図1は、この実施の形態に係る高圧洗浄機の制御装置を搭載した高圧洗浄機の本体の平面図である。また、図2は、図1に示す高圧洗浄機の本体の側面図である。
図1および図2において、符号10は高圧洗浄機を示す。高圧洗浄機10は、プレート12に載置され、固定される。
高圧洗浄機10は、エンジン(内燃機関)14と、エンジン14で駆動される発電機16と、洗浄水(具体的には、水)が貯留される貯水槽18と、エンジン14で駆動されるポンプ20とを備える。エンジン14は、リコイルスタータ22を備え、操作者(作業者)によって手動で始動される。尚、図1および図2で符号24は、燃料タンクを示す。
図3は、エンジン14の説明断面図である。
エンジン14は、1個の気筒(シリンダ)28を備え、その内部にピストン30が往復動自在に収容される。ピストン30の頭部と気筒壁面の間には燃焼室32が形成されると共に、燃焼室32を臨む位置には吸気バルブ34と排気バルブ36が配置され、燃焼室32と吸気路38あるいは排気路40の間を開閉する。尚、エンジン14は、具体的にはガソリンを燃料とする空冷4サイクルの単気筒OHV型の内燃機関であり、163ccの排気量を備える。
ピストン30はクランク軸14Sに連結され、クランク軸14Sはギヤを介してカム軸44と連結される。また、クランク軸14Sの一端にはフライホイール46が取り付けられると共に、フライホイール46の先端側には前記したリコイルスタータ22が取り付けられる。尚、クランク軸14Sの他端には、後述するエンジン側プーリおよび発電機16が接続される。
また、吸気路38の上流にはスロットルボディ48が配置される。尚、図3において、スロットルボディ48を収容するスロットルボディカバー(後述)は省略した。
スロットルボディ48にはスロットルバルブ50が収容され、スロットルバルブ50はスロットル軸と減速ギヤ機構(共に図示せず)を介して電動モータ(アクチュエータ。具体的には、ステッピングモータ)52に接続される。また、スロットルボディ48においてスロットルバルブ50の上流側には、キャブレタ・アシー(図示せず)が設けられる。キャブレタ・アシーは、前記した燃料タンク24に接続され、スロットルバルブ50の開度に応じて吸入された空気にガソリン燃料を噴射して混合気を生成する。生成された混合気は、スロットルバルブ50、吸気路38および吸気バルブ34を通って気筒28の燃焼室32に吸入される。
電動モータ52の付近にはスロットル開度センサ(スロットル開度検出手段)54が配置され、スロットルバルブ50の開度θTH(以下「スロットル開度」という)に応じた信号を出力する。また、フライホイール46の付近には電磁ピックアップからなるクランク角センサ(エンジン回転数検出手段)56が配置され、所定クランク角度ごとにパルス信号を出力する。
スロットル開度センサ54、クランク角センサ56などの各種センサの出力は、ECU(Electronic Control Unit。電子制御ユニット)60に入力される。尚、ECU60は、CPU,ROM,RAMおよびカウンタを備えたマイクロコンピュータからなり、スロットルボディ48付近に配置される。
図1および図2の説明に戻ると、エンジン14の上方には、前記したスロットルボディカバー62が配置され、その内部にはスロットルボディ48、ECU60および図示しないエアクリーナが収容される。
また、エンジン14の近傍には、マフラー64が配置される。マフラー64は前記した排気管40に接続され、エンジン14の排気音を低減させる。
エンジン14のクランク軸14Sは、エンジン側プーリ66に巻き掛けられたベルト68を介し、ポンプ20の駆動軸20Sに取り付けられたポンプ側プーリ70と接続される。従って、ポンプ20は、ベルト68によってエンジン14の回転出力が駆動軸20Sに伝達されて駆動される。
また、ポンプ20には吸入側配管74が接続される。吸入側配管74の一端はポンプ20の吸水口76に接続されると共に、その他端は貯水槽18に接続される。従って、吸入側配管74はポンプ20に供給される水の流路となる。
ポンプ20の吐出口(図1,2で見えず)には、ポンプ20で加圧された水の流路である吐出側配管78の一端が接続される。また、吐出側配管78の他端には高圧ホース80が接続されると共に、高圧ホース80の端部には洗浄ガン(放水部。図1,2で図示せず)が接続される。
吐出側配管78の途中には、調圧機能を備えたアンロード弁(無負荷弁)82を介して還流配管84の一端が接続されると共に、還流配管84の他端は吸入側配管74の途中にT型継手86を介して接続される。即ち、還流配管84は吐出側配管78から分岐されて吸入側配管74に接続される。
次いで、高圧ホース80の端部に接続される洗浄ガンについて説明する。
図4は、高圧洗浄機の洗浄ガンの左側面図である。
