクロ流動化装置に入る一貫した流れを維持した。
110-T型Microfluidizer(R)(MFICコーポレーション、マサチューセッツ州ニュートン)を水で平衡化した。Microfluidizer(R)にはF20YおよびH230Zの2室がある。
もち種および非もち種の濃度22%、32%、および36%(wgt/vol)の水スラリーを14,500 psiでMicrofluidizer(R)を2回通過せしめ、通過の度に試料を採取してその後の分析にかけた。ミクロ流動化の後、米スラリーを氷冷冷却コイルを通過せしめてミクロ流動化中に得たすべての熱を除去した。
平均粒子サイズが10ミクロン以下に減少するまでまたはすべてのアグロメレートが分解するまでスラリーをミクロ流動化ホモジェナイザーを通してリサイクルされる。生じた非凝集体化の程度はミクロ流動化における圧力と速度ならびに選択した米澱粉スラリー濃度の関数である。
澱粉タイプ、澱粉濃度、およびミクロ流動化装置を通過する米粉の回数が澱粉損傷と粒子サイズにおよぼす影響を定量した(表1)。完全な非凝集体化の程度は上述の方法による粒子サイズ分析から定量した。予備試験から澱粉‐蛋白質アグロメレートが完全に破壊された場合すべての粒子が10ミクロン以下であることが判明している。米では、個々の澱粉粒サイズの範囲が処理する米品種によって変化する。それゆえに、投入サイズまたは目標サイズに対し与えられた「最大サイズ」、例えばここでは「<10ミクロン」、は米品種により変化する。米の品種と物理性(例えば、サイズ)はジュリアーノ(前記)が討議している。
<20ミクロンの値はすべての既知品種を包含する;しかしながら、将来の改良品種ではさらに大きい個々の粒子サイズが含まれるかもしれない。
澱粉損傷はAACC法76-30Aにより定量した。簡単に言えば、試料をアルファ‐アミラーセで処理する。試料中に認めた消化量を比較したものを澱粉損傷の指標とする。損傷した澱粉は損傷していない澱粉に比較して一層容易く損傷を受ける。
Figure 0004311940
澱粉‐蛋白質アグロメレート(米粉)の分散粒子を含む米スラリーを高圧ミクロ流動化にかけると1ないし2回通過で完全に非凝集体化する。もち種米粉スラリーをミクロ流動化装置に2回通過させると、すべての濃度について98%またはそれ以上の粒子サイズ減少(少なくとも粒子の98%がサイズを減少)した。非もち種米粉の場合2回目のミクロ流動化装置通過が22%および32%スラリーに対して99%以上の崩壊を達成せしめた。しかし、36%スラリーの2回通過では96%の澱粉‐蛋白質アグロメレートが崩壊したに過ぎなかった。このことはミクロ流動化装置における非もち種米澱粉の非凝集体化について32-36%の範囲に上限濃度が存在することを示唆している。同一濃度においてもち種米粉にはこの現象が認められなかった。この違いの原因は恐らくもし種米がはるかに軟質であるためであろう。36%もち種米粉スラリーと36%非もち種米粉スラリー間の差は1回目のミクロ流動化装置通過後にみられる。36%もち種米粉スラリーでは最高93%の澱粉‐蛋白質アグロメレート崩壊が得られたが、一方36%非もち種米粉スラリーの場合は澱粉‐蛋白質アグロメレート崩壊が僅かに88%しか達成されなかった。
スラリー中のもち種米粉濃度の増大に伴って澱粉損傷も増加する(図1)が、損傷した澱粉量はなお低いとみなされる。2回通過後に認められた最高損傷パーセントは6.8%であった;大部分の値は5-6%に近いものであった。入手可能な市販もち種および非もち種で認められたそれぞれ7.93%および8.2%の澱粉損傷よりもミクロ流動化装置の澱粉損傷は少なかった。
