JP4309679B2 - 塗装ブース処理水槽の水位管理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、噴霧塗料の塗料ミストを捕集して作業環境の清浄化、外部への有害物質の排出を防止する塗装用ブースのミスト処理に使用する処理水の水位管理を自動的に行う装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
塗装用ブースはその形態や塗料ミストの捕集手段によって種々の装置が用いられているが、処理水を使用した水洗式の塗装ブースは捕集の効率の高さから多く使用されている。これらの水洗式のブースは下部に処理水槽を配し、そこに貯留した処理水を塗料ミスト捕集用のシャワーやウォーターカーテンに使用している。
【0003】
処理水の水槽は殆どがミスト処理装置の下部に配置されて、塗料ミストを捕捉した処理水を受けると共に貯留された処理水を塗料ミスト捕集に用いるために、その水位の管理が重要となる。すなわち塗装ブースは一定量の水を塗装ブース内のシャワーやミスト捕捉のための水流として循環使用しており、不足すれば適切なシャワーや水流が形成できず、逆に多すぎると水流形成に支障が生じて捕集効率が低下することになる。
【0004】
図4に示す例は、水槽1が下部に設けられ、上部の水流板2、水洗シャワー3等が塗料ミストを捕捉する手段として設けられている。水槽1に貯留された処理水は前記水流板2、水洗シャワー3等にポンプで供給され、塗料ミストを捕捉後、下方の水槽1流れ込んで貯留される構成になっている。一般的な塗装ブースは、水槽に貯留された処理水に混入し、捕捉塗料粒子が分離・凝集してできたスラッジをろ過し、ポンプで前面水流板の上部に設けた樋4に送り、オーバーフローによって水流板に流して水膜を形成し、更にミスト処理室5内の水洗シャワー3に送り込んで噴射し、塗料ミストを捕捉する構成になっている。この例では水槽の前方にも水流6を形成する構造が示されている。
【0005】
また図5の例は、水槽1の水面との間に気流通路Sを形成して、その隙間を通過する気流の力で水を吸引し、渦巻室7に形成される水膜と飛散する霧滴によってミストを捕集し、処理室でミストを含む水分を分離して水槽内に落とし込み、清浄な気流のみを排出する方式の塗装ブースで、特公昭59−10270号等に見られるノーポンプ式とも呼ばれている塗装ブースである。この種の塗装ブースは、気流通路Sを形成する水面との隙間が機能に大きく影響するため、より厳密に水位の管理をする必要がある。
【0006】
一方処理水は常に気流と接触しているために蒸散すると同時に、ミスト捕集のためにシャワーや細かい霧状になるため蒸散し易く、一部の微細な粒子は気流と共に排気され水量が減少する。したがって常に補給をして、例えば4から10mm以内の幅に水位を適切に保つことが必要不可欠になっている。
【0007】
水位の管理は一般に定期的に水道水を補給する方法が採られるが、人為的には面倒で有り、塗装機が自動化されている場合はシステムとして不完全なものとなる。このため水位を検知し自動的に補給する装置が求められている。
【0008】
水位の管理、自動補給は多くの装置で用いられているが、塗装ブースの場合安全面から電気的な装置は防爆仕様が要求される等の条件もあり、コストや使用上の手軽さからフロート式の自動補給が使われている。しかし塗装ブースの前面は飛散する塗料ミストによる汚れがあり、循環する水流の流れが激しい場所は安定した検知ができない等の問題が有り、また前述のように塗料ミストを取り込んだ処理水は塗料のミストが混入し、多くはスラッジとなって水面に浮遊するため、水位を検知するフロートを直接水槽本体に設けることは難しく、その対策としてスラッジが混入しない補助槽を設け、その水位を検知して補給をしている。
【0009】
この場合には補助水槽をつなぐ管路にスラッジが詰まる等の問題が有り、また既設の塗装ブースに設置するためには水槽本体の改造が伴い困難で有り、設備コストも高く、手軽に改善ができない問題が残されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
水洗式塗装ブースにおいて処理水槽の水位管理は塗料ミストの捕集機能を維持する上で必要不可欠であり、また生産性の面から自動補給を含めた水位の管理も重要である。多量のスラッジが混入する処理水の正確な水位検出を行い、水量の減少に対する的確な自動給水を行う装置を得ることが前述の問題を解決することになる。
