JP4308877B1 - 有機繊維系断熱材の湿式吹き込み施工方法、該施工方法で施工された建築構成部材及び有機繊維系断熱材の製造方法 - Google Patents

有機繊維系断熱材の湿式吹き込み施工方法、該施工方法で施工された建築構成部材及び有機繊維系断熱材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】安定した断熱、防音機能が得られ、人体への安全性が高く環境負荷が軽減される有機繊維系断熱材の湿式吹き込み施工方法を提供する。
【解決手段】壁10内の空間部Aに吹き込み材料23を吹き込み充填して有機繊維系断熱材20を形成する湿式吹き込み施工方法であって、吹き込み材料23が、セルローズファイバ、天然接着剤、及び貝殻カルシウムからなり、空間部A内に水を噴霧しつつ吹き込み材料23を吹き込み充填する。有機繊維系断熱材20の経時的沈下が防止されて安定した断熱、防音機能が得られ、かつ有害物質の発生がなく人体への安全性が高く、更に環境汚染を招くことなくリサイクル性にすぐれ環境負荷が軽減される。
【選択図】図1

Description

本発明は、住宅等の建物の壁、天井、床等の建築構成部材の空間部内に吹き込材料を吹き込み充填する有機繊維系断熱材の湿式吹き込み施工方法、該施工方法で施工された建築構成部材及び有機繊維系断熱材の製造方法に関する。
近年、住宅等の建物の壁、天井、床等の建築構成部材の内部に配置されるガラス繊維やウレタンフォーム等の断熱材に含まれる有害物質、例えばホルムアルデヒド等が引き起こす室内汚染、いわゆる「シックハウス症候群」が問題となっており、その対策の一つとして有機繊維であるセルローズファイバが代替されるものがある。セルローズファイバは、主に新聞紙や段ボール等の古紙を粗砕機や精砕機により綿状に解織し、ホウ素系防燃剤(ホウ酸、ホウ砂)等の付加により防燃処理及び撥水処理したものであり、森林保護等自然環境への負担が少ないことから断熱材として急激に普及しつつある。
セルローズファイバを住宅の壁、天井、床等の建築構成部材の断熱材として施工する主な方法としては、乾式吹き込み施工方法や湿式吹き込み施工方法が一般的である。
乾式吹き込み施工方法は、壁、天井、床等の建築構成部材に形成された空間部内にブローイング装置等により吹き込み材料としてのセルローズファイバを吹き込み充填させて断熱層を形成するものであり、空間部内に充填されたセルローズファイバ自体に無数の気泡を有すると共に絡み合ったセルローズファイバ間に空気を抱えることから優れた断熱及び防音性能が得られる。しかし、例えばセルローズファイバを充填して断熱層を形成した壁は、経時的に作用する振動によって充填したセルローズファイバが沈み込む経時的沈下現象が発生することがある。特にセルローズファイバが垂直な壁内に吹き込みされた場合にはその沈下が顕著で空間部内の上部に沈み込みによる隙間が生じて所期の断熱、防音、結露防止等の機能が達成できないおそれがある。
このセルローズファイバの沈み込みを抑えるには、例えば特許文献1に開示されるように空間部内にセルローズファイバを60kg/m3程度の吹き込み密度で吹き込む必要があり、セルローズファイバの使用量が増大すると共に、多くのセルローズファイバが吹き込まれた壁の壁面に石膏ボード等の内装材等を張設する際に、非常に多くの手間を要する。また、壁の空間部内でセルローズファイバと空気とが混在した状態で断熱層が形成されるため、セルローズファイバの吹き込み密度を60kg/m3程度以上で施工した場合でも経年によりセルローズファイバ自体の自重により圧縮された空気が離脱して経時的沈下現象が起きるおそれがある。