ミクロ流動化装置からの米スラリー試料を遠心分離管(250ml)に採取した。もち種および非もち種米粉を各種濃度でミクロ流動化装置を2回通過させ、ミクロ流動化処理した試料を14,237gで10分間遠心分離した(ソーヴァルRC-5Cプラス、SLA-ロータ、デユポン、マサチューセッツ州ニュートン)。遠心分離によりミクロ流動化処理した米スラリーは異なる3層、すなわち、上澄液、澱粉、および蛋白質に分離された。上澄液および蛋白質の両層を分かれた容器に入れ冷凍乾燥(ラブコンコ、79480型、ラブコンコ、ミズーリ州カンサスシテイ)まで 摂氏-40度で冷凍貯蔵した。澱粉画分は再度水懸濁液にして遠心分離した。再懸濁/遠心分離プロセスを反復した。各遠心分離からの上澄液を個別に冷凍乾燥した。遠心分離からの蛋白質をすべて纏め、その上で冷凍乾燥した。最後の遠心分離およびかき取りの後澱粉を熱風対流炉内で摂氏50度、24hr乾燥した。
各相の乾燥固体回収パーセントおよび各画分中の蛋白質パーセントを表2に示す。市販入手可能な純粋の澱粉は蛋白質0.0-1.0%を含んでいる。しかしながら、実験室では、分級/分離と洗浄がノズル円盤遠心分離とそれに続くハイドロサイクロンで行う商業規模が達成するほど効率良く実施され得ない。上記原料に商業タイプの分離と洗浄技術を適用することで澱粉純度は市販入手可能澱粉のものにまで到達し得る。
Figure 0004311940
プロセスの経済化には、回収澱粉量、特に蛋白質汚染澱粉が最小であることが非常に重要である。高スラリー濃度では澱粉の70%以上が回収できる。最適処理濃度の選択は最少澱粉損傷、澱粉洗浄中での最少損失、および完全非凝集体化の最も純粋な澱粉製品を取得するための分離の容易さの他、回収に基づいている。
一般に、澱粉画分中の蛋白質パーセントはすべての処理に対して1回通過に比較して2回通過の方が低い(表2)。とりわけ、32%濃度の非もち種米澱粉画分2回通過が他の濃度(22%および36%)に比べて低い。もち種米澱粉の場合、32%と36%の濃度はともに同様の結果を与えている。これらの澱粉の一層低い蛋白質水準にたいする理由は、完全な粒子サイズ減少がもち種米粉2回通過のすべて(22%、32%および36%)において生じているからである(表1)。完全な粒子サイズ減少、すなわち、完全な非凝集体化が澱粉からの蛋白質の徹底した分離を確保する。すべての通過1および36%非もち種米粉スラリーで例示のごとく不完全粒子サイズ減少が生ずるときは、澱粉‐蛋白質アグロメレートが遠心分離後の澱粉画分中に残り澱粉の蛋白質濃度を増加させる。洗浄回数が如何様であれ澱粉画分の蛋白質濃度は決して減少しない。それ故に蛋白質からの完全分離、従って純粋澱粉製品の達成には完全粒子サイズ減少が生ずることが極めて重要なのである。3種の上澄液画分の蛋白質および澱粉含有量も定量した。両澱粉タイプのすべての濃度からの上澄液#1、#2、および#3中の蛋白質パーセントは約2%から約6%の範囲であった;また上澄液#1、#2、および#3中の固体パーセントはそれぞれ約4-10%、<1- 5%、および全部<1%、であった(データ提示なし)。
表2の蛋白質画分の蛋白質溶解度を上記に則り測定した。非もち種およびもち種米粉からの蛋白質の溶解度は両方とも濃度増加とともに増加した(図3および図4)。しかしながら、もち種粉からの蛋白質の溶解度はいずれの濃度でも通過回数を増やすと減少した(図4)。それゆえ、もち種米粉スラリーは固体濃度をより低くしかつ通過回数を増やすことに関連した溶解度損失を回避するにはできるだけ高濃度でミクロ流動化される必要がある。もち種蛋白質は高せん断に対し鋭敏のようである;このことはもち種米蛋白質のもつ一層低低い変性温度によると思われる。非もち種粉からの蛋白質の溶解度は、通過回数に関連した変化のない22%濃度の例外(図3)はあるものの、通過回数の増加および米粉スラリー濃度の増加とともに増加した。これは恐らく濃度によるせん断増加によるものと考えられる。
