JP3830584B2 - 取水装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は取水装置に係り、ダムや湖沼または海や河川の水を取水するに当り、表面部からの取水を常に適切に図ることのできる装置を提供しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
ダムに湛えられた水を灌漑目的などに利用するに当って取水することは従来から種々に実施されているが、従来における取水は堰堤の下部に設けられた放流口から流出させることであって、ダムなどの水面レベルがそれぞれに変動しても継続した取水目的を達することができる。即ち単に水面から取水したのでは若干の取水で水面レベルが低下すると共に取水量が変動し、何れにしても継続して安定な取水を得難いのに対し堰堤の底部から取水するときは安定した取水を継続して得ることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記したような従来の技術においてはダムなどの低レベルの水はその温度が相当に低く、従ってこのような水底部からの水を田畑などの灌漑目的に利用すると作物の生育を阻害し、特に冷害を発生する不利がある。特にダムなどにおける貯水は表面がそれなりに温水化しているにも拘わらず、取水は常に冷水となって好ましい作物などの生育を図り得ないこととなり、収穫なども低下する不利がある。
【0004】
また上記のように水底部からの取水を水中植物の培養や化学的反応目的あるいは魚類や貝類その他の水中生物の育成ないし養育目的に利用するならばそれらの培養期間や反応期間あるいは生育が所定の期間ないし時間内に目的とするような結果を得ることができなくなり、特別な加温設備などを設け、加温処理するようなことが必要となる。
【0005】
なおダムなどにおいてその水面部より取水することに関してもそれなりの検討がなされているようであるが降雨ないし融雪条件および取水状態の如きが複雑に影響する条件下においてその水面レベルに適切に追従して取水することは著しく困難であって、監視員などによる頻繁な見廻りないしレベル調整操作を必要とし、しかも取水量が常に変動せざるを得ないなどの不利を有している。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記したような従来技術における課題を解消することについて検討を重ね、フロートを利用した取水口を用い、該取水口に連結された取水管を用いて取水することにより水面部からの取水を安定条件下で的確に得ることに成功したものであって、以下の如くである。
【0008】
(1) 取水本管に取付けられた連結管の両端部に夫々設けた第1の回転継手を介して各取水管を連結し、各取水管の他端部に夫々第2の回転継手を設け、このような第2の回転継手にフロートの対設された取水口を設けたことを特徴とする取水装置。
【0009】
(2) 回転継手が2重管継手機構であり、外管と内管との間に転子を介装すると共に受圧部の両側にシールリップを対設したリング状自動シール材を設けたことを特徴とする前記(1)の取水装置。
【0010】
【発明の実施の形態】
上記したような本発明によるものの具体的な実施態様を添附図面に示すものについて説明すると、図1に示すように取水本管1に取付けられた連結管2の両端部に夫々設けた回転継手3、3を介して各取水管4を連結し、それら取水管4にフロート5を対設した取水口6を設けたもので、取水口6に対するフロート5、5の配設間隔、連結管2と取水管4との取付間隔を夫々例えば5〜30m、特に15〜25m程度とされると、連結管2に対し各取水管4が30゜の角度範囲で回転すると、フロート5、5によって各取水口6は2.5〜15m、特に7.5〜12.5m上昇または下降し、ダムなどの水面変動に追従することができる。各取水管4、4および連結管2の内側には適当に補強部材13を取付けることが好ましい。
【0011】
図示のものにおいては連結管2の両端部に該連結管2と軸方向を同じとした第1の回転継手3、3が対設され、またそれら回転継手3と直交して各取水管4が取付けられ該取水管4の他端部に第2の回転継手3a、3aが前記第1回転継手3と平行状に設けられて取水口6をこの第2回転継手3a、3aと同軸状に取付けたものであって、各回転継手3、3aで回動作用が得られることにより前述したような水面変動に対する追従作動が円滑に行われる。
【0012】
前記したような回転継手3または3aとして本発明者等が採用した具体的構成例は別に図4と図5に示す如くであって、内管31と外管32から成る2重管構造を採用し、それら両管31、32の間にローラまたはボールのような転子30を介装し、しかも該転子10の両端側にリング状自動シール材9を対設するが、これらのリング状自動シール材9は中間に形成された内腔部19の両側にシールリップ18、18を対設したものである。
【0013】
即ち、このようなリング状自動シール材9としてはその仔細が図4および図5として示す如くであって、ローラのような転子10を受入れるように形成された外管32は内管31の外側に位置せしめられ、転子受入部35と共にシール材受入部36が形成され、このシール材受入部36に前記したリング状自動シール材9が収容され、その内腔部19の両側に対設されたシールリップ18、18は内外管31、32の壁面(外管32については受入部36の内面)に細小化されたリップ状として接合シールし、内腔部19に外圧が作用することによってそのシール作用が強化されるように成っている。