【0011】
更に既存の塗装ブースに容易に追加設置でき、不十分な水位管理による捕集効果の低下を改善し、給水の煩わしさから作業者を解放することが本発明の他の目的である。
またこれらの装置が各種の水洗式塗装ブースに対応し、それぞれの使用条件に応じて変化する水位の管理範囲を容易に整合、調整できる装置とすることを課題としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の問題を解決するために、噴霧塗料の塗料ミストを処理水によって捕集する塗装用ブースに付帯する処理水槽の水位を管理する装置として、処理水を貯留し給水管を備えた水槽と、この水槽内に挿入して検出用供給空気を送り出す検知パイプと、該検知パイプより排出する空気圧力を微圧センサーによって測定し液面位置を検出し、その検出圧力に応答して前記給水管の配管中に設けた制御バルブの開閉を制御する信号を出力する制御装置とからなり、検出した圧力に応答して出力するバルブの開閉信号には時間差を設けて出力しバルブの開閉を制御するように構成したものである。
【0013】
出力するバルブの開閉信号は、測定する液面位置が上下限付近ではその境界を前後するためオンオフを繰り返す。このために一定時間タイマで延長し切り替わりに時間差を設け、頻繁に行われないように構成している。タイマは変動する水位の状況、給水条件により最適値に設定できるように可変とする。
【0014】
また給水配管中の制御バルブは制御装置に設けた電磁弁によって制御信号として出力される空気によって開閉される構成としている。更に検知パイプの開口端位置は、使用条件により変わる管理水位の調整が簡単にできるように取付位置の変更を可能としている。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明を実施に適用される塗装ブースは、図4、図5に例示した水洗式の塗装ブースで処理水槽を備え、その水位の管理が必要なものとなる。図1は簡略して構成を示しているが、処理水を補給する給水は、水道水の配管11から制御バルブ12を経て給水管13より水槽15内に補給されることを示している。水位の検出をする検知パイプ16は、下端に検出用に送り込まれた空気を排出する開口端17を設け、該開口端17が水中に挿入された状態で、適当な固定手段により塗装ブース壁面18に固定されている。検知パイプ16には空気源20から空気清浄機21、微圧減圧弁22、調整弁23を介して検出用の微圧少量の空気が送り込まれる。24は供給用の供給空気管を示している。
【0016】
検出用の空気は検知パイプ16の下端から気泡上に放出され、水面までの距離に応じてかかる背圧を維持する。したがって供給空気管24の内圧が開口端17からの水位として検知される。供給空気管24の途中には制御装置30に送られる検出用の分岐チューブ25が分岐され、制御装置30内に設けられた微圧センサーに接続されている。
【0017】
制御装置30は図3の如く、微圧センサー31、該微圧センサーの検出結果を予め設定された入力値と比較演算処理する演算手段32、演算手段からの開閉信号を受けて電磁弁33を開閉するリレー39を備えている。電磁弁33は前記の制御バルブ12を開閉する制御エアーを供給・停止するもので、制御エアーは制御空気管34によって制御バルブ12に送られる。これらの供給空気管24,検知空気管25,制御空気管34はいずれも柔軟性の空気チューブで設置の容易化を果たしている。
【0018】
制御装置30の制御盤35には水位に対応する圧力を設定し管理するコントローラ36、水位の下限値を検出し給水を開始後一定時間その信号を保持する下限検知タイマ37、給水を開始後一定時間で給水停止を指示してオーバーフローを防止する給水異常タイマ38、の他電源ランプ、給水異常ランプ、給水ランプ等が配置されている。
この下限検知タイマ37は保持回路40を介して前記のリレー39に接続され、前記演算手段からの開閉信号によるリレー39の作動を設定時間に応じて取り込み作動を行わせる構成としている。また給水異常タイマ38は電磁弁33を開として給水を開始後、設定時間を越えると強制的にリレー39を作動させて電磁弁33を閉止して給水を停止し、警報や異常ランプを点灯させるように回路を構成している。
【0019】