澱粉粒を上記のごとく走査電子顕微鏡で検査した。電子顕微鏡写真に見られる通り澱粉粒は無傷であった。どの処理グループにおいても差は認められなかった(データ提示なし)。
澱粉のペースト化特性は工業的利用において重要である。表2の単離澱粉画分のペースト化特性の測定はAACC法61-02に従った。ピーク粘度は澱粉損傷および調理特性と関連している。高澱粉損傷はより一層容易く調理でき、澱粉−蛋白質アグロメレートの低澱粉損傷および不完全分解が調理をより一層困難にしている。
もち種澱粉のピーク粘度は濃度によって変動し、特に32%固体から36%固体がそうであった(表3)。36%固体(通過2)試料はピーク粘度が最高であった。このことは多分この濃度において最高の澱粉損傷も認められた事実に起因している(表1参照)。非もち種澱粉の場合32%固体でピーク粘度はより低いが、恐らく一層低い澱粉損傷(表1)および調理をさらに困難にする澱粉−蛋白質アグロメレートの不完全分解(81%)が原因である。通過2のもち種と非もち種の両澱粉とも調理時の安定性を反映する最低分解粘度を有していた。もち種澱粉、特にもち種米澱粉に特徴的であるごとく、もち種澱粉は非もち種澱粉に比較して著しく低いセットバック粘度を有していた。
Figure 0004311940
市販入手可能澱粉とペースト粘度の結果を比較すると、ミクロ流動化装置で生産した非もち種米は高分解−およびセットバック粘度を有していた。これは選択した特定米品種に関係すると考えられる。最適ペースト化特性に対しては適切な品種の選択が必要である。
公知のごとく、もち種米澱粉は他の非もち種澱粉ないしもち種澱粉に比較して優れた冷凍−解凍能力を備えた独特の澱粉である。先に立証澄みの通り、もち種米澱粉の5%水性ペーストは冷凍−解凍20サイクル後まで離液しないが、一方もち種トウモロコシおよびソルガムの澱粉は僅か3冷凍−解凍サイクルまでしか安定だはなかった(ショッホ、T. J. 1967、澱粉:化学と技術、の中、前記)。代表的には、もち種澱粉のペースト化温度は非もち種澱粉に比較して低い(表4)。
Figure 0004311940
総合的には、ミクロ流動化処理したもち種澱粉と市販入手可能澱粉間に差は認められなかった。
ミクロ流動化処理圧力が14,500 psiの場合の上記データすべてを評価し、米粉濃度32%およびミクロ流動化処理2回が(1)澱粉損傷最少、(2)完全粒子サイズ減少、および(3)より良いペースト化特性を有する最も優れた澱粉であることを結論した。これらの条件下では70%以上の澱粉が最少量の蛋白質汚染で回収可能であった。さらに蛋白質画分の蛋白質が溶解度増加を示した。
120メッシュ米粉を原料に選びミクロ流動化装置への一貫性ある流れを確保した。もち種および非もち種粉の32%(wgt/vol)水スラリーを、F20YおよびH32Zの2室を備えたMicrofluidizer(R)を9000 psiで2回通過せしめた。各通過の試料を採取して分析した。ミクロ流動化処理後、米スラリーを氷冷冷却管を通しミクロ流動化処理中に加わったすべての熱を除去した。
蛋白質特性に及ぼすミクロ流動化圧9000 psi使用の影響を分析した。結果を表5に示す。
Figure 0004311940
9000 psiの低圧では澱粉回収に向上が認められた;しかしながら14,500 psiの高圧通過に比較して純度が低下した(表1および表2)。もち種粉では、2回通過で完全アグロメレート分解が生じた。ペースト化特性と澱粉損傷は高圧時の観察と同一であった。非もち種粉スラリーでは、不完全澱粉−蛋白質アグロメレート分解(表5)と低蛋白質溶解度(図5)がみられた。ペースト化特性は同一濃度の高圧2回通過の場合のごとき純澱粉に代表的なものではなかった(表3)。このことは、澱粉−蛋白質アグロメレートの不完全分解と澱粉中の高蛋白質によると思われる。結論は、圧力9,000 psiがもち種米粉スラリーには望ましいが、非もち種米粉スラリーでは9,000 psiでは処理の利点がなかったことである。
