JP4310923B2 - 光ファイバ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光伝送路及び分散補償器として好適な光ファイバに関する。
【0002】
【従来の技術】
図22は、従来から知られているいわゆる微細構造を有する光ファイバの断面図である。この光ファイバは、図22に示すように、シリカガラス61の材料中に多数のボイド62(空孔)が設けられた断面構造を有する。ボイド62が無い断面中心部分がコア領域63であり、このコア領域63を包囲し、ボイド62を多数含む部分がクラッド領域64である。
【0003】
このような微細構造を含む光ファイバの光閉じ込めの原理は、定性的には実効屈折率という概念を用いて説明される(例えば、T.A.Birksら、Optics Letters Vol.22 p.961(1997))。微細構造を有するため、厳格に考えるとコア領域63及びクラッド領域64内で屈折率は複雑な分布を示すはずであるが、各領域を均一な媒体で置換して光導波特性を近似したときの、この均一な媒体の屈折率を実効屈折率と呼ぶ。実効屈折率neffは、次の不等式を満たす。
【0004】
【数1】
【0005】
ここで、nは屈折率、fは容積分率を表す。また、添字1はシリカガラス、添字2は空気を表す。容積分率については、f1+f2=1が成り立つ。通常、n1>n2であるから、式(1)の最左辺と最右辺は、f2の増大に伴って小さくなる。従って、ボイド62を多数含むクラッド領域64の実効屈折率は、コア領域63の実効屈折率よりも小さくなり、通常の光ファイバと同様に光閉じ込め効果が実現される。
【0006】
このような実効屈折率のモデルは、微細構造スケールに比べて光の波長が長い場合については妥当であると考えられる。しかし、光の波長が短くなっていくことに伴い、屈折率の高い場所に光が局在するようになるため、実効屈折率は上昇し、屈折率分布を持つ構造を均一な媒質で置換できるという仮定も、妥当性を失っていくと考えられる。
【0007】
一方、このような光ファイバよりも大きい負分散を持つ光ファイバが、例えば、米国特許5,802,236号に開示されている。この光ファイバは、上記のような微細構造を有するが、クラッド領域が内部クラッド領域と外部クラッド領域とによって構成され、内部クラッド領域の実効屈折率が外部クラッド領域の実効屈折率よりも小さいという特徴を有する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報に開示されている光ファイバは、均一なクラッド構造を有する光ファイバに比べて負分散が増大する一方、実効コア断面積の低下、及び曲げ損失の増大、及び実効コア断面積の構造パラメータ変動に対する感度の増大、といった問題を有する。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、大きな負分散、実効コア断面積と小さな曲げ損失を両立させることの可能な光ファイバを提供することを目的とする。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る光ファイバは、コア領域とこれを順次包囲する第1内側クラッド領域、第2内側クラッド領域、外側クラッド領域とを有する光ファイバであって、コア領域、第1内側クラッド領域、第2内側クラッド領域は、実質的に均一な媒質で形成され、外側クラッド領域はそれを構成する主媒質よりも低い屈折率を有する副媒質からなる領域を複数備えており、これらコア領域、第1内側クラッド領域、第2内側クラッド領域、外側クラッド領域のそれぞれの平均屈折率n 0 、n 1 、n 2 、n 3 の間に、n 0 >n 2 >n 1 かつn 2 >n 3 が成立することを特徴とする。
【0011】
ここで、主媒質は、単独でも光ファイバを構成できる材料でなければならないが、副媒質には単独では光ファイバを構成することができない材料、例えば気体や液体等を用いることもできる。
【0012】
一般に、負分散の大きさ、負分散スロープの大きさ、及び実効コア断面積の大きさは、曲げ損失の低さとトレードオフの関係にあるが、本発明によれば、従来の不純物添加型光ファイバに比べて曲げ損失を低下させることが可能となり、曲げ損失が等しい条件下では、従来の不純物添加型光ファイバに比べて絶対値の大きな負分散、絶対値の大きな負分散スロープ、及び大きな実効コア断面積を実現することができる。
【0014】
ある領域が実質的に均一な媒質で構成されるとは、その領域が微細構造を含まないことを意味し、その領域を構成する材料中の不純物濃度が領域内で変化する構成を適宜採ることも可能である。例えば、不純物としてGeを含むシリカガラスで構成し、中心から外周に向かってGe濃度が減少する構成を採ることができる。
【0015】
光ファイバにおいて、波長分散などの光学特性を所望の値で実現するためには、コア領域および内側クラッド領域の構造を高い精度で作成する必要がある。実質的に均一な物質、例えばシリカガラスからなる構造は、副媒質、例えば、空気やポリマーからなる領域を備えた構造に比べて高い精度での作成が容易である。そのため、本構成により従来の微細構造を含む光ファイバに比べて、所望の光学特性を容易に実現できる。一方、外側クラッド領域に副媒質からなる領域を設けることにより、均一媒質で構成した場合に比べて平均屈折率を大幅に下げることができる。そのため、従来の不純物添加型光ファイバに比べて低い曲げ損失を実現することが可能となる。
