JP4299018B2 - 深層水の二重取水管とその敷設方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は海洋深層水(以下、深層水ともいう)を、利用目的に適合した高温深層水と低温深層水を同時に得ることを可能とする深層水の二重取水管及び深層水の二重取水管敷設方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
海洋深層水はミネラルやその他の栄養分を豊富に含有し、かつ清浄である特徴を有するため、飲用水や加工食品、化粧品等の多種の用途に使用されている。また海洋深層水はプランクトンを多く含むため、汲み上げた深層水中にて魚介類を飼育・養殖する栽培漁業に利用されている。
【0003】
特に深層水を栽培漁業に利用する場合には、飼育・養殖水槽に大量の深層水を汲み上げるための取水手段が必要となる。従来の深層水取水手段は、取水管を数百メートルの深層水深さまで海底面に沿って敷設したり、または海面に浮上する浮体から垂下し、揚水ポンプで汲み上げるという方法が採用されていた。これらの従来技術で用いられる取水管は、例えば特開2000−303511(特許文献1)に開示されているような厚肉の硬質ポリエチレン管(管径300mm、肉厚22.4mm)を使用したものが多い。
【0004】
この従来技術で用いられる取水管では、管材として使用している硬質ポリエチレンの熱伝導率が悪いため、取水口から取り込んだ低温の深層水(日本海側では約1℃)があまり温度上昇することなく低温のままで吐出口まで送られる。
低水温域で生息する魚介類の養殖や、製氷に用いられる深層水は低温状態で取水したままでもよいが、表層海域に生育している比較的高温で飼育・養殖される魚介類に対しては、生育条件が合わないため低温で取水された深層水を昇温して利用する必要があった。また、深層水を飲用水に利用する場合には淡水化装置によって脱塩する必要が生じるが、逆浸透膜を使用した脱塩装置では膜透過能力が原水の温度に依存するため、水温を上げて処理した方が効率がよい。
【0005】
取水した深層水を昇温するには従来、▲1▼ボイラー等で加熱したり、▲2▼一旦昇温用の水槽に貯めて昇温したり、▲3▼温度の高い表層水に混合する手段が用いられていた。
【0006】
しかし、前記▲1▼のボイラー等の加熱機を用いて昇温する場合は加熱に多大なエネルギーコストを要する。一方、前記▲2▼の昇温用の水槽に貯めて昇温する場合は、昇温用に水槽が必要となると共に水温上昇に時間を要する。また、前記▲3▼の表層水に混合して昇温する場合は深層水の清浄性が損なわれる上、栄養分も希釈されるので好ましくない等の課題があった。
【0007】
出願人は特願2002−193197号にて上記課題を解決し、低温の深層水を取水管を通して取水する際に、必要とされる吐出口の水温まで昇温調節を可能とした深層水の取水方法を提供している。
【0008】
この深層水の取水方法は、取水管の材料として従来の硬質ポリエチレン管より著しく熱伝導率の高い金属管または防食被覆した金属管を使用することで、管外の比較的高温の海水からの熱伝達によって取水口から取り入れた低温深層水を管内移動中に昇温させるものである。そして、深層水の昇温の程度は管内流速に依存するため、高い温度の深層水を得ようとする場合は管内流速を低くし、比較的低い吐出口温度でよい場合は管内流速を早くして水温調節をすることとした。さらに前記管内流速を、取水口の水温、取水管の熱伝導特性、管径、延長距離および海水温度に関係付けられる熱伝導算定式から求めて所要の水温の吐出口温度を得ることとしたものである。
【0009】
また、深層水の取水管を敷設する方法においては、先端の取水口を蓋で封止して管内をドライ状態にして浮力を利用することによって水中重量を軽減して敷設するのが望ましい。
【0010】