以上の構成から理解されるように、塗装ブースには給水用の配管途中に空気圧で作動する制御バルブを付加し、水位を検出する検出パイプを水槽部に取り付けるだけで、塗装ブースそのものには大きな改造が必要無く簡単に設備化が可能である。水位を管理する制御装置は、離れた位置に自由に設置できるため電気的な工事も必要なく、既存の設備にも容易に追加することが可能である。
【0020】
一方、塗装ブースの水槽の処理水に挿入される検知パイプ16は、管理する水位に合わせて固定される。図2に示すのは取付方法の一例であり、取付板26に固定された検知パイプ16が下方に延出している。取付板26は支軸27を中心に回転移動し、取付角度が変更できるようになっている。したがって取付板を回転させ固定具28により点線の位置に固定すれば開口端17の位置が変更でき水位の微調整が可能となる。
【0021】
検知パイプ16の取付方法は、この例に限定されず測定中は固定される状態であれば良い。開口端17の位置を可変とする手段は、上下に調整できる構成で手動で簡単に変更でき、固定ができるいくつかの手段が考えられる。
【0022】
【実施例】
本発明の実施例として、塗装ブースに取り付ける検知パイプ16は図2に例示されているように、管理する水面の下限位置Lから100mm下方に開口端17を位置させ、壁面18に固定、水位上限Hは下限位置Lから8mmで設定している。これらの設定値は制御装置32の初期設定としてコントローラ36に記憶させることができる。もし水槽1内への取付位置もしくはスラッジの影響が有る等の理由から深さを変更する場合や、塗装ブースによって上下限の水位管理幅を変更する場合は、制御装置30のコントローラ36で設定値の変更をし、演算手段に記憶させておけばよい。
【0023】
運転時は検出用のエアー源20より微圧減圧弁22を通して検知パイプ16に空気を送り込むと開口端17より空気が排出され気泡Bとなって水面にでてくる。この時1秒間に1,2個の泡になるように調整弁23で供給する空気の量を調整する。
【0024】
供給圧力は、検出する最高圧力より高い圧力で供給し、検知パイプの16開口端17より排出されて、水位に相当する背圧に維持された圧力となって制御装置30の微圧センサー31に作用し、その圧力を検出して設定値との比較において信号を出力する。すなわち100mmの水位であれば1キロパスカルの背圧力がかかることになるため、少し高めの圧力を供給し続けることにより、供給空気管24内の圧力は開口端17より排出される空気によって、水位に相当する1キロパスカルの圧力を維持し、微圧センサー31で水位を検出することができる。
【0025】
図2の例では水位が100mm以下になると下限値であることを検知し、バルブを開放するための信号を出力する。その出力信号はリレー39を作動させ、電磁弁33に作動信号を送って作動させ、制御バルブ12に作動空気を送り、給水管の途中に設けた制御バルブ12を開弁して給水を開始する。
【0026】
この時測定する水位に激しい変動が有ると一時的に100mm以上の値として検出し、リレー39への信号が短時間のうちにオン・オフを繰り返すことになって、いわゆるチャタリングを起こし、機械的リレーの損傷が著しくなる。本発明ではリレーの作動繰り返しに際し、一定時間の保持回路を設け、その間に演算手段からの繰り返し信号がきても取り込まずにそのままの状態を保持するように構成している。この一定時間は設置の条件によって変更・設定ができるようタイマー37で選択できるようにされている。このためにリレー39や電磁弁33の耐久性を損ねることなく、作動の安定性・長期の使用が可能となる。
【0027】
本発明では開弁した後、一定時間タイマーでその状態を保持し、次の閉止作動に時間差を設けているために、水位の変動による検出値に激しい変動が有っても、しばらく給水を維持すため、短時間での水位の激しい変動や波動に影響されず、いわゆるチャタリングが防止される。この例では10から30秒としたが、検知パイプの設置位置によって水位の変動が多い場所と安定している場所では異なり、水位変動幅を越える給水が可能な時間を設定すれば限界値を避けることができる。また一定時間保持すれば頻繁な作動が押さえられ作動の安定性が図れる。
【0028】