図4において、符号90は洗浄ガンを示す。洗浄ガン90は、把持部92、フォアグリップ94および水が放出される放出部96からなる。把持部92は、操作者によって把持されるグリップ98を備えると共に、グリップ98に対して移動自在なトリガ100を備える。さらに、グリップ98の端部(底面)には高圧ホース接続口102が設けられ、高圧ホース80の端部に接続される。
また、把持部92の適宜位置、具体的には、グリップ98の上部付近には、エンジン14の回転数(アイドリング回転数よりも高く設定された第1の所定回転数)を変更(調整)するボリューム(エンジン回転数変更指示入力手段)104が設けられる。
ボリューム104の付近にはボリュームセンサ106が配置され、操作者によってボリューム104を介して入力されたエンジン回転数(第1の所定回転数)に応じた信号をECU60へ出力する。
また、放出部96はバレル(銃身)110を備える。バレル110は、加圧された水を圧送する流路(図示せず)を内部に有し、流路の一端は把持部92に接続されると共に、他端には水が噴出(放出)されるノズル112が取り付けられる。さらに、バレル110の適宜位置にはフォアグリップ94が下向きに取り付けられる。
ここで、洗浄ガン90の動作について簡単に説明すると、洗浄ガン90の内部には前記した高圧ホース接続口102とノズル112を連通する流路が設けられると共に、その流路内にはトリガ100の動作と機械的に連動して前記流路を開閉するニードル弁(図示せず)が設けられる。ニードル弁は、操作者によってトリガ100が図4の矢印A方向に操作されたときに開弁して前記流路と外部(大気)を連通させる一方、トリガ100が操作されていないときに閉弁して前記流路を密閉(封止)する。
図1および図2の説明に再度戻ると、エンジン14のクランク軸14Sには、発電機16が接続される。従って、発電機16は、エンジン14の回転出力が伝達されて駆動し、交流電流を発電する。発電された交流電流は、図示しない処理回路を介して直流電流に変換された後、ECU60や図示しない点火回路などに動作電源として供給されると共に、後述する貯水槽18のヒータに通電される。尚、発電機16はロータとステータ(図示せず)とからなる公知の交流発電機であり、詳細な説明は省略する。
貯水槽18には給水配管116が接続される。給水配管116の一端は貯水槽18の上部付近に接続されると共に、その他端は水道などの水源(図示せず)に接続される。従って、給水配管116は貯水槽18に供給される水の流路となる。
また、貯水槽18の下部付近には、前記した吸入側配管74が接続される。さらに、貯水槽18の内部には、発電機16に接続されたヒータ(加熱手段)118が配設される。ヒータ118は、図示は省略するが、ニクロム線などの発熱線と、それを被覆する絶縁材および保護管などからなり、発電機16で発電された電流が発熱線に通電されたときに発熱する電熱器である。従って、給水配管116から貯水槽18に供給された(流入した)水は、貯水槽18に貯留されつつヒータ118によって加熱される。
また、貯水槽18の適宜位置には水温センサ120が配置され、貯水槽18に貯留された水の温度(水温)Tに応じた信号をECU60へ出力する。
次いで、上記の如く構成された高圧洗浄機10における放水作業時および放水作業停止時の水の流れについて説明する。
図5は、放水作業時の水の流れを示す模式図であり、図6は作業停止時のそれである。
放水作業を行うために操作者によって洗浄ガン90のトリガ100が操作されると、貯水槽18に貯留された水は、図5に示す如く、吸入側配管74、T型継手86、ポンプ20、第1の吐出側配管78a、アンロード弁82、第2の吐出側配管78bおよび高圧ホース80を介して洗浄ガン90へ圧送され、洗浄ガン90のノズル112から放水(噴射)される。即ち、ポンプ20に負荷が作用する状態(ポンプ負荷状態)となる。尚、ポンプ20からアンロード弁82までの吐出側配管78を第1の吐出側配管78aとし、アンロード弁82から高圧ホース80との接続位置までのそれを第2の吐出側配管78bとした。
一方、放水作業の停止時(即ち、操作者によって洗浄ガン90のトリガ100が操作されていないとき)は、前述の如く洗浄ガン90のニードル弁によって流路が密閉され、よって流路内の水圧(流路からアンロード弁82までの間にある洗浄水の圧力)が急激に上昇する。この水圧の上昇により、アンロード弁82が動作し(具体的には、アンロード弁82の内部に配置される逆止弁が閉じ、アンロード弁82のリリーフ弁に連結されたピストン(いずれも図示せず)が押し上げられ)、第1の吐出側配管78aと還流配管84を連通させると共に、第1の吐出側配管78aと第2の吐出側配管78bを連通させる流路を閉じる。これにより、水は、図6に示す如く、吸入側配管74、ポンプ20、第1の吐出側配管78a、アンロード弁82、還流配管84およびT型継手86を循環させられる。即ち、水が各配管内を循環しているに過ぎないため、ポンプ20に作用する負荷がほとんどない状態、即ち、ポンプ無負荷状態となる。
