JP4309076B2 - 融雪装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バーナ火炎を用いて氷雪を融かす融雪装置に係り、とくにバーナ火炎の完全燃焼による無煙化を実現する炉体構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
バーナ火炎を用いる融雪装置は、図3に示すように、ケース体1と、このケース体1の内部に納めた炉体2と、炉体2の内部空間に火炎を放出するバーナ装置3とを備える。炉体2は、ケース体1の底面4からやや離した位置に設置し、下部空間5を設けるのが一般である。6は、バーナ火炎を外気に放出するための煙突である。
【0003】
使用時には、バーナ火炎によって高熱に熱した炉体2の上から処分すべき氷雪を投雪し、炉体2との接触による瞬時の融雪を図る一方、ケース体1と炉体2との隙間に溜まる融雪水の温度上昇の効率を図り、融雪効率を向上させる。炉体1の下面に下部空間5を設けるのは、高熱の炉体2によって当該下部空間5の水を強制加温するためである。
【0004】
このような融雪装置は、降雪地域において近時広く使用されるようになったため、融雪効率の向上その他の目的で、年々その構造が複雑になる傾向がある。例えば加温した融雪水の循環再利用(いわゆるシャワー方式)である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、バーナ火炎式の融雪装置の場合、炉体内部に送り込まれた燃焼排気を外気に放出する煙突6は必然であった。何故なら、融雪装置の炉体2は、装置コストや地下に埋設する際の工事費用の関係で、可能な限り小さく設計する必要がある。その条件では炉体2をどのように大きく設計しても、バーナ装置3において発生する燃焼火炎を完全燃焼させるには加熱時間が不十分であり、いわゆる不完全燃焼のまま排気放出せざるを得なかったからである。
【0006】
バーナ火炎の不完全燃焼に関する問題は少なくない。融雪装置の周辺の雪が黒く汚れて景観を悪化させ、周辺家屋を汚損する等である。このため、近時の地下埋設型融雪装置では、煙突6の長さを大きくして煙の発生を極力抑えるか、或いは、融かすべき雪に排気を強制的に吹き付けて、可能な限り煙の発生を抑える構造をとる。
【0007】
しかし、煙突を使用する場合は収納構造が複雑となるだけでなく、装置が大型化するという難点がある。また融かすべき雪に排気を吹き付ける方法は、吹き付けのための排気筒を多数設けるなど、やはり構造が複雑になりやすく装置コストも嵩みやすい。
【0008】
そこで本発明の目的は、コンパクトな装置構造によってバーナ排気を完全燃焼させ、吹き付けや煙突を不要とする点にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明に係る融雪装置は、ケース体の内部に炉体を配し、当該炉体の内部空間にバーナ火炎を放出する融雪装置を技術的前提として、炉体の内壁面の1/2以上を平面略円弧状に成形する一方、炉体の上面に、略円筒形の赤熱板を垂直方向に設けるとともに、該赤熱板の外周部に排気用開口を設け、赤熱板に多数の小孔を設ける。また、赤熱板の上端に、排気用開口の径寸以上の径寸をもった遮蔽板を水平方向に配する場合がある。
【0010】
【作用】
本発明に係る融雪装置は、内壁面に曲面が形成された炉体に略円筒形状の赤熱板を配してあるので、バーナ火炎は、平面略円形の赤熱板と円弧を呈する炉体内壁面に案内され、炉体の内部空間を周回する。従来の融雪装置のように、炉体の一端から火炎を放出して他端から排気する、いわゆる一方通行の排気ではなく、炉体内を周回させることによって燃焼ガスの滞留時間を延長し、これによって完全燃焼に要する時間を稼ぐ。
【0011】
一方、赤熱板には多数の小孔が設けてある。これにより、バーナ火炎が赤熱板を高温に加熱し、同時に燃焼ガスを完全燃焼させることが可能となる。何故なら、炉体の一端から炉体の内部空間に放出されたバーナ火炎は、周回中に、略円筒形をなす赤熱板の下側開口から内部に入り込んで小孔から赤熱板の外に逃げることが出来るが、この現象が絶えず繰り返される結果として、赤熱板自体が高温のバーナ火炎に晒され、燃焼ガスと同程度の温度にまで加熱されるからである。
【0012】
一方、燃焼ガスは、炉体内を周回する間に、高温加熱された赤熱板に接触する等によって大半が完全燃焼を遂げる。もちろん、周回時間が短い燃焼ガスもあり得るし、周回軌道が赤熱板から遠く離れたために十分な再燃焼を遂げることの出来ない燃焼ガスもあり得る。しかし本発明の構造では、燃焼ガスは、赤熱板の外周部に設けた排気用開口から外気に逃げる。このとき燃焼ガスは必ず、高温加熱されている赤熱板の近傍を通過せざるを得ない。こうして、炉体内を周回したすべての燃焼ガスは高温加熱された赤熱板によって完全燃焼を遂げ、殆ど煙を伴わずに排気される。
【0013】