この点で本発明は時間差の調整を可能としており、設置する塗装ブースの種類、設置場所等によって最適な設定が可能となって、汎用性が高く、既存ブースへの設置等を含め、容易に水位管理が可能となる。保持時間は前記例に限らず、一般的に10から30秒の間隔で作動すれば頻繁な作動に対しての問題は無いと判断される。
【0029】
更に給水が行われて水位が108mmとなると給水を停止する。もし何らかの異常で給水が停止しない場合であっても給水を始めて一定時間後には停止するタイマーを備えることでオーバーフロー等の問題を回避するように構成されている。これは予め水槽の大きさ、給水条件を確認し、設定しておけば良い。
【0030】
検知パイプ17の取付は水槽15の水面が計れるところで有れば、どこでも良いが、水面が安定している箇所が望ましいのはもちろんである。また水中に取り込まれるスラッジの溜まりやすい所を避け、スラッジに影響されない箇所にすることや、清掃や調整等に際して取扱いに支障が無いような位置にすることが好ましい。そのままで安定する箇所がない場合には仕切板で波動を緩和するなどの処置をとれば良い。
【0031】
前述の如く、検知パイプ16の取付深さ、上下限の管理幅は制御装置で調整可能であるが、本発明の実施例によれば、実際運転時の状況や給水条件等で一時的に変更したり、微調整の場合などにおいて、検知パイプ16の開口端17位置を変更することができることで、設定値を変えずに簡単に対応が可能となっている。
【0032】
【発明の効果】
以上述べた通り、本発明は塗装ブースの処理水の水位管理に、背圧式の液面検知を用いているために、水面に溜まるスラッジの影響を受けにくく安定した検知が可能で、循環水のために変動や波動の起きやすい場合も設置場所に制限がされない水位管理装置を得ることができる。特に検知結果による作動に時間差を設けて安定化を図ったことで、塗装ブースのように常に流れが有り、短時間に変動する水位や波動に対しても安定した検知と給水管理が可能となった。
【0033】
また設置場所に制約が無く、自由に設置できる検知パイプと制御装置によって、給水配管中に設けた空圧作動による制御バルブを開閉制御できる構成によって、既存の塗装ブースでも殆ど改造すること無く、従来のような補助槽の追加や現地での配線工事等が不要で、低コストで水位自動管理装置を追加することができる。これにより作業者の負担が削減でき、本来の生産性向上に向けられるのはもちろんのこと、塗装ブースの捕集効率を常に最適条件に保つことが可能となって、大気への有害物質排出が押さえられ、環境汚染防止に貢献できる装置の普及を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の一例を示す構成図である。
【図2】本発明における検知パイプの取付状態の一実施例を示し、(A)は断面図、(B)は(A)の側面図である。
【図3】本発明の制御装置の主要構成を示す説明図である。
【図4】本発明にも適用される水洗式塗装ブースの一例を示す構成図である。
【図5】ノーポンプ式塗装ブースの処理室部を示す略構成図である。
【符号の説明】
12 制御バルブ
15 水槽
16 検出パイプ
17 検知パイプ
21 フィルター
22 減圧弁
23 絞り弁
24 供給空気管電磁弁
26 取付板
30 制御装置
31 微圧センサー
32 演算手段
33 電磁弁
34 制御空気管
35 制御盤
36 コントローラ
37 下限検知タイマ
39 リレー
40 保持回路
Claims (3)
- 噴霧塗料の塗料ミストを処理水によって捕集する塗装用ブースに付帯する処理水槽の水位を管理する装置であって、循環する処理水を貯留し給水管を備えた水槽と、該水槽に還流して貯留された処理水の安定した水中に挿入され水位検出用供給空気を送り出す検知パイプと、該検知パイプより排出する空気圧力を検出し、該検出圧力に応答して前記給水管の配管中に設けた制御バルブの開閉を制御する信号を出力する制御装置とからなり、前記制御信号は検出した圧力に応答して出力する開閉信号を一定時間保持するタイマにより前記制御バルブの開閉信号を出力してなる塗装ブース処理水槽の水位管理装置。
- 給水配管中の制御バルブは、制御装置に設けた電磁弁からの空気によって開閉される空圧作動バルブとした請求項1記載の処理水槽の水位管理装置。
- 検出パイプの開口端位置が塗装ブースへの取付位置に対して可動とした請求項1記載の処理水槽の水位管理装置。
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