一方、湿式吹き込み施工方法は、壁、天井、床等の建築構成部材内の空間部内にブローイング装置等によって供給されセルローズファイバと接着剤を同時に吹き込み充填させることから、充填されたセルローズファイバ同士が接着剤で結合され、かつセルローズファイバが空間部の内面に接着剤にて結合するのでセルローズファイバの沈み込みがなく、空間部内に隙間のない連続的な断熱層が形成される。また、例えばセルローズファイバの吹き込み密度を50kg/m3程度で吹き込むことで経時的沈下が防止できることが確認されており、セルローズファイバ等の吹き込み材料の使用量が乾式吹き込み施工方法に比べ20%程度以上も少なく、セルローズファイバ等の資源の有効活用に大きく貢献できる。
特開2000−213080号公報
上記湿式吹き込み施工方法においては、接着剤とセルローズファイバ等の吹き込み材料を壁等の空間部内に吹き込み充填させることから、充填されたセルローズファイバ同士が接着剤により結合すると共にセルローズファイバが空間部の内面に結合してセルローズファイバの沈み込みがなくなり、空間部内に隙間のない断熱及び防音層が形成できる。
しかし、この湿式吹き込み施工方法は、接着剤とセルローズファイバからなる吹き込み材料を同時に空間部内に吹き込み充填させることから、その接着剤から発生する揮発性化学物質等が作業環境に影響を与えると共に、施工後においても接着剤から発生する化学物質等が室内汚染を引き起こし、居住者の健康に悪影響を与える可能性がある。
更に、セルローズファイバに接着剤が付着して固形化されることから、そのセルローズファイバと接着剤の分離が困難でありセルローズファイバの再利用、即ちリサイクルを困難にしている。また、火災時や焼却処分時に接着剤が有害物質を発生する要因となることが懸念される。
一方、施工に使用したブローイング装置に接続された接着剤の噴霧器等を洗浄した洗浄水等の排水には接着剤に含まれた化学物質が混入するおそれがあり、これらの液から化学物質を除去するための廃水処理が要求される。また、施工に際して残存した余剰の接着剤の残渣処理が要求される。
従って、かかる点に鑑みなされた本発明の目的は、経時的沈下等がなく安定した断熱、防音機能が得られ、人体への安全性が高く環境負担が軽減できる有機繊維系断熱材の湿式吹き込み施工方法、該施工方法で施工された建築構成部材及び有機繊維系断熱材の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成する請求項1に記載の有機繊維系断熱材の湿式吹き込み施工方法の発明は、建築構成部材の空間部内に吹き込み材料を吹き込み充填する湿式吹き込み施工方法において、上記吹き込み材料が、セルローズファイバ、天然接着剤、及び貝殻カルシウムからなり、上記建築構成部材の空間部内に水を噴霧しつつ上記吹き込み材料を吹き込み充填することを特徴とする。
この発明によると、建築構成部材の空間部内に吹き込み充填される吹き込み材料が、水の浸透性に優れるセルローズファイバと、水溶性の天然接着剤と、貝殻カルシウムからなり、噴霧した水が迅速かつ均一にセルローズファイバに浸透して貝殻カルシウムを含むセルローズファイバ同士及びセルローズファイバと空間部の内面が水溶性の天然接着剤によって均一に結合され、かつ乾燥固化して有機繊維系断熱材となる。
このとき噴霧した水がセルローズファイバに浸透し、かつ水溶性の天然接着剤が容易に水に溶解することから、比較的少ない水で均一に接着結合できる。この際、吹き込み材料に含まれる水分が比較的少なく従来の湿式吹き込み施工方法に比べ短時間で乾燥固化して有機繊維系断熱材が形成できる。また、水の噴霧が少量であることから吹き込まれた吹き込み材料の自重による沈下が抑制されて均一な吹き込み密度で充填できる。