水中濃度32%(wgt/vol)のもち種および非もち種米粉スラリーを実施例1に記載したミクロ流動化処理を実施した。ミクロ流動化処理を受けたスラリーを入口温度摂氏200度、出口温度摂氏55度の噴霧乾燥処理をした。噴霧乾燥製品をそれ以上非凝集体化が得られなくなるまで4回のピン粉砕にかけた。走査電子顕微鏡検査(実施例6に記載)、粒子サイズ分析(実施例3に記載)、および澱粉損傷分析をこのピン粉砕したミクロ流動化処理澱粉製品について実施し非ミクロ流動化処理製品と比較した。
図6a および6eはそれぞれ120メッシュのもち種および非もち種粉の走査電子顕微鏡写真である。走査電子顕微鏡写真はミクロ流動化処理が120メッシュのもち種および非もち種粉を完全に非凝集体化して個々の澱粉粒(図6bと6f)を生成していることを示している。ミクロ流動化処理品の噴霧乾燥では、澱粉上で蛋白質が乾燥し澱粉粒を被覆し;再凝集体化が起っている(図6cと6g)。この再凝集体化した被覆粒をさらにピン・ミルを4回通して非凝集体化して蛋白質で被覆された本質的に非凝集体化した澱粉粒(図6dと6h)を生じせしめる。
非もち粉の図7a-7dおよびもち粉の図8a-8dの粒子サイズ分析に示されたごとく、澱粉はミクロ流動化処理によって完全に非凝集体化している(図7bと8b)。粒子サイズは噴霧乾燥では再凝集体化のため増大する(図7cと8c)。ピン粉砕では、蛋白質被覆澱粉粒の粒サイズが減少した(図7dと8d)。
澱粉損傷をアルファ-アミラーセ消化で測定するAACC法76-30Aを用いて測定した(表6)。
Figure 0004311940
ミクロ流動化処理およびその後のピン粉砕の結果として澱粉損傷が増加する。しかしながら、1回のピン・ミル通過当り僅かながら約1%の澱粉損傷が生ずる。衝撃ミル、ハンマー・ミル、サイクロンミルのごとき他種のミルを非凝集体化に用いて少ない澱粉損傷に留め得ることもあり得る。さらに、分級ミルも使用可能である。分級ミルの1回通過はピン・ミルの4回通過に相当し得る。分級ミルによれば最小粒子が回収され残留する大型粒子は再処理を受ける。さらに、ローター・セル・ミル/乾燥機あるいは噴霧乾燥機を使用するとき乾燥条件を変更して再凝集体化を制限ないし阻止できる。
最終的に非凝集体化した蛋白質被覆澱粉製品は本質的に高品質米蛋白質で被覆された高品質米澱粉からなる。これらの諸特性はその特に滑らかな生地と好ましい米の香気とも相俟って魅力的な食品を作り出す。
小麦粉(アメリカズ・チョイス未漂白汎用)、ライ麦粉(ホッジソンズミル全粒ストーン・グラウンド)およびトウモロコシ(パイオニア強化イエローコーン・ミール)を土地の食料品店で買い求め、これらの粉をピン・ミルを通し粒子サイズを減少せしめ、60メッシュ篩でミクロ流動化装置に適合するスラリーを取得する。米粉による既往の試験では米粉スラリー(32%固体)をF20Y/H230Z室セットを用いるM110Y Microfluidizer(R)を12,000 psiで2回通過処理したときに最適結果を示すことが判明している。篩別した小麦粉、ライ麦粉、およびトウモロコシ粉の水性スラリー(db)をそれぞれ固体濃度32%、32%および25%の濃度でつくり、完全アグロメレート分解が得られるまでMicrofluidizer(R)を通した。得られたミクロ流動化処理スラリーを遠心分離し、澱粉画分の粒子サイズ分析を実施した。ピン・ミル処理後(それぞれ図9a、10aおよび11a)およびミクロ流動化処理後(それぞれ図9b、10bおよび11b)の 小麦粉、ライ麦粉、およびトウモロコシ粉スラリー中の粒子サイズ分布を比較した。