尚、赤熱板が高温加熱される経緯は、実際にはより複雑である。周回中の燃焼ガスが赤熱板の下部開口から内部に入り込んで小孔を通って外に逃げるだけでなく、小孔から内部に入り込んで、下部開口または他の小孔から外部に逃げるガス流も存在するからであり、これらが複合作用して赤熱板を加熱する。
【0014】
請求項2に記載したように、赤熱板の上端に排気用開口の径寸以上の径寸をもった遮蔽板を水平方向に配すると、雨水、ゴミ、投雪した雪などが排気用開口から炉体内に入り込むのを防止できる。また、高温の排気ガスが遮蔽板の裏面に当たって横方向に流れるため、遮蔽板の近傍にある雪(投雪した雪)を速やかに融かすことが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1および図2は、本発明に係る融雪装置の実施形態を示す図である。本発明に係る融雪装置は、適当形状、例えば平面略正方形のケース体11の内部に炉体21を納め、炉体21の一端部にバーナ装置20を配する。
【0016】
また、炉体21の上面に略円筒形状の赤熱板31を配し、この赤熱板31の外周部に一定の隙間36を設けて排気筒37を配設する。また赤熱板31の上端部には、排気筒37の外径よりも若干大きな径寸の遮蔽板40を設ける。
【0017】
12は、ケース体11の上面パネル、14は、上面パネル12の隅角部に設けた融雪水の取水口、15は、炉体21の下側に出来る貯水空間、16は、炉体21の外周部に出来る貯水空間である。また17は、仕切板18によって画成した独立の貯水空間である。この貯水空間17は、適当箇所に設けた開口を介して本体側の貯水空間15または/および16と連通させておく。内部の水(炉体21との接触によって加熱された温水)は適宜箇所、例えば上部に設けた排水口19から外部に排出可能とする。一部は排水溝へ排出しても良いが、好ましくはポンプを介して温水シャワーとして循環再利用する。尚、パイプ流路を配しての融雪水のシャワー融雪の技術は広く知られているので、排水口19より後段の構造は省略して説明する。以下、各部の構造を具体的に説明する。
【0018】
ケース体11は、本実施形態(図1、図2)では、左右/奥行寸法に較べて、上下方向の寸法が小さく設計されている。これは、いわゆる地面に据え置きできる融雪機を実現するためである。
【0019】
従来、北海道のような降雪地域で広く普及している地下埋設型の融雪装置は高さ寸法を比較的自由に設計できたが、据え置き型の融雪装置では、高さ寸法を大きくすると融雪作業に支障がでる。雪の投入が困難になるためである。但し、本発明に係る融雪装置も地下埋設型とすることは可能であるから、左右/奥行寸法と上下寸法の比率はとくに限定されるわけではない。
【0020】
炉体21は、バーナ装置20で発生させた燃焼ガスを内部に導くための開口22を備え、この開口22に近い部分は内壁面を平滑(平面略L字状)としておくが、その他の部分、とくに開口22と対向する側の内壁面は円弧状に成形する。この実施形態に係る炉体21は、内壁面の約1/3を円弧状に成形した。
【0021】
本実施形態に係る融雪装置は、いわゆる据え置き型として使用することに適するよう、ケース体11を比較的コンパクトに成形してあるため、炉体21は、ケース体11の内周面にほぼ接する程度に大きく設計することが望ましい。本実施形態では、バーナ装置用の開口22側以外の三面は、ケース体11の内面にほぼ接する大きさに設計してある。勿論、ケース体11が十分に大きい場合は、ケース体11の内壁と炉体21の外壁とに大きな隙間が生じても構わない。炉体21の上下寸法も同じである。この実施形態では、ケース体11の底面にかなり近い位置まで炉体21の上下寸歩をとってある。炉体21が大きいほど燃焼効率と融雪水を加熱する熱交換率が向上するからである。
【0022】
炉体21の上面(開放しておくことが望ましい)は、上面パネル12に接するようにしてある。上面パネル12は、投雪した雪を融かすための台座となる仕切板である。炉体21の熱は直接上面パネル12に伝わるので、稼働中、上面パネル12は高温であり、投雪された氷雪を瞬時に融かす。融けた水(融雪水)は、取水口14から貯水空間15〜17に流入する。尚、炉体21の上面を開放したあるときは、上面パネル12が、炉体21の上蓋を兼用する。
【0023】
赤熱板31は、炉体21の上面略中央に配する。炉体21の上には上面パネル12があるので、当然ながら赤熱板31は上面パネル12を貫通して設置する。赤熱板31は、略円筒形状とし、その下端部は例えば炉体21の内部上下寸法の約1/3〜1/2に達するよう配置することが好ましい。一定以上の深さがないと、バーナ装置20から噴出される燃焼ガスの周回流動性を確保することが難しくなる一方で、あまり深すぎると下端開口から赤熱板31の内部空間に流入する燃焼ガスを十分に確保できないからである。
【0024】