次いで、高圧洗浄機10のECU60におけるエンジン回転数制御を、図7を参照して説明する。
図7は、高圧洗浄機のエンジン回転数制御の構成を機能的に示すブロック図である。
ECU60には、スロットル開度センサ54、クランク角センサ56および水温センサ120の出力が入力される。
ECU60は、クランク角センサ56の出力パルスをカウントしてエンジン回転数NEを検出(算出)し、検出されたエンジン回転数NE、スロットル開度θTHおよび水温Tに基づき、エンジン回転数NEが目標エンジン回転数NED(後述)に一致するように電動モータ52の通電指令値を算出すると共に、算出した通電指令値を電動モータ52に出力してその駆動を制御する。
さらに、ECU60には、操作者によってボリューム104(換言すれば、ボリュームセンサ106)を介して操作者が所望するエンジン回転数(第1の所定回転数)NEDaが入力される。
このように、この実施例に係る高圧洗浄機10は、電動モータ52を含むスロットルボディ48、ECU60および各種センサなどからなる電子制御式のスロットル装置(電子ガバナ)によってスロットルバルブ50を開閉し、エンジン14の吸入空気量を調量することによってエンジン回転数NEを目標エンジン回転数NEDに制御すると共に、目標エンジン回転数NEDを操作者によって入力された第1の所定回転数NEDaに変更することで、エンジン回転数NEを調整できるようにした。
次いで、図8以降を参照してこの実施例に係る高圧洗浄機の制御装置の動作、具体的には、目標エンジン回転数NEDの設定処理について説明する。
図8は、その動作を示すフローチャートである。図示のプログラムは、ECU60において所定の周期(例えば、20[msec])ごとに実行される。
以下説明すると、先ずS10において、エンジン回転数NEを検出すると共に、検出したエンジン回転数NEをECU60のRAMに格納(保存)する。次いでS12に進み、エンジン回転数NEの検出値が所定サイクル分(例えば、10サイクル分)格納されたか否か判断する。S12で否定されるときは以降の処理をスキップする一方、肯定されるときはS14に進み、エンジン回転数平均値NEavgを算出する。エンジン回転数平均値NEavgは、格納した所定サイクル分(10サイクル分)のエンジン回転数NEの平均値である。
次いでS16に進み、スロットル開度θTHの現在値を検出すると共に、S18に進んで貯水槽18の水温Tを検出する。次いでS20に進んで操作者によってボリューム104を介して入力された第1の所定回転数NEDa(アイドリング回転数よりも高く設定されたエンジン回転数。例えば、3600[rpm])を検出する。
次いでS22に進み、エンジン14の目標エンジン回転数NEDが第2の所定回転数NEDi(アイドリング回転数。例えば、2000[rpm]とする)に設定されているか否か判断する。尚、目標エンジン回転数NEDは、ECU60の起動時に第2の所定回転数NEDiに設定されることから、ここでの判断は通常肯定される。
S22で肯定されるときは、S24に進み、エンジン出力OPがしきい値OP1以上か否か、換言すれば、高圧洗浄機10が放水作業を実行しているか否か検出する。
ここで、放水作業が実行されているか否か、別言すれば、ポンプ20がポンプ負荷状態およびポンプ無負荷状態のいずれであるかの判断について概説する。
図9は、放水作業時(ポンプ負荷状態)および放水作業停止時(ポンプ無負荷状態)のエンジン回転数NEに対するエンジン出力OPの特性を示すグラフである。尚、エンジン出力OPは、エンジン負荷を表す値(パラメータ)である。
エンジン回転数NEに対するエンジン出力OPの特性は、図9に示す如く、放水作業時(ポンプ負荷状態)と放水作業停止時(ポンプ無負荷状態)で大きく異なる(2極化されている)。この特性に基づいて、エンジン出力OPがしきい値OP1(例えば、1.0[PS]とする)以上か否かを判断することで、放水作業時であるか否か(ポンプが負荷状態あるいはポンプ無負荷状態のいずれであるか)を判断するようにした。
図10は、エンジン出力OPがしきい値OP1のときにおける、第2の所定回転数NEDi(アイドリング回転数)からNEDmax(第1の所定回転数NEDaが取り得る最大値)までのエンジン回転数NEに対するスロットル開度θTHの特性を示すグラフである。