【0017】
外側クラッド領域における平均屈折率を下げることで、従来の不純物添加型光ファイバに比べて曲げ損失を低下させることが可能となる。また、低い屈折率を有する第1内側クラッド領域が存在することにより、絶対値の大きな負の波長分散を得ることができる。さらに、副媒質の存在する外側クラッド領域がコア領域から離れているため従来の微細構造光ファイバに比べて過剰な光損失を低く抑えることができる。
【0018】
外側クラッド領域の副媒質を、ファイバ軸に関する4回回転対称性が実質的に成立するように配置すれば、モード複屈折率B=(β1−β2)/kを小さくすることができ、偏波モード分散が小さくなるので、高ビットレートの光信号の伝送に使用することができ好ましい。ここで、β1とβ2とは、2つの偏波モードの伝搬定数、kは真空中の波数である。
【0019】
外側クラッド領域の主媒質をシリカとし、副媒質を気体または真空とすれば、伝送損失を低く抑えることができ、好ましい。
【0020】
外側クラッド領域に対するコア領域の比平均屈折率差が2%以上であることが好ましい。
【0021】
この構成により、外側クラッド領域の平均屈折率が相対的に低くなり、外側クラッド領域への光電界のしみ出しが抑制されるため、所定の波長において曲げ損失を低減することができる。
【0022】
第2内側クラッド領域に対する第1内側クラッド領域の比平均屈折率差は−0.1%以下であることが好ましい。これにより、所定の波長において、負の波長分散又は負の波長分散スロープを得ることができ、正の波長分散及び正の波長分散スロープの補償により適した光ファイバが得られる。
【0023】
外側クラッド領域の微細構造領域を伝搬する光パワーの全光パワーに対する割合が1%以下であることが好ましい。外側クラッド領域の微細構造領域を伝搬する光パワーが増大すると、過剰な光損失が増大するからであり、このように構成することで、過剰な伝送損失を低減できる。
【0024】
所定の波長において単一モードで動作させると、モード間分散が無くなり、高ビットレートの光信号の伝送に用いることが可能となり好ましい。
【0025】
所定波長における波長分散が−80ps/nm/kmを下回るようにすれば、正の波長分散を補償するために必要な光ファイバの長さが短くて済む。この光ファイバと、所定波長において正の波長分散を有する光ファイバとを組み合わせて光伝送路を構成すると、累積波長分散が少なく、大容量通信が可能な光ファイバ伝送路を実現することができる。
【0026】
あるいは、本発明にかかる光ファイバは、コア領域とこれを順次包囲する第1内側クラッド領域、第2内側クラッド領域、外側クラッド領域とを有する光ファイバであって、第1内側クラッド領域、第2内側クラッド領域、外側クラッド領域のうち、いずれか複数の領域にはそれを構成する主媒質よりも低い屈折率を有する副媒質からなる領域が配置されており、その横断面占有率は前記いずれか複数の領域の中の各領域により異ならせており、コア領域、及び、副媒質が配置されていないクラッド領域が存在する場合には当該クラッド領域は、実質的に均一な媒質で形成されており、コア領域、第1内側クラッド領域、第2内側クラッド領域、外側クラッド領域のそれぞれの平均屈折率n 0 、n 1 、n 2 、n 3 の間に、n 0 >n 2 >n 1 かつn 2 >n 3 が成立する光ファイバであってもよい。ここで、横断面占有率とはある領域においてある媒質が占める面積の総和を、その領域の面積で割った値である。このように、単位断面積当たりの副媒質の断面積を増加又は減少させることによって、微細構造を含む領域の平均屈折率を決めることができるため、各領域の平均屈折率の大小関係を容易に決定することができる。そして、負に大きな波長分散や負に大きな波長分散スロープ、大きな実効コア断面積を実現できる。
【0027】
この場合に、各クラッド領域内における各副媒質領域の断面積を実質的に一様として、クラッド領域によって断面積を異ならせることが製造を容易にするためには好ましい。
【0028】
各微細構造の配置は、六方格子または正方格子と実質的に同等とするのが好ましい。六方格子または正方格子と実質的に同等の配置を採ることで、回転対称性を確保するとともに、大きな副媒質占有率を実現できる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において同一要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0031】
図1は、本発明に係る光ファイバの基本形態における領域区分を示す横断面図であり、図2は、この光ファイバの微細構造を説明する横断面図である。図1に示すように、この光ファイバは、コア領域1と、コア領域1を包囲する第1クラッド領域2と、第1クラッド領域2を包囲する第2クラッド領域3と、第2クラッド領域3を包囲する第3クラッド領域4とから構成される。また、これらの各領域は、図2に示すように、主媒質としてのシリカガラス5と副媒質としての多数のボイド6とから構成されている。
【0032】