また、有機繊維系断熱材はセルローズファイバ自体に無数の気泡を有すると共に絡み合ったセルローズファイバ間に空気を抱えることから優れた断熱、防音及び結露防止機能が得られると共に、経時的沈下現象の発生が有効的に防止できて吹き込み材料の吹き込み密度の低減が可能になり吹き込み材料の使用量、即ち原材料の使用量の軽減が得られる。
更に、有機繊維系断熱材に混在する貝殻カルシウムは、空気中の有害物質及び汚染物質を吸着分解する機能、消臭機能を有し、居住者の健康に悪影響を与えるシックハウス症候群の発生が抑制できる。なお、貝殻カルシウムは例えばホタテ貝等の貝殻を焼成することにより容易に得られ、水揚げされて食用に供されたホタテ貝等の残滓として発生する貝殻を再利用することで環境保全に貢献できる。
更に、有機繊維系断熱材がセルローズファイバ及び貝殻カルシウムを水溶性の天然接着剤によって結合して形成されることから、少量の接着剤が満遍なくセルローズファイバに接合されており、セルローズファイバ同士が個々の部分での接着強度は弱く安易に解織可能であり、リサイクルが容易になる。また、加水により有機繊維系断熱材のセルローズファイバが容易に水解できてリサイクルが容易になり、原材料の使用量の低減と相俟って森林保護等自然環境への負担が軽減できる。
請求項2に記載の発明は、請求項1の湿式吹き込み施工方法において、上記セルローズファイバは、古紙を解織して得られる天然木質繊維であることを特徴とする。
この発明によると、セルローズファイバが、古紙を解織して得られた天然木質繊維であり、古紙を再利用することから、森林保護等自然環境への負担が軽減できる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2の湿式吹き込み施工方法において、上記天然接着剤は、デンプン系増粘材であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1または2の湿式吹き込み施工方法において、上記天然接着剤は、セルローズ系高分子増粘材であることを特徴とする。
これら請求項3及び請求項4は天然接着剤の具体的例を示すものであって、デンプン系増粘材は例えば米、小麦、芋類等の穀物を原料とし、またセルローズ系高分子増粘材は木材等を原料とし得られ、化学物質や有害物質が混在することなく自然環境への負担が有効的に軽減できる。
請求項5に記載の建築構成部材の発明は、請求項1〜4の何れか1項に記載の湿式吹き込み施工方法で施工されたことを特徴とする。
この発明によると、有機繊維系断熱材はセルローズファイバ自体に無数の気泡を有すると共に絡み合ったセルローズファイバ間に空気を抱えることから優れた断熱、防音及び結露防止機能が得られると共に、有機繊維系断熱材に混在する貝殻カルシウムが、空気中の有害物質及び汚染物質の吸着分解機能、消臭機能を有し、居住者の健康に悪影響を与えるシックハウス症候群の発生が抑制できる。
請求項6に記載の有機繊維系断熱材の製造方法の発明は、建築構成部材の空間部内に吹き込み材料を吹き込み充填して有機繊維系断熱材を製造する製造方法において、上記吹き込み材料が、セルローズファイバ、天然接着剤、及び貝殻カルシウムからなり、上記建築構成部材の空間部内に水を噴霧しつつ上記吹き込み材料を吹き込み充填して有機繊維系断熱材を製造することを特徴とする。
この発明によると、吹き込み材料が、水の浸透性に優れるセルローズファイバと、水溶性の天然接着剤と、貝殻カルシウムからなり、噴霧した水が迅速かつ均一にセルローズファイバに浸透しかつ天然接着剤が溶解して、貝殻カルシウムを含むセルローズファイバ同士及びセルローズファイバと空間部の内面が結合され、かつ乾燥固化して有機繊維系断熱材となる。このとき噴霧する水がセルローズファイバに浸透し、水溶性の天然接着剤が容易に水に溶解することから、比較的少ない水で均一に接着結合でき、吹き込み材料に含まれる水分が比較的少なく短時間で乾燥固化して断熱、防音機能に優れ、人体への安全性が高く環境負担が軽減できる機繊維系断熱材が形成できる。