【0014】
前記したシール材受入部36におけるシールリップ18、18は図4に示したように平行状をなす内外壁面に接合シールする場合の外、図5に示すように一方のシールリップ18を受入部36の直角壁面に接合せしめる構成として内腔部19を内外管31、32の壁面に対し傾斜状に位置せしめても同様に有効なシールを得しめ、しかも転子30によって内外管31、32間で自在な回転作用を確保することができる。
【0015】
回転継手3または3aを形成する内管11には図2に示すように凹入した切欠部34がその一側に形成され、該切欠部34に対しては別に図2として示すように外管12の側面に突出して形成された開口部37が接合され、該開口部37には取水管4のフランジ状開口端が連結接続されることによって取水管4と接続される。即ち取水口6からの取水は取水管4から内管11および外管12を介して連結管2に導かれ取水本管1より連続的または間欠的に適宜取水されることとなる。
【0016】
なお本発明によるものは具体的な運転操業に当って適宜にポンプ、ウェイト、濾過設備、バルブやコックなどの機器を採用して実施することができる。即ち本発明によるものは水面部からの取水を適宜に水面下に降下せしめ、前記取水本管1からの取水をサイフォン作用をなすパイプやダクトを介し堰堤などの下方へ導くことにより連続した取水を殊更にポンプその他の揚出機器を必要としないで実施できるが、適宜に補助的にそれらの機構を採用してよいことは当然であり、また長時間に亘って連続した取水ができるとしても、一時的に中断した取水を図るべくバルブその他の機器を採用し得る。更にウェイトを用いることにより中間層からの取水を可能とし、また濾過設備を採用して固形物などの混入を回避することができる。
【0017】
以上説明したような本発明によるものは、取水本管に取付けられた連結管の両端部に夫々設けた回転継手を介して各取水管を連結し、それら取水管にフロートを取付けた取水口を設けたことによって取水口部分をフロートによって常に水面レベルに保持した条件下で取水することができ、しかもダムなどにおける水面レベルに常時追従した安定な取水を可能とする。
【0018】
また上記したような構成において一端部を連結管に設けた第1の回転継手に連結した各取水管の他端部に夫々第2の回転継手を設け、このような第2の回転継手にフロートの対設された取水口を設けたことによってフロートによる取水口の上昇、下降に伴い回転継手による安定した回転作用で取水口の方向を一定に保持して適正な取水を行わしめる。
【0019】
更に上記構成で、回転継手が2重管継手機構であり、外管と内管との間に転子を介装すると共に受圧部の両側にシールリップを対設したリング状自動シール材を設けたことによって平滑に回転し、しかもリング状自動シール材によって外圧、内圧に対し適切に即応し常に確実なシール状態を確保して前記ローラ部分への水の浸入を防止して好ましい性能を維持せしめる。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したような本発明によるときはダムや湖沼ないし河川または海洋などの水域からの取水に当ってその水面部からの取水を適切に行わしめ、しかも水面レベルの変動に対し有効に追従し、特別な調整操作などを必要としないで好ましい温度条件下の取水供給を図って、該取水を利用した各種産業を有利に実施することができるものであって、工業的にその効果の大きい発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による取水装置の全般的な構成関係を示した斜面図である。
【図2】図1に示した回転継手部分についての拡大断面図である。
【図3】図2に示した回転継手部体についての斜面図である。
【図4】図2における左側下方部のリング状自動シール材部分を拡大して示した部分的断面図である。
【図5】図4に示したものの変形例を示した同様な部分的断面図である。
【符号の説明】
1 取水本管
2 連結管
3 第1の回転継手
3a 第2の回転継手
4 取水管
5 フロート
6 取水口
7 継手内管
8 継手外管
9 リング状自動シール材(平行リップ)
9a リング状自動シール材(傾斜リップ)
10 転子(ローラなど)
11 内管
12 外管
13 補強部材
18 シールリップ
19 内腔部
31 内管継手部
32 外管継手部
33 受圧部
34 切欠部
35 転子受入部
36 シール材受入部
37 開口部

Claims (2)

  1. 取水本管に取付けられた連結管の両端部に夫々設けた第1の回転継手を介して各取水管を連結し、各取水管の他端部に夫々第2の回転継手を設け、このような第2の回転継手にフロートの対設された取水口を設けたことを特徴とする取水装置。
  2. 回転継手が2重管継手機構であり、外管と内管との間に転子を介装すると共に受圧部の両側にシールリップを対設したリング状自動シール材を設けたことを特徴とする請求項1に記載の取水装置。
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