以下の説明においては、各領域の屈折率として平均屈折率という概念を用いる。実効屈折率は、近似を用いて定義されるために、定義があいまいであり、構造の記述には適さないため、これを用いない。図3は、この平均屈折率の定義方法の一例を説明する図である。ある領域で着目した一つのボイド6xについて、それを取り囲む全てのボイド6との間に垂直二等分線を引く。これらの垂直二等分線によって区画され、内部に1個のボイド6xのみを含む多角形を定義する。これをセル7と呼ぶ。このセル7において、平均屈折率navgを次式によって算出する。
【0033】
【数2】
【0034】
ただし、ngはファイバ材料部分の屈折率、nhは、ポイド6x部分の屈折率であり、Acellはセル7全体の面積、Aholeはボイド6xの面積を表す。所定の領域の平均屈折率Navgは、その領域に含まれるセル7のセル番号をj〜kとし、i番目のセル7の平均屈折率をnavg,i、セル面積をAcell,iとすると、次式で表すことができる。
【0035】
【数3】
【0036】
本発明においては、(3)式により定義される各領域の平均屈折率の関係が以下の関係を満たすように設定していることを特徴とする。すなわち、コア領域、第1クラッド領域、第2クラッド領域、第3クラッド領域のそれぞれの平均屈折率をn0、n1、n2、n3とすると、これらの間に、
n0>n2>n1かつn2>n3
の関係が成立する。各領域の平均屈折率Navgは、ボイド6の大きさを調整することで設定することが可能である。すなわち、単位断面積当たりのボイド6の断面積を増加又は減少することによって、主媒質であるシリカガラス5と副媒質であるボイド6との割合が増減するため、その領域の平均屈折率Navgを任意の値に設定することができる。
【0037】
図4は、図5は、このようにして平均屈折率分布を設定した本発明に係る光ファイバの第1の実施形態と第2の実施形態のそれぞれの断面構造を示す図である。
【0038】
図4に示される第1の実施形態の光ファイバでは、コア領域1には、ボイド6を配置せず、第1〜第3のクラッド領域2〜4にのみそれぞれボイド6a〜6cを六方格子状に配置している。そして、各領域内でのポイド6の径は一様であり、すべてのボイドが一律のピッチLで配置されている。そして、各領域のボイド径の関係は第1クラッド領域2内のボイド6aの径をd1、第2クラッド領域3内のボイド6bの径をd2、第3クラッド領域4内のボイド6cの径をd3とすると、d1>d3>d2となるよう設定されている。この結果、(2)(3)式より明らかなように、各領域の平均屈折率の関係は、
n0>n2>n3>n1
を満たし、n0>n2>n1かつn2>n3を満たす。
【0039】
図5に示される第2の実施形態の光ファイバでも、コア領域1には、ボイド6を配置せず、第1〜第3のクラッド領域2〜4にのみそれぞれボイド6a〜6cが六方格子状に配置されている。そして、各領域内でのポイド6の径は一様であり、すべてのボイドが一律のピッチLで配置されている点も第1の実施形態と同様である。第1の実施形態と異なるのは、各領域のボイド6の径の関係であり、本実施形態では、d3≧d1>d2となるよう設定されている点である。この結果、(2)(3)式より明らかなように、各領域の平均屈折率の関係は、
n0>n2>n1≧n3
を満たし、n0>n2>n1かつn2>n3を満たす。
【0040】
通常、ファイバ線引き時には、主媒質の粘度が下がるため、副媒質領域の変形が起こりやすく、ファイバにおける副媒質占有率が所望の値から外れる要因となる。コア領域と各クラッド領域内での副媒質領域の変形の仕方は各領域内でほぼ一様であるから、各領域内での副媒質領域の断面積を一様にしてそれぞれの平均屈折率を設定することで、ある副媒質領域が所望の占有率を有するように線引き条件を調整すれば、同じ領域内の他の副媒質領域も所望の占有率を有するため、製造が容易となる。
【0041】
本発明者らはボイド6の径、ピッチの異なる3種類の第1あるいは第2の実施形態に係る光ファイバ(実施例1〜3と呼ぶ)を作成し、これらと従来型の2種類の微細構造光ファイバ(比較例1、2と呼ぶ)との間で特性の比較を行ったので、以下、その結果について報告する。
【0042】
実施例、比較例のそれぞれにおける第1〜第3クラッド領域2〜4のボイド6の直径のピッチLに対する比率を表1に示す。なお、ボイド6の層数mは7である。
【0043】
【表1】
【0044】
ここで、実施例1は第1の実施形態の光ファイバであり、実施例2、3は第2の実施形態の光ファイバである。
【0045】
図6、図7は、実施例1、実施例3のそれぞれについて、各ボイド6の中心Pをセル7の位置とし、原点O(ファイバ軸)からPまでの距離をrとして、各セルの平均屈折率navgを距離rに対する散布図として表したものである。ここでは、材料のシリカガラス4の屈折率を1.444、空気の屈折率を1として計算した。
【0046】
いずれの実施例でも、第2クラッド領域3では、ボイド6の径が小さいために平均屈折率が高くなると共に、第1クラッド領域2、第3クラッド領域4ではボイド6の径が大きいために平均屈折率が低くなっている。
【0047】
