JP4297235B2 - 信号記録装置、信号記録方法、信号再生装置、信号再生方法、および記録媒体 - Google Patents

信号記録装置、信号記録方法、信号再生装置、信号再生方法、および記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、信号記録装置、信号記録方法、信号再生装置、信号再生方法、および記録媒体関する。
【0002】
【従来の技術】
VLC(Variable Length Coding、可変長符号化)やDCT(Discrete Cosine Transform、離散コサイン変換)を利用する高能率符号化方式としては、DVCPRO(商品名;ただし、圧縮方式としてはSMPTE314Mに定義されている)圧縮やMPEG(Moving Picture Experts Group)圧縮などがあるが、これらの圧縮方式の詳細は異なっているため、たとえばDVCPROビットストリームをMPEGビットストリームに変換するには、DVCPROビットストリームを一度伸張して画像データを復元してから、新ためてMPEG圧縮を行う必要があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の方法では、DVCPROビットストリームを一度伸張して画像データを復元し、それを再びMPEG圧縮するため、映像信号を二回圧縮することになり、画質の劣化が避けられないという課題があった。
【0004】
これに対して、本発明者は、ビットストリーム変換のみで、たとえばDVCPRO圧縮したビットストリームをMPEGビットストリームに変換できるような変換方法を提案した(特開20005879号公報参照)。しかし、本発明者は、そのようなビットストリーム変換を可能とする圧縮方式を実現するためには、量子化ステップ数を拡張するなどしなければならない場合があり、そのような場合には、従来の圧縮方式は使用できないという課題があることに気がついた。
【0005】
本発明は、このような課題を考慮し、量子化ステップ数の拡張が可能な圧縮方式を実現する信号記録装置、信号記録方法、および記録媒体、ならびにそのような圧縮方式により圧縮された信号を再生することが可能な信号再生装置、信号再生方法、および記録媒体を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
第一の本発明(請求項1に対応)は、所定の量子化ステップ数の量子化ステップを用いて信号の量子化が行われる第1のビットストリームへビットストリーム変換できる
第1の位置、およびDCTブロック単位の所定の情報を記録するための第2の位置を有する記録フォーマットの、
第2のビットストリームを記録するための信号記録装置であって、
前記所定の量子化ステップ数の量子化ステップを用いて信号の量子化を行うための量子化手段と、
前記量子化手段が前記信号の量子化を行う際に用いる量子化ステップを特定するための複数の量子化情報を生成するための量子化情報生成手段と、
前記量子化された信号から符号化信号を生成するための符号化手段と、
前記複数の量子化情報を含むデータ、および前記符号化信号を有する圧縮信号を記録するための記録手段と、を備え、
前記量子化ステップは、基本量子化ステップとその基本量子化ステップと組み合わされる乗数との積であり、
前記複数の量子化情報は、前記基本量子化ステップを特定するための量子化番号、および前記基本量子化ステップと組み合わされる乗数を特定するための乗数情報であり、
前記量子化ステップは、前記DCTブロックから構成されるマクロブロックにおいて一様であって、
前記第2のビットストリームの記録フォーマットは、前記所定の量子化ステップ数よりも少ない量子化ステップ数の量子化ステップを用いて信号の量子化が行われる別のビットストリームの記録フォーマットと同一であり、
前記第2のビットストリームの記録フォーマットが有する前記第1の位置は、前記別のビットストリームの記録フォーマットが有する、前記所定の量子化ステップ数よりも少ない量子化ステップ数の量子化ステップを特定するための量子化情報を記録するための位置と一致し、
前記量子化番号は、前記マクロブロックごとに、前記第1の位置へ記録され、
前記乗数情報は、前記DCTブロックごとに、前記第2の位置へ記録されることを特徴とする信号記録装置である。
【0007】
第二の本発明(請求項2に対応)は、所定の量子化ステップ数の量子化ステップを用いて信号の量子化が行われる第1のビットストリームへビットストリーム変換できる
第1の位置、およびDCTブロック単位の所定の情報を記録するための第2の位置を有する記録フォーマットの、
第2のビットストリームを記録するための信号記録装置であって、
前記所定の量子化ステップ数の量子化ステップを用いて信号の量子化を行うための量子化手段と、
前記量子化手段が前記信号の量子化を行う際に用いる量子化ステップを特定するための複数の量子化情報を生成するための量子化情報生成手段と、
前記量子化された信号を、2のべきとして表現されるレンジ変換乗数を用いてレンジ変換するためのレンジ変換手段と、
前記レンジ変換された、量子化された信号から符号化信号を生成するための符号化手段と、
所定のデータ、および前記符号化信号を有する圧縮信号を記録するための記録手段と、備え、
前記量子化ステップは、基本量子化ステップとその基本量子化ステップと組み合わされる乗数との積であり、
前記複数の量子化情報とは、前記基本量子化ステップを特定するための量子化番号、および前記基本量子化ステップと組み合わされる乗数を特定するための乗数情報であり、
前記基本量子化ステップと組み合わされる前記乗数は、2のべきであって、前記乗数情報とは、そのべき指数であり、
前記所定のデータは、(1)前記基本量子化ステップを特定するための量子化番号、および(2)前記基本量子化ステップと組み合わされる前記乗数のべき指数と前記2のべきとして表現されるレンジ変換乗数のべき指数との和を特定するための総合乗数情報を含み、
前記量子化ステップは、前記DCTブロックから構成されるマクロブロックにおいて一様であって、
前記第2のビットストリームの記録フォーマットは、前記所定の量子化ステップ数よりも少ない量子化ステップ数の量子化ステップを用いて信号の量子化が行われる別のビットストリームの記録フォーマットと同一であり、
前記第2のビットストリームの記録フォーマットが有する前記第1の位置は、前記別のビットストリームの記録フォーマットが有する、前記所定の量子化ステップ数よりも少ない量子化ステップ数の量子化ステップを特定するための量子化情報を記録するための位置と一致し、
前記量子化番号は、前記マクロブロックごとに、前記第1の位置へ記録され、
前記総合乗数情報は、前記DCTブロックごとに、前記第2の位置へ記録されることを特徴とする信号記録装置である。
【0010】
の本発明(請求項に対応)は、前記信号のビット数は12であり、前記レンジ変換された信号のビット数は9であり、
前記総合乗数情報のビット数は、2以内であることを特徴とする第の本発明の信号記録装置である。
【0011】
第四の本発明(請求項4に対応)は、所定の量子化ステップ数の量子化ステップを用いて信号の量子化が行われる第1のビットストリームへビットストリーム変換できる
第1の位置、およびDCTブロック単位の所定の情報を記録するための第2の位置を有する記録フォーマットの、
第2のビットストリームを記録するための信号記録方法であって、
前記所定の量子化ステップ数の量子化ステップを用いて信号の量子化を行うための量子化工程と、
前記量子化工程で前記信号の量子化を行う際に用いる量子化ステップを特定するための複数の量子化情報を生成するための量子化情報生成工程と、
前記量子化された信号から符号化信号を生成するための符号化工程と、
前記複数の量子化情報を含むデータ、および前記符号化信号を有する圧縮信号を記録するための記録工程と、を備え、
前記量子化ステップは、基本量子化ステップとその基本量子化ステップと組み合わされる乗数との積であり、
前記複数の量子化情報は、前記基本量子化ステップを特定するための量子化番号、および前記基本量子化ステップと組み合わされる乗数を特定するための乗数情報であり、
前記量子化ステップは、前記DCTブロックから構成されるマクロブロックにおいて一様であって、
前記第2のビットストリームの記録フォーマットは、前記所定の量子化ステップ数よりも少ない量子化ステップ数の量子化ステップを用いて信号の量子化が行われる別のビットストリームの記録フォーマットと同一であり、
前記第2のビットストリームの記録フォーマットが有する前記第1の位置は、前記別のビットストリームの記録フォーマットが有する、前記所定の量子化ステップ数よりも少ない量子化ステップ数の量子化ステップを特定するための量子化情報を記録するための位置と一致し、
前記量子化番号は、前記マクロブロックごとに、前記第1の位置へ記録され、
前記乗数情報は、前記DCTブロックごとに、前記第2の位置へ記録されることを特徴とする信号記録方法である。
【0012】
第五の本発明(請求項5に対応)は、所定の量子化ステップ数の量子化ステップを用いて信号の量子化が行われる第1のビットストリームへビットストリーム変換できる