赤熱板31の外径は、例えば炉体21の内径寸法の1/4〜1/2程度とすることが好ましい。炉体21の内部空間に比して赤熱板31の外径があまり大きいと燃焼ガスの自由な流動を妨げる虞があり、逆に小さすぎると燃焼ガスの周回流動をガイドする機能が損なわれるからである。
【0025】
赤熱板31には、多数の小孔32を設ける。この小孔32は、筒状を呈する赤熱板31の内側空間と外部を、燃焼ガスが自由に流動することを保証するものである。小孔32を通って燃焼ガスが自由に流れることによって、赤熱板31の高温加熱が実現される。因みに、小孔(32)を設けない場合は燃焼ガスは自由に流動できないため、赤熱板31の温度があまり上昇せず、従って燃焼ガスの完全燃焼を促すことも難しい(煙が出る)。
【0026】
小孔32は、円形が望ましい。成形容易でありガスの流動性も良好となるからである。径寸は、例えば1〜3cm程度が好ましい。小さすぎると燃焼ガスの流動性が悪くなり、燃焼ガスの周回流動を実現しにくくなるからである。
【0027】
赤熱板31の外周部に設ける排気筒37は、炉体21の内部の燃焼ガスを外気に放出する。従って、排気筒37の内径は、赤熱板31の外径よりも大きく、両者の間には一定寸法の隙間36がある。
【0028】
排気筒37は、上面パネル12より上の位置に存在すれば良く、炉体21の内部にまで突出させる必要はない。燃焼ガスは、赤熱板31の外周面を通って上方(外気)に流れようとするから、排気筒37が炉体内部で燃焼ガスをガイドする必要もないからである。尚、排気筒37の基端部は上面パネル12に固定することが出来る。一方、赤熱板31は適宜の保持部材を介して排気筒37、上面パネル12に固定する。適当本数の脚を設けて炉体底面に支持させても良い。
【0029】
赤熱板31の上端に配する遮蔽板40は、隙間36からゴミが炉体21の内部に入るのを防止し、また上昇してきた燃焼ガスを横方向に逃すことによって、周囲の氷雪を融かすための支援手段となる。遮蔽板40の外径は、排気筒37の外径よりも若干大きければ良い。あまり大きすぎると投雪作業の邪魔になるから、例えば排気筒37より5〜10cmほど大きく設計する。尚、この遮蔽板40を設けなくても本発明に係る融雪装置の機能(燃焼ガスの完全燃焼)は実現できるので、遮蔽板40に代え、隙間36を封止する適宜形状のキャップを配しても良い。
【0030】
従って、かかる構造の融雪装置によれば、バーナ装置20から炉体21の内部に噴出された燃焼ガスは、筒状の赤熱板31および円弧状を呈する炉体21の内壁面に案内されて、回転運動を与えられる。これによって、燃焼ガスは炉体21の内部空間に比較的長く留まることが可能となる一方、バーナ装置20によって噴射される高温ガスの自由な流動が保証されている赤熱板31が高温加熱され、これと接触する燃焼ガスを完全燃焼させることが可能となる。
【0031】
この結果、内外の気圧差によって隙間36を通過して外気に逃げる燃焼ガスの殆どは、周回流動中に予め赤熱板31によって再加熱(完全燃焼)を受け、それを受けずに外気に逃げようとする燃焼ガスも、隙間36を通過する前段および後段の経路において赤熱板31との接触を強制され、確実に完全燃焼(再加熱燃焼)する機会を与えられる。従って、隙間36から外気に放出される燃焼ガスは殆ど煙のない清浄気体に変換される。
【0032】
尚、炉体21の内周面には、燃焼ガスの周回循環の流れをよりスムースにするための溝または凹凸を成形しても良い。また上面パネル12と炉体上面とを離隔させても構わない。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る融雪装置によれば、コンパクトな装置構成によってバーナ排気を再加熱して完全燃焼させ、吹き付けや煙突を不要とすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る融雪装置の内部構造を例示する図である。
【図2】本発明に係る融雪装置の構造を平面から例示する図である。
【図3】従来の一般的な融雪装置を例示する図である。
【符号の説明】
11 ケース体
12 上面パネル
14 取水口
15,16,17 貯水空間
20 バーナ装置
21 炉体
22 (バーナ装置用の)開口
31 赤熱板
32 小孔
36 隙間
37 排気筒
40 遮蔽板

Claims (2)

  1. ケース体の内部に炉体を配し、当該炉体の内部空間にバーナ火炎を放出する融雪装置において、
    炉体の内壁面の1/2以上を平面略円弧状に成形する一方、
    炉体の上面に、略円筒形の赤熱板を垂直方向に設けるとともに、該赤熱板の外周部に排気用開口を設け、
    赤熱板に多数の小孔を設けることを特徴とする融雪装置。
  2. 赤熱板の上端に、排気用開口の径寸以上の径寸をもった遮蔽板を水平方向に配することを特徴とする請求項1記載の融雪装置。
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