図8は、実施例1と比較例1、2における構造分散と実効コア断面積の計算結果を比較して示したものである。図8において、左側の縦軸は構造分散Dwg、右側の縦軸は実効コア断面積Aeff、横軸は光の波長λを示す。ここでは、実施例1、比較例1、2とも波長1550nmにおける構造分散Dwgが同じ-100ps/nm/kmとなるようピッチLが設定されており、その値は、実施例1が1.66μm、比較例1が1.62μm、比較例2が1.48μmである。波長1550nmにおける構造分散スロープが実施例1と比較例1が-0.5ps/nm2/kmであり、比較例2の-0.2ps/nm2/kmに比べて小さい。しかし、実施例1は、実効コア断面積が8.3μm2であり、比較例1の7.7μm2に比べて大きい。
【0048】
このように、第1の実施形態の光ファイバは、大きな負分散を得ることが可能であるため、他の正分散を有する光ファイバの分散を補償する際に、光ファイバの長さが短くて済むこととなる。また、大きな負分散と大きな負分散スロープを達成すると同時に、実効コア断面積も大きくさせることができる。そのため、非線型光学現象を抑制させ、伝送品質を向上させることが可能となる。
【0049】
図9は、実施例1と比較例1、2のピッチを変えた場合のそれぞれにおける構造分散と実効コア断面積の計算結果を比較して示したものである。(以下、添字aをつけて図8の場合と区別する。)ここでは、各光ファイバの波長1550nmにおける実効コア断面積Aeffが8.4μm2となるようにピッチLが設定されており、その値は、実施例1aが1.65μm、比較例1aが1.54μm、比較例2aが1.60μmである。
【0050】
波長の増加によって実効コア断面積Aeffも増加するが、実施例1aの実効コア断面積Aeffの波長に対する増加ペースdAeff/dλのほうが比較例1aのそれより小さい。このように実効コア断面積の波長に対する増加ペースが小さいことは、コア領域への光閉じ込めが強く、曲げ損失が小さいことを意味する。また、実効コア断面積の構造パラメータへの感度が低い。
【0051】
このように、光閉じ込めが良く、曲げ損失が小さいので、実効コア断面積を大きくさせることができる。その結果、非線型光学現象の発生を抑制することができ、伝送品質の向上を図ることができる。
【0052】
図10は、実施例2、3と比較例2における実効コア断面積Aeffに対する伝搬定数βの変化特性の計算結果を比較して示している。縦軸は、伝搬定数βを波数kで割った値であり、横軸は実効コア断面積AeffをピッチLの自乗で割った値である。一般に、実効コア断面積Aeffが増大するに伴って、βは低下する。伝搬定数βの低下に伴って、コア領域への光閉じ込めが弱くなり、曲げ損失が増大する。図から比較例2よりも実施例2が、実施例2よりも実施例3がコア領域への光閉じ込めの度合いを高めており、曲げ損失が低下していることが示されている。従って、同じ実効コア断面積Aeffで比較した場合、比較例2よりも実施例2が、実施例2よりも実施例3が曲げ損失を低下させ、同じ曲げ損失で比較すれば、比較例2よりも実施例2が、実施例2よりも実施例3が実効コア断面積を増大させられることが確認された。
【0053】
図11は、伝搬定数βを波数kで割った値を波長λの自乗で規格化した実効コア断面積Aeffに対してプロットしたものである。一般に、β/kが大きいほど、曲げ損失が小さくなる。β/k>1.405の時に曲げ損失が実用上十分小さくなるとすると、図11より、実施例3においては、Aeff/λ2=5が実現可能であり、波長λ=1550nmにおいて実効コア断面積Aeff=12μm2を実現させることができることがわかる。
【0054】
図12は、実施例2、3と比較例2における実効コア断面積の計算結果を比較して示したものである。ここでは、実施例2、3、比較例2のすべてにおいてピッチを1.53μmとした場合の計算結果を示す。
【0055】
波長λ=1550nmにおける実効コア断面積Aeffに着目すると、実効コア断面積Aeffは、比較例2よりも実施例2が、実施例2よりも実施例3が大きくなる。
【0056】
このように、第2の実施形態によれば、大きな実効コア断面積を有するので、非線型光学現象の発生を抑制させることができ、伝送品質の向上を図ることができる。
【0057】
図13は、実施例2、3、比較例2のそれぞれのピッチLを変えた場合の実効コア断面積の計算結果を比較して示したものである。ここでは、実施例2、3、比較例2とも波長1550nmにおける実効コア断面積Aeffが12μm2となるようピッチLが設定されており、その値は、実施例2が1.33μm、実施例3が1.53μm、比較例2が1.21μmである。
【0058】
λ=1550nmにおける実効コア断面積Aeffの変化に着目すると、波長変化に対する実効コア断面積Aeffの変化の大きさは、比較例2よりも実施例2が、実施例2よりも実施例3が小さくなる。波長変化に対する実効コア断面積Aeffの変化の大きさが小さいということは、コア領域への光閉じ込めの度合いが高く、曲げ損失が低いということを示すと共に、ピッチなどの構造パラメータ変動に対する実効コア断面積Aeffの特性の感度が小さいことを意味する。一般に、Aeffを拡大すると曲げ損失の増大を伴うので、同じAeffで比べた曲げ損失が低いということは、同じ曲げ損失で比べた時に、より大きなAeffを実現できることを意味する。
【0059】
このように、第2の実施形態では、大きな実効コア断面積を有するので、非線型光学現象の発生を抑制することができ、伝送品質の向上を図ることができる。
【0060】
