JP4297333B2 - 鉄道用回線絶縁抵抗測定方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、鉄道信号保安設備などの比較的低電圧であって、片線が大地に接地していない被測定回線を含む回路において使用する回線の絶縁抵抗測定方法及び装置に関するものである。
被測定回線は、鉄道沿線に施設された鉄道用のものである。そのケーブル区間には、非接地の電線対が一組または複数組含まれている。回線の一端側または何処かには、制御用電源や制御条件を含む回線制御回路が接続され、他端側または中間等の他所には、負荷が接続されている。その負荷に組み込まれて、或いは負荷とは別個に設けられて、保安器が導入され、この保安器が被測定回線に接続されている。保安器は、接地されていて、被測定回線の電圧が異常に高くなると、大地へ放電する。この発明は、そのような保安器の接続された鉄道用回線を対象にしてその絶縁抵抗を測定する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄道沿線では列車の運転保安条件を送るために信号ケーブルを敷設し、それによって信号条件・制御条件を授受・送受する。この条件送受は信号ケーブル中の電線路に制御用電源電圧を印加するかしないかで行われる。このような信号ケーブルを含んだ鉄道用回線では、条件を送信する点、受信する点などに接続箱を設け、そこに相対する接続用端子盤を設備し、その一方の端子から遠方の接続箱に置く同様の端子盤まで必要な何対かの信号ケーブルを結び条件の授受を行う。このような構成の信号ケーブルはその接続箱などで対地絶縁抵抗が低下することがあり、条件の授受に支障をきたす。このために信号ケーブルなどで構成された被測定回線(鉄道用回線)の絶縁劣化を検出して早期に保守することが必要となる。
【0003】
従来、この絶縁抵抗の測定は、被測定回線と大地間の抵抗を測るために、回線制御回路の使用を停止し、電線路を独立させてメガーで測定したり、または信号ケーブルで条件を遠方に送る信号の回路では回線を大地から浮かせていることを利用し、測定点において被測定回線と大地間の絶縁抵抗を知るという絶縁抵抗測定装置が提案されている(例えば特許文献1〜3参照)。
回線制御回路の使用を停止し回路を独立させてメガーで測定する方法は、実使用している設備の使用停止を前提としているため、夜間など列車運行の無い時間でなければ行えない。
【0004】
これに対し、被測定回線と大地との間に特定の絶縁抵抗測定装置を接続する手法では、被測定回線の稼動・実働を継続しながらリアルタイムに絶縁抵抗を測定することができる。
その一つは(例えば特許文献1,2参照)、測定用抵抗と測定用電源との直列回路を介して被測定回線と大地とを接続させ、その状態で測定用電圧の極性を反転させて、測定電流または電圧の検出値に基づいて絶縁抵抗の測定値を算出する、というものである。これにより、制御用電源電圧の影響を受けないで済むようになっている。
【0005】
もう一つは(例えば特許文献3参照)、被測定回線と大地との間の絶縁抵抗を測定するに際し、測定用抵抗を介して被測定回線と大地とを接続させる第1状態と、測定用抵抗と測定用電源との直列回路を介して被測定回線と大地とを接続させる第2状態とを切り替えて、測定用抵抗に係る電流を検出し、この検出値に基づいて絶縁抵抗の測定値を算出する、というものである。この場合、第1状態での検出値と第2状態での検出値との差を算出し、この差に基づいて絶縁抵抗の測定値を算出することにより、制御用電源電圧の影響ばかりか接地点の電位変動の影響も受けないで済むようになっている。
【0006】
【特許文献1】
特開昭56−2569号公報
【特許文献2】
特開平4−359163号公報
【特許文献3】
特開2001−349914号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述したような絶縁抵抗測定方法や装置による測定では常時リアルタイムに測定できるようになったが、鉄道の分野では、被測定回線に雷害対策用の放電形保安器が接続されている。被測定回線が直には接地されていないが保安器を介して間接的に接地され得る状態になっているのである。このような回線の敷設先である鉄道沿線の大地電位は電気車電流の影響などで上昇することがあり、そのような環境で被測定回線の絶縁抵抗を測定しようとして、被測定回線に測定用電圧を加えると、場合によっては、保安器が放電してしまい、そのため適正な測定結果が得られないことがある。
【0008】
また被測定回線の構成が複雑なために電源供給側と条件授受側の両方に絶縁抵抗測定装置を接続したり、既に絶縁抵抗測定装置が接続されている回線に絶縁不良箇所を特定するために別の絶縁抵抗測定装置を接続すると測定用電圧が加算されて正常な測定が出来なくなることもあった。
そこで、被測定回線の稼動・実働を継続しながら常時リアルタイムに安定した絶縁抵抗の測定を行えるようにすべく、保安器の放電が測定行為で引き起こされることがないよう測定手法を改善することが課題となる。