図10に示す如く、エンジン出力OPが一定の値(所定値。例えば、しきい値OP1)であるときのエンジン回転数NEに対するスロットル開度θTHは、予め実験を通じてマップ化することができる。即ち、現在のエンジン回転数NEから、エンジン出力OPがしきい値OP1であるときのスロットル開度を求めることができる。例えば、エンジン回転数NEが第2の所定回転数NEDi(アイドリング回転数)であるときのスロットル開度はθTHref(以下「スロットル開度しきい値θTHref」という)となる。
そこで、この実施例では現在のスロットル開度θTHと前記スロットル開度しきい値θTHrefを比較し、スロットル開度θTHがスロットル開度しきい値θTHref以上であれば、現在のエンジン出力OPがしきい値OP1以上であると推定するようにした。一方、スロットル開度しきい値θTHref未満であれば、現在のエンジン出力OPがしきい値OP1未満であると推定するようにした。尚、エンジン回転数NEが第1の所定回転数NEDaであるときも同様に、図示の特性からスロットル開度しきい値θTHrefを求めることができる。
図8の説明に戻ると、S24において前述した如く、エンジン回転数平均値NEavg(概略的には、エンジン回転数NE)およびスロットル開度θTHに基づいてエンジン出力OPがしきい値OP1以上か否か、即ち、放水作業が実行されているか否かを判断する。
S24で肯定されるとき(放水作業が実行されていると判断されるとき)はS26に進み、エンジン出力OPが第1の所定時間t1にわたって(継続して)しきい値OP1以上であるか否か判断する。尚、この判断は、S24で肯定されたときに図示しない別のプログラムでカウンタをスタートさせ、そのカウンタ値が第1の所定時間t1(例えば、1[sec])に達したか否か確認することによって行われる。
S26で肯定されるときはS28に進み、目標エンジン回転数NEDをS20で検出した第1の所定回転数NEDaに変更する(上昇させる)。これにより、ECU60は、エンジン回転数NEが変更された目標エンジン回転数NEDに一致するように電動モータ52の駆動を制御し、よってエンジン回転数NEを上昇させる。
一方、S24あるいはS26で否定されるときはS30に進み、S18において検出された水温Tが第1の所定値T1(例えば、70℃)未満か否か判断する。
S30で否定されるときは、水温Tが必要最低温度である第1の所定値T1に達しているため、S28の処理をスキップして目標エンジン回転数NEDを第2の所定回転数NEDiに維持する一方、肯定されるときは、水温Tが必要最低温度より低いため、発電機16の交流電流をヒータ118に通電し続ける必要があることから、S28に進み、目標エンジン回転数NEDを第1の所定回転数NEDaに変更して(上昇させて)エンジン回転数NEを上昇させる。
即ち、少なくとも放水作業が第1の所定時間t1継続して実行されていると判断されているとき、および検出された水温Tが第1の所定値T1未満のときのいずれかである場合に限って、目標エンジン回転数NEDを第1の所定回転数NEDaに変更するようにした。
S28で目標エンジン回転数NEDが第1の所定回転数NEDaに変更されると、次回のプログラム実行時はS22で否定されてS32に進み、エンジン出力OPがしきい値OP1未満か否か、即ち、放水作業が停止された(実行されていない)か否かを判断する。
S32で否定されるとき(放水作業が実行されていると判断されるとき)は以降の処理をスキップし、目標エンジン回転数NEDを第1の所定回転数NEDaに維持する一方、S32で肯定されるとき(放水作業が実行されていないと判断されるとき)はS34に進み、第2の所定時間t2にわたって(継続して)エンジン出力OPが所定値OP1未満か否か判断する。尚、この判断もS26同様に、S32で肯定されたときにスタートするカウンタのカウンタ値が第2の所定時間t2(例えば、1[sec])に達したか確認することによって行われる。
S34で否定されるときは、目標エンジン回転数NEDを第1の所定回転数NEDaに維持する一方、肯定されるときはS36に進み、検出された水温Tが第2の所定値T2(第1の所定値(70℃)よりも高く設定された所定値。例えば、80℃)以上か否か判断する。
S36で肯定されるときは、水温Tが必要最高温度である第2の所定値T2に達しているため、ヒータ118へ供給される交流電流を停止、あるいは低減させることができるので、S38に進み、目標エンジン回転数NEDを第2の所定回転数NEDi(アイドリング回転数)に変更する(下降させる)。これにより、ECU60は、エンジン回転数NEが変更された目標エンジン回転数NEDに一致するように電動モータ52を制御し、よってエンジン回転数NEが下降する。
一方、S36で否定されるときは、水温Tが第2の所定値T2に達していないため、発電機16の交流電流をヒータ118に通電し続けることが可能であるから、目標エンジン回転数NEDを第1の所定回転数NEDaに維持する。