以上のように、第1、第2の実施形態に係る光ファイバによれば、従来の光ファイバと比較して大きな実効コア断面積を確保し、曲げ損失を小さくすることができる。また、実効コア断面積の構造パラメータに対する感度を下げることが可能となる。
【0061】
以上の実施形態では、ボイドを六方格子状に配列する形態について説明してきたが、配列形態はこれに限られるものではなく、正方格子や千鳥格子状にはい散れしてもよく、あるいは同心円状に配列してもよい。正方格子や同心円状の配列は、偏波モードを実質的に縮退させて偏波モード分散を低減するのに適している。
【0062】
次に、本発明に係る光ファイバの第3の実施形態について説明する。図14は、この第3の実施形態の光ファイバの構造を示す断面図である。この光ファイバは、コア領域10と、コア領域10を包囲する第1内側クラッド領域11と、第1内側クラッド領域11を包囲する第2内側クラッド領域12と、第2内側クラッド領域12を包囲する外側クラッド領域13とを備える。コア領域10は、半径がa、屈折率がn0であり、第1内側クラッド領域11は、外半径がb、屈折率がn1であり、第2内側クラッド領域12は、外半径がc、屈折率がn2である。外側クラッド領域13は、屈折率n31の主媒質14と、屈折率n32の副媒質15とで構成されている。副媒質15の小領域は、半径rの円であり、N個の円がファイバ軸を中心とする半径dの円の円周上に実質的に等間隔で配置されている。この配置では、ファイバ軸を中心とする4回回転対称性が実質的に成立する。さらに、e>d+rを満たす半径eの円周の外側領域は、屈折率n31を有し、均一である。この領域はガラスやポリマーなどの材質で構成されており、光ファイバの機械的強度を向上させるが光学的特性には影響を与えない領域である。以下、この領域をジャケット領域と呼ぶ。
【0063】
本実施の形態に係る光ファイバにおいて、各パラメータの値は、次の通りである。a=1.37μm、b=4.9μm、c=14.7μm、d=17.8μm、e=20.9μm、n2=n31=1.444(純粋なシリカガラス)、Δ0=(n0 2−n2 2)/(n0 2+n2 2)=+1.49%(GeO2が14.5mol%添加されたシリカガラス)、Δ1=(n1 2−n2 2)/(n1 2+n2 2)=−0.36%(Fが1.113wt%添加された石英系ガラス)、n32=1.0(空孔)、N=18である。
【0064】
すなわち、n0>n2>n1が成立し、空孔を配置することで外側クラッド領域13の平均屈折率n3は第2内側クラッド領域12の屈折率n2より低下するからn2>n3が成り立つ。
【0065】
なお、本実施の形態においては、第2内側クラッド及びジャケット領域を形成する媒質と、外側クラッドの主媒質が同一(純粋シリカ)であるため、外側クラッドの内半径cと外半径eは任意に決めることができる。ここでは、ジャケット領域の内半径eは、外側クラッド領域13の厚さ(e−c)=6.2μmが、外側クラッド領域13における近接空孔間の間隔2πd/N=6.2μmにほぼ等しく、かつd=(c+e)/2となるように、内半径cと外半径eが選択されている。
【0066】
以上の各パラメータを共通のものとして、副媒質(空孔)15の径を異ならせた3つの実施例(実施例4〜6)と空孔を設けない比較例3について伝搬特性のシミュレーションを行った。実施例4、5、6のそれぞれの空孔半径は、0.363μm、、0.722μm、1.431μmに設定されている。
【0067】
このとき、波長λ=1550nmにおける外側クラッド領域13の平均屈折率navgは、実施例4では1.440、実施例5では1.428、実施例6では1.380であり、外側クラッド領域13に対する第1内側クラッド領域11の比平均屈折率差Δ03=(n0 2−navg 2)/(n0 2+navg 2)は、実施例4では1.77%、実施例5では2.61%、実施例6では6.04%である。
【0068】
図15は、比較例3と実施例4〜6においてジャケット領域を伝搬する光パワーの割合Pjacket/Pと空孔を伝搬する光パワーの割合Pair/Pとを比較して示したグラフである。
【0069】
実施例4〜6においては、外側クラッド領域13に副媒質15としての空孔を導入することにより、ジャケット領域を伝搬する光パワーの割合Pjacket/Pが比較例3に対して低下した。
【0070】
一方、このPjacket/Pは、曲げ損失と正の相関がある。従って、外側クラッド領域13に空孔を導入することにより、曲げ損失が低下するという効果が得られた。これにより、伝送損失が低く、信頼性の高い伝送路を実現することが可能となる。
【0071】
また、空孔を伝搬する光パワーの割合Pair/Pは、10-6以下である。これは、従来の微細構造光ファイバにおいてPair/Pが大きかったことと対照的である。例えば、図16に示されるように、石英系ガラス中に直径0.68μmの空孔をピッチ1.7μmで配列した従来の微細構造光ファイバでは、波長λ=1550nmにおいて、空孔を伝搬する光パワーの割合Pair/Pは0.039であり、本実施の形態に係る光ファイバよりも104倍以上大きい。これが、過剰な光損失の発生する原因となっていたが、本実施の形態に係る光ファイバでは、空孔を伝搬する光パワーの割合が小さいので、過剰な光損失の発生する可能性を低減すると共に、空孔形状に対する波長分散特性の感度を低減して製造技術に対する要求を緩和することができる。
【0072】