しかし、取水管の敷設を完了した後、先端の蓋を取り外すには深層水の取水深度が200m以上になるため通常のダイバー作業ができない課題があった。
出願人は特願2001−391065号にて、遠隔操作によって深層水取水管の先端取水口の蓋を取り外す方法を出願している。この方法は、深層水取水管の先端の取水口に浅水域で脱落しないような低強度接着剤等を用いた止着手段により止水蓋を装着し、この状態で取水管内をドライ状態で敷設し深層水取水深度に達した後、取水管内に注水して管内圧力を止水蓋が受けている外水圧より高くして止水蓋を取水口から離脱させて取り外すものである。
【0011】
【特許文献1】
特開2000−303511号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
深層水は表層水域に生育する魚介類の養殖用や深海域に生育する魚介類の養殖用、飲用水に利用するための淡水化用等、複数の用途に利用される場合がある。このような複数利用形態ではそれぞれの利用形態において適した水温が異なり、一般的には表層水域に生息する魚介類の養殖には高水温、深海魚介類の養殖には低水温、中層域に生息する魚介類の養殖には中水温が適している。
【0013】
例えば、(社)日本水産資源保護協会から発行されている「水産生物適水温図」によると、魚介種別の飼育水温はマダイ、ウナギ、トラフグ等は10〜32℃(平均21〜22℃)、アワビ、ヒラメ等は10〜25℃(平均17℃)、アカエビ、ケガニ等は5〜10℃(平均7℃)となっている。
【0014】
また、深層水を飲用水にするため逆浸透膜を使用して淡水化する場合は高水温の方が、効率がよく、深層水の製氷を行なう場合は低水温の方がよい。
【0015】
しかし、前記従来技術の硬質ポリエチレン管を使用したものは、低水温の深層水しか得られないため、高水温または中水温の深層水にするには、低温取水した深層水の一部を昇温しなければならなかった。また、特願2002−193197号では、所定の水温に昇温した深層水しか得られないため、高温水と低温水の深層水を同時に利用する場合は高温取水した深層水の一部を低温に冷却する必要が生じてしまう課題があった。
【0016】
ここで、高水温とは、外管内を通水中に周りの海水で昇温して得られる表層水温以下の比較的高い温度をいう。また、低水温とは、内管を通してできるだけ昇温しないようにして得られるもので、深層水の取水口温度以上の比較的低い温度をいう。
【0017】
中水温とは、可変容量ポンプによって取水管内の流速を調整したり、外管と内管で取水した深層水を混合して得られる高水温と低水温の中間水温をいう。
【0018】
本発明は、栄養分を豊富に含有し、かつ清浄である特徴を有する深層水を複数用途に供するため、低水温の深層水と高水温の深層水の両方を同時に取水可能とする深層水の二重取水管とその敷設方法を提供するものである。
【0019】
【課題を解決する手段】
本発明では、上記課題を解決するため以下を要旨とする構成とした。
深層水の取水深さまで敷設された熱伝導性の優れた外管の中に熱伝導性の劣る内管が深層水の取水深さまで敷設するように挿入配置された二重取水管の、外管と内管の間の筒状空間を高温水流路、内管内空間を低温水流路とし、それぞれの流路に取水ポンプを設け、温度の異なる深層水を取水可能としたことを特徴とする深層水の二重取水管である。前記熱伝導性の優れた外管は金属管または金属管に防食被覆を用い、熱伝導性の劣る内管としては硬質ポリエチレン管を用いることができる。
【0020】
また、前記の外管及び内管から深層水を取水する取水ポンプを可変容量型ポンプとし、管内の取水流速を可変できるようにすることにしてもよい。
【0021】
前記二重取水管は、例えば陸上にて外管と内管をスペーサで間隔保持した二重管を製作し、内管と外管を接続しながら順次海底に敷設する敷設方法や、外管を海底に敷設後外管内に内管を挿入して二重管とする敷設方法等各種の手段があり、施工環境(条件)に応じて最適なものを採用すればよい。