即ち、放水作業が第2の所定時間t2継続して実行されていないと判断され、かつ検出された水温Tが第2の所定値T2以上のときに限って、目標エンジン回転数NEDを第2の所定回転数NEDiに変更するようにした。
このように、第1実施例にあっては、少なくとも放水作業が実行されていると判断されているとき、および検出された水温Tが第1の所定値T1未満のときのいずれかである場合、エンジンの回転数NEが第1の所定回転数NEDaとなるようにエンジン14のスロットルバルブ50を開閉する電動モータ52の駆動を制御すると共に、放水作業が実行されていないと判断され、かつ水温Tが第1の所定値T1よりも高く設定された第2の所定値T2以上のとき、エンジンの回転数NEが第1の所定回転数NEDaよりも低く設定された第2の所定回転数NEDiとなるように電動モータ52の駆動を制御するように構成したので、放水作業の実行と停止および放水作業に使用される水の温度を検出し、その検出結果に応じてエンジン回転数を制御することができるため、例えば放水作業停止時であって水が十分昇温したとき、エンジン回転数NEを下降させることができる、即ち、エンジン14の出力が過大となることがなく、よって燃費を向上させつつ騒音を低減させることができる。
また、エンジン14の出力OPを検出されたエンジン回転数NEとスロットル開度θTHに基づいて推定し、推定されたエンジンの出力OPがしきい値OP1以上のとき、放水作業が実行されていると判断するように構成したので、放水作業が実行されているか否かをより正確に判断することができる。
また、放水作業が第1の所定時間T1継続して実行されていると判断されるとき、または水温Tが第1の所定値T1未満のとき、エンジンの回転数NEが第1の所定回転数NEDaとなるように電動モータ52の駆動を制御すると共に、放水作業が第2の所定時間T2継続して実行されていないと判断され、かつ水温Tが第2の所定値T2以上のとき、エンジン回転数NEが前記第2の所定回転数NEDiとなるように電動モータ52の駆動を制御するように構成したので、放水作業が実行されているか否かを精度良く判断することができる、即ち、エンジン出力OPの一時的な変動(燃料溜りなどに起因する偶発的な変動)に基づいて放水作業が実行されているか否かを判断することがなく、よって放水作業の実行と停止に応じたエンジン回転数NEの切り換えをより的確に行うことができる。さらには、エンジン回転数NEが頻繁に切り替わる(ハンチングが生じる)のを防止することができる。
また、洗浄ガン90に取り付けられて操作者によって操作可能なボリューム104を備え、ボリューム104からエンジン回転数変更指示が入力されたとき、第1の所定回転数NEDaを変更するように構成したので、操作者が放水作業を行いながら第1の所定回転数NEDaを変更(即ち、所望の水量(水圧)に変更)することができ、よって作業性を向上させることができる。さらには、スロットル開度θTHを電動モータ52によって調整するようにしたことから、エンジン回転数NEを精度よく第1の所定回転数NEDaに一致させることができ、よって第1の所定回転数NEDa(換言すれば、水量(水圧))を微調整することが可能となって作業性をより一層向上させることができる。
次いで、この発明の第2実施例に係る高圧洗浄機の制御装置について説明する。
図11は、第2実施例に係る高圧洗浄機のエンジン回転数制御の構成を機能的に示すブロック図である。尚、以下の説明において、第1実施例と共通の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
第2実施例に係る高圧洗浄機10にあっては、図示は省略するが、第1実施例の水温センサ120に代えて水温スイッチ124を貯水槽18に配置するように構成した。水温スイッチ124は、水温Tが第2の所定値T2(例えば、80℃)に上昇したときにオン信号を出力し、その後水温Tが第1の所定値T1(例えば、70℃)まで下降したときにオフ信号を出力する。水温スイッチ124から出力されたオン/オフ信号は、図11に示すように、ECU60に入力される。
次いで、第2実施例に係る高圧洗浄機の制御装置の動作について説明する。
図12は、その動作を示すフローチャートであり、ECU60において所定の周期(例えば、20[msec])ごとに実行される。
S100からS128までは第1実施例のS10からS28と同様の処理を行うので説明を省略する。尚、第2実施例においては、水温センサ120が除去されるため、第1実施例におけるS18に相当する処理も除去される。
S124あるいはS126で否定されるときはS130に進み、水温スイッチ124(図12において「水温SW」と示す)がオン信号を出力しているか否か判断する。