図17は、実施例4〜6と比較例3における波長分散と実効コア断面積の計算結果を比較して示したものである。図17において、左側の縦軸は波長分散D、右側の縦軸は実効コア断面積Aeff、横軸は光の波長λを示す。図17からわかるように、外側クラッド領域13に空孔を導入しても、波長分散Dと実効コア断面積Aeffは実質的に変化しないことがわかる。
【0073】
従って、第3の実施形態に係る光ファイバでは、空孔形状に対する波長分散の感度を低減することができる。また、空孔を導入したことにより、曲げ損失が低減される。一般に、波長分散が所定の値からずれると、伝送路の残留分散による伝送品質の劣化が生じるので、波長分散に関しては高い製造精度が要求される。一方、曲げ損失は、所定の閾値よりも低いことだけが要求されるので、曲げ損失に関しては高い製造精度は要求されない。本実施形態に係る光ファイバでは、曲げ損失は空孔形状に依存するが、波長分散は空孔形状に依存しないので、空孔形状の正確さに関する製造技術への要求が緩和される。
【0074】
また、実施例4〜6のいずれにおいても、比較例3と同様に、波長λ=1550nmにおいて単一モードで動作する。そのため、多モード分散がなく、高ビットレートの光通信が可能となる。さらに、空孔の配置が、ファイバ軸に関する4回回転対称性を実質的に有するので、波長λ=1550nmにおけるモード複屈折Bは、実施例4〜6のいずれにおいては、10-6以下と小さく、無視することができる。モード複屈折が小さい結果、偏波モード分散が小さくなり、高ビットレートの光通信が可能となる。
【0075】
なお、以上の説明では、外側クラッド領域13における副媒質15の小領域(空孔)が、ファイバ軸を中心とする1つの円の周上に配列されている例を示したが、本発明はこれに限定されず、他の構成を採ることも可能である。すなわち、図18に示すように、ファイバ軸を中心とする複数の同心円の周上に配列する構成を採ることも可能である。このように、複数の同心円の円周上に副媒質の小領域を配置することにより、外側クラッド領域13の厚さ(e−c)を大きくすることができる。
【0076】
外側クラッド領域13に副媒質15としての空孔を導入したことによって、ジャケットに漏れ出す光パワーPjacket/Pが減少し、曲げ損失が低下するという効果が得られるが、さらに、外側クラッド領域13の厚さを増加させることによって、外側クラッド領域13を越えてジャケットに漏れ出す光パワーをさらに減少させる効果を生ずる。その結果、曲げ損失をさらに低下させることが可能となる。
【0077】
次に、実施例6のコア領域10の半径aのみをそれぞれ1.29μm、1.27μmに縮小した実施例6a、6bと実施例6、比較例3について特性を比較した結果について説明する。
【0078】
図19は、実施例6、6a、6bと比較例3の波長分散Dと実効コア断面積Aeffそれぞれの波長に対する変化を比較して示したものである。図19からわかるように、実施例6a、6bでは、比較例3、実施例6よりも波長分散Dが負に大きくなり、波長分散スロープSが負に大きくなり、実効コア断面積Aeffが大きくなる。
【0079】
波長λ=1550nmにおける値をみると、波長分散Dは、比較例3が-69ps/nm/km、実施例6が-67ps/nm/km、実施例6aが-108ps/nm/km、実施例6bが-127ps/nm/kmである。波長分散スロープSは、比較例3が-0.25ps/nm2/km、実施例6が-0.20ps/nm2/km、実施例6aが-0.53ps/nm2/km、実施例6bが-0.67ps/nm2/kmである。実効コア断面積Aeffは、比較例3と実施例6が18μm2、実施例6aが21μm2、実施例6bが22μm2である。すなわち、実施例6a、6bでは、比較例3、実施例6に比べて、負に大きな分散、負に大きな分散スロープ、及び大きな実効コア断面積を得ることができる。
【0080】
図20は、比較例3と実施例6、6a、6bについてジャケット領域を伝搬する光パワーの割合Pjacket/Pと空孔を伝搬する光パワーの割合Pair/Pを比較して示した図である。実施例6a、6bにおけるPjacket/Pは、実施例6におけるPjacket/Pより大きいが、比較例3におけるPjacket/Pより小さい。すなわち、実施例6a、6bは、比較例3に比べて、負に大きな分散、負に大きな分散スロープ、大きな実効コア断面積、及び小さな曲げ損失を同時に達成できる。
【0081】
また、いずれの構造においても波長λ=1550nmにおいて単一モードで動作し、モード複屈折Bは、実施例6aでは1.2×10-6であり、実施例6bでは2.9×10-6と小さく、無視することができる。
【0082】
従って、本実施の形態に係る光ファイバでは、外側クラッド領域13に空孔を導入することによって曲げ損失を低減すると同時に、内側領域の構造を、曲げ損失の低下幅以上に負の波長分散と、負の波長分散スロープと、実効コア断面積の増加が得られるように選んでいる。その結果、従来の不純物添加型光ファイバのように、外側クラッド領域13を均一媒質で構成した場合と比べて、低い曲げ損失、大きな負分散、大きな負分散スロープ、大きな実効コア断面積を同時に実現することができる。負の波長分散と負の波長分散スロープとが大きいということは、正の波長分散と正の波長分散スロープとを補償するのに必要なファイバ長が短くて済むことを意味し、実効コア断面積が大きいということは、非線型光学効果による伝送品質劣化が少ないことを意味する。
