JP4307546B2 - 電子部品製造用メタルマスク - Google Patents

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Description

本発明は、セラミックパッケージや誘電体共振器などの電子部品の製造に使用するメタルマスクに関する。
近年、携帯電話やPHSといった移動体通信の急速な普及や、衛星放送や衛星通信等のマイクロ波を利用した通信の利用の拡大に伴い、誘電体共振器の需要が増大している。たとえば下記特許文献1に記載されているように、移動体通信基地局用のフィルタ類には、金属筐体内に誘電体共振器を収容したものが使用されている。金属筐体の中央に低誘電率の支持台を介して共振器本体を取り付けるため寸法は大きくなるが、共振器本体と金属筐体とが離れているため導体損失が小さくなり無負荷Qを大きくできる。支持台は、アルミナ等の低誘電率セラミックで構成することができ、共振器本体の底面に接着剤で固定されている。
こうした誘電体共振器には、(1)比誘電率ができる限り大きいこと、(2)マイクロ波領域での損失が小さいこと、つまりQ値が大きいこと(3)共振周波数の温度依存性が小さいこと、などの特性が要求される。
特開2003−273614号公報 特開2003−133819号公報
共振器本体と支持台とのいずれかの接着面に接着剤を塗布する方法としては、マスクを用いた印刷法が一般的である。しかしながら、印刷法を採用した場合であっても、接着剤の量を精度よくコントロールすることは難しく、規格を満足しないほどQ値が低下する場合がある。
たとえば、上記特許文献2には、接着剤の塗布厚さを制限することによって、接着強度を保ちつつfバラつき、ひいてはQ値の低下を抑える技術が開示されている。この技術は、マスクを用いた印刷法とは異なり、別途の生産設備が必要となる。生産性にも疑問が残る。マスクを用いた印刷法は生産性が高く、可能な限りこれを継続して採用したい。
本発明の目的は、接着剤の印刷量を精度よくコントロールすることが容易な電子部品製造用メタルマスクを提供することにある。
課題を解決するための手段および発明の効果
上記課題を解決するために本発明は、開口を有する第1ワーク部品のその開口周縁部に丸枠状または角枠状の接着面を定め、その接着面に接着剤を塗布して第2ワーク部品を固着する工程を含む電子部品の組立工程において、接着剤を印刷により塗布する際に使用される電子部品製造用メタルマスクであって、接着面に一致するべき領域を印刷パターン形成領域としたとき、その印刷パターン形成領域の内周縁から一定距離の第1基準線上に連なって複数の第1貫通孔が形成され、第1基準線よりも所定距離だけ外側に定められる第2基準線上に連なって複数の第2貫通孔が形成されており、各貫通孔は隣り合う貫通孔と互いにパターン分離され、第1貫通孔と第2貫通孔とは、互いの間を縫うように印刷パターン形成領域内で交互に並んで形成されていることを主要な特徴とする。
印刷によって配置された接着剤であっても、中央部が凹んだ形になったりして、厳密に同量の接着剤を印刷することは難しい。そこで、上記本発明のメタルマスクでは、接着剤が分散形態で配置されるように、第1貫通孔と第2貫通孔を形成した。これにより、印刷量のバラつきを抑えることが容易になり、ひいては接着剤の量を精度よくコントロールできるようになる。また、第1貫通孔と第2貫通孔とは、互いの間を縫うように形成されているので、接着面に均一に接着剤を印刷することができるようになり、接着剤の量を減じても、接着強度の大幅な低下を招来しにくい。なお、印刷時に分散配置された接着剤は、印刷形成後に印刷面上に濡れ広がることによって、スポット同士が事後的に繋がることになってもよい。印刷時に分散配置できていれば、接着面に配置した接着剤の総質量はコントロールできているからである。
具体的に、電子部品として支持台一体型誘電体共振器を例示することができる。この場合、第1ワーク部品は円筒状の支持台であり、第2ワーク部品は支持台に同軸状に固定される共振器本体とされる。この種の誘電体共振器は、接着剤の量の差が微小であっても電気特性が大きく影響を受けるので、接着剤の量のコントロールに慎重を期する必要がある。すなわち、本発明にかかるメタルマスクの使用が特に好適な電子部品となり得る。
また、第1貫通孔と第2貫通孔とは、同一形状であることが望ましい。こうすることにより、接着剤の印刷量をコントロールすることがいっそう容易になる。さらに、第1貫通孔および第2貫通孔が円筒状であれば、それら貫通孔への接着剤の充填性が良好となり、印刷量のバラつきを小さくする効果が増すので尚良い。