【0022】
本発明の二重管敷設方法は、前記特願2001−391065号に提案しているものを二重管の敷設方法に応用したものであって、熱伝導性の優れた外管の中にこれよりも熱伝導性の劣る内管を挿入配置した二重取水管を海底面に沿って深層水の取水深さまで敷設する方法であって、前記外管の先端部取水口に浅水域において蓋の脱落を防止する低強度接着剤からなる止着手段により止水蓋を装着して管内をドライ状態で深層水の取水深度まで敷設した後、外管の後端から先端を開口した内管を挿入し、内管の先端が外管の先端に到達した後、外管及び内管内に注水し、次に内管を押し込んで外管の先端取水口の止水蓋を離脱して、外管と内管の間の筒状空間を高温水流路、内管内空間を低温水流路としたことを特徴とする深層水の二重取水管敷設方法である。
【0023】
上記二重取水管の敷設方法において、前記内管の先端が外管の先端に到達した後、外管及び内管内に注水し、さらに前記外管の先端部における管内圧を取水深度の外水圧より高くし、次に内管を押し込んで外管の先端取水口の止水蓋を離脱させるようにしてもよい。
【0024】
【発明の実施形態】
図1は本発明に係る高水温と低水温の深層水を取水する二重取水管の敷設状況図で、図2は二重取水管の断面図を示す。
【0025】
深層水の取水管1は、海底面2に沿って取水深さまで敷設された外管3と内管4からなる二重取水管とし、外管3と内管4のスペーサ5によって間隔が保持された筒状空間を高温水流路6、内管内空間を低温水流路7としている。外管3と内管4は高温水流路6、低温水流路7が所定流量の深層水を送れるようなサイズとされ、それぞれの流路6,7には、取水ポンプP1,P2を設け、2つの流路6,7から深層水を同時に取水可能としている。
【0026】
また、高温流水路6を保持するスペーサ5は、流路6を妨げないような細径部材を3方向にバンド8から突き出したものを、適宜間隔毎に内管4の外周にバンド締めして設けられている。
外管3は、従来の硬質ポリエチレン管より著しく熱伝導率の優れた材料であるステンレス鋼や普通鋼に防食被覆した金属管を使用し、内管4は従来の取水管として使用されているものと同様な熱伝導性が劣る硬質ポリエチレン管を用いている。
【0027】
本発明の取水管1は、上記のように二重管にしたことによって、外管3は管外の中層から表層の比較的高温の海水熱を良好に伝達し、取水口3aから取水した低温の深層水は、外管3と内管4間の筒状の高温水流路6を移動中に昇温され高水温の深層水として吐出口3bから吐出することができる。
【0028】
一方、外管3の中に挿入配管した内管4は、熱伝導性が劣るため管外(高温水流路を流れる深層水)からの熱伝達を受け難く、取水口4aから取水した低温の深層水をあまり昇温することなく低温のまま吐出口4bから吐出される。しかも内管4の外(高温水流路6)を流れる深層水は,外の海水より低い温度であるため、従来のような単管よりさらに低温のままで吐出される。
【0029】
取水口4aから取り入れた低温の深層水は、管内の低温水流路7を流れる際に管外の熱伝達を受け難く、しかも内管4の外側は、海水より低い温度の深層水が流れているため単管よりさらに低温のまま吐出口4bから吐出される。
【0030】
前記の外管3内の高温水流路6及び内管4の低温水流路7から深層水を取水する取水ポンプP1,P2を可変容量型ポンプとし、管3,4内の取水流速を可変できるようにすると、取水深層水の水温を調整することができる。すなわち、管3,4内を移動する深層水は、流速に依存するため、高い吐出口温度を得ようとする場合は管内流速を低くし、比較的低い吐出口温度でよい場合は、管内流速を早くして水温調節をすることができる。このため、外管3と内管4間の断面ドーナツ状(環状)で、筒状の高温水流路6の取水ポンプP1の取水流速を遅く(時間当たり取水容量を小さくする)し、内管4の低温水流路7の取水ポンプP2の取水流速を早くすると、外管3の高温水流路6と、内管4の低温水流路7から温度差の大きく異なる深層水を同時に得ることができる。