第1の位置、およびDCTブロック単位の所定の情報を記録するための第2の位置を有する記録フォーマットの、
第2のビットストリームを記録するための信号記録方法であって、
前記所定の量子化ステップ数の量子化ステップを用いて信号の量子化を行うための量子化工程と、
前記量子化工程で前記信号の量子化を行う際に用いる量子化ステップを特定するための複数の量子化情報を生成するための量子化情報生成工程と、
前記量子化された信号を、2のべきとして表現されるレンジ変換乗数を用いてレンジ変換するためのレンジ変換工程と、
前記レンジ変換された、量子化された信号から符号化信号を生成するための符号化工程と、
所定のデータ、および前記符号化信号を有する圧縮信号を記録するための記録工程と、備え、
前記量子化ステップは、基本量子化ステップとその基本量子化ステップと組み合わされる乗数との積であり、
前記複数の量子化情報とは、前記基本量子化ステップを特定するための量子化番号、および前記基本量子化ステップと組み合わされる乗数を特定するための乗数情報であり、
前記基本量子化ステップと組み合わされる前記乗数は、2のべきであって、前記乗数情報とは、そのべき指数であり、
前記所定のデータは、(1)前記基本量子化ステップを特定するための量子化番号、および(2)前記基本量子化ステップと組み合わされる前記乗数のべき指数と前記2のべきとして表現されるレンジ変換乗数のべき指数との和を特定するための総合乗数情報を含み、
前記量子化ステップは、前記DCTブロックから構成されるマクロブロックにおいて一様であって、
前記第2のビットストリームの記録フォーマットは、前記所定の量子化ステップ数よりも少ない量子化ステップ数の量子化ステップを用いて信号の量子化が行われる別のビットストリームの記録フォーマットと同一であり、
前記第2のビットストリームの記録フォーマットが有する前記第1の位置は、前記別のビットストリームの記録フォーマットが有する、前記所定の量子化ステップ数よりも少ない量子化ステップ数の量子化ステップを特定するための量子化情報を記録するための位置と一致し、
前記量子化番号は、前記マクロブロックごとに、前記第1の位置へ記録され、
前記総合乗数情報は、前記DCTブロックごとに、前記第2の位置へ記録されることを特徴とする信号記録方法である。
【0013】
第六の本発明(請求項6に対応)は、所定の量子化ステップ数の量子化ステップを用いて信号の量子化が行われる第1のビットストリームへビットストリーム変換できる
第1の位置、およびDCTブロック単位の所定の情報を記録するための第2の位置を有する記録フォーマットの、
第2のビットストリームを再生するための信号再生装置であって、
所定のデータ、および2のべきとして表現されるレンジ変換乗数を用いてレンジ変換され、量子化された信号から生成される符号化信号を有する信号として記録された圧縮信号から、前記所定のデータ、および前記符号化信号を再生するための再生手段と、
前記再生された所定のデータに基づいて、前記信号の量子化が行われる際に用いられる前記所定の量子化ステップ数の量子化ステップを構成するための量子化ステップ構成手段と、
前記レンジ変換乗数に基づいて、前記再生された符号化信号を逆レンジ変換するための逆レンジ変換手段と、
前記構成された量子化ステップに基づいて、前記逆レンジ変換された信号を逆量子化するための逆量子化手段と、を備え、
前記所定のデータは、(1)基本量子化ステップを特定するための量子化番号、および(2)前記基本量子化ステップと組み合わされる2のべきである乗数のべき指数と前記2のべきとして表現されるレンジ変換乗数のべき指数との和を特定するための総合乗数情報を含み、
前記量子化ステップは、前記DCTブロックから構成されるマクロブロックにおいて一様であって、
前記第2のビットストリームの記録フォーマットは、前記所定の量子化ステップ数よりも少ない量子化ステップ数の量子化ステップを用いて信号の量子化が行われる別のビットストリームの記録フォーマットと同一であり、
前記第2のビットストリームの記録フォーマットが有する前記第1の位置は、前記別のビットストリームの記録フォーマットが有する、前記所定の量子化ステップ数よりも少ない量子化ステップ数の量子化ステップを特定するための量子化情報を記録するための位置と一致し、
前記量子化番号は、前記マクロブロックごとに、前記第1の位置へ記録され、
前記総合乗数情報は、前記DCTブロックごとに、前記第2の位置へ記録されることを特徴とする信号再生装置である。
【0017】
の本発明(請求項に対応)は、前記構成された量子化ステップは、前記DCTブロックごとに前記記録されている総合乗数情報によって特定される前記和の前記マクロブロック内の最小値と前記基本量子化ステップと組み合わされる前記乗数の前記べき指数のとりうる値の最大値との内で大きくない値をべき指数とする2のべきと、前記マクロブロックごとに前記記録されている量子化番号によって特定される前記基本量子化ステップとの積であることを特徴とする第の本発明の信号再生装置である。
【0018】
第八の本発明(請求項8に対応)は、所定の量子化ステップ数の量子化ステップを用いて信号の量子化が行われる第1のビットストリームへビットストリーム変換できる
第1の位置、およびDCTブロック単位の所定の情報を記録するための第2の位置を有する記録フォーマットの、
第2のビットストリームを再生するための信号再生方法であって、
所定のデータ、および2のべきとして表現されるレンジ変換乗数を用いてレンジ変換され、量子化された信号から生成される符号化信号を有する信号として記録された圧縮信号から、前記所定のデータ、および前記符号化信号を再生するための再生工程と、
前記再生された所定のデータに基づいて、前記信号の量子化が行われる際に用いられる前記所定の量子化ステップ数の量子化ステップを構成するための量子化ステップ構成工程と、
前記レンジ変換乗数に基づいて、前記再生された符号化信号を逆レンジ変換するための逆レンジ変換工程と、
前記構成された量子化ステップに基づいて、前記逆レンジ変換された信号を逆量子化するための逆量子化工程と、を備え、
前記所定のデータは、(1)基本量子化ステップを特定するための量子化番号、および(2)前記基本量子化ステップと組み合わされる2のべきである乗数のべき指数と前記2のべきとして表現されるレンジ変換乗数のべき指数との和を特定するための総合乗数情報を含み、
前記量子化ステップは、前記DCTブロックから構成されるマクロブロックにおいて一様であって、
前記第2のビットストリームの記録フォーマットは、前記所定の量子化ステップ数よりも少ない量子化ステップ数の量子化ステップを用いて信号の量子化が行われる別のビットストリームの記録フォーマットと同一であり、
前記第2のビットストリームの記録フォーマットが有する前記第1の位置は、前記別のビットストリームの記録フォーマットが有する、前記所定の量子化ステップ数よりも少ない量子化ステップ数の量子化ステップを特定するための量子化情報を記録するための位置と一致し、
前記量子化番号は、前記マクロブロックごとに、前記第1の位置へ記録され、
前記総合乗数情報は、前記DCTブロックごとに、前記第2の位置へ記録されることを特徴とする信号再生方法である。
【0019】
第九の本発明(請求項9に対応)は、第四の本発明の信号記録方法の、前記所定の量子化ステップ数の量子化ステップを用いて信号の量子化を行うための量子化工程と、前記量子化工程で前記信号の量子化を行う際に用いる量子化ステップを特定するための複数の量子化情報を生成するための量子化情報生成工程と、前記量子化された信号から符号化信号を生成するための符号化工程と、前記複数の量子化情報を含むデータ、および前記符号化信号を有する圧縮信号を記録するための記録工程と、をコンピュータに実行させるための、プログラムを記録した記録媒体であって、コンピュータにより処理可能な、記録媒体である。
【0020】
第十の本発明(請求項10に対応)は、第五の本発明の信号記録方法の、前記所定の量子化ステップ数の量子化ステップを用いて信号の量子化を行うための量子化工程と、前記量子化工程で前記信号の量子化を行う際に用いる量子化ステップを特定するための複数の量子化情報を生成するための量子化情報生成工程と、前記量子化された信号を、2のべきとして表現されるレンジ変換乗数を用いてレンジ変換するためのレンジ変換工程と、前記レンジ変換された、量子化された信号から符号化信号を生成するための符号化工程と、所定のデータ、および前記符号化信号を有する圧縮信号を記録するための記録工程と、コンピュータに実行させるための、プログラムを記録した記録媒体であって、コンピュータにより処理可能な、記録媒体である。
【0021】