この発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、絶縁抵抗を測定する前に被測定回線の状態を把握して保安器の放電を回避する鉄道用回線絶縁抵抗測定方法および鉄道用回線絶縁抵抗測定装置を実現することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために発明された第1乃至第5の解決手段について、その構成および作用効果を以下に説明する。
【0010】
[第1の解決手段]
第1の解決手段の回線絶縁抵抗測定方法は、出願当初の請求項1に記載の如く、鉄道沿線に施設されて保安器が接続された被測定回線と大地との間の絶縁抵抗を測定するに際し、測定用抵抗を介して前記被測定回線と前記大地とを接続させる第1状態と、前記測定用抵抗と測定用電源との直列回路を介して前記被測定回線と前記大地とを接続させる第2状態とを切り替えて、前記測定用抵抗に係る電流または電圧を検出し、この検出値に基づいて前記絶縁抵抗の測定値を算出する鉄道用回線絶縁抵抗測定方法において、前記第1状態で前記検出値に基づいて前記被測定回線と前記大地との間の被測定回線電圧を求め、前記保安器の放電電圧に応じて予め定められた電圧限界を前記被測定回線電圧と前記測定用電源の電圧との和が超えているとき、前記第2状態への移行を止める、という方法である。
【0011】
このような第1の解決手段の回線絶縁抵抗測定方法にあっては、被測定回線に測定用電圧を印加しない第1状態で被測定回線電圧が測定され、この被測定回線電圧に測定用電圧を加えた和、これは仮に第2状態へ移行したとすると保安器に掛かるであろうと予測される電圧値であるが、この電圧値が電圧限界を超えているときには、第2状態への移行が止められる。
これにより、被測定回線に測定用電圧を印加すると保安器の放電を招来するおそれが有るときは、被測定回線に測定用電圧を印加しない状態が維持されるので、測定行為によって保安器が放電することは確実に回避される。電圧限界は、そのために、保安器の放電電圧に応じて予め定められる。
したがって、この発明によれば、絶縁抵抗を測定する前に被測定回線の状態を把握して保安器の放電を回避する回線絶縁抵抗測定方法を実現することができる。
【0012】
[第2の解決手段]
第2の解決手段の回線絶縁抵抗測定装置は、出願当初の請求項2に記載の如く、鉄道沿線に施設されて保安器が接続された被測定回線と大地との間の絶縁抵抗を測定する鉄道用回線絶縁抵抗測定装置において、前記被測定回線への接続を着脱可能にする回線接続端子と、前記大地への接続を着脱可能にする接地端子と、定電圧出力の測定用電源と、この測定用電源から前記回線接続端子へ供給される測定用電流を制限する測定用抵抗と、この測定用抵抗を介して前記回線接続端子および前記接地端子を接続させる第1状態と前記測定用抵抗および前記測定用電源の直列回路を介して前記回線接続端子および前記接地端子を接続させる第2状態との何れかを採りうる切替回路と、前記測定用抵抗に係る電流または電圧を検出する検出手段と、前記切替回路に前記第1状態を採らせて前記検出手段の検出値に基づき前記回線接続端子と前記接地端子との間の被測定回線電圧を求めこの電圧と前記測定用電源の電圧との和が所定の電圧限界を超えていないときには前記切替回路に前記第2状態を採らせて前記絶縁抵抗の測定を行い前記和が前記電圧限界を超えているときには前記第2状態への移行を止める測定制御回路とを備えたものである。
【0013】
このような第2の解決手段の回線絶縁抵抗測定装置にあっては、絶縁抵抗の測定に先立ち、被測定回線に対して回線接続端子が接続されるとともに、大地に対して接地端子が接続される。この接続作業は手作業であるが、その後は装置を作動させると、第1解決手段の回線絶縁抵抗測定方法が自動で実行される。
具体的には、被測定回線に測定用電圧を印加すると保安器の放電を招来するおそれが有るときは、被測定回線に測定用電圧を印加しない状態が維持されるので、測定行為によって保安器が放電することは確実に回避される。一方、保安器放電のおそれが無ければ、速やかに絶縁抵抗の測定が行われる。その測定も切り分け判定も自動で的確かつ迅速に行われる。
したがって、この発明によれば、絶縁抵抗を測定する前に被測定回線の状態を把握して保安器の放電を回避する回線絶縁抵抗測定装置を実現することができる。
【0014】
[第3の解決手段]
第3の解決手段の回線絶縁抵抗測定装置は、出願当初の請求項3に記載の如く、上記の第2の解決手段の回線絶縁抵抗測定装置であって、更に表示部を具え、前記第2状態への移行を止めたとき前記被測定回線電圧を前記表示部に表示させるようになっている、というものである。
【0015】
このような第3の解決手段の回線絶縁抵抗測定装置にあっては、被測定回線電圧の異常が原因で絶縁抵抗の測定が行えないとき、被測定回線電圧が表示されるので、これを見て判断材料の一つとすることにより、作業者は、しばらく待つか、諦めるか、といった判断を下すのが容易になる。
したがって、この発明によれば、絶縁抵抗を測定する前に被測定回線の状態を把握して保安器の放電を回避する回線絶縁抵抗測定装置を使い易く実現することができる。