【0031】
二重取水管1で取水された高温と低温の深層水は、図示しない魚介類の養殖池やその他の用途の設備に分配して供給される。
【0032】
このように本発明の二重取水管1によれば、複数の利用形態においてそれぞれ適した高水温と低水温の深層水を供給できる。なお、高水温と低水温の取水深層水を混合して中水温の深層水を供給することもできる。
【0033】
上記二重取水管1は、公知の製作・敷設手段を用いて海底面2に沿って敷設することができる。
どのような敷設手段を採用するかは、取水管1の敷設海域の環境条件によって決めればよい。
【0034】
例えば、潮流の影響がなく航行船舶が少ない場合は、浮遊曳航工法が採用でき、後背地に広大なスペースがあれば、陸上で長尺管を製作して曳出しまたは押出し敷設することができる。
【0035】
以下、外管を先行敷設した後、外管内に内管を挿入して二重管とする本発明に係る二重取水管を海底面に沿って深層水取水深度まで敷設する方法について図3を参照して説明する。
【0036】
▲1▼ 先ず、金属管からなる外管3を海底面2に沿って深層水取水深度(約300m)まで敷設する。この敷設手段は敷設船工法や海底曳航工法、浮遊曳航工法等の公知の海底管敷設手段を用いることができる。図3(a)は、陸上で外管3を長管化しながら曳船9から繰り出した曳索10によって、外管3を海底曳航中の敷設状況を示す。外管3の敷設時には、管内をドライにして水中重量を軽減して行なう方がよい。しかし、深層水深度に達した管端の蓋11は通常のダイバーの作業限界の30mをはるかに超えるため特殊な技能を有するダイバーと潜水設備が必要となる課題がある。そこで、本発明では前記外管3の先端部取水口3aに、浅水域において蓋11の脱落を防止する止着手段を用いた止水蓋11を装着して、外管3の管内をドライ状態で深層水の取水深度まで敷設し、管端の蓋11をダイバー作業を必要としないで容易に離脱可能とするようにした。
【0037】
図3(b)は、前記止水蓋11の一例で、外管3の端部に低強度の接着剤12により止水蓋11を装着したものである。この止水蓋11は、浅水域において接着剤12の接着によって蓋11の脱落を防止でき、水深が深くなると外水圧によって管端に止水蓋11が押し付けられて保持される。なお、止水蓋11の装着手段は、この他、特願2001−391065号に開示している方法を用いてもよい。
【0038】
▲2▼ 外管3の敷設が完了したら、図4に示すように、外管3内をドライ状態で、外管3の後端から先端を開口した硬質ポリエチレン製の内管4を挿入し、外管3の先端まで到達させる。内管4は小口径であればリール巻きしたものを使用できるが、大口径のものは直管を熱融着接合して長管化する。なお、内管4を外管3内に挿入する際、内管4の適宜間隔毎にスペーサ5をボルト14等を用いてバンド締めして取り付ける。
【0039】
▲3▼ 内管4が外管3の先端に達したら、外管3及び内管4内に注水し、外管3の止水蓋11の外圧と内圧をバランスさせた後、または管内圧を若干高めにして、内管4を少し押し込んで外管3の先端の止水蓋11を押し出して離脱する。この結果、外管3と内管4の間の筒状空間に高温水流路6が、内管4内に低温水流路7が形成される。(図5参照)
【0040】
外管3先端部には、敷設時の管端保護用のプロテクタ13が設けられ、このプロテクタ13は、取水口を海底面2から上方に位置せしめる部材を兼ねたものである。
【0041】
<実施例>
以下、本発明の具体的な実施例と比較例を説明する。
【0042】
(2)取水管実施例
【表1】
【0043】
(3)熱伝導算定式
<熱収支の式>
・管内の熱変化量
【式1】
・管外より取得される熱量
【式2】
【式3】
<管内水温>