第十一の本発明(請求項11に対応)は、第八の本発明の信号再生方法の、所定のデータ、および2のべきとして表現されるレンジ変換乗数を用いてレンジ変換され、量子化された信号から生成される符号化信号を有する信号として記録された圧縮信号から、前記所定のデータ、および前記符号化信号を再生するための再生工程と、前記再生された所定のデータに基づいて、前記信号の量子化が行われる際に用いられる前記所定の量子化ステップ数の量子化ステップを構成するための量子化ステップ構成工程と、前記レンジ変換乗数に基づいて、前記再生された符号化信号を逆レンジ変換するための逆レンジ変換工程と、前記構成された量子化ステップに基づいて、前記逆レンジ変換された信号を逆量子化するための逆量子化工程と、をコンピュータに実行させるための、プログラムを記録した記録媒体であって、コンピュータにより処理可能な、記録媒体である。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明者は、上述した通りビットストリーム変換のみで、たとえばDVCPRO圧縮したビットストリームをMPEGビットストリームに変換できるような変換方法を提案したがそのようなビットストリーム変換を可能とする圧縮方式を実現するためには、量子化ステップ数や量子化後のAC成分の有効ビット数を増加させなければならない場合がある。しかしながら、それらを単純に増加させてしまうと、従来の圧縮方式ではデータの記録を行うことが出来ない。
【0027】
そこで、本発明者は、前述のようなビットストリーム変換を可能とする新しい圧縮方式、およびそのような圧縮方式により圧縮された信号の新しい再生方法を発明した。以下、これについて図面を参照しながら説明する。
【0028】
(実施の形態1)
はじめに、図1〜4を参照しながら、本実施の形態1における映像信号記録方法について説明する。なお、図1は、本実施の形態1における映像信号記録方法を説明するためのフローチャートである。また、本実施の形態においては、記録できる量子化ステップの数を4ビットで表現される15種類、量子化で使用する量子化ステップの数を5ビットで表現される31種類とする。
【0029】
図1に示されているようにして、入力信号を量子化し、量子化した信号、およびその量子化で使用した量子化ステップを、データとして出力する。通常、量子化した信号を可変長符号化し、それを、使用した量子化ステップと一緒に記録するが、本実施の形態において使用した量子化ステップはステップ数が多いため、そのまま記録することができない。そのためつぎの方法を用いて、ステップ数を31種類から15種類に削減する。
【0030】
すなわち、量子化で使用した量子化ステップを、図2に示す表(紙面の都合上二つに分けて示した)を用いて基本量子化ステップと乗数に分割する。たとえば、使用した量子化ステップを72とすると、基本量子化ステップが18で乗数は4となる。
【0031】
つぎに、基本量子化ステップを図3に示す表を用いて量子化番号に、乗数を図4に示す表を用いて乗数情報に、それぞれ変換する。上記の例について述べれば、量子化ステップ18と乗数4は、それぞれ量子化番号10と乗数情報2に変換される。
【0032】
このようにして求めた量子化番号と乗数情報を、量子化した信号を可変長符号化したデータと一緒に記録する。
【0033】
なお、本実施の形態1で示した乗数情報を記録する位置は任意である。たとえば、本実施の形態において説明されたような、MPEGビットストリームへビットストリーム変換できるようなDVCPROビットストリームを作成する圧縮方式を実現するために不要となった、DVCPRO圧縮のDCTブロック単位のクラス情報を記載するための部分を使用してやればよい(その際、乗数情報ではなく乗数そのものを記録してもよい)。もちろん、前述のような場合、MPEGビットストリームの量子化番号を記録する位置としては、たとえば、もとのDVCPROビットストリームの量子化番号が記録されていた位置を利用すればよい。このようにして、量子化ステップを決定する基本量子化ステップに対応する量子化番号、および乗数を示す乗数情報を記録することにより、量子化ステップ数を拡張することが可能となる。
【0034】
なお、DCTブロック単位で乗数情報を記録すれば、記録した乗数情報にエラーが発生した場合にも、その範囲をエラーが生じたDCTブロック内で抑えることが可能となる。
【0035】
また、量子化ステップを上記のように分割可能なものとすることにより、増加する量子化に必要な情報は乗数分だけとなる(たとえば、本実施の形態1において、31個の各量子化ステップを4ビットで表現すると、4×31=124ビット必要であるが、上記のような分割を行うと、4×15(基本量子化ステップ分)+4×3(乗数分)=72ビットしか必要でない)。したがって、量子化ステップを要素とする量子化テーブルを定義する場合において、情報量の増加を抑えることが可能となる。
【0036】
また、本実施の形態1で用いた図2から図4に示される量子化ステップ、基本量子化ステップ、乗数、量子化番号、乗数情報などは一例であり、要するに、使用する量子化ステップが、基本量子化ステップと乗数を掛け算したものになっていればよい。
【0037】
以上説明したようにして、量子化で使用した量子化ステップを、記録可能な量子化番号と乗数情報に変換することにより、量子化で使用する量子化ステップ数を拡張することが可能となる。
【0038】
(実施の形態2)
つぎに、図5を参照しながら、本実施の形態2における映像信号記録装置の構成について説明する。なお、図5は、本実施の形態2における映像信号記録装置の構成を説明するためのブロック図である。また、本実施の形態においては、記録できる量子化ステップの数を4ビットで表現される15種類、量子化で使用する量子化ステップの数を5ビットで表現される31種類とする。
【0039】
図5において、501は映像信号を入力する入力端子、502は入力信号をブロックに分割するブロック化器、503は入力映像信号に離散コサイン変換を適用する直交変換器、504は離散コサイン変換した映像信号を量子化する量子化器、505は量子化した映像信号を可変長符号化する可変長符号化器、506は量子化で使用した量子化ステップを変換する量子化ステップ変換器、507は入力信号を記録可能なデータフォーマットに変換するためのフォーマット化器、508は入力信号を記録するための記録器、509は磁気テープである。
【0040】
なお、量子化器504は本発明の量子化手段に、量子化ステップ変換器506は本発明の量子化情報生成手段に、可変長符号化器505は本発明の符号化手段に、フォーマット化器507、記録器508を含む手段は本発明の記録手段に、それぞれ対応する。
【0041】
つぎに、主として図5を参照しながら、本実施の形態2における映像信号記録装置の動作について説明する。
【0042】
ブロック化器502は、入力端子501より入力された映像信号をDCTブロックに分割するとともに、複数のDCTブロックを集めてマクロブロックを構成する。直交変換器503は、マクロブロック内のDCTブロックに離散コサイン変換を行い、量子化器504に出力する。
【0043】
量子化器504は、図2に示す31種類の量子化ステップの内の何れかの量子化ステップを使用して入力信号である離散コサイン変換したマクロブロック内のDCTブロックの交流成分を量子化し、量子化した信号を可変長符号化器505に、使用した量子化ステップを量子化ステップ変換器506に、それぞれ出力する。
【0044】
量子化ステップ変換器506は、実施の形態1で説明された方法を利用して、入力された量子化ステップから量子化番号と乗数情報を求めて、フォーマット化器507に出力する。また、可変長符号化器505は、入力された信号の交流成分に可変長符号化を適用してフォーマット化器507へ出力する。
【0045】
フォーマット化器507は、入力された離散コサイン変換されたマクロブロック内のDCTブロックの直流成分、可変長符号化した交流成分、量子化番号、および乗数情報を、記録するデータフォーマットに変換して、記録器508に出力する。
【0046】
記録器508は、入力された信号を磁気テープ509に記録する。
【0047】
以上説明したようにして、量子化ステップ変換器506は、量子化で使用した量子化ステップを、記録可能な量子化番号と乗数情報に変換する。このようにして、量子化で使用する量子化ステップの拡張が可能になる。また、前述したように、DCTブロック単位で乗数情報を記録することにより、記録した乗数情報にエラーが発生した場合にも、その範囲をエラーが生じたDCTブロックで抑えることが可能となる。
【0048】
なお、本実施の形態2においても、乗数情報を記録する位置は任意である。また、乗数そのものを記録してもよい。また、上記の量子化ステップ、基本量子化ステップ、乗数、量子化番号、乗数情報なども、実施の形態1の場合と同様一例に過ぎず、他のものでもよい。
【0049】
また、本実施の形態2における拡張は、磁気テープに記録するのみならず、フォーマット化器507を出力するデジタルインターフェース上のデータに対しても有効である。
【0050】
(実施の形態3)
つぎに、図6、7を参照しながら、本実施の形態3における映像信号記録方法について説明する。なお、図6は、本実施の形態3における映像信号記録方法を説明するためのフローチャートである。また、本実施の形態においては、記録できる量子化ステップの数を4ビットで表現される15種類、量子化で使用する量子化ステップの数を5ビットで表現される31種類とし、可変長符号化可能なAC成分のビット精度は9ビットとし、量子化の出力は12ビットとする。
【0051】
図6において、入力信号を量子化し、量子化した信号、およびその量子化で使用した量子化ステップを、データとして出力する。本実施の形態3においても、実施の形態1の場合と同様の理由により、使用した量子化ステップをそのまま記録することはできない。