【0016】
[第4の解決手段]
第4の解決手段の回線絶縁抵抗測定装置は、出願当初の請求項4に記載の如く、上記の第3の解決手段の回線絶縁抵抗測定装置であって、前記和が前記電圧限界を超えている状態が継続したとき前記表示部または他の発報部に測定不能の旨の出力を行うようになっている、というものである。
【0017】
このような第4の解決手段の回線絶縁抵抗測定装置にあっては、絶縁抵抗を測定できない状態が継続すると、測定不能の通知が作業者にハッキリ伝えられるので、作業者が迷わないで済む。
したがって、この発明によれば、絶縁抵抗を測定する前に被測定回線の状態を把握して保安器の放電を回避する回線絶縁抵抗測定装置をより使い易く実現することができる。
【0018】
[第5の解決手段]
第5の解決手段の回線絶縁抵抗測定装置は、出願当初の請求項5に記載の如く、上記の第2〜第4の解決手段の回線絶縁抵抗測定装置であって、前記電圧限界の値を変更しうる設定手段を具えたものである。
【0019】
このような第5の解決手段の回線絶縁抵抗測定装置にあっては、被測定回線に接続されている保安器によって判定基準の電圧限界値を変更したいときなど、設定手段を利用することにより、電圧限界値の変更が容易に行える。
したがって、この発明によれば、絶縁抵抗を測定する前に被測定回線の状態を把握して保安器の放電を回避する回線絶縁抵抗測定装置を種々の保安器に適合させる態様で実現することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の回線絶縁抵抗測定方法は、被測定回線と大地間に直列に接続した測定用抵抗と測定用電源を介して測定用電圧を印加し、該電圧によって測定用抵抗と被測定回線に流れる測定用電流から被測定回線と大地間の絶縁抵抗を測定する回線絶縁抵抗測定方法において、前記測定用抵抗と大地を直接接続した第1の状態と測定用抵抗と測定用電源を直列に接続して大地と接続した第2の状態に切替可能とし、第1の状態で被測定回線と大地間電圧を測定し測定用電圧を印加しても被測定回線に悪影響しないことを判断した後に、第2の状態に移行することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の回線絶縁抵抗測定装置は、被測定回線と大地間に直列に接続した測定用抵抗と測定用電源を介して測定用電圧を印加し、該電圧によって測定用抵抗と被測定回線に流れる測定用電流から被測定回線と大地間の絶縁抵抗を測定する回線絶縁抵抗測定装置において、前記測定用抵抗と大地を直接接続した第1の状態と測定用抵抗と測定用電源を直列に接続して大地と接続した第2の状態に切替可能とし、第1の状態で被測定回線と大地間電圧を測定し、被測定回線と大地間電圧に測定用電圧を加えた値が該回線の電圧上限値未満の場合に測定可能と判断して第2の状態で絶縁抵抗を測定する一方、該回線の電圧上限値以上の場合は被測定回線と大地間電圧を記憶・表示し、さらに一定時間以上測定ができない場合は測定不能であることを表示し、外部に通知する手段を備えている。
【0022】
さらに、本発明の回線絶縁抵抗測定装置は、被測定回線と大地間に直列に接続した測定用抵抗と測定用電源を介して測定用電圧を印加し、該電圧によって測定用抵抗と被測定回線に流れる測定用電流から被測定回線と大地間の絶縁抵抗を測定する回線絶縁抵抗測定装置において、被測定回線毎に悪影響を与えない電圧上限値を設定できる手段を備え、この設定は測定装置のパネル面よりあるいは通信手段により外部装置から電子データの形式で設定変更できる、というものである。
【0023】
このような本発明の鉄道用回線絶縁抵抗測定方法及び装置は、被測定回線に測定用電圧を印加する前に、被測定回線と大地間に測定用抵抗を直列に接続して被測定回線電圧(Vc)を測定し、絶縁抵抗測定装置の測定用電圧(Vs)に加算した値が事前に被測定回線毎に設定される電圧上限値(Vh)未満のときに測定可能と判断し測定用電圧を印加して、測定用抵抗を流れる電流値から被測定回線の絶縁抵抗を求めるものである。加算した値が電圧上限値の場合は、測定用電圧を印加すると被測定回線に悪影響を与えると判断して測定をスキップするものである。
式であらわすと以下になる。
・Vc+Vs<Vh …測定可能
・Vc+Vs>Vh …測定不可
測定用電圧は高い程絶縁抵抗の測定精度は向上するが、上記理由から余り高い電圧では保安器の放電を招来して測定に影響を与えることになるのでそうも出来ない。鉄道信号関係では、制御用に24V(制御用電源電圧Ve)を使用する例が多く、また保安器の放電電圧は150V以上の例が多いので、測定用電圧は50Vから100Vの範囲が適している。
また、この方法を実現するために電圧上限値が設定され、その値は、150V近辺に初期設定されるが、被測定回線の回線電圧や回線に接続される保安器の放電電圧を考慮して設定変更することが出来る。この設定変更は装置パネル面よりまたは通信手段により外部装置から設定変更できるものである。
【0024】