熱収支の式より任意の区間において▲1▼〜▲3▼式より▲4▼式のように表される。
【式4】
▲4▼式の微分方程式を解いて、Tin(吐出口水温)とu(管内流速)の関係式が得られる。
(4)取水管実施例の流速(流量)と取水温度の算定結果
【表2】
【0044】
表−2に示す結果から以下のことが言える。
(1)取水管の構成を二重管にした場合と単管にした場合の比較。
外管(管径300A鋼管)と、内管(管径150APE管)を用いた本発明の二重取水管1では、ケース1の外管3の高温流水路6から得られる深層水の取水温度は、流速0.13m/s(流量480m3/日)において15.75℃となる。また、ケース2の内管4の低温流水路7からは流速0.49m/s(流量720m3/日)において6.04℃となっている。
【0045】
一方、本発明の高温流水路6、低温流水路7とそれぞれほぼ同様な流速(流量)とした単管の比較例では、ケース3の高温流水路に対応する鋼管(管径250A)では、ケース1とほぼ同様な15.53℃、ケース4の低温流水路に対応するPE管(管径150A)ではケース2より0.9℃高い6.94℃となっている。
【0046】
ケース2とケース4に取水温度に差が生じるのは、管路の回りの温度が異なるためである。すなわち、ケース2は内管の回りは二重管の高温流水路であり海水温度より低いが、ケース4は単管のため直接海水温度の作用を受けるため昇温しやすい。従って、より低い温度の深層水を得ようとすれば二重管の内管を流路にした方がよいことが解る。
【0047】
(2)取水管材料と取水温度の関係。
ケース1とケース5は、ほぼ同様な流速(流量)の条件において取水管の材料の違いによる取水温度を比較したもので、取水管の材料が熱伝導性の優れた鋼管(ケース1)では15.75℃になるのに対して、熱伝導性の劣るPE管(ケース5)では9.54℃であり6.2℃低い結果となっている。これは深層水を汲み上げる際に受ける海水からの熱伝達による昇温の作用が異なるためである。なお、データには示していないが、低温水を得ようとする場合はPE管の如き熱伝導性の劣る管を使用した方が有利であることはいうまでもない。
【0048】
(3)取水管内の流速と取水温度の関係。
ケース1とケース1aは同じ取水管(二重管の高温流水路)を用いて、管内流速を変えた場合の結果である。ケース1では流速0.13m/s(流量480m3/日)において取水温度は15.75℃であるが、約2.7倍早くした流速0.35m/s(流量1330m3/日)では13.84℃となり1.91℃低くなっている。
【0049】
また、低温流水路においては、ケース2の流速0.49m/s(流量720m3/日)とケース2aの流速0.14m/s(流量200m3/日)では、取水温度6.04℃が9.57℃となり3.53℃も高くなっている。
【0050】
以上の結果から、高温の深層水を得ようとする場合は、取水管内の流速を遅くし、低温の深層水を得ようとする場合は、取水管内の流速を早くした方がよいことが解る。
【0051】
従って、可変容量型の取水ポンプを使用すれば、流速(流量)を変化することによって所望の温度の深層水を得ることが可能である。
【0052】
【発明の効果】
本発明の二重取水管によれば、深層水の取水深さまで敷設された熱伝導性の優れた外管の中にこれよりも熱伝導性の劣る内管が深層水の取水深さまで敷設するように挿入配置された二重取水管の、外管と内管の間の筒状空間を高温水流路、内管内空間を低温水流路とし、それぞれの流路に取水ポンプを設けた構成としたことによって、取水管の設置スペースが単管を2本敷設するより狭くでき、同時に高温と低温の深層水を同時に取水することができる。そして、熱伝導性の優れた外管と内管の間の筒状空間を高温水流路としているため深層水を汲み上げる際に外海水温で高い温度に昇温した深層水を取水でき、また熱伝導性の劣る内管は回りが外海水温度より低い二重管の高温水流路であるため昇温し難くより低い温度の深層水を取水できる。