【0052】
そのため、実施の形態1と同様の方法により、図2、3を利用して、量子化ステップの数を31種類から15種類に削減する。なお、本実施の形態3では、後述のDレンジ(ダイナミックレンジ)変換を行うときに生ずる乗数と組み合わせて記録するために、量子化ステップを記録するために導入された前述の乗数も、2のC乗で表現する(図2における乗数は、すでに2のC乗となるように設定されているので、これをそのまま利用すればよい)。ここに、図2の量子化ステップを使用した場合、Cの値は0、1、2の3種類になる。
【0053】
つぎに、Dレンジ変換について説明する。なお、前述したように、本実施の形態3においては、可変長符号化可能なAC成分のビット精度は9ビットであり、量子化の出力は12ビットである。
【0054】
有効ビット数が12ビットである入力信号は、量子化されても12ビットの有効ビット数を有するが、本実施の形態における可変長符号化で取扱える有効ビット数は9ビットであるので、量子化された入力信号の有効ビット数を12ビットから9ビットに削減する必要がある。
【0055】
そこで、図7に示す説明図を利用して、以下に説明するような、DCTブロック単位のDレンジ変換を行う。なお、図7(a)はDレンジ変換を行われる入力信号の説明図であり、図7(b)はDレンジ変換を行われた出力信号の説明図である。
【0056】
すなわち、量子化された入力信号に対し、各DCTブロック内のDレンジ(サインビットs(図7参照)を除いた値の絶対値)を先ず計算し、このDレンジの値により、図7に示すようにして上位ビット、下位ビットを削除して、12ビットの入力信号を9ビットのデータと乗数に変換する。
【0057】
ここに、削除した下位ビットのビット数と比例して、乗数として2のZ乗の値が発生する。なお、本実施の形態における12ビットから9ビットへの変換において、このZの値は、0、1、2、3の3種類となる。
【0058】
そこで、このZと、実施の形態1で説明された2のC乗として表現されている乗数のべき指数(係数)Cとを加えて、本実施の形態3における総合乗数情報とする。図2に示されているように、Cの値が1、または2となるのは量子化ステップが10以上のときであるが(図2参照)、このとき、量子化された入力信号の有効ビット数は9ビット以内と考えてもよいので、Zの値は常に0であり(図7参照)、ZとCの和である総合乗数情報は1、2の何れかである。また、図2に示されているように、量子化ステップが8以下のときには、Cの値は常に0であるが、このようなときにも、ZとCの和である総合乗数情報は、0、1、2、3の何れかである(なぜならば、量子化ステップが1のときZは最大3、量子化ステップが2のときZは最大2、量子化ステップが4のときZは最大1、量子化ステップが8のときZは常に0である)。結局、総合乗数情報は、0、1、2、3の何れかであって、常に2ビット以内で表現できることがわかる。
【0059】
したがって、たとえば、MPEG圧縮を導入することにより、本実施の形態で説明されたDVCPRO圧縮においては使用しないDCTブロック単位のクラス情報の2ビットに、総合乗数情報を記録することができるまた、たとえば、DVCPRO圧縮の量子化番号を記録する4ビットに、1から15で表現される量子化番号(図3参照)を記録でき、量子化ステップを決定する基本量子化ステップに対応する量子化番号、および乗数を示す総合乗数情報を記録することにより、本実施の形態で説明されたDVCPRO圧縮と同一の記録フォーマットで、量子化ステップ数や量子化後のAC成分の有効ビット数を拡張することが可能となる。
【0060】
このようにして総合乗数情報と量子化番号を、Dレンジ変換した映像信号を可変長符号化したデータと一緒に記録する。なお、本実施の形態では、Dレンジ変換をDCTブロック単位で行ったので、総合乗数情報もDCTブロック単位で記録する。
【0061】
以上説明したようにして、量子化で使用した量子化ステップを記録可能な量子化番号と乗数に変換し、さらに、量子化後の信号をDレンジ変換によって有効ビット数の少ないデータと乗数に変換し、これら2種類の乗数を加えて得られる総合乗数情報を記録することにより、量子化で使用する量子化ステップ数と量子化後のデータのダイナミックレンジの変更が可能になる。
【0062】
なお、本実施の形態では、Dレンジ拡張をDCTブロック単位で行ったが、これに限らず、たとえば、マクロブロック単位でもよい。その場合には、総合乗数情報をDCTブロック単位で記録することにより、記録した総合乗数情報にエラーが発生した場合にも、その範囲をエラーが生じたDCTブロックで抑えることが可能となる。
【0063】
また、本実施の形態3においても、総合乗数情報を記録する位置は任意である。また、乗数そのもの(総合乗数情報で2のべきをとったもの)を記録してもよい。また、上記の量子化ステップ、基本量子化ステップ、乗数、量子化番号、総合乗数情報なども、実施の形態1の場合と同様一例に過ぎず、他のものでもよい。要するに、使用する量子化ステップが、基本量子化ステップと乗数を掛け算したものになっていればよい。
【0064】
(実施の形態4)
つぎに、図8を参照しながら、本実施の形態4における映像信号記録装置の構成について説明する。なお、図8は、本実施の形態4における映像信号記録装置の構成を説明するためのブロック図である。また、本実施の形態においては、記録できる量子化ステップの数を4ビットで表現される15種類、量子化で使用する量子化ステップの数を5ビットで表現される31種類とし、可変長符号化可能なAC成分のビット精度は9ビットとし、量子化の出力は12ビットとする。
【0065】
図8において、801は映像信号を入力する入力端子、802は入力信号をブロックに分割するブロック化器、803は入力映像信号に離散コサイン変換を適用する直交変換器、804は離散コサイン変換した映像信号を量子化する量子化器、805は量子化した信号をDレンジ変換するDレンジ変換器、806はDレンジ変換した映像信号を可変長符号化する可変長符号化器、807は量子化で使用した量子化ステップを変換する量子化ステップ変換器、808は量子化ステップ変換とDレンジ変換により生じた信号を加算する加算器、809は入力信号を記録可能なデータフォーマットに変換するためのフォーマット化器、810は入力信号を記録するための記録器、811は磁気テープである。
【0066】
なお、量子化器804は本発明の量子化手段に、Dレンジ変換器805は本発明のレンジ変換手段に、量子化ステップ変換器807、加算器808を含む手段は本発明の量子化情報生成手段に、可変長符号化器806は本発明の符号化手段に、フォーマット化器809、記録器810を含む手段は本発明の記録手段に、それぞれ対応する。
【0067】
つぎに、主として図8を参照しながら、本実施の形態4における映像信号記録装置の動作について説明する。
【0068】
ブロック化器802は、入力端子801より入力された映像信号をDCTブロックに分割するとともに、複数のDCTブロックを集めて、マクロブロックを構成する。直交変換器803は、そのマクロブロック内のDCTブロックに離散コサイン変換を行い、量子化器804に出力する。
【0069】
量子化器804は、図2に示す31種類の何れかの量子化ステップを使用して、入力信号である離散コサイン変換したマクロブロック内のDCTブロックの交流成分を量子化して、量子化した信号をDレンジ変換器805に、使用した量子化ステップを量子化ステップ変換器807に、それぞれ出力する。
【0070】
量子化ステップ変換器807は、実施の形態3で説明された方法を利用して、入力された量子化ステップから量子化番号、および2のC乗として表現されている乗数のべき指数(係数)Cの値を求め、量子化番号をフォーマット化器809に、Cの値を加算器808に、それぞれ出力する。
【0071】
Dレンジ変換器805は、実施の形態3で説明された方法を利用して、入力信号の交流成分を変換して可変量符号化器806へ出力し、乗数のべき指数(係数)Zの値を求めて加算器808へ出力する。
【0072】
加算器808は、入力されたこれらCとZの和を求めて、フォーマット化器809へ出力する。また、可変長符号化器806は、入力されたDレンジ変換された交流成分に可変長符号化を適用して、フォーマット化器809へ出力する。
【0073】
フォーマット化器809は、入力された離散コサイン変換したマクロブロック内のDCTブロックの直流成分、可変長符号化した交流成分、量子化番号、および乗数情報を、記録するデータフォーマットに変換して、記録器810に出力する。
【0074】
記録器810は、入力された信号を磁気テープ811に記録する。なお、本実施の形態においても、乗数情報の記録は、Dレンジ拡張を行った単位と同一とする。
【0075】
以上説明したようにして、量子化ステップ変換器807は、量子化で使用した量子化ステップを、記録可能な量子化番号と乗数に変換し、Dレンジ変換器805は、量子化後の信号をDレンジ変換によって有効ビット数の少ないデータと乗数に変換し、加算器808は、これら2種類の乗数を加えて得られる総合乗数情報を生成する。このようにして、量子化で使用する量子化ステップ数と量子化後のデータのダイナミックレンジの変更が可能になる。