このような解決手段や実施形態で達成された本発明の鉄道用回線絶縁抵抗測定方法及び鉄道用回線絶縁抵抗測定装置について、これを実施するための具体的な形態を、以下の第1〜第3実施例により説明する。
図1に示した第1実施例は、上述した第1の解決手段を具現化したものであり、図2,図3に示した第2実施例は、上述した第2〜第4の解決手段を具現化したものであり、図4に示した第3実施例は、上述した第5の解決手段を具現化したものである。
なお、それらの図示に際しては、簡明化等のため、筐体や,ベース,フレーム等の機構部などは図示を割愛し、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に記号やブロック等で簡略表記した。
【0025】
【第1実施例】
本発明の第1実施例としての鉄道用回線絶縁抵抗測定方法について、その具体的な構成および使用態様を、図面を引用して説明する。図1(a)は、被測定回線電圧Vcを測定する第1状態の回路図であり、同図(b)は、絶縁抵抗値Rcを測定する第2状態の回路図である。
図1に示すものは、被測定回線10に回線絶縁抵抗測定装置20を接続して被測定回線電圧Vcの測定と絶縁抵抗値Rcの測定を行っているところであり、回線絶縁抵抗測定装置20は、本発明の回線絶縁抵抗測定方法の実施に必要な最小限の機能を具備している。
【0026】
被測定回線10は、ケーブル区間とその両端に分かれた回線制御回路および負荷部とからなり、ケーブル区間には、一対の導電線11a,11bをより対線等にした電線路11が含まれ、その一端側(図では左側)に接続された回線制御回路には制御用電源12と制御条件13とが含まれ、電線路11の他端側(図では右側)に接続された負荷部には負荷14と保安器15とが含まれている。
鉄道信号の場合、電線路11は鉄道線路に沿って敷設され、その長さは片道で5km程度で折り返しても10km程度までである。導電線11a,11bの抵抗値は、ケーブルの種類によって異なるが、大抵は0.6〜17.0Ω/km程度なので、電線路11の抵抗は大きくても170Ω程度となる。
【0027】
制御用電源12の制御用電源電圧Veは、上述したように、24V程度が多用されている。
制御条件13は、リレー接点の開閉やトランジスタのオンオフ等にて、制御用電源12と電線路11との導通遮断状態を切り替えるものであり、図示しない指令や制御信号に従って制御用電源電圧Veを電線路11に印加したり印加しなかったりするようになっている。
【0028】
負荷14は、リレーコイルであったり、フォトカップラであったり、信号球であったりするが、その負荷抵抗値Rhは200〜2000Ω程度である。
保安器15は、電線路11と大地GNDとに介挿接続されて、常態では両者を絶縁状態に保つが、大地GNDに対する電線路11の被測定回線電圧Vcが放電電圧を超えると、放電するようになっている。その放電電圧は、上述したように、150V程度かそれ以上のものが鉄道信号では多用されている。被測定回線電圧Vcは、避雷の他、上述したように鉄道沿線では大地電位が電気車電流の影響受けること等によっても変動し、例えば直流電化区間では、200V程度の電圧値が観測されている。ケーブルの施工状態も被測定回線電圧Vcに大きく影響するので、被測定回線電圧Vcは200Vを超えて大きく変動することもある。
【0029】
このような被測定回線10は、基本的には非接地のものであり、制御条件13が導通状態になると、制御用電源電圧Veが印加されて、それによる電流が制御用電源12と制御条件13と導電線11aと負荷14と導電線11bとを一巡する。制御条件13が遮断状態になると、電線路11に制御用電源電圧Veが印加されないので、負荷14に電流が流れないようになっている。被測定回線10と大地GNDとの間には不所望な絶縁抵抗16が寄生的に存在しており(図では集中素子的に表示した)、その絶縁抵抗値Rcは、正常状態で100MΩ以上になっているが、種々の要因により低下することがあり、100kΩ程度になると被測定回線10の異常動作を引き起こしかねない。
【0030】
回線絶縁抵抗測定装置20は、この絶縁抵抗値Rcを測定するために、測定用抵抗器28と測定用電流計29と切替スイッチ22と測定用電源21とを具えている。測定用抵抗器28と測定用電流計29と切替スイッチ22はその順で直列に接続されている。切替スイッチ22は3端子であり、常時接続の端子が測定用電流計29に接続され、切り替え接続される2端子に測定用電源21の両端子がそれぞれ接続されている。また、測定時には、測定用電源21の両端子のうち一方の端子が大地GNDに接続され、測定用抵抗器28の両端子のうち測定用電流計29に接続されずに残っている端子が電線路11に接続される。
【0031】
測定用電源21は、電池又は整流回路や定電圧回路等からなり、上述したように、50V〜100V程度の一定電圧である測定用電圧Vsを出力するようになっている。
測定用抵抗器28は、測定用電源21から流れ出る電流を制限するとともに被測定回線10から大地GNDへ流れる電流も制限するためのものであり、その測定用抵抗値Rsは、100kΩ程度に選定される。この値は、後で詳述する絶縁抵抗値Rcの算出に際して負荷抵抗値Rhや電線路11の抵抗を無視できるよう、負荷抵抗値Rhより十分に大きくなっている。また、被測定回線に影響を与えないためにも高い抵抗値のものを接続するようになっている。