S130で肯定されるときは、水温Tが第2の所定値T2(80℃)に達し、その後水温Tが第1の所定値T1(70℃)まで下降していないと判断することができるため、S128の処理をスキップして目標エンジン回転数NEDを第2の所定回転数NEDiに維持する。
一方、S130で否定されるときは、水温Tが第2の所定値T2に未だ達していないとき、および水温Tが第2の所定値T2に達し、その後水温Tが第1の所定値T1まで下降したときのいずれかであると判断することができるため、発電機16の交流電流をヒータ118に通電し続ける必要があることから、S128に進み、目標エンジン回転数NEDを第1の所定回転数NEDaに変更して(上昇させて)エンジン回転数NEを上昇させる。
即ち、少なくとも放水作業が第1の所定時間t1継続して実行されていると判断されているとき、および水温センサ124がオフ信号を出力するときのいずれかである場合に限って、目標エンジン回転数NEDを第1の所定回転数NEDaに変更するようにした。
S128で目標エンジン回転数NEDが第1の所定回転数NEDaに変更されると、次回のプログラム実行時はS122で否定されてS132およびS134に進み、第1実施例のS32およびS34と同様の処理、即ち、放水作業が第2の所定時間t2継続して実行されていないか否かを判断する。S132およびS134において、いずれも肯定されるときは、S136に進み、前述したS130同様、水温スイッチ124がオン信号を出力しているか否か判断する。
S136で否定されるときは、水温Tが第2の所定値T2に未だ達していないとき、および水温Tが第2の所定値T2に達し、その後水温Tが第1の所定値T1まで下降したときのいずれかであると判断することができる。従って、発電機16の交流電流をヒータ118に通電し続ける必要があることから、後述するS138の処理をスキップして目標エンジン回転数NEDを第1の所定回転数NEDaに維持する。
一方、S136で肯定されるときは、水温Tが第2の所定値T2(80℃)に達し、その後水温Tが第1の所定値T1(70℃)まで下降していないと判断することができるため、ヒータ118へ供給される交流電流を停止、あるいは低減させることができることから、S138に進み、目標エンジン回転数NEDを第2の所定回転数NEDiに変更して(下降させて)エンジン回転数NEを下降させる。
即ち、放水作業が第2の所定時間t2継続して実行されていないと判断され、かつ水温センサ124がオン信号を出力するときに限って、目標エンジン回転数NEDを第2の所定回転数NEDiに変更するようにした。
このように、第2実施例にあっては、放水作業が第1の所定時間t1継続して実行されていると判断されているとき、および水温センサ124がオフ信号を出力するときのいずれかである場合、エンジンの回転数NEが第1の所定回転数NEDaとなるようにエンジン14のスロットルバルブ50を開閉する電動モータ52の駆動を制御すると共に、放水作業が第2の所定時間t2継続して実行されていないと判断され、かつ水温センサ124がオン信号を出力するとき、エンジンの回転数NEが第1の所定回転数NEDaよりも低く設定された第2の所定回転数NEDiとなるように電動モータ52の駆動を制御するように構成したので、放水作業の実行と停止および放水作業に使用される水の温度を検出し、その検出結果に応じてエンジン回転数を制御することができるため、例えば放水作業停止時であって水が十分昇温したとき、エンジン回転数NEを下降させることができる、即ち、エンジン14の出力が過大となることがなく、よって燃費を向上させつつ騒音を低減させることができる。
尚、残余の効果は第1実施例と同様であるので、説明を省略する。
次いで、この発明の第4実施例に係る高圧洗浄機の制御装置について説明する。
図15は、第4実施例に係る高圧洗浄機のエンジン回転数制御の構成を機能的に示すブロック図である。
第4実施例に係る高圧洗浄機の制御装置は、図15に示す如く、第3実施例の水温センサ120に代えて第2実施例の特徴である水温スイッチ124を貯水槽18に配置するように構成したものである。尚、以下の説明において、第2実施例および第3実施例と共通の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
第4実施例に係る高圧洗浄機のECU60には、ボリュームセンサ106および水温スイッチ124およびトリガスイッチ126の出力が入力されると共に、ECU60は、これらの入力された出力に基づき、エンジン回転数NEが目標エンジン回転数NEDに一致するように電動モータ52の通電指令値を算出すると共に、算出した通電指令値を電動モータ52に出力してその駆動を制御する。