【0076】
なお、本実施の形態4でも、Dレンジ拡張をDCTブロック単位で行ったが、これに限らず、たとえば、マクロブロック単位でもよい。その場合には、総合乗数情報をDCTブロック単位で記録することにより、記録した総合乗数情報にエラーが発生した場合にも、その範囲をエラーが生じたDCTブロックで抑えることが可能となる。
【0077】
また、本実施の形態4においても、総合乗数情報を記録する位置は任意である。また、乗数そのもの(総合乗数情報で2のべきをとったもの)を記録してもよい。また、上記の量子化ステップ、基本量子化ステップ、乗数、量子化番号、総合乗数情報なども、実施の形態3の場合と同様一例に過ぎず、他のものでもよい。
【0078】
また、本実施の形態4における拡張も、磁気テープに記録するのみならず、フォーマット化器809を出力するデジタルインターフェース上のデータに対しても有効である。
【0079】
(実施の形態5)
つぎに、図9を参照しながら、本実施の形態5における映像信号再生方法について説明する。なお、図9は、本実施の形態5における映像信号再生方法を説明するためのフローチャートである。
【0080】
本実施の形態5においては、本実施の形態3、4で説明された映像信号記録方法を利用して、マクロブロック内の各DCTブロックを同一の量子化ステップで量子化することにより記録された信号の再生を行うための新しい映像信号再生方法について説明する。なお、後述の実施の形態6で説明されるようにして逆フォーマット化(再生)されたこのような信号は、可変長符号化された信号、総合乗数情報、および量子化番号から構成されている。
【0081】
そこで、前述の総合乗数情報C+Zの最小値と、基本量子化ステップと組み合わされる乗数を特定するための乗数情報Cのとりうる値の最大値との内で大きくない値Mをマクロブロック内で求め、この値Mを利用して、つぎに説明されるようなDレンジ拡張、および量子化ステップ構成を行う。
【0082】
すなわち、前述の可変長符号化された信号を可変長復号化し、前述の値Mを引いた値を用いてDレンジ拡張を行う。ここに、可変長復号化された信号の有効ビット数をYビットとすると、Dレンジ拡張された信号の有効ビット数は、Yビット×(2の(総合乗数情報―M)乗)=Xビットである。
【0083】
また、図3の表を利用して、前述の量子化番号を基本量子化ステップに変換し、前述の値Mを用いて量子化ステップ構成を行う(すなわち、基本量子化ステップと2のM乗の積が、量子化ステップである)。もちろん、Dレンジ拡張されたXビットの信号の逆量子化には、この量子化ステップを利用する。
【0084】
なお、逆量子化された信号は、後述の実施の形態6で説明されるようにして逆離散コサイン変換、逆ブロック化を行われ、再生信号として出力される。
【0085】
以上説明したようにして、量子化ステップ数の拡張が可能な新しい圧縮方式により圧縮された信号を再生することが可能となる。
【0086】
新しい映像信号再生方法についての再生動作に関する説明はここまでとし、以下では、たとえば、DVCPROビットストリームをMPEGビットストリームへ変換する場合例にとり、上述した総合乗数情報の最小値と基本量子化ステップと組み合わされる乗数を特定するための乗数情報のとりうる値の最大値との内で大きくない値Mを利用する理由について説明する。なお、実施の形態3においてすでに詳しく説明されたように、総合乗数情報としては、Dレンジ変換情報と乗数情報の和が記録されている。
【0087】
たとえば、信号の記録時において、マクロブロック内の(1)量子化ステップが7(よってC=0)、Dレンジ変換におけるべき指数(係数)Zが1である場合と、(2)量子化ステップが14(よってC=1)である場合(このとき自動的にZ=0)とでは、ともに総合乗数情報が1である。
【0088】
本実施の形態5では、何れの場合においても、量子化ステップとして14を用いることにより、逆量子化を行う(総合乗数情報の最小値は、何れの場合においても1であるからである)。これに対して、本実施の形態とは異なり、総合乗数情報自体(すなわち1)を用いてDレンジ拡張を行い、基本量子化ステップ(すなわち7)をそのまま量子化ステップとして使用する方法が考えられる。もちろん、本実施の形態における方法、本実施の形態とは異なる上述の方法の何れを利用しても、再生信号は同一である。
【0089】
ここで、前述のようにして逆量子化された信号を、逆離散コサイン変換、逆ブロック化を行わずに、MPEGストリームへストリーム変換する場合を考えてみると、今度はMPEGの可変長符号化を適用することになるので、DCTブロックにおけるAC成分の値が小さい方が、符号量が少なくて済む。したがって、再生信号が同じとなるならば、量子化ステップを大きい値にしておいた方がよく、総合乗数情報C+Zの最小値と基本量子化ステップと組み合わされる乗数を特定するための乗数情報Cのとりうる値の最大値(ここでは2)との内で大きくない値を利用するのが有利である。これが、本実施の形態において、総合乗数情報の最小値と基本量子化ステップと組み合わされる乗数を特定するための乗数情報のとりうる値の最大値との内で大きくない値Mを利用する理由である。
【0090】
以上説明したようにして、総合乗数情報の最小値と基本量子化ステップと組み合わされる乗数を特定するための乗数情報のとりうる値の最大値との内で大きくない値を求め、その結果を反映して量子化ステップを大きく構成することにより、MPEGトランスコード後の符号量を少なくすることが可能となる。
【0091】
(実施の形態6)
つぎに、図10を参照しながら、本実施の形態6における映像信号再生装置の構成について説明する。なお、図10は、本実施の形態6における映像信号再生装置の構成を説明するためのブロック図である。また、本実施の形態6においては、本実施の形態3、4で説明された映像信号記録方法を利用して、マクロブロック内の各DCTブロックを同一の量子化ステップで量子化することにより記録された信号の再生を行う。
【0092】
図10において、1011は信号が記録されている磁気テープ、1010は磁気テープから信号を再生する再生器、1009は再生した信号から必要な情報を取り出す逆フォーマット化器、1008は入力された総合乗数情報の最小値を検出する最小乗数情報検出器、1007は入力信号から量子化ステップを作成する量子化ステップ作成器、1006は入力信号を可変長復号化する可変長復号化器、1005は入力信号のDレンジを拡張するDレンジ拡張器、1004は入力信号を逆量子化する逆量子化器、1003は入力信号を逆離散コサイン変換する逆直交変換器、1002は入力信号のブロック化を解消する逆ブロック化器、1001は再生信号を出力する出力端子である。
【0093】
なお、逆量子化器1004は本発明の逆量子化手段に、Dレンジ拡張器805は本発明の逆レンジ変換手段に、量子化ステップ作成器1007、最小乗数情報検出器1008を含む手段は本発明の量子化ステップ構成手段に、逆フォーマット化器1009、再生器1010を含む手段は本発明の再生手段に、それぞれ対応する。
【0094】
つぎに、図10を参照しながら、本実施の形態6における映像信号再生装置の動作について説明する。
【0095】
再生器1010は、磁気テープ1011より情報を再生し、再生した情報を逆フォーマット化器1009へ出力する。逆フォーマット化器1009は、逆フォーマット化を行って、再生器1010によって再生された情報から、直流成分、可変長符号化された交流成分、量子化番号、および総合乗数情報を再生する。
【0096】
最小乗数情報検出器1008は、実施の形態5で説明された方法を利用して前述の総合乗数情報の最小値を検出し、総合乗数情報C+Zの最小値と基本量子化ステップと組み合わされる乗数を特定するための乗数情報Cのとりうる値の最大値との内で大きくない値を、Dレンジ拡張器1005、量子化ステップ作成器1007へそれぞれ出力する。
【0097】
量子化ステップ作成器1007は、実施の形態5で説明された方法を利用して量子化ステップ構成を行い、構成した量子化ステップを逆量子化器1004へ出力する。
【0098】
一方、可変長復号化器1006は、前述の再生された交流成分を可変長復号化し、これをDレンジ拡張器1005へ出力する。また、Dレンジ拡張器1005は、可変長復号化器1006から入力された交流成分を、実施の形態5で説明された方法を利用してDレンジ拡張し、逆量子化器1004へ出力する。
【0099】
逆量子化器1004は、量子化ステップ作成器1007から入力された量子化ステップを利用して、Dレンジ拡張器1005によってDレンジ拡張された交流成分を逆量子化し、これを逆直交変換器1003に出力する。
【0100】
逆直交変換器1003は、逆量子化器1004から入力された交流成分、および逆フォーマット化器1009で再生され交流成分と同じ経路を通って入力された直流成分を、逆離散コサイン変換し、逆ブロック化器1002へ出力する。
【0101】
逆ブロック化器1002は、ブロック化した信号のブロック化を解消し、出力端子1001へ再生信号を出力する。
【0102】