【0032】
測定用電流計29(検出手段)は、電気抵抗を無視できて測定用抵抗器28を流れる電流を検出できるものであれば良く、手動測定では検出結果である電流値ia,ibを表示できれば足り、自動測定では検出した電流値ia,ibを測定制御回路等へ信号送出できれば足りる。両機能を兼備していても良い。
切替スイッチ22(切替回路)は、第1状態と第2状態との何れか択一的に採り得るものであり、第1状態では、電線路11と測定用抵抗器28と測定用電流計29と大地GNDとを直列接続状態にし、第2状態では、電線路11と測定用抵抗器28と測定用電流計29と測定用電源21と大地GNDとを直列接続状態にするようになっている。
【0033】
このような回線絶縁抵抗測定装置20を用いることにより、保安器15の放電を誘発することなく、被測定回線10の絶縁抵抗値Rcを測定することが出来る。絶縁抵抗測定装置20は測定用抵抗器28を介して被測定回線10の図示しない接続用端子盤等に接続されており、測定用抵抗器28には測定用電流計29と切替スイッチ22とが直列接続され、更に切替スイッチ22の一方には測定用電源21が直列に接続されて大地GNDと接続される。切替スイッチ22は、測定用電源21をこの測定回路に接続したり、しなかったりするために設けられており、切替スイッチ22の他方は測定用電源21をパスして大地GNDに接続される。この測定回路に流れる電流を測定用電流計29で計測することにより、被測定回線10と大地GND間の絶縁抵抗16の絶縁抵抗値Rcを測定することが出来る。
【0034】
このように構成された回線絶縁抵抗測定装置20によって、まず第1状態で被測定回線電圧Vcが測定される。すなわち(図1(a)参照)、切替スイッチ22により測定用電源21をパスして測定用抵抗器28と測定用電流計29を直列に被測定回線10と大地GNDとの間に接続させ、その状態で測定用抵抗器28に流れる電流値iaを測定用電流計29にて測定する。この電流値iaから、式[Rs×ia]の演算を行って、被測定回線10と大地間GNDとの電位差すなわち被測定回線の電圧を求める。この電圧を被測定回線電圧Vcとする。
【0035】
この電流の測定は、数秒間隔に3〜5回行い、電流値が安定したときの値をその時の電流値iaとして採用すると良い。なお電流値が安定している状態とは、数秒間隔に測定した値のばらつきが小さいということである。安定状態でないときは、電気車電流などの外部要因による影響を受けていると判断して、次の第2状態には移行せず、絶縁抵抗値Rcの測定をスキップする。
また、被測定回線電圧Vcに測定用電圧Vsを加えて和Vc+Vsを求め、この値が電圧上限値Vhを超えているときは、測定用電圧Vsを被測定回線10に印加すると保安器15の放電を招くおそれがあるため、測定不可能と判断して、次の第2状態には移行せず、絶縁抵抗値Rcの測定をスキップする。
電圧上限値Vh(電圧限界)は、保安器15の放電電圧以下の値に設定され、例えば放電までの余裕を見て保安器15の放電電圧の80%程度の値にされる。
【0036】
和Vc+Vsが電圧上限値Vh未満のときは測定可能と判断して、次の第2状態に移行する。
第2状態では、測定用電圧Vsを印加して測定用抵抗値Rsの測定が行われる。具体的には(図1(b)参照)、切替スイッチ22により、測定用電源21を直列回路に組み入れる。すなわち、測定用抵抗器28と測定用電流計29と測定用電源21とを直列に被測定回線10と大地GNDとの間に接続させ、その状態で測定用抵抗器28に流れる電流値ibを測定用電流計29にて測定する。この電流値ibから、式[((Vc+Vs)/ib)−Rs]の演算を行って、被測定回線10と大地間GNDとの絶縁抵抗値Rcを求める。
【0037】
その式は、負荷抵抗値Rh及び電線路11抵抗を無視し、被測定回線10にかかる電圧が被測定回線電圧Vcと測定用電圧Vsを加えたものになると仮定した簡略式であり、これで算出した絶縁抵抗値Rcは、導電線11a,11bに分布する並列抵抗を一つの抵抗値で代表している。
こうして、この例の鉄道用回線絶縁抵抗測定方法にあっては、被測定回線10に保安器15が接続されていても、保安器15の放電を誘発することなく、被測定回線10の絶縁抵抗値Rcの測定を行うことができる。
【0038】
【第2実施例】
本発明の第2実施例としての回線絶縁抵抗測定装置30について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図2(a)は、装置全体のブロック図であり、同図(b)は、測定制御回路34の処理内容のフローチャートである。
この回線絶縁抵抗測定装置30が上述した第1実施例の回線絶縁抵抗測定装置20と相違するのは(図2(a)参照)、測定時の接続状態確立のため回線接続端子31及び接地端子32が組み付けられ、測定自動化のためにA/D変換回路33と測定制御回路34とが組み込まれ、作業者への通知のために表示部35と発報部36とが付設されている点である。