本発明によると、セルローズファイバ、天然接着剤及び貝殻カルシウムを吹き込み材料として水を噴霧することにより、迅速かつ均一にセルローズファイバに浸透しかつ天然接着剤が溶解して、貝殻カルシウムを含むセルローズファイバ同士及びセルローズファイバと空間部の内面が結合されて有機繊維系断熱材となり、断熱、防音及び結露防止機能が得られる。有機繊維系断熱材に混在する貝殻カルシウムは、空気中の有害物質及び汚染物質を吸着分解機能、消臭機能を有し、居住者の健康に悪影響を与えるシックハウス症候群の発生が抑制できる。更に、有機繊維系断熱材が化学物質や有害物質を含まず、木に近い組織を有することからリサイクルが容易であり自然環境への負担が軽減できる。
本発明の有機繊維系断熱材の湿式吹き込み施工方法、該施工方法で施工された建築構成部材及び有機繊維系断熱材の製造方法の一実施の形態を住宅等の壁に断熱施工する場合を例に図1乃至図6を参照して説明する。
図1は本実施の形態により断熱施工された建築構成部材である壁10の概要を示す要部断面斜視図、図2は図1のI−I線断面図である。
壁10は土台11と梁12との間に上下に延在する柱13が配設され、柱13の間に間柱14が間隔をおいて配置される。土台11、梁12、柱13及び間柱14の外側に外壁仕上げ材または合板や透湿シートからなる外壁下地材、本実施の形態では外壁仕上げ材15が張設される。一方、各柱13、間柱14等の内側に通気性を有する不織布等の施工用シート21が張設される。外壁仕上げ材15と施工用シート21と各柱13、間柱14とで仕切られた各空間部A内にそれぞれセルローズファイバ、天然接着剤、及び貝殻カルシウム等からなる吹き込み材料23と水が充填されて断熱層となる有機繊維系断熱材20が形成され、更に内装材16が張設される。
吹き込み材料23及び有機繊維系断熱材20を構成するセルローズファイバは、主に新聞紙や段ボール等の古紙を粗砕機や精砕機により綿状に解織して得られる天然木質繊維であり、ホウ素系防燃剤(ホウ酸、ホウ砂)等の付加により防燃処理されている。天然接着剤は、例えば米、小麦、芋類等の穀物を原料とするデンプン系増粘材或いは、木材等を原料とするセルローズ系高分子増粘材で水溶性を有する。
また、貝殻カルシウムは、有害物質及び汚染物質を吸着分解、消臭機能を有し、例えば、粉砕したホタテ貝の貝殻を焼成することで、貝殻の主成分である炭酸カルシウムが酸化カルシウムに酸化され、或いはこれが水和した水酸化カルシウムによって構成される。ホタテ貝は毎年大量に水揚げされて食用に供され、その残滓として貝殻も大量に発生するものであり、その再利用を図ることは環境保全からも重要な意義を有する。
次に、外壁仕上げ材15と施工用シート21と各柱13、間柱14とで仕切られた各空間部A内に断熱層となる有機繊維系断熱材20を形成する湿式吹き込み施工方法を図3に示すフローチャート及び図4乃至図6を参照して説明する。
先ず、予め外壁仕上げ材15及び各柱13、柱13間に配置された間柱14等によって仕切られた壁10内に電気配線及び配管等をセットしておく。次に、図4(a)に正面図を示し、同図(b)に(a)のII−II線断面図を示すように、土台11、梁12、柱13及び間柱14の内側に施工用シート21を土台12、梁12、柱13、間柱14等に打鋲等により張設する。これにより外壁仕上げ材15と施工用シート21との間が各柱13と各間柱14とによって区画された各空間部Aが形成される(ステップS1)。