以下、添付の図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明のメタルマスク30を用いて好適に製造できる電子部品の具体例たる誘電体共振器1の側面図である。支持台一体型の誘電体共振器1は、円筒状の共振器本体2と、支持台3とを備えている。支持台3は、共振器本体2よりも小径の円筒形態を有し、共振器本体2の下面に同軸状(中心軸Oが互いに一致)に配置されている。共振器本体2と支持台3とは、接着剤により固定されている。
共振器本体2は、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、ジルコン酸カルシウム、チタン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛系などの誘電体セラミックで構成されるものである。
支持台3は、共振器本体2よりも低い誘電率を有する低誘電率材料によって構成されている。こうすることにより、支持台3が共振器本体2の周囲に分布する電磁界に及ぼす影響を小さくすることができる。具体的には、サファイヤ、アルミナ、コージライト等の低誘電率セラミックで構成することができる。
上記のような誘電体共振器1は、ステンレス、アルミニウムなどの金属材料や、表面に銅箔などの金属箔で被覆したプラスチックなどの絶縁材料で構成された筐体に収容して使用される。筐体の内壁には、入力結合用の導体ループと、出力結合用の導体ループとが、共振器本体2の外周面に対向するように設けられる。このような装置においては、電磁波のエネルギーが入力結合用の導体ループから放射される磁界を介して共振器本体2に伝送される。すると、共振器本体2がTE01δモードで共振し、共振エネルギーが出力結合用の導体ループから筐体外部に伝送される。すなわち、そのような装置は、共振器本体2の共振周波数を持った電磁波のみが通過する帯域通過フィルタとして動作する。
誘電体共振器1は、以下のようにして製造することができる。まず、原料粉末の調製、成形、焼成、研磨などの工程を行ない、共振器本体2を作製する。同様にして、支持台3を作製する。次に、共振器本体2と支持台3とを接着剤で固定する。接着剤は、共振器本体2と支持台3の一方または両方に塗布することができる。本実施形態においては、支持台3に接着剤を塗布するようにしている。接着剤の種類としては、エポキシ系またはシリコン系の熱硬化型接着剤を使用することができる。エポキシ系の接着剤は、接着強度および経済性の面においてシリコン系の接着剤よりも優れている。シリコン系の接着剤は、電気特性の面においてエポキシ系の接着剤よりも優れている。
図2の断面図に示すように、支持台3は、中心軸Oを円の中心とした丸枠状の接着面3pを有している。この接着面3pに接着剤を精度よく配置するために、図3に示すメタルマスク30を用いた印刷法を採用することができる。図3は、メタルマスク30の断面図および上面図である。このようなメタルマスク30は、バネ性に優れるステンレス鋼などで構成することができる。メタルマスク30には、複数の貫通孔5,6が互いに分離された印刷パターンとして分散形態にて形成されている。図4に詳細な配置関係の説明図を示す。
図4に示すごとく、支持台3の接着面3pに一致するべきリング状の領域を印刷パターン形成領域TAとしたとき、その印刷パターン形成領域TAの内周縁から一定距離の第1円軌道R上に連なる形で複数の第1貫通孔5が形成されている。また、第1円軌道Rよりも外側に定められた第2円軌道Rに連なって複数の第2貫通孔6が形成されている。隣り合う第1貫通孔5,5の配置は、中心軸O(円の中心)に対して一定の角度2θをなす。同様に、隣り合う第2貫通孔6,6の配置は、中心軸Oに対して一定の角度2θをなしている。
第1貫通孔5の数と第2貫通孔6の数とは互いに同数とされ、印刷パターン形成領域TAの周方向に沿って千鳥状となるように交互に形成されている。また、各貫通孔5,6は、互いに同一形状であり、さらに本実施形態においては円筒状としている。このようにすると、径の調整のみで、接着剤の印刷量の調整ができるので、印刷パターンをいちいち変更する必要がなくなり、マスク設計の時間短縮に寄与する。また、貫通孔5,6を円筒状とすることにより接着剤の充填性が良好となり、印刷量のバラつきを小さくする効果が増す。なお、貫通孔は、多角形状としたり、楕円形としたりすることも可能である。