次いで、図16および図17を参照して第4実施例に係る高圧洗浄機の制御装置の動作について説明する。
図16は、その動作を示すフローチャートであり、ECU60において所定の周期(例えば、20[msec])ごとに実行される。また、図17は、水温スイッチ124およびトリガスイッチ126の出力に対する目標エンジン回転数NEDの変化を表すタイムチャートである。
以下説明すると、S300において、操作者によってボリューム104(換言すれば、ボリュームセンサ106)を介して入力された第1の所定回転数NEDa(例えば、3600[rpm])を検出する。次いでS302に進み、トリガスイッチ126がオン信号を出力しているか否か、即ち、放水作業が実行されているか否か判断する。
S302で肯定されるときはS304に進み、図17に示す如く、ただちに目標エンジン回転数NEDをS300で検出した第1の所定回転数NEDaに変更する(上昇させる)。これにより、ECU60は、エンジン回転数NEが変更された目標エンジン回転数NEDに一致するように電動モータ52を制御し、よってエンジン回転数NEが上昇する。従って、トリガスイッチ126がオン信号を出力している間は、エンジン回転数NEが第1の所定回転数NEDaに維持される。
一方、S302で否定されるとき、即ち、トリガスイッチ126がオフ信号を出力しているときはS306に進み、水温スイッチ124がオン信号を出力しているか否か判断する。
S306で肯定されるときは、水温Tが第2の所定値T2(例えば、80℃)に達し、その後水温Tが第1の所定値T1(例えば、70℃)まで下降していないと判断することができるため、ヒータ118へ供給される交流電流を停止、あるいは低減させることができることから、S308に進み、図17に示す如く、ただちに目標エンジン回転数NEDを第2の所定回転数NEDiに変更してエンジン回転数NEを下降させる。
一方、S306で否定されるときは、水温Tが第2の所定値T2に未だ達していないとき、および水温Tが第2の所定値T2に達し、その後水温Tが第1の所定値T1まで下降したときのいずれかであると判断することができるため、発電機16の交流電流をヒータ118に通電し続ける必要があることから、S304に進み、目標エンジン回転数NEDを第1の所定回転数NEDaに変更して(上昇させて)エンジン回転数NEを上昇させる。
このように、第4実施例にあっては、洗浄ガン90に取り付けられて操作者によって操作可能なトリガ100に、操作者によってトリガ100が操作されたとき、オン信号を出力するトリガスイッチ126を備えると共に、トリガスイッチ126がオン信号を出力するとき、および水温センサ124がオフ信号を出力するときのいずれかである場合、エンジンの回転数NEが第1の所定回転数NEDaとなるようにエンジン14のスロットルバルブ50を開閉する電動モータ52の駆動を制御すると共に、トリガスイッチ126がオフ信号を出力し、かつ水温センサ124がオン信号を出力するとき、エンジンの回転数NEが第1の所定回転数NEDaよりも低く設定された第2の所定回転数NEDiとなるように電動モータ52の駆動を制御するように構成したので、簡易な構成でありながら放水作業の実行と停止および放水作業に使用される水の温度を検出することができると共に、それらの検出結果に応じてエンジン回転数NEを制御することができるため、例えば放水作業停止時であって水が十分昇温したとき、エンジン回転数NEを下降させることができる、即ち、エンジン14の出力が過大となることがなく、よって燃費を向上させつつ騒音を低減させることができる。
尚、残余の効果は第2実施例および第3実施例と同様であるので、説明を省略する。
以上の如く、この発明の第1から第4実施例にあっては、洗浄水が貯留された貯水槽(18)を備えると共に、搭載されたエンジン(14)でポンプ(20)を駆動して前記洗浄水を加圧しつつ放水部(洗浄ガン90)から放水して洗浄する高圧洗浄機(10)の制御装置において、前記エンジンのスロットルバルブ(50)を開閉するアクチュエータ(電動モータ52)と、前記エンジンで駆動され、前記洗浄水を加熱する加熱手段(ヒータ118)と、前記洗浄水の温度を検出する温度検出手段(水温センサ120、水温スイッチ124)と、放水作業が実行されているか否かを判断する作業実行判断手段(ECU60。図8フローチャートのS24,S32、図12フローチャートのS124,S132、図14フローチャートのS204、図16フローチャートのS302)と、少なくとも前記検出された洗浄水の温度(T)が第1の所定値(T1)未満のとき、前記エンジンの回転数(NE)が第1の所定回転数(NEDa)となるように前記アクチュエータの駆動を制御する(図8フローチャートのS28、図12フローチャートのS128、図14フローチャートのS206、図16フローチャートのS304)と共に、前記放水作業が実行されていないと判断され、かつ前記検出された洗浄水の温度が前記第1の所定値よりも高く設定された第2の所定値(T2)以上のとき、前記エンジンの回転数が前記第1の所定回転数よりも低く設定された第2の所定回転数(NEDi)となるように前記アクチュエータの駆動を制御する(図8フローチャートのS38、図12フローチャートのS138、図14フローチャートのS212、図16フローチャートのS308)エンジン回転数制御手段とを備えるように構成した。