【0039】
回線接続端子31は、被測定回線10への接続を着脱自在・着脱容易に行えるよう例えば金属製のクリップや圧着端子などからなり、筐体の外に設けられ、筐体内の測定用抵抗器28の一端に導電線で接続されている。接地端子32は、大地GNDへの接続を着脱自在・着脱容易に行えるよう例えば金属製のクリップや針状金属棒などからなり、やはり筐体の外に設けられ、筐体内の測定用電源21の一端に導電線で接続されている。
【0040】
A/D変換回路33は、測定用電流計29の検出電流値を随時サンプリングしてデジタル値に変換するものであり、例えば安価な逐次比較型8ビットA/D変換器で構成される。
測定制御回路34は、プログラマブルなマイクロプロセッサシステム(MPU)やシーケンサを主体に構成され、A/D変換回路33を介して測定用電流計29から測定用抵抗器28に係る電流値(検出値)を入力し、その値に基づいて切替制御信号を生成し、この切替制御信号を切替スイッチ22に送出するようになっている。
【0041】
切替制御信号の生成処理等は測定制御回路34のプログラムに則って行われ(図2(b)参照)、先ず切替スイッチ22に第1状態を採らせて測定用電流計29の電流値iaを入力し、この電流値iaに基づいて被測定回線10接続用の回線接続端子31と大地GND接続用の接地端子32との間の被測定回線電圧Vcを求め、更に電圧Vcと測定用電圧Vsとの和Vc+Vsを算出する。次に、和Vc+Vsが電圧上限値Vhを下回っている(電圧限界を超えていない)ときには、切替スイッチ22に第2状態を採らせて電流値ibの入力と絶縁抵抗値Rcの算出を行う。これに対し、和Vc+Vsが電圧上限値Vhを上回っている(電圧限界を超えている)ときには、第2状態への移行は止める。このような処理を自動で行うよう測定制御回路34はプログラムされている。
【0042】
表示部35には(図2(a)参照)例えば軽量で省エネの液晶パネル(LCD)が採用され、これに対しては測定制御回路34が第1状態から第2状態への移行を止めたとき第1状態のときの被測定回線電圧Vcを表示するようになっている。
発報部36には例えばブザー(BZ)が採用され、これに対しては測定制御回路34が絶縁抵抗値Rcの異常を検知したときアラーム音を発する駆動を行うようになっている。
【0043】
この第2実施例の回線絶縁抵抗測定装置30について、その使用態様及び動作を、図2(b)のフローチャートや図3の測定例を参照しながら説明する。
回線絶縁抵抗測定装置30を用いて被測定回線10の絶縁抵抗値Rcを測定するときは、先ず、回線接続端子31を被測定回線10に接続し、接地端子32を大地GNDに接続する。それから回線絶縁抵抗測定装置30に動作電力を供給し、その電源投入で、或いは図示しないスタートボタン等の更なる操作も行うことで、測定動作を開始させる。
【0044】
そうすると、測定制御回路34が、プログラムに従って(図2(b)参照)、直ちに切替スイッチ22を直接接続側へ切り替えるので、初期状態では第1状態となる。その状態で、測定制御回路34は、測定用電流計29の電流値iaを入力し、式[Rs×ia]の演算を行って被測定回線電圧Vcを算出し、更に和Vc+Vsを算出して、和Vc+Vsと電圧上限値Vhとの大小比較を行う。そして、Vc+Vs>Vhのときには、測定不能と判定して、表示部35に被測定回線電圧Vcを表示し、絶縁抵抗値Rcの測定はスキップする。
【0045】
これに対し、Vc+Vs<Vhのときには、測定可能と判定して、切替スイッチ22を測定用電源21側へ切り替える。これによって第2状態に移行するので、この状態で、測定制御回路34は、測定用電流計29の電流値ibを入力し、式[((Vc+Vs)/ib)−Rs]の演算を行って絶縁抵抗値Rcを算出する。さらに、この絶縁抵抗値Rcと基準抵抗値Raとの大小比較を行って、Rc<Raのときには、絶縁抵抗値Rcが異常に低下していると判定して、作業者の注意を促すためのアラーム音を発報部36から発する。Rc>Raのときには、絶縁抵抗値Rcが適正であると判定して、そのまま終了する。
【0046】
なお、基準抵抗値Raは、電圧上限値Vh等と同じく測定制御回路34に設定されるパラメータ値であり、上述したように絶縁抵抗値Rcが100kΩ程度になると被測定回線10の異常動作を引き起こしかねないことから、例えば余裕を見て500kΩに設定されている。
また、図2(b)のフローチャートには示さなかったが、上述した一連の処理は、繰り返し実行するようにしても良い。そして、和Vc+Vsが電圧上限値Vhを上回っている状態が所定時間以上たとえば十数秒も継続したときには、発報部36に測定不能の旨の出力を行うようにもなっている。測定不能の旨の出力は、作業者の注意を引くよう、例えば発報部36からアラーム音とは異なる高い音階や耳につく音色の音を発することで行われる。
【0047】
回線絶縁抵抗測定装置30を用いた絶縁抵抗値Rcの測定は、被測定回線10が並列回路の場合も可能である(図3(a)参照)。