また、メタルマスク30は、次のようにして設計することができる。まず、共振器本体2および支持台3に共通する中心軸O周りを等角度間隔で区切って複数の印刷予定区域を定める。次に、それら印刷予定区域の1つ1つを、中心軸Oから近い第1距離に接着剤を配置する第1区域と、中心軸Oから遠い第2距離に接着剤を配置する第2区域とに区別する。ただし、第1区域と第2区域とが中心軸O周りに交互になるようにする。このようにして、第1区域と第2区域とに印刷パターンを定め、第1区域に1つの貫通孔5、第2区域に1つの貫通孔6を定める。
また、貫通孔5,6の形成密度やメタルマスク30の厚さは、たとえばエポキシ系の接着剤を用いる場合において、接着面3pに印刷塗布する接着剤の量が、5mg/cm以上18mg/cm以下となるように調整することが望ましい。ただし、接着強度を充分に確保する観点から、特に、接着面3pの面積が1cm以上5cm以下の場合に、上記の範囲を適用すべきである。
なお、以上には誘電体共振器1についてのみ言及したが、本発明にかかるメタルマスクの好適な使用対象として、図5に示すような水晶発振器20などの電子部品を例示することができる。水晶発振器20は、部品本体13を収容するためのキャビティ11qを有するセラミックパッケージ11と、キャビティ11q内に配置される水晶振動子13(部品本体)と、キャビティ11qに蓋をする形で上面11pに固定される蓋体10とを備える。蓋体10は、金属またはセラミック製とされる。セラミックパッケージ11の上面11pに接着剤7を塗布し、蓋体10をセラミックパッケージ11に固定する。接着剤7はメタルマスクを用いた印刷法により、セラミックパッケージ11の上面11pに塗布することができる。
実験例
本発明の効果を確かめるために、以下の実験を行なった。まず、アルミナセラミック製の支持台3を複数作製した。これら支持台3の接着面3p(1cm)に、図3に示すメタルマスク30を用いてエポキシ系接着剤を印刷し、各支持台3について、印刷された接着剤の質量を計測するとともに、標準偏差σを算出した。一方、比較のため、図6に示す印刷パターンを持つメタルマスクを用い、接着面3pに接着剤を印刷したサンプルを複数作製し、これらについて印刷された接着剤の質量を計測し、標準偏差σを算出した。結果を図7のグラフに示す。このグラフに示すごとく、本発明のメタルマスク30を用いることにより、接着剤の質量のバラつきを小さくできることが分かる。
電子部品の具体例たる誘電体共振器の側面図。 支持台の断面図。 メタルマスクの断面図および上面図。 貫通孔の詳細な配置の説明図。 電子部品の別例を示す水晶発振器の断面模式図。 比較品の印刷パターンを示す模式図。 接着面に印刷された接着剤の質量の計測結果を示すグラフ。
符号の説明
1 誘電体共振器
2 共振器本体
3 支持台
3p,11p 接着面
5 第1貫通孔
6 第2貫通孔
7 接着剤
10 蓋体
11 セラミックパッケージ
20 水晶発振器
30 メタルマスク
第1円軌道
第2円軌道
TA 印刷パターン形成領域

Claims (4)

  1. 開口を有する第1ワーク部品のその開口周縁部に丸枠状または角枠状の接着面を定め、その接着面に接着剤を塗布して第2ワーク部品を固着する工程を含む電子部品の組立工程において、前記接着剤を印刷により塗布する際に使用される電子部品製造用メタルマスクであって、前記接着面に一致するべき領域を印刷パターン形成領域としたとき、その印刷パターン形成領域の内周縁から一定距離の第1基準線上に連なって複数の第1貫通孔が形成され、前記第1基準線よりも所定距離だけ外側に定められる第2基準線上に連なって複数の第2貫通孔が形成されており、各貫通孔は隣り合う貫通孔と互いにパターン分離され、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とは、互いの間を縫うように前記印刷パターン形成領域内で交互に並んで形成されていることを特徴とする電子部品製造用メタルマスク。
  2. 前記電子部品が支持台一体型誘電体共振器であり、前記第1ワーク部品が円筒状の支持台であり、前記第2ワーク部品が前記支持台に同軸状に固定される共振器本体であることを特徴とする請求項1記載の電子部品製造用メタルマスク。
  3. 前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とは、同一形状をなすことを特徴とする請求項1または2記載の電子部品製造用メタルマスク。
  4. 前記第1貫通孔および前記第2貫通孔が円筒状であることを特徴とする請求項3記載の電子部品製造用メタルマスク。
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