次に、図5(a)に正面図を示し、同図(b)に(a)のIII−III線断面図を示すように、壁仕上げ材15と施工用シート21と各柱13と間柱14とで仕切られる各空間部Aにおいて、各空間部Aを仕切っている施工用シート21に上下方向に離れて後述するブローイング装置の吹き込みノズル31を挿入するための複数、本実施の形態では各空間部Aに対し第1吹き込み穴22a、第2吹き込み穴22b、第3吹き込み穴22c、第4吹き込み穴22dの4個の吹き込み穴を切欠形成する(ステップS2)。この各吹き込み穴22a〜22dは張設された施工用シート21にカッタナイフ等によって切れ目を入れることによって容易に形成できる。
そして、図6に示すように、最下方の第1吹き込み穴22aにブローイング装置の吹き込みノズル31を差し込んで、水を噴霧すると共に上記セルローズファイバ、天然系接着剤及び貝殻カルシウム等が混在する吹き込み材料23を、例えば通常の湿式吹き込み工法と同様に50kg/m3程度の吹き込み密度で空間部Aの容積の約4分の1程度まで吹き込み、空間A内に堆積させる(ステップS3)。
ここで、吹き込み材料23が、毛細管現象による水の浸透性に優れた天然木質繊維のセルローズファイバと、水溶性の天然接着剤と、貝殻カルシウムが混在し、比較的少量の水を噴霧することにより溶ける天然接着剤により効率よく貝殻カルシウムを含むセルローズファイバ同士及びセルローズファイバと柱13、間柱14、外壁仕上げ材15、施工用シート21等の空間部Aの内面と結合する。また、水の噴霧量が少量であることから吹き込み材料23の自重が過剰に増大することなく自重による施工中の沈下が抑制されて均一な吹き込み密度で堆積させることができる。
次に、同様に第1吹き込み穴22aの上方に形成された第2吹き込み穴22bにブローイング装置の吹き込みノズル31を差し込んで、同様に水を噴霧すると共に吹き込み材料23を第1吹き込み穴21aから吹き込まれ堆積した吹き込み材料23上に吹き込み空間部Aの容積の約2分の1程度まで吹き込み堆積させる(ステップS4)。
更に上方の第3吹き込み穴22cにブローイング装置の吹き込みノズル31を差し込んで、水を噴霧すると共に吹き込み材料23を吹き込み空間部Aの容積の約4分の3程度まで吹き込み堆積させる(ステップS5)。更に最上の第4吹き込み穴22dにブローイング装置の吹き込みノズル31を差し込んで、水を噴霧すると共に吹き込み材料23を吹き込み、空間部A内全体を吹き込み材料23で充填させる(ステップS6)。
このように吹き込み材料23の吹き込みを、最下方の第1吹き込み穴22aから全体の約4分の1の量を空間部Aに吹き込みと、第2吹き込み穴22bから全体の約4分の1の量を空間部Aに吹き込みと、第3吹き込み穴22bから全体の約4分の1の量を空間部Aに吹き込みと、最上方の第4吹き込み穴22dから全体の約4分の1の量を空間部Aに吹き込みとの4段階に分けて行うようにしているので、壁10の空間部Aの全体に吹き込み材料23を均一な密度で吹き込むことができる。
壁10の空間部A内に吹き込み充填された水の浸透性に優れる天然木質繊維のセルローズファイバと水溶性の天然接着剤、及び貝殻カルシウムが混在することから、噴霧した水が迅速かつ均一にセルローズファイバに浸透しかつ天然接着剤が溶解して、貝殻カルシウムを含むセルローズファイバ同士及びセルローズファイバと土台11、梁12、柱13、間柱14、外壁仕上げ材15、施工用シート21等の壁構造体と結合すると共に乾燥固化して有機繊維系断熱材20となる。この吹き込み材料23は、空間部A内に吹き込む際、噴霧する水が毛細管現象等によりセルローズファイバに迅速に浸水し、かつ水溶性の天然接着剤が容易に溶解することから比較的少ない水で均一に接着でき、従来の湿式吹き込み施工方法に比べ短時間で乾燥して有機繊維系断熱材20が形成できる。
しかる後、柱13、間柱14等に有機系断熱材20を覆う内装材16が張設されて壁10が形成される。なお、この内装材16の張設は、空間部A内に充填された吹き込み材料23に含まれる水分が比較的少なく、吹き込み材料23が十分に乾燥しない未乾燥の状態で内装材16を張設することもできる。