この被測定回線10には、制御条件13と電線路11と負荷14と保安器15との組が3組並設され、制御用電源12が単体で共用されている。
図示の例では回線絶縁抵抗測定装置30が制御用電源12と回線分岐点との中間で幹線に接続されているが、回線絶縁抵抗測定装置30の接続先は、回線分岐点でも良く、何れかの分岐線でも良く、電線路11や負荷14側でも良い。
この場合、測定によって得られる絶縁抵抗値Rcは、3組の電線路11に係る絶縁抵抗16を並列状態で一つに纏めた抵抗値となる。
【0048】
また、回線絶縁抵抗測定装置30を用いた絶縁抵抗値Rcの測定は、被測定回線10に2台の回線絶縁抵抗測定装置30を接続していても可能である(図3(b)参照)。
このような構成の場合では、何れの回線絶縁抵抗測定装置30についても、自装置の電圧上限値Vhを他装置の測定用電圧Vsと同じ値かそれより小さい値に設定しておくことで、一方の回線絶縁抵抗測定装置30が測定中の時は被測定回線10に他方の回線絶縁抵抗測定装置30が測定用電源21を接続して測定用電圧Vsを多重に印加するという事態を未然に而も自動で確実に阻止することができるので、測定不良が回避される。
【0049】
【第3実施例】
図4にブロック図を示した本発明の回線絶縁抵抗測定装置40が上述した第2実施例の回線絶縁抵抗測定装置30と相違するのは、電圧上限値Vh等の設定変更を可能とするために操作パネル41と不揮発性メモリ42とパラメータ設定プログラム43とが追加された点である。
操作パネル41は、操作情報を測定制御回路34に送れるものであれば、キーや押ボタン等を配設した独立パネルでも良く、表示部35と一体のタッチパネルでも良い。
不揮発性メモリ42は、フラッシュメモリが使い易いが、EEPROM等でも良く、RAMを電池等でバックアップした記憶回路であっても良い。
【0050】
回線絶縁抵抗測定装置40が取り扱う各種物理量のうち、電流値ia,ibは検出値であり、被測定回線電圧Vcと絶縁抵抗値Rcは算出値であり、測定用抵抗値Rsと測定用電圧Vsと電圧上限値Vhは、算出演算時に参照される既知の定数すなわちパラメータである。なお、負荷抵抗値Rhは無視され、制御用電源電圧Veは被測定回線電圧Vcに含められて顕在化しない。上記パラメータのうち測定用抵抗値Rsと測定用電圧Vsは、測定用抵抗器28や測定用電源21を交換しなければ大きくは変化しないので、固定値としておいても不都合が少ないが、電圧上限値Vhは、被測定回線10の仕様や特性に応じて設定変更したいものであり、特に保安器の放電電圧に対して容易に適合させられれば利便性が向上する。
【0051】
この場合、操作パネル41の特定キー操作等にてパラメータ設定プログラム43を起動させると、電圧上限値Vh入力を促すプロンプトと現在の設定値が表示部35に表示される。それに対し、操作パネル41の数字キー操作等にて新たな設定値を入力すると、それが確認のため表示部35に表示されるので、確認のうえ操作パネル41の確認キー等を操作する。そうすると、測定制御回路34によって、電圧上限値Vhの設定値が更新されるとともに、その値が不揮発性メモリ42に記憶保持される。
【0052】
パラメータ設定プログラム43は、そのような手動でのパラメータ設定をサポートする他、標準装備のシリアル通信機能等にて、通信プロトコルの適合している適宜な外部装置50と交信して、パラメータ値をダウンロードすることも行うようになっている。また、誤操作防止の特定操作手順を踏めば、測定用抵抗値Rsと測定用電圧Vsについても、設定値を更新するようになっている。それらの設定値も不揮発性メモリ42に記憶保持されるようになっている。
【0053】
なお、図示は割愛したが、測定によって得た電流値ia,ibや,被測定回線電圧Vc,絶縁抵抗値Rcの全部または一部を適宜期間に亘って不揮発性メモリ42に記録しておき、後で外部装置50等へアップロードできるようにしても良い。もちろん、測定時に外部装置50等が接続されていれば、リアルタイムに測定結果をアップロードしても良い。
【0054】
【その他】
なお、上記の各実施例では、絶縁抵抗値Rcを電流値ibから算出するようになっていたが、絶縁抵抗値Rcの算出手法は、これに限られるものでなく、例えば、特許文献3記載の如く、絶縁抵抗値Rcを電流値ia及び電流値ibから算出するのでも良く、特許文献2や特許文献1に記載の如く、測定用電圧Vsの極性反転手段を追加して両極性での検出値から算出するのも良い。
また、測定用電流計29による電流値ia,ibの検出に代えて、測定用抵抗値Rsに生じる電位差や両端それぞれの電圧を検出し、それから等価な物理量を算出するようにしても良い。
【0055】
さらに、測定用電圧Vsの印加が被測定回線10に悪影響を与えるか否かの判断基準として、上記の各実施例では和Vc+Vsが電圧上限値Vhを下回っているときを述べたが、測定用電圧Vsは正に限らず負や正負反転でも良いので、測定用電圧印加の適否判断基準も、上述した実施例のものに限られる訳でなく、電圧下限値を上回っているときや、電圧上下限値の間に入っているとき等であっても良い。
【0056】