以上説明したようにして、最小乗数情報検出器1008は、総合乗数情報の最小値を求め、量子化ステップ作成器1007は、その結果を反映して量子化ステップを大きく構成する。このようにすれば、MPEGトランスコード後の符号量を少なくすることが可能となる。ただし、本実施の形態においても、総合乗数情報の最小値を求めることなく復号化を行うことはもちろん可能であり、そのような復号化を行う場合には、最小値乗数検出器1008が不要となるので、映像信号再生装置の構成を簡単にすることができる。
【0103】
なお、実施の形態1〜4においては、記録できる量子化ステップの数を4ビットで表現される15種類、量子化で使用する量子化ステップの数を5ビットで表現される31種類とし、実施の形態3、4においては、可変長符号化可能なAC成分のビット精度は9ビットとし、量子化の出力は12ビットとしたが、このようにするのは具体的な例をあげて説明を行うためであり、本発明の効果はこれらに制限されるものではない。
【0104】
また、本発明の基本量子化ステップと組み合わされる乗数は、上述の実施の形態においては2のべきであったが、これに限らず、任意の数でよい。
【0105】
また、本発明の総合乗数情報とは、上述の実施の形態においては、2のべきである、基本量子化ステップと組み合わされる乗数のべき指数と、レンジ変換乗数のべき指数との和であった。しかし、それに限らず、本発明に関連する発明の総合乗数情報は、たとえば、2のべきとは限らない基本量子化ステップと組み合わされる乗数と、レンジ変換乗数そのものの対であってもよい。
【0106】
また、本発明の信号の量子化に利用された量子化ステップは、上述の実施の形態においては、DCTブロックから構成されるマクロブロックにおいて一様であったが、それに限らず、本発明に関連する発明の量子化ステップは、たとえば、マクロブロック内の各DCTブロックにおいて異なっていてもよい。
【0107】
また、本発明の量子化された信号は、上述の実施の形態においては、レンジ変換されていたが、これに限らず、必要がなければレンジ変換されていなくてもよい。このような信号の再生においては、逆レンジ変換を行う必要はなく、本発明の信号再生装置は逆レンジ変換手段を備えていなくともよい。
【0108】
また、上記実施の形態の全部または一部の手段の全部または一部の機能をコンピュータにより実行させるためのプログラムおよび/またはデータを担持した媒体を作成し、これを利用することにより、読み取られたそのプログラムおよび/またはデータがコンピュータと協動して上記と同様の動作を実行してもよい。
【0109】
また、上記実施の形態の全部または一部の手段の全部または一部の機能をコンピュータにより実行させるためのプログラムおよび/またはデータであることを特徴とする情報集合体を作成し、これを利用することにより、読み取られたそのプログラムおよび/またはデータ構造がコンピュータと協動して上記と同様の動作を実行してもよい。
【0110】
ここに、データとは、データ構造、データフォーマット、データの種類などを含む。また、媒体とは、ROM等の記録媒体、インターネット等の伝送媒体、光・電波・音波等の伝送媒体を含む。また、担持した媒体とは、例えば、プログラムおよび/またはデータを記録した記録媒体、やプログラムおよび/またはデータを伝送する伝送媒体等をふくむ。また、コンピュータにより処理可能とは、例えば、ROMなどの記録媒体の場合であれば、コンピュータにより読みとり可能であることであり、伝送媒体の場合であれば、伝送対象となるプログラムおよび/またはデータが伝送の結果として、コンピュータにより取り扱えることであることを含む。また、情報集合体とは、例えば、プログラムおよび/またはデータ等のソフトウエアを含むものである。
【0111】
以上で述べられたことから明らかなように、本発明の号記録方法は、たとえば、M(M>=1)種の基本量子化ステップとN(N>=1)種の乗数との掛け算によりその値が決まるM×N種の量子化ステップ内のL(L=<M×N)種の量子化ステップを用いて入力映像信号を量子化し、量子化した信号を可変長符号化し、量子化で使用した量子化ステップを決定する基本量子化ステップに対応した量子化番号と乗数に対応した乗数情報と可変長符号化した信号とを記録することを特徴とする。これにより、DVCPRO圧縮と同一の記録フォーマットで量子化ステップ数を拡張することが可能となる。
【0112】
本発明の号記録装置は、たとえば、入力映像信号をDCTブロックに分割するとともに、複数のDCTブロックからマクロブロックを構成するブロック分割手段と、マクロブロック内の各DCTブロックを離散コサイン変換する離散コサイン変換手段と、離散コサイン変換したDCTブロックの交流成分を、M(M>=1)種の基本量子化ステップとN(N>=1)種の乗数との掛け算によりその値が決まるM×N種の量子化ステップ内のL(L=<M×N)種の量子化ステップを用いて量子化する量子化手段と、量子化手段で使用した量子化ステップを決定する基本量子化ステップに対応した量子化番号と乗数に対応した乗数情報を求める量子化情報決定手段と、量子化した交流信号を可変長符号化する可変長符号化手段と、離散コサイン変換したDCTブロックの直流成分と、可変長符号化した交流信号と、量子化番号と、乗数情報とを記録する記録手段を備えることを特徴とする。これにより、上記本発明の号記録方法と同じ効果を装置で実現できる。
【0113】
本発明の号記録方法は、たとえば、M(M>=1)種の基本量子化ステップと2のK(K=0、1、2、...)乗で表現されるN種の乗数との掛け算によりその値が決まるM×N種の量子化ステップ内のL(L=<M×N)種の量子化ステップを用いて入力映像信号を量子化し、量子化したXビットの信号をY(Y<X)ビット×(2のZ(Z=0、1、2、...)乗)にレンジ変換し、レンジ変換した信号内のYビットの信号を可変長符号化し、量子化で使用した量子化ステップを決定する基本量子化ステップに対応した量子化番号と、乗数の係数Kとレンジ変換で求めたZとの和に対応した総合乗数情報と、可変長符号化した信号とを記録することを特徴とする。これにより、量子化後のAC成分の有効ビット数の拡張も実現できる。
【0114】
本発明の号記録装置は、たとえば、入力映像信号をDCTブロックに分割するとともに、複数のDCTブロックからマクロブロックを構成するブロック分割手段と、マクロブロック内の各DCTブロックを離散コサイン変換する離散コサイン変換手段と、離散コサイン変換したDCTブロックの交流成分を、M(M>=1)種の基本量子化ステップと2のK(K=0、1、2、...)乗で表現されるN種の乗数との掛け算によりその値が決まるM×N種の量子化ステップ内のL(L=<M×N)種の量子化ステップを用いて量子化して、有効ビット数がXビットの量子化交流信号を作成する量子化手段と、量子化したXビットの量子化交流信号をY(Y<X)ビット×(2のZ(Z=0、1、2、...)乗)に変換するレンジ変換手段と、量子化手段で使用した量子化ステップを決定する基本量子化ステップに対応した量子化番号と乗数の係数Kを求める量子化情報決定手段と、KとZの和を求めて総合乗数情報とする乗数決定手段と、レンジ変換した量子化交流信号内のYビットの信号を可変長符号化する可変長符号化手段と、離散コサイン変換したDCTブロックの直流成分と、可変長符号化した量子化交流信号と、量子化番号と、総合乗数情報とを記録する記録手段を備えることを特徴とする。これにより、上記本発明の号記録方法と同じ効果を装置で実現できる。
【0115】
本発明の号再生方法は、たとえば、上記本発明の号記録方法で記録された号を再生する号再生方法であって、記録されている可変長符号化された信号と量子化番号と総合乗数情報を再生し、可変長符号化された信号を可変長復号化して逆量子化するのに、量子化番号に対応する基本量子化ステップを総合乗数情報に対応する係数Pを用いて(2のP乗)倍することにより求まる量子化ステップを用いることを特徴とする。これにより、上記本発明の号記録方法で記録した信号を、再生することができる。さらに、総合乗数情報の最小値を使用する構成とすることにより、MPEGのビットストリームに変換した場合の符号量を少なくするように復号化することができる。
【0116】
本発明の号再生装置は、たとえば、上記本発明の号記録装置で記録された映像信号を再生する号再生装置であって、DCTブロック複数個からなるマクロブロック単位で記録されている直流成分と可変長符号化された交流成分と量子化番号と総合乗数情報を再生する再生手段と、可変長符号化された交流成分を可変長復号化して交流信号を作成する可変長復号化手段と、量子化番号に対応する基本量子化ステップと総合乗数情報に対応する係数Pを求め、基本量子化ステップを(2のP乗)倍して量子化ステップとする量子化ステップ決定手段と、交流信号を量子化ステップで逆量子化する逆量子化手段を備えることを特徴とする。これにより、上記本発明の号再生方法と同じ効果を装置で実現できる。
【0117】
このように、本発明は、データの劣化が従来に比べて少ない、圧縮方式の変換が可能な圧縮方式を実現する信号記録装置、信号記録方法、信号再生装置、信号再生方法、および記録媒体提供することができる。