完全アグロメレート分解を達成するためには、違った粉では当初の固体条件(25%対32%)およびMicrofluidizer(R)通過回数に関し違った処理が必要である。小麦粉スラリー(32%固体)はMicrofluidizer(R)1回通過のとき粒径は大幅に減少する(図9b)。32%固体のライ麦粉スラリーでは大幅な粒子サイズ減少に3回通過を要した(図10b)。32%固体のトウモロコシ粉スラリーではしかしながら、Microfluidizer(R)を8回通過させても完全非凝集体化には不十分であった。トウモロコシ粉スラリーの固体を25%に変更すると3回通過で著しい(94%)アグロメレート分解が得られた(図11b)。同様の不完全分解は前記表1で示したごとく36%固体の非もち種米粉につても見られた。スラリーが高パーセントで固体を含むときに見られるこのような不完全分解は、恐らく最初の通過後にスラリー粘度が増加してその後の通過時の粒子衝突速度の減少が生じたためと考えられる。今一つの可能性は、アグロメレートの硬度が完全なアグロメレート分解に要する通過回数に影響したと思われる点である。さらに、従来から公知のごとく、これらの粉が守るべき通過数は圧力増加または違った室タイプを用いれば減少せしめ得る。
実施例1‐5は実験室処理のものである。大規模のパイロット・プラント研究では、米スラリーをスウェコ・ヴィブロエナージー・ラウンド・セパレータの60メッシュ篩上にポンプ輸送してミクロ流動化装置に適合した米スラリーを得た。篩別した粉を非もち種粉では15,000 psi、もち種粉および中粒粉では10,000 psiのもと毎分約1.9 リットルの 流量で3室(J20Y/F20Y x 4/H230Z)のMicrofluidizer(R)210Bを通過させ処理した。次にミクロ流動化処理した粉を米澱粉と蛋白質に分離できるだけの十分量の原料が捕集されるまで18.93リットルのバケットに貯蔵した。ミクロ流動化処理した米スラリーを最適濃度(25%固体以下)に希釈し、すくなくとも華氏80度に平衡させ、さらにノズル円盤遠心分離機を用いて延伸分離した。アンダーフローおよびオーバーフローの試料(15 ml)を臨床用遠心分離機によって1500 x Gで遠心分離した。アンダーフローまたはオーバーフロー試料中の澱粉または蛋白質の容量が遠心分離条件を指示する。流量調節の結果として、最初の遠心分離からのオーバーフローは主として蛋白質であり、2回目の遠心分離から得たアンダーフローは主として澱粉であった。少流量は清澄な蛋白質製品を齎す;大流量ではオーバーフロー中に蛋白質をもつ若干の澱粉が生ずる。アンダーフロー(アンダーフロー1)は主に澱粉であり、再度遠心分離(アンダーフロー2)してさらなる蛋白質を分離せしめた。オーバーフロー1および2は一緒にして全蛋白質を得た。両遠心分離からの供給、アンダーフローおよびオーバーフローの試料を凍結し、冷凍乾燥した。過酸化水素を添加して最終濃度を3.75%(v/v)とし粉末スラリーを安定化せしめた。
J20Y/F20Y x 4/H230Z室をスケールアップ時に用いたとき完全粒子サイズ減少を得た。図12a、12bおよび12cはミクロ流動化処理した長、中、および短粒粉の粒子サイズ分析を示した。500ミクロンまたはそれ以下の当初製品の処理では澱粉と蛋白質の完全非凝集体化を齎した;すべての粒子が10ミクロンまたはそれ以下であった。遠心分離時に得た3種タイプの米粒の蛋白質および澱粉分析の概要を表7で示した。米粉スラリーを2回遠心分離機を通すとすべての粒の澱粉画分中の蛋白質量が少なくとも50%は減少した。いずれの粉(供給1)でも澱粉損傷は高かった;しかし、洗浄と遠心分離で損傷澱粉(アンダーフロー2)を除去した。これらの結果は市販製品で見られるものに匹敵している;市販のもち種および非もち種澱粉ではそれぞれ澱粉損傷が7.93%および8.20%であった。しかしながら、商業規模におけるミクロ流動化したスラリーの処理、すなわち、蛋白質および他の不純物を除去するその後の洗浄/精製に液体サイクロンを利用すれば蛋白質および損傷澱粉のなお低パーセントをもつ澱粉製品となろう。