以上のように本実施の形態によると、貝殻カルシウムを含む天然木質繊維のセルローズファイバ及び天然接着剤からなる吹き込み材料23を、水を噴霧しつつ外壁仕上げ材15と施工用シート21と各柱13、間柱14とで仕切られた各空間部Aに吹き込み堆積させて有機繊維系断熱材20を形成することから、少量の水を噴霧することにより効率よく貝殻カルシウムを含むセルローズファイバ同士が均等に結合でき、かつセルローズファイバと柱13、間柱14、外壁仕上げ材15、施工用シート21等の壁構造体と結合する。また、水の噴霧が少量であることから吹き込まれた吹き込み材料23の自重による施工中の沈下が抑制されて均一に堆積させることができる。更に、水を噴霧しつつ吹き込み材料23を吹き込むことから、吹き込み材料23を空間部A内に吹き込みに伴う粉塵の飛散が抑制され良好な作業環境が確保できる。
また、この有機繊維系断熱材20は、天然接着剤によって貝殻カルシウムを含むセルローズファイバ同士が互いに接着結合され、かつ柱13、間柱14、外壁仕上げ材15等の壁構造体と結合して空間部A内に充填され、有機繊維系断熱材20は解織されたセルローズファイバ自体に無数の気泡を有すると共に絡み合ったセルローズファイバ間に空気を抱えることから優れた断熱、吸音及び結露防止機能が得られると共に、経時的に壁10に作用する振動によって有機繊維系断熱材20が沈み込む経時的沈下現象が発生することがなく安定した断熱及び防音機能が維持される。また、有効的に経時的沈下現象が回避できることから、吹き込み材料23の吹き込み密度を抑制することができ、吹き込み材料23の使用量、即ちセルローズファイバ等の原材料の使用量の軽減が得られる。
更に、有機繊維系断熱材20は通気性を有し有機繊維系断熱材20に混在する貝殻カルシウムは、空気中の有害物質及び汚染物質を吸着分解機能、消臭機能、有害物質及び汚染物質の除去または低減機能を備え、居住者の健康に悪影響を与えるシックハウス症候群の発生が有効的に抑制できる。
更に、有機繊維系断熱材20が天然木質繊維であるセルローズファイバを水溶性のデンプン系増粘材或いはセルローズ系高分子増粘材等の天然接着剤によって結合して形成されることから、少量の接着剤が満遍なくセルローズファイバに接合されているためセルローズファイバ同士の個々の部分での接着強度は弱く安易に解織可能であり、リサイクルが容易になる。また、加水により有機繊維系断熱材20のセルローズファイバが容易に水解できてリサイクルが容易になり、原材料の使用量の低減と相俟って森林保護等自然環境への負担が軽減できる。
一方、天然木質繊維であるセルローズファイバ及び天然接着剤で形成される有機繊維系断熱材20は、木の状態に近い組織で構成され、火災時や消却処分にあたっても有機繊維系断熱材20からダイオキシン等の有害物質の発生がなく、環境負担の要因を低減することができる。
更に、施工に際して残存した余剰の吹き込み材料23、いわゆる残渣には有害物質となる化学物質が混在することなく、焼却処理等によってもダイオキシン等の有害物質が発生せず、安全性に優れ人体や自然汚染の要因となることはない。
また、有機繊維系断熱材20や残渣は、天然木質繊維であるセルローズファイバ、水溶性のデンプン系増粘材或いはセルローズ系高分子増粘材等の天然接着剤、及び貝殻カルシウムによって構成され、木の状態に近い組織で構成されることから、例えば土壌に埋設する等により生分解性を受け形状が破壊して土壌化し、環境への負荷を伴うことなく処理することができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば上記実施の形態では各空間部Aに対し、施工用ネット21に第1〜第4吹き込み穴22