【0118】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、量子化ステップ数の拡張が可能な圧縮方式を実現できるという長所を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を説明するためのフローチャート
【図2】本発明の実施の形態における量子化ステップ変換を実現するための図表(紙面の都合上二つに分けて示した)
【図3】本発明の実施の形態における基本量子化番号変換を実現するための図表
【図4】本発明の実施の形態における乗数変換を実現するための図表
【図5】本発明の実施の形態2を説明するためのブロック図
【図6】本発明の実施の形態を説明するためのフローチャート
【図7】本発明の実施の形態におけるDレンジ変換を行われる入力信号の説明図(図7(a))、およびDレンジ変換を行われた出力信号の説明図(図7(b))
【図8】本発明の実施の形態4を説明するためのブロック図
【図9】本発明の実施の形態を説明するためのフローチャート
【図10】本発明の実施の形態6を説明するためのブロック図
【符号の説明】
501、801 入力端子
502、802 ブロック化器
503、803 直交変換器
504、804 量子化器
505、806 可変長符号化器
506、807 量子化ステップ変換器
507、809 フォーマット化器
508、810 記録器
509、811、1011 磁気テープ
805 Dレンジ変換器
808 加算器
1001 出力端子
1002 逆ブロック化器
1003 逆直交変換器
1004 逆量子化器
1005 Dレンジ拡張器
1006 可変長復号化器
1007 量子化ステップ作成器
1008 最小乗数情報検出器
1009 逆フォーマット化器
1010 再生器

Claims (11)

  1. 所定の量子化ステップ数の量子化ステップを用いて信号の量子化が行われる第1のビットストリームへビットストリーム変換できる
    第1の位置、およびDCTブロック単位の所定の情報を記録するための第2の位置を有する記録フォーマットの、
    第2のビットストリームを記録するための信号記録装置であって、
    前記所定の量子化ステップ数の量子化ステップを用いて信号の量子化を行うための量子化手段と、
    前記量子化手段が前記信号の量子化を行う際に用いる量子化ステップを特定するための複数の量子化情報を生成するための量子化情報生成手段と、
    前記量子化された信号から符号化信号を生成するための符号化手段と、
    前記複数の量子化情報を含むデータ、および前記符号化信号を有する圧縮信号を記録するための記録手段と、を備え、
    前記量子化ステップは、基本量子化ステップとその基本量子化ステップと組み合わされる乗数との積であり、
    前記複数の量子化情報は、前記基本量子化ステップを特定するための量子化番号、および前記基本量子化ステップと組み合わされる乗数を特定するための乗数情報であり、
    前記量子化ステップは、前記DCTブロックから構成されるマクロブロックにおいて一様であって、
    前記第2のビットストリームの記録フォーマットは、前記所定の量子化ステップ数よりも少ない量子化ステップ数の量子化ステップを用いて信号の量子化が行われる別のビットストリームの記録フォーマットと同一であり、
    前記第2のビットストリームの記録フォーマットが有する前記第1の位置は、前記別のビットストリームの記録フォーマットが有する、前記所定の量子化ステップ数よりも少ない量子化ステップ数の量子化ステップを特定するための量子化情報を記録するための位置と一致し、
    前記量子化番号は、前記マクロブロックごとに、前記第1の位置へ記録され、
    前記乗数情報は、前記DCTブロックごとに、前記第2の位置へ記録されることを特徴とする信号記録装置。
  2. 所定の量子化ステップ数の量子化ステップを用いて信号の量子化が行われる第1のビットストリームへビットストリーム変換できる
    第1の位置、およびDCTブロック単位の所定の情報を記録するための第2の位置を有する記録フォーマットの、
    第2のビットストリームを記録するための信号記録装置であって、
    前記所定の量子化ステップ数の量子化ステップを用いて信号の量子化を行うための量子化手段と、
    前記量子化手段が前記信号の量子化を行う際に用いる量子化ステップを特定するための複数の量子化情報を生成するための量子化情報生成手段と、
    前記量子化された信号を、2のべきとして表現されるレンジ変換乗数を用いてレンジ変換するためのレンジ変換手段と、
    前記レンジ変換された、量子化された信号から符号化信号を生成するための符号化手段と、
    所定のデータ、および前記符号化信号を有する圧縮信号を記録するための記録手段と、備え、
    前記量子化ステップは、基本量子化ステップとその基本量子化ステップと組み合わされる乗数との積であり、
    前記複数の量子化情報とは、前記基本量子化ステップを特定するための量子化番号、および前記基本量子化ステップと組み合わされる乗数を特定するための乗数情報であり、
    前記基本量子化ステップと組み合わされる前記乗数は、2のべきであって、前記乗数情報とは、そのべき指数であり、
    前記所定のデータは、(1)前記基本量子化ステップを特定するための量子化番号、および(2)前記基本量子化ステップと組み合わされる前記乗数のべき指数と前記2のべきとして表現されるレンジ変換乗数のべき指数との和を特定するための総合乗数情報を含み、
    前記量子化ステップは、前記DCTブロックから構成されるマクロブロックにおいて一様であって、
    前記第2のビットストリームの記録フォーマットは、前記所定の量子化ステップ数よりも少ない量子化ステップ数の量子化ステップを用いて信号の量子化が行われる別のビットストリームの記録フォーマットと同一であり、
    前記第2のビットストリームの記録フォーマットが有する前記第1の位置は、前記別のビットストリームの記録フォーマットが有する、前記所定の量子化ステップ数よりも少ない量子化ステップ数の量子化ステップを特定するための量子化情報を記録するための位置と一致し、
    前記量子化番号は、前記マクロブロックごとに、前記第1の位置へ記録され、
    前記総合乗数情報は、前記DCTブロックごとに、前記第2の位置へ記録されることを特徴とする信号記録装置。
  3. 前記信号のビット数は12であり、前記レンジ変換された信号のビット数は9であり、
    前記総合乗数情報のビット数は、2以内であることを特徴とする請求項2記載の信号記録装置。
  4. 所定の量子化ステップ数の量子化ステップを用いて信号の量子化が行われる第1のビットストリームへビットストリーム変換できる
    第1の位置、およびDCTブロック単位の所定の情報を記録するための第2の位置を有する記録フォーマットの、
    第2のビットストリームを記録するための信号記録方法であって、
    前記所定の量子化ステップ数の量子化ステップを用いて信号の量子化を行うための量子化工程と、
    前記量子化工程で前記信号の量子化を行う際に用いる量子化ステップを特定するための複数の量子化情報を生成するための量子化情報生成工程と、
    前記量子化された信号から符号化信号を生成するための符号化工程と、
    前記複数の量子化情報を含むデータ、および前記符号化信号を有する圧縮信号を記録するための記録工程と、を備え、
    前記量子化ステップは、基本量子化ステップとその基本量子化ステップと組み合わされる乗数との積であり、
    前記複数の量子化情報は、前記基本量子化ステップを特定するための量子化番号、および前記基本量子化ステップと組み合わされる乗数を特定するための乗数情報であり、
    前記量子化ステップは、前記DCTブロックから構成されるマクロブロックにおいて一様であって、
    前記第2のビットストリームの記録フォーマットは、前記所定の量子化ステップ数よりも少ない量子化ステップ数の量子化ステップを用いて信号の量子化が行われる別のビットストリームの記録フォーマットと同一であり、
    前記第2のビットストリームの記録フォーマットが有する前記第1の位置は、前記別のビットストリームの記録フォーマットが有する、前記所定の量子化ステップ数よりも少ない量子化ステップ数の量子化ステップを特定するための量子化情報を記録するための位置と一致し、
    前記量子化番号は、前記マクロブロックごとに、前記第1の位置へ記録され、
    前記乗数情報は、前記DCTブロックごとに、前記第2の位置へ記録されることを特徴とする信号記録方法。
  5. 所定の量子化ステップ数の量子化ステップを用いて信号の量子化が行われる第1のビットストリームへビットストリーム変換できる
    第1の位置、およびDCTブロック単位の所定の情報を記録するための第2の位置を有する記録フォーマットの、
    第2のビットストリームを記録するための信号記録方法であって、
    前記所定の量子化ステップ数の量子化ステップを用いて信号の量子化を行うための量子化工程と、
    前記量子化工程で前記信号の量子化を行う際に用いる量子化ステップを特定するための複数の量子化情報を生成するための量子化情報生成工程と、