この発明の第1実施例および第2実施例にあっては、さらに、前記エンジン(14)の回転数(NE)を検出するエンジン回転数検出手段(クランク角センサ56、図8フローチャートのS10,S14、図12フローチャートのS110,S114)と、前記スロットルバルブ(50)の開度(θTH)を検出するスロットル開度検出手段(スロットル開度センサ54、図8フローチャートのS16、図12フローチャートのS116)と、前記検出されたエンジン回転数とスロットル開度に基づいて前記エンジンの出力(OP)を推定するエンジン出力推定手段(ECU60。図8フローチャートのS24,S32、図12フローチャートのS124,S132)とを備えると共に、前記作業実行判断手段は、前記エンジンの出力がしきい値(OP1)以上のとき、前記放水作業が実行されていると判断するように構成した。
また、前記エンジン回転数制御手段は、前記放水作業が第1の所定時間(t1)継続して実行されていると判断されるとき、または前記検出された洗浄水の温度(T)が前記第1の所定値(T1)未満のとき、前記エンジンの回転数(NE)が第1の所定回転数(NEDa)となるように前記アクチュエータ(52)の駆動を制御する(図8フローチャートのS28、図12フローチャートのS128)と共に、前記放水作業が第2の所定時間(t2)継続して実行されていないと判断され、かつ前記検出された洗浄水の温度が前記第2の所定値(T2)以上のとき、前記エンジン回転数が前記第2の所定回転数(NEDi)となるように前記アクチュエータの駆動を制御する(図8フローチャートのS38、図12フローチャートのS138)ように構成した。
この発明の第3実施例および第4実施例にあっては、さらに、前記放水部(90)に取り付けられて操作者によって操作可能な放水実行手段(トリガ100)と、前記操作者によって前記放水実行手段が操作されたとき、放水実行信号を出力する放水実行信号出力手段(トリガスイッチ126)とを備えると共に、前記作業実行判断手段は、前記放水実行信号出力手段から前記放水実行信号が入力されたとき、前記放水作業が実行されていると判断する(図14フローチャートのS204、図16フローチャートのS302)ように構成した。
この発明の第1から第4実施例にあっては、さらに、前記放水部(90)に取り付けられて操作者によって操作可能なエンジン回転数変更指示入力手段(ボリューム104)を備えると共に、前記エンジン回転数制御手段は、前記エンジン回転数変更指示入力手段からエンジン回転数変更指示が入力されたとき、前記第1の所定回転数(NEDa)を変更する(図8フローチャートのS20,S28、図12フローチャートのS120,S128、図14フローチャートのS202,S206、図16フローチャートのS300,S304)ように構成した。
尚、上記において、第1の所定回転数NEDa、第2の所定回転数NEDi、しきい値OP1、第1および第2所定時間t1,t2、第1および第2の所定値T1,T2の数値を具体的に示したが、その値に限られない。
また、スロットルバルブ50を開閉するアクチュエータとしてステッピングモータを使用したが、DCモータやロータリーソレノイドなど、他のアクチュエータを使用するようにしてもよい。
また、洗浄水として水を例示したが、それに限られるものではなく、洗浄液、さらには塗料などであってもよいことはいうまでもない。
また、発電機16を交流発電機としたが、直流発電機であってもよい。
また、高圧洗浄機10の本体が載置されたプレート12に車輪などを取り付け、高圧洗浄機10の本体が移動自在となる構成であってもよい。
10 高圧洗浄機、14 エンジン、18 貯水槽、20 ポンプ、50 スロットルバルブ、52 電動モータ(アクチュエータ)、54 スロットル開度センサ(スロットル開度検出手段)、56 クランク角センサ(エンジン回転数検出手段)、60 ECU(電子制御ユニット)、90 洗浄ガン(放水部)、100 トリガ(放水実行手段)、104 ボリューム(エンジン回転数変更指示入力手段)、118 ヒータ(加熱手段)、120 水温センサ(温度検出手段)、124 水温スイッチ(温度検出手段)、126トリガスイッチ(放水実行信号出力手段)