a〜22dの全ての吹き込み穴を切り欠き形成した後に、順に第1吹き込み穴22a、第2吹き込み穴22b、第3吹き込み穴22c、第4吹き込み穴22dから吹き込み材料23を吹き込み充填したが、第1吹き込み穴22aを切り欠き、かつ第1吹き込み穴22aから吹き込み材料23を吹き込み充填した後、第2吹き込み穴22bを切り欠き、第2吹き込み穴22bから吹き込み材料23を吹き込み充填する等吹き込む穴の切り欠き形成と吹き込み材料23の吹き込みを交互に繰り返して吹き込み材料23を壁10の空間部Aに充填することもできる。なお、この吹き込み穴の数は空間部Aの大きさ等によって適宜変更できる。
上記実施の形態では、貝殻カルシウムとしてホタテ貝の貝殻を焼成して生成したが、ホタテ貝に限らず他の貝殻、例えば牡蠣等他の貝殻を焼成して生成することもできる。また、上記実施の形態では住宅等の建物の壁に有機繊維系断熱材を吹き込む形成する場合を例に説明したが、天井、床等の他の建築構成部材等の有機繊維系断熱材を吹き込み形成する場合に適用することができる。
本実施の形態により断熱施工され壁の概要を示す要部断面斜視図である。 図1のI−I線断面図である。 本実施の形態における吹き込み施工方法の作業手順を示すフローチャートである。 吹き込み施工方法を説明する図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のII−II線断面図である。 同じく、吹き込み施工方法を説明する図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のIII−III線断面図である。 同じく、吹き込み施工方法を説明する図である。
符号の説明
10 壁(建築構成部材)
11 土台
12 梁
13 柱
14 間柱
15 外壁仕上げ材または合板や透湿シートからなる外壁下地材
21 施工用シート
22a 第1吹き込み穴
22b 第2吹き込み穴
22c 第3吹き込み穴
22d 第4吹き込み穴
23 吹き込み材料
25 有機繊維系断熱材
31 ブローイング装置の吹き込みノズル
A 空間部

Claims (6)

  1. 建築構成部材の空間部内に吹き込み材料を吹き込み充填する湿式吹き込み施工方法において、
    上記吹き込み材料が、セルローズファイバ、天然接着剤、及び貝殻カルシウムからなり、上記建築構成部材の空間部内に水を噴霧しつつ上記吹き込み材料を吹き込み充填することを特徴とする有機繊維系断熱材の湿式吹き込み施工方法。
  2. 上記セルローズファイバは、古紙を解織して得られる天然木質繊維であることを特徴とする請求項1に記載の有機繊維系断熱材の湿式吹き込み施工方法。
  3. 上記天然接着剤は、デンプン系増粘剤であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機繊維系断熱材の湿式吹き込み施工方法。
  4. 上記天然接着剤は、セルローズ系高分子増粘剤であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機繊維系断熱材の湿式吹き込み施工方法。
  5. 上記請求項1〜4の何れか1項に記載の湿式吹き込み施工方法で施工されたことを特徴とする建築構成部材。
  6. 建築構成部材の空間部内に吹き込み材料を吹き込み充填して有機繊維系断熱材を製造する製造方法において、
    上記吹き込み材料が、セルローズファイバ、天然接着剤、及び貝殻カルシウムからなり、上記建築構成部材の空間部内に水を噴霧しつつ上記吹き込み材料を吹き込み充填して有機繊維系断熱材を製造することを特徴とする有機繊維系断熱材の製造方法。
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