Figure 0004311940
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上記で検討されたごとく、蛋白質が澱粉と一緒に存在することが有利となる幾つかの適用がある。かくして、米粉のミクロ流動化による非凝集体化後に個々の米粒を蛋白質の量を変化させながら乾燥させて蛋白質被覆澱粉の超微細粉末を生成させ得る。それ故に、ミクロ流動化したスラリーの遠心分離でできたミクロ流動化処理スラリーおよび澱粉および蛋白質製品を噴霧乾燥した。全体で約9000lbsの7種類の異なる原料を噴霧乾燥した:(1)非もち種長粒米、(2)非もち種中粒米、(3)もち種短粒米、のミクロ流動化処理スラリー、これらの3種類のミクロ流動化処理スラリーそれぞれの遠心分離で得た澱粉製品(4 - 6)、および長、中、および短粒ミクロ流動化試料の遠心分離からの蛋白質製品を一緒にした蛋白質からなる試料(7)である。高蛋白質澱粉を含むもち種および非もち種ミクロ流動化処理粉の噴霧乾燥では入口温度華氏400度および出口温度華氏200度が適当であった。 澱粉/粉の最終水分含有量は5%であった。
本明細書に記載したすべての文献および特許は、それぞれ個別の文献ないし特許として特にかつ個別に引用して組み込まれた場合と同一程度においてここに組込まれるものである。
以上記載の詳細なる説明は単なる例示のためであり、従って修正および変更が本発明の精神と目的から逸脱することなくなされ得ることは言うまでもない。
図1は本発明のプロセス実施に有用なミクロ流動化装置のフローダイアグラムである。 図2は本発明のプロセスに関連して使用する乾式−および湿式粉砕オプションを例示するフローチャートである。 図3は非もち種米粉スラリーの濃度(22%、32%または36%)およびミクロ流動化装置通過回数が蛋白質画分中に回収される蛋白質の溶解度、すなわち、pH 3 - pH 10のpH範囲で測定した溶解蛋白質量(mg/ml)に及ぼす影響を示す。プールした平均値の標準誤差は7.80 である。 図4は非もち種米粉スラリーの濃度(22%、32%または36%)およびミクロ流動化装置通過回数が蛋白質画分中に回収される蛋白質の溶解度、すなわち、pH 3 - pH 10のpH範囲で測定した溶解蛋白質量(mg/ml)に及ぼす影響を示す。プールした平均値の標準誤差は5.60 である。 図5は米粉末スラリーの米品種(もち種および非もち種)、濃度、およびミクロ流動化装置通過回数が蛋白質画分中に回収される蛋白質の溶解度、すなわち、pH 3 - pH 10のpH範囲で測定した溶解蛋白質量(mg/ml)に及ぼす影響を示す。プールした平均値の標準誤差は4.89 である。 図6a‐6hはもち種(図6a-6d)および非もち種(図6e-6h)粉の蛋白質被覆澱粉粒製造の各種段階に対応する電子顕微鏡写真を示す。図6aと6e ではミクロ流動化前の、120メッシュ製品の電子顕微鏡写真を示す。図6bと6fは 完全にミクロ流動化処理で非凝集体化した製品を採り上げもち種と非もち種粉の個々の澱粉粒をそれぞれ示した。図6cと6gはミクロ流動化処理した澱粉粒の噴霧乾燥効果を示す;蛋白質が澱粉上で乾燥し粒は再度凝集体化する。この被覆米粒アグロメレートは非凝集体化して蛋白質に被覆されたもち種(図6d)と非もち種(図6h)澱粉粒子を生成する。 図7a‐7dは蛋白質被覆澱粉粒製造の各種段階に対応する非もち種粉の粒度分析を示す。図7aは120メッシュの非もち種粉;7bは120メッシュの非もち種粉をミクロ流動化処理して得た澱粉;7cは噴霧乾燥したミクロ流動化処理非もち種粉;7dは4回ピン粉砕した噴霧乾燥非もち種粉を示す。 