また、上記の各実施例では、発報部36からアラームを発することで測定不能の旨の通知を行うようになっていたが、測定不能の旨の出力は、発報部36に限らず、表示部35に対して行うようにしても良い。双方でも良い。
発報部36は、上述したブザーに限らず、アラーム等を発するものであれば良く、例えば音声合成ICと小形スピーカとを組み合わせた回路でも良い。発光するものでも良い。
【0057】
上記の第2実施例では、電流値iaを一回測定したら直ちに被測定回線電圧Vcを算出するようになっていたが、第1実施例のように電流値iaが安定するのを待ってから被測定回線電圧Vcの算出を行うようにしても良く、電流値iaを何回か測定して得た複数・多数の被測定回線電圧Vcを平均して最終的な被測定回線電圧Vcを出すようにしても良い。
【0058】
【発明の効果】
本発明は、以上に説明したように構成される鉄道用回線の絶縁抵抗測定方法および絶縁抵抗測定装置に係わるもので、被測定回線に保安器が接続されていても、回線の絶縁抵抗値を測定するに際して保安器の不所望な放電を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例について、回線絶縁抵抗測定方法を示し、(a)が被測定回線電圧Vc測定状態の回路図、(b)が絶縁抵抗値Rc測定状態の回路図である。
【図2】 本発明の第2実施例について、回線絶縁抵抗測定装置の構造を示し、(a)が装置全体のブロック図、(b)が測定制御回路の処理内容のフローチャートである。
【図3】 (a),(b)何れも回線絶縁抵抗の測定例である。
【図4】 本発明の第3実施例について、回線絶縁抵抗測定装置の構造を示すブロック図である。
【符号の説明】
10…被測定回線、
11…電線路、12…制御用電源、13…制御条件、
14…負荷、15…保安器、16…絶縁抵抗、
20…回線絶縁抵抗測定装置、
21…測定用電源、22…切替スイッチ、
28…測定用抵抗器、29…測定用電流計、
30…回線絶縁抵抗測定装置、
31…回線接続端子、32…接地端子、
33…A/D変換回路、34…測定制御回路(MPU)、
35…表示部(LCD、データ等出力手段)、
36…発報部(BZ、アラーム等出力手段)、
40…回線絶縁抵抗測定装置、
41…操作パネル(操作入力部)、42…不揮発性メモリ、
43…パラメータ設定プログラム、50…外部装置、
GND…大地、Ve…制御用電源電圧、Vh…電圧上限値、
Vs…測定用電圧、Vc…被測定回線電圧、
Rs…測定用抵抗値、Rc…絶縁抵抗値、Rh…負荷抵抗値、
ia,ib…電流値(検出値)
Claims (5)
- 鉄道沿線に施設されて保安器が接続された被測定回線と大地との間の絶縁抵抗を測定するに際し、測定用抵抗を介して前記被測定回線と前記大地とを接続させる第1状態と、前記測定用抵抗と測定用電源との直列回路を介して前記被測定回線と前記大地とを接続させる第2状態とを切り替えて、前記測定用抵抗に係る電流または電圧を検出し、この検出値に基づいて前記絶縁抵抗の測定値を算出する鉄道用回線絶縁抵抗測定方法において、前記第1状態で前記検出値に基づいて前記被測定回線と前記大地との間の被測定回線電圧を求め、前記保安器の放電電圧に応じて予め定められた電圧限界を前記被測定回線電圧と前記測定用電源の電圧との和が超えているとき、前記第2状態への移行を止めることを特徴とする鉄道用回線絶縁抵抗測定方法。
- 鉄道沿線に施設されて保安器が接続された被測定回線と大地との間の絶縁抵抗を測定する鉄道用回線絶縁抵抗測定装置において、前記被測定回線への接続を着脱可能にする回線接続端子と、前記大地への接続を着脱可能にする接地端子と、定電圧出力の測定用電源と、この測定用電源から前記回線接続端子へ供給される測定用電流を制限する測定用抵抗と、この測定用抵抗を介して前記回線接続端子および前記接地端子を接続させる第1状態と前記測定用抵抗および前記測定用電源の直列回路を介して前記回線接続端子および前記接地端子を接続させる第2状態との何れかを採りうる切替回路と、前記測定用抵抗に係る電流または電圧を検出する検出手段と、前記切替回路に前記第1状態を採らせて前記検出手段の検出値に基づき前記回線接続端子と前記接地端子との間の被測定回線電圧を求めこの電圧と前記測定用電源の電圧との和が所定の電圧限界を超えていないときには前記切替回路に前記第2状態を採らせて前記絶縁抵抗の測定を行い前記和が前記電圧限界を超えているときには前記第2状態への移行を止める測定制御回路とを備えたことを特徴とする鉄道用回線絶縁抵抗測定装置。
- 表示部を具え、前記第2状態への移行を止めたとき前記被測定回線電圧を前記表示部に表示させるものであることを特徴とする請求項2記載の鉄道用回線絶縁抵抗測定装置。
- 前記和が前記電圧限界を超えている状態が継続したとき前記表示部または他の発報部に測定不能の旨の出力を行うことを特徴とする請求項3記載の鉄道用回線絶縁抵抗測定装置。
- 前記電圧限界の値を変更しうる設定手段を具えたことを特徴とする請求項2乃至請求項4の何れかに記載された鉄道用回線絶縁抵抗測定装置。
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