【0083】
以上の実施形態の光ファイバは、負に大きな分散、及び大きな実効コア断面積を有することから、正の分散を有する光ファイバと組み合わせて、通信容量の大きい光伝送路を構築することができる。図21に示した光伝送路の例は、光送信器81と、光受信器82と、正分散光ファイバ83と、上記実施形態の負分散光ファイバ84から成る。一般に正分散光ファイバと負分散光ファイバを組み合わせた光伝送路では、負分散光ファイバにおける非線形光学効果による伝送品質劣化が問題となり、非線形光学効果の影響は負分散光ファイバの実効コア断面積とファイバ長の増加に伴って大きくなる。しかし、本発明に係る負分散光ファイバは、実効コア断面積が大きく、負分散の絶対値が大きいために分散補償に必要とされる長さを短くできるので、非線形光学効果の影響を低減でき、伝送品質劣化の少ない光伝送路を実現できる。
【0084】
本発明により、単独では外側クラッド領域の材料として用いることが困難である材料、例えば気体や液体等を外側クラッド領域の副媒質として用いることが可能となる。副媒質の屈折率が主媒質の屈折率よりも低くなるように選択することにより、主媒質のみを用いて外側クラッド領域を形成した場合と比較して外側クラッド領域の平均屈折率を下げることが可能となる。
【0085】
その結果、従来の不純物添加型光ファイバに比べて曲げ損失を低下させることが可能となる。一方、負分散の大きさ、負分散スロープの大きさ、及び実効コア断面積の大きさは、曲げ損失の低さとトレードオフの関係にある。従って、曲げ損失が等しくなる条件で比較した場合、従来の不純物添加型光ファイバに比べて絶対値の大きな負分散、絶対値の大きな負分散スロープ、及び大きな実効コア断面積を実現することができる。負分散や負分散スロープの絶対値が大きいことは、伝送路における正分散や正分散スロープを補償する際に必要なファイバ長が短くて済むことを意味する。また、実効コア断面積が大きいことにより、非線型光学効果による伝送特性劣化を抑制することができる。また、曲げ損失が小さいことにより、小型の分散補償モジュールに使用することができ、伝送路として用いる場合の信頼性も高くなる。
【0086】
また、本発明によれば、従来の空気クラッド光ファイバに比べて、絶対値の大きな負の波長分散を得ることができる。これは、コア領域と第2内側クラッド領域のいずれよりも低い屈折率を有する第1内側クラッド領域が存在することによる。
【0087】
また、本発明によれば、従来の微細構造光ファイバに比べて過剰な光損失を低く抑えることができる。これは、副媒質の存在する領域がコア領域から離れているためである。過剰な光損失は空孔などの副媒質に起因して発生すると考えられるが、本発明に係る光ファイバでは副媒質が含まれる外側クラッド領域と、光パワーが集中するコア領域との間に第1内側クラッド領域と第2内側クラッド領域が存在するので、副媒質及び副媒質との界面を伝搬する光パワーの割合が従来の微細構造光ファイバに比べて小さい。その結果、副媒質に起因する光損失が小さくなる。
【0088】
また、本発明に係る光ファイバは、副媒質の小領域として空孔を用いた場合、従来の微細構造光ファイバに比べて容易に製造することができる。まず第1の理由は、副媒質の小領域の形状に対する波長分散特性の感度が減少することである。本発明に係る光ファイバは、外側クラッド領域に導入された副媒質(例えば空孔)と、コア領域との間には、第1内側クラッド領域と第2内側クラッド領域が存在する。そのため、波長分散は、コア領域と、その近傍にある第1内側クラッド領域と第2内側クラッド領域とによって支配され、外側クラッド領域が波長分散特性に与える影響は無視することができる。そのため、副媒質における小領域の形状の正確さに対する要求が緩和され、従来の微細構造光ファイバに比べて容易に製造することが可能となる。
【0089】
第2の理由は、空孔の総数が少ないことである。プリフォームを作成する方法としては、シリカ管を束ねる方法や、穿孔器具を用いてプリフォームに孔をあける方法が考えられるが、いずれの方法を採る場合も、空孔の数が減少することによって製造における煩雑さが軽減される。
【0090】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、従来の不純物添加型光ファイバに比べて曲げ損失を低下させることが可能となり、曲げ損失が等しい条件下では、従来の不純物添加型光ファイバに比べて絶対値の大きな負分散、絶対値の大きな負分散スロープ、及び大きな実効コア断面積を実現することができる。
【0091】
さらに、外側クラッド領域における平均屈折率を下げることで、従来の不純物添加型光ファイバに比べて曲げ損失を低下させることが可能となる。また、低い屈折率を有する第1内側クラッド領域を存在させることにより、絶対値の大きな負の波長分散を得ることができる。そして、副媒質の存在する外側クラッド領域がコア領域から離れているため従来の微細構造光ファイバに比べて過剰な光損失を低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光ファイバの基本形態における断面の領域区分を示す図である。
【図2】図1の光ファイバの微細構造を説明する横断面図である。