図8a‐8dは蛋白質被覆澱粉粒製造の各種段階に対応するもち種粉の粒度分析を示す。図8aは120メッシュのもち種粉;8bは120メッシュのもち種粉をミクロ流動化処理して得た澱粉;8cは噴霧乾燥したミクロ流動化処理もち種粉;8dは4回ピン粉砕した噴霧乾燥もち種粉を示す。 図9aと9bはピン粉砕後のコムギ粉およびミクロ流動化処理後1回通過の澱粉画分の粒度分析をそれぞれ示す。 図10aと10bはピン粉砕後のライムギ粉およびミクロ流動化処理後3回通過の澱粉画分の粒度分析をそれぞれ示す。 図11aと11bはピン粉砕後のトウモロコシ粉およびミクロ流動化処理後3回通過の澱粉画分の粒度分析をそれぞれ示す。 図12a、12bおよび12cはパイロット・プラント条件下でミクロ流動化処理した長粒(図12a)、中粒(図12b)および短粒(図12c)米粉の粒度分析を示す。

Claims (28)

  1. 澱粉質粉末処理方法において:
    a) 澱粉-蛋白質および澱粉‐澱粉アグロメレートからなる澱粉質粉末の水性スラリーを供給する;
    b) 前記スラリーをせん断、キャビテーションおよび衝撃の条件下に置く
    c) 非凝集体化した澱粉粒子および蛋白質からなるスラリーを取得する、
    ことからなる方法。
  2. 請求項1の方法において、前記せん断、キャビテーションおよび衝撃の条件がミクロ流動化によって与えられる方法。
  3. 請求項1の方法において、前記衝撃が前記スラリーの2個の流れの収斂によって与えられる方法。
  4. 請求項1の方法において、前記衝撃が粒子-粒子衝突によって与えられる方法。
  5. 請求項1の方法において、段階(b)が高圧下で実行される方法。
  6. 請求項5の方法において、前記高圧が20.7 - 206.8 MPaの範囲にある方法。
  7. 請求項5の方法において、前記高圧が62.0 - 103.4 MPaの範囲にある方法。
  8. 請求項1の方法において、前記澱粉質粉末が穀類、豆類、およびマメ科植物からなるグループから選択した種子粉末である方法。
  9. 請求項1の方法において、前記澱粉質粉末が米、トウモロコシ、オート麦、小麦、ライ麦、大豆、およびエンドウマメからなるグループから選択した種子粉末である方法。
  10. 請求項1の方法において、前記澱粉質粉末が米である方法。
  11. 請求項1の方法において、前記非凝集体化澱粉粒を前記蛋白質から分離する段階をさらに含む方法。
  12. 請求項1の方法において、前記スラリーから前記澱粉粒と前記蛋白質を回収することをさらに含む方法。
  13. 請求項1の方法において、前記蛋白質による前記澱粉粒の被覆促進のため蛋白質の存在下に前記非凝集体化澱粉粒を乾燥する段階をさらに含む方法。
  14. 請求項13の方法において、前記乾燥が噴霧乾燥である方法。
  15. 請求項1の方法によって製造された製品。
  16. 請求項2の方法によって製造された製品。
  17. 請求項3の方法によって製造された製品。
  18. 請求項4の方法によって製造された製品。
  19. 請求項5の方法によって製造された製品。
  20. 請求項6の方法によって製造された製品。
  21. 請求項7の方法によって製造された製品。
  22. 請求項8の方法によって製造された製品。
  23. 請求項9の方法によって製造された製品。
  24. 請求項10の方法によって製造された製品。
  25. 請求項11の方法によって製造された製品。
  26. 請求項12の方法によって製造された製品。
  27. 請求項13の方法によって製造された製品。
  28. 請求項14の方法によって製造された製品。
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