【0053】
また、それぞれの流路に可変容量型の取水ポンプを使用すれば、流速(流量)を変化することによって水温調整された温度の深層水を得ることが可能である。従って、用途に応じて必要とする高温と低温の深層水が得られ、また混合して中温の深層水とすることもできる。
【0054】
また、本発明の二重取水管敷設方法によれば、外管の先端部取水口に浅水域において蓋の脱落を防止する低強度接着剤からなる止着手段を用いた止水蓋を装着して管内をドライ状態で深層水の取水深度まで敷設した後、外管の後端から先端を開口した内管を挿入し、内管の先端が外管の先端に到達した後、外管及び内管内に注水し管内圧を取水深度の外水圧とバランスさせ、または管内圧を高くし、次に内管を押し込んで外管の先端取水口の止水蓋を離脱するものであるため、外管の敷設時に浮力を利用して水中重量を軽減できるため取水管の引き出し力を大幅に低減できる。また、管内をドライ状態に維持した深い深度の管端の止水蓋を特殊なダイバー・潜水設備を使用することなく陸上から遠隔操作で容易に離脱できるため、経済性、安全性の高い敷設作業となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高水温と低水温の深層水を取水する二重取水管の敷設状況図である。
【図2】本発明の二重取水管の断面図を示す。
【図3】(a)は、本発明における二重取水管を海底面に沿って深層水取水深度まで敷設する方法において、外管の敷設状況を示す図であり、(b)は管端の止水蓋付近を示す断面図である。
【図4】内管の敷設状況を示す図である。
【図5】管端の止水蓋の離脱状況を示す図である。
【図6】取水管の熱伝導算定式のモデルを示した図である。
【符号の説明】
1 深層水の取水管(2重取水管)
2 海底面
3 外管
3a 取水口
3b 吐出口
4 内管
4a 取水口
4b 吐出口
5 スペーサ
6 高温水流路
7 低温水流路
8 バンド
9 曳船
10 曳索
11 止水蓋
12 接着剤
13 プロテクタ
14 ボルト
P1 取水ポンプ
P2 取水ポンプ
Claims (5)
- 深層水の取水深さまで敷設された熱伝導性の優れた外管の中にこれよりも熱伝導性の劣る内管が深層水の取水深さまで敷設するように挿入配置された二重取水管の、外管と内管の間の筒状空間を高温水流路、内管内空間を低温水流路とし、それぞれの流路に取水ポンプを設け、温度の異なる深層水を取水可能としたことを特徴とする深層水の二重取水管。
- 外管は金属管または金属管に防食被覆したものとし、内管は硬質ポリエチレン管としたことを特徴とする請求項1記載の深層水の二重取水管。
- 前記取水ポンプを可変容量型ポンプとしたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の深層水の二重取水管。
- 熱伝導性の優れた外管の中に熱伝導性の劣る内管を挿入配置した二重取水管を海底面に沿って深層水の取水深さまで敷設する方法であって、前記外管の先端部取水口に浅水域において蓋の脱落を防止する低強度接着剤からなる止着手段により止水蓋を装着して管内をドライ状態で深層水の取水深度まで敷設した後、外管の後端から先端を開口した内管を挿入し、内管の先端が外管の先端に到達した後、外管及び内管内に注水し、次に内管を押し込んで外管の先端取水口の止水蓋を離脱して、外管と内管の間の筒状空間を高温水流路、内管内空間を低温水流路としたことを特徴とする深層水の二重取水管敷設方法。
- 前記内管の先端が外管の先端に到達した後、外管及び内管内に注水し、さらに前記外管の先端部における管内圧を取水深度の外水圧より高くし、次に内管を押し込んで外管の先端取水口の止水蓋を離脱させることを特徴とする請求項4記載の深層水の二重取水管敷設方法。
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