【図3】本明細書における光ファイバの平均屈折率の定義を説明する図である。
【図4】本発明に係る第1の実施形態の光ファイバの断面構造を示す図である。
【図5】本発明に係る第2の実施形態の光ファイバの断面構造を示す図である。
【図6】実施例1の平均屈折率分布を示す図である。
【図7】実施例3の平均屈折率分布を示す図である。
【図8】実施例1と比較例1、2の構造分散と実効コア断面積の計算結果を比較して示す図である。
【図9】実施例1aと比較例1a、2aの構造分散と実効コア断面積の計算結果を比較して示す図である。
【図10】比較例2と実施例2、3の空孔のピッチLの自乗で規格化した実効コア断面積Aeffと伝搬定数βの関係を比較して示す図である。
【図11】比較例2と実施例2、3の波長λの自乗で規格化した実効コア断面積Aeffと伝搬定数βの関係を比較して示す図である。
【図12】比較例2と実施例2、3の波長に対する実効コア断面積の計算結果を比較して示す図である。
【図13】図12と異なるピッチの場合の比較例2と実施例2、3の波長に対する実効コア断面積の計算結果を比較して示す図である。
【図14】本発明に係る第3の実施形態の光ファイバの断面図である。
【図15】比較例3と実施例4〜6においてジャケット領域を伝搬する光パワーの割合Pjacket/Pと空孔を伝搬する光パワーの割合Pair/Pとを比較して示したグラフである。
【図16】従来の微細構造光ファイバの断面図である。
【図17】実施例4〜6と比較例3における波長分散と実効コア断面積の計算結果を比較して示した図である。
【図18】第3の実施形態の変形形態を示す断面図である。
【図19】実施例6、6a、6bと比較例3の波長分散Dと実効コア断面積Aeffそれぞれの波長に対する変化を比較して示した図である。
【図20】比較例3と実施例6、6a、6bについてジャケット領域を伝搬する光パワーの割合Pjacket/Pと空孔を伝搬する光パワーの割合Pair/Pを比較して示した図である。
【図21】本発明に係る光ファイバを用いた光伝送路を示す図である。
【図22】従来から知られている微細構造を含む光ファイバの断面図である。
【符号の説明】
1、10…コア領域、2…第1クラッド領域、3…第2クラッド領域、4…第3クラッド領域、5…主媒質(シリカガラス)、6…副媒質(ボイド)、7…セル、11…第1内側クラッド領域、12…第2内側クラッド領域、13…外側クラッド領域、14…主媒質、15…副媒質、81…光送信器、82…光受信器、83…正分散光ファイバ、84…負分散光ファイバ。
Claims (12)
- コア領域とこれを順次包囲する第1内側クラッド領域、第2内側クラッド領域、外側クラッド領域とを有する光ファイバであって、
前記コア領域、第1内側クラッド領域、第2内側クラッド領域は、実質的に均一な媒質で形成され、前記外側クラッド領域はそれを構成する主媒質よりも低い屈折率を有する副媒質からなる領域を複数備えており、
前記コア領域、第1内側クラッド領域、第2内側クラッド領域、外側クラッド領域のそれぞれの平均屈折率n 0 、n 1 、n 2 、n 3 の間に、
n 0 >n 2 >n 1 かつn 2 >n 3 が成立する光ファイバ。 - 外側クラッド領域には、前記副媒質からなる領域が4回回転対称性を有するよう配置されている請求項1記載の光ファイバ
- 外側クラッド領域の主媒質はシリカであり、副媒質は気体または真空である請求項1記載の光ファイバ。
- 外側クラッド領域に対するコア領域の比平均屈折率差が2%以上である請求項3記載の光ファイバ。
- 第2内側クラッド領域に対する第1内側クラッド領域の比平均屈折率差が−0.1%以下である請求項3記載の光ファイバ。
- 外側クラッド領域の前記副媒質からなる領域を伝搬する光パワーの全光パワーに対する割合が1%以下である請求項3記載の光ファイバ。
- 所定の波長において単一モードで動作する請求項1記載の光ファイバ。
- 所定波長帯域における波長分散が−80ps/nm/kmを下回る請求項1記載の光ファイバ。
- 請求項8記載の光ファイバと、前記所定波長帯域において正の波長分散を有する光ファイバとを含む光伝送路。
- コア領域とこれを順次包囲する第1内側クラッド領域、第2内側クラッド領域、外側クラッド領域とを有する光ファイバであって、
前記第1内側クラッド領域、第2内側クラッド領域、外側クラッド領域のうち、いずれか複数の領域にはそれを構成する主媒質よりも低い屈折率を有する副媒質からなる領域が配置されており、その横断面占有率は前記いずれか複数の領域の中の各領域により異ならせており、前記コア領域、及び、副媒質が配置されていないクラッド領域が存在する場合には当該クラッド領域は、実質的に均一な媒質で形成されており、
前記コア領域、第1内側クラッド領域、第2内側クラッド領域、外側クラッド領域のそれぞれの平均屈折率n 0 、n 1 、n 2 、n 3 の間に、
n 0 >n 2 >n 1 かつn 2 >n 3 が成立する光ファイバ。 - 各クラッド領域内における各副媒質からなる領域の断面積は実質的に一様であって、クラッド領域によって断面積が異なる請求項10記載の光ファイバ。
- 前記副媒質からなる領域の配置は、六方格子または正方格子と実質的に同等である請求項10記載の光ファイバ。
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