    前記量子化された信号を、2のべきとして表現されるレンジ変換乗数を用いてレンジ変換するためのレンジ変換工程と、
    前記レンジ変換された、量子化された信号から符号化信号を生成するための符号化工程と、
    所定のデータ、および前記符号化信号を有する圧縮信号を記録するための記録工程と、備え、
    前記量子化ステップは、基本量子化ステップとその基本量子化ステップと組み合わされる乗数との積であり、
    前記複数の量子化情報とは、前記基本量子化ステップを特定するための量子化番号、および前記基本量子化ステップと組み合わされる乗数を特定するための乗数情報であり、
    前記基本量子化ステップと組み合わされる前記乗数は、2のべきであって、前記乗数情報とは、そのべき指数であり、
    前記所定のデータは、(1)前記基本量子化ステップを特定するための量子化番号、および(2)前記基本量子化ステップと組み合わされる前記乗数のべき指数と前記2のべきとして表現されるレンジ変換乗数のべき指数との和を特定するための総合乗数情報を含み、
    前記量子化ステップは、前記DCTブロックから構成されるマクロブロックにおいて一様であって、
    前記第2のビットストリームの記録フォーマットは、前記所定の量子化ステップ数よりも少ない量子化ステップ数の量子化ステップを用いて信号の量子化が行われる別のビットストリームの記録フォーマットと同一であり、
    前記第2のビットストリームの記録フォーマットが有する前記第1の位置は、前記別のビットストリームの記録フォーマットが有する、前記所定の量子化ステップ数よりも少ない量子化ステップ数の量子化ステップを特定するための量子化情報を記録するための位置と一致し、
    前記量子化番号は、前記マクロブロックごとに、前記第1の位置へ記録され、
    前記総合乗数情報は、前記DCTブロックごとに、前記第2の位置へ記録されることを特徴とする信号記録方法。
  6. 所定の量子化ステップ数の量子化ステップを用いて信号の量子化が行われる第1のビットストリームへビットストリーム変換できる
    第1の位置、およびDCTブロック単位の所定の情報を記録するための第2の位置を有する記録フォーマットの、
    第2のビットストリームを再生するための信号再生装置であって、
    所定のデータ、および2のべきとして表現されるレンジ変換乗数を用いてレンジ変換され、量子化された信号から生成される符号化信号を有する信号として記録された圧縮信号から、前記所定のデータ、および前記符号化信号を再生するための再生手段と、
    前記再生された所定のデータに基づいて、前記信号の量子化が行われる際に用いられる前記所定の量子化ステップ数の量子化ステップを構成するための量子化ステップ構成手段と、
    前記レンジ変換乗数に基づいて、前記再生された符号化信号を逆レンジ変換するための逆レンジ変換手段と、
    前記構成された量子化ステップに基づいて、前記逆レンジ変換された信号を逆量子化するための逆量子化手段と、を備え、
    前記所定のデータは、(1)基本量子化ステップを特定するための量子化番号、および(2)前記基本量子化ステップと組み合わされる2のべきである乗数のべき指数と前記2のべきとして表現されるレンジ変換乗数のべき指数との和を特定するための総合乗数情報を含み、
    前記量子化ステップは、前記DCTブロックから構成されるマクロブロックにおいて一様であって、
    前記第2のビットストリームの記録フォーマットは、前記所定の量子化ステップ数よりも少ない量子化ステップ数の量子化ステップを用いて信号の量子化が行われる別のビットストリームの記録フォーマットと同一であり、
    前記第2のビットストリームの記録フォーマットが有する前記第1の位置は、前記別のビットストリームの記録フォーマットが有する、前記所定の量子化ステップ数よりも少ない量子化ステップ数の量子化ステップを特定するための量子化情報を記録するための位置と一致し、
    前記量子化番号は、前記マクロブロックごとに、前記第1の位置へ記録され、
    前記総合乗数情報は、前記DCTブロックごとに、前記第2の位置へ記録されることを特徴とする信号再生装置。
  7. 前記構成された量子化ステップは、前記DCTブロックごとに前記記録されている総合乗数情報によって特定される前記和の前記マクロブロック内の最小値と前記基本量子化ステップと組み合わされる前記乗数の前記べき指数のとりうる値の最大値との内で大きくない値をべき指数とする2のべきと、前記マクロブロックごとに前記記録されている量子化番号によって特定される前記基本量子化ステップとの積であることを特徴とする請求項6記載の信号再生装置。
  8. 所定の量子化ステップ数の量子化ステップを用いて信号の量子化が行われる第1のビットストリームへビットストリーム変換できる
    第1の位置、およびDCTブロック単位の所定の情報を記録するための第2の位置を有する記録フォーマットの、
    第2のビットストリームを再生するための信号再生方法であって、
    所定のデータ、および2のべきとして表現されるレンジ変換乗数を用いてレンジ変換され、量子化された信号から生成される符号化信号を有する信号として記録された圧縮信号から、前記所定のデータ、および前記符号化信号を再生するための再生工程と、
    前記再生された所定のデータに基づいて、前記信号の量子化が行われる際に用いられる前記所定の量子化ステップ数の量子化ステップを構成するための量子化ステップ構成工程と、
    前記レンジ変換乗数に基づいて、前記再生された符号化信号を逆レンジ変換するための逆レンジ変換工程と、
    前記構成された量子化ステップに基づいて、前記逆レンジ変換された信号を逆量子化するための逆量子化工程と、を備え、
    前記所定のデータは、(1)基本量子化ステップを特定するための量子化番号、および(2)前記基本量子化ステップと組み合わされる2のべきである乗数のべき指数と前記2のべきとして表現されるレンジ変換乗数のべき指数との和を特定するための総合乗数情報を含み、
    前記量子化ステップは、前記DCTブロックから構成されるマクロブロックにおいて一様であって、
    前記第2のビットストリームの記録フォーマットは、前記所定の量子化ステップ数よりも少ない量子化ステップ数の量子化ステップを用いて信号の量子化が行われる別のビットストリームの記録フォーマットと同一であり、
    前記第2のビットストリームの記録フォーマットが有する前記第1の位置は、前記別のビットストリームの記録フォーマットが有する、前記所定の量子化ステップ数よりも少ない量子化ステップ数の量子化ステップを特定するための量子化情報を記録するための位置と一致し、
    前記量子化番号は、前記マクロブロックごとに、前記第1の位置へ記録され、
    前記総合乗数情報は、前記DCTブロックごとに、前記第2の位置へ記録されることを特徴とする信号再生方法。
  9. 請求項4記載の信号記録方法の、前記所定の量子化ステップ数の量子化ステップを用いて信号の量子化を行うための量子化工程と、前記量子化工程で前記信号の量子化を行う際に用いる量子化ステップを特定するための複数の量子化情報を生成するための量子化情報生成工程と、前記量子化された信号から符号化信号を生成するための符号化工程と、前記複数の量子化情報を含むデータ、および前記符号化信号を有する圧縮信号を記録するための記録工程と、をコンピュータに実行させるための、プログラムを記録した記録媒体であって、コンピュータにより処理可能な、記録媒体。
  10. 請求項5記載の信号記録方法の、前記所定の量子化ステップ数の量子化ステップを用いて信号の量子化を行うための量子化工程と、前記量子化工程で前記信号の量子化を行う際に用いる量子化ステップを特定するための複数の量子化情報を生成するための量子化情報生成工程と、前記量子化された信号を、2のべきとして表現されるレンジ変換乗数を用いてレンジ変換するためのレンジ変換工程と、前記レンジ変換された、量子化された信号から符号化信号を生成するための符号化工程と、所定のデータ、および前記符号化信号を有する圧縮信号を記録するための記録工程と、コンピュータに実行させるための、プログラムを記録した記録媒体であって、コンピュータにより処理可能な、記録媒体。
  11. 請求項8記載の信号再生方法の、所定のデータ、および2のべきとして表現されるレンジ変換乗数を用いてレンジ変換され、量子化された信号から生成される符号化信号を有する信号として記録された圧縮信号から、前記所定のデータ、および前記符号化信号を再生するための再生工程と、前記再生された所定のデータに基づいて、前記信号の量子化が行われる際に用いられる前記所定の量子化ステップ数の量子化ステップを構成するための量子化ステップ構成工程と、前記レンジ変換乗数に基づいて、前記再生された符号化信号を逆レンジ変換するための逆レンジ変換工程と、前記構成された量子化ステップに基づいて、前記逆レンジ変換された信号を逆量子化するための逆量子化工程と、をコンピュータに実行させるための、プログラムを記録した記録媒体であって、コンピュータにより処理